71: 2018/06/22(金) 08:42:42.66 ID:9TtZKV+Fo

72: 2018/06/22(金) 08:48:56.43 ID:9TtZKV+Fo
武内P「――これは、専務のこの一言から始まった企画です」

武内P「皆さんは、覚えていらっしゃるでしょうか?」

武内P「……前川さんの起こした、ストライキ事件を」

武内P「あの事件がきっかけで、私達は、信頼関係を築くことが出来ました」

武内P「……ですが、事件は、事件」

武内P「それを知った専務は、彼女達に罰を与えると、そう、言われたのです」


武内P「ブンブンの刑」


武内P「……あまりにも過酷なこの刑は、彼女達に何をもたらすのでしょうか」

武内P「それでは、ご覧頂きましょう」

武内P「VTR……笑顔です」

73: 2018/06/22(金) 08:57:13.91 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・
一日目 羽田空港

みく「おはようございまーす」

莉嘉「おっはよー☆ Pくんっ!」

杏「ふわあぁ……はよざいまーす」


武内P「前川さん、城ヶ崎さん、双葉さん」

武内P「おはよう、ございます」


みく「えっ? もうカメラ回してるの?」

みく「ゴホンッ! みく達は、これから世界に羽ばたくにゃ!」

莉嘉「えっ、うそうそ! イエーイっ!☆」

莉嘉「海外旅行へ行く前の、城ヶ崎莉嘉だよー!☆」

杏「えー、この段階で撮るって、仕事量多すぎだよー……まあ、やるけどさ」

杏「杏達は、初の海外ロケに望みまーす♪」


みく・莉嘉・杏「いえーいっ♪」ニコッ


武内P「……良い、笑顔です」

74: 2018/06/22(金) 09:08:25.98 ID:9TtZKV+Fo
武内P「……ありがとうございます」

武内P「良い画が撮れました」


みく「10日間もスケジュールが切られてるんだもん!」

みく「このお仕事、バッチリやりたいからね!」

莉嘉「それに、マレーシアで海外ロケだしっ!」

莉嘉「へへー! オリエンタルな魅力に目覚めちゃうカモ!」

杏「杏は、暑い所は嫌だし、そもそも海外とか面倒だけどね」

杏「……でもま、食べ物は美味しいらしいから我慢するよ」


武内P「はい、頑張りましょう」


 ――そう……彼女達には、今回の事は罰だと知らされていません。
 マレーシアに行く目的は、あくまでも海外ロケ。
 仕事で行くのだと、そう、思っていらっしゃいます。


みく「だけど……にゅふふ! みく、かなり楽しみなのー!」

莉嘉「アタシもアタシも! 海外で、開放的な空気で……ヤーン、困っちゃうなー☆」

杏「仕事の時以外は、ホテルの部屋で寝てても良いよね」


武内P「……」


 とても、浮かれた様子でいらっしゃいますね。

 これは、仕事なのではなく、ストライキとは言えカフェを占拠した罰だと言うのに……。

75: 2018/06/22(金) 09:18:28.31 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・
日本→マレーシア 飛行機内

武内P「……」


みく「機内食でーす。ビーフ、オア、チキンって聞かれたから、みくはチキンにゃ!」

莉嘉「アタシはビーフにしたよ! 味はねぇ……うんっ! 結構美味しいかも☆」

杏「杏はお肉だけでいいからさ、他はプロデューサー食べて良いよ」

  ・  ・  ・

武内P「……」


杏「……すぅ……すぅ」

莉嘉「……思いっきり寝てまーす」ボソボソ

みく「……」ジッ

莉嘉「……映画に夢中でーす」

  ・  ・  ・
マレーシア クアラルンプール国際空港

武内P「……」


みく・莉嘉・杏「……せーのっ」


みく・莉嘉・杏「マレーシアーっ!」

76: 2018/06/22(金) 09:27:52.82 ID:9TtZKV+Fo
みく「羽田から飛行機で、なんと八時間!」

莉嘉「でもでも、チョー良いシートだったよね!」

杏「そうだねぇ、寝心地は悪くなかったかなー」

みく「杏チャンは、機内でずっと寝てたもんね」

杏「本当はまだまだ寝てたいんだけどねぇ」

莉嘉「えー!? 色々見て回ろうよー!」

杏「……んもー、しょうがないなぁ」

みく「ねえPチャン! その時間はあるよね?」


武内P「はい。今日の予定は移動のみです」

武内P「本格的なものは、明日からになりますね」


 本格的。
 彼女達は、それが何を意味するものか、正しく理解してはいない。


莉嘉「じゃあじゃあ、買い物行こ! お姉ちゃんに、お土産買うんだ!」

みく「帰りに買った方が良いけど……でも、選ぶ位は、しておいた方がいいかも!」

杏「お土産、かぁ……しょうがないから、智絵里ちゃんとかな子ちゃん、きらりには買ってこうかな」


武内P「……」

77: 2018/06/22(金) 09:38:52.07 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・
クアラルンプール パンパシフィック・ホテル 夕食時

武内P「……」


みく「晩ごはんは、ホテルでのビュッフェにゃ!」

みく「味は……う~んっ! かなり美味しいよ!」

杏「ロブスター」

杏「……むぐむぐ……大きいから、満足感が違うよねぇ」


武内P「……」


莉嘉「ジャジャーン☆ マレーシアっぽい服の莉嘉だよっ!☆」

莉嘉「こういうの着ると、海外に来たってカンジがしてサイコーでーす☆」


みく「うぅ……みくも、買えば良かったかも」

莉嘉「エヘヘ……お小遣い、大分使っちゃいましたー」タハー

杏「ゴハンの時に着て良かったの? 汚さないよう、気をつけなよねー」

莉嘉「あっ! そうだった! アハハ、すぐ着たくなっちゃって☆」


 マレーシアを満喫する、前川さん、城ヶ崎さん、双葉さん。
 この時は、本当に、いい笑顔をしてらっしゃいました。

78: 2018/06/22(金) 09:43:43.29 ID:9TtZKV+Fo
誤)ホテル・イスタナ

正)パンパシフィック・ホテル



79: 2018/06/22(金) 09:51:56.74 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・
パンパシフィック・ホテル 室内

武内P「……」


みく「ここが、みく達が泊まる部屋にゃ!」

みく「部屋もすっごく豪華で……見て! この、窓からの眺め!」

莉嘉「チョー綺麗でしょ! それにぃ、オ・ト・ナ☆ な雰囲気☆」

莉嘉「開放的になってぇ……チラッ! えへへ、P君見た? 見たー?」


武内P「? すみません、夜景を撮っていたので……」


莉嘉「えーっ?」

みく「もーっ、莉嘉チャン! 本当に映ったら、映像が使えなくなっちゃうにゃ!」

莉嘉「あっ、そうか! えっとじゃあね……そうだ! 入浴シーンとかは!?」

みく「もっと駄目に決まってるでしょー!? 杏チャンも、何か言って!」


杏「…………ん?……何?」


みく・莉嘉「また寝てたし!」


武内P「――シンガポールで一泊」

83: 2018/06/22(金) 10:15:45.93 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・
二日目 夜 ホテル・イスタナ 926号室

武内P「……」


みく「今日は、ほとんど移動だけだったのに疲れたにゃ」

莉嘉「うんうん、バスの中にずっと居たカンジ」

杏「そう? 気づいたら着いてたかな~」

みく「杏チャンはずっと寝てたからでしょー!」

莉嘉「出国審査の時も、ずっとねぼけてたし!」

杏「覚えてないなぁ。なにせ、ねぼけてたからね」グッ!

みく・莉嘉「もー!」


武内P「――それでは、今回の企画を発表させて頂きます」


みく・莉嘉・杏「……」

みく・莉嘉・杏「へっ?」


 ネタばらし。

85: 2018/06/22(金) 10:22:17.40 ID:9TtZKV+Fo
みく「今回の企画って……何の企画?」


武内P「今回の、海外ロケの本当の目的、ですね」


莉嘉「本当の目的? えっ、何それ? ねえ、P君?」

杏「……ねえ、なんだか嫌な予感がするんだけど」


武内P「皆さんは、以前カフェを占拠するというストライキ……」

武内P「……いえ、最早テロと呼ばれるものを起こされましたね」


みく・莉嘉・杏「……はい」


武内P「それを知った専務が、貴女達にきちんと罰を与えろと、そう、おっしゃいまして」


みく・莉嘉・杏「罰……?」


武内P「皆さん……動物は、お好きですね?」


みく「ま、待ってPチャン? どういう事!?」

莉嘉「怖い怖い! 何々!?」

杏「……い、嫌だ! 杏は罰とか受けたくない!」

86: 2018/06/22(金) 10:27:47.44 ID:9TtZKV+Fo
武内P「皆さん……動物は、お好きですね?」


みく「そりゃ、好きだけど……」

莉嘉「ねえ、P君!? 罰って、動物と戦うとかなの!?」

杏「待って、この流れ……」


 双葉さんは、気付かれたようですね。
 さすが、北海道出身の、アイドルです。


武内P「いえ、戦いはしません」

武内P「ある場所に行って、観察して貰うだけです」


みく「な、なーんだ! 罰って言うから、ビックリしちゃったにゃ!」

莉嘉「観察だけなら、余裕じゃない? だって、見るだけだもんね!」

杏「嫌だ嫌だ! 行かない行かない、杏は絶対行かない!」

みく・莉嘉「……?」


武内P「その、ある場所とは――」


武内P「――ブンブン・ミシロ、です」


 ブンブン・ミシロ。


みく・莉嘉「……ブンブン……ミシロ?」

杏「ほら、やっぱり! やっぱり、ブンブンじゃんか!」

87: 2018/06/22(金) 10:38:10.08 ID:9TtZKV+Fo
みく「でも……ブンブンって、言葉の響きは可愛いにゃ」

莉嘉「あっ、それはアタシも思った! ねえ、どんな所なの?」

杏「……地獄だよ」

みく・莉嘉「へっ? 地獄?」


武内P「ブンブンというのは、動物を見るための小さな小屋」

武内P「――動物観察小屋の事です」

武内P「なので、そこへ向かうため、明日はボートに乗っていただきます」


みく「えっ、ボート!? ボートに乗らなきゃ、行けない場所なの!?」

莉嘉「ねえ、けっこうゆったりめの観光っていう話は!?」


 嘘です。


武内P「皆さんが動物好きと聞いて……はい、安心しました」

武内P「その河には……はい、ワニが出るようなので」


 ワニが出る。


みく・莉嘉「嘘でしょ!?」

88: 2018/06/22(金) 10:47:15.36 ID:9TtZKV+Fo
みく「ワニが出るって……そういうのは、幸子チャンの担当でしょー!?」

莉嘉「出るって言っても、ちっちゃいやつだよね!? ねっ!?」


武内P「笑顔です」


みく・莉嘉「あっはははははは!」

みく「――嫌にゃあああ! ずぅえったい、嫌にゃあああ!」

莉嘉「帰ろう!? 今なら、まだ引き返せるじゃん!」


武内P「……」

武内P「――それでは、明日以降の、本当のルートの説明をさせていただきます」

武内P「明日は、バスでクアラテンベリンまで移動、三時間程で着くでしょう」


みく・莉嘉「またバス?」

みく「――じゃなくてぇ! 淡々とルート説明しないでよPチャン!?」

莉嘉「杏ちゃん! 杏ちゃんからも、何か言ってよ! 杏ちゃ……」

みく・莉嘉「……杏ちゃん?」


 双葉杏、脱走。

  ・  ・  ・

武内P「――では、説明に戻ります」


みく・莉嘉・杏「……」


 捕獲。

89: 2018/06/22(金) 10:57:13.62 ID:9TtZKV+Fo
武内P「クアラテンベリンから、ボートでクアラタハンへ」

武内P「クアラタハンで、一泊します」

武内P「此処は既に、ジャングルになります」


みく「……ジャングルって言った」

莉嘉「……うん、言ったよね、ゼッタイ」

杏「……タマン・ヌガラ国立公園、だよ」


武内P「ナイトサファリには、参加されますか?」

武内P「私としては、体力温存のため、ゆっくりされた方が良いと思いますが」


みく「でもまぁ……せっかくだから」

莉嘉「それに危険は無いんだよね?」


武内P「はい。ヘビが出ますが、私がお守りします」


みく・莉嘉「不参加! 絶対、不参加で!」


武内P「……わかりました」

武内P「では、私だけ参加し、映像を撮ってこようと思います」


 はい、せっかくなので。

90: 2018/06/22(金) 11:09:46.59 ID:9TtZKV+Fo
武内P「翌朝、徒歩とボートで移動し、ブンブン・ミシロを目指します」


みく「最初に聞いた時に気になったんだけど……」

莉嘉「……ブンブンは良いけど……いや、良くはないケド」

みく・莉嘉「ブンブン・ミシロって、何?」


武内P「ブンブン・ミシロは、専務の改革以前に作られたブンブンです」

武内P「いざと言う時のために、346プロで作ったのですが……」

武内P「……はい、アイドルの方の使用は、今回が初になりますね」


みく「改革されて当り前にゃ! 無駄なお金も良い所だよ!」

莉嘉「アタシ達、そんな所に行くの!? 大丈夫なの!?」


武内P「今回のロケに際し、事前にチェックはされています」

武内P「設備もあまり傷んでいなかったようなので、大丈夫だと思われます」

武内P「トラが出たようですが、もしもの時は、私が囮になります」


 トラが出るらしい。


みく・莉嘉「……」

みく・莉嘉「いやああああああ!」

杏「……帰りたい……帰りたい」

91: 2018/06/22(金) 11:20:10.87 ID:9TtZKV+Fo
  ・  ・  ・

専務「――後枠を担当する、専務の美城だ」

専務「この映像を見ていると言うことは、君たちは問題を起こしたのだろう」

専務「それも……かなり、大きな問題を」


専務「大きな問題を起こした時、それには罰が与えられなければならない」

専務「私は、それこそが人と人たらしめるものだと思う」

専務「己を律する事の出来なかった者ならば、尚更だ」


専務「彼女達に待ち受ける運命を見なさい」

専務「君たちにも、無関係とは言えないのだから」



つづく

引用元: 武内P「今日はぁ、ハピハピするにぃ☆」