1: 2017/02/07(火) 22:30:01.744 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「……う」

ガヴリール「あれ……ここは一体……?」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「! ヴィーネ!? おい! しっかりしろ!!」

ヴィーネ「う……んぅ……ガヴ……?」

ガヴリール「大丈夫か?」

ヴィーネ「あれ……ここどこ……? 夢……?」

ガヴリール「夢ならありがたいんだがな……どーにも現実っぽいぞ……」

4: 2017/02/07(火) 22:32:34.244 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「無機質な壁……窓は無いし……このドアには思いっきりトイレって書いてあるな」

ガヴリール「……一応開けたけど中ただのトイレだったわ」

ヴィーネ「部屋にはソファとベッド……あと冷蔵庫と電子レンジ?」

ヴィーネ「冷蔵庫にいくつか食べ物があるわね……これ温めて食べろってこと?」

ヴィーネ「何なのここ……確かみんなでウチに集まって勉強会してたはず……」

ガヴリール「……そういえばあのとき何かラフィエルが変な機械を出して……」

ヴィーネ「ああ、覚えてる覚えてる……そこから先はあんまり記憶がないけど……」

『ガヴちゃーん、ヴィーネさーん』

ガヴリール「!?」

ヴィーネ「この声……ラフィ?」

5: 2017/02/07(火) 22:34:49.312 ID:W8GqScsG0.net
ラフィエル『聞こえますかー、聞こえたら返事をしてくださーい』

ガヴリール「お、おいラフィ! 何だこの部屋は!?」

ラフィエル『あ、返事が聞こえたってことは通信機能はちゃんと機能してますねー』

ヴィーネ「ちょ、ちょっと、これ何のイタズラ?」

ラフィエル『すみません、とりあえず結論を先に言いますと』


ラフィエル『そこはキスをしないと出れない部屋です』


ガヴリール「……は?」

ヴィーネ「……え?」

6: 2017/02/07(火) 22:36:45.510 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「キスをしないと出れない部屋……?」

ヴィーネ「……そういえば聞いたことある……」

ヴィーネ「魔界で作られた発明品で……亜空間に特殊な部屋を創り出す装置があるとか……」

ガヴリール「何でキスしたら出られる仕組みにしたんだよ!!」

ヴィーネ「いや、出る条件は設定を変更できるのよ!」

ヴィーネ「部屋を仕掛けた悪魔に忠誠を誓えば出れるとか、何人か集めて頃し合わせて最後の一人だけ助けるとか」

ガヴリール「ああ……何か急に悪魔の作ったものっぽく見えてきたぞこの部屋」

ヴィーネ「そんで……キスしたら出られるってのはたぶん……」

ガヴリール「……ラフィの仕業か」

ラフィエル『はい♪』

8: 2017/02/07(火) 22:38:25.554 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「……ってか何で魔界の発明品を天使のお前が持ってんだよ!」

ラフィエル『色々あってサターニャさんから譲り受けました』

サターニャ『あんた本当に許さないからね! 覚えてなさいよ!!』

ヴィーネ(何があったんだろう……)

ラフィエル『本当はお二人にちゃんと説明してから遊ぼうと思ったんですが』

ラフィエル『操作をミスってしまいお二人を部屋へ送ることになってしまいまして』

ガヴリール「ちなみにミスらなければどう遊ぶつもりだったんだよ」

ラフィエル『そこにサターニャさんが追加で入ってました』

サターニャ『やっぱりか!! だと思ったわよ!!』

ガヴリール「ある意味助かったわー。サターニャとキスとか氏んでも嫌だわー」

サターニャ『私だって嫌に決まってんでしょ! ばーかばーか!』

10: 2017/02/07(火) 22:40:04.090 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「そっちからその装置操作して私ら引っ張り出せたりしねーの?」

ラフィエル『よくわかりませんけどたぶん無理です』

ガヴリール「いや調べろ! どうなんだよサターニャ!!」

サターニャ『ちょっと待って今取扱説明書読んでる……』

ヴィーネ「取説あるんだこの部屋……」

サターニャ『……ねえ、この字何て読むんだっけ?』

ガヴリール「ダメだこいつ!!」

13: 2017/02/07(火) 22:41:50.295 ID:W8GqScsG0.net
ラフィエル『すみません、少し時間がかかりそうなのでしばらく待っていてください』

ヴィーネ「うん……」

ラフィエル『冷蔵庫に食料があるはずですのでお腹が空いたらそれを食べてくださいね』

ラフィエル『ソファやベッドがあるので疲れを感じたらいつでも休憩できますし』

ガヴリール「とはいえ早くしてくれよー」

ラフィエル『あ、よろしかったらキスを済ませて頂いて自主的に脱出しても……』

ヴィーネ「い、いや、それはちょっと……」///

ガヴリール「んー、最悪そうするしかないかー」

ヴィーネ「!?」

14: 2017/02/07(火) 22:44:34.805 ID:W8GqScsG0.net
ラフィエル『あらあら、それはそれは』

サターニャ『ん? 何? 部屋で何か起きたの?』

ラフィエル『何でもありません♪ ちょっとお邪魔みたいなので通信切りましょうか♪』

ヴィーネ「ちょ、待っ……」

 プツン

ヴィーネ「……ちょ、ちょっとガヴ!? まさか本気でキスして出ようとか考えてないわよね!?」

ガヴリール「だってもし取説に外からの出し方書いてなかったらそれしかないだろ」

ヴィーネ「そりゃ……そうかもしれないけど!!」

ガヴリール「……何? そんなに私とキスすんの嫌?」

ヴィーネ「え、いや、その……ガ、ガヴだって嫌でしょ!?」

ガヴリール「んー、ヴィーネが相手だったらまあいいかなー」

ヴィーネ「……」


ヴィーネ「え……?」

16: 2017/02/07(火) 22:47:01.908 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「あ、変な意味に捉えんなよ」

ガヴリール「ヴィーネとだったら気にしないかなってレベルってだけで」

ガヴリール「別に私レOとかそういうんじゃないからな。たぶん」

ヴィーネ「たぶん!?」

ガヴリール「ま、ヴィーネが嫌なら私も無理やりするつもりはないから安心してくれ」

ヴィーネ「そ、そう……」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……そういや冷蔵庫にコーラとかあったかなーっと」

ヴィーネ「わ、私も!」

ガヴリール「?」

ヴィーネ「私も……ガ、ガヴとだったら……」

ヴィーネ「……キス……して、も……いいかも……」

ガヴリール「……」

17: 2017/02/07(火) 22:48:19.444 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「お前天使とキスしてもいいとか悪魔としてどうよ」

ヴィーネ「いやそんなこと言ったら天使として悪魔とキスしていいって発言もどうなの!?」

ガヴリール「問題ない! 私は駄天使だ!!」

ヴィーネ「そこ開き直っちゃう時点で天使として問題しかない!!」

19: 2017/02/07(火) 22:51:28.787 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「……で、どうする?」

ヴィーネ「ど、どうするって……?」

ガヴリール「よく考えてみれば向こう側にいるのは愉悦至上主義ラフィエル&ぽんこつ悪魔サターニャだ」

ガヴリール「この状況を明らかに楽しんでるラフィがそう簡単に出してくれるとは思えん」

ガヴリール「サターニャが取説を理解できるとは思えん」

ヴィーネ「……確かに」

ガヴリール「遅かれ早かれ『結局キスしないと脱出できない』というオチになるのは目に見えている」

ガヴリール「そしていつラフィが通信を再開してもおかしくない」

ヴィーネ「……通信って映像も見えてるのかしら」

ガヴリール「可能性はゼロじゃない……あいつらに私らのキスシーンをがっつり見られる恐れがある」

ヴィーネ「……!!///」カァァァ

ガヴリール「ヴィーネとキスするのはいいがそれをネタにからかわれるのは微妙に嫌だ」

ガヴリール「つーわけでキスするならあいつらが通信切ってる間にしたい」

20: 2017/02/07(火) 22:53:55.078 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「……い、一応確認しておくけど……」

ヴィーネ「ホントに……私とキスするの嫌じゃない……?」

ガヴリール「そっちこそ無理してんならやめとけよ。してから後悔すんなよ」

ヴィーネ「……じゃ、じゃあ……」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「……キス……する?」

ガヴリール「……するか」

22: 2017/02/07(火) 22:56:36.772 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「ちょっと顎下げろ。もしくは少し屈んで。届かん」

ヴィーネ「え? 何? ガヴから迫る感じ!?」///

ガヴリール「逆に聞くがヴィーネから私にキスできるか?」

ヴィーネ「……ちょっと……難しそう……」

ガヴリール「だと思った」

ヴィーネ「で、でも何か……こっちのタイミングでできないと心の準備が……」

ガヴリール「ちんたらしてっと二人に見られちまうだろーがよ。ほら」

ヴィーネ「や、ちょ……」

ヴィーネ(何か今日のガヴちょっと強引……)

ヴィーネ(……でもそれにちょっぴりときめいちゃってる自分がいる……)ドキドキ

23: 2017/02/07(火) 22:58:21.264 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「……すんぞ」

ヴィーネ「う、うん……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ(あ、目瞑る派なんだ……わ、私も目瞑った方がいいのかな……)ドキドキ

ヴィーネ(で、でも何かもう顔が……やばいやばいガヴの匂いがこんな……)ドキドキドキ

ヴィーネ(……あ――)

 チュ

24: 2017/02/07(火) 23:00:30.559 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「……」

ヴィーネ「……」

サターニャ「……」

ラフィエル「……」

ガヴリール「あ」

ヴィーネ「え?」

サターニャ「な……!!」///

ラフィエル「あらあら♪」

サターニャ「な、ななななな何マジでキスしてんのよあんたら!!?」///

ヴィーネ「えっ!? えっ!? 何で二人の目の前にいるの!?」///

ガヴリール「あ、なるほど。キスしたら出られるってことはキスした瞬間二人の目の前に出るのか」

ヴィーネ「ちょ……気付くの遅すぎない!?」///

ガヴリール「ヴィーネも人の事言えねーだろ」

25: 2017/02/07(火) 23:02:36.728 ID:W8GqScsG0.net
ラフィエル「そろそろこっそり通信を再開しようかと思っていたんですが……」

ラフィエル「まさかお二人がこんなに早く盛り上がってしまうなんて……」

ヴィーネ「盛り上がってない!! 別に盛り上がってたわけじゃない!!」///

サターニャ「ちょっとヴィネット! あんた天使とキスするとかもうちょっと躊躇いというか……悪魔として何か!!」///

サターニャ「何天使といちゃいちゃラブラブしてんのよ!!!」///

ヴィーネ「だからそういうんじゃなくて!!」///

ガヴリール「ちなみに結局外から出せたのかこれ」

ラフィエル「さあ……まだ取扱説明書の5ページ目に差し掛かった所だったもので」

ガヴリール「『トラブルが発生した場合』の項目から読めよ」

ラフィエル「あー、それもそうでしたねー」

ガヴリール「わざとやってんだろお前」

27: 2017/02/07(火) 23:04:07.999 ID:W8GqScsG0.net
ラフィエル「それにしてもお二人とも中々大胆な選択をしましたね」

ガヴリール「どーせ最終的にキスさせられるのは目に見えてたからなぁ」

ラフィエル「でも何も唇にキスしなくても……」

ガヴリール「え?」



ラフィエル「だって条件は『キスする』ですから」

ラフィエル「別にほっぺたとかでも良かったんですよ?」


ガヴリール「……あっ」

ヴィーネ「あっ」

28: 2017/02/07(火) 23:06:52.057 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「何で気付かなかったんだ私ぃぃい!!」///

ガヴリール「いや……でもあの流れは絶対そういう流れだろ!?」

ラフィエル「いえ、私は一言も唇を重ね合わせたキスを、とは言ってませんよ?」

ラフィエル「にも関わらず唇でのキスを考えたということは……」

サターニャ「やっぱあんたらそういう関係か!! 元々そういう関係だったのか!!」///

サターニャ「既に何回かキスしてる関係か!!」///

ラフィエル「そうなんですか!?」

ガヴリール「いや、違……」

ヴィーネ「誤解!! 誤解なの!!」///

サターニャ「既に五回も!?」///

ラフィエル「まだ五回しか!?」

ヴィーネ「あああああああああ!!!!」///

30: 2017/02/07(火) 23:09:03.259 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「……やっと大人しくなって帰ってくれた……」

ガヴリール「疲れたな……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ガヴの唇……柔らかかったな……)///

ガヴリール「……あ、そういえばさ」

ヴィーネ「?」



ガヴリール「私ファーストキスだったんだけどヴィーネは?」

ヴィーネ「ちょ……!?」

31: 2017/02/07(火) 23:10:27.142 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「何でそんな大事なこと早く言わないの!?」

ガヴリール「忘れてた」

ヴィーネ「忘れちゃダメでしょ!! 女の子としてすっごい大事なことじゃない!!」

ガヴリール「そうかな……で、ヴィーネは?」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……おーい?」

ヴィーネ「は……初めて……だった……」

ガヴリール「お前も忘れてんじゃねぇか」

ヴィーネ「忘れてないわよ私は!!」

ガヴリール「え? じゃあ何で……」

32: 2017/02/07(火) 23:11:52.121 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「だから……ガヴだったら……」

ヴィーネ「初めて……あげてもいいかな……って……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「あれ!? もしかして私今とんでもないこと言った!?」///

ガヴリール「おせーよ反応」

34: 2017/02/07(火) 23:13:20.687 ID:W8GqScsG0.net
ヴィーネ「ち、違うの!! 私が言いたかったのは、その、他の誰かに比べたらガヴの方が、あ、あれ?」///

ヴィーネ「だから、あお、ガヴにファーストキス捧げたかったとかそんなんじゃなくてガヴだったら貰ってくれていいというか」///

ヴィーネ「え? あ、えーと!?」///

ガヴリール「あー……もういいから。落ち着け。よしよし」

ヴィーネ「あ、あぅ……」///

ガヴリール「それにしてもアレかー……ヴィーネの初めて奪っちゃったかー」

ヴィーネ「……その言い方やめて……」///

ガヴリール「……責任取るか」

ヴィーネ「……えっ?」

35: 2017/02/07(火) 23:15:10.612 ID:W8GqScsG0.net
ガヴリール「だから責任取るっつってんの」

ヴィーネ「え? え?」

ガヴリール「ただしその代わりお前も私のファーストキスの責任はしっかり取れよ?」

ヴィーネ「え? あの、ごめんちょっと待ってそれってどういう」

ガヴリール「うっさい黙れ」

 チュ

ヴィーネ「んっ!?」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「……ぁ……」///

ガヴリール「……今日泊まってくけどいいよな?」

ヴィーネ「……うん……」///



ラフィエル「その後二人がどうなるか気になって隠しカメラを仕掛けておきましたがすごいことになってますよ!!」

サターニャ「何で当然のように私の家いるのよ! っていうかさらっと盗撮してんじゃないわよ!!」


 おわり

36: 2017/02/07(火) 23:15:59.348 ID:Ne4Q53fha.net
あ^~

引用元: ガヴリール「キスをしないと出れない部屋……?」