688: 2018/09/26(水) 21:58:02 ID:kOukKLCY

689: 2018/09/26(水) 22:00:03 ID:kOukKLCY
楓「はい」

武内P「はあ……そう、ですか」

楓「ひどいと、思いませんか?」

武内P「あの……何故、それを私に?」

楓「……やっぱり、そうですよね」


楓「ひどいと、思いますよね」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

690: 2018/09/26(水) 22:02:53 ID:kOukKLCY
武内P「待ってください! 私は、まだ何も!」

楓「えっ?」キョトン

楓「……?……?」オロオロ!

武内P「あの、事情を説明して頂けませんか!?」

楓「あっ、そうですよね……すみません、私ったら」


楓「一緒に、直談判してくださるのに」

楓「事情を説明しないと、困っちゃいますよね」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

691: 2018/09/26(水) 22:07:09 ID:kOukKLCY
武内P「待ってください! 直談判、ですか!?」

楓「えっ?」キョトン

楓「……?……?」オロオロ!

楓「!」ポンッ!

武内P「いえ、あの! 何を納得なさったのですか!?」


楓「ふふっ! ビールは、浴びーるけど……」

楓「ブランデーは、かぶらんでー♪ うふふっ!」


武内P「……」

武内P「あの! それは今、全く関係の無いダジャレです!」

692: 2018/09/26(水) 22:11:49 ID:kOukKLCY
武内P「誰に、直談判しようと言うのですか!?」

楓「えっ?」キョトン

武内P「まさかとは、思いますが……」


楓「専務でーす♪」ニコッ!


武内P「……」

武内P「……良い、笑顔ですね」


楓「では、一緒に直談判してくださる、という事で」

楓「宜しくおねがいします」ペコリ


武内P「っ!? 待ってください!」

武内P「笑顔を褒めたのは、了承の返事ではありません!」

693: 2018/09/26(水) 22:16:24 ID:kOukKLCY
武内P「専務に、禁酒を言い渡されたのですね……」

楓「ひどいと、思いますよね」

武内P「その……何と言って良いものか、はい」

楓「私に、お酒を飲むなだなんて……」

武内P「……」


楓「そう言われると、何故か余計に美味しく感じちゃって」

楓「……駄目な大人ですね、私」


武内P「……」

武内P「いえあの! 全く禁酒出来ていませんね!?」

694: 2018/09/26(水) 22:23:39 ID:kOukKLCY
武内P「何か、あったのですか……!?」

楓「えっ?」キョトン

楓「ええ、と……特に、無いと思います」キッパリ!

武内P「成る程……そう、ですか」

楓「専務に言われたのは――」


楓「酔っ払って、奏ちゃんに迷惑をかけるのはいかがなものか、って」

楓「君は、25歳の良い大人なのだから……」

楓「……17歳の彼女を困らせるなら、お酒は控えなさい、って」


武内P「……」

武内P「それは……ぐうの音も出ない、正論ですね」

695: 2018/09/26(水) 22:27:58 ID:kOukKLCY
武内P「特に無い、という発言は一体……?」

楓「女はみんなLie♪ La♪ Lie♪ ほんの少し、嘘つき♪」

武内P「歌わないでください」

楓「……」スイスイッ

武内P「踊らないでください」


楓「……」

楓「……!」ムスッ!


武内P「……高垣さん、待ってください」

武内P「今、私が怒られる要素はありましたか!?」

696: 2018/09/26(水) 22:33:49 ID:kOukKLCY
武内P「高垣さん」

楓「はい」

武内P「お話は……わかりました」

武内P「ですが……どうして、直談判に私を同行させようと?」


楓「一緒に、笑顔で♪」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「……」

武内P「高垣さん!? 理由を説明していただけますか!?」

697: 2018/09/26(水) 22:39:20 ID:kOukKLCY
武内P「……」

楓「……貴方と専務は平行線だ、と」

楓「そういったお話をされたと聞いています」

武内P「え、ええ……そうですね」

楓「つまり……専務が、禁酒派なら――」


楓「――貴方は、飲んだくれても良い派」


楓「……――違いますか?」キランッ!


武内P「違います」


楓「……」

楓「っ!?」


武内P「あの……驚かないで、頂けますか?」

698: 2018/09/26(水) 22:47:04 ID:kOukKLCY
楓「……!?……!?」オロオロ!

武内P「たっ、高垣さん!? 落ち着いてください!」

楓「たっ、高垣楓です! 高垣楓です!」

武内P「存じています! わかっていますから!」


楓「そんな……貴方まで、禁酒しろって言ったら……!」

楓「事務所に、味方が居なくなっちゃうじゃないですか……!」


武内P「……」

武内P「既に、思い切り孤立なさっているじゃないですか!」

699: 2018/09/26(水) 22:54:52 ID:kOukKLCY
楓「……すみません、取り乱してしまって」

武内P「ええ……はい」

楓「はい?」キョトン

武内P「……いえ、何の問題もありません」


武内P「ですが……そういう事なら、禁酒なさっては?」


楓「と、思いもしましたが」


武内P「まずは、一週間程度、試しに……」


楓「大人しく飲めたら、完全解禁で良いのでは……と」

楓「――なるほど♪」


武内P「待ってください!」

武内P「言葉を挟んで、都合の良い方向に進めないでください!」

700: 2018/09/26(水) 23:02:26 ID:kOukKLCY
  ・  ・  ・

専務「……ふむ、成る程」


楓「それなら、どうでしょうか?」


専務「少し待ち給え」

専務「……君も、彼女と同じ意見なのか?」


武内P「わ」

楓「お仕事に、大きいも小さいもありません」

武内P「……」


専務「高垣楓、その話は今関係無い」

701: 2018/09/26(水) 23:08:53 ID:kOukKLCY
専務「だが……完全解禁は、了承しかねるな」

専務「反動で、大きな問題を起こしかねない」

楓「その心配はありません」

専務「? 何故、そう言い切れる」


楓「……」ジッ


武内P「……」

武内P「えっ!?」


専務「ふむ……彼を見張りにつける、と」


武内P「えっ!?」

702: 2018/09/26(水) 23:18:39 ID:kOukKLCY
武内P「まっ、待ってください! あの……何故!?」


専務「良いでしょう、やってみなさい」

専務「それで、道が開けるというのならば」

楓「いいえ、もう……道は開けています」

楓「だって、大手を振ってお酒が飲めるんですもの」

専務「……呆れたものだな」

楓「はい。それが私、高垣楓です」


武内P「待ってください! あの、専務!? 高垣さん!?」

武内P「私を置いて、話をまとめないでくださいますか!?」

703: 2018/09/26(水) 23:22:11 ID:kOukKLCY
  ・  ・  ・

武内P「……話が、まとまってしまった」

武内P「……」

武内P「何故……こんな事に……!?」


奏「――あら?」

奏「シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさんじゃない」


武内P「速水さん……」


奏「……」

奏「何かあったの?」

704: 2018/09/26(水) 23:27:27 ID:kOukKLCY
  ・  ・  ・

奏「……ふぅん、そんな事になってたんだ」

武内P「……」

奏「なんだか、ごめんなさいね。私のせいで」

武内P「あっ、いえ! そんな事は、決して!」


奏「それじゃあ、ご褒美のキスを貰おうかな」

奏「ふふっ! 私のおかげで、楓さんと飲みに行けるんだもの」


武内P「……」


奏「……もう! 冗談よ、冗談! ふふっ!」

705: 2018/09/26(水) 23:35:11 ID:kOukKLCY
奏「でも、これで酔った楓さんから電話は来なくなるのかしら」

奏「それはそれで、少し残念な気もするわね」

武内P「……」

奏「それじゃ、酔った楓さんの面倒を見るの、お願いね」

武内P「……頑張ります」


奏「だけど、禁酒令……ね」


武内P「……?」

706: 2018/09/26(水) 23:42:29 ID:kOukKLCY
武内P「速水さん……?」

奏「楓さんに禁酒させるのって、難しいと思わない?」

武内P「え、ええ……そう、ですね」

奏「無理に禁酒させて、あの人の笑顔が曇ったりしたら……ね」

武内P「はい……それは、私も考えました」

奏「そうよね」


奏「迷惑をかけないなら、禁酒までさせることはない」

奏「……そう、貴方も思ったんじゃないの?」

奏「だから……渋々だけど、申し出に同意した」

奏「……違う?」



武内P「……ええ、まあ」

707: 2018/09/27(木) 00:04:33 ID:SZMWaocY
奏「まあ、とにかく頑張ってちょうだい」

武内P「……ありがとうございます」

奏「貴方って、本当につれない人だものね」

武内P「えっ?」

奏「ううん、こっちの話」


奏「本当に、色々な意味で――」


奏「控えた方が良い」


奏「……ただ、それだけの話よ」



おわり

708: 2018/09/27(木) 00:11:05 ID:7GpFl1Og
楓さんに禁酒をさせる? 例の指輪が必要だな