417: 2018/09/17(月) 21:57:49 ID:BUp2l9KY

418: 2018/09/17(月) 22:01:20 ID:BUp2l9KY
武内P「普通の、マンションの一室では……?」

奏「そう見えるだけ、みたいね」

武内P「確か……スタドリを飲んだら、急に眠気に襲われ……」

奏「私も、エナドリを飲んで……気付いたら、此処に居たの」

武内P「そして……テーブルの上の、あのフリップ」

奏「そう――」


奏「○○しないと、開かない部屋」


奏「……って、書いてあるわね」

武内P「……」

419: 2018/09/17(月) 22:04:06 ID:BUp2l9KY
奏「……はぁ、随分と手の込んだ悪ふざけよね」

武内P「……」

奏「それにしても、どうして私達なのかしらね」

武内P「……外に出られないか、確認してみます」

奏「無駄よ。ドアは開かないし――」

奏「――カーテンの向こうは、コンクリートだったわ」

武内P「……」


奏「ふふっ、どうする? もう少し、ゆっくりしていく?」


武内P「……」

420: 2018/09/17(月) 22:06:18 ID:BUp2l9KY
武内P「外に連絡を……」

奏「携帯、持ってる?」

武内P「……っ!?」

奏「ね? ジタバタしても無駄なのよ」

武内P「いえ、ですが……!」

奏「とぼけちゃって……もう、わかってるんでしょ?」


奏「何をすれば、あのドアが開くのか……ね」


武内P「……」

421: 2018/09/17(月) 22:09:10 ID:BUp2l9KY
武内P「ですが……しかし……!」

奏「犯人は、カメラか何かで見てるんじゃないかしら」

武内P「……」

奏「見せつける? それとも、隠れてする?」

武内P「……」


奏「ふふっ、どちらにせよ……熱い方が好みかな」


武内P「……」

422: 2018/09/17(月) 22:11:54 ID:BUp2l9KY
武内P「それは……出来ません」

奏「でも、外に出られないと困るんじゃない?」

武内P「……」

奏「早く出ないのでも、それはそれで問題じゃないかしら」

武内P「問題……ですか?」


奏「アイドルとプロデューサーとは言え、男と女だもの」

奏「色々と、まずいんじゃない?……ふふっ!」


武内P「……」

423: 2018/09/17(月) 22:14:47 ID:BUp2l9KY
奏「誰かに強制されて、っていうのは趣味じゃないけど……」

武内P「……」

奏「どうするかを決めるのは、貴方自身」

武内P「……」

奏「このフリップの指示に従うかは、貴方の意思で――」


奏「――……あら?」

奏「○○の部分が、めくれるようになってるわね……」

…ペリペリッ


『爆笑』


奏「……えっ?」


『爆笑しないと、開かない部屋』


奏「……」

奏「えっ!?」

424: 2018/09/17(月) 22:17:47 ID:BUp2l9KY
武内P「? 速水さん?」

奏「……ねえ」

武内P「どうか……されましたか?」

奏「貴方って、家事とか得意?」

武内P「速水さん? 何が書いて……」

奏「……」

…スッ


『爆笑しないと、開かない部屋』


武内P「……」

武内P「……はい、一通りは」

奏「……そう」


武内P・奏「……」

425: 2018/09/17(月) 22:22:42 ID:BUp2l9KY
奏「……とりあえず、最悪のケースは避けられるわね」

武内P「……そう、ですね」

奏「長期戦に……なりそうね」

武内P「……申し訳、ありません」

奏「ごめんなさい……少し、怒りを吐き出すわ」

武内P「……どうぞ」


奏「――難易度高すぎるわよ!!」カーッ!


奏「……お待たせ」

武内P「……いえ、問題ありません」

427: 2018/09/17(月) 22:28:38 ID:BUp2l9KY
奏「普通はさ……私で、○○なら、キスと思うわよね」

武内P「ええ、私も……そう、思いました」

奏「メインターゲット、貴方じゃない」

武内P「……申し訳、ありません」

奏「どうするのよ……出られるの? これ」


武内P「あくまでも、可能性ですが……」

武内P「私でなく、速水さんが爆笑した場合は……」

武内P「……どう、なるのでしょうか?」


奏「……」

奏「えっ?」

428: 2018/09/17(月) 22:31:45 ID:BUp2l9KY
奏「まっ、待って? 何言ってるの?」

武内P「こちらのフリップには、名前は記載されていません」

奏「そ、そうだけど……でも」


武内P「私でなくとも、速水さんが爆笑すれば……」


奏「……出られる、って事?」


武内P「可能性は……十分、考えられます」


奏「……」

武内P「……」


武内P・奏「……」

429: 2018/09/17(月) 22:35:34 ID:BUp2l9KY
武内P「速水さん……笑顔です」

奏「ちょっ、ちょっと待って」

武内P「貴女の爆笑が見たい、と」

武内P「……そう、思います」

奏「待ってったら!」


奏「……い」

奏「意識したら、爆笑って物凄く難しいわよ!?」


武内P「ですが……私が爆笑するよりは、ですね」

武内P「……大幅に、難易度が下がるかと」


奏「そ、それはそうだけど……!」

431: 2018/09/17(月) 22:44:49 ID:BUp2l9KY
武内P「速水さん……頑張ってください」

奏「貴方も当事者なんだから、他人事みたいに言わないで貰える!?」

武内P「……笑顔で、頑張ってください」

奏「っ……!?」


奏「――ねえ、貴方ってプロデューサーでしょう?」

奏「なら、アイドルの私を笑顔にするのが仕事なんじゃないの?」


武内P「っ! いえ、ですが……!」


奏「違うかな?」


武内P「……わかりました」

武内P「貴女は私の担当ではありませんが……」

武内P「……精一杯、努力させていただきます」


奏「……ふふっ! 期待してるわ!」

432: 2018/09/17(月) 23:01:17 ID:BUp2l9KY
  ・  ・  ・

武内P「――サラダには、何をかけますか?」

奏「そうね、ドレッシングは何がある?」

武内P「確か、冷蔵庫に何種類か……」

奏「オーケー、見てみるわ」

武内P「お手数をおかけします」


武内P・奏「……」


奏「……やっぱり、無理だったわね」


武内P「……そうですね」

433: 2018/09/17(月) 23:07:36 ID:BUp2l9KY
奏「そもそも、爆笑しなきゃいけない、っていうのがプレッシャーだわ」

武内P「確かに……そうかも知れませんね」

奏「どこからが爆笑か、っていうのも曖昧だし」

武内P「……速水さんが、最後に爆笑されたのは……?」

奏「……いつだったかしら」


奏「……あれ?」

奏「……いつだっけ……?」


武内P「……」

434: 2018/09/17(月) 23:14:43 ID:BUp2l9KY
武内P「……成る程」

武内P「この状況を作った人間の、意図」

武内P「それが……理解出来ました」


奏「えっ?」


武内P「速水さんの、年齢にそぐわない大人びた笑みは、魅力的です」

武内P「ですが……爆笑と言える程の、笑い方」

武内P「それが、出来る様になった時」

武内P「貴女は、今よりも、もっと大きな輝きを放つだろう、と」

武内P「……そう、思います」


奏「……」

436: 2018/09/17(月) 23:27:37 ID:BUp2l9KY
奏「そうね……確かに、貴方の言う通りかも知れないわ」

武内P「速水さん、頑張りましょう」

奏「ええ、ご飯を食べ終わったら、再開しましょう」

奏「次は……何に挑戦する?」

武内P「そう、ですね……ですが、その……」


武内P「もう一度、パスタに挑戦しても宜しいですか?」


奏「……」

奏「えっ?」

437: 2018/09/17(月) 23:34:16 ID:BUp2l9KY
  ・  ・  ・

コン、コンッ


武内P「……どうぞ」


ガチャッ!


奏「はぁい、チャーミングなプロデューサーさん」

奏「……っふふふっ!」


武内P「……」


奏「ああ、駄目……! 思い出したら、つい……っくくっ!」


武内P「……」

438: 2018/09/17(月) 23:42:01 ID:BUp2l9KY
奏「あんなに笑ったのは、久しぶりだったわ……っふふっ!」

武内P「……そうですか」

奏「話に夢中になって、パスタを茹ですぎるなんて、ね」

武内P「……」

奏「……ふっふふふっ! あぁ、駄目っ!」


武内P「……また、機会がありましたら」

武内P「次は、ちょうど良い茹で時間で、あげてみせます」


奏「……」

奏「もっ……もうやめて……ぅっくくっ!」


武内P「……」

439: 2018/09/17(月) 23:49:13 ID:BUp2l9KY
奏「はぁ……ふふっ!」

奏「せっかくだけど、遠慮しておくわ」

奏「……それに――」


奏「万が一、っていう事もあるでしょう?」


武内P「待ってください!」

武内P「そんな事は、決して!」


奏「もうっ……お腹が膨れるのは、勘弁してね?」

奏「だって私、アイドルだから、ね」


武内P「……はい」

武内P「絶対に気をつける、と」

武内P「……そう、約束します」

440: 2018/09/17(月) 23:57:11 ID:BUp2l9KY
奏「それじゃあ、その時を楽しみにしてるわ」

武内P「あの、速水さん?」

武内P「用件は……何だったのでしょうか?」

奏「ああ、それはもう良いのよ」

武内P「えっ?」


奏「話は、済んだから」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

441: 2018/09/18(火) 00:06:22 ID:.2YaDxCI
  ・  ・  ・

武内P「……また、ですか」


武内P「……」

武内P(あの一件以来、速水さんの笑顔の輝きは……増している)

武内P(あまりにも強引な手段だと思ったが……有効、ではある)

武内P(今回は……誰を爆笑させなければ、ならないのだろうか)

武内P(……いや、誰でだろうと、関係無い)


武内P「……良い、笑顔のために」

442: 2018/09/18(火) 00:12:32 ID:.2YaDxCI
武内P「しかし……誰も、居ない……?」


『○○しないと、開かない部屋』


武内P「どこか、別の部屋に居るのだろうか?」

武内P「……これは……はがしておこう」

…ペリペリッ


『反省』


武内P「……えっ?」


『反省しないと、開かない部屋』


武内P「……」


武内P「何を……?」



おわり

443: 2018/09/18(火) 09:09:44 ID:qbdJLboo
こう言ってはなんだが省みる点は結構あるよな

446: 2018/09/18(火) 14:06:24 ID:hvelzK5Q
心当たりが無いから「何を……?」なのか心当たり有りすぎての「何を……?」なのか