1: 2023/02/14(火) 22:32:16.01 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「うーん……」

栞子「甘いものかビターなものか…」

栞子「苺などの味付きの方がいいでしょうか…」



薫子「栞子~」

薫子「お?」

栞子「うーん」

薫子「栞子!なーにぶつぶつ言ってんの?」

栞子「あ、姉さん」

薫子「何この本…チョコレート特集?」

栞子「ちょっと、見ないでください」

薫子「いいじゃない。減るもんじゃないし」

薫子「あっ、バレンタインだもんね。そういえば」

2: 2023/02/14(火) 22:33:39.50 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「…」

薫子「もしかして誰かにあげる予定?」

栞子「それはもちろん…同好会の皆さんや生徒会の方々へ……」

薫子「そうじゃなくてぇ」

薫子「ほ、ん、め、い」

栞子「っ!」

薫子「お!その反応はいるってことでしょ!」

栞子「い、いません!勝手に盛り上がらないでください!」

薫子「いいんだよ隠さないで~、お姉ちゃんに相談してごらんなさい」

栞子「……」

薫子「ね、栞子」

栞子「……」

薫子「誰にも言わないから」

3: 2023/02/14(火) 22:35:09.60 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「……しずくさん」

薫子「…しずく?」

栞子「しずくさんに…チョコを渡したいです……バレンタインに…」

薫子「へぇ~」ニヤニヤ

薫子「ちゃんといるじゃん!もう可愛いな!」

栞子「……///」

栞子「その……ね、姉さんに頼みたいことがあるんです」

薫子「ん?なんでも言って?」

栞子「チョコを、一緒に買うのを選んで欲しいんです」

薫子「え」

薫子(作るんじゃなくて買う方なのね……まあ、作るんならレシピ本読んでるか)

5: 2023/02/14(火) 22:36:21.46 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「なんですか?」

薫子「ん、いや、大体本命に渡すのって手作りなんじゃないのかなーって思ってさ」

栞子「それは……作ったことのない私が不恰好なものを渡すわけにはいきませんし」

栞子「それに手作りチョコは来年渡そうかな、と……///」

薫子(ら、来年の予定まで組み立ててる!ピュア~~!)

薫子「そういうことなら分かった。お姉ちゃんに任せときなさい」

薫子「しずくちゃんに喜んでもらえるチョコを探しに行くよ」

栞子(しずくちゃん…?)

薫子「さっそく出掛けるから支度して!」

栞子「は、はい!」

7: 2023/02/14(火) 22:38:17.61 ID:x3U1Gi4d.net
ーー



薫子「まぁ、こう見えて私もバレンタイン経験豊富だから任せといてよ」

栞子「姉さんもチョコを渡すのに悩んだりしたんですか?」

薫子「ん~、私は貰う専門だったから。そういう悩みは」

栞子「…そうですか」

薫子「ほら、どんなのを貰ったら嬉しいか分かるじゃない?そういう役には立てるよ」

栞子「参考にはさせていただきます」

栞子「えっと…結構種類がありますね…」

薫子「最近はこんなのあるんだ。あ、これ可愛い」

栞子(実際見てみると色んな種類が入ったチョコの商品が多いですね……)

8: 2023/02/14(火) 22:39:05.28 ID:x3U1Gi4d.net
栞子(しずくさんそんなに食べれるでしょうか……)


~~

栞子『しずくさん、受け取ってくれますか?』

しずく『えっ、もしかして……チョコ?』

栞子『はい、その…バレンタインなので…///』

しずく『ふふっ、そっか。ありがとう栞子さん』

しずく『開けてもいい?』

栞子『はい!』

しずく『…あ、可愛い!アソートメントだ。色んなチョコが入ってる』

栞子『悩んだのですが、種類の多いものなら楽しめるかなと』

しずく『うん、嬉しいよ!』

~~


栞子「…」

薫子「なにニヤニヤしてんの」

栞子「してませんが」

9: 2023/02/14(火) 22:40:48.61 ID:x3U1Gi4d.net
薫子「ほら!ガトーショコラとかあるよ」

栞子「ふむ…」

薫子「確か私もガトーショコラ何回か貰ったことあったな~」

栞子「へぇ…美味しそうですね」

~~


栞子『しずくさん、実は渡したいものがあるんです』

しずく『ひょっとして……バレンタイン?』

栞子『へっ///』

しずく『もしかして当たり?』

栞子『そ、そうです!どうぞ!』

しずく『ありがとう栞子さん。ふふ、なんだろう』

しずく『…これはガトーショコラかな』

栞子『はい』

しずく『濃厚な焼けたチョコのいい匂い…』

栞子『あの、こちらの紅茶と一緒に召し上がっていただけたらより美味しくなるかと』

しずく『これもいいの?嬉しい…食べるのが楽しみ』

~~


栞子「…」

薫子「おーい」

12: 2023/02/14(火) 22:46:36.39 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「…」

薫子「なにニヤニヤ…」

栞子「してません」

薫子「んー、トリュフは?チョコレートトリュフって結構人気あるよ」

栞子「トリュフ…食べたことないですね」

薫子「そうなの?もったいないわね。これが甘くて美味しいんだ」

栞子「また貰ったことが?」

薫子「ある!」

栞子「なるほど昔から人気なのですね」

薫子「昔って…そんなに歳取ってないわよ」

薫子「じゃあ私買おうかな」

栞子「え」

薫子「なに?」

13: 2023/02/14(火) 22:48:22.36 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「姉さんも誰かにあげる予定あるんですか?」

薫子「まあね」

栞子「そうなんですか…」

薫子「なに?意外?」

栞子「先程貰う専門などと言ってたので」

薫子「そう!貰う専門の私があげるほど大事な人!」

薫子「しかも…本命!」

栞子「本命ですか…」

薫子「ふふ、気になる?」

栞子「いえ」

薫子「なんでさっぱりしてんのよ。いいわよ興味無いんなら」

薫子「そうねぇ…」

薫子「ちょっと値段上がるけどウィスキーボンボンなんかどう?」

栞子「ウィスキーボンボン?」

14: 2023/02/14(火) 22:51:37.17 ID:x3U1Gi4d.net
薫子「少しだけチョコの中にお酒のウィスキーが入ってんの」

栞子「お酒!?しずくさんは未成年なのでダメですよ」

薫子「大丈夫よ、度数も2%も無いし。子供にもコアな人気あるのよ」

薫子「私も何個も貰ってたし。嬉しかったな~ミルクチョコとかの合間にウィスキーボンボンが混じってるのを見つけた時!」

栞子「教育者の発言とは思えませんね」

栞子「……」


~~

しずく『栞子さん…なんだかボーっとしてきちゃった……』

栞子『お酒が少量とはいえ食べ過ぎですよ…』

しずく『だって美味しかったから……』

栞子『お水持ってきましょうか?』

しずく『ううん…大丈夫…』

しずく『それにしても暑くない?』

栞子『先程まで暖房をつけてましたから』

しずく『冷房つけようよ』

栞子『ダメですよ。後から来た生徒会の人達が寒がってしまいます』

しずく『じゃあ……栞子さんが冷やしてくれる?』

栞子『……っ』

15: 2023/02/14(火) 22:53:24.30 ID:x3U1Gi4d.net
しずく『栞子さんの身体、ヒンヤリとして気持ちいい…』

栞子『しずくさん…近いです…』

しずく『この熱、分けてあげる…』

~~


栞子「……」

薫子(…うちの妹大丈夫かな)

薫子「そうだ、ティラミスなんてどう?」

栞子「え?ティラミスはチョコでは…」

薫子「チョコじゃないけど、チョコがちょっと苦手な人とか色が近いから送る人も多いみたいよ」

栞子「なるほど…」

栞子「……」


~~

栞子『しずくさんに食べて欲しくて持ってきました!』

しずく『え?私に?』

17: 2023/02/14(火) 22:54:13.60 ID:x3U1Gi4d.net
栞子『受け取ってください!』

しずく『ふふっ、ありがとう』

しずく『なになに~?あ、ティラミス!』

栞子『今日はバレンタイン…ですので…』

しずく『そっか…嬉しいよ栞子さん』

栞子『溶けてませんか?』

しずく『大丈夫、冷たいよ。けどティラミスは柔らかそう』

しずく『食べてもいい?』

栞子『もちろんです!』

しずく『じゃあ、いただきます。あむっ…』

しずく『ん~…美味しい。口の中でふわりとろけるように…』

しずく『栞子さん、あーん』

栞子『いいんですか?』

しずく『うん、一緒に食べよ?』

栞子『はい!』

栞子『あ~ん…』

~~

19: 2023/02/14(火) 22:56:57.93 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「……」

薫子「私お会計してくるから、あんたも早く決めなよ」

栞子「…はっ」

栞子(いろいろ見ましたがどれも魅力的で美味しそうです…)

栞子(こうも沢山あると迷ってしまいます。やはり値段が高いものの方が美味しいのでしょうか…)

栞子「……」


しずく『嬉しい…ありがとう…』ニコッ


栞子「……」

栞子「これにしましょう」



栞子「お願いします」

「こちらラッピングの方はいかがいたしますか?」

栞子「大丈夫です」

「かしこまりました。では簡単な包装をさせていただきます」

栞子「はい」

20: 2023/02/14(火) 22:59:28.45 ID:x3U1Gi4d.net
ーー
ーー

テクテク

薫子「ラッピングしてもらわなかったんだ。無料でしてもらえたのに」

栞子「はい、ラッピングは自分でしようと決めてまして」

薫子「へぇ~、どんなのにするの?」

栞子「しずくさんは犬がお好きなので、可愛い犬が描かれたラッピング袋に入れて渡そうと思ってます」

薫子(犬とチョコ………いや、無粋なツッコミはやめとこ)

栞子「リボンはしずくさんが頭に付けているのに似たようなものを見つけたのでそれで結ぼうかと」

薫子「……」

薫子「……はい、栞子」

栞子「なんですか?」

薫子「少し早めのバレンタイン」

栞子「え?」

22: 2023/02/14(火) 23:02:07.01 ID:x3U1Gi4d.net
栞子「これは、さっき姉さんが買っていたチョコレートトリュフじゃないですか」

薫子「うん、そうよ」

栞子「だって大事な人に渡す本命って…」

薫子「私が栞子以外に本命なんているわけないでしょ!」

薫子「久しぶりのお姉ちゃんからのバレンタイン、受け取って?」

栞子「姉さん……」

栞子「ありがとうございます」

薫子「……もう!いつから好きな人が出来るくらい大きくなったのよ!」ワシャワシャ

栞子「ちょっと!?やめてください!ここ外なんですよ!?」

栞子「…髪がボサボサになりました」

薫子「頑張んなよ」

24: 2023/02/14(火) 23:05:33.87 ID:x3U1Gi4d.net
バレンタイン当日


生徒会室

栞子「はぁ……」

栞子(同好会でのバレンタインお渡し会までに、しずくさんに渡したいと思ってましたが……)

12:40

栞子「もうお昼になってしまいました」

栞子「しずくさんとは学科も教室も違うので朝以外でお会いする機会がありません…」

栞子「……渡すとするならば、このお昼休憩の時間だけです!」

栞子「……」

栞子「メッセージでしずくさんを呼びましょう…」

ポチポチ

栞子[生徒会室に来れますか?]

ポヒュン

しずく[待ってて]

栞子「へ、返信が早いですね」

コンコン

栞子「…え!?」

25: 2023/02/14(火) 23:07:24.39 ID:x3U1Gi4d.net
ポヒュン

しずく[着いたよ]

栞子「本当にしずくさん…」

ガチャ

しずく「はぁ…はぁ…栞子さん、お待たせ」

栞子「しずくさん、どうしました?息も切らして」

しずく「どうましたって栞子さんが呼んだから…」

栞子「いえ…こんなに早く来てくれるとは思わず」

栞子(あ、しずくさんの後ろ手に手提げ袋)

しずく「確かに早かったかな…」

栞子「しずくさんもチョコを沢山貰ったのですね」

しずく「え?あ…うん。クラスの皆や演劇部の人達からとか……えへへ、朝から大変だったよ」

27: 2023/02/14(火) 23:14:08.64 ID:x3U1Gi4d.net
栞子(他の人はそんなにしずくさんに渡すタイミングがあったのですか…)

栞子「……」チラッ

12:47

栞子(あぁ、あまりモタモタしてるとこのお昼休憩も終わってしまいます)

栞子「し、しずくさん!」

しずく「は、はい!?」

栞子「その、実は渡したいものがありまして」

しずく「私に?」

栞子「はい。本当はもっと余裕を持って渡したかったのですが……」

しずく「……」

栞子「私の気持ちを受け取ってください」

栞子「これを────────」

28: 2023/02/14(火) 23:15:04.55 ID:x3U1Gi4d.net

ーー




薫子「どうだった?」

栞子「結婚を前提のお付き合いをすることになりました」

薫子「えーーーー!?」




おしまい

引用元: 栞子「しずくさんにチョコを渡したいです」