1: 2014/08/13(水) 18:09:54.65 ID:ths4AeEgo
ザーザー

あ、とうとう降ってきちゃったわ。

まあ、夕方から降水確率60%だったし。

賢い私は、傘を持ってきて準備万端。

部活は休みの日なんだけれど、こんな日に限って掃除当番。

全くついてないわね。


2: 2014/08/13(水) 18:11:58.71 ID:ths4AeEgo
下駄箱

外を眺めながら佇む一人の少女が

傘忘れたのかしら?

……って海未じゃないの。

絵里「海未、どうしたの?」

海未「絵里」

海未「傘持ってきてた筈なんですが」

海未「どうやら、盗まれてしまったらしくて」

海未「それで、雨上がるの待ってたんです」

絵里「まあ」

3: 2014/08/13(水) 18:14:03.49 ID:ths4AeEgo
バサッ

絵里「ほら」手招き手招き

海未「え?」

絵里「一緒に帰りましょ」

海未「もしかして、相合傘と言う奴ですか?」

絵里「うん」

海未「じゃ、じゃあよろしくお願いします」

絵里「そんなに畏まらなくても」

海未「親しき仲にも礼儀有りって奴です」

絵里「海未らしいわね」

4: 2014/08/13(水) 18:15:36.55 ID:ths4AeEgo
海未「傘、私が持ちますね」

海未「入れてもらってるのに、持たせるのは悪いので」

絵里「そんなの気にしなくて良いのに」

海未「私が気にします」

絵里「じゃあ、お願い」

海未「日直でしたので、帰るのが遅れてしまって」

絵里「私も掃除当番で帰るの遅れちゃって」

絵里「調度良かったわね」

私と海未が、こうして相合傘してるとどうやって見えるのかしら?

同じ部活の先輩後輩。

さすがに特別な関係には見えないわよね?

どちらかが傘を忘れたので相合い傘を~って感じかしら?

5: 2014/08/13(水) 18:17:23.82 ID:ths4AeEgo
ザーザー

真姫「んー?」

真姫「あれは?」

花陽「どうしたの?」

真姫「傘で良く見えないとはいえ、あの金髪を見間違う訳ないわ」

凛「あ!」

凛「絵里ちゃん」

真姫「相合傘してる相手は」

花陽「海未ちゃん」

海未絵里「あっ」

バッタリ

6: 2014/08/13(水) 18:19:23.38 ID:ths4AeEgo
絵里「凛と真姫に花陽」

真姫「へー、お二人がそういう関係だったとは」

海未「こ、これは違うんです///」

絵里「海未がね、傘盗まれちゃったって言うから」

海未「そうなんです」

絵里「それで相合傘してたのよ」

真姫「お似合いな二人だ事」

凛「お似合いにゃ」

海未絵里「!」

絵里「な、何言ってるのよ///」

海未「そうですよ///」

7: 2014/08/13(水) 18:21:03.62 ID:ths4AeEgo
真姫「邪魔しちゃ悪いから、そろそろ行くわよ」

花陽「うん」

真姫「じゃあね、お似合いカップルさん」

凛「バイバイ」

絵里「カップル///」

絵里「全く真姫ったら」

さっきまであまり気にせず、海未と相合い傘してたけど

真姫達に、お似合いなんて冷やかされたら妙に意識しちゃうじゃない///

さっきよりも微妙に二人の距離を空けてしまい……

8: 2014/08/13(水) 18:22:13.50 ID:ths4AeEgo
海未「もっと寄らないと濡れてしまいますよ?」

絵里「……うん」

海未「…………」ボソリ

絵里「え?」

絵里「今なんて?雨音で聞こえなかった」

海未「何でもないです。独り言です」

絵里「?」

9: 2014/08/13(水) 18:40:33.30 ID:ths4AeEgo
真姫「真面目な二人だけに、からかうと面白いわね」

凛「真姫ちゃん、いけない子」ぷぷぷ

花陽「でも、あの二人結構お似合いだよね」

真姫「まあね」

凛「それにしても、この雨ムカつくにゃ」

凛「練習休みだから、お出かけしようと思ってたのに」

花陽「残念だったね」

凛「穂乃果ちゃんみたいに叫んだら止むかな?」

真姫「止むわけ無いでしょ」

凛「物は試しに!」

凛「雨止めー!!!!」

ドザザー!!

まきりんぱな「ちょっ!」

凛「余計に降ってきたにゃ!」

10: 2014/08/13(水) 18:42:56.79 ID:ths4AeEgo
ドザザー

海未「あれ?」

絵里「急に大降りになってきちゃったわね」

海未「そうですね」

絵里「これじゃ、びしょ濡れになるわ」

絵里「私の家で雨宿りして行きなさい」

海未「で、でも」

絵里「良いから」

海未「はい」

11: 2014/08/13(水) 18:45:51.58 ID:ths4AeEgo
海未「お邪魔いたします」

絵里「私の部屋行きましょ」

海未「はい」

絵里「タオルよ。どうぞ」

海未「ありがとうございます」

絵里「座りましょ」

ぽんぽんとベッドを叩く。

13: 2014/08/13(水) 18:48:36.79 ID:ths4AeEgo
絵里 髪の毛解き、拭き拭き

海未 ジーッ

絵里「な、何?」

絵里「そんなにジーッと見つめられたら照れるじゃない///」

恥ずかしくて少し俯くと海未が微笑む。

海未「絵里って」

絵里「え?」

海未「絵里って髪下ろすと可愛いですよね」

絵里「なっ///」

14: 2014/08/13(水) 18:52:27.36 ID:ths4AeEgo
絵里「急に何言ってるのよ///」

海未「いや、でも本当に可愛いので」

絵里「あ、ありがとう///」

海未「普段、髪縛ってる絵里も凛々しくて格好いいですけど」

海未「こっちの絵里も可愛くて好きですよ」

絵里「へぁう///」

絵里「海未って天然たらしとか言われたこと無い?///」

海未「何ですかそれ?」

海未「顔赤いですよ?」

絵里「誰のせいで赤くなったと思ってるのよ///」パタパタ

海未「?」

15: 2014/08/13(水) 18:54:40.87 ID:ths4AeEgo
頬に熱が集まっているのが分かる。

きっと顔は真っ赤になってる筈。

そう思うと急に恥ずかしくなった。

絵里「…………」

絵里「ちょっと待ってて」

海未「はい」

ガチャッ

ふぅーと大きく息を吐き、鏡をのぞき込むと

案の定、真っ赤になった自分の顔があった。

全く海未ったら……

仕返しよ。

海未の顔赤くしてやるわ。

ここから先は、ずっとエリチカのターンよ。

23: 2014/08/13(水) 23:11:13.60 ID:ths4AeEgo
絵里「お待たせ」

絵里「はい、麦茶よ」コト

海未「ありがとうございます」

隣に座り、スススッと近づき

そのまま寄り添って……

ピトッ

海未の身体の熱が伝わり触れてる所が温かくなった。

そのまま海未の背中に腕を回し、ギュッと抱き寄せた。

海未「どうしたのですか急に?」

絵里「んー、海未とこうしてたいなって」

24: 2014/08/13(水) 23:14:28.92 ID:ths4AeEgo
ザーザー

隣で麦茶を飲む海未が窓へと視線を向ける。

海未「雨止みませんね」

絵里「そうね」

海未「雨がこのまま止まなければ良いのに」

絵里「何で?」

海未「そうすれば、このまま絵里と居られるなって」

絵里「ぅえ?///」

どんだけ人の顔赤くすれば気が済むのよ///

25: 2014/08/13(水) 23:19:24.63 ID:ths4AeEgo
いや、寄り添ってる今、海未も今頃顔赤くしてる筈。

赤くなった顔見て上げるわ。

顔を向けると振り向きざまに……

ちゅっ

絵里「わっ?」

突然の事にピクンと身体が跳ねた。

海未「ビックリしました?」

ふふ、と少し得意気に微笑む海未。

絵里「いきなりほっぺたにキスされたらビックリするわよ///」

絵里「海未って、こんなキャラだった?」

海未「こんなキャラって何です?」

絵里「その……キスとか恥ずかしがるのかと」

海未「寄り添ってくる絵里が、あんまりにも可愛かったのでつい」

絵里「へぁ?///」

26: 2014/08/13(水) 23:23:24.65 ID:ths4AeEgo
海未 ジーッ

再び私をジッと見つめてくる海未。

見つめられる恥ずかしさに俯きかけると

私の頬にそっと両の掌を添え

チュッ

唇に優しいキス

唇が離れ、呆然としていると

海未「あの……」

海未「絵里、口開いてますよ?」

絵里「ハッ!///」

27: 2014/08/13(水) 23:26:54.63 ID:ths4AeEgo
絵里「何で何で?///」

絵里「海未は、絶対キスなんて恥ずかしがると思ってたのに///」

海未「可愛い絵里見てたら」

海未「恥ずかしさよりもキスしたいって気持ちが」

絵里「海未・・・///」

お互い見つめ合うと

再び二人の唇が重なり合った。

海未絵里「ちゅっ……ちゅ……んちゅ……ん………」

数回、喋む様なキスを交わした後

海未絵里「ちゅっ……ちゅ……んくっ……ふ……」

海未絵里「ふぅ……んんっ、ちゅむっ…ふあぁっ、ちゅく……んむ……」

28: 2014/08/13(水) 23:31:58.61 ID:ths4AeEgo
ドサッ

キスしたまま海未に押し倒される形で、ベッドへと倒れこんだ。

絵里「あ……」

絵里「ええ?///」

絵里「海未って、こんなに大胆だったの?///」どっひゃ~

海未「そうですか?」

海未がキョトンとした表情を見せた。

絵里「……うん、ものすごく」

海未「絵里が、そうさせるんですよ」

普段恥ずかしがり屋な海未が、たまに見せる少し強気で大胆な姿。

絵里「私は、どっちも好き……」

そう小さく呟いた言葉は、雨音にかき消された。

31: 2014/08/13(水) 23:41:29.21 ID:ths4AeEgo
 「くすくす……」

 「良いですか……?」 
               「ほら、もうこんなに」   「んん…はぁんっ///」

    (もう……海未のバカ///) 
                       「もっ……い」

「何ですか?」           「もっと……しい」

       「聞こえませんよ?」                   「もっとして欲しい///」

    「ハラショー」

32: 2014/08/13(水) 23:46:41.80 ID:ths4AeEgo
ザーザーザー

絵里「海未って……」

絵里「その時ってキャラ変わるのね///」

海未「……zzz」

絵里「……寝てる」

海未の頭に手をやり、そのまま撫で回した。

絵里「真姫達に、お似合いって言われて」

絵里「本当は嬉しかったのよ?」

後になって分かった事だけれど

来る途中に海未が呟いた言葉も同じだったみたいね。



おしまい

33: 2014/08/14(木) 00:15:51.26 ID:5V0O/bqlO
いい百合だった 乙

34: 2014/08/14(木) 00:29:00.69 ID:G043mfbPO
イケメン海未に翻弄される絵里も、たまには良いね

引用元: 絵里「雨音」