1: 2012/01/04(水) 01:24:45.13 ID:txWFqdFl0
まどか「えっ……?」

ほむら「迷惑だったかしら」

まどか「う、ううん! そんなことないよ! ただ、ほむらちゃんからそんなこと言ってくれるとは思わなくて……。
    じゃあ、この後うちに来る?」ティヒヒ

ほむら「そうさせてもらうわ」
Chapter.1  

4: 2012/01/04(水) 01:26:58.94 ID:txWFqdFl0
まどかの部屋

ほむら「……」カリカリカリカリ

まどか「うーん……」

ほむら「……」カリカリカリカリ

まどか「う~ん……」

ほむら「まどか、どこか分からないところでもあるのかしら」

まどか「えっ? あ、ちょっとね」

ほむら「わたしに出来る事なら教えるけど」

まどか「そんな、悪いよ!」

ほむら「まどかの役に立てるなら、わたしは時間を惜しまない」

6: 2012/01/04(水) 01:28:54.82 ID:txWFqdFl0
まどか「ありがと、ほむらちゃん。えっとね、ここなんだけど……」

ほむら「……なるほど。まどか、連続する3自然数の積は6の倍数になることを憶えているかしら」

まどか「そういえばそうだった、ような……」

ほむら「それを応用すれば……」

まどか「あっ! そうか! 分かったよほむらちゃん!」

ほむら「良かった」

7: 2012/01/04(水) 01:30:08.96 ID:txWFqdFl0
まどか「ほむらちゃんってホントすごいねー」

ほむら「……まどか」

まどか「ん?」

ほむら「あなたにとってわたしは、成績優秀な生徒に見えるのかしら」

まどか「あったりまえだよぉ! ほむらちゃん学年トップだもんね!」

ほむら「……そう。……そうね」

まどか「……?」

8: 2012/01/04(水) 01:32:25.46 ID:txWFqdFl0
翌日 学校 昼休み

まどか「ふぁ~。やっと授業終わったよ……」

ほむら「まどか」

まどか「あ、ほむらちゃん」

ほむら「昼休み、何か予定はあるかしら」

まどか「え? 別にないけど……」

ほむら「テニスコートが空いているようだから、一緒にテニスでもしない?」

まどか「う、うん。いいよ……」

ほむら「気が進まないかしら」

まどか「全然! ただ、ほむらちゃんに誘われるの、珍しいなって。じゃあさやかちゃんと仁美ちゃんも誘うよ!」

ほむら「お願いするわ」

11: 2012/01/04(水) 01:35:33.42 ID:txWFqdFl0
テニスコート

ほむら「やあっ!」パコーン

さやか「うっ! このさやかちゃんが一歩も動けないとは……」

まどか「ほむらちゃんすごーい!」

仁美「ほむらさんの球、全然打ち返せませんわ……」

まどか「なんだかダブルスなのにわたし何もしてないね……」ティヒヒ

ほむら「ごめんなさい。わたしばかり打ってもつまらないわよね」

まどか「そ、そういう意味で言ったんじゃないよ?」

12: 2012/01/04(水) 01:39:02.78 ID:txWFqdFl0
ほむら「じゃあ次はまどかのサーブからね」

まどか「行くよっ……えいっ! ……あれ?」ポコッ

さやか「あっはは、まどか可愛いー」

まどか「ふえーん、サーブが入らないよー!」

ほむら「トスを上げるときの腕は伸ばしたままにするといいわよ」

まどか「そ、そっか。えいっ!」パコーン

仁美「まどかさんの球なら返せますわ」パコーン

ほむら「ふんっ!」バシュッ

さやか「うう……また負けた……」

13: 2012/01/04(水) 01:40:41.28 ID:txWFqdFl0
まどか「ほむらちゃんカッコいい!」

ほむら「……まどか」

まどか「何?」

ほむら「あなたにとってわたしは、運動神経のいい人間に見えるのかしら」

まどか「そりゃあそうだよ! ほむらちゃんこの前の体育の時間で、高跳びの県内記録出しちゃったもんね!」

ほむら「……そう。そうよね」

まどか「……?」

16: 2012/01/04(水) 01:43:08.54 ID:txWFqdFl0
翌日

ほむら「まどか、今日はわたしの家に来ない?」

まどか「えっ、いいの?」

ほむら「用事がある?」

まどか「ううん。じゃあお邪魔させてもらおうかな!」

ほむら「なら、一緒に帰りましょう」

17: 2012/01/04(水) 01:45:01.27 ID:txWFqdFl0
ほむホーム

まどか「おじゃましまーす」

ほむら「ただいま」

まどか「ほむらちゃん誰もいなくてもただいまって言うんだね……あれ、ピアノ?」

ほむら「ええ。あれはホログラムじゃないわよ」

まどか「ほむらちゃん、ピアノ弾けるの?」

ほむら「少し前まで習っていたわ」

まどか「えー、聴きたい聴きたい!」

ほむら「……まどかがそう言うのなら」

18: 2012/01/04(水) 01:46:39.47 ID:txWFqdFl0
♪~

まどか「わー!」パチパチ

ほむら「聴いてくれてありがとう」

まどか「ブラボーだよほむらちゃん! 何ていう曲なの?」

ほむら「ドビュッシーの亜麻色の髪の乙女という曲よ」

まどか「へぇ~。すっごくロマンチックで綺麗だなぁ~」

ほむら「気に入ってもらえてよかったわ」

19: 2012/01/04(水) 01:48:12.82 ID:txWFqdFl0
まどか「ほむらちゃんは音楽もバッチリなんだねー」

ほむら「……まどか」

まどか「うん?」

ほむら「あなたには、わたしがピアノの上手い少女に見えるのかしら」

まどか「う、うん。今のピアノすっごく感動したよ!」

ほむら「そう……。……そう」

まどか「……?」

20: 2012/01/04(水) 01:51:58.36 ID:txWFqdFl0
翌日 喫茶店

まどか「でね、ほむらちゃんってピアノもすっごく上手なの!」

さやか「運動も勉強も出来てその上芸術まで! いったいどこまでキャラ付けすれば気が済むんだ~!?」

まどか「でも、ほむらちゃんって少し不思議な子だよね」

さやか「ミステリアスガールってやつ? ほら、まどかと転校生は前世からの宿命があるんでしょ?」

まどか「もう! さやかちゃんってば」

22: 2012/01/04(水) 01:55:44.21 ID:txWFqdFl0
さやか「でも実際謎なところ多いってー」

まどか「……そういえばね、さやかちゃん」

さやか「ん?」

まどか「最近ほむらちゃんの様子が変、っていうか……」

さやか「恋煩いじゃないの~?」

まどか「ティヒヒ……。なんかね、よくわたしを色んなものに誘ってくれるの」

さやか「やっぱり恋煩いじゃないかー!」

まどか「もうっ!」

24: 2012/01/04(水) 01:58:02.53 ID:txWFqdFl0
さやか「ごめんごめん、で?」

まどか「でもなんだかほむらちゃん、あまり笑ったりしなくて……」

さやか「あたしは転校生が笑ったのみたことないけど」

まどか「そうなんだけど、どこか上の空っていうか……」

さやか「自分から誘っておいて? 変な奴だなー」

まどか「それで、ときどき私に訊くの。わたしからほむらちゃんはどう見えるのかって」

25: 2012/01/04(水) 02:00:27.80 ID:txWFqdFl0
さやか「ふーん……。で、まどかはどう答えるのさ」

まどか「カッコいいと思うよって。本当にそう思ってるしね」

さやか「なるほどなるほど~。この名探偵さやかちゃんがほむらの心の内を解き明かしてあげましょう!」

まどか「そ、それは……?」

さやか「それは……分からん!」

まどか「ずこー!」

さやか「いや、ごめん。本当によく分かんないや」

まどか「まあ、ちょっと気になっただけだからいいんだけどね」

27: 2012/01/04(水) 02:03:35.88 ID:txWFqdFl0
翌日

ほむら「まどか、今日は魔女退治に行くの」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「ついてきてくれないかしら」

まどか「え……どうして?」

ほむら「嫌?」

まどか「正直……やっぱり魔女のところに行くのは怖いし……」

ほむら「絶対にあなたを危険な目に遭わせないから! 約束するから!」

まどか「……ほむら……ちゃん?」

ほむら「だから……お願い……」

まどか「……分かったよ」

29: 2012/01/04(水) 02:06:24.07 ID:txWFqdFl0
魔女の結界

まどか「あれが魔女だね……」

ほむら「まどかはここでじっとしていて。すぐに片付けるわ」

まどか「……うん」

まどか「(行っちゃった……)」

まどか「(でもやっぱりほむらちゃんは強い。マミさんとは別の意味でベテランって感じ……)」

まどか「(本当にすぐ魔女をやっつけちゃうだろう……)」

まどか「(それにしても……)」

まどか「(……どうして?)」

30: 2012/01/04(水) 02:08:36.60 ID:txWFqdFl0
ほむら「まどか、魔女は倒したわ」

まどか「……うん」

ほむら「まどか? どうしたの、怪訝そうな顔をして」

まどか「ほむらちゃんはさ、どうして今日わたしをここに連れてきたの?」

ほむら「え……」

まどか「ほむらちゃんはわたしを魔法少女にさせたくないんでしょ? なのに何であえて魔女退治に連れてきたのかなって」

ほむら「それは……」

まどか「ほむらちゃん、最近ちょっとヘンだよ……」

ほむら「まどか……」

31: 2012/01/04(水) 02:10:56.31 ID:txWFqdFl0
まどか「何か悩み事でもあるの? わたしに出来る事なら相談でも……」

ほむら「悩み事なんてないわ」

まどか「……」

ほむら「それよりまどか、あなたにとってわたしは強い魔法少女かしら」

まどか「(……また)」

ほむら「どうなの?」

まどか「……うん」

ほむら「……そう」

まどか「ほむらちゃん、やっぱりおかしいよ!」

ほむら「!?」

32: 2012/01/04(水) 02:13:35.87 ID:txWFqdFl0
まどか「最近いつもそれ訊くよね? どうしたの?」

ほむら「別に……」

まどか「いちいち確認しなくても、わたしはほむらちゃんのこと嫌いになったりしないよ?」

ほむら「そういう意味じゃ……ないのよ」

まどか「じゃあどういう意味? わたし、ほむらちゃんが一人で何か抱え込んでるんじゃないかって、心配で……」

ほむら「まどか……」

まどか「ねえ、ほむらちゃん……」

ほむら「……まどかに心配をかけるなんて、わたしは最低ね」

まどか「ほむらちゃん!?」

33: 2012/01/04(水) 02:16:12.94 ID:txWFqdFl0
ほむら「これじゃ元も子もないわ……。わたしが話すことでまどかの心配が晴れるのなら」

まどか「うん……話して?」

ほむら「……まどか、以前話した、わたしの契約した時の願い……憶えてる?」

まどか「忘れるはずないよ……。前の世界でわたしが氏んじゃって、わたしを助けるために時間を巻き戻してくれたんでしょ?」

ほむら「その話、実は半分嘘なの」

まどか「……え?」

37: 2012/01/04(水) 02:19:46.35 ID:txWFqdFl0
ほむら「まどか、わたしの名前を呼んでくれる?」

まどか「……。ほむらちゃん」

ほむら「カッコいい名前だって、言ってくれたわね」

まどか「うん。なんだか燃え上がれって感じで、ほむらちゃんにぴったりだと思うよ」

ほむら「……あの時も、あなたはそう言ってくれたわ」

まどか「……」

ほむら「わたし、昔は随分ひ弱で、勉強も運動も何も出来なかったの」

まどか「ええっ!? ほむらちゃんが?」

ほむら「もちろん、前の世界の話だけど」

まどか「全然イメージできないなぁ……」

41: 2012/01/04(水) 02:24:12.29 ID:txWFqdFl0
ほむら「心臓病で長い間入院していて、学校に戻ったころにはあらゆる面で周りの人から取り残されていたわ」

まどか「……」

ほむら「学校の授業も全然ついていけなくて、体育の時も準備運動だけで具合が悪くなって……。
    正直苦痛でしかなかった。そんなとき、わたしに声をかけてくれたのがあなたなの」

まどか「わたし?」

ほむら「あなたは言ったわ。カッコいい名前だと。そしてこうも言った。せっかく素敵な名前なのだから、わたしもカッコよくなればいいと」

まどか「あ……」

ほむら「それでもわたしは全然カッコよくなれずにいて、少し気持ちが沈んでいた。
    そこを魔女に魅入られたのね。絶体絶命の危機を救ってくれたのも、あなただった。
    あのときのあなたは天使か何かに見えた」

まどか「……」

43: 2012/01/04(水) 02:27:13.78 ID:txWFqdFl0
ほむら「そう、あの世界ではあなたが先に魔法少女になっていたの。
    ……でも氏んでしまった。強大すぎる魔女に挑んで、街の皆を守ろうとして」

ほむら「思ったわ。わたしは何てカッコ悪い奴なんだって。自分を救ってくれた友達に何もしてあげられなくて……氏なせてしまって」

ほむら「鹿目さんは、わたしが不甲斐ないから氏んでしまったんだ」

ほむら「そんなことを思っていた時、キュゥべえがわたしの前に現れた」

46: 2012/01/04(水) 02:30:30.39 ID:txWFqdFl0
ほむら「だからわたしの願いは――」

『わたしは、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られるわたしじゃなくて、彼女を守るわたしになりたい』

ほむら「半分嘘と言ったのはこのことよ」

ほむら「わたしの願いは、まどかを救うこと。それと同時に」

ほむら「ほむらという名に負けないような、カッコいいわたしになること」

ほむら「それから何度も同じ時間を繰り返して……」

ほむら「気が遠くなるほど同じ時間を繰り返して……」

ほむら「今ここにいるの」

48: 2012/01/04(水) 02:32:18.15 ID:txWFqdFl0
まどか「ほむらちゃん」

ほむら「……」

まどか「あのね?」

ほむら「……」

まどか「これからちょっとブツブツ言うけれど、気にしないで?」

ほむら「……?」

51: 2012/01/04(水) 02:35:53.29 ID:txWFqdFl0
まどか「……わたしには友達がいます」

まどか「その人は、ある日突然、転校生としてわたしの日常にやってきました」

まどか「でも、びっくり。彼女は、別の学校からではなく、はるか時間の彼方からやってきたのです」

まどか「……わたしのために」

まどか「もともと、気弱で、身体が弱くて、遠慮しがちな女の子でした」

まどか「それでも頑張って、何度も頑張って」

まどか「……」

まどか「わたしには友達がいます」

52: 2012/01/04(水) 02:39:47.89 ID:txWFqdFl0
まどか「黒い髪と紫の瞳が綺麗な女の子です」

まどか「ちょっとクールで、背筋をぴんと伸ばして歩いていて」

まどか「誰よりも勉強が出来て」

まどか「とっても足が速くって」

まどか「ピアノを素敵に演奏が出来て」

まどか「……強くて、カッコいい」

まどか「それでもどこか寂しがり屋な、可愛い女の子です」

53: 2012/01/04(水) 02:44:37.24 ID:txWFqdFl0
まどか「ずっと気付けなくて、ごめん。ほむらちゃん」

ほむら「まどかぁ……」

まどか「だからね、もうカッコよくなっちゃえなんて言わないよ」

ほむら「鹿目さーん!!」ダキッ

まどか「ほむらちゃん、ありがとうね」

59: 2012/01/04(水) 02:52:01.47 ID:txWFqdFl0
まどか「今までのほむらちゃんのしてきたこと全てに支えられて今の私があるんだと思う」

まどか「もう、勉強が出来るとかスポーツが得意だとか、そういうのも越えちゃって」

まどか「ほむらちゃんのこと、カッコいいと思った」

ほむら「鹿目さん……。わたしの願い、半分叶ったよ……」

まどか「ここまで来たら、全部叶えないとね」

ほむら「うん。絶対にあなたのことを守って見せる」

まどか「わたしも、絶対に氏んだりなんかしないから」

ほむら「それで……一緒に見よう? 夜を越えて……美しい暁を」

おわり


63: 2012/01/04(水) 02:56:00.85 ID:G/R9Q7zN0
乙!

64: 2012/01/04(水) 02:56:18.85 ID:Igz1mzoJ0
乙!
いい話しだった。

引用元: ほむら「まどか、一緒に勉強をしましょう」