1: 2016/12/22(木) 20:00:00.84 ID:sbUb0R1G0
※最初だけ台本形式で別視点


陽乃「あ、めぐりー。こっちこっちー」

めぐり「遅くなってすみません」

陽乃「いやー、それにしてもめぐりに会うのも久しぶりだねー」

めぐり「ちょ、はるさん?」

陽乃「実はわたし、めぐりのおでこを触ったり、突いたりするのが読書や旅行に次ぐ隠れた趣味なんだ♪」

めぐり「はるさんったら~」

陽乃「それでわたしに相談って?」

めぐり「れ、恋愛相談なんですけど......」

陽乃「恋愛かー、あまりわたしじゃお役に立てないかもねー」
いずれ彼ら彼女らは真実を知る。
2: 2016/12/22(木) 20:01:07.29 ID:sbUb0R1G0
めぐり「またまた~、はるさんなら経験豊富だと思うんですけど?」

陽乃「それは褒めてる事にならないぞー」

めぐり「あぅ......」

陽乃「めぐりんとこの大学の友達に相談はしないの?」

めぐり「頼りにならないわけじゃないですけど、はるさんに相談した方がいいかなーって」

陽乃「ん~、そう言われると聞かないわけにはいかないね♪」

めぐり「ありがとうございますー」

陽乃「それで? 相手はどんな人?」


めぐり「比企谷くんです」

陽乃「へ?」



3: 2016/12/22(木) 20:02:10.42 ID:sbUb0R1G0
めぐり「あれ? 知ってますよね?」

陽乃「そりゃ知ってるよ。比企谷くんを?」

めぐり「はい......私、比企谷くんの事が好きです」

陽乃「......」

めぐり「最初は奉仕部の雪ノ下さん、あ、妹さんの方ですよ? と由比ヶ浜さんがいるから諦めてたんです」

陽乃「そうなんだ......」

めぐり「でも、あの三人が卒業してもどちらかとくっつく様子がないみたいで......」

陽乃「......そうだね」

めぐり「これはチャンスかな~って思ってるんですけど、やっぱりズルいですか?」

陽乃「......そんな事ないよ」

めぐり「はるさん?」

陽乃「わたしも似たような事を考えてるから」

4: 2016/12/22(木) 20:03:05.50 ID:sbUb0R1G0
めぐり「え?」

陽乃「比企谷くんの事いいなって思ってるからね。わたしも♪」

めぐり「えぇ! という事は私とはるさんで......私、勝ち目ないですよ!」

陽乃「ん?」

めぐり「だって......はるさんってすごく美人でスタイルも良くて頭もいいし明るくて色んな人から慕われて......それから......」

陽乃「美人だから、とかじゃ比企谷くんはダメだよ」

めぐり「そうなんですか?」

陽乃「ほら、比企谷くんって捻くれてるじゃない?」

めぐり「そうですね」

陽乃「わたしやめぐりが告白したところで何か裏があるんじゃないか?って思うのが比企谷くんなんだよ」

5: 2016/12/22(木) 20:04:05.49 ID:sbUb0R1G0
めぐり「そんなつもりじゃないのに......」

陽乃「うん、それは信用できるよ。わざわざこうやって相談しに来るくらいだしめぐりが比企谷くんの事が好きっていうその気持ちに裏がないのは」

めぐり「はるさんは?」

陽乃「わたしの場合は自業自得っていうか三人を......特に雪乃ちゃんをたきつける為に結構色んな事したからねー」

めぐり「でも特にないまま卒業してしまったと」

陽乃「それに雪乃ちゃんはわたしがやってた家の用事や手伝いをするようになったんだ」

めぐり「私にはわかりませんが大変そうな......」

陽乃「今まではわたしの代役だったんだけどねー。しかもガハマちゃんも手伝うようになってさ」

めぐり「由比ヶ浜さんが?」

陽乃「わたしもあの子に関しては不安だったけどなんか支えあってうまく行ってるんだよ。お母さんにも気に入られてるし」

めぐり「あの二人ってすごく仲よさそうですからね~」

6: 2016/12/22(木) 20:05:01.59 ID:sbUb0R1G0
陽乃「うん、今まで自分で何かする事のなかった雪乃ちゃんが成長したって思うよ」

めぐり「姉として嬉しい感じですか?」

陽乃「嬉しくはあるけどわたしよりちゃんと出来てるみたいで『姉よりすぐれた妹なぞ存在しねぇ!』って感じ?」

めぐり「ぷっ、なんですか? それ」

陽乃「だから二人とも合コンとかも参加する暇もなく大学と家の用事で忙しいみたい。それはそれで楽しんでるみたいなんだけどねー」

めぐり「そうなんですか」

陽乃「そんな中、結構自由な身となったわたしも比企谷くんを攻略しようと思ってる矢先にめぐりが出てくるなんてねー、このこのっ、このっ!」

めぐり「たっ、はるさ~ん」

陽乃「......ということで二人で迫っちゃおうか?」

めぐり「ふ、二人で迫るって......えぇ!」

陽乃「美人なお姉さん達のハーレムだね!」

7: 2016/12/22(木) 20:06:08.56 ID:sbUb0R1G0
めぐり「わ、私は、はるさんほど美人じゃないですし」

陽乃「確かにわたしに比べると......って言うとイヤな女だね。でもめぐりだって美人だよ?」

めぐり「はるさんに言われても嬉しいような嬉しくないような......」

陽乃「素直に受け取ってよー。むしろ比企谷くんは少しくらい強引に迫った方が効果的かもしれないし」

めぐり「それこそはるさんの方がスタイルもいいですし......」

陽乃「めぐりだって見た目とは裏腹に結構大きいじゃない? わたしの目は誤魔化せないぞー」

めぐり「そ、そんなの知りませんよ~」

陽乃「で、どうする?」

めぐり「はるさんがそう言うなら私も覚悟を決めますけど......」

陽乃「決まりだね。 という事で二人で頑張って比企谷くんを攻略しよー。おー」

めぐり「ちょ、ちょっとはるさんっ」

陽乃「えー、めぐりもやってた事じゃない? これ、結構好きだよ?」

8: 2016/12/22(木) 20:07:00.40 ID:sbUb0R1G0
めぐり「ここ喫茶店の中ですよ~」

陽乃「むしろこれ位の気概は必要だよ? という事でもう一度♪」

めぐり「は、はい」

陽乃「二人で頑張って比企谷くんを攻略しよー」

陽乃「おー」
めぐり「おー」

陽乃「......やっぱりちょっと恥ずかしいね」

めぐり「だから言ったじゃないですか~」

陽乃「とにかくまずは比企谷くんだね。わたしも彼が高校卒業してから会ってないから」

めぐり「なにかアテはあるんですか?」

陽乃「んー。比企谷くんに妹がいてさ、その子に会ってみよっか」

9: 2016/12/22(木) 20:08:01.33 ID:sbUb0R1G0
ーーーーー
ーーーー

陽乃「ひゃっはろー! 小町ちゃん。久しぶりー」

小町「陽乃さん! お久しぶりですー」

陽乃「どう? 高校生活は?」

小町「楽しくやってますよ。まぁ、お兄ちゃん達がいなくなって寂しいんだか、せいせいするんだか微妙ですけど」

陽乃「比企谷くんの学年の面子は色々と濃いからねー」

小町「ええ、なので今は平和な高校生活ですね。それで......えっと?」

陽乃「そうだね、小町ちゃんとは初対面かな? この子は城廻めぐり。比企谷くん達の一つ上の先輩の当たる子だよ」

めぐり「初めまして。私、城廻めぐりといいます」

小町「初めましてー。比企谷小町ですー」

陽乃「この子はね、比企谷くんの事が好きでさ」

小町「おおっ」

10: 2016/12/22(木) 20:09:01.08 ID:sbUb0R1G0
めぐり「なっ、ははは、はるさんっ! いきなり言わなくても......」

陽乃「比企谷くんが雪乃ちゃんともガハマちゃんともくっつかなかったからそこを狙ってるわけ」

めぐり「うぅ~......」

陽乃「ついでにわたしもそんな感じ♪」

小町「つまりどちらかがいずれ、小町のお義姉ちゃんになるって事ですか!?」

陽乃「もしくは両方かもねー」

小町「いやー、それは小町的にもポイント高いですよ!」

陽乃「うん! 高いよー。それで最近の比企谷くんの事を小町ちゃんに聞きに来たんだけどどんな感じかな?」

小町「がっかりです! 大学生になって一人暮らしを始めてからボッチを満喫してるみたいで!」

陽乃「まぁまぁ、わたしもちょっかいは出したし比企谷くんも大変だったんだよ」

小町「でも......」

11: 2016/12/22(木) 20:10:01.20 ID:sbUb0R1G0
陽乃「それに、そんなところに付け入るんだからわたし達もセコいかもしれないし」

小町「いえいえー、そんな事ありませんよ! がばーっ無理矢理にでも迫ってやってください!」

めぐり「無理矢理って」

陽乃「ほらめぐり、小町ちゃんだってこう言ってるし?」

小町「いいんです! めぐりさん! お兄ちゃんとはどんな事があったかは知りませんが宜しくお願いします!」

めぐり「い、いいの......かな?」

小町「はい! めぐりさんを見ればわかります! お兄ちゃんに相応しそうな感じがするので!」

めぐり「うん、ありがとう。そう言ってくれると嬉しいな」

陽乃「ちょっとー、小町ちゃーん。わたしは相応しくないのかなー?」

小町「あん♪ そんな事ありませんよー」

12: 2016/12/22(木) 20:11:11.99 ID:sbUb0R1G0
ーーーーー
ーーーー

小町「ご飯まで奢ってくれてありがとうございましたー」

陽乃「どういたしましてー」

めぐり「本当にありがとうね? 比企谷くんの事、色々教えてもらって」

小町「いえいえー、雪乃さん、結衣さんとは疎遠になってから強力な嫁候補が出来て嬉しい限りです!」

めぐり「うん、私も頑張るよ!」

小町「その意気です! めぐりさん! それに陽乃さん! 期待してます!」

陽乃「それじゃあ、また会おうねー」

小町「はい! ではー」

めぐり「またね~、小町ちゃん」

陽乃「ばいばいー」



めぐり「ところではるさん、ポイントって何ですか?」

陽乃「なんだろうね?」


ーーーーー
ーーーー
ーーー

13: 2016/12/22(木) 20:12:14.21 ID:sbUb0R1G0
 さて、そろそろ帰るか。
 大学に入学し、一人暮らしを始めて約数ヶ月、殆ど誰とつるむ事もなく過ごしているがこれはこれで気楽だな。
 奉仕部に入ってからの約二年間が色々あり過ぎたというのもあるが。結局、俺と雪ノ下と由比ヶ浜とで別々の大学に入ってからは疎遠になったな。そう言えば、大学に通うのと雪ノ下家の事で二人とも頑張ってるらしいとか。
 ......まぁ、今の俺には関係ないか。

「比企谷くん久しぶり~」
「ひゃっはろー! 比企谷くん!」

 帰宅途中、めぐりさんと陽乃さんに会った。確かに久しぶりだな。何気にめぐりさんの私服姿を見るのは初めてか。相変わらずふわふわ、というかほわほわしたオーラをかもし出している。その大人しい服装も相まって見てるだけで和んでくる。
 そして陽乃さん。この人とはあまり会いたくないなー。きっと奉仕部や雪ノ下と由比ヶ浜の事で言われるに違いない。というわけで......

「久しぶりっすね。それじゃあ......」
「ちょっ、ちょっと待ってよ~」
「そうだよー。せっかく久しぶりに会ったんだからさー」

 流石にめぐりさんも陽乃さんも俺をそのまま行かせようとしてくれない。このまま強引に逃げてもろくな事にはならないだろうな。

「少なくとも雪ノ下さんは俺なんかに用はないでしょう? 結局、雪ノ下と由比ヶ浜とで何もなかったし」
「ん? 雪ノ下? ひょっとして比企谷くん! わたしの事好きだったの!?」
「ええっ!?」

14: 2016/12/22(木) 20:13:03.43 ID:sbUb0R1G0
 なんというあからさまなボケだろうか。めぐりさんも大げさに驚いている。確かに姉は雪ノ下さん、妹は雪ノ下。さん付けするかしないかで区別して呼んでる。女性を名前で呼ぶ事は殆どない俺が悪いのだろうか?

「やだなー、言ってくれればいいのに♪ わたしも比企谷くん事は気になってるんだよねー」

 気になってるのという本当だろう。陽乃さんにとって俺はイジりがいがある面白い玩具のようものだ。  しかし、雪ノ下と由比ヶ浜と疎遠になった今では俺に対しての感心はなくなっているはずだ。ついでに言えば陽乃さんにとって俺は間違いなく恋愛対象ではないだろう。

「ちなみにわたし、一人暮らしてるし雪乃ちゃんとは殆ど会わないからね?」
「そうなんすか?」

 二年の冬頃に陽乃さんが雪ノ下の住んでるマンションに住み、色々あって仲良くなったようだが高校卒業時、雪ノ下はあのマンションを引き払い実家に戻ったと聞いた。
 なので一緒に住んでた陽乃さんもそのまま戻るものだと思っていたが。

「うん、雪乃ちゃん達が家の用事をやってくれてるのは知ってるよね? それで用済みになったわたしは雪ノ下家から追放されたの。およよ......」

 およよて。陽乃さんもあの家の為に尽くしてきたのだ。よほどの事が無い限り追い出すとは考えにくい。

「とまぁ、用済みも追放も冗談だけどわたしがする事がなくなって一人で気楽に過ごしてる感じだね」
「そんな中、城廻先輩と二人で一緒なところに俺に会ってしまったんですね。それじゃあ、お邪魔なんで......」
「ちょっと~、そんな事ないってば~」

15: 2016/12/22(木) 20:14:01.04 ID:sbUb0R1G0
 改めて去ろうとするとめぐりさんが俺の腕を掴んできた。あまり近づかれると......

「せっかくこうして久しぶりに会ったんだし三人でお話しない?」
「いいねー、総武高を共に過ごした同士って事で!」

 わざわざ突っ込むまでもなく、俺と陽乃さんは三歳離れているので一緒に高校生活を送った事はない。
 だが、この人は文化祭といい、進路相談の時といい、何かと総武高校内で会う事も多いので共に過ごした同士と言われてもあまり違和感がないと思う。

「ダメかな? 比企谷くん?」
「奉仕部や雪乃ちゃんとガハマちゃんの事は話題にしないから。それならいいよね?」

 あまり信用できないかもしれない。めぐりさんはともかく陽乃さんにとって奉仕部、特に雪ノ下に関して気になる所はあると思う。
 だが、このままでは埒が明かないので受け入れる事にした。

16: 2016/12/22(木) 20:15:00.61 ID:sbUb0R1G0
ーーーーー
ーーーー

「あっははははははっ!」
「もうっ! はるさんったら~」

 二人とも俺の住んでるところに来てそのまま出来上がってしまった。陽乃さんはともかくめぐりさんが酒に強いってのは意外に感じた。
 幸い、俺の一人暮らししてるアパートの近辺は閑散としてる所だから少しくらい騒いでも近所迷惑にはならないとは思うがどうしてこうなった......

「って比企谷くん!」
「はぁ......」
「『はぁ......』じゃない! 比企谷くんも一緒に飲もうぜぇ」

 このやりとりも何度目だろうか。確かに俺はまだ未成年でこのまま飲酒したら罰則を受ける可能性が高い。
 陽乃さんはこのテンションなので俺を罠に嵌めるというよりは純粋に三人で一緒に飲みたいだけかもしれないがそういった疑いを抜きにしても飲酒する気にはなれない。

「まぁまぁ、はるさん。お酒は無理強いするものじゃないですよ~」

 めぐりさんは宥めようとする。この人はわかってくれそうだ。流石に生徒会長を経験したからか、決まり事に関しては厳しいのかもしれない。

「来年になったら嫌でも飲む機会はあると思うんで」
「という事で試しにちょっとだけ飲んでみない?」

17: 2016/12/22(木) 20:16:18.59 ID:sbUb0R1G0
 結局は勧めてくるめぐりさん。わかってねぇ......このまま俺も酒を飲まされ、三人で泥酔してしまうのだろうか?

「あまりノリが悪いとモテないぞー」
「どうせモテませんよ」
「ん~、そんな事ないと思うけどな~」

 陽乃さんは男女問わず人気があるので当然モテるだろう。もっともその芯の部分がわかる人物は数少ないと思うが。それに比べ、俺はボッチでモテるわけがない。
 だがその事をめぐりさんは否定する。

「ね、比企谷くん。どうして雪ノ下さんと由比ヶ浜さんとなにもなかったの?」
「その事には話題にしないって......」
「はるさんね♪ そう言ったのは」
「わたしから雪乃ちゃんとガハマちゃんの事は聞かないもんねー♪」

 つい絶句してしまう。信用できるかはともかく陽乃さんは俺と雪ノ下と由比ヶ浜の事を聞かないと言ったがめぐりさんから聞いてくるとは思わなかった。
 少なくとも陽乃さんに比べるとめぐりさんは奉仕部の関係に執着してるとは考えにくいからだ。

「ちょっとズルいのはごめんね?」

18: 2016/12/22(木) 20:17:07.82 ID:sbUb0R1G0
 ズルいとは思わないがそう見えないのはきっとめぐりんぱわー☆のおかげだな。むしろ、お酒のテンションで三割増しくらいではないだろうか。

「仮に俺が雪ノ下か由比ヶ浜となにかあったとして関係あるんですか?」
「雪ノ下!? 呼んだ?」
「はるさんは呼んでないです!」
「ああん♪」

 怒りを覚えたわけではないが口調が強くなってしまった。
 しかしその場を和ます為かどうかは定かではないが雪ノ下と呼んだ事に対して身体を乗り出して陽乃さんがボケるがめぐりさんが押し返す。
 この二人との間柄では間違いなく陽乃さんの方が立場が上なので珍しい光景に感じた。

「それじゃあ、これだけは答えて欲しいな。あの二人には未練はないんだよね?」
「未練も何も......卒業してから会うことも話す事もないんで」

 未練が何もないと言えば嘘になる。雪ノ下と由比ヶ浜。奉仕部で三人で過ごした日々は決して忘れらない。
 だが、あの二人は今は雪ノ下家で頑張ってるらしいのだ。俺は見守るしかできないだろう。

「ひ、ひきぎゃやくんっ!」

 一旦、安堵した表情を見せためぐりさんだが意を決した表情で俺の名前を呼ぶ。
 しかも噛んだ。かわいい。過去にヒキタニだのヒキオだのロクな呼ばれた方をされなかったが噛んだとは言え、こちらの方が断然いいかもしれない。


「す、好きです......付き合ってください!」



19: 2016/12/22(木) 20:18:05.27 ID:sbUb0R1G0
 これまた絶句してしまう。めぐりさんに告白されてしまった。つい困惑して陽乃さんの方を見ると......

「とりあえず今の告白で何か裏があるとかと思うなら怒るからね?」

 陽乃さんが怒るとどんな感じだろうか。キレたり怒鳴ったりするのだろうか?そんな姿は想像できないがどちらにしろ恐ろしい事になるのは間違いない。
 そして陽乃さんは俺に身体と目線を向け、こう言った。


「わたしも比企谷くんの事が好きです」


 今度は陽乃さんにも告白されました。うわーまじかー。既に成人、というかいい大人であるこの二人がドッキリだとか誰かの罰ゲームで俺に告白してからかったりするとは到底思えない。
 特に陽乃さん相手に罰ゲームさせる人なんているのかよ! そんな人がいたら見てみてぇ!
 それに以前に酔っている勢いで告白されてもそれが本気だとはとても信じ難い。その事を二人に聞いてみる。

「うん、でもこれはちょっとした勇気づけみたいなものかな?」
「それに泥酔してるわけでもないしわたしもめぐりも本気だよ?」

 確かに陽乃さんもめぐりさんも普段よりはテンションは高めだが理性を失うほど酔っているようには見えない。

「ですが......そもそも二人の内、どちらかを選ぶんですか?」
「ううん? とりあえずは私もはるさんも比企谷くんの事を好きだってわかってくれればいいよ」

20: 2016/12/22(木) 20:19:02.83 ID:sbUb0R1G0
 本気か冗談か酒の勢いか、この時点ではわからない。それでも女性二人に告白されたのだ。
 陽乃さんかめぐりさんか。それとも両方......っていうのはアホか。むしろフったら怒るだろうか? どちらにせよ、このまますぐ即答できる事ではない。

「というわけでこのままえOちな事しちゃってもいいくらい!」
「流石にそれは......」

 美人でスタイルもいい陽乃さんがえOちな事しちゃってもいいと言う。男ならなんとも魅力的なお誘いだろう。
 だが俺の理性、それ以前に酔っている状態なので相手にはできない。


「ほらほら比企谷くんー。めぐりも結構大きいよー」


......めぐりさんが陽乃さんに襲われた。後ろに回りこみ、その胸を揉みだしたのだ。百合?

「あ......んっ、はるさんっ......んぁ」
「おおっ! これは思った通り。これは隠れ巨Oってやつだね!」

21: 2016/12/22(木) 20:20:01.49 ID:sbUb0R1G0
 めぐりさんは胸を揉まれながら戸惑いながらも悶える。
 外見上、この二人でどちらが大きいとなると間違いなく陽乃さんだろう。その陽乃さんが言うにはめぐりさんも意外と大きいらしい。

「んぁ......はるさんの方が大きいじゃないですかぁ」
「でも見た目で大きいのがわかるのはそれだけでも苦労するんだよ?」
「あん、んっ......そんなの知りませんよぉ」

 男の俺にはわからない事だ。女性の胸が大きいというのは同姓からはからかわれ、異性からは変な目で見られる。他にも肩がこったりなど、苦労する事は多いだろう。
 もっとも陽乃さんに限ってはそんな風には見えないが。
 いや......俺もそういう部分に目がいきますごめんなさい。初めて陽乃さんに会ったときなんかは妹との対比でより印象的だったし! 間違いなく口に出して言えないが。

「それでどうする? 比企谷くんもめぐりの揉んで見る?」
「んっ......比企谷くんならっ......」

 めぐりさんは俺が揉んでも良いと言う。もちろんお断りだ。
 いや、揉んでみたいなー......ってどっちだよ。ともかく酔ってる状態の人達も事を真に受けるわけにはいかない。

「揉みません」
「そんなぁ......確かにはるさんや由比ヶ浜さんに比べれば小さいけど......ぐすっ」
「あーっ! めぐりを泣かしたー」

22: 2016/12/22(木) 20:21:01.08 ID:sbUb0R1G0
 めぐりさんは半泣き状態だ。陽乃さんも由比ヶ浜も関係ないからね?
 たしかにその二人の方が大きいだろうがそれが理由で揉まないわけじゃない。

「じゃあわたしの揉む?」
「んっ......ほら比企谷くん! はるさんのは手で収まらないよ!」
「やんっ♪......めぐりったらー」

 めぐりさんは振り返り、後ろから陽乃さんの胸を揉みだす。
 言うまでもなく陽乃さんの方が大きいだろう。てか無茶苦茶や......

「で、どうする?このまましちゃう?」
「するわけないでしょう」

 胸を揉むところから話が飛躍した。陽乃さんが言った「しちゃう?」とは性行為の事だろう。
 当然するわけがない。いや......したくないわけではないが。

「えー、このままヘタれちゃうの?」
「ヘタれちゃうの?」

23: 2016/12/22(木) 20:22:00.97 ID:sbUb0R1G0
 陽乃さんが挑発するように言い、めぐりさんがそれに続く。
 はいはいどうせ俺はヘタレですよ。ヘタレじゃなきゃとっくに雪ノ下か由比ヶ浜と......というのは拗ねすぎか。

「ぐ......と、とにかく酔ってるからダメです!」
「じゃあ、シラフの時にする?」

 いやなんでする話になってるんだよ。あ、二人とも俺を好きって言ったっけ。
 なんかもう二人が百合百合してればそれでいいんじゃね?

「マジなんすか?」
「マ、マジだよ!」
「うん、マジ。むしろこれくらいの事しないと比企谷くんを好きだって信じてもらえないかなーって」

 そこまで俺は疑り深いように......見えるだろうな。かといって俺の事が好きでいきなり性行為をしようとするのは極端すぎな気もするが。

「それなら酒が入ってない時にまた今度」

 俺は適当に場を濁すような言い方をしたが忘れるだろうか? むしろ忘れて欲しいような欲しくないような微妙な気分だが。

「また今度?なに?」
「今度なにをするの?」

24: 2016/12/22(木) 20:23:03.85 ID:sbUb0R1G0
 陽乃さんもめぐりさんも聞き返してくる。俺はわざとはぐらかすような言い方をしたがそれでは誤魔化せない。

「ふ、二人と......」
「二人って誰? あっ、『雪ノ下さん』じゃ紛らわしいからね?」
「ついでに私も『城廻先輩』だなんて堅苦しいのはなしだよ♪」

 二人と、って言っただけでもこれかよ!
 だが陽乃さんはともかく、今現在のめぐりさんと俺は先輩後輩の関係ではないから城廻先輩と呼ぶには堅苦しいかもしれない。

「は、陽乃さんとめぐりさんとえOちします」

 うん、俺もバカな事を言ったもんだ。

「やだも~♪ 比企谷くんったら!」
「一度に二人もだなんて欲張りすぎるぞー! この、このっ!」

 二人とも俺を叩いてきたり、肘で突っついてくる。痛いって。確かにとんでもない事を言った気もするが......酒の席って事で忘れてくれるよな?

33: 2016/12/24(土) 22:00:07.19 ID:Lt10/FZ70
ーーーーー
ーーーー

『は、陽乃さんとめぐりさんとえOちします』

 数日後再び、めぐりさんと陽乃さんが訪れ、いつの間にボイスレコーダーで録音してた俺の言動を流しながらこう言った。

「覚えてるよね?」
「忘れたなんて言わせないぞー」

 そして突然、止める間もなく脱ぎだして下着姿になった。実は既に酔っ払ってるんじゃないかと思ったがそうではないようだ。
 めぐりさんは純白のブラジャーとショーツ姿だ。確かに陽乃さんに比べると控え目だがあくまで比べる対象が陽乃さんなだけでそれなりに大きいと思う。服を着た状態では控え目に見えたが着痩せするのだろうか。むしろめぐりんぱわー☆のおかげだな!......って適当すぎだろ。
 対して陽乃さんは紫色の派手な下着で面積も小さい。そんなのでその支えられるのだろうか?ショーツは左右を紐で結んでおりそこを引っ張れば簡単に女性器を見られると思うとその衝動に駆られてしまう。スタイルの良さと相まってこの姿を見てなにも感じない男は存在しないだろうと断言できる。

「こんな方法でごめんね?」
「比企谷くんならこれくらいの事でもしないと屁理屈をこねて誤魔化しそうだからね」

 俺の事を知る人から見ればそう思われても仕方ないだろう。しかしここまでするとは......

「でもこれはあげる。中身を消そうが本体を壊そうが好きにしていいよ」
「録音はこれしかしてないけど......こればかりは信じてもらうしかないかな」
「あと、もう一つ比企谷くんにあげるものがあるけどそれは後でね」
「うぅ~......」

34: 2016/12/24(土) 22:01:04.94 ID:Lt10/FZ70
 当然ながら疑ってしまう。この他に録音している媒体は存在したりデータを既に別で保存してる可能性は十分あるからだ。
 しかしその事に対してなのだろうか陽乃さんがもう一つあげる物があると言う。そしてなぜかめぐりさんは恥ずかしそうにしている。
 あげるものに関して質問してみるが陽乃さんは答えてくれない。どうせロクなものじゃないと思うが。

「というか本当にいいんですか?」
「うん! 今日はわたしもめぐりも大丈夫な日だよ♪」

 大丈夫な日というのは安全日の事だろう。つまり中出、いやいやそういう事を聞いてるんじゃなくてですね......
 そして二人はまだ俺が疑ってるように見えるのでどうして俺に好意を持っているかをめぐりさんに聞いてみる。

「う~ん、気がついたら好きになった感じかな?」

 これまたアバウトな理由っすねー。以前、体育祭の依頼で鼻先まで近づいた時なんかは俺もドキッとしたもんだが。

「最初は諦めてたんだよ? 雪ノ下さんと由比ヶ浜さんがいたから」

 これはめぐりさんに限らずあまり奉仕部の事を知らない人達から見ればそう見えるだろう。結局は雪ノ下とも由比ヶ浜とも何もなかったわけだが。

「でもその二人のどちらとも付き合う様子がないからはるさんと一緒に頑張ってみようかな~って」

35: 2016/12/24(土) 22:02:12.48 ID:Lt10/FZ70
 それだけで......だが妙に納得してしまうのはきっとめぐりんぱわー☆の以下略。てか陽乃さんと一緒に頑張るのはなぜ?
 そう思い、今度は陽乃さんに聞いてみる。この人は俺に好意を持ってる以前の問題だ。何といっても腹の底が見えない。

「確かにねー。比企谷くん達に散々ちょっかいを出してきたからね」

 陽乃さんは総武高内に限らず、行く先に現れ、場をかき回されたりもしたものだ。
 結局は俺や雪ノ下、ひいては奉仕部の三人をたきつける為だろうか。

「それでもわたしが会ってきた色んな男性や男の子の中で一番印象深かったのは本当だよ?」
「おもちゃ的な意味ででしょう?」
「それも最初はね? それでも比企谷くんが雪乃ちゃんやガハマちゃんとのやりとりを見てるうちにわたしも......」

 好きになったのだろうか。まだ納得できない感があるがあまり疑いすぎるのも失礼なのでこれ以上は追及しないようにする。

「あ、そうだ! 今日は私達がお酒も飲んでないし酔ってない証明をしてあげるよ」

 話題を変えるかのようにめぐりさんは近づいてくる。え!? マジで近いって!
 こんなに近ければ酒の匂いもわかるのだが距離がどんどん近づき......
 そのまま口づけをされてしまった。その柔らかい唇を押し付けたまま、暫く抱きついてくる。

「ね? お酒臭くないでしょ? ついでにこれがファーストキスだから♪」

36: 2016/12/24(土) 22:03:09.88 ID:Lt10/FZ70
 とびっきりの笑顔でめぐりさんはそう言ってくる。お酒飲んでない証明を兼ねてファーストキスをしてくるとはなんか申し訳ない気がしてきた。

「あー! めぐりったらずるいー。次はわたし!」

 陽乃さんはめぐりさんを跳ね除け、抱きついてくる。その大きいモノがめり込んでくるんですって! 酔ってないのも俺の事が好きなのもわかりましたって!
 だがその懇願は受け入れられず、陽乃さんも口づけしてくる。めぐりさんとはまた異なる唇の柔らかさだ。
 そして口づけされながらも声が出てしまう。キスされながら口をにゅるりと抉じ開けられて舌が入ってきたからだ。
 そのまま俺の舌に絡んでくる。このまま続けるだけで頭が蕩けそうな感覚に陥る。

「はるさんこそずるいじゃないですかー」
「じゃあ、今度は二人で違うところにキスしよっか?」

 めぐりさんがどこですか?と訊ねると陽乃さんは俺の股間に視線を向ける。既に二人の下着姿を見た時点でズボンを穿いたままでは凄く窮屈な状態だ。
 そして俺のズボンを脱がそうとする。抵抗すればいいのだがこれからされる事を期待してしまい、なすがままにされる。

「こ、これが比企谷くんの......」
「うん、すごいよねー」

48: 2016/12/24(土) 22:15:02.31 ID:Lt10/FZ70
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 翌朝、心地よい感覚で目が覚めたがなぜか全裸のままだった。若干寝ぼけてるようなので昨日の事を思い出す。
 ......そうだ、陽乃さんとめぐりさんとしたんだったな。だがその二人ともいない。夢だったのか?とも思ったが流石にそれは考えにくい。

 その証拠に俺の所持品ではないボイスレコーダーがあった。再生してみると確かに俺が『は、陽乃さんとめぐりさんとえOちします』と言ったり『やだも~♪ 比企谷くんったら!』『一度に二人もだなんて欲張りすぎるぞー! この、このっ!』といったやりとりが残ったままだった。
 我ながらバカな事を言ったもんだ......
 めぐりさんはこの内容を削除したり本体を壊してもいいとは言ったがその気にはなれなかった。無論、なにかあった時の証拠として使うつもりはまったくない。遡って聞いてみるとここに来てからの会話が殆ど収録されている。
 つまり、俺に告白した部分まで残っているのだ。その部分を聞いてニヤニヤする......というのはキモいか。それでも消してしまうのはもったいないと思った。

 そして携帯を見るとメールが受信されている。恐らく陽乃さんだろう。
 件名は「おかずに使ってね♪」と表記されていた。
 こんな俺でも一人の青少年だ。おかずという部分が食べ物という意味ではないし、食べ物を使ってね、というのがおかしい事はわかる。まさかと思いながら中を見てみると......

49: 2016/12/24(土) 22:16:02.91 ID:Lt10/FZ70
 下着姿のめぐりさんだった。
とても恥ずかしそうな表情だ。四つん這いになっている姿なんてものもあった。画像を見て進めていく毎にめぐりさんが涙目になっている。大丈夫かこれ? でもごめんなさいそういう表情がかえってそそります。
 続いて陽乃さん。めぐりさんと違ってノリノリの表情だ。そのスタイルの良さを生かし、胸を突き出したり大胆なポーズのものが多い。更には陽乃さんとめぐりさんが絡み合っている姿なんてのもある。同様にめぐりさんは恥ずかしそうで陽乃さんはノリノリだ。つい、この二人の間に挟まりてぇとか思ってしまった。
 てか何枚あるんだよ?これらの画像を使ってお金稼げるんじゃね?

 再び、昨日の言葉を思い出す。陽乃さんはボイスレコーダーの言葉を言質にとって性行為をしたがそれがここにある。他に録音してる可能性は否定できないが。
 それ以外にあげる物があるといったがその時は答えてくれなかった。そのあげる物というのがこの陽乃さんとめぐりさんの画像という事か。
 確かにこれが流出されれば二人は社会的に抹殺されるだろう。比べるのは失礼だがめぐりさんより陽乃さんは雪ノ下家の長女なので特にとんでもない事になるのは想像に難しくない。
 おかずに使ってとはあるが二人の好意が信用できなかったり俺を裏切るように見えた場合はこれを流出させても良いという意味だろうか?
そこまで俺の事が好きというのだろうが、えらい物を貰った気がするな......

 これからの事を考えてみる。二人とも身体を許したりこんな画像をくれるくらいに俺を好きというのだが陽乃さんかめぐりさんか、どちらかを選ばなければいけない。
 むしろ俺に愛想を尽かして振ってくれた方がすごく気楽に思える。もしくはこのまま美人なお姉さん達のハーレムを満喫、というアホな事も考えてしまったがそうはいかないだろう。いや、そうなる方法も考えたいものだが。
 どちらにしろ今悩んでもすぐに答えは出ないがそれは仕方ない。そして俺は......

100: 2017/01/06(金) 22:00:01.01 ID:+lAz5sEF0
「ひゃっはろー! 比企谷くん♪」

 あれから数日後、大学の講義を半分を終えて昼食を買い行く途中で陽乃さんに出くわした。俺と陽乃さんは別々の大学なのでここにいるのはおかしい。しかも中学や高校と違い、制服を着用しない為、私服のままでもうまく誤魔化せば溶け込めるだろう。それでも容姿的にも目立つ陽乃さんに話しかけられて少々戸惑ってしまった。
 大学内ではなるべく目立ちたくない俺は陽乃さんを連れて別の場所に移動する。
 総武高との比較に限った事ではないが大学構内は当然、高校より広くそれだけ氏角になる所も多い。入学して間もなく、そんな場所を見つけた俺は昼食を食べたり一人になりたい時、いや殆ど一人だが、ここで過ごす。

101: 2017/01/06(金) 22:01:07.99 ID:+lAz5sEF0
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「......何しに来たんすか?」
「もー。そんな顔しないでよー」

 二人きりになったところで俺はつい、不機嫌そうな言い方をしてしまう。陽乃さんに会うのが嫌ではないが、もう少し違う場所にして欲しかった。

「それで使ってくれた?」

 陽乃さんは曖昧な質問をしたが恐らくは二人の画像の事だろう。もちろん使いました。刺激的な画像だった。

「というかあれ、ヤバくないですか?」
「うん、ヤバいね。あれがお母さんにバレたらわたし、八つ裂きにされるかも」

 はぐらかすように俺は別の質問をするが陽乃さんは答えてくれた。陽乃さんに限った事だとしてもあれが外に漏れれば雪ノ下家、ひいては雪ノ下建設においても大打撃にもなりかねない。
 かつて、陽乃さんは「母はわたしより怖いよ」と言った事がある。当然ながら俺はあの母親が怒ったところを見た事がなく、どう怖いかは知らないが八つ裂きという言葉を聞いて文字通りにされるところを想像した。和服着ているイメージのせいか薙刀辺りで。

「それで使ってくれた?」

110: 2017/01/06(金) 22:10:02.83 ID:+lAz5sEF0


「というわけでじゃあねー。 比企谷くん♪ ちゅ♡」

 陽乃さんは俺の頬にキスをして立ち去った。という事で後始末は俺がしないといけないな。役得という事でこれ位は特に苦にはならないだろう。
 だがこの後、結局講義には遅れるわ、見た事がない美人が大学内に現れた事が噂になったり普段関わる事のない人達からも質問攻めをされたり散々だった。「あの超美人な人となにしてたんだよ?」と聞かれても「ヤってました」とか言えるわけねぇだろ!

 本当にあの人は場を掻き回すな......

115: 2017/01/14(土) 22:00:13.80 ID:dAbsSb5a0
「比企谷くんおはよ~」
「お、おはようございます」

 散々だった大学から帰宅途中にめぐりさんと出会い、そのまま俺のアパートに泊まりに来た。めぐりさんは泊まるのが目的かのように色々と準備をしてて一晩過ごした。しかしその夜、俺は普通に寝てしまった。めぐりさんもその気でいたところを悪いが陽乃さんと大学構内で交わったりその後が大変だったりで流石に疲れたので就寝時には疲れて寝てしまった。
 そして翌日、いい匂いにつられて目覚めると朝食を作っているであろうめぐりさんが挨拶をしてきた。それ自体はなにも問題ないのだが......

 めぐりさんはエプロン以外なにも付けてなかった。

「その格好は?」
「う、うん......男の人ってこういうのが好きなんだよね?」

 もちろん大好きです。こういうのが好きじゃない野郎なんていたら是非とも見てみたい。いや、めぐりさんのこんな姿を他の男になんて見せたくないが。それ以前にこれはめぐりさん自身がこの格好をしてるのか。それとも陽乃さんの入れ知恵だろうか?

「もう少しで朝ごはん出来るから待っててね」

 俺はめぐりさんのうなじから背中、丸みを帯びたお尻まで見入ってしまう。めぐりさんは俺の事を誘ってるのだろうか?そのまま眺めているだけで朝食の事を忘れてお腹がいっぱいになるとっていい。

「~♪」

116: 2017/01/14(土) 22:01:02.47 ID:dAbsSb5a0
 鼻歌交えながら機嫌よくめぐりさんはそのまま調理を続ける。なんか、眺めているこちらが変な気分で盛り上がってきそうだ。
 俺は牽制の意味を兼ねて足音を忍ばせ、そっと近づく。確かに昨日の夜は何もなかった。だからこそこんな格好をされて何もしないというのもかえって悪いと思う。

「.....っ」

 危ない作業をしてない事を確認しながら身体を密着させる寸前くらいまで近づく。
 するとめぐりさんの動作が止まる。

「ど、どうしたの? 比企谷くん?」
「いや、何を作ってるのかなって」
「あ、あまり期待しないでね? はるさんは料理も凄くおいしい物を作れるけど私は普通だから」

 何を作ってるかを見に来るのが本当の目的ではない。そして仮にめぐりさんが料理が下手だとしてもこの時点では関係ない。むしろめぐりさんを食べたい、とすら思う。流石にこれは親父くさいか。それでも今は食欲以上に欲しているものがあるからだ。

「ひ、比企谷くん? あっ、ひゃんっ」

124: 2017/01/14(土) 22:09:03.21 ID:dAbsSb5a0
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「すぅ......すぅ......」

 あれから二人で交わった後の余韻に浸った後、遅すぎる朝食を食べてからめぐりさんは寝てしまった。しかも俺の膝の上に。しかも裸エプロンのままで!
 めぐりさんは超がつく位、寝つきが良かった。俺の膝の上に横になって五分も満たないうちに寝息を立てしまった。どこのネコ型ロボットと一緒にいる少年だよ、とすら思ってしまう。この人は昼寝が好きなのだろうか?

「ひきがやく~ん......だいすきぃ......」

 俺を大好きだそうな。寝言とはいえ、こんな事を言われてはたまらない。エプロンの脇から見える。何も穿いていない為、丸見えなお尻。二度も大量に出したのにまたムラムラしてきた。
 このまま夜這い、という程時間は遅くないが寝込みを襲うような事をしても許してくれるだろうか? こうして裸エプロンなんて格好をしてるのだ。受け入れてくれるだろう。

「すぅ......すぅ......」

 と思ったがめぐりさんが気持ちよさそうに寝息を立てる所を邪魔するのは凄く無粋な気がしてきた。これもめぐりんぱ......って、んなわけないか。
 俺はめぐりさんが目覚めるまでこのままでいる事にした。

 めぐりさんが起きたのは夕暮れだった。寝すぎだろこの人......

129: 2017/02/02(木) 22:00:13.81 ID:xvBQp+x6o
『ひゃっはろー! お兄ちゃん♪』

 別の日に突然、小町から上機嫌な電話が掛かってきた。どうでもいいが変な影響受けたみたいなその挨拶やめて。

 俺が総武高卒業時に小町とは仲が悪くなった。悪くなったといっても修学旅行後の時ほどではないが小町としてはそれなりの尽力したにも関わらず、俺が雪ノ下や由比ヶ浜となにもなかったからだろう。その尽力と言ってもあまり的を得ていたものではないが。

 そして大学に入学して一人暮らしをするのを境にあまり会ったり話をする事はなくなった。その小町がこんな挨拶をしながら電話をしてくるという事は......

「やっぱりお前か。陽乃さんとめぐりさんを唆したのは」
『おお! お兄ちゃんが女の人を名前で呼ぶなんて随分仲が進展してるじゃないですかー』
「ぐっ......」

 なんか墓穴を掘ったようで悔しい。だが、実際に陽乃さんともめぐりさんとも仲が進展したどころかそれ以上の関係になっているので今更だろう。

『小町はただ、陽乃さんとめぐりさんの話を聞いて今のお兄ちゃんの事を教えただけだよ?』

「どうだか」

130: 2017/02/02(木) 22:01:03.41 ID:xvBQp+x6o
 俺の事を教えたという部分を疑うつもりはない。そもそも小町が陽乃さんを唆すなんて不可能に等しいし、陽乃さん達が小町に俺の事を聞きに来たという方がしっくりくる。色々と余計な事も言っていそうな気もするが。

『いやー。 あんな美人なお姉さん達がお兄ちゃんの事を好きだなんて言ってくれるなんて小町も嬉しいわけなんですよー』
「まぁ、俺も意外だったがな」
『というわけで雪乃さんと結衣さんは仕方ないとして今度こそ小町がお義姉ちゃんと呼べる人をゲットしてね? もちろん両方でもいいよ♪ それじゃあ頑張ってねー』

 言うだけ言って小町は電話を切ってしまった。なんかそれはそれでイラっとするが小町の機嫌がよくなったのでいいとするか。

「ひゃっはろー! 比企谷くん」
「比企谷くんおはよ~」

 電話が終わって暫くすると陽乃さんとめぐりさんが訊ねて来た。この電話とは関係ないよな? なにかどこかに出掛けるような服装にも見えた。そして有無を言わせない勢いで俺を連れ出した。どこに行くのだろうか。

131: 2017/02/02(木) 22:02:06.54 ID:xvBQp+x6o
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「いいとこですね~。はるさんありがとうございます~」
「どういたしましてー」

 俺達三人は今とある温泉宿に来ている。休日にふらっと旅に出歩く事があるという陽乃さんが見つけた場所の一箇所を出かけたのだ。道中は美人なお姉さんとほんわかなお姉さん、そして目つきの悪い俺という組み合わせはやや人々の目に止まるが二人はあまり気にしてないようだ。

 そして今、その露天風呂に入っている。陽乃さんとめぐりさんも一緒だが。陽乃さんからすると他に客は来ない日らしく貸しきり状態のようなものだという。

「ふ~。なんか生きかえる感じですね~」
「めぐり、それはおばさんくさいよ?」
「え~。 私、はるさんより若いのに~」
「言ったなー。 このっこのっ!」
「あんっ、ごめんなさ~い」

 陽乃さんはめぐりさんのおでこを突っつきながらじゃれ合っている。このおでこを突っついたり突っつかれたりする姿は以前も見たような気がするが妙に様になってる。俺が二人と知り合う以前からしてた事だろうか?それ自体は非常に微笑ましいものではあるが。

「比企谷くん?」

132: 2017/02/02(木) 22:03:06.08 ID:xvBQp+x6o
 めぐりさんが俺に問いかけてくる。ちなみに二人ともお湯に浸からないように髪をアップにしてまとめている。陽乃さんもめぐりさんも似たような髪形だが区別できない事はないだろう。

「大丈夫? 具合でも悪い?」
「い、いや、そんな事はないです」

 二人が温泉内でじゃれあってる中、俺は大人しくなっている。もちろん具合が悪い事なんてない。むしろ別の部分が元気になってしまってるが。

「あ♪ 比企谷くんったらもうこんなになってるよ~」

 めぐりさんに俺の元気になっている部分を撫でられてしまった。だって仕方ないじゃないっすか。美人なお姉さん達との裸のお付き合いとか......
 陽乃さんも立ち上がり、俺の横に移動してくる。その際、目の前に大きなモノがぷるんっと掠めてきた。これだけでもう、ヤバい事になりそうです。

「どれどれー? あっ! やらしいなー。比企谷くんは♪」

 二人に挟まれながら俺の肉棒を撫でてくる。むしろこういう事をするのが目的なんじゃないかと思う。 いや、こうなる事も予想というか期待してたのだが。俺も遠慮はしなくていいのだろうか。

「えっ? 比企谷くん? んっ! んむぅぅぅぅ」

150: 2017/02/26(日) 22:06:59.43 ID:yXZ1x5870
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「それでこれからどうするのかな?」

 精も根も果てた後、俺を中心に三人で横になっているところに陽乃さんが聞いてきた。俺としては疲れ果てて寝てしまいたいがこれは聞き逃せない質問だ。
 「どうするのかな?」というのはこれからの三人の関係だろう。
 もはや、俺に対しての好意は疑いようのない陽乃さん。超がつく位の美人でスタイルも抜群で色々と完璧なお姉さん。俺が初めて会った時はその明るさは偽りの仮面である事を見抜いたように陽乃さんも俺の事を理解してくれだろう。もっとも読まれたくない部分まで知られてしまうだろうが。
 そしてなんとなくで俺を好きになったというめぐりさん。めぐめぐめぐりん♪めぐりんぱわー☆の持ち主でほんわかして可愛い......って全然説明になってねぇ。
とにかく陽乃さんにはない魅力を持つめぐりさん。この人といればいろんな意味で癒されるだろう。
 このまま美人なお姉さん達とのハーレムを満喫するか、陽乃さんか、めぐりさんか。やはりどちらかを選ばないといけないのだろうが。

「結局は二人に愛想を尽かされた俺はあの画像で復讐する度胸もなく『陽乃! 陽乃!』とか『めぐり! めぐり!』って思い出しながら一人で寂しくしてるんでしょうね」
「それは捻くれすぎだよー」

 陽乃さんが言い返す通り我ながら捻くれてると思う。だがそういった結末もある意味、俺には相応しいかもしれない。もっともそうならないように努めたいものだが。

「それと今、私達の事、名前を呼び捨てで呼んでくれたね♪」
「い、今のはただの例えなんで......」

151: 2017/02/26(日) 22:08:00.51 ID:yXZ1x5870
 めぐりさんが妙なところに突っ込んできた。こんな関係なっておいてなんだがまだまだヘタレな俺は女性を名前だけで呼ぶとというのはハードルは高いのでさん付けで通すとしよう。

「じゃあ、わたし達が呼び方を変えるね。八幡くん♪」
「いいですね~。八幡くん♪ どうするのかな?」
「ぐ......」

 逆に年上の女性達がステレオで俺の名前をくん付けで呼んできた。こんな呼ばれ方をされた事はないので俺にとっては破壊力抜群だ。
 だが、呼び方が変わったところでどうするかが決まるわけではない。

「今すぐ答えを出さないといけないですか?」
「引き伸ばしたところで答えはでるのかな?」

 これまた逃げ道を塞がれた感じだ。そもそも俺が陽乃さんを言い負かすのは非常に困難だろう。俺がここでどんな屁理屈を言っても陽乃さんに言い返されるのがオチだな。

「あ、家の事は気にしなくていいよ。わたし、一般企業に内定貰ってて来年から普通に働くから」
「はるさん。おめでとうございます~」
「ありがとー」

152: 2017/02/26(日) 22:08:59.84 ID:yXZ1x5870
 マジか!? ていうかめぐりさんはマイペースに祝福してるが雪ノ下家の長女がそれでいいのかよ! あの母親がそれを許すのか? 色々と思うところがあるが陽乃さんならその辺りの問題もクリアしてるんだろうな。
 むしろ一般的な、といえば言い方が悪いがそういうのに憧れでもあるんだろうか。

「ごめんね? 話が反れちゃった。それじゃあ比企、じゃなかった八幡くんは私達の事をどう思ってるのかな?」
「もちろん好きです。また裸にエプロンを着て欲しいし俺以外の前ではして欲しくないくらいまでありますね」
「へぇー。めぐりったらそんな事してるんだ?」
「いい、今そんな事言わないでよ~」

 めぐりさんは慌てながら言った。俺としては陽乃さんを含め、身体だけの関係なんてのは嫌だが。
 というか裸エプロンはめぐりさんが自分で考えてしたのな。

「陽乃さんも好きです。大学構内とかは勘弁して欲しいですが」
「じゃあ今度わたしの大学の見つからないような場所でしよ♪」
「いや、場所とかそういう問題じゃなくて......」

 それ以前にいくら他に客がいないとはいえ、この温泉宿をラブホ代わりにしてヤリまくった感じだが大丈夫だろうか? 帰る時にここの従業員にバレて白い目で見られそうだが。

「という事で八幡くんは私もはるさんも好きなんだよね♪」
「ですけどそれじゃあ......」
「それでいいよ」
「は?」

153: 2017/02/26(日) 22:10:00.49 ID:yXZ1x5870
 思わず変な声が出てしまった。イチャつくところから始まったからという訳ではないが俺も陽乃さんとめぐりさんに対して好意はあるのでどちらかを選ぶとなると非常に難しい。
 だが、陽乃さんはそれでもいいと言う。

「これはどうしても皮肉に聞こえちゃうかもしれないけど八幡くんは優しいからね」

 皮肉というのはかつて由比ヶ浜宅で雪ノ下の電話を代わって陽乃さんが一言「優しいね」と言った事だろう。あの時とは違い純粋な褒め言葉だろうがやはり、文字通りに受け入れていいかちょっと複雑な気持ちだ。
 もしくはどちらか選べなかった雪ノ下と由比ヶ浜の事を言ってるのかもしれない。

「だからわたしが愛人扱いでもいいよ?」
「それはダメですよ〜。はるさんの方が歳上ですし私が愛……」
「ちょ、ストップ!」

 え? なにこれ。自分が愛人扱いになる事で揉めるとか前代未聞じゃね? 確かにそれも選択肢的には正しいかもしれないが結局、差をつけるみたいでそれは嫌だ。

「「じゃあどうするの?」」

154: 2017/02/26(日) 22:11:00.23 ID:yXZ1x5870
 二人同時に聞いてきた。ですよねー。ただのどちらも選べない優柔不断なヘタレなのかもしれないが俺の言うべきは一つ。

「は、陽乃さんとめぐりさんをあ、愛し続けます」

 うん、またしてもバカな事を言ったもんだ。あれ? おかしいなー。中二病はとっくに卒業したはずなのになー。

「やだ! 八幡くんたら! はるさん、この人すごく恥ずかしい!」
「まったくだね! この欲張り男め! このこのっ、このこの!」

 その叩いたり肘で突っつくの結構痛いって! 確かに無茶な事も言ったしこの関係を続けるには困難な出来事も出てくるだろう。
 男に二言はないというわけではないが言ったからには自己犠牲ではなく三人共仲良くやっていく方法を見つけないといけないな。
 ......てか大丈夫かな俺?


おわり

155: 2017/02/26(日) 22:12:00.62 ID:yXZ1x5870
これで終了です
姫菜「ほらほらヒキタニくん~。サキサキの大きいよ~」八幡「」
の陽乃、めぐり版ともいえる本作でした

引用元: 陽乃「ほらほら比企谷くーん。めぐりも結構大きいよー」八幡「」