55: 2018/07/18(水) 20:26:24.85 ID:QzcBRJx2o

56: 2018/07/18(水) 20:29:30.36 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「シトー?」

凛「どうしたの、それ?」

武内P「近くに、新しく専門店が出来ていたもので……」

凛「でも、自分用に買ってきたんでしょ?」

武内P「いえ、何種類か買ってきたので、どうぞ食べてください」

凛「それなら……お言葉に甘えようかな」


アーニャ「から……あげ? それは、何ですか?」


武内P・凛「えっ?」

57: 2018/07/18(水) 20:31:04.25 ID:QzcBRJx2o
凛「唐揚げは……唐揚げじゃない?」

武内P「ええ……そう、ですね」

アーニャ「ンー?」

凛「もしかして……唐揚げ、知らないの?」

アーニャ「ダー。知らない、です」

凛「じゃあ、プロデューサーが買ってきたのは?」


アーニャ「ザンギ、ですね?」


武内P・凛「……」

武内P・凛「えっ?」

58: 2018/07/18(水) 20:35:09.00 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「プロデューサーが買ってきたのは、ザンギ、です」

武内P「……!」

凛「えっ? 何言ってるの?」

アーニャ「? 私……おかしな事、言っていますか?」オロオロ

武内P「あっ、いえ……そうですね、ザンギで合っています」


アーニャ「ダー♪ やっぱり、ザンギ、です♪」


凛「いや、唐揚げだけど?」


アーニャ「か、から、あげ……!? ザンギ……!?」オロオロ

武内P「あっ、アナスタシアさん! 落ち着いてください!」

59: 2018/07/18(水) 20:40:07.96 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「ぷ、プロデューサー……!?」オロオロ

武内P「大丈夫です! ザンギでも、合っています!」

アーニャ「だ、ダー……そう、ですよ、ね? ザンギです、よね?」オロオロ

武内P「はい、その通りです」

アーニャ「……プロデューサー」


アーニャ「スパシーバ♪ ザンギは、とても好き、です♪」ニコッ!


凛「だから、唐揚げだって」


アーニャ「!? プラヂューセル!? プラヂューセル!?」オロオロッ!

武内P「大丈夫です! 大丈夫です、アナスタシアさん!」

60: 2018/07/18(水) 20:44:56.72 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「ニェート……! ザンギ、違いますか!?」オロオロッ!

武内P「ザンギです! これはザンギです、アナスタシアさん!」

アーニャ「ダー……ダー……! そう、です……ザンギ、ですね?」オロオロッ

武内P「そうです。一旦、深呼吸をして、落ち着きましょう」

アーニャ「……スーッ……ハーッ……スーッ……ハーッ」

武内P「……」

アーニャ「……スーッ」


凛「ねえ、唐揚げ冷めちゃうけど」


アーニャ「ニィェェェ――――~~~~ットォォアッ!!」


武内P・凛「っ!?」

61: 2018/07/18(水) 20:50:23.63 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「これは、ザンギ、です!! からあげ、違います!!」

武内P「あっ、アナスタシアさん!?」

凛「きゅっ、急にどうしたの……!?」

アーニャ「プラヂューセル! これは、ザンギ、ですね!?」

武内P「は、はい……ザンギです……!」

アーニャ「ダー! ダーダーダーダー……ダ――ッ!!」


アーニャ「リン! これは、ザンギです! ザ・ン・ギ!」


武内P「……!?」

凛「なっ、何なの……!?」

62: 2018/07/18(水) 20:56:18.13 ID:QzcBRJx2o
武内P「し、渋谷さん……今は、ザンギという事に……!」ヒソヒソ

凛「はあっ!?」ヒソヒソ

武内P「それが、アナスタシアさんの望む呼び方なので、お願いします……!」ヒソヒソ

凛「……まあ、別に良いけど」ヒソヒソ


アーニャ「ザンギ、です! これは、ザンギですね!?」


武内P「はい! アナスタシアさん、それはザンギです!」

アーニャ「……ダーッ♪ プロデューサーは、ザンギが好き、ですか?」ニコニコッ

武内P「えっ?……は、はい」

アーニャ「ハラショー♪ アーニャと、一緒、ですね♪」ニコニコッ

武内P「え、ええ……そうですね」

アーニャ「ふふっ! プロデューサーとアーニャは、お揃い、です♪」ニコニコッ


凛「――唐揚げえええぇぇぇ――――~~~~っ!!」


武内P・アーニャ「!?」

63: 2018/07/18(水) 21:00:51.41 ID:QzcBRJx2o
凛「これは、唐揚げだから!! ザンギなんかじゃない!!」

武内P「しっ、渋谷さん!?」

アーニャ「ニェート! それは、ザンギ、です!」

凛「最初、プロデューサーは唐揚げって言ってたから! だよね!?」

アーニャ「それは、ちょっと間違えただけ、です! ザンギ、です!」


凛・アーニャ「プロデューサー!」


武内P「えっ、いえ……あの……!?」

64: 2018/07/18(水) 21:07:22.92 ID:QzcBRJx2o
凛「ねえ! これは唐揚げだって言ってあげなよ!」

アーニャ「プロデューサー! ザンギ、一緒に食べましょう!」

凛「だから! ザンギじゃないって! 唐揚げ! かーらーあーげー!」

アーニャ「ニェートニェートニェート! ザンギ、です! ザーンーギー!」

武内P「お、お二人とも! 落ち着いてください!」

凛「唐揚げ!!」

アーニャ「ザンギ!!」


武内P「で、では、間を取って……フライドチキンという事で」


凛・アーニャ「プロデューサーっ!!」


武内P「もっ、申し訳ありません! 検討します! 検討しますので!」

66: 2018/07/18(水) 21:18:24.03 ID:QzcBRJx2o
凛・アーニャ「……!」ムーッ!


武内P「……!」

武内P(ど、どちらと言っても……大変な事になる、気がします!)

武内P(だ、誰か……お願いします……!)

武内P(助けてください……誰か……誰か――)


ガチャッ


杏「……も~っ、うるさくて寝てられないよ」


武内P「!?」

凛「杏!」

アーニャ「アンズ!」

凛・アーニャ「良い所に!」


杏「おっ、おおう!? な、何だよ急にさ……!?」

67: 2018/07/18(水) 21:24:32.98 ID:QzcBRJx2o
凛「杏! ねえ、これ一つ食べてみて!」

杏「えっ!? これって……クンクン、この匂いは……」

凛「はい、あーん! あーんっ!」

杏「じゃ、じゃあ遠慮なく……はむっ」モグモグッ…


凛「――唐揚げ、美味しい?」


杏「……」ゴクンッ

杏「おー、この唐揚げ、結構美味しいじゃんか」


凛「っふうううぅぅぅんっ!」グッ!

凛「ほら! 聞いた!? 美味しいってさ、唐揚げ! かーらーあーげー!」


アーニャ「っ……!?」

杏「なっ、何なの!? 何の勝負……!?」

69: 2018/07/18(水) 21:31:19.86 ID:QzcBRJx2o
アーニャ「アンズ! こっちも、食べてください!」

杏「へっ!? こっちもって……いや、同じじゃないの?」

アーニャ「アーン! アーンッ!」

杏「わ、わかったってば! 食べる! 食べるよ……はむっ」モグモグッ…


アーニャ「――ザンギ、美味しいですね?」


杏「……」ゴクンッ

杏「まあ、杏はザンギにはうるさいけど、美味しいと思うよ」


アーニャ「ハッ……ッラショォ――ッ!」グッ!

アーニャ「やっぱり! やっぱり、ザンギ、です! ザーンーギー!」


凛「っ……!?」

杏「……あっ」

杏「あー! そういう事!」

70: 2018/07/18(水) 21:41:44.10 ID:QzcBRJx2o
杏「二人共さ、くだらないケンカはやめなって」


凛「くだらなくなんかない! だって、これは唐揚げだし!」

アーニャ「ニェ~ット」ヤレヤレ

アーニャ「三文字も、アー、覚えられないアイドルが、居ます」フンスッ

凛「……ねえ、ちょっと。それどういう意味?」

アーニャ「シトー? そのままの意味、です? わかりますね?」

凛「……唐揚げ~美味しく作るならっ揉み揉み~♪ 揉み揉み~♪」ブンブンッ!

アーニャ「リン? その歌は、何ですか? リン?」

凛「唐揚げ~美味しくつっくるっならっ♪ 揉み揉み~♪ 揉み揉み~♪」ブンブンッ!

アーニャ「……ニェート! その歌と踊り、アー、不愉快です! やめてください!」


杏「――ほいっ、あ~んっ」

武内P「えっ!? あっ、あの……はむっ」モグモグッ…


凛・アーニャ「!?」

72: 2018/07/18(水) 21:50:58.59 ID:QzcBRJx2o
凛「ちょっと杏!? 何してるの!?」

アーニャ「アーニャも、プロデューサーにアーンしたい、です!」


杏「は~っはっはっは!」

杏「残り一個は、杏が預かったー!」

杏「返してほしくば、お互いの言い方を認めて、ケンカはやめろー!」

杏「うるさくて眠れないんだから、大人しく降伏しろー!」


武内P「! 成る程……!」

武内P「そうやって、渋谷産とアナスタシアさんを落ち着――」


凛「やっぱり、ザンギじゃないかな。えっと……か、からまけ? 何、それ?」

アーニャ「ザンギエフはロシアの英雄、でした。カルァーゲ、最高、です♪」

凛「……ぷっ、何? カルァーゲ? 唐揚げっしょ? カルァーゲは無いしょ?」

アーニャ「オー、唐揚げ、ですね♪ リンの言う通り、唐揚げ、です♪」

凛「はあっ!? ちょっと、そういうのズルだから! 卑怯だよ!」

アーニャ「ニェートニェート、ズル、違います。アー、頭脳プレイ、です」


武内P「……」

杏「……なんか、ごめん」

73: 2018/07/18(水) 22:03:28.11 ID:QzcBRJx2o
杏「唐揚げも、ザンギも……ぶっちゃけ同じ物なんだよねぇ」

杏「……違う、って言い張る道民も居るけどさ」

杏「なまらどうでも良い事なんだよ」

武内P「……双葉さん」

杏「タレをかけるのがザンギ、って言う人も居るよ?」

杏「でも、タレ無しでもザンギって書いてるのも売ってるしさ」

武内P「いえ、あの……双葉さん」

杏「だから……残り一個の呼び方、プロデューサーが選びなよ」

杏「杏は、お腹が膨れたし、静かな所を探して旅に出るよ」

武内P「ま、待ってください! あのっ!」


凛「……ふーん、やる気?」

アーニャ「……ダヴァイ、望む所、です」


杏「したっけ!」

バタンッ!


武内P「っ……!?」

武内P「結果的に、火に油を注いだだけではないですか……!」

74: 2018/07/18(水) 22:07:17.02 ID:fw4OUHNDO
油ものだからね

75: 2018/07/18(水) 22:12:49.80 ID:QzcBRJx2o
凛「――もう、呼び方なんてどっちでも良いよ」

アーニャ「――ダー、それには、アー、賛成、です」


武内P「!」

武内P「渋谷さん、アナスタシアさん!」

武内P「仲直りをしてくださるのですか!?」


凛・アーニャ「……」…ジィッ


武内P「? 残り一個を……何故、見つめて?」


凛・アーニャ「……」ジィッ


武内P「からの……私に視線を向けて……」

武内P「っ!? 待ってください!」

武内P「あのっ……あーん待ちですか!?」


凛・アーニャ「……」ジィィッ


武内P「……!?」

76: 2018/07/18(水) 22:16:54.97 ID:QzcBRJx2o
武内P「……!」

武内P(ど、どうすれば……!?)

武内P(一体……どうすれば、この状況を……!?)


凛・アーニャ「……」ジィィィッ


武内P「とっ……とりあえず、ですが」

武内P「こちらは、レモン汁をかけて召し上がってください、と」

武内P「……そう、言われたので」


凛・アーニャ「えっ?」


武内P「えっ?」

77: 2018/07/18(水) 22:21:28.69 ID:QzcBRJx2o
凛「待って? 唐揚げに……レモンをかけるって事?」

武内P「は、はあ……小さなパックをつけてくださったので」

アーニャ「甘酢タレでなく……レモンをかけるのです、か?」

武内P「はい……そのつもり、ですが」


凛・アーニャ「……」


武内P「……」

武内P「待ってください」


武内P「私は、レモンをかけるのはアリだと、そう、思います」


凛・アーニャ「……」

武内P「……」

78: 2018/07/18(水) 22:30:13.33 ID:QzcBRJx2o
凛「ふ……ふーん、まあ、悪くないんじゃない?」

アーニャ「だ……ダー! プロデューサーの言うことは、絶対、です!」

凛・アーニャ「……でも」


武内P「笑顔です」

…ペリッ


凛「ちょ、ちょっと待って! どうしてパックの封を切ったの!?」

アーニャ「プロデューサー! 全部かけたら、すっぱい、です!」


武内P「笑顔です」

…ビシャアッ


凛・アーニャ「あっ!……あー」


武内P「……」


凛・アーニャ「……」

79: 2018/07/18(水) 22:38:18.30 ID:QzcBRJx2o
凛「……それ、ほとんどレモンの味じゃないの?」

武内P「食べてみなければ、わかりません」

アーニャ「……ニェート、凄くすっぱそう、です」

武内P「頑張ってください」

凛・アーニャ「……」

武内P「笑顔で、頑張ってください」

凛・アーニャ「……」

武内P「……わかりました。これは、私が自分で食べます」

武内P「食べてくださいと言いましたが――」


武内P「もう、あげません」



おわり

80: 2018/07/18(水) 22:49:12.35 ID:ORbDdVKSO
唐揚げにレモン反対派

引用元: 武内P「『次はお前だ』」