曜「そう、黒ひげ危機一髪！」

千歌「パッ、パッ、パパパパパパパパパッ、危機イッパツマン～♪」

曜「剣を刺して、樽に入った黒ひげを飛ばしたら負けの、あのゲームだよ！」

千歌「パッ、パッ、パパパパパパパパパッ、危機イッパツマン～♪」

曜「ちょっと千歌ちゃん、うるさいよ」

千歌「えへへ、ごめんごめん」

千歌「ねえねえ、やろうよ、梨子ちゃーん！」

曜「そうだよ、一緒に遊ぼうよ梨子ちゃーん！」

梨子「……罰ゲームは、もちろん……」

ようちか「あるよ！｣ﾆｯｺﾘ

梨子「じゃあ、やりません｣ﾆｯｺﾘ

曜「笑顔で断られたよ！」

千歌「ニッコリ笑ってバッサリ斬り捨てたのだ……」

梨子「ねえ、罰ゲームはどうしてもしないと、いけないの？」

千歌「とーぜんだよ！ 罰ゲームがあるから、白熱するんだよ！」

梨子「罰ゲームが無くても、楽しめるんじゃない？」

曜「楽しめるよ、でも罰ゲームがあれば倍以上は楽しい！」

梨子「……私は罰ゲームが無い方が倍楽しめるんだけどなあ……」

千歌「じゃあ、なんで罰ゲームが嫌なの梨子ちゃん？」

梨子「……お笑い芸人さんのモノマネは、恥ずかしいもん……｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

曜「前回は可愛いやつだったじゃん、楽天パンダ」

梨子「確かに可愛かったけど……お尻を振るあのダンスは……すごく恥ずかしかったよ……｣ｶｵﾏｯｶ

千歌「うーん、またあのダンス、見返したくなってきたよ」

曜「後でまた見ようか、永久保存してあるからね」

梨子「見返さないでよぉ……」

千歌「まあ、梨子ちゃん勝負弱いからね、罰ゲームが嫌な気持ちもなんとなくわかるよ｣ﾆｼｼ

曜「ことごとく、梨子ちゃん負けてるもんね｣ﾆｼｼｼ

梨子(半分くらい、２人の策略にハマって負けてるんだけどなあ……)

千歌「だから、今回は梨子ちゃんも勝ちやすい条件にしようではないですか！」

曜「お、梨子ちゃんが有利になるように譲歩するんですな？」

千歌「そーそー、いわゆるハンデキャップってやつね」

梨子「ハンデキャップ？」

千歌「私と曜ちゃん、どっちかが黒ひげを飛ばしたら、それで梨子ちゃんの勝ちね」

梨子「千歌ちゃんと曜ちゃんがコンビを組んでゲームをする、ってこと？」

千歌「罰ゲームも、曜ちゃんと２人でやるよ」

曜「条件厳しいなぁ、それ」

千歌「あと、刺す順番も梨子ちゃんが決めてもいいよ！」

梨子「私が、決めていいの？」

曜「随分譲歩したね、千歌ちゃん」

千歌「そしてこれが重要！ 罰ゲームも今までは恥ずかしいやつだったけど……今回はかっこいいやつ、かっこいい罰ゲームだよ！」

梨子「前は可愛い罰ゲームで、今回は……かっこいい罰ゲーム？」

曜「かっこいい、ってどんなやつなの、千歌ちゃん？」

千歌「仮にもし、梨子ちゃんが罰ゲームをしたとしても……私たちがつい『梨子ちゃんかっこいい！』とか言ってしまうようなやつ！」

曜「おお、それは素晴らしい、名案だね！」

千歌「どう、恥ずかしい罰ゲームじゃないなら、やってくれるでしょ？」

梨子「私が気にしてるのは、罰ゲームの種類じゃないんだけどなあ……」

曜「今まで負けっぱなしなんだから、今回は勝てるかもしれないよー？｣

千歌「そろそろ私たちも、流れ的に負けてもおかしくないかもねー」

梨子「……うーん……」

ようちか「……｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子(……負けたらリスクは大きいけど、でも……私だって……千歌ちゃんと曜ちゃんに勝ちたい……！)

梨子(それに今回はかっこいい罰ゲーム、らしいし……恥ずかしいモノマネとかじゃ、ないんなら……)

梨子「……わかった。その勝負、受けて立ちます！」

ようちか「そうこなくっちゃねー！｣ﾆｯｺﾘ

ｶﾞｻｶﾞｻ

曜「さてさて、ここに取り出したるは、この間沼津のビレバンで買ってきた『黒ひげ危機一髪』でございます」

ｺﾞﾄｯ

千歌「お、最新の黒ひげだね」

曜「最新だからね、音声も出るらしくって……」

ｽｯ

曜「剣を刺すと……」

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『い、痛ぇ……痛ぇよ……』

曜「黒ひげの断末魔が聞こえるんだって」

千歌「うっわ、曜ちゃん趣味悪っ！」

梨子「なんだか、夢でうなされちゃいそう……」

曜「そりゃ、もう一本」

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『ひと思いに殺ってくれよ……』

千歌「もういいよデモンストレーションは」

千歌「じゃあ、梨子ちゃん、順番を決めてよ」

梨子「それじゃあ……私が最初に刺して、次に千歌ちゃん、曜ちゃん、ね？」

曜「おっ、梨子ちゃん、先手必勝ってやつですな？」

梨子「後から刺す方がプレッシャーがかかると思うから……」

千歌「梨子ちゃん、剣を渡すよ」

ｽｯ

ようちか「それじゃ、ブスッとお願いしまーす」

梨子「さ、刺します！｣

ｽｯ

梨子「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ようちか「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

梨子「……えいっ！」

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『あっ……』

梨子「あっ？」




ﾋﾟｮｰﾝｯ

ようちかりこ「」

ｺﾛﾝｯ

ようちか「……梨子ちゃんの負けーっ！」

梨子「えっ、え、え、い、いきなり！？｣ｱﾜｱﾜ

千歌「まさかいきなり飛ばしちゃうとはねー｣ﾆﾔﾆﾔ

曜「最初に黒ひげを飛ばしちゃう子、初めて見たよ」ﾆﾔﾆﾔ

千歌「あっさり終わっちゃったけど、飛ばしたら負けのルールだもんね」

曜「そんなわけで、梨子ちゃん罰ゲ……」

梨子「あ、あの……千歌ちゃん、曜ちゃん……？」

ようちか「どうしたのー？」

梨子「もう１回、……やらない？」

千歌「諦めが悪いのだ、梨子ちゃん」

梨子「だって、こんな形で終わりたくないもの……」

曜「でも、いいんじゃない？ さすがにこれじゃ物足りないもん、まだ刺してもないし」

千歌「そんじゃあ、２回戦やろうっか」

曜「順番はどうするの、梨子ちゃん？」

梨子「……曜ちゃん、千歌ちゃん、私の順番で」

千歌「今度は梨子ちゃんが最後なんだね」

曜「さっきとは逆にしたね」

曜「よし、それでは刺すよー……」

ｽｯ

曜「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちかりこ「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『お、おぉぉ……』

曜「……セーフ｣ﾌｰｯ

千歌「やっぱ黒ひげはこのドキドキ感がたまらないよねー」

曜「刺した後まで気が抜けないのがねー」

千歌「次は私だね、いっくよー！」

ｽｯ

千歌「そーりゃっ！」

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『……』

ようりこ「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

黒ひげ『……』

千歌「……この時間差が怖いのだ……』ﾄﾞｷﾄﾞｷ

黒ひげ『……ごふぉっ』

千歌「セーフ！｣

曜「いやー、てっきりアウトかな、なんて思ったよ」

千歌「私もハラハラしたよー｣ﾌｩ

梨子「次は私、かあ……」

ｽｯ

梨子(流石に、これで飛ぶことなんてないよね……)

梨子「いきますっ！」

ﾌﾞｽｯ

梨子「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ようちか「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

黒ひげ『……』

梨子「……お願い、どうか」

黒ひげ『あっ……』

梨子「え、嘘でしょ……！？」




ﾋﾟｮｰﾝｯ

梨子「」

ｺﾛﾝｯ

ようちか「……梨子ちゃんの負けーっ！」

梨子「も、ももう１回！」

ーーーそして

ﾌﾞｽｯ

黒ひげ『あっ……』



ﾋﾟｮｰﾝｯ

梨子「……｣ｶﾞｯｸｼ

ｺﾛﾝｯ

曜「……まさかあれから５回連続で梨子ちゃんが飛ばすとは……」

千歌「神ってる……逆に神ってるよ梨子ちゃん……」

曜「これ、よっちゃんの体質、梨子ちゃんにも伝染っちゃってるんじゃない？」

千歌「それもあるかもね」

梨子「……そんなあ……｣ｸﾞｽｯ

梨子「……もう１回……」

曜「流石に往生際が悪いよ、梨子ちゃん」

千歌「そろそろ潔く負けを認めたら？」

梨子「……そう、します……｣ｼｮﾝﾎﾞﾘ

千歌「ということで……」

ようちか「梨子ちゃんの負けーっ！｣ﾋﾞｼｯ

梨子「……はぁ｣ｶﾞｯｸｼ

千歌「んじゃ、罰ゲームのお時間だよ！｣ﾆﾔﾆﾔ

ｽﾏﾎ ﾀｯﾌﾟﾀｯﾌﾟ

曜「お、これがかっこいい罰ゲームですなあ｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子「……また、ダンスなの？」

ーーーそして



曜「それでは、お願いしまーす」

千歌「ミュージック、スタート！」

ﾎﾟﾁｯﾄﾅｰ

～～♪

千歌「おそれるーな、おののくーな、ほえろー、こえあげろー」

曜「そのちーと、たましいーを、いまーささーげろー」

～～♪






梨子「あ、アイムア パーフェクトウーマン｣ｶｵﾏｯｶ

ようちか「り・こ・ちゃん！ りこちゃん！ り・こ・ちゃん！ りこちゃん！ り・こ・ちゃん！ りこちゃん！｣

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

梨子「あ、アイムア パーフェクトウーマン｣ｶｵﾏｯｶ

千歌「ウィーリブインヌマヅー」

ようちか「り・こ・ちゃん！ りこちゃん！」

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

梨子「あ、アイムア パーフェクトウーマン」ｶｵﾏｯｶ

曜「ウィービリーブインニューゴッド」

ようちか「り・こ・ちゃん！ りこちゃん！」

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

梨子「あ、アイムア パーフェクトウーマン」
ｶｵﾏｯｶ

ﾊﾞｰﾝｯ






ようちか「梨子ちゃん、かっこいー！」

梨子「か、カッキーン！｣ｶｵﾏｯｶｯｶﾉｶｰ

曜「サングラスを用意するの忘れたことを悔やむくらいの、パーフェクトウーマンだったね｣ｹﾗｹﾗ

千歌「まさに完璧、パーフェクトだったよね｣ｹﾗｹﾗ

曜「これさあ……よっちゃんにも踊ってもらったら、更にかっこいいと思わない？」

千歌「そ、その発想がなかったよ！ 目からウロコだよ、ウロコのバスケだよ！」

曜「それ、ウロコのバスケ、って言いたかっただけじゃん｣ｹﾗｹﾗ

梨子「全然パーフェクトでもないよ、かっこいいなんて嘘っぱちじゃない……！｣ｶｵﾏｯｶｯｶ

梨子「こんな武勇伝、作りたくなかったよ……！｣ｶｵﾏｯｶｯｶﾉｶｰ

ﾄﾞｱｶﾞﾗﾗ


千歌「……最後、上手いこと言って去っていったね……」

曜「座布団を送りたいね……」

千歌「さて、善子ちゃんにどうやって歌ってもらおう？」

曜「また食べ物で釣っちゃう？」

千歌「そうしよっか。なんだかんだ、手っ取り早いもんね、食べ物で釣る方がね」



終わり

おまけ



曜「それでは、お願いしまーす」

千歌「ミュージック、スタート！」

ﾎﾟﾁｯﾄﾅｰ

～～♪

千歌「おそれるーな、おののくーな、ほえろー、こえあげろー」

曜「そのちーと、たましいーを、いまーささーげろー」

～～♪






善子「アイムア パーフェクトデーモン｣ｷﾒｯ

ようちか「ヨ・ハ・ネ！ ヨハネ！ ヨ・ハ・ネ！ ヨハネ！ ヨ・ハ・ネ！ ヨハネ！」

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

善子「アイムア パーフェクトデーモン」ｷﾒｯ

曜「ウィーリブインジゴクー」

ようちか「ヨ・ハ・ネ！ ヨハネ！」

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

善子「アイムア パーフェクトデーモン」ｷﾒｯ

千歌「ウィービリーブインニューサタン」

ようちか「ヨ・ハ・ネ！ ヨハネ！」

ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ ﾋﾞｭﾝﾋﾞｭﾝ

善子「アイムア パーフェクトデーモン｣ｷﾒｯ

ﾊﾞｰﾝｯ





ようちか「よっちゃん、かっこいー！」

善子「カッキーン！｣ｷﾒｯｷﾒ

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

曜「見事なパーフェクトデーモンだったよ、よっちゃん｣ﾌﾌﾌ

善子「当たり前よ、私を誰だと思っているの、堕天使ヨハネよ。それより……ちゃんと『契約の対価』はくれるんでしょうね？」

千歌「まあ慌てない慌てない、ちょっと待って……」

ｶﾞｻｶﾞｻ

千歌「はい、契約の代価、チョコレートだよ」

曜「ちゃんとロッテのチョコレートだよ！」

善子「ふふふ、やっぱりチョコレートはロッテよね｣ｸｸｸ

ﾊﾟﾘｯ

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

善子「ふふっ、ロッテのミルクチョコって、どうしてこんなに美味しいのかしら｣ﾆｺﾆｺ

曜「……チョコを笑顔で頬張るよっちゃんってさ、堕天使というより……」

千歌「まさしく、天使そのものだよね」

ようちか「守りたい、よっちゃんの笑顔……｣ﾆﾔﾆﾔ

善子「……な、何ニヤニヤ見てるのよ！」



終わり

実は『パーフェクトデーモン』のくだりが1番したかったのであります

【ラブライブ】曜「あのね、梨子ちゃん！」

↑ちなみに前回のやつです

乙 癒される