583: 2018/08/03(金) 21:47:46.29 ID:L3qrh5LKo

584: 2018/08/03(金) 21:51:16.09 ID:L3qrh5LKo
武内P「すぐ、復旧すると思われますが」

凛「原因は何なの?」

武内P「いえ……私にも、よくわかりません」

凛「ふーん。まあ、待ってれば良いんでしょ」


凛「――だってさ、乃々」


乃々「……!?」ガタガタ!


武内P「……」

585: 2018/08/03(金) 21:54:14.75 ID:L3qrh5LKo
凛「どうしたの? そんなに震えて」

乃々「い、いえ、その……ですね……」

凛「もしかして、体調でも悪い? 大丈夫?」

乃々「そうでは無いんですけど、その……」チラッ


武内P「大丈夫d」


乃々「っ!? うぷっ……!」

凛「どうしたの!? 気持ち悪いの!?」


武内P「……」

586: 2018/08/03(金) 21:58:55.74 ID:L3qrh5LKo
乃々「き、気持ちが悪いんじゃなくてですね……その……」ガクブル!

凛「どうしたの!? 寒いの!?」

乃々「あまりの恐怖に、もりくぼの胃が悲鳴を……!」ガクブル!

凛「平気だよ、乃々。私達だけじゃなく、プロデューサーも居るから」


武内P「はい、安心s」


乃々「っ!? うっぷ! む、むむむむぅーりぃー……!」


凛「しっかりして! 私達が付いてるから!」


武内P「……」

587: 2018/08/03(金) 22:04:00.05 ID:L3qrh5LKo
凛「プロデューサー! 何ボーッとしてるの!?」

武内P「いえ……その」

凛「乃々が、こんなに具合悪そうにしてるんだよ!?」

武内P「……彼女がそうなっている原因は、恐らくですが」チラッ


乃々「ひぅっ!? 無理です無理です無理こっぽ、ぉうっぷ!?」


凛「乃々、大丈夫! 大丈夫だから!」

凛「……ねえ! 原因は、何だって言うの!?」


武内P「……私です」


武内P「私の顔が、怖いからです」

588: 2018/08/03(金) 22:09:05.35 ID:L3qrh5LKo
凛「はあっ!? 何言ってるの!?」

武内P「……恐らく、間違いないと思われます」


武内P「エレベーターに乗り合わせただけで、既に限界が近かったのでしょう」

武内P「そして……そのエレベーターが止まってしまった」

武内P「それが、大きなストレスとなり……体調に影響を及ぼしてしまった」


乃々「ひぎっ、ひぅいぃ……! 声が低すぎるんですけ、うっぷ!?」


武内P「……」

武内P「私の声も、怖いようです」

589: 2018/08/03(金) 22:14:15.19 ID:L3qrh5LKo
  ・  ・  ・

凛「……落ち着いた?」

乃々「は、はい。ありがとうございます、少しだけ、落ち着きました……」ジィッ

凛「そうだよね……うん」

凛「知らない人から見れば、プロデューサーって怖いもんね」

乃々「怖いと言うか、もりくぼには‘氏’そのものに見えるんですけど……」


武内P「……」ピクッ


乃々「ひえっ!? い、今今今今動いたんですけど! うご、うえっ、おっ!」


凛「ちょっと、プロデューサー!」

凛「壁に顔を向けて、微動だにしないでって言ったでしょ!?」


武内P「……」

590: 2018/08/03(金) 22:20:33.07 ID:L3qrh5LKo
凛「そんな事ないよ、大丈夫だよ」

乃々「と、とてもそうは見えないんですけど……」

凛「怖いのは見た目だけ。実は、案外抜けてる所もあるんだよ?」

乃々「ぬ、抜けてる所……?」

凛「ほら、見て。頭のところ、寝癖立ってるでしょ?」


武内P「……」…ピョコンッ


乃々「……本当ですね」

凛「ふふっ! でしょ? ああいう所、少し可愛くない?」

乃々「可愛いかはわからないですけど、少しだけ、怖くなくなりました……」


武内P「……」

591: 2018/08/03(金) 22:26:36.67 ID:L3qrh5LKo
凛「何も知らないと怖いけど、さ」

乃々「……知りたくはないですけど、少しでも知ったほうが……」

凛「うん、怖くなくなるから」

乃々「あうぅ……でも、やっぱり、むぅーりぃー……」

凛「好きな食べ物、ハンバーグなんだよ」


武内P「……」


乃々「……ハンバーグ?」

凛「ふふっ! あんな見た目して、子供みたいでしょ?」

乃々「……もりくぼも、ハンバーグは嫌いじゃないですけど……」


武内P「……」

592: 2018/08/03(金) 22:34:18.86 ID:L3qrh5LKo
凛「それでね、実は乃々と共通点もあるんだ」

乃々「も、もりくぼと共通点……?」

凛「あんな見た目からは、想像出来ないんだけどね」

乃々「共通点なんて、あるはず無いんですけど……」

凛「そう思うでしょ? でも、ほら……コレ」


凛「プロデューサーの、ポエム帳」


武内P「っ!? 渋谷さん!?」

クルッ!


乃々「っ!? あばっ、ばばばっ、見た見た見た見たこっち見たんですけど!」

乃々「無理無理無理無理MRYYYYYYYYYYYYY――ッ! おえっ、おえっ!!」


凛「ちょっと! プロデューサーは見なくていいから!」


武内P「すみません! しかし、待ってください!」

武内P「お願いします、待ってください!」

593: 2018/08/03(金) 22:44:48.05 ID:L3qrh5LKo
乃々「無理です、駄目です、もりくぼ出します、うっぷ!」

凛「待って、乃々! 聞いて!」

乃々「っ……!?」


凛「――もしも、星が雲に隠れてしまったなら」

凛「――見上げた夜空は、ただの闇」

凛「――雲に隠れてしまう星に、価値は無い」


乃々「……そうです。もりくぼに、価値なんて無いですけど」シュンッ


凛「――けれど、晴れない雲は、無い」

凛「――星は、今もそこにある」

凛「――だから、雲が晴れるまで待とう」

凛「――隠れてしまった星が、また、その輝きを見せてくれるまで」


乃々「……!」ジーン!


武内P「読み上げないでください! 読み上げないでください!」

594: 2018/08/03(金) 22:53:08.20 ID:L3qrh5LKo
凛「……アイドルは、星に例えらえるよね」

乃々「……」

凛「このポエムは、そんなアイドルへの想いを綴ったものなんだ」

凛「専務が、常務だった時のやり取りを手直ししてね……」

凛「そうだよね、プロデューサー?」


武内P「お願いします……!」

武内P「話を……話をこちらに……振らないでください……!」


乃々「え、えっとですね……良ければなんですけど……」モジモジ

凛「ふふっ、他のポエムも見たい?」

乃々「は……はい……お願いします……///」


武内P「助けてください……!」

武内P「誰か……誰か、助けてください……!」

595: 2018/08/03(金) 23:04:42.02 ID:L3qrh5LKo
  ・  ・  ・

凛「それでね、何て言ったと思う?」

乃々「わからないですけど……今までの努力の成果とか、ですか?」

凛「――笑顔で、頑張ってください」

乃々「そ、それだけ、ですか……? 他にも、何か言ったと思うんですけど……」

凛「それがさ、それだけなの! ふふっ! どう思う?」

乃々「あぅぅぅ……その時の空気を想像しただけで、むーりぃー……」


武内P「お願いします……ええ、はい……はい」

武内P「早くしないと、大変な事になります……いえ、なっています」

武内P「はい……私が」

596: 2018/08/03(金) 23:12:00.74 ID:L3qrh5LKo
  ・  ・  ・

乃々「……あうぅ……やっぱり、もりくぼには無理です」

凛「乃々、頑張って」

乃々「確かに、ちょっとしたいとは思いましたけど……」

凛「思ってるだけじゃ、伝わらないよ。さあ、勇気を出して」

乃々「勇気とか無理なんですけど、でも……でも、もりくぼは……!」


乃々「あ、あの……お願いが、あるんですけど……」

乃々「無理なら無理で良いのですので、うっぷ! その、ですね……」

乃々「こ、交換ポエムをして欲し……あうあうあぅむーりぃー……」


武内P「……」

武内P「……はい、わかりました」

597: 2018/08/03(金) 23:25:58.95 ID:L3qrh5LKo
  ・  ・  ・

武内P「絵本作家になるのが夢と、そう、聞いています」

乃々「そうなんですけど……でも、アイドルをやりながらだと、むーりぃー……」

武内P「いえ、諦める必要はありません」

乃々「……えっ?」

武内P「むしろ、貴女のその夢は、諦めてはいけないものだと、そう、思います」

乃々「でも……それで、もりくぼは迷惑をかけちゃうかも……」


武内P「346プロダクションのプロデューサーは――」

武内P「――アイドルの夢を叶えるために居るのです」

武内P「担当に、どんな形でも良いので、伝えてみてください」

武内P「貴女の、その願いを叶えるために……より、輝けるために」

武内P「たとえどんなに厚い雲でも、晴らそうとするでしょう」


乃々「……!」ジーン!


凛「……」

598: 2018/08/03(金) 23:36:10.59 ID:L3qrh5LKo
武内P「今、少しだけ拝見させて頂いたポエムですが――」


乃々「っ!? か、感想は要らないんですけど……!?」

乃々「眼の前で言われるなんて、むーりぃー……!」


武内P「――優しさが溢れる、とても、素晴らしいものでした」

武内P「この様な優しい世界を描ける貴女が作る絵本は……」

武内P「……きっと、それを読んだ人間の優しさを育むでしょう」

武内P「私は――貴女が作る絵本を読んでみたいと、そう、思います」


乃々「……!」ジーン!


凛「……」

599: 2018/08/03(金) 23:42:25.77 ID:L3qrh5LKo
乃々「もりくぼ……やるくぼです……!」

武内P「……笑顔で、頑張ってください」


凛「ねえ」


武内P「? 渋谷さん?」

乃々「……凛さん?」

武内P「あの……どうか、されましたか?」


凛「……なんて言うか……なんか……!」


武内P・乃々「?」


凛「なんか! なんかなんか!」

凛「悪くないんだけど! なんか!」

600: 2018/08/03(金) 23:54:32.65 ID:L3qrh5LKo
凛「ねえ、乃々?」

乃々「は、はい……何ですか?」

凛「乃々はさ、私とプロデューサーなら、私の方が好きだよね?」

乃々「ひぅっ!?/// す、好きって……そんな、言えません、無理です……!///」

凛「大事な話なの。ねえ、答えて」

乃々「え、えと……はい……///」

凛「――うん」


凛「ねえ、プロデューサー?」

武内P「は、はい……何でしょうか?」

凛「私と乃々なら、担当してる私の方が大切だよね?」

武内P「本来は、比べるようなものではないのですが……」

凛「じゃあ、答えて。私の事、大切だと思ってる?」

武内P「渋谷さん……私は、貴女を大切だと、そう、思っています」

凛「……うん///」


武内P・乃々「……」

602: 2018/08/04(土) 00:04:55.40 ID:HGjb7apUo
凛「……つまりさ、わかる?」

凛「そう言うの、良くないと思う。違う? 違わないよね?」

凛「なんか……ね? なんか……うん」


武内P・乃々「……」


凛「の、乃々ー?」


乃々「……はい」


凛「ぷ、プロデューサー?」


武内P「……はあ」


凛「……」


凛「ふうううぅぅぅん!!」ジタバタ!

603: 2018/08/04(土) 00:10:49.81 ID:HGjb7apUo
  ・  ・  ・

凛「絶対、ここから出ないから!」ズデーン!

凛「何なの!? 私、頑張ったでしょ!?」バンバン!

凛「それなのに、納得出来ない!」ジタバタ!

凛「ふざけないでよ! ふざけないでよー!」ゴロゴロゴロゴロッ!


武内P「お願いです、渋谷さん!」

武内P「エレベーターから、出てきてください!」

乃々「り、凛さん……いつもの凛さんに戻って欲しいんですけど……!」

乃々「今の凛さんを見続けるなんて、精神的に、むーりぃー……!」


凛「ふうううぅぅぅん!!」ジタバタ!

604: 2018/08/04(土) 00:27:37.47 ID:HGjb7apUo
  ・  ・  ・

ちひろ「それで……ずっとエレベーターが止まってたんですね」

武内P「閉まろうとすると、飛び起きて……開ボタンを押して、はい」

ちひろ「また、床に転がってた……と」

武内P「……」

ちひろ「それで、あの……どうしたんですか?」

武内P「何とか説得し、移動していただきました」

ちひろ「……お疲れ様です」

武内P「……」

605: 2018/08/04(土) 00:38:44.07 ID:HGjb7apUo
武内P「いえ……話はまだ、終わっていないのです」

ちひろ「えっ?」


「あ、あの……狭いんですけど、ここに二人は無理なんですけど……」

「大丈夫だよ、乃々。もうちょっとくっつけば平気だから」


ちひろ「あの……今、足元から声が」

武内P「はい……移動しては頂けました……が」


「何なの? アンタ、私のプロデューサーでしょ?」

「ちゃんと見ててよね。でないと、承知しないから」


武内P・ちひろ「……」


「あうぅぅ……もう、むーりぃー……」



おわり

606: 2018/08/04(土) 00:58:22.11 ID:LyPXmafSO
森久保は人間をやめるんですけどー!!

607: 2018/08/04(土) 01:34:48.41 ID:YEv2iORDO
しぶりんは見た目だけでレッテルを貼られて決めつけられる苦しみを知ってるからな
援助交際してそうなアニメキャラとか…

608: 2018/08/04(土) 04:36:49.31 ID:94A+YZ+c0
乙です
久々のまともな蒼だと思ったのに…
安定のオチwww

引用元: 武内P「『次はお前だ』」