909: 2018/08/14(火) 22:26:47.80 ID:fUe1pRcEo

910: 2018/08/14(火) 22:30:18.19 ID:fUe1pRcEo
慶(ルキトレ)「はい……確認して貰えますか?」

慶「その、私が作ってみた……んですけど」

武内P「……成る程、わかりました」

武内P「確認させていただきます」

慶「おっ、お願いします!」


武内P「……」

ペラッ……ペラッ……


慶「……!」ドキドキ!

911: 2018/08/14(火) 22:33:49.86 ID:fUe1pRcEo
武内P「……こちらのメニューは、全て御自分で?」

慶「そう、ですね……姉に相談しながら作りました」ドキドキ!

武内P「……成る程」

ペラッ……ペラッ……

慶「ど、どうでしょうか?」ドキドキ!

武内P「そう、ですね……問題は、無いと思います」

ペラッ……ペラッ……

慶「ほっ、本当ですか!?」パアッ!


武内P「ただ……一つだけ、気になる点が」


慶「っ!」ドキッ!

912: 2018/08/14(火) 22:39:21.29 ID:fUe1pRcEo
慶「なっ、何が……気になったんでしょうか!?」

武内P「あ、いえ……問題という訳では、無いのですが」

慶「問題じゃ無いけど……気になった……?」

武内P「はい」


武内P「――確かに、こちらのメニューは良く出来ています」

武内P「ですが、勿体無い、と……そう、思う点が」


慶「も、勿体無い? 時間の使い方とか、でしょうか?」


武内P「貴女の――貴女自身の、個性です」


慶「私の……個性……?」

913: 2018/08/14(火) 22:47:43.69 ID:fUe1pRcEo
武内P「貴女は……そうですね、まだ、新人のトレーナーです」

武内P「経験も浅く、年齢も、アイドルの方達と離れていません」


慶「……」


武内P「……ですが」

武内P「貴女は、他のトレーナーの方と比べて――」

武内P「プロジェクトメンバーの方達と、距離が近いように見えます」

武内P「レッスン外での、個人的な交流等有るとも、聞いています」


慶「は……はい」

慶「未央ちゃんには……ルキちゃん、ってあだ名も貰ったり」


武内P「――他のトレーナーの方には無い部分」

武内P「アイドルの方と距離が近く、共に成長していく立場」

武内P「……そう言った点をメニューに活かす事は、可能でしょうか?」


慶「!」

914: 2018/08/14(火) 22:54:25.65 ID:fUe1pRcEo
慶「成る程……新人だから出来ない……じゃなく」

慶「新人だから出来る……を探す、って事ですね!」

慶「もっと、本人とお話して、最適なメニューを……!」


武内P「どう、でしょうか?」


慶「やります! やってみせます!」

慶「……申し訳ありません! メニュー、練り直してきます!」


武内P「了解しました」

武内P「すみません、お手数をおかけしてしまって」


慶「そんなっ、謝らないでください!」ワタワタ!

慶「全然……全然、問題ありませんから!」

915: 2018/08/14(火) 23:22:21.95 ID:fUe1pRcEo
武内P「他のトレーナーの方も、本人と相談してメニューを決めています」

武内P「ですが、貴女は……そこから、一歩踏み出せる」


慶「はいっ!」


武内P「頑張ってください」


慶「はいっ、任せてください!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「……」

武内P「アイドルに、興味はありませんか?」


慶「はいっ!?」

916: 2018/08/14(火) 23:29:30.75 ID:fUe1pRcEo
  ・  ・  ・

慶「――っていう事があってね!」


明(トレーナー)「……」

聖(ベテトレ)「……」

麗(マストレ)「……」


慶「言いにくい事も、友達としてなら言ってくれたりして!」

慶「今度、買い物に遊びに行く約束もして!」


明・聖・麗「……」

917: 2018/08/14(火) 23:35:18.88 ID:fUe1pRcEo
慶「プロデューサーさんもね!」

慶「――何かありましたら、いつでも来てください」

慶「なんてね! いつでも、って!」


明・聖・麗「……」


慶「怖い人かも、って思ってたけど……違って」

慶「凄く、親身に話を聞いてくれて……じゃなくて!」

慶「とにかく! すっごくね! やる気が出てね!」


明・聖・麗「……」

918: 2018/08/14(火) 23:42:53.56 ID:fUe1pRcEo
慶「なんだか……そう、キラキラ」

慶「トレーナーとして、頑張っていこう、って!」

慶「世界が、キラキラして見えるようになったの!」


明・聖・麗「……」


慶「そ、それでね……? ちょっと、聞きたいんだけど」

慶「その……プロデューサーさん、って」

慶「今、特定の……って、ごめん! なんでもない!」


明・聖・麗「……」


慶「今は、トレーナーとして……頑張らないと!」

919: 2018/08/14(火) 23:50:32.03 ID:fUe1pRcEo
  ・  ・  ・

麗「第三回、トレーナー会議を始める」

聖「議題は……一回目、二回目と同じ」

明「……私の時も、こんな事してたんですか?」


麗・聖「うむ」


明「……」

麗「早速だが、対策を考えよう」

聖「明は、何かあるか?」

明「……ちなみに、前回出た対策とかは?」


麗・聖「無い」


明「……」

920: 2018/08/15(水) 00:00:16.84 ID:V0sj96NBo
麗「全く……プロデューサー殿も困ったものだ」

聖「本当に……罪な男」

明「姉妹……四人揃って」


麗・聖・明「……」


麗「まあ、全てにおいて、私が一番隣に立つに相応しいが?」

聖「今、隣に立っていないのは、相応しくないという証明では?」

麗「あ?」

聖「お?」

麗・聖「ん?」


明「はい、ストップ! ストーップ!」

921: 2018/08/15(水) 00:08:24.33 ID:V0sj96NBo
明「今は、私達が言い争ってる場合じゃないでしょう!?」

麗「……まあ」

聖「……確かに」

麗「私達が、ここで足を引っ張り合っても……意味が無い」

聖「そうしている間に……縮めようのない距離が生まれるかもしれないし、な」

明「……」


明「スタート!」


麗・聖「ん?」


明「1・2・3・4! 5・6・7――」


麗・聖「……」


明「――冗談です」

922: 2018/08/15(水) 00:15:22.15 ID:V0sj96NBo
明「ただ……慶は、まだ19歳」

明「そんなに焦る必要は、無いと思います」

麗「おい、それはどういう意味だ?」

麗「28歳の私は焦ったほうが良いと、そう言っているのか?」

明「そういう意味でなく!」

聖「むしろ、焦っていなかった方が驚きだ」

聖「なあ、明もそう思うだろう?」

明「そういう振りはやめてください!」

923: 2018/08/15(水) 00:31:27.45 ID:V0sj96NBo
麗「焦る必要が無かっただけだ!」

聖「なら、どうしてその歳で独り身なんだ?」

麗「フッ! 忙しさにかまけていたら、誕生日を忘れていただけだ!」

聖「ハッ! 夏だからと言って、怖い話をする必要は無いぞ?」

麗「だが、プロデューサー殿は覚えていた! 私の誕生日を!」

麗「――キュンとした!」

聖「それが、自分だけだとでも?」

麗「何?」

聖「私の誕生日も覚えていた! そして、プレゼントも!」

聖「キュン?……ハッ! キュンキュンした!」

明「あの……前までも、こんな感じで?」


麗・聖「うん」


明「……」

924: 2018/08/15(水) 00:39:36.75 ID:V0sj96NBo
明「それと……言おうか迷ったんだけど」

麗「む? 何だ?」

聖「遠慮する必要はない」

明「今回が、第三回で……第二回が、二人で?」

麗・聖「ああ」

明「それじゃあ……第一回は?」

麗「何を言っている。そんなもの――」


麗「――お父さん、お母さんとに決まっているだろう」


明「家族会議が、第一回!?」

925: 2018/08/15(水) 00:46:17.78 ID:V0sj96NBo
明「会議というか、それは相談!」

聖「ちなみに……どの様な内容の話が?」

麗「そうだな……」


麗「お母さんは、どうしてお父さんと結婚しようと思ったか」

麗「お父さんは、お母さんのどんな所が好きになったのか」

麗「そこから、その時の私に、特定の相手が居るか……等」

麗「聞いていて、途中でスポーツドリンクになりたくなった」

麗「せめて、誰かの渇きを癒やして消えてなくなりたいと思った」


聖・明「……」

926: 2018/08/15(水) 00:57:01.24 ID:V0sj96NBo
麗「何故、私はトレーニングをマスターしてしまったのだろう」

麗「何故、私は恋愛をマスターしようとしなかったのだろう」

麗「ダンスレッスンより、恋のレッスンがしたい! 出来ない!」

麗「私だって踊りたいさ! 熱く、激しいランバダを!」


聖「ランバダ……男女ペアで踊る……」

明「かなり密着度が高い……あれですね」


麗「……すまない、取り乱した」


聖・明「……いや、大丈夫」

927: 2018/08/15(水) 01:06:54.53 ID:V0sj96NBo
麗「私の年齢でも、アイドルとして頑張っている者も居る」

麗「いや、私より年上のアイドルだっているんだ」

麗「彼女達は……私に、勇気をくれる」

麗「だから、セーフ……まだ、セーフ……よし、セーフ!」


明「とっ、とにかく!」

明「慶が私情を挟んで、仕事に支障が出ないようにしないと!」


聖「……ああ、そうだな」

聖「つまり、第二回の時に出た結論と、同じという訳だ」


明「えっ?」


聖「――良い感じになりそうになったら、邪魔をする」


明「……」

明「えっ?」

928: 2018/08/15(水) 01:18:17.45 ID:V0sj96NBo
明「ねえ……そんな事してたの?」

麗「ん? してたぞ?」

聖「ああ、してたしてた」

明「ノリが軽い!」

麗「ならば、手をこまねいて見ているのか?」

聖「慶はまだ十代、勢いは相当なものだろう」

明「……」

明「……あ――」


明「姉より優れた妹など、存在しない!」


麗「フッ……やはり、私達は姉妹だな」

聖「ああ……同盟成立、だな」

明「ええ……頑張りましょう」


麗・聖・明「笑顔で」

929: 2018/08/15(水) 01:35:56.53 ID:V0sj96NBo
  ・  ・  ・

ちひろ「最近、皆の上達ぶりが凄いですよね」

武内P「ええ……本人達の努力もそうですが」

武内P「トレーナーの方達も、頑張ってくれているようですから」

ちひろ「はい、皆さん……とても忙しそうにしてますもんね」

武内P「……」

ちひろ「? どうかしたんですか?」

武内P「あ、いえ……その……ですね」


武内P「最近……トレーナーの方達に、避けられている気がして」

武内P「気のせいだと思うのですが……その」

武内P「誰かと話していると、必ず他の誰かが呼びに来るのです」


ちひろ「……」

930: 2018/08/15(水) 01:55:06.91 ID:V0sj96NBo
ちひろ「ま、まあ! 偶然ですよ、偶然!」

武内P「……だと、良いのですが」

ちひろ「大丈夫ですよ、プロデューサーさん!」


ちひろ(……プロデューサーさんは、知らない)

ちひろ(彼女達の、水面下での激しい戦いを)

ちひろ(トレーナーさん……青木姉妹の、足の引っ張り合いを)

ちひろ(でも……それで良いの)

ちひろ(アイドルと、プロデューサーじゃない――)

ちひろ(――立場的に、セーフな人たちが潰し合ってる)

ちひろ(それは……つまり――)


ちひろ「全部、順調ですから♪」



おわり

931: 2018/08/15(水) 02:00:13.32 ID:iIwX9u380
漁夫の利、ちっひー

引用元: 武内P「『次はお前だ』」