1: 2012/07/21(土) 18:41:09.51 ID:G6VqZVzb0
織莉子「ん……ふわぁぁ……」ムクッ

キリカ「おや、おはよう織莉子」ジーッ

織莉子「おはよう、キリカ……?」

キリカ「どうかしたかい?」ジーッ

織莉子「何をしているの……?」

キリカ「見ての通り、織莉子の寝顔を堪能している」ジーッ

織莉子「……」

キリカ「寝てる織莉子も可愛いけど、寝起きでボーっとしてる織莉子も可愛いね」

織莉子「キリカ、そこに直りなさい」
第1話 僕たちは失敗した
2: 2012/07/21(土) 18:44:13.22 ID:G6VqZVzb0
織莉子「わたしの寝顔を堪能するのはいいわ、もっとやれと言ってもいい」

キリカ「うん」

織莉子「でもね?距離に問題があるわ」

キリカ「おや、それはわたしとしたことが失敗だったね」

織莉子「え?」

キリカ「これくらい近い方がよかったかな?」ズイッ

織莉子「っ!」

キリカ「………うん、可愛い」

織莉子「き、距離を置いてそこに直りなさいっ!」////

4: 2012/07/21(土) 18:48:21.96 ID:G6VqZVzb0
織莉子「起き抜け早々にキリカの顔がすぐ近くにあると、色々と大変なのよ」

キリカ「そうかい?」

織莉子「じゃあキリカ、想像してみなさい。目を覚ましたら、すぐそこにわたしの顔があるの。どう?」

キリカ「ものすごいご褒美じゃないか、それだけでその日一日は頑張れそうだ」

織莉子「それはっ……」

キリカ「織莉子はどうだい?今日一日、頑張れそうじゃないかい?」

織莉子「が、頑張れるに決まってるじゃないの」

キリカ「なら何ら問題ないね。これからも続けるよ、わたしは」

織莉子「キリカ……」///

6: 2012/07/21(土) 18:51:49.07 ID:G6VqZVzb0
織莉子「キリカはそれでも満足かもしれないけれど、わたしとしては逆でもいいと思うのよね」

キリカ「逆?どういうことだい?」

織莉子「たまにはわたしがキリカの寝顔を堪能したいという意味よ」

キリカ「……ふむ」

織莉子「というわけで、明日はキリカ、ゆっくり寝ていなさい」

キリカ「いや、それは困るな」

織莉子「え?」

キリカ「寝ていたら、その分織莉子と一緒に過ごす時間が短くなってしまう」

織莉子「そう思ってくれるのは嬉しいけれど、キリカの寝顔をわたしにも見せて欲しいわ」

キリカ「織莉子がそう望むなら、そうしよう」

織莉子「! 約束よ、キリカ!」

7: 2012/07/21(土) 18:54:19.80 ID:G6VqZVzb0
織莉子「さてと、着替えようかしら」

キリカ「着替えはここに」スザッ

織莉子「……キリカ?」

キリカ「なんだい?」

織莉子「なぜあなたがわたしの着替えを一式持っているの?」

キリカ「タンスの中から出したに決まっているだろう」

織莉子「いつの間に?」

キリカ「そりゃ、織莉子が寝ている間にやった用事のついでに……おっと」

織莉子「キリカ、そこに直りなさい」

9: 2012/07/21(土) 18:57:22.61 ID:G6VqZVzb0
キリカ「いや、誤解だよ織莉子」

織莉子「何がどう誤解なのか、詳しく話してもらおうかしら」

キリカ「ほら、昨日の洗濯物を畳んでしまおうと思って、それでタンスを開けたんだ」

織莉子「そのついでに?」

キリカ「そういうこと」

織莉子「し、下着も?」

キリカ「下着も……う、うん、下着も」

織莉子「今の間は何?」

キリカ「い、いや……下着は特に入念に畳んでおいたよ、うん」

織莉子「……まぁ、明確な証拠はないから不問としてあげるわ」

10: 2012/07/21(土) 19:00:47.06 ID:G6VqZVzb0
キリカ「………」

織莉子「いつまでそのままいるつもり?」

キリカ「そりゃ、織莉子の準備が終わるまで」

織莉子「わたし、着替えるわよ?」

キリカ「何も問題ない。続けて、どうぞ」

織莉子「……ふぅ」プチ プチ ファサ

キリカ「!」バッ

織莉子「!?」

キリカ「」シュバババ ザッ

キリカ「はい、畳んでおいたよ」

織莉子「キリカ、その場で静止」

11: 2012/07/21(土) 19:02:56.13 ID:G6VqZVzb0
キリカ「わたし、なにか悪い事したかな?」

織莉子「脱いだものを畳んでくれるのはとてもありがたいわ」

キリカ「うんうん、そうだよね」

織莉子「問題は、なぜそれを膝の上に置いているのか」

キリカ「その辺に適当に置くわけがないじゃないか」

織莉子「人間には、建前と本音というものがあるのよね」

キリカ「それは知っているよ」

織莉子「で、本音は?」

キリカ「織莉子の温もりを感じたかった」

織莉子「キリカ…」///

12: 2012/07/21(土) 19:06:18.33 ID:G6VqZVzb0
織莉子「え、ええと……」

キリカ「下着は変えないのかい?」

織莉子「かっ、変えるわよ?」

キリカ「ほら、それならひと思いに」

織莉子「……っ」

ヌギヌギ ファサッ

織莉子「っ……?」

キリカ「……」

織莉子(ちゃんとこの時ばかりは視線を逸らすのね……ちょっと残念)

15: 2012/07/21(土) 19:09:01.06 ID:G6VqZVzb0
織莉子「準備完了よ」

キリカ「うん、寝巻きもしっかりと畳んでベッドの側に」

織莉子「それじゃ、行きましょうか」

キリカ「あ、ちょっと待って織莉子」

織莉子「?」

キリカ「ん~~~~~……よしっ、行こう」

織莉子「どうかしたの?」

キリカ「いや、織莉子がひと晩過ごした部屋の空気を吸い込んだだけだよ」

織莉子「キリカ、そこに直りなさい」

17: 2012/07/21(土) 19:12:22.59 ID:G6VqZVzb0
織莉子「お砂糖ひとつまみだけの紅茶はどう、キリカ?」

キリカ「おっ……おいしい、よっ……織莉子」プルプル

織莉子「ちょっとイジワルだったわね。はい、お砂糖の容器。キリカのお好みに合わせて入れなさい」

キリカ「う、うーん……」

織莉子「? 何を悩んでいるの?」

キリカ「いや、ひとつまみだけ入れたお砂糖って、織莉子の素手でだったんだよね」

織莉子「え、えぇ、そうね」

キリカ「どうせなら、わたしのお好みの量、織莉子の素手で……」

織莉子「手がべたべたになっちゃうわ」

キリカ「うーん……ちょっと残念」

18: 2012/07/21(土) 19:15:25.84 ID:G6VqZVzb0
ピーッ ピーッ

織莉子「クッキー、焼けたわね」

キリカ「まぁまぁ、織莉子はここでゆっくりしてなよ。わたしが取ってくるから」

織莉子「そう?それじゃお願いするわ」


織莉子「ふぅ………。………遅いわね」


織莉子「キリカ?」

キリカ「! お、織莉子?」

織莉子「なぜ、クッキーを二つの皿に分けているの?」

キリカ「いや、織莉子が型を作った方はわたしが全部……と思って」

織莉子「……キリカ、そこに直りなさい」

19: 2012/07/21(土) 19:18:56.64 ID:G6VqZVzb0
織莉子「不自然だと思わない?」

キリカ「奇遇だね、わたしも不自然だと思い始めていたところだよ」

織莉子「生地づくりはわたしがやって、型取りは二人でやったのよね」

キリカ「そうだったね」

織莉子「でも、作り慣れているわたしの方が早い。だから、型を取った個数もわたしの方が多いのよ?」

キリカ「う、うん」

織莉子「明らかに片方の量が多いわ」

キリカ「いや、でも織莉子が型取りをした方を全部わたしが取ったら、残るのはわたしが型取りをしたクッキーだけなんだよ?」

織莉子「当然そちらの方はわたしが全部もらうわ」

キリカ「くっ……作業速度が遅い自分が憎い…!」

21: 2012/07/21(土) 19:25:14.89 ID:G6VqZVzb0
織莉子「はぁ……平和ねぇ……」

キリカ「そうだねぇ……」

織莉子「お茶を飲み終わったら、どこかへ出かけましょうか?」

キリカ「いいね。どこに行く?」

織莉子「そうねぇ……公園とかいいんじゃないかしら」

キリカ「自然と触れ合うってことか。いいね」

織莉子「紅茶セットも持って行きましょう。軽いピクニック気分よ」

キリカ「それじゃクッキーの残りも持って行こう」

織莉子「残っているのはわたしが作った方だけね?」

キリカ「わたしにとっては何よりのごちそうだ」

22: 2012/07/21(土) 19:28:19.27 ID:G6VqZVzb0
森丘公園―――

織莉子「う―……んっ!風が心地いいわ……」ウトウト

キリカ「眠そうだね、織莉子?」

織莉子「そう……ね……ちょっとだけ、眠たいわ……」

キリカ「仕方ないな。ほら、膝枕」

織莉子「うーん……少しだけ、寝させてもらうわ……」コテン

織莉子「……スー……スー……」

キリカ「本日二度目の織莉子の寝顔……今日は最高の一日だ……」ウットリ

24: 2012/07/21(土) 19:32:34.64 ID:G6VqZVzb0
織莉子「スー……キリカァ……」

キリカ「織莉子……織莉子……」ハァハァ

織莉子「クー……ムニュ……」

キリカ「ね、寝てる?寝てるよね織莉子?」

織莉子「ムー……?キリカァ……」

キリカ「よ、よしっ……いざっ……」ゴクリ

ほむら「…………」ジー

キリカ「……………………なんだい、キミは?」

ほむら「気付いていたのね。てっきり二人の世界に浸っているとばかり」

キリカ「敵の気配くらいすぐに察知出来るさ」

25: 2012/07/21(土) 19:35:39.03 ID:G6VqZVzb0
キリカ「悪いけれど、わたしと織莉子の至福の時間を邪魔しないでくれるかな」

ほむら「邪魔するつもりはなかったのだけれどね」

織莉子「キリカ……スー……」

キリカ「ほら、織莉子が目を覚まさないうちに」

ほむら「普段は立場が逆じゃないかしら、あなたたち?」

織莉子「ムニャ……フフ……」

キリカ「わたし達はいつも大体こんな感じさ。ほら、わかったらあっち行く」シッシッ

ほむら「人を野良ネコか何かみたいに追っ払おうとして……」

キリカ「織莉子が目覚めたら話がややこしくなる」

ほむら「……言われなくてもわかっているわ」

26: 2012/07/21(土) 19:37:37.38 ID:G6VqZVzb0
織莉子「……ん……?」パチッ

ほむら「っ!」カチッ

キリカ「お目覚めかい、織莉子?」

織莉子「キリカ……?今、誰かと話をしていなかった……?」

キリカ「寝てる織莉子にわたしが一方的に話しかけてただけだよ」

織莉子「そうなの……?どんな話を……?」

キリカ「今日は一緒に風呂に入ろうとか、背中を流してあげるとか」

織莉子「そう……楽しみにしてるわ、キリカ」

27: 2012/07/21(土) 19:39:55.20 ID:G6VqZVzb0
キリカ「もう、いいのかい?」

織莉子「ええ。ごめんなさい、膝貸してもらっちゃって」

キリカ「いやいや、いいんだよ。今から、わたしも織莉子の太ももを貸してもらうんだし」

織莉子「!」

キリカ「それくらい、いいだろう?」

織莉子「もう……仕方ないわね。ほら、いいわよ?」トントン

キリカ「そう来なくっちゃ!」コテン

キリカ「うーん……織莉子の太ももぉ……」スリスリ

織莉子「ちょっと、くすぐったいわキリカ」

キリカ「役得役得」スリスリ

織莉子「全く……甘えん坊ね」ナデナデ

30: 2012/07/21(土) 19:43:53.29 ID:G6VqZVzb0
キリカ「ン……ムニャ……」

織莉子「キリカ?」

キリカ「オリコォ……ンー……」

織莉子「寝ちゃったのね。考えてみれば、朝もキリカの方が早かったし、当然と言えば当然よね」

キリカ「ヘヘ……織莉子と一緒だぁ……」

織莉子「夢でもわたしと一緒にいてくれるなんて……本当に、いい子ね、キリカ」

杏子「……やっと見つけた」ザッ

織莉子「!」

ゆま「……」

杏子「……」

31: 2012/07/21(土) 19:47:01.80 ID:G6VqZVzb0
織莉子「………何の用かしら?佐倉杏子」

杏子「ゆま、こいつで間違いないんだな?」

ゆま「う、うん」

杏子「あんたが……美国織莉子だな?」

織莉子「ええ……そうよ」

杏子「ゆまの事……落とし前、付けに来たぜ」

織莉子「っ……」

ゆま「キョーコ……」

キリカ「テキ……ダイジョーブ、織莉子……ムニャ……」

32: 2012/07/21(土) 19:50:06.32 ID:G6VqZVzb0
織莉子「………お互い、今日は会わなかったことにしない?佐倉杏子」

杏子「そういうわけには……っ!」

ゆま「……」ギュッ

杏子「ゆ、ゆま?」

ゆま「キョーコ……ごめんなさい、よくみたら、違う……かも」

織莉子「………」

杏子「…………っ……そーかよ」

織莉子「杏子さん……」

杏子「悪いな、邪魔した。人違いだったみたいだ」

ゆま「キョーコ……!」

33: 2012/07/21(土) 19:53:42.61 ID:G6VqZVzb0
杏子「行くぞ、ゆま」スタスタ

ゆま「う、うん!」スタスタ

織莉子「………ごめんなさい。まだ、もう少しだけ……」

キリカ「……………」

織莉子「…っ!キリカ……?」

キリカ「おはよう、織莉子」

織莉子「いつから……?」

キリカ「『わたしは、今目が覚めた』」

織莉子「……」

キリカ「そういうことにしておいて、織莉子」

34: 2012/07/21(土) 19:58:31.31 ID:G6VqZVzb0
夕方―――

キリカ「んーっ!今日はゆっくり出来たねぇ~……」ノビーッ

織莉子「そうね。たまの休息、しっかりと休まないと」

キリカ「帰ったらお風呂沸かそうか。陽の下で寝てたから、お互いに汗掻いちゃったよね」

織莉子「一緒に入るのでしょう?」

キリカ「え」

織莉子「さっき、キリカがそう言っていたものね」

キリカ「い、いいのっ!?」

織莉子「あら、言い出したのはキリカじゃないの」

キリカ「わっ、わかった……」ワキワキ

織莉子「手の動きがなんだかいやらしいわよ」

37: 2012/07/21(土) 20:01:26.70 ID:G6VqZVzb0
キリカ「織莉子!お湯、入ったよ!」

織莉子「ええ、今行くわ」

ヌギヌギ ファサッ

キリカ「」ワシッ スーハースーハー

キリカ「………?あれ?織莉子?」クルッ

織莉子「キリカの匂い………」スンスン

キリカ「お、おぉ……」

織莉子「っ!い、いやだわたしったら!あ、あれ?キリカ……その手は何?」

キリカ「い、いや……織莉子が一日着ていた服の匂いを、と……」

織莉子「………そ、そこに直りなさい!」///

キリカ「これに関しては織莉子も同罪なんじゃ…」

39: 2012/07/21(土) 20:06:12.40 ID:G6VqZVzb0
チャプ……

織莉子「いい湯加減ねぇ……癒されるわ……」

キリカ「そ、それにしても……」ゴクリ

織莉子「?」

キリカ「また、大きくなったかい?」ワキワキ

織莉子「そ、そうかしら?わたしは特に意識した事もなかったけれど」

キリカ「参ったな、その成長速度じゃいずれわたしの手に余ってしまう」ワキワキ

織莉子「そういうキリカだって」ツンッ

キリカ「ひゃっ!?」

織莉子「人並み以上にはあると思うわよ?」ツンツン

キリカ「ふ、不意打ちは卑怯っ!」

40: 2012/07/21(土) 20:10:30.38 ID:G6VqZVzb0
織莉子「キリカ。背中、流してくれるのでしょう?」

キリカ「ああ、それは当然」

織莉子「それじゃ、お願い」ザバァ

キリカ「うん。………っと。力、これくらいでいい?」ゴシゴシ

織莉子「ええ……ジャストフィットな力加減よ……んぅ~……気持ちいいわぁ……」トロン

キリカ「………背中の傷、消えないね」ゴシゴシ

織莉子「そうね……ホント、彼女には参ったわ」

キリカ「回復魔法、わたしが使えればいいんだけれど……」ゴシゴシ

織莉子「これはこのままでいいの。いずれ、また彼女とは相まみえるでしょうしね」

キリカ「痛々しいなぁ……」ツツツ

織莉子「ひぅっ!?ちょっ、ちょっと……傷跡、なぞらないでよ!」

キリカ「おっと、思わぬ弱点発見かな?」ツツツ

織莉子「あひゃ……きっ、キリカ!そこに直りなさい!」

41: 2012/07/21(土) 20:16:01.63 ID:G6VqZVzb0
織莉子「それじゃ、次はわたしの番ね」

キリカ「いや、わたしはいいよ。自分でやるから」

織莉子「いいから黙って背中を見せなさい」

キリカ「じ、じゃあ、お願いします……」クルッ

織莉子「素直でよろしい」ゴシゴシ

キリカ「織莉子にこうして洗ってもらうの、初めてだね」

織莉子「そうだったわね。いつもわたしが一緒に入ろうと言っても、キリカが遠慮するんだもの」ゴシゴシ

キリカ「いや、だってさ……」

織莉子「わたしとキリカの間に遠慮なんていらないの。素直にわたしに甘えなさい」ゴシゴシ

キリカ「毎日一緒に入ってたら、歯止めが効かなくなる」

織莉子「構わないわよ、わたしは?」

キリカ「わたしが構うんだよ。自制が効くところで踏みとどまっていないと、ね」

42: 2012/07/21(土) 20:21:55.28 ID:G6VqZVzb0
織莉子「はい、完了」ザバーッ

キリカ「うん、ありがとう織莉子」

織莉子「……自分の背の傷、確認出来ないからどれほどなのかはわからないけれど。キリカの背の傷の方が、痛々しく見えるわ」

キリカ「そんなことは、ないと思うけどね。まぁ、わたしも自身の背の傷は確認出来ないから何とも言えないけれど」

織莉子「わたしに尽くしてくれるのはとても嬉しいけれど、それであなたが氏んでしまったら悲しいわ」ソッ…

キリカ「織莉子……」

織莉子「お願いよ、キリカ。無茶をするな、とは言わないわ。わたしの知らない所で氏ぬ事だけは、やめてね」

キリカ「……当然だよ、織莉子。わたしと織莉子は、一心同体だからね」

織莉子「っ……もう、キリカったら」

44: 2012/07/21(土) 20:28:42.72 ID:G6VqZVzb0
織莉子「ジャムを一滴だけ入れた紅茶の味はどう、キリカ?」

キリカ「ひ、非常に美味極まるよ、織莉子っ……!」プルプル

織莉子「お風呂でわたしの傷跡をなぞったお返しよ」

キリカ「ご、ご無体な……!」プルプル

織莉子「はい、ここにジャムの容器があるわ」コトッ

キリカ「む……」

織莉子「入れたかったら、入れてもいいわよ?」

キリカ「それじゃ、織莉子の紅茶を混ぜたスプーンを貸してくれないかな」

織莉子「いいけれど…?」

キリカ「ああ、いや、そうじゃない。一度口に含んでから」

織莉子「やっぱりジャムはいらないわね」スッ

キリカ「ああっ!ごめんなさい!」

45: 2012/07/21(土) 20:31:54.90 ID:G6VqZVzb0
織莉子「ふふ、冗談よ。アム」パクッ

キリカ「っ!!?」

織莉子「はい。これでいい?」スッ

キリカ「い、いいの!?」ガシッ

織莉子「言ってる事とやってる事がかみ合ってないわよ、キリカ」パッ

キリカ「ふぅー!ふぅー!」ジィーッ

織莉子「なぜジャムを掬わずにスプーンを凝視しているの、キリカ?」

キリカ「こっ、このまま口に含んでも……!」

織莉子「キリカ、そこに直りなさい」

48: 2012/07/21(土) 20:36:02.72 ID:G6VqZVzb0
織莉子「ジャムでどろどろになっているわね」

キリカ「これがわたしなりの紅茶の楽しみ方だ!」ズズ

織莉子「そんなにおいしいものなのかしら……ちょっと、気になってきたわね」

キリカ「ああ、それじゃちょっと待ってね」パク

織莉子「?」

キリカ「はい、織莉子専用スプーン」スッ

織莉子「あら、ありがとうキリカ」ギュッ パクッ

キリカ「っ!?」

織莉子「ふふ、キリカが咥えたスプーンってだけでとても甘いわ」

キリカ「そ、それは反則だろう織莉子……」

49: 2012/07/21(土) 20:40:08.73 ID:G6VqZVzb0
織莉子「寝る前に歯を磨かないとね」

キリカ「虫歯になったらたまらないからね」

織莉子「ええと、今回はどっちだったかしら?」

キリカ「織莉子のはこっちだよ」

織莉子「よく覚えているわね、キリカ」

キリカ「そりゃ、毎回しっかり記憶してるからね」

織莉子「そういうわたしも人の事が言えないのがつらいところね……」

50: 2012/07/21(土) 20:42:53.59 ID:G6VqZVzb0
織莉子「それじゃ、寝ましょうか……ふわぁぁ」

キリカ「うん……お休み、織莉子……」

織莉子「………!………キリカ」

キリカ「ん……なんだい、織莉子?」

織莉子「たまには、一緒に寝ましょうか?」

キリカ「!」

織莉子「今日は、一日中一緒にいたから……一人で寝るのは、なんだか寂しいわ」

キリカ「……奇遇だね、織莉子。わたしも、だよ」

51: 2012/07/21(土) 20:47:24.20 ID:G6VqZVzb0
織莉子「………暗い、わね」

キリカ「なんだ、織莉子は暗かったら眠れないかい?」

織莉子「そんなことはないけれど……」

キリカ「なに、それもあと少しの辛抱……だろう?」

織莉子「………そうね」

ゴォォォ……

キリカ「……………風が、強くなってきたね」

織莉子「そう、ね……」ギュッ

キリカ「! 織莉子……?」

52: 2012/07/21(土) 20:49:51.05 ID:G6VqZVzb0
織莉子「………」フルフル

キリカ「何か、怖いモノでも視た?」

織莉子「っ……」フルフル

キリカ「大丈夫。何も、怖い事はない。わたしには織莉子さえいてくれればいいし、織莉子はわたしさえいてくれればいい。……でしょ?」

織莉子「キリ、カ……っ」フルフル

キリカ「……そこは、わたしの名を呼ぶんじゃなくって、わたしの言葉を肯定して欲しかったな」

54: 2012/07/21(土) 20:53:11.00 ID:G6VqZVzb0
織莉子「キリカは……わたしの側に、いてくれるの?」フルフル

キリカ「当然。キミがいてくれなきゃ、今のわたしと言う個体に意味は無いからね」

織莉子「………」フルフル

キリカ「織莉子は……どう?」

織莉子「わ、わたしもっ……キリカがいてくれれば、怖いものなんて、ない」

キリカ「ありがとう、織莉子」

織莉子「キリカぁ……!」ギュゥ

キリカ「体の震え、止まったね」

織莉子「っ……」

キリカ「うん。織莉子は、いつもの織莉子で。そんな織莉子が、わたしは一番好きだ」

織莉子「……キリカ、静止」

56: 2012/07/21(土) 20:55:50.15 ID:G6VqZVzb0
キリカ「うん」

織莉子「………」

チュッ

キリカ「………。どう?何か怖いモノ、視える?」

織莉子「………いえ。ありがとう、キリカ。わたしも、覚悟が決まったわ」

キリカ「よかった。今日くらいは、安らかに眠りたいね」

織莉子「そう、ね……」

ゴォォォォォォォォ………―――

58: 2012/07/21(土) 20:58:45.83 ID:G6VqZVzb0
織莉子「―――……来たわ」

キリカ「そう、か」

織莉子「キリカ……最後の瞬間まで、一緒に……―――」

キリカ「わたしの全ては、織莉子に……―――」




ピシピシッ……パキンッ……―――

ピシピシッ……パキンッ……―――





終わり

59: 2012/07/21(土) 21:00:25.82 ID:O1m7JeyT0
切ない

60: 2012/07/21(土) 21:00:32.68 ID:DJuSARnE0

68: 2012/07/21(土) 21:25:29.89 ID:G6VqZVzb0
捕捉説明になっちゃうけど
この時間軸ではおりキリが本格的な行動に出る前にまどか契約
それによって、この二人は世界の終末が来るまで穏やかに過ごしてた感じ
ほむらが敵対意志を見せてないのはそういうこと
杏ゆまは公園で会ったのが初めて

うん、これ以上は脳内補完でお願いします
放送室占拠事件は起きてない

引用元: 織莉子「キリカ、そこに直りなさい」