1: 2016/09/09(金) 22:36:03.82 ID:QZDd7OTS0.net
曜(土曜日なのにいきなり梨子ちゃんから連絡がきて)
曜(何の用事か聞いても答えてくれないので、とりあえず急いで部室まで来てみたら)
曜(なぜか白衣に眼鏡姿の梨子ちゃんが、指し棒片手に待ち構えていた)
梨子「じゃあそういうわけで、講義始めるわよー」
曜「どういうわけかわかんないよ!!急に呼び出してきたと思ったら!!」
曜(何の用事か聞いても答えてくれないので、とりあえず急いで部室まで来てみたら)
曜(なぜか白衣に眼鏡姿の梨子ちゃんが、指し棒片手に待ち構えていた)
梨子「じゃあそういうわけで、講義始めるわよー」
曜「どういうわけかわかんないよ!!急に呼び出してきたと思ったら!!」
2: 2016/09/09(金) 22:36:55.93 ID:QZDd7OTS0.net
4: 2016/09/09(金) 22:38:44.60 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「ほら、この前曜ちゃんレOになったじゃない?」
曜「なってないよ!誤解されるようなこと言わないでよ!」
梨子「レOへの第一歩を踏み出したじゃない?」
曜「それもなんかやだよ!踏み出してないから!」
梨子「えー……だって曜ちゃん、最初あれだけ拒否してたのに、最後には受け入れるどころか自分から求めてきたじゃない」
曜「だから変な言い方するのやめてよぉ!ま、間違ってはいないけど……あれは別に、ちょっとは面白いかなーって思っただけで……」
梨子「ガチレOに種類があると知り始めたばかりなんだから、研究が必要でしょ?」
曜「そんな酷く歌詞改変しないでよ!!その曲好きなのに!!」
梨子「まあ、とりあえず興味が出てきたことには変わりないんだし!そんな曜ちゃんに色々教えようと思って♪」
曜「なってないよ!誤解されるようなこと言わないでよ!」
梨子「レOへの第一歩を踏み出したじゃない?」
曜「それもなんかやだよ!踏み出してないから!」
梨子「えー……だって曜ちゃん、最初あれだけ拒否してたのに、最後には受け入れるどころか自分から求めてきたじゃない」
曜「だから変な言い方するのやめてよぉ!ま、間違ってはいないけど……あれは別に、ちょっとは面白いかなーって思っただけで……」
梨子「ガチレOに種類があると知り始めたばかりなんだから、研究が必要でしょ?」
曜「そんな酷く歌詞改変しないでよ!!その曲好きなのに!!」
梨子「まあ、とりあえず興味が出てきたことには変わりないんだし!そんな曜ちゃんに色々教えようと思って♪」
7: 2016/09/09(金) 22:40:38.36 ID:QZDd7OTS0.net
曜「い、いや、いいよ!そんなのわざわざ教えてもらうほど、きょ、興味ないし……」
梨子「またそんなこと言って。自分に嘘つくなんて曜ちゃんらしくないよ?」
曜「う、嘘なんかついてないよ!……とにかく、用事がそれだけなら、私はこれで……」
梨子「ちなみに、講義資料用に新しく書いた小説を二つ用意してるんだけど、両方とも千歌ちゃん出てくるよ?」
曜「……!?」
梨子「まあ、曜ちゃんが帰るって言うなら仕方ないかな……」
曜「……って思ったけど!!今日何も予定ないし、せっかくだから聞いていこうかな!うん!」
梨子(ちょろい)
梨子「またそんなこと言って。自分に嘘つくなんて曜ちゃんらしくないよ?」
曜「う、嘘なんかついてないよ!……とにかく、用事がそれだけなら、私はこれで……」
梨子「ちなみに、講義資料用に新しく書いた小説を二つ用意してるんだけど、両方とも千歌ちゃん出てくるよ?」
曜「……!?」
梨子「まあ、曜ちゃんが帰るって言うなら仕方ないかな……」
曜「……って思ったけど!!今日何も予定ないし、せっかくだから聞いていこうかな!うん!」
梨子(ちょろい)
9: 2016/09/09(金) 22:41:40.62 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「よし、じゃあ改めて、資料の2ページを開いて」
曜「うん……」ペラッ
梨子「じゃあまず、そもそも"攻め"と"受け"とは何なのか、噛み砕いて説明していくわ」
梨子「例外はあるけど、一般的にレOの恋愛っていうのは女の子2人組──これをカップリングと呼ぶわ──で成立するの」
曜「まあ、それは男女でもそうだしね」
梨子「そう。男女カップルでは、基本的に男性がリードするものとされているけど、女の子2人の場合はどうするのって話になるでしょ?」
梨子「そのとき、リードする方が"
攻め"、される方が"受け"と呼ばれるの」
曜「ほ、ほうほう」
梨子「まあ簡単に言うと、襲いかかる方が"攻め"で襲われる方が"受け"ってこと」
曜「身も蓋もないね」
曜「うん……」ペラッ
梨子「じゃあまず、そもそも"攻め"と"受け"とは何なのか、噛み砕いて説明していくわ」
梨子「例外はあるけど、一般的にレOの恋愛っていうのは女の子2人組──これをカップリングと呼ぶわ──で成立するの」
曜「まあ、それは男女でもそうだしね」
梨子「そう。男女カップルでは、基本的に男性がリードするものとされているけど、女の子2人の場合はどうするのって話になるでしょ?」
梨子「そのとき、リードする方が"
攻め"、される方が"受け"と呼ばれるの」
曜「ほ、ほうほう」
梨子「まあ簡単に言うと、襲いかかる方が"攻め"で襲われる方が"受け"ってこと」
曜「身も蓋もないね」
10: 2016/09/09(金) 22:43:19.26 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「単純に攻めや受けと言っても、さらにそこから種類が別れるのだけど、今回はそれはいいから基本を学びましょう」
梨子「さて、これは攻め受け論で一番大切なことなのだけれど……この人は絶対攻めだ!受けだ!って決まってるものではないの」
曜「え、そうなの?」
梨子「そう。もちろん、どっちの方が似合うっていう傾向とかはあったりするけど……カップリングのどちらを攻めにしてどちらを受けするかはこっちの自由」
梨子「ただ、その選択は妄想のクオリティに多大な影響を与えるものなの。微妙かと思っていたカップリングが、攻守を入れ替えてみたら一気に魅力的になった……なんてのはよくある話よ」
曜「じ、じゃあ、この前の小説の攻め受けを逆にしたら、全然違うものになったりするってこと?」
梨子「その通り!この前はマリダイだったものをダイマリにしたりしたら、それはそれで素晴らしい別作品が産まれると思うわ!」
梨子「あ、ちなみにカップリングは名前の何文字かずつをとって呼ぶものだけど、先に名前が付く方が攻めで、後に付く方が受けというのが一般的よ」
曜「そうなんだ……語呂で決めてるのかと思ってた」
梨子「さて、これは攻め受け論で一番大切なことなのだけれど……この人は絶対攻めだ!受けだ!って決まってるものではないの」
曜「え、そうなの?」
梨子「そう。もちろん、どっちの方が似合うっていう傾向とかはあったりするけど……カップリングのどちらを攻めにしてどちらを受けするかはこっちの自由」
梨子「ただ、その選択は妄想のクオリティに多大な影響を与えるものなの。微妙かと思っていたカップリングが、攻守を入れ替えてみたら一気に魅力的になった……なんてのはよくある話よ」
曜「じ、じゃあ、この前の小説の攻め受けを逆にしたら、全然違うものになったりするってこと?」
梨子「その通り!この前はマリダイだったものをダイマリにしたりしたら、それはそれで素晴らしい別作品が産まれると思うわ!」
梨子「あ、ちなみにカップリングは名前の何文字かずつをとって呼ぶものだけど、先に名前が付く方が攻めで、後に付く方が受けというのが一般的よ」
曜「そうなんだ……語呂で決めてるのかと思ってた」
11: 2016/09/09(金) 22:45:01.61 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「まあそんな感じで、組み合わせには無限の可能性があると言っても過言ではないの」
梨子「だから曜ちゃんには、攻めと受けの違いを意識した上で、今回用意したものを読んでもらいます!」
曜(き、きた……)
梨子「今回は、千歌ちゃんを攻めにしたものと、受けにしたものを一つずつ用意したわ。相手はそれぞれ違うんだけどね」
曜「ち、ちなみに……なんでどっちも千歌ちゃんにしたの?」
梨子「え?だって曜ちゃんから返ってきたノート、あからさまにようちかのページだけ何度も読み返した跡が……」
曜「わあああああああ!!!違うから!!気のせいだから!!!」
梨子「だから曜ちゃんには、攻めと受けの違いを意識した上で、今回用意したものを読んでもらいます!」
曜(き、きた……)
梨子「今回は、千歌ちゃんを攻めにしたものと、受けにしたものを一つずつ用意したわ。相手はそれぞれ違うんだけどね」
曜「ち、ちなみに……なんでどっちも千歌ちゃんにしたの?」
梨子「え?だって曜ちゃんから返ってきたノート、あからさまにようちかのページだけ何度も読み返した跡が……」
曜「わあああああああ!!!違うから!!気のせいだから!!!」
12: 2016/09/09(金) 22:47:34.19 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「まあ、理由は他にもあるわ。それはすなわち、千歌ちゃんが持つ可能性……!」
曜「か、可能性?」
梨子「さっきも言ったとおり、決まりはないと言っても、この人はこっちの方が似合うっていうイメージは基本的にあるものなの」
梨子「でも千歌ちゃんは、攻めと受け、どちらにおいてもその魅力を最大限に発揮できる逸材!」
曜「!!」
梨子「まあこれもあくまで私の主観なのだけど……曜ちゃんならわかるはずよ。攻めの千歌ちゃんと受けの千歌ちゃん、そのどちらも多大な可能性を秘めていると」
曜(攻めの千歌ちゃんと、受けの千歌ちゃん……)
曜(…………)
梨子「曜ちゃん、顔真っ赤よ?」
曜「い、いやその!これは……!」
梨子「さあ、曜ちゃんが理解してくれたところで、早速読んでいきましょう♪資料の4ページを開いて♪」
曜(うう……やっぱりいけないことしてる気分になってきた……)ペラッ
曜「か、可能性?」
梨子「さっきも言ったとおり、決まりはないと言っても、この人はこっちの方が似合うっていうイメージは基本的にあるものなの」
梨子「でも千歌ちゃんは、攻めと受け、どちらにおいてもその魅力を最大限に発揮できる逸材!」
曜「!!」
梨子「まあこれもあくまで私の主観なのだけど……曜ちゃんならわかるはずよ。攻めの千歌ちゃんと受けの千歌ちゃん、そのどちらも多大な可能性を秘めていると」
曜(攻めの千歌ちゃんと、受けの千歌ちゃん……)
曜(…………)
梨子「曜ちゃん、顔真っ赤よ?」
曜「い、いやその!これは……!」
梨子「さあ、曜ちゃんが理解してくれたところで、早速読んでいきましょう♪資料の4ページを開いて♪」
曜(うう……やっぱりいけないことしてる気分になってきた……)ペラッ
14: 2016/09/09(金) 22:50:16.25 ID:QZDd7OTS0.net
攻め受け分類学講義資料~りこちか編~
自動ドアをくぐると、普段あまり馴染みのない騒音が買い物帰りの二人を襲った。少したじろぎながらも、ゆっくりと歩を進めていく。
「いやー、やっぱりこの音は慣れないねえ」
軽く耳を抑えながら言うと、梨子の苦笑が返ってくる。都会育ちとはいえ梨子もあまり来たことがなかったのか、気持ちをわかってくれているように見えた。
『うーん……なら千歌ちゃん、最後にプリクラ撮りに行こう?』
2人で沼津でショッピングをした後で、こう提案したのは梨子だった。
そもそも何故今日一緒に買い物をしに来ることになったかというと、千歌が余所行き用の服を選ぶのを手伝ってもらうよう梨子に頼んだからだ。
自動ドアをくぐると、普段あまり馴染みのない騒音が買い物帰りの二人を襲った。少したじろぎながらも、ゆっくりと歩を進めていく。
「いやー、やっぱりこの音は慣れないねえ」
軽く耳を抑えながら言うと、梨子の苦笑が返ってくる。都会育ちとはいえ梨子もあまり来たことがなかったのか、気持ちをわかってくれているように見えた。
『うーん……なら千歌ちゃん、最後にプリクラ撮りに行こう?』
2人で沼津でショッピングをした後で、こう提案したのは梨子だった。
そもそも何故今日一緒に買い物をしに来ることになったかというと、千歌が余所行き用の服を選ぶのを手伝ってもらうよう梨子に頼んだからだ。
17: 2016/09/09(金) 22:53:21.40 ID:QZDd7OTS0.net
以前東京に行った日に自分で選んだ服は、それはもう酷いものだったらしく、自覚がなかった千歌はその事実に密かに凹んだ。
ならば都会人だった梨子にアドバイスを仰ぐしかない、という安易な考えのもと行動したのだが、果たしてその考えは上手くいった。最低限の出費で可愛いものを買うことができたし、何より2人で一緒に買い物するのはこの上なく楽しかった。
しかし楽しかったとはいえ、梨子を1日付き合わせてしまったことに変わりはない。何かお礼をする、と申し出たところ、ここに来ることになったのだ。
「でも、よかったの?これってお礼になってないような……」
「いいの。私はそれで嬉しいもの」
梨子は明るくそう答えた。まあ本人がそう言うならいいかな、などと思っているうちにプリクラコーナーを発見した。
適当な種類のものを選びブースに入ると、騒音がいくらかはマシになった。大きめにしていた声量を元に戻し、梨子と一緒に機械を操作していく。
ならば都会人だった梨子にアドバイスを仰ぐしかない、という安易な考えのもと行動したのだが、果たしてその考えは上手くいった。最低限の出費で可愛いものを買うことができたし、何より2人で一緒に買い物するのはこの上なく楽しかった。
しかし楽しかったとはいえ、梨子を1日付き合わせてしまったことに変わりはない。何かお礼をする、と申し出たところ、ここに来ることになったのだ。
「でも、よかったの?これってお礼になってないような……」
「いいの。私はそれで嬉しいもの」
梨子は明るくそう答えた。まあ本人がそう言うならいいかな、などと思っているうちにプリクラコーナーを発見した。
適当な種類のものを選びブースに入ると、騒音がいくらかはマシになった。大きめにしていた声量を元に戻し、梨子と一緒に機械を操作していく。
18: 2016/09/09(金) 22:55:44.77 ID:QZDd7OTS0.net
適当に設定をすませ、一回目の撮影に入る。しかしよく考えたら、どんなポーズで撮るかを全く決めていなかった。
「梨子ちゃん、どうする?なんのポーズとる?」
「あ、そうだ。私やってみたいポーズあるの」
訊いた身で言うのもおかしな話だが、その返答は少し意外だった。こういうのを積極的に提案してくるタイプではないと思っていたが、少人数のときは別なのかもしれない。
「いいよ!じゃあ、私どうすればいい?」
何にせよ、それに乗らない手はない。自分から案を出してくれたことに少し喜びを感じながら、梨子に訊ねる。
「じゃあ千歌ちゃん、こっち向いて?」
言われるがままに梨子の方に身体ごと向けて、驚いた。梨子の顔が思いの外すぐ近くにあったからだ。
(わっ……)
咄嗟のことに驚き、思わず顔を背ける。梨子も似たようなリアクションをしていそう、などと思っていたら。
(……えっ)
顎に力が加わり、梨子の方に向き直させられた。力の正体は、添えられた梨子の指だった。
「梨子ちゃん、どうする?なんのポーズとる?」
「あ、そうだ。私やってみたいポーズあるの」
訊いた身で言うのもおかしな話だが、その返答は少し意外だった。こういうのを積極的に提案してくるタイプではないと思っていたが、少人数のときは別なのかもしれない。
「いいよ!じゃあ、私どうすればいい?」
何にせよ、それに乗らない手はない。自分から案を出してくれたことに少し喜びを感じながら、梨子に訊ねる。
「じゃあ千歌ちゃん、こっち向いて?」
言われるがままに梨子の方に身体ごと向けて、驚いた。梨子の顔が思いの外すぐ近くにあったからだ。
(わっ……)
咄嗟のことに驚き、思わず顔を背ける。梨子も似たようなリアクションをしていそう、などと思っていたら。
(……えっ)
顎に力が加わり、梨子の方に向き直させられた。力の正体は、添えられた梨子の指だった。
20: 2016/09/09(金) 22:57:22.44 ID:QZDd7OTS0.net
細い指から伝わるその力は、さほど大きいものではない。その気になれば、すぐに振り払うことができるだろう。
だというのに、千歌は梨子から逃れることができなかった。
「ふふっ……千歌ちゃんかわいい」
囁くような声に顔が熱くなる。千歌の顎を持つ梨子の表情は、今まで見たことがないようなものだった。余裕があるように見えて、しかし奥底には燃えんばかりの熱さを秘めていた。
恥ずかしくてたまらないのに、やはり梨子から目をそらすことはできない。指、瞳、吐息、熱。梨子の全てが、千歌を捕らえて離さなかった。
『3、2、1……』
不意に白々しい音声、続いてシャッター音が聞こえてきた。そうだ、プリクラを撮ろうとしていたのだ、と千歌は我に帰る。
だというのに、千歌は梨子から逃れることができなかった。
「ふふっ……千歌ちゃんかわいい」
囁くような声に顔が熱くなる。千歌の顎を持つ梨子の表情は、今まで見たことがないようなものだった。余裕があるように見えて、しかし奥底には燃えんばかりの熱さを秘めていた。
恥ずかしくてたまらないのに、やはり梨子から目をそらすことはできない。指、瞳、吐息、熱。梨子の全てが、千歌を捕らえて離さなかった。
『3、2、1……』
不意に白々しい音声、続いてシャッター音が聞こえてきた。そうだ、プリクラを撮ろうとしていたのだ、と千歌は我に帰る。
21: 2016/09/09(金) 23:00:31.72 ID:QZDd7OTS0.net
「り、梨子ちゃん……これ、あれだよね!前とったプリクラの逆バージョンでしょ!?」
空気を壊そうと、わざとらしい声で言うか、梨子は妖しげな笑みを崩すことはなかった。それどころか視線は一層の熱を帯び、逆の手で千歌の頬を愛おしげに撫でてくる。
やはり身体は動かない。それどころか視線一つ外せない。騒音など既に掻き消えている。ゲームセンターの端の狭すぎるスペースは、この瞬間だけは絶対的な2人の世界だった。
「梨子、ちゃん……写真もう、とれたよ……ポーズ、変えないと……」
掠れた喉から吐き出されたその言葉は、何の効力も持ちはしない。千歌自身がそう自覚しており、梨子もまたそんな千歌の心境を見透かしているようだった。
どちらともなく目を閉じる。空気が動いたのを感じた次の瞬間、緊張で乾ききっていた唇が潤った。
空気を壊そうと、わざとらしい声で言うか、梨子は妖しげな笑みを崩すことはなかった。それどころか視線は一層の熱を帯び、逆の手で千歌の頬を愛おしげに撫でてくる。
やはり身体は動かない。それどころか視線一つ外せない。騒音など既に掻き消えている。ゲームセンターの端の狭すぎるスペースは、この瞬間だけは絶対的な2人の世界だった。
「梨子、ちゃん……写真もう、とれたよ……ポーズ、変えないと……」
掠れた喉から吐き出されたその言葉は、何の効力も持ちはしない。千歌自身がそう自覚しており、梨子もまたそんな千歌の心境を見透かしているようだった。
どちらともなく目を閉じる。空気が動いたのを感じた次の瞬間、緊張で乾ききっていた唇が潤った。
23: 2016/09/09(金) 23:03:10.15 ID:QZDd7OTS0.net
初めて味わうそれは、想像よりも遥かに柔らかく、心地よく、何より扇情的だった。蕩けそうなその快感に、思わず身体が跳ねる。
「んっ……はぁっ……!り、こちゃ……」
意図せずして声が漏れた。いつの間にか腰に回されていた梨子の手によって更に引き寄せられる。二人の距離を微塵も空けさせないようにするかの如く、強く。
ゾワリとした感覚。両脚の間に梨子の右脚がねじ込まれていた。汗と肌が絡み合う感触に理性がトびかける。まるで命綱であるかのように、梨子の背中をギュッと握りしめた。
そんな千歌を堕とそうとしてか、梨子の激しさが増す。弛緩しきった唇に何かがねじ込まれた。正体が舌だと気付いた頃には、千歌も自らのそれを必氏に絡ませていた。
「くちゅっ……っはぁ。千歌ちゃんったら、やらしい……」
不意に顔を離した梨子がそう言って機械の方を一瞥した。眩む目で視線を追うと、画面は舌を絡ませ合う二人を映し出していた。
「んっ……はぁっ……!り、こちゃ……」
意図せずして声が漏れた。いつの間にか腰に回されていた梨子の手によって更に引き寄せられる。二人の距離を微塵も空けさせないようにするかの如く、強く。
ゾワリとした感覚。両脚の間に梨子の右脚がねじ込まれていた。汗と肌が絡み合う感触に理性がトびかける。まるで命綱であるかのように、梨子の背中をギュッと握りしめた。
そんな千歌を堕とそうとしてか、梨子の激しさが増す。弛緩しきった唇に何かがねじ込まれた。正体が舌だと気付いた頃には、千歌も自らのそれを必氏に絡ませていた。
「くちゅっ……っはぁ。千歌ちゃんったら、やらしい……」
不意に顔を離した梨子がそう言って機械の方を一瞥した。眩む目で視線を追うと、画面は舌を絡ませ合う二人を映し出していた。
25: 2016/09/09(金) 23:05:08.94 ID:QZDd7OTS0.net
自分だとは思えないような乱れた表情。快感を渇望するかのように腰を押し付けている体勢。その姿を目にして、忘れかけていた羞恥心が一気に蘇る。
「やっ……ちがっ……私、こんなんじゃ……」
耐えきれず、梨子を押しのけようと肩を掴む。しかし、溶かされた身体にロクな力など入りはしなかった。一瞬離れた身体が、すぐにそれを上回る力で引き寄せられた。
「逃げちゃだめよ、千歌ちゃん。まだ全然足りないでしょ?」
再び交わる唇。嫌がっているはずの千歌の身体は、しかしそれを容易く受け入れていた。羞恥心すらも、今は二人を昂らせる要因にしかなっていなかった。
互いの舌が口内を犯し合い、唾液が混ざり合う。ねじ込まれている梨子の脚が熱い。脚に触れるか触れないかの位置にある下腹部が、やけに疼く。
「やっ……ちがっ……私、こんなんじゃ……」
耐えきれず、梨子を押しのけようと肩を掴む。しかし、溶かされた身体にロクな力など入りはしなかった。一瞬離れた身体が、すぐにそれを上回る力で引き寄せられた。
「逃げちゃだめよ、千歌ちゃん。まだ全然足りないでしょ?」
再び交わる唇。嫌がっているはずの千歌の身体は、しかしそれを容易く受け入れていた。羞恥心すらも、今は二人を昂らせる要因にしかなっていなかった。
互いの舌が口内を犯し合い、唾液が混ざり合う。ねじ込まれている梨子の脚が熱い。脚に触れるか触れないかの位置にある下腹部が、やけに疼く。
28: 2016/09/09(金) 23:06:18.23 ID:QZDd7OTS0.net
「千歌ちゃん、どうしてほしい……?止めて欲しいの……?」
梨子が耳元で囁いてくる。千歌の火照りが手に取るように分かるのか、脚が更に押し込まれる。
「ぅあっ!んっ……!」
「いいの……?何も言わないなら止めちゃうよ?」
耳を噛まれて、また身体が大きく跳ねる。熱い。熱い。熱い!もう、限界だった。
梨子の力は弱まっているのに、千歌の方から梨子を強く引き寄せた。もっと梨子を感じたい。強く、激しく!
涙で溢れた目で弱々しく梨子を見つめる。呼吸を必氏に整えながら、縋るかのように言葉を紡いだ。
「おね、がい……梨子ちゃん……もっと、……」
梨子が耳元で囁いてくる。千歌の火照りが手に取るように分かるのか、脚が更に押し込まれる。
「ぅあっ!んっ……!」
「いいの……?何も言わないなら止めちゃうよ?」
耳を噛まれて、また身体が大きく跳ねる。熱い。熱い。熱い!もう、限界だった。
梨子の力は弱まっているのに、千歌の方から梨子を強く引き寄せた。もっと梨子を感じたい。強く、激しく!
涙で溢れた目で弱々しく梨子を見つめる。呼吸を必氏に整えながら、縋るかのように言葉を紡いだ。
「おね、がい……梨子ちゃん……もっと、……」
29: 2016/09/09(金) 23:07:34.40 ID:QZDd7OTS0.net
曜「やっぱりこれ以上はだめえええええ!!!」バタン!!
梨子「ああ、そんな気はしてたけどやっぱり最後までいかなかった!!」
曜「なんか前よりも描写生々しくなってるよ!本格的に年齢制限付くでしょこれ!」
梨子「だって曜ちゃん何だかんだ前のは最終的に読破してたじゃない!だったら今回のも全部読んでくれると思ったのに!」
曜「やっぱり恥ずかしいよ!ていうか、なんで梨子ちゃんの目の前で梨子ちゃん本人が出てくるレO小説読まなきゃならないのさ!?」
梨子「いや、そういうシチュエーションって結構興ふ……何でもない」
曜「今とんでもないこと言おうとしてたよね!?だからやたら筆圧強く書いてあるのこれ!?めっちゃ力こもってるじゃん!紙穴空く寸前くらいになってるじゃん!」
梨子「じ、自分が出てくるやつなんだから力入っちゃったの!仕方ないじゃない!言わせないでよ恥ずかしい!」
曜「恥ずかしいと思うなら最初からそんなプレイしようとしないでよ!!」
梨子「ああ、そんな気はしてたけどやっぱり最後までいかなかった!!」
曜「なんか前よりも描写生々しくなってるよ!本格的に年齢制限付くでしょこれ!」
梨子「だって曜ちゃん何だかんだ前のは最終的に読破してたじゃない!だったら今回のも全部読んでくれると思ったのに!」
曜「やっぱり恥ずかしいよ!ていうか、なんで梨子ちゃんの目の前で梨子ちゃん本人が出てくるレO小説読まなきゃならないのさ!?」
梨子「いや、そういうシチュエーションって結構興ふ……何でもない」
曜「今とんでもないこと言おうとしてたよね!?だからやたら筆圧強く書いてあるのこれ!?めっちゃ力こもってるじゃん!紙穴空く寸前くらいになってるじゃん!」
梨子「じ、自分が出てくるやつなんだから力入っちゃったの!仕方ないじゃない!言わせないでよ恥ずかしい!」
曜「恥ずかしいと思うなら最初からそんなプレイしようとしないでよ!!」
30: 2016/09/09(金) 23:09:21.51 ID:QZDd7OTS0.net
~数分後~
梨子「はあ、はあ……まあ何はともあれ、これで受けについてはわかってもらえたと思うわ」
曜「わ、わかることにはわかったよ……とりあえず」
梨子「じゃあ次は、千歌ちゃんが攻めのパターンにいくわ」
曜「うう、やっぱり耐えられない気がしてきたんだけど……」
梨子「まあまあ、次のページを開いてみて。きっと曜ちゃんは読みたくなるはず
よ」
曜「えー……」
梨子「はあ、はあ……まあ何はともあれ、これで受けについてはわかってもらえたと思うわ」
曜「わ、わかることにはわかったよ……とりあえず」
梨子「じゃあ次は、千歌ちゃんが攻めのパターンにいくわ」
曜「うう、やっぱり耐えられない気がしてきたんだけど……」
梨子「まあまあ、次のページを開いてみて。きっと曜ちゃんは読みたくなるはず
よ」
曜「えー……」
31: 2016/09/09(金) 23:11:59.00 ID:QZDd7OTS0.net
曜(いやまあ、千歌ちゃん攻めっていうのは興味なくもないというか……でも……)
梨子「とりあえず開いてみて、曜ちゃん!騙されたと思って!」
曜「騙されたくないんだけど……まあ、わかったよ……」ペラッ
曜(私が読みたくなるって、一体どういう……あ)
曜「!!」
梨子「ふふっ……じゃあ攻めについて学んでいこうか♪」
梨子「とりあえず開いてみて、曜ちゃん!騙されたと思って!」
曜「騙されたくないんだけど……まあ、わかったよ……」ペラッ
曜(私が読みたくなるって、一体どういう……あ)
曜「!!」
梨子「ふふっ……じゃあ攻めについて学んでいこうか♪」
32: 2016/09/09(金) 23:13:26.78 ID:QZDd7OTS0.net
攻め受け分類学講義資料~ちかよう編~
「曜ちゃん、優勝おめでとう!」
触れさせ合ったグラスが小気味よい音を立てた。千歌と同時にサイダーをひと息に飲み、炭酸の弾ける感触を味わう。
「えへへ……千歌ちゃんありがとう!」
ゴクリと飲み下した後、満面の笑みで千歌に言った。
今日は水泳の大会だった。最近Aqoursの活動で忙しく、以前よりは水泳部に顔を出す回数がいくらか減ったので不安だったのだが、幸いにも杞憂で終わった。
アイドルの練習に遠泳があったり、そもそも体力が必要だったりすることのおかげかもしれない。
「曜ちゃん、優勝おめでとう!」
触れさせ合ったグラスが小気味よい音を立てた。千歌と同時にサイダーをひと息に飲み、炭酸の弾ける感触を味わう。
「えへへ……千歌ちゃんありがとう!」
ゴクリと飲み下した後、満面の笑みで千歌に言った。
今日は水泳の大会だった。最近Aqoursの活動で忙しく、以前よりは水泳部に顔を出す回数がいくらか減ったので不安だったのだが、幸いにも杞憂で終わった。
アイドルの練習に遠泳があったり、そもそも体力が必要だったりすることのおかげかもしれない。
33: 2016/09/09(金) 23:15:45.80 ID:QZDd7OTS0.net
何はともあれ無事優勝できた曜は、観戦に来ていた千歌に祝ってもらうことになったので、二人で適当にお菓子とジュースを買い込み、千歌の家に帰ってきた。
「それにしても、本当にうち来てよかったの?水泳部の人と打ち上げとかするんじゃ……」
誘ったのは私なんだけど、と千歌が申し訳なさそうに言ってくる。
「あははっ、大丈夫だよ。水泳部のみんなとは、また別の日に打ち上げすることになってるから」
それを聞くと千歌は安心したかのように笑い、その様子を見た曜もまた思わず笑ってしまう。
千歌はみんなのリーダーで、だから少し強引に引っ張っていくようなところがあって、でもきちんと相手のことを考えられる子で、そんなところが好きだった。
「それにしても、本当にうち来てよかったの?水泳部の人と打ち上げとかするんじゃ……」
誘ったのは私なんだけど、と千歌が申し訳なさそうに言ってくる。
「あははっ、大丈夫だよ。水泳部のみんなとは、また別の日に打ち上げすることになってるから」
それを聞くと千歌は安心したかのように笑い、その様子を見た曜もまた思わず笑ってしまう。
千歌はみんなのリーダーで、だから少し強引に引っ張っていくようなところがあって、でもきちんと相手のことを考えられる子で、そんなところが好きだった。
34: 2016/09/09(金) 23:18:00.68 ID:QZDd7OTS0.net
「むしろ、わざわざ観に来てくれてありがとね。千歌ちゃんの応援のおかげで力出たよ!」
「えへへー、そう言ってもらえると嬉しいなあ」
少し照れくさそうに千歌が言う。それをごまかすためか、適当なお菓子を開け始めている。曜も特にからかうような真似はせずにお菓子をつまんだ。
お祝いと言っても、することは普段と変わらない。適当に飲み食いして、何てことのない話をするだけだ。Aqoursメンバーの話や、スマホゲームについて。
数え切れないほど繰り返されてきた話題は、しかしいつもよりも面白く感じた。優勝した後だからなのか。それとも、千歌と2人きりだからなのか。
「えへへー、そう言ってもらえると嬉しいなあ」
少し照れくさそうに千歌が言う。それをごまかすためか、適当なお菓子を開け始めている。曜も特にからかうような真似はせずにお菓子をつまんだ。
お祝いと言っても、することは普段と変わらない。適当に飲み食いして、何てことのない話をするだけだ。Aqoursメンバーの話や、スマホゲームについて。
数え切れないほど繰り返されてきた話題は、しかしいつもよりも面白く感じた。優勝した後だからなのか。それとも、千歌と2人きりだからなのか。
35: 2016/09/09(金) 23:19:12.34 ID:QZDd7OTS0.net
どれほどの間話していただろうか。お菓子を食べきった直後に、千歌は唐突に立ち上がった。
「あ、忘れてた!曜ちゃんに見せたいものあるんだった!」
急なことに驚いて千歌の顔を凝視すると、今日一番に楽しそうな顔をしていた。いたずらを計画する子供のようにも見えて、思わず警戒してしまう。
「な、何企んでるの、千歌ちゃん」
恐る恐る聞くと、
「へへー、まだ内緒!ちょっとまってて!」
と言って部屋を出ていってしまった。
「……大丈夫かなあ」
取り残それた曜は、1人ぼそりと呟いた。さすがに危険なものを持ってくるということはないだろうが、嫌な予感がおさまらない。
「あ、忘れてた!曜ちゃんに見せたいものあるんだった!」
急なことに驚いて千歌の顔を凝視すると、今日一番に楽しそうな顔をしていた。いたずらを計画する子供のようにも見えて、思わず警戒してしまう。
「な、何企んでるの、千歌ちゃん」
恐る恐る聞くと、
「へへー、まだ内緒!ちょっとまってて!」
と言って部屋を出ていってしまった。
「……大丈夫かなあ」
取り残それた曜は、1人ぼそりと呟いた。さすがに危険なものを持ってくるということはないだろうが、嫌な予感がおさまらない。
36: 2016/09/09(金) 23:21:28.51 ID:QZDd7OTS0.net
仕方ないのでベッドに腰かけて脚をばたつかせながら待っていると、部屋の扉が勢いよく開かれた。
「もう、千歌ちゃんおそ……」
軽い文句を言いかけて、硬直した。
「ごめんごめん、慣れてなくててまどっちゃった」
千歌は何かを持ってきた、というわけではなかった。変わったのは服装だ。
紺のブレザーに、首元には水色のリボン。赤いポイントの入ったプリーツスカート。普段目にする機会などないはずなのに強く見覚えのある。
千歌が着ているのは、音ノ木坂学院高校の制服だった。
「もう、千歌ちゃんおそ……」
軽い文句を言いかけて、硬直した。
「ごめんごめん、慣れてなくててまどっちゃった」
千歌は何かを持ってきた、というわけではなかった。変わったのは服装だ。
紺のブレザーに、首元には水色のリボン。赤いポイントの入ったプリーツスカート。普段目にする機会などないはずなのに強く見覚えのある。
千歌が着ているのは、音ノ木坂学院高校の制服だった。
37: 2016/09/09(金) 23:23:00.42 ID:QZDd7OTS0.net
「じゃじゃーん!どうどう?似合う?」
千歌がピースをしながら元気よく聞いてくる。もちろん似合う。似合うに決まっている。が、曜に素直に感想を言う余裕などなかった。
「ち、千歌ちゃん……どうしたの、それ?」
「梨子ちゃんに貸してもらったの!1回着てみたかったんだぁ」
とりあえず浮かんだ疑問を口にすると、千歌はくるりと一回転しながらそう答えた。ああなるほど、と納得する。確かにそれ以外考えられない。
「えへへー、曜ちゃん制服好きでしょ?ほーれほれ、穴が開くほど見てもいいんだよ?」
「そ、そんなに見たりしないよ!」
「えー、そうー?」
咄嗟に否定するも千歌は受け流し、その姿のまま軽く踊り始めた。ふわりと舞ったスカートから伸びる脚を何故か見つめることができずに、思わず目を逸らしてしまう。
千歌がピースをしながら元気よく聞いてくる。もちろん似合う。似合うに決まっている。が、曜に素直に感想を言う余裕などなかった。
「ち、千歌ちゃん……どうしたの、それ?」
「梨子ちゃんに貸してもらったの!1回着てみたかったんだぁ」
とりあえず浮かんだ疑問を口にすると、千歌はくるりと一回転しながらそう答えた。ああなるほど、と納得する。確かにそれ以外考えられない。
「えへへー、曜ちゃん制服好きでしょ?ほーれほれ、穴が開くほど見てもいいんだよ?」
「そ、そんなに見たりしないよ!」
「えー、そうー?」
咄嗟に否定するも千歌は受け流し、その姿のまま軽く踊り始めた。ふわりと舞ったスカートから伸びる脚を何故か見つめることができずに、思わず目を逸らしてしまう。
38: 2016/09/09(金) 23:24:13.27 ID:QZDd7OTS0.net
「曜ちゃんも一緒に踊ろうよ!この服でやってみたい曲あるし!」
目のやり場に困っていると、千歌がそう言って曜の腕を引っ張ってきた。が、動揺しているせいか、曜は足元にあったプリントに気付かなかった。
「うわっ!?」
立ち上がろうとして、そのまま滑って背中から床に投げ出された。腕をつかまれていたままだったので千歌も巻き込んでしまったのだろう、倒れるのと同時に千歌の体重を感じた。
「あいたたた……ごめんね千歌ちゃん、大丈夫?」
うつ伏せで曜にのしかかるようになっている千歌に声をかける。しかし、千歌は倒れたまま微動だにしなかった。
もしかしたらどこかぶつけたのかもしれない、と焦りが募る。とにかく起き上がろうと、曜は千歌の肩を掴んだ。
が、力を込めても、曜は千歌を起こすことができなかった。
(えっ……)
抱き起こすことが出来ないほど千歌が重いわけでも、曜が非力なわけでもない。だとすれば、千歌が抵抗しているからこうなっているということで。
目のやり場に困っていると、千歌がそう言って曜の腕を引っ張ってきた。が、動揺しているせいか、曜は足元にあったプリントに気付かなかった。
「うわっ!?」
立ち上がろうとして、そのまま滑って背中から床に投げ出された。腕をつかまれていたままだったので千歌も巻き込んでしまったのだろう、倒れるのと同時に千歌の体重を感じた。
「あいたたた……ごめんね千歌ちゃん、大丈夫?」
うつ伏せで曜にのしかかるようになっている千歌に声をかける。しかし、千歌は倒れたまま微動だにしなかった。
もしかしたらどこかぶつけたのかもしれない、と焦りが募る。とにかく起き上がろうと、曜は千歌の肩を掴んだ。
が、力を込めても、曜は千歌を起こすことができなかった。
(えっ……)
抱き起こすことが出来ないほど千歌が重いわけでも、曜が非力なわけでもない。だとすれば、千歌が抵抗しているからこうなっているということで。
41: 2016/09/09(金) 23:26:51.08 ID:QZDd7OTS0.net
「ち、千歌ちゃん?どこか痛いの?」
恐る恐る声をかけるが、やはり返事はない。とりあえず怪我はしていないようだが、そのことに安心するのと同時に、ここまで千歌と密着しているという事実に動悸が激しくなる。
「曜ちゃん……私ね、普通なんだよ」
唐突に千歌が面を上げた。息がかかるほどの距離に千歌の顔があり、身体が硬直する。千歌は、いったいどうしたのか。いったい何を言っているのか。
「勉強ができるわけでも、スポーツができるわけでもなくて。これといった特徴もなくて」
今にも泣きそうな、それでいて真剣な目。他の情報が一切入ってこなくなってしまうほど、その表情は曜を惹き付けた。
「本当に、どこにでもいるような普通な女の子なんだよ私。自分の全てが普通で、変なところなんてない。ないはずなんだよ。なのにね」
もどかしそうに唇が言葉を紡ぐ。そこから吐き出される息は確かな熱を帯びていて、まるでくすりのように曜の心を侵していく。
恐る恐る声をかけるが、やはり返事はない。とりあえず怪我はしていないようだが、そのことに安心するのと同時に、ここまで千歌と密着しているという事実に動悸が激しくなる。
「曜ちゃん……私ね、普通なんだよ」
唐突に千歌が面を上げた。息がかかるほどの距離に千歌の顔があり、身体が硬直する。千歌は、いったいどうしたのか。いったい何を言っているのか。
「勉強ができるわけでも、スポーツができるわけでもなくて。これといった特徴もなくて」
今にも泣きそうな、それでいて真剣な目。他の情報が一切入ってこなくなってしまうほど、その表情は曜を惹き付けた。
「本当に、どこにでもいるような普通な女の子なんだよ私。自分の全てが普通で、変なところなんてない。ないはずなんだよ。なのにね」
もどかしそうに唇が言葉を紡ぐ。そこから吐き出される息は確かな熱を帯びていて、まるでくすりのように曜の心を侵していく。
42: 2016/09/09(金) 23:29:05.46 ID:QZDd7OTS0.net
「曜ちゃんを見てると、曜ちゃんと一緒にいると、おかしいんだよ。普通じゃない気持ちになるの。今まで知らなかったような、変な気持ちになるの」
不意にゾワリとした感覚に襲われる。ブラウスの裾から、いつの間にか千歌の手が侵入していた。
「おかしいの。変なの。でも抑えられない。抑えたくないんだよ」
千歌に触れられている部分がやけに熱い
顔が段々と近付いてきて、鼓動の激しさが最高潮に達する。言葉一つ発することすら、今の曜にはできなかった。
「好きなの、曜ちゃん。大好き」
不意にゾワリとした感覚に襲われる。ブラウスの裾から、いつの間にか千歌の手が侵入していた。
「おかしいの。変なの。でも抑えられない。抑えたくないんだよ」
千歌に触れられている部分がやけに熱い
顔が段々と近付いてきて、鼓動の激しさが最高潮に達する。言葉一つ発することすら、今の曜にはできなかった。
「好きなの、曜ちゃん。大好き」
44: 2016/09/09(金) 23:30:48.61 ID:QZDd7OTS0.net
次の瞬間には、曜の唇は千歌のそれと交わっていた。蕩けるような感触にわ思わず身体が跳ねる。今まで味わったことのなかったそれは、容易く曜の心を溶かした。
「よ、うちゃん……好き……大好き……!」
曜の全てを貪るかのように、唇が蠢く。舌が侵入してくる。粘液にまみれたそれは、容赦なく曜の口内を蹂躙した。
唇の表面上から歯茎の裏まで、全てが千歌に侵食される感覚。互いに不慣れなはずの二人のキスは、激しさを増す一方だった。
目を少し開くと、可愛い制服に身を包んだ千歌が顔を真っ赤にしながらも必氏に求めてきている姿が見え、一層の興奮に襲われる。あの元気で明るい千歌とこんなことをしている、という背徳感もまた昂る要因の一つとなった。
「んっ……っ!千歌、ちゃ……」
もう何も考えられなかった。乱れた制服姿、ほのかに甘い匂い、触れられている手の感触、唾液が入り交じる音、唇の味。五感の全てが、千歌に支配されていた。
「よ、うちゃん……好き……大好き……!」
曜の全てを貪るかのように、唇が蠢く。舌が侵入してくる。粘液にまみれたそれは、容赦なく曜の口内を蹂躙した。
唇の表面上から歯茎の裏まで、全てが千歌に侵食される感覚。互いに不慣れなはずの二人のキスは、激しさを増す一方だった。
目を少し開くと、可愛い制服に身を包んだ千歌が顔を真っ赤にしながらも必氏に求めてきている姿が見え、一層の興奮に襲われる。あの元気で明るい千歌とこんなことをしている、という背徳感もまた昂る要因の一つとなった。
「んっ……っ!千歌、ちゃ……」
もう何も考えられなかった。乱れた制服姿、ほのかに甘い匂い、触れられている手の感触、唾液が入り交じる音、唇の味。五感の全てが、千歌に支配されていた。
46: 2016/09/09(金) 23:33:13.36 ID:QZDd7OTS0.net
息継ぎのために顔を離し、上気した顔で見つめ合う。半開きになった千歌の唇は僅かに唾液が糸を引いていて、再び曜の目を眩ませた。
「曜ちゃん…嬉しい……」
顔を綻ばせながら千歌が言った。その言葉とともに、曜のブラウスから手が抜かれる。
「もっと、いっぱいしよ?ねっ?ねっ?」
縋りつくように言ってくる千歌に逆らうことなどできるはずもなかった。曜の表情を見て察したのだろう、千歌は目を蕩けさせ、自らのリボンを摘んだ。
「曜ちゃん……」
惚けたように呟くと、リボンを少しずつ引っ張り始める。衣擦れの音が曜の耳をくすぐった。
「大好きだよ」
口にしたのは千歌か、それとも曜か。
解かれた青いリボンが、ストンと落ちた……
「曜ちゃん…嬉しい……」
顔を綻ばせながら千歌が言った。その言葉とともに、曜のブラウスから手が抜かれる。
「もっと、いっぱいしよ?ねっ?ねっ?」
縋りつくように言ってくる千歌に逆らうことなどできるはずもなかった。曜の表情を見て察したのだろう、千歌は目を蕩けさせ、自らのリボンを摘んだ。
「曜ちゃん……」
惚けたように呟くと、リボンを少しずつ引っ張り始める。衣擦れの音が曜の耳をくすぐった。
「大好きだよ」
口にしたのは千歌か、それとも曜か。
解かれた青いリボンが、ストンと落ちた……
47: 2016/09/09(金) 23:33:54.66 ID:QZDd7OTS0.net
曜「……って、あれ!?終わり!?」
梨子「あ、ごめん曜ちゃん。続きは家に置き忘れちゃったの♪」
曜「いや絶対嘘でしょ!ピンポイントにここから先だけ忘れるなんて!」
梨子「いやー、うっかりうっかり♪」
曜「こ、この……!」
梨子「えー、だって曜ちゃんどうせ私の前じゃ最後まで読まないじゃない?さっきのりこちかだって途中で終わっちゃったし」
曜「そ、それはそうだけど……」
梨子「あ、ごめん曜ちゃん。続きは家に置き忘れちゃったの♪」
曜「いや絶対嘘でしょ!ピンポイントにここから先だけ忘れるなんて!」
梨子「いやー、うっかりうっかり♪」
曜「こ、この……!」
梨子「えー、だって曜ちゃんどうせ私の前じゃ最後まで読まないじゃない?さっきのりこちかだって途中で終わっちゃったし」
曜「そ、それはそうだけど……」
48: 2016/09/09(金) 23:36:14.48 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「だったらこれも途中で終わってもいいじゃない。ここから激しくなるもの」
曜「は、はげ……で、でも!」
梨子「あらー?もしかして曜ちゃん、続き読みたいの?自分と千歌ちゃんがシてる小説よ?」
曜「っ……!」カアッ
曜「わ、わかったよ!もういいもん!」ガタッ
梨子「あら、曜ちゃん帰っちゃうの?」
曜「……もう講義終わったでしょ。梨子ちゃんが言ってたことはわかったから」ガラッ
梨子「………………」
曜「は、はげ……で、でも!」
梨子「あらー?もしかして曜ちゃん、続き読みたいの?自分と千歌ちゃんがシてる小説よ?」
曜「っ……!」カアッ
曜「わ、わかったよ!もういいもん!」ガタッ
梨子「あら、曜ちゃん帰っちゃうの?」
曜「……もう講義終わったでしょ。梨子ちゃんが言ってたことはわかったから」ガラッ
梨子「………………」
50: 2016/09/09(金) 23:36:46.26 ID:QZDd7OTS0.net
梨子「ねえ、曜ちゃん」
曜「……なに?」
梨子「信じて。家に続きがあるってことは本当なの」
曜「え……」
梨子「それで、よかったら曜ちゃんに読んで欲しいんだけど、今からうちに来てくれない?」
曜「で、でも……」
梨子「……だめ?」
曜「………………」
曜「……なに?」
梨子「信じて。家に続きがあるってことは本当なの」
曜「え……」
梨子「それで、よかったら曜ちゃんに読んで欲しいんだけど、今からうちに来てくれない?」
曜「で、でも……」
梨子「……だめ?」
曜「………………」
51: 2016/09/09(金) 23:37:33.90 ID:QZDd7OTS0.net
曜「…………いく」
53: 2016/09/09(金) 23:38:08.00 ID:QZDd7OTS0.net
引用元: 梨子「攻め受け分類学」
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