1: 2023/02/18(土) 23:21:25.06 ID:34xGN3K+.net
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2: 2023/02/18(土) 23:25:26.26 ID:34xGN3K+.net
大体2年くらい前に、当時一緒にアイドル活動をしていたメンバーの家をお借りして夏合宿を行ったんです。

当時は本当に楽しかったですね、ずっと憧れていたものに近づけた気がして、仲間がいて。

で、まぁ夏合宿も夜に差し掛かり寝る時間になったんですが…まぁそんな簡単に寝れないわけですよ、なんせ花の女子高生が9人ですから、話題は尽きないし、深夜テンションってあるじゃないですか?

そんな感じで中々眠りたくなかったわけですよ、ただその家というのが旅館という事もありあまり騒ぐことも許されなかったんですよね。

3: 2023/02/18(土) 23:25:39.20 ID:34xGN3K+.net
そんな訳で静かに、尚且つ盛り上がる夜の行事として怪談が選ばれたわけです。

といっても、百物語のように儀式的な事をした訳ではなく、ただ蝋燭を9本置いて怪談を話していく。

まぁ、今回お話させて頂くのはそんな私達の話です。

誰がおかしかったんでしょうね笑

4: 2023/02/18(土) 23:25:55.66 ID:34xGN3K+.net
鞠莉「と、言うことで!怪談大会デース!!」

果南「サイアク……ほんっっとサイアク!」

千歌「ねぇねぇ!早くやろうよ!こーいうのなんかワクワクする!」

ダイヤ「その前に順番を決めないといけないでしょう?」

善子「そんなのテキトーでよくない?そんなしっかりしたもんじゃないんだし」

ルビィ「あー…でもルビィ後の方がいいな…直ぐには思いつかないから…」

梨子「私もできれば後の方がいいかな、そんなすぐに思いつかないし。」

花丸「まるはどこでもいいずらよ」

鞠莉「うーん、じゃあ今すぐ話せる人ってどれくらいいる?」

曜「はい!私いつでもいけるよ!」

千歌「ちかも!」

ダイヤ「すみませんがワタクシは思いつかないので最後の方に…」

果南「私は前の方がいいかな…早めに済ましたいし…」

鞠莉「じゃー、曜→千歌→果南→私→花丸→善子→ルビィ→梨子→ダイヤ

で、いいかしら?」

千歌「異論なーし!」

曜「じゃーアタシからいくよ?!」

善子「声のデカさで怖さ半減だから…」

6: 2023/02/18(土) 23:26:32.46 ID:34xGN3K+.net
第一夜 渡辺曜 蛾?

ちょっと前…だから七月の終わりくらいの事なんだけど、私って普段エアコンつけて寝るんだけどさ、でも朝までしてるとおなか痛くなっちゃうし、喉も痛めちゃうから、ベッド入るときはタオルケット一枚くらいで、エアコンは設定でタイマーにしてそれで寝るんだけどね。

で、その七月終わりの時もそういう感じで寝てたんだけど、その日は確か千歌ちゃんとお昼寝してたかなんかで、眠りが浅くなってたんだよね。

まだ夜だったんだけど一回、ぱっと起きたんだ、右の枕元にスマホがあって、それ点けたら確か二時半くらいで、そんくらいの時間だからエアコンもまだ動いてるっぽくて、冷たい空気がしたし。

そういう時間に起きたにしてはまだ結構眠くて、
つまり夜遅くに眼が冴えましたって感じの起き方ではなかったから、また寝ようとしたんだけどさ。

7: 2023/02/18(土) 23:26:52.85 ID:34xGN3K+.net
でもなんかこう息苦しいっていうか喉がはりつくみたいに渇いてて、唾を飲み込んだら喉の奥がちょっと痛い、いやな感じがあってね、遂に喉痛めちゃったかーとか考えながら冷蔵庫に水を取りに行ったんだよ。

スマホも持ってて、ちゃんと電気つけると本格的に目が冴えそうな気がしてスマホのライトを頼りにしてさ。

で、冷蔵庫についてから水を飲んでまたベッドに戻るわけだけどさ、冷蔵庫からベッドまで戻るときって、こう何ていうか、進行方向にはベランダの窓が見えるから。

初めてそっちの方に、スマホのライトが向いたのね、そしたら窓に、でっかい蛾がとまってるのが見えてそれが、確かその日って洗濯物干すためにベランダ開けてたからさ。

いつもは網戸とガラス窓で二重になってるんだけどね、その日は網戸閉めるの忘れてたんだよ。
だから、ベランダに繋がるガラス窓に直接、
そのでっかい蛾がとまってる状態になってたのね
だから、うわ気持ち悪いな、って思って。

8: 2023/02/18(土) 23:27:10.28 ID:34xGN3K+.net
蛾ってさ、なんていうんだろー…
茶色い羽根に黒い斑点があって、ちょっと縦に長くてぷりぷりした胴体みたいな、そういう系統の虫でさ。

アレの裏側がベランダのガラス窓から直接見える訳だからさ。

しかも、よく見ると裏側のその胴体の所にさなんか卵持ってるっぽくて、そこだけこう、ぶりゅって盛り上がっててね。
山にいるジョロウグモの裏側の、
おなかが赤いあの感じっていうか、まぁとにかく気持ち悪かったの。

寝起きにそんなの見たわけだからさ、まぁ気持ちいい思いはしないわけで、だからもう早く寝よう!ってそこから視線を外しかけたんだけどさ、
スマホのライトを急に窓に向けたからかな、その蛾が突然ばたばた動き出して、目の高さくらいのとこまで来てまた止まったんだよ。

9: 2023/02/18(土) 23:27:35.73 ID:34xGN3K+.net
窓越しとはいえ、結構びくってなって、
びくってなったんだけど、それがさっきより近いとこに来たから、初めてそこで気付いたんだけど。

その蛾っぽい虫の、へんに盛り上がった胴体が、
脈打つみたいに動いてて、それ卵持ってるんじゃなくてさ、どうみても人間の口なんだよ。

人間のくちびる

人間の唇が胴体の裏側のお腹に縦についてて、それが動いてるの。

寝てるひとがくちゃくちゃ口を動かすみたいに、
生きてる人のくちびるみたいに虫が、それに気付いたのと同じタイミングで、部屋に突っ立ってた私のの右耳のすぐ近くで ぶぶぶぶぶ っておっきな虫の音がしてぶるぶる震える羽がみみたぶに当たる感触がしたところで記憶が消えてるの。

でね、また起きたら不思議なことにベッドの上でちゃんと寝てて。

ちゃんとっていうのは枕に頭を置いてタオルケットを掛けてるっていう、そういうしっかりとした寝方って意味ね。

10: 2023/02/18(土) 23:28:04.40 ID:34xGN3K+.net
あそこで記憶が途切れてるんだから、もっとぐちゃぐちゃになってたりしてもおかしくないのに、そもそもベッドに入った記憶がないしね。

その時にはもう朝になっててさ、当選エアコンも切れてるわけだから部屋が凄い蒸し暑くてさ、
腕とか胸とか、タオルケットの中で足がねちゃぁってしててね。

あとさ、スマホがね、自分の体はベッドにあるのにライトつけたまんまで放置されてたの。

しかも何が気持ち悪かったかって、起きたときに枕がやたら湿っててさ、ああ暑かったし結構寝汗かいちゃったかなって思ったんだけど、それにしてはなんかこう、湿り方が一か所に集中してて。

見たらそれ、寝てるときに右の耳とかこめかみが付く場所でさそれでベッドの上で右耳を触ったら、そこがやけに濡れてて右の人差し指から、糸を引くみたいにねばねばした感触と、ひとの唾液が乾いたみたいな、すごいいやなにおいがして。

あの時はすぐにエアコンつけて、シャワー浴びに行ったんだよ、その時にちらっと窓を見たけど、別に何もいなかったから、もう大丈夫だと思ってるんだけどね。
 
思ってるんだけどさ。

それ以来、部屋がちょっと変な感じがするんだ。

じゃ、蝋燭消すね

11: 2023/02/18(土) 23:28:30.02 ID:34xGN3K+.net
善子「なんていうか……キッッショ!!」

曜「仕方ないじゃん!本当なんだから!」

ルビィ(あー…だからかあ、曜ちゃんと衣装の相談で、電話した時にノイズみたいに色々な声で含み笑いが聞こえたの。)

梨子「それからはもう何もないの?」

曜「うん、本当にもう何もないよ、別に何も、おかしく思うような事は。」

千歌「じゃあ次千歌!もう話ていいの?」

鞠莉「OKよ~あ、話し終わったらちゃんと蝋燭消してね?」

千歌「はーい!」

12: 2023/02/18(土) 23:29:02.45 ID:34xGN3K+.net
第二夜 高海千歌 もうおそい

まぁ体験したのは千歌じゃなくて志満ねぇなんだけどねー

昔、志満ねぇが通ってた大学の近くにちっちゃい公園があったんだって。

そこは本当に変哲もない普通の公園で、ちっちゃい動物を模した乗り物と、所々に生えてる木、あるのはそれぐらいなもんだから子供達の遊び場にならなかったらしいんだけど。

或る時急にね、そこに手作りの小さな看板が立ったんだって。
看板、というか張り紙みたいな感じだったらしいけど、木で出来た柵に紙が貼り付けられてて、
その紙には子供の字で

「おはなとらないでください」

って書かれてたらしいんだけど。

13: 2023/02/18(土) 23:29:20.36 ID:34xGN3K+.net
ただ、不思議なのはそれを立てた人が全く分からないってことに加えて、その看板の周辺には花らしき花が全然咲いてないんだって。

木とかクローバーみたいなのはあるし、注意深く見れば花っぽい花もあるにはあるらしいんだけど。

でも、一般的に花って言われて想像するようなのはそこら一帯には無かったんだって、そもそも、そこの公園の花壇は別のところに立派なのがあったらしいし。

それで、物が物だからすぐに撤去するのも忍びないらしくて、でも誰が書いたのか、何が目的なのか、それがわからない気持ち悪さも事実あったみたいで、結局1週間くらいは放置されたらしいよ。

14: 2023/02/18(土) 23:29:40.67 ID:34xGN3K+.net
でもね、これまた突然にその看板が撤去されたんだって。

友達に聞いたりしても、立てたのも片付けたのも、誰か分からないって言っててらしくて、まぁ不気味ではあるけど、撤去されたならそれでいいよね、ってそこで話は終わって皆その事はすぐに忘れちゃってたらしいんだ。

それでね!これは最近の事なんだけど。
三月辺りに志満ねぇ友達を尋ねる為に一回その周辺に立ち寄ったんだって。

そしたら警察が集まってたらしくて、それで話を聞いたら、若い男の人が首を吊ったんだって、そこにある木を使って。

15: 2023/02/18(土) 23:30:02.91 ID:34xGN3K+.net
問題はね、その男性が何も無かった事なんだって、精神疾患とか、元々そういう予兆があったとか、そういうのが一切なくて。
この後その公園が祟られたーとか、幽霊がでるとかそういうのも無いらしくてね。

志満ねぇも当時は看板の事なんてパっと出てこなかったらしいんだけどね、

うーん、なんていうんだろ、どうなんだろうね
上手く言えないけど、

何かが、何かが決定的に違うみたいな、そんな気がするんだよね。

あっ、蝋燭消すねー!

29: 2023/02/20(月) 01:46:26.36 ID:HX/B3rly.net
善子「結局なんだったのよ…それ」

千歌「さー、なんかモヤモヤするんだけどなー」

果南「ねぇ、もうやめにしない?外も暗いし…」

曜「そりゃ夜だから…」

花丸「ねぇ、もしかしてさ、その
おはなをとらないでって供花の事だったんじゃないかな?」

花丸「それなら、看板の近くにあった木で氏んだことも、花がないのにとらないでって、言ってる事にも説明つくし。

まぁ、なんでそれが何年も前に立ってたかは知らないけど。」

30: 2023/02/20(月) 01:46:55.82 ID:HX/B3rly.net
千歌「あー、もしそうなら、きっともう遅かったんだろうね~笑」

果南「はーー、じゃあそろそろ、イヤだけど、次私するね?」

31: 2023/02/20(月) 01:47:13.97 ID:HX/B3rly.net
第三夜 松浦果南 おまじない

私は千歌や曜みたいに怖い話はできないから、ちょっと不思議…というか疑問的、ふと気になるような話をするね。

皆さ、掌に人という字を3回書いて飲み込む、ってまじない聞いた事あるよね?私もいつの間に知ってたし、今もライブ前に何度もやった事あるしね。

で、このまじないが何故、どういった経緯で現代まで受け継がれできたのか、原因は分からないけど、多分願掛けや験担ぎのような側面が大きかったんだと思う。

人という文字を掌に書き、それを口元まで持ってったら飲み込む動作をする。

32: 2023/02/20(月) 01:47:35.73 ID:HX/B3rly.net
そして、自分が「人」を呑み込んでいるように思い込ませ、これから相対する人も自分にとっては取るに足らない相手だと思い込む。

用途的には願掛けに近いけど、目的としてはこんな感じなんじゃないかな。

それに”手で口元を塞いだ状態で口内にある少量の空気と唾液を嚥下する”っていう一連の動作は、呼吸を落ち着かせて、息を整える、そんな効果も一定はあるんだと思うし。

さっき言ったけど、このまじないは緊張状態にある人がその状態から脱する為にするまじないじゃん?

じゃあもし、その人が過度な緊張状態に陥っていたとして、口を閉じ、何かを呑み込む、そういう一連の動作は過呼吸を抑制してその後にゆっくり呼吸をする。
文字通り「呼吸を置く」動作になるんだよ。

33: 2023/02/20(月) 01:47:53.45 ID:HX/B3rly.net
それに、まじないって言葉で括られて、形式化された複数の動作を再現するのは、緊張の原因に対する意識を紛らわすことにもなるんだよ。
緊張状態のときに別のことを考える、その別のことを掌に人という字を三回書いて飲み込むという動作に置き換えてれば理屈になるからね。

ここからが本題なんだけど、中学生の時にさ、1回こういうおまじないを調べてみたことがあったんだよ。

きっかけはホントに些細な事で、確か幽霊が怖いとかだったと思う。

ほら、昔さ口裂け女って流行ったでしょ?
それで、その口裂け女を追い払うにはポマードって唱えればいいみたいな。

34: 2023/02/20(月) 01:48:12.86 ID:HX/B3rly.net
私って幽霊とか苦手でしょ?
だから、そういう対処法みたいなのを、いっぱい集めてみようと思ったんだと思う。

これはね、そんな幽霊に対する対処法を調べた時に見つけたおまじないなんだ。

その内容っていうのが、北九州に伝わるものらしいんだけど、悪霊を退ける手段に掌に文字を書いて舐めろ、っていうのなんだ。
ただ、これは汎用性のある魔除けじゃなくて、ある特定の例に対して行われてたの。
その霊の名前を「ヒダルガミ」って言うんだけど

あーヒダルガミ自体は妖怪を纏めた辞典とか多くの本に載ってるから知ってるかもしれないけど、簡単に説明するとね、ヒダルガミは悪霊の一種なの。

35: 2023/02/20(月) 01:48:29.63 ID:HX/B3rly.net
これに憑かれるのは主に山中なんだけど、山の中を歩いている時に突如として酷い空腹感と疲労感「饑い」と形容される感覚に襲われる、それはヒダルガミの仕業って事にされてすぐに何らかの対処をしなければならない、っていう感じ。

そんで、北九州のある地方ではその対象法が掌に文字を書いて舐める、ってものだったんけど。
あーって言っても、これは奥の手だったみたいで、実際には何か携帯していた物を食事することでヒダルガミを退けられたみたいだけどね。

いやーでもさ、今は迷信とされてても、本に載ったり、現代まで伝わってるって事は、そのまじないに信憑性があると思えるような、そんな体験をした誰かが過去にいたんだろうね。

さっき言った、口裂け女とか、ヒダルガミの対処法も、それに限らず色々なまじないや対処法を見ると、時折ふと考えちゃうんだよね。
それを最初に伝承した人は、
一体何を見たんだろうって。

じゃあ蝋燭消すよー

36: 2023/02/20(月) 07:40:34.49 ID:OazcpPlZ.net
エマのブログの前日譚か…

引用元: ダイヤ「大体二年前くらいの話になりますわ」