1: 2017/10/30(月) 20:22:27.50 ID:iY+WU1Rbo
未央「あー……それなら仕方ないかー」

凛「正直、プロデューサーが職務質問されるのには慣れたよね」

卯月「も、もう! それで、大丈夫だったんですか?」


武内P「今回は、二人の内一人が以前、その……お世話になった方だったので」


未央「あはは! 警察の人の方も慣れて来てるじゃん、それ!」

凛「ふふ、警察にお世話になるのに慣れるって、物凄く人聞きが悪いよね」

卯月「ふ、二人共~! あんまり笑っちゃかわいそうですよ!」

武内P「……」

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(12) (電撃コミックスEX)

2: 2017/10/30(月) 20:27:08.40 ID:iY+WU1Rbo
未央「でも、珍しくプロデューサーが居ないからビックリしたよ」

凛「うん。この時間は、いつもデスクに座って怖い顔してるから」

武内P「怖い顔、ですか?」

卯月「し、真剣な顔って事ですよ! ね、凛ちゃん!」

凛「……うん、そうだね。ごめん、からかいすぎた」

武内P「いえ、渋谷さんの指摘ももっともですので……」

未央「あーあー! しぶりんがプロデューサーいじめたー!」

凛「ちょっと未央! 怒るよ!?」

卯月「私はプロデューサーさんの真剣な顔、その、カッコイイと思いますよ!」

武内P「島村さん……ありがとう、ございます」

二人「……」

3: 2017/10/30(月) 20:30:10.85 ID:iY+WU1Rbo
未央「でもさ、しまむー」

卯月「え? なんですか?」

未央「プロデューサーが真剣な顔をしてると、警察に捕まるんだよ」

卯月「ええ~っ!? ど、どうしてそうなるんですか?」

凛「私達はもう慣れたけど、卯月も実は最初怖かったんじゃないの?」

卯月「それは……その……」チラリ

武内P「……」

卯月「ええと……はい……」

武内P「……」

武内P「そう、だったのですね」ションボリ

4: 2017/10/30(月) 20:33:06.20 ID:iY+WU1Rbo
卯月「で、でも、警察に捕まる程じゃないと思うんです!」

未央「いいや、甘い! 甘いよしまむー!」

凛「卯月って、プロデューサーが捕まってるのそんなに見てないよね」

卯月「それは、そうですけど……」


未央「これはね、この前の休みにプロデューサーと買い物に行った時の話なんだけど」


凛「待って、その話は初耳なんだけど」

未央「あれ? 言ってなかったっけ?」

卯月「き、聞いてませんよー!」

6: 2017/10/30(月) 20:38:48.10 ID:iY+WU1Rbo
未央「ゴホン! まあ、話は最後まで聞こうよ二人共」

凛「……ふーん、買い物ね」

卯月「休みに……ですか」

未央「そう! 休みに、買い物に行った時の事――」


武内P「あの、誤解の無い様に申し上げますと、ネットで公開する写真の撮影を兼ねてですので」


二人「ああ、成る程」

未央「――って、もうちょっと二人をからかわせてよプロデューサー!」

武内P「は、はぁ……」

凛「まあ、そんな事だろうとは思ったけど」

卯月「……」

7: 2017/10/30(月) 20:45:21.36 ID:iY+WU1Rbo
未央「とにかく、プロデューサーと撮影がてら買い物に行ったんだけどさ」

凛「大丈夫、もう話のオチは読めたから」

未央「そりゃないよしぶりーん!」

凛「どうせ、ちょっと目を離した隙にプロデューサーが捕まってたんでしょ?」

武内P「……」

未央「まあ、そうなんだけどね。一日付き合ってもらうつもりが、午前中でお開きだよ」

武内P「……その節は、ご迷惑をおかけしました」

未央「ちょ、良いって良いって!」

未央「それにそのー、た、楽しかったからさ///」

武内P「はい。時間は短くなりましたが、十分、いい笑顔が撮れたと思います」

未央「え、えへへ///」

卯月「……」

8: 2017/10/30(月) 20:50:50.66 ID:iY+WU1Rbo
凛「ふーん、未央の撮影の時は街中で捕まったんだ」

未央「うん。でも、『ああ、またか』って思うだけだった」

武内P「……そう言っていただけると助かりますが、複雑です」

卯月「……」


凛「私と公園に行った時も捕まったよね、プロデューサー」


未央「あれ? なにそれ初めて聞いた」

凛「うん。今、初めて言ったから」

卯月「……」

9: 2017/10/30(月) 20:58:24.98 ID:iY+WU1Rbo
凛「私の時は、ハナコと一緒の撮影だったんだよね」

未央「へえ、それで公園まで散歩がてら?」

凛「そう。散歩コースじゃないんだけど、ね」

武内P「……」

凛「公園の中をハナコを連れて歩いてたらさ、後ろを見たらプロデューサーが居なくて」

武内P「……渋谷さんにも、度々ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

凛「別に良いよ、気にしてない」

凛「それに……休みの日にプロデューサーとハナコと三人で散歩なんて、思ってもなかったから」

武内P「はい。アイドルの時とは違った、渋谷さんの自然体の魅力が撮影出来ました」

凛「……も、もう///急にそういう事言うとビックリするから///」

卯月「……」

10: 2017/10/30(月) 21:04:41.31 ID:iY+WU1Rbo
未央「でもさ、写真撮影ならスタジオでも出来るよね?」

凛「うん。それは私も気になってた」

武内P「今回の撮影のコンセプトは、皆さんのリラックスした、自然な姿です」

二人「リラックス?」

武内P「はい。ですので、お二人が趣味を楽しんでいる様子を撮影しようと」

未央「趣味って……前に、趣味がショッピングって言ったの覚えてたの?」

凛「私も、ハナコの散歩って言ったの大分前だと思うんだけど……」

武内P「勿論、覚えています。とても、大事な事だと思いますので」

二人「……」

二人「……///」


卯月「……」

11: 2017/10/30(月) 21:11:54.81 ID:iY+WU1Rbo
未央「――よっし! 今日は、気合入れて頑張っちゃおうかな!」

凛「――だね。プロデューサーも休みの日に付き合ってくれたんだし、こっちも頑張らないと」

武内P「……お二人とも、今日のレッスン、頑張ってください」

未央「まっかせて! それじゃ、ボイスレッスンで美声に磨きをかけますか~!」

凛「私はトライアドの方でダンスレッスンだ。……それじゃ、行ってくるね」

武内P「お二人とも……いい笑顔です」

二人「……」


二人「そればっか!」


ガチャッ……バタン


卯月「……」

13: 2017/10/30(月) 21:15:49.59 ID:iY+WU1Rbo
卯月「……」

武内P「? 島村さん?」

卯月「へっ!? は、はい! 何でしょうか!?」

武内P「あの、今日は島村さんもレッスンの予定があったと」

卯月「そ、そうですね……」

武内P「……」

卯月「……」

武内P「あの……何か、悩みでも?」

卯月「えっ? ええと、別に、悩みという程の事では……」

武内P「……」

卯月「……」

14: 2017/10/30(月) 21:19:29.18 ID:iY+WU1Rbo
武内P「島村さん、まだ、レッスンまでは時間があります」

卯月「そ、そうですね」

武内P「私で良ければ、話していただけませんか」

卯月「で、でもその……ちょっと、どうしようも無い事というか」

武内P「それでも、話してください」

卯月「ぷ、プロデューサーさん?」

武内P「はい。私は、貴女のプロデューサーですから」

卯月「……」

卯月「……わかりました」

15: 2017/10/30(月) 21:24:56.56 ID:iY+WU1Rbo
卯月「……プロデューサーさんは、休みの日に二人と出かけたんですよね?」

武内P「はい。あくまで撮影のため、ですが」

卯月「も、勿論お仕事のためだってわかってるんですよ!?」

武内P「……すみません、続けてください」

卯月「え、ええと……お仕事だってわかってても、二人がちょっぴり羨ましいなぁ、って」

武内P「……それは」

卯月「プロデューサーさん、私の趣味って覚えてますか?」

武内P「それは……はい、覚えています」


卯月「――友達と長電話」


卯月「えへへ、これじゃあ、お休みの日に付き合って貰えないなぁ、って」

武内P「……島村さん」

16: 2017/10/30(月) 21:29:07.42 ID:iY+WU1Rbo
卯月「だ、だけど、こればっかりはしょうがないですもんね!」

武内P「……島村さん」

卯月「って、もうこんな時間! 私も着替えて、レッスンに行かないと!」

武内P「ま、待ってください!」

卯月「我儘言っちゃってすみません! 私、二人よりお姉さんなんだからしっかりしないとですよね!」

武内P「……」


卯月「それじゃあ、島村卯月、今日もレッスン頑張ります!」


ガチャッ……バタンッ


武内P「……」

17: 2017/10/30(月) 21:33:47.64 ID:iY+WU1Rbo
  ・  ・  ・

卯月「……プロデューサーさん、困った顔してたなぁ」

卯月「……」

卯月「ううん、今からレッスンなんだか、頑張らないと」


オーネガイ♪シーンデレラー♪


卯月「? 電話?」

卯月「誰から……って、ぷ、プロデューサーさん!?」

卯月「どうしたんだろう……も、もしもし?」


武内P『島村さん。少しだけ、宜しいでしょうか?』


卯月「え? は、はい」

18: 2017/10/30(月) 21:40:26.93 ID:iY+WU1Rbo
武内P『島村さんの趣味にその、私が付き合うのは難しいです』

卯月「……はい。プロデューサーさん、忙しいですし」

武内P『……ですが』

卯月「?」


武内P『私はプロデューサーで、友達と、という訳ではないですが……それでも構わないでしょうか?』


卯月「へっ?」

武内P『長電話も、その……そもそも、長く会話をするのが得意でないもので』

卯月「……」


卯月「……ふふっ!」


武内P『島村さん?』

卯月「もう! そんな事を気にして、電話までかけてきてくれたんですか?」

武内P『それはその……』

武内P『……』

19: 2017/10/30(月) 21:46:46.00 ID:iY+WU1Rbo
卯月「……プロデューサさん、ありがとうございます♪」

武内P『島村さん。貴女は、今、笑顔でいますか?』

卯月「はい♪」

卯月「あ、でも、お休みの日に付き合って貰ってる訳じゃないから、ふふっ、どうでしょう!」

武内P『いえ、それに関しては、その……』

卯月「えっ?」


ちひろ『ぷ、プロデューサーさん!? 休日出勤はやめてくださいって言ってるじゃないですか!』


武内P『……と、言うことですので』

ちひろ『専務になってからそういうのに物凄く厳しいんですから!』

武内P『れ、レッスン、頑張ってください』


卯月「――はいっ♪ 島村卯月、頑張ります♪」


武内P『……それにしても』


武内P『また、捕まってしまいました』




おわり

20: 2017/10/30(月) 21:52:44.52 ID:baWLo3CIo


いいオチ

引用元: 武内P「また、捕まってしまいました」