1:◆eyH5F3DPSk 2014/07/13(日) 21:19:19.12 ID:XscbuIV20
絵里「……」

にこ「……」

絵里「あっ」

にこ「え?」

絵里「シャーペンの芯が床の隙間に入った……」

にこ「……真面目な顔して何してたのよ」

絵里「芯を先から入れようとしてたの」

2: 2014/07/13(日) 21:20:58.53 ID:XscbuIV20
にこ「なんでそんなことしてたの」

絵里「いや、こっちから入れればカチカチって何回か押さないで済むじゃない」

にこ「……」

絵里「えー? やらない?」

にこ「やらない」

絵里「高校生ならやると思ったんだけどなぁ」

にこ「ロシアだけの風習じゃない?」

絵里「ちがいますー」

3: 2014/07/13(日) 21:22:47.43 ID:XscbuIV20
絵里「じゃあ……そうねぇ、アメの包み紙を綺麗に畳んじゃうとか」

にこ「しないわよ」

絵里「綺麗に畳めると気持ちいいわよ?」

にこ「そんなの気にしたこともなかったわ」

絵里「そうなの?」

にこ「そんなものよ」

5: 2014/07/13(日) 21:25:46.13 ID:XscbuIV20
にこ「で、さっきまでずっとそれやってたの? 書類まとめてたように見えたけど」

絵里「あー、そうそう。集中力が切れちゃってね」

にこ「生徒会の仕事?」

絵里「そうよ。ただ仕分けするだけ……でも量が多くて」

にこ「貸しなさい。手伝うわよ」

絵里「いいの?」

にこ「うん、今日は練習ないから放課後暇だったし」

絵里「そうね。みんな次のライブのチラシ配りに行っちゃったし」

7: 2014/07/13(日) 21:27:17.49 ID:XscbuIV20
絵里「希も生徒会の仕事なのにどこか行っちゃって……」

にこ「ま、いつもあんたのフォローしてるんだからいいんじゃない?」

絵里「うん、そうね」

にこ「これはどういう風に分けるの」

絵里「その右上に書いてる名前で分けるの」

にこ「ふーん」

8: 2014/07/13(日) 21:28:29.57 ID:XscbuIV20
にこ「じゃあこれはこっちで、これはこの箱の中ね」

絵里「そうそう、そんな感じ」

にこ「2人でやれば案外すぐ終わりそうだけど」

絵里「半分だものね! 2倍だわ!」

にこ「……その言い方はすごくバカっぽい」

絵里「ひどい」

9: 2014/07/13(日) 21:29:32.67 ID:XscbuIV20
絵里「……そういえば、にこと2人きりっていうのは案外新鮮かも」

にこ「それもそうかもね。いつも希がいたし」

絵里「……」

にこ「どうしたの? 急に黙っちゃって」

絵里「……やりたかったことをやってみたいの」

にこ「えっ」

11: 2014/07/13(日) 21:31:23.36 ID:XscbuIV20
にこ「ちょ、書類整理終わってからでいい?」

絵里「……」

にこ「待って、距離を詰めるのはやめなさい」

絵里「にこ、後ろ向いて」

にこ「やだ」

絵里「痛くしないから」

にこ「絶対やだ!」

絵里「もー……じゃあ書類整理終わるまで待ってる」

にこ「あんたも手伝うのよ!」

12: 2014/07/13(日) 21:33:31.74 ID:XscbuIV20
にこ「ほら、動きなさい」

絵里「はーい」

にこ「はい、あんたの分よ」

絵里「あれ? 半分じゃないの?」

にこ「私の方が整理するの速いじゃない」

絵里「そうね」

にこ「集中力がないなりに、少しずつでも進めなさい」

絵里「はーい」

14: 2014/07/13(日) 21:35:17.15 ID:XscbuIV20
絵里「……なんかにこの方が生徒会長っぽいかも」

にこ「えっ、にこが生徒会長?」

絵里「うん」

にこ「……素で生徒の前に立って話しなきゃいけないんでしょ? 会長って」

絵里「まあそうね」

にこ「じゃあ無理」

絵里「えー」


15: 2014/07/13(日) 21:37:09.13 ID:XscbuIV20
絵里「なんで? にこ、今すっごく輝いてるわよ?」

にこ「うれしくない」

絵里「なんでよぉ」

にこ「アイドルじゃない自分がステージの上に立つのは、なんていうか……違うのよ」

絵里「……そうなんだ」

にこ「あんたたち以外に気を抜いた姿は見せたことないでしょ? それと一緒」

にこ「真面目なにこは、みんなに見せるにこの姿じゃないの」

絵里「へぇ……なるほど」

16: 2014/07/13(日) 21:39:16.63 ID:XscbuIV20
絵里「じゃあ私に、真面目なにこの姿を見せてよー」

にこ「やーだー」

絵里「なーんーでー」

にこ「メガネとか貸してくれるなら別だけど」

絵里「あ、にこってば形から入るタイプ?」

にこ「まあそんな感じ」

絵里「誰かま学校に残ってる知り合いでメガネかけてなかったかしら……」

にこ「どんだけ見たいのよ」

絵里「えへへ」

18: 2014/07/13(日) 21:43:07.64 ID:XscbuIV20
絵里「それにしてもにこ、動きが早い」

にこ「だって右上見るだけでいいんだから。上からぱっぱっぱーって」

絵里「ぱっぱっぱー」

にこ「違う違う、リズムがなってない」

にこ「ぱっぱっぱー」

絵里「ぱっぱっぱー」

にこ「よろしい」

絵里「あ、リズム意識しすぎて違うとこ入れた」

にこ「ぱっぱっぱー!」

絵里「ごめんなさい」

19: 2014/07/13(日) 21:45:37.25 ID:XscbuIV20
絵里「あ、私の分これでおしまーい」

にこ「こっちも終わり」

絵里「え!? 私の5倍は量あったのに……」

にこ「フフフ。単純作業は得意にこっ」

絵里「生徒会入る?」

にこ「今更!?」

絵里「ならいつ入るのよ! 今でしょ!」

にこ「入る前提で話を進めるんじゃないわよ」

20: 2014/07/13(日) 21:47:04.98 ID:XscbuIV20
にこ「で、さっき言ってたやりたいことって何なの?」

絵里「お、よくぞいいところに目をつけたわね」

にこ「いや、なんか迫られたから」

絵里「じゃあ後ろ向いて」

にこ「……変なことしない?」

絵里「しないしない」

にこ「ならいいけど」

21: 2014/07/13(日) 21:48:26.00 ID:XscbuIV20
にこ「……」

絵里「……よいしょ」

にこ「え、わ、ちょっ」

絵里「わー! 軽い!」

にこ「持ち上げるんじゃないわよ!」

絵里「わわっ、暴れたら危ないわ」

にこ「フーッ!」

絵里「にこ、ネコみたい」

にこ「うるさい、下ろしなさい」

絵里「はいはい」

22: 2014/07/13(日) 21:49:49.46 ID:XscbuIV20
絵里「あともう1つ、やりたいことが残ってるんだけど……いい?」

にこ「どうせさっきみたいなことでしょ」

絵里「うん」

にこ「……じゃあ別にいいわよ」

絵里「やった!」

絵里「まず最初に私の腕に寄りかかって」

にこ「背中から?」

絵里「うん」

23: 2014/07/13(日) 21:51:33.59 ID:XscbuIV20
絵里「で、そのままキープね」

にこ「……ナナメの姿勢つらいんだけど」

絵里「行くわよ!」

にこ「え、うわぁっ!?」

絵里「……できた」

にこ「……」

絵里「あ、あれ? 反応薄い……」

にこ「お姫様抱っこじゃない。正直わかってたわよ」

絵里「そんなぁ……」

にこ「なんであんたはそう持ち上げたがるのよ」

25: 2014/07/13(日) 21:54:41.20 ID:XscbuIV20
にこ「あ、もしかしてにこが可愛いから?」

絵里「あながち間違ってない」

にこ「……どう反応すればいいのよ」

絵里「え? 普通にうれしいとかでいいんじゃない?」

にこ「はぁ……もう下ろしてもらえる?」

絵里「あら、お気に召さなかった?」

にこ「いや……なんか眠くなってきたから」

絵里「あらかわいい」

27: 2014/07/13(日) 21:56:05.72 ID:XscbuIV20
絵里「じゃあお昼寝する?」

にこ「どこで?」

絵里「私のお膝の上がフリーよ!」

にこ「ふーんだ。誰が膝枕なんかされるもんですか」

絵里「え? 膝の上に座るんじゃないの?」

にこ「えっ」

絵里「さあ、準備はいつでもOKよ!」

にこ「なんでそんなにノリノリなのよ!」

28: 2014/07/13(日) 21:57:25.97 ID:XscbuIV20
にこ「……まあ無理やりにでも座らせる気でしょ?」

絵里「ええ」

にこ「なら座るわ」

絵里「はい、どうぞ」

にこ「……」

絵里「おお……ちっちゃい」

にこ「言うと思った」

29: 2014/07/13(日) 21:58:59.53 ID:XscbuIV20
にこ「寝たら起こしてよね」

絵里「さあ、起こさないかもしれないわ」

にこ「なんでよ」

絵里「この状況が幸せだから」

にこ「はぁ……絵里は黙ってれば賢く見えるのに」

絵里「ありがとう」

にこ「ほめてないっての」




     おわり

30: 2014/07/13(日) 21:59:30.30 ID:XscbuIV20
にこえりっていいね

38: 2014/07/13(日) 22:30:51.04 ID:Jh/5e44tO

ええやん

引用元: にこ「絵里は黙ってれば賢く見える」