1: 2013/05/16(木) 17:49:05.89 ID:kVo62LWoo
ベルフェゴールとは――

「七つの大罪」において「怠惰」を司る悪魔。
怠惰とはすなわち「情熱の欠如、欝屈、憂鬱」を指す。
男を魅了する妖艶な美女の姿で現れ、好色の罪をもたらす悪魔とされる。
 
中世の魔術書においては発明を手助けする堕天使とされ、
便利な発明品を人間に与えることで、堕落させる力を持つ。

銃撃・火炎半減、衝撃9割カット、氷結・精神・呪殺無効。中盤の強敵。


※神崎蘭子著「ブリュンヒルデ黙示録(ルビ:アプカリュプス)~七つの大罪編~」第四章より抜粋



2: 2013/05/16(木) 17:51:01.94 ID:kVo62LWoo
P「んーっ……もう五月も中旬か」コキコキ

P「しっかし本当、暑くなってきたなぁ。ついこの間まで寒かったってのに」

P「連休明けたからかな……これからは気を引き締めていかないと」


ガチャッ


P「おはようござい……ん?」

ちひろ「た、大変です、プロデューサーさんっ!」

3: 2013/05/16(木) 17:54:07.70 ID:kVo62LWoo
P「千秋の奴がまだ来ない?」

ちひろ「それでつい先程電話したんですけど……」

P「?……繋がってるんですか?電話」

ちひろ「ちょっとプロデューサーさん、代わってもらえませんか」

P「いいですけど……」



P「もしもし?」

千秋『ふあぁ~……なにー?』

4: 2013/05/16(木) 17:56:32.71 ID:kVo62LWoo
P「なにー?って……お前、今日仕事だろ?」

千秋『………』

P「千秋?」

千秋『ね、プロデューサー。今週、まるっと休みにしない?』



P「……は?」

千秋『何だか最近、すっごい身体がダルいの。やる気も全然出なくて』

千秋『これって多分、何かの病気だと思うのよね。だから……』

P「な、何言ってんだよいきなり!?」

5: 2013/05/16(木) 17:58:14.55 ID:kVo62LWoo
P「一週間丸々休むだなんて……」

P「ついこの間までトップになるために頑張るって、自分で言ってたじゃないか!」

千秋『うん。それについてもちょっと、方針転換しちゃおうかなと』

P「方針転換?」



千秋『今はー、楽してー、ズルしてー、のーんびり、トップを目指そうかなーって』

P「」

6: 2013/05/16(木) 18:01:44.85 ID:kVo62LWoo
千秋『自分でもよく分からないけど、今は無性にエビでタイを釣りたい気分なの』

千秋『だからね、プロデューサーは私を働かせたいのなら、エビになる楽なお仕事を探してちょうだい』

P「そ、そんなのある訳ないだろっ!千秋、今すぐ事務所に」

千秋『じゃ、おやすみ~』

P「お、おい!?」

プツッ

ツー ツー ツー


ちひろ「どの子もそんな感じで、まともにとりあってくれなくて……」

P「……いやいやいや、そんなまさか……」

7: 2013/05/16(木) 18:05:23.88 ID:kVo62LWoo
『ふぇいふぇいは今、とっても忙しネ。またかけ直すデス……レナ!ここでリーチヨ!』

『えーっと、シューコは今、実家を手伝う為に留守って事にしておきたいので、ご用の方はぴーっ』プツッ

『世界レベルの仕事は?え、そんなのない?……今私、シエスタ中なんだけど?』

『徹マン、絶賛続行中だから。また後にしてくれない?……あ、ツモ』

『やすんだっていいじゃない アイドルだもの ちづる』





P「ちょっと女子寮見てきます」ダッ

8: 2013/05/16(木) 18:11:59.74 ID:kVo62LWoo
~女子寮~

P「駐車場を見るに、まだ外出した形跡はないみたいだが……」

P「クソッ!誰一人まともに出ないなんて。こんな事は初めてだ」

P「一体何が起きて……」



泰葉「プロデューサー、おはようございます」

P「あぁ、おはよう泰……泰葉っ!?」

泰葉「?……どうしました?」

9: 2013/05/16(木) 18:14:37.19 ID:kVo62LWoo
P「ちょ、おま……なんちゅう格好をして……!」

泰葉「え?」

P「せめてパジャマはボタンを留め……し、下はどうした!?」

泰葉「あ、これですか?最近暑くなってきましたし、ズボンは最初から履かないんです」

泰葉「おかげで汗でベタ付かないし、とっても快適なんですよ。気分もさわやかです」クルリン

P「快適って……」

泰葉「プロデューサーもいかがです?開放的になっては」

P「確かに蒸し暑くなりはしてるが、俺が脱いで得をする奴なんていないから」

10: 2013/05/16(木) 18:18:24.85 ID:kVo62LWoo
泰葉「はぁ、涼しい……クールビズってこういう事なんですね、プロデューサー」キラキラ

P「いや、クールビズじゃねーからそれ!単にだらしがないってだけ……」

美優「あ、プロデューサーさん」

P「あぁ美優さん!丁度良かった、美優さんからも何か言って……美優さんっ!?」

美優「?」



P「……そ、その、スケスケ紫のネグリジェは……」

美優「こ、これは、その……ついこの間、奮発して取り寄せたんですけど……似合い、ますか?」

11: 2013/05/16(木) 18:22:39.09 ID:kVo62LWoo
P「え、えぇ、似合います、けど……ちょっと、過激すぎやしませんか」

美優「さ、最初はそう思ったんですけど……抵抗もなく、すんなり着れてしまって」

美優「プロデューサーさんの前でも、全然恥ずかしくなりませんし……」

泰葉「あ、普段着感覚ですね。私も分かりますそれ」

P「そ、それを普段着にしちゃダメですよ!絶対ダメです!!」

美優「……や、やっぱり、似合いませんか……?」ガーン

P「い、いやいやいや、そうじゃなくてですね……あぁもう!」

12: 2013/05/16(木) 18:37:01.62 ID:kVo62LWoo
P「――と言う訳なんだよ」

晶葉『ふむ』

P「この様子じゃあ恐らく、寮全体がおかしくなっちまってる……」

P「晶葉なら、何か気付いてないかと思ってな」

晶葉『………』

P「晶葉?」



晶葉『……プロデューサー、前々から君に伝えておきたかったことがある』

P「ん?」

13: 2013/05/16(木) 18:41:50.74 ID:kVo62LWoo
晶葉『私はトラブルメーカーでもなければ、君専属の便利屋でもないし説明係でもない』

晶葉『どこぞのネコ型ロボットのように、泣きつけば助けてくれるような存在ではないのだよ』

晶葉『以上だ』ブツッ



P「えっ、あ……お、おい!ちょっと待て!」

P「ってか、どうして晶葉の部屋だけインターホン付きなんだ……!」カチカチカチ

美優「そう言えば泰葉ちゃん、朝食はもう済ませた?」

泰葉「はい、先程。さっき起きたばかりで、お昼ご飯になっちゃいましたけど」

P「……で、出てくれ!つーか出ろ、晶葉ぁ!!」カチカチカチカチカチカチカチカチ

14: 2013/05/16(木) 18:49:52.42 ID:kVo62LWoo
ガチャッ

晶葉『あぁうるさいな……連打するんじゃない、ったく』

晶葉『次から3、いや2フレーム間隔辺りで自爆するように改造を施さなければ……』

P「インターホンにそんな物騒な改造を施すんじゃない!」

晶葉『安心しろ。私は今どうしてだか、何をするにもものすごく億劫でな』

晶葉『予定は何もかも未定だ。だから君に割ける労力も持ち合わせては……』

P「……それだよ、晶葉」

晶葉『ん?』

P「何故今、自分がものすごく億劫なのか……疑問に、思わないのか?」

15: 2013/05/16(木) 18:53:30.20 ID:kVo62LWoo
晶葉『……ふむ』

P「原因は解決しなくていい。ただ、その疑問は解消してみないか?科学者として」

晶葉『………』

P「……今の俺には、晶葉が必要なんだよ。頼む」

晶葉『む……』



泰葉「い、今のって……」ヒソヒソ

美優「大丈夫よ。あれは、皆に言って回ってる台詞だから……」ヒソヒソ

泰葉「本当ですかそれ?」ヒソヒソ

P「……ちょっと黙っててくれませんかね、二人とも」

16: 2013/05/16(木) 19:02:50.47 ID:kVo62LWoo
晶葉『フッ……随分と私を評価しているんだな、プロデューサーは』

晶葉『………鍵は開けておいた。中で直接、話をしよう』

P「あぁ。それじゃ、入らせてもらうぞ」ガチャッ



P「予想はしてたが、お前もか晶葉」

晶葉「何がだ?」カタカタ

P「目のやり場に困るその格好の事だよ」

晶葉「自分の部屋にいて、この暑さだ。できるだけラフな格好でいるのは当然だろう?」カタカタ

晶葉「だが下着のみとあっても、白衣は欠かせない。これは私の矜持でね」キリッ

P「……矜持はともかく、汗臭いぞ。ちゃんと風呂には入ってるのか?」

晶葉「いや、ここ数日はこの格好のままだが?何しろ面倒臭くてな」カタカタ

17: 2013/05/16(木) 19:11:05.47 ID:kVo62LWoo
P「せめて下着は着替えてくれ……」

晶葉「後でな。それよりもプロデューサー、疑問を一つ解消したぞ」カチャターン

P「早いな!?」

晶葉「あぁ。これは……オーラ力の影響だ」



P「お、オーラ力?」

晶葉「オーラカ、ではないぞ。オーラ力(ちから)だ」

P「いやいやいや、ちょっと待ってくれ!オーラ力って……」

晶葉「もしくは、オーガニック的な何か。あるいはサイコウェーブ、毒電波……あぁ、まったく非科学的だな」

18: 2013/05/16(木) 19:15:23.68 ID:kVo62LWoo
晶葉「一個人から発せられる気……まさにオーラと表現した方が正しいかな」

晶葉「どうやらこの寮全体が広範囲に発せられたソレに、私を含めたアイドル達が否応なく同調……」

晶葉「つまり、気を当てられた、としか言いようがない」

P「何じゃそりゃ……」

晶葉「別に珍しくも無いだろ?LIVEバトルなどでは、よく見られる現象じゃないか」

P「え?そうなのか?」

19: 2013/05/16(木) 19:21:23.13 ID:kVo62LWoo
晶葉「バトルの相手がこちらの『威勢』で、体調を崩したり……」

晶葉「同じユニットメンバーからの『応援』で、本来の能力以上にアイドルが実力を発揮出来たりするだろう?」

P「あ、あぁ!あれか……」

晶葉「と言う訳で、元凶と呼ぶべきは恐らく、ウチのアイドルの誰かだ。発信源はこの寮から動いていない」

晶葉「この規模から察するに……歌わずとも踊らずとも、人を惹きつけ、心を動かす“何か”」

晶葉「誰が与えたか、天賦の才。カリスマの類だ」

P「カリスマだと?」

晶葉「まさにチートだな。かつてSランクアイドルも持っていたと言われる、類稀なる能力だよ」

P「(……そんなすごいアイドル、ウチにいたか?)」

20: 2013/05/16(木) 19:29:29.77 ID:kVo62LWoo
晶葉「今回の場合、どうやらそれが暴走している。いわゆるハイパー化だな」

P「ハイパー化!?」

晶葉「感情の爆発等、何かの拍子で抑制が効かなくなり、無差別にそれを発揮しているようだ」

晶葉「その効果は……超強力な五月病、と言ったところか。実にネガティブで特徴的じゃないか」

P「感心してる場合じゃないだろう!?これがこのまま続いたら……!」

晶葉「そうだな。不本意だが、私達のストで機能しなくなったプロダクションは、いずれ破綻する。確実に」

P「わ、笑えねぇ……」

21: 2013/05/16(木) 19:35:25.29 ID:kVo62LWoo
晶葉「さて……あとは君の仕事だ」

晶葉「ここまで説明するのは非常に億劫だったが、君の頼みだ。まぁ悪くはなかったよ」

晶葉「私はここで、この異変の解決でも祈るとしよう」

P「これだけでも十分だよ。ありがとう、晶葉」

P「……つーかちゃんと着替えとけよ、マジで。臭うし、汚いからな」





晶葉「……フッ」

P「フッ、じゃねーから!絶対風呂にも入るんだぞ!いいな!?」

23: 2013/05/16(木) 19:41:51.39 ID:kVo62LWoo
ガチャッ

泰葉「あ、プロデューサーが出てきました」

P「……何となくだが、誰が原因かは分かった気がする」

美優「?……何の原因ですか?」

P「詳しくはまた後で話します。二人にちょっと聞きたいことがあるんですが」

泰葉「?」



P「杏の部屋、どの部屋か分かりますか?」

24: 2013/05/16(木) 19:48:55.34 ID:kVo62LWoo
~女子寮・二階~

泰葉「彼女とはあまり親しくはしてませんけど……確か、この部屋ですね」

P「……杏を最後に寮で見たのは?」

美優「連休明けの初日に見かけましたけど……それ以降は、ちょっと」

P「マズいな。最悪、このオフの間は部屋から一歩も出ていない事もあり得る」

P「そもそも生きてるのかすら怪しく……いやいや、杏に限って逆にそんな」

泰葉「生きてるみたいですよ?ほら、メーター回ってますし」

P「……って事は、中にいるのか」

25: 2013/05/16(木) 19:50:59.80 ID:kVo62LWoo
ドンドン

P「おい、杏!いたら返事しろ!おーい!!」ドンドン


ガチャガチャ


P「当然の如く鍵をかけてやがる……泰葉、寮のマスターキーを取って来てくれ!」

泰葉「嫌ですよ面倒臭い。私はプロデューサーの人形じゃありませんから」

P「ぐっ……なら、俺が直接取りに」

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ~!』

P「!?」

26: 2013/05/16(木) 19:53:13.79 ID:kVo62LWoo
杏『ふふふ……これは決して崩れることのない、ジェリコの壁!』

杏『そう、誰であろうとこの私の絶対領域は侵せない。例えプロデューサーであろうとも』

P「杏……!」

杏『杏の部屋の鍵はー、杏にしか開けられませーん。はい残念でしたー』

P「ふ、ふざけるんじゃない!今すぐここを開けて、出てくるんだ!!」

杏『……プロデューサーは、私に会いたいの?』

P「あぁ、もちろんだとも!」

27: 2013/05/16(木) 19:57:29.49 ID:kVo62LWoo
杏『ホントに?』

P「……今の俺には、杏が必要なんだよ。頼む!」



泰葉「本当に誰彼構わず言ってるんですね、あのコピペ」ヒソヒソ

美優「でも言われると、悪い気はしないから……私も時々、コロッといっちゃいそうになるの」ヒソヒソ

P「杏……!」

杏『プロデューサー……』



杏『だが断る』

P「」ズルッ

28: 2013/05/16(木) 20:00:36.11 ID:kVo62LWoo
P「な、何故だ!……何故なんだ、杏!?」

杏『だってそれ、杏がサボろうとする度に言ってる台詞だよね』

杏『そりゃ聞き飽きるよ。誰だって断る、私だって断る』

P「ぐっ……」

杏『大体、虫が良過ぎるよね。あんな事言っといて、今更出てこいだなんて』

P「な、何?」

杏『外に出たら私に欲情して、乱暴する気なんでしょ?工口同人みたいに!……工口同人みたいに!』

P「しねーよ!誰が欲情なんてするか!!」

29: 2013/05/16(木) 20:05:44.83 ID:kVo62LWoo
杏『………』

P「?……おい、杏?」

杏『ほら……また酷い事言った!』

P「はぁ?」

杏『あの時もそうだったし。プロデューサーってホント、最低だよね』

P「ま、待ってくれ!一体何が何だか」

杏『うっわぁ……もう忘れちゃってるんだ。連休終わりに私に言ったこと』

P「……連休終わりに、杏に言ったこと……?」

31: 2013/05/16(木) 20:08:51.89 ID:kVo62LWoo
~回想~

P「いやー、今日もグラビア撮影、お疲れ様でした」

ヘレン「私の魅せたところ、きっちり撮ってもらえたかしら?」

P「もちろんですよ、バッチリです」

レナ「プロデューサーさん、ちょっと」

P「はいはい、何でしょうレナさん」

レナ「あの水着なんだけど、胸元が少しキツかったかな……」

P「マジですか?」



杏「………」チラッ チラッ

32: 2013/05/16(木) 20:12:04.78 ID:kVo62LWoo
杏「……ね、ね、プロデューサー」グイグイ

P「じゃあ今度、また採寸し直……どうした?杏」

杏「あ、あのさ。ほんのちょっっっっっぴりだけ、興味が沸いたんだけどね」

杏「私もさぁ……グラビア、やってみたい、かなーって」

杏「……ね、どうよ?」



ヘレン「じゃ、また明日ね」

P「お疲れっしたー!」ペコペコ

杏「って、聞けよ!」

33: 2013/05/16(木) 20:13:32.86 ID:kVo62LWoo
P「は?グラビア?」

杏「うん」

P「誰が?」

杏「杏が」





P「杏が?」

杏「そうだよ」

37: 2013/05/16(木) 20:20:18.92 ID:kVo62LWoo
P「かぼちゃパンツでなく?」

杏「かぼちゃパンツでなく」

P「……え、杏が?」

杏「だからそうだって」

P「………杏が?」

杏「何回聞き返すつもり?」



P「HAHAHAHAHAHAHA」

杏「えっ?」

38: 2013/05/16(木) 20:22:28.60 ID:kVo62LWoo
P「ないない、それはない」

杏「……は?」

P「いや、だってお前……その体型で、グラビアだろ?際どい所まで撮れってんだろ?」

P「完全に犯罪じゃねーか。俺だって流石に捕まりたくはないぞ」

杏「………」

P「大体杏を見て欲情する奴って、どんな変態だよハハハ」



杏「……私帰る」

P「おう、またな~」

41: 2013/05/16(木) 20:28:03.46 ID:kVo62LWoo
~回想終わり~

P「……すまん、覚えてない」



杏『………』

泰葉「……えぇー」

美優「ぷ、プロデューサーさん……」



P「こ、この所打ち上げやら接待やらで忙しすぎて、その……記憶が」

杏『も、もープッツンきた!杏はたった今逆襲するって決めたよ!ガチだからっ!!』

42: 2013/05/16(木) 20:36:19.94 ID:kVo62LWoo
杏『あれだけ丁寧に再現シーン流させておいて「覚えてない」ってさぁ!何だよそれ!?』

P「す、すまん……」

杏『やっぱりプロデューサーって身体の起伏のことしか考えてないんだね!良く分かったよ!!』

P「いや、そういう訳ではなくてだな」

杏『だったら杏はもう二度と働かないって、ここに宣言する!』

P「それはいつも宣言してるだろうが!」

杏『今度ばかりはガチだよ!ウソじゃないよ、ホントだよ!』

43: 2013/05/16(木) 20:40:10.20 ID:kVo62LWoo
P「……杏の言い分はまぁ、分かるよ。多分、俺が悪いんだろうが……」

P「だがそれで杏が俺に、こんな罰を与えるなどと……!」

杏『私、フタバ・アンズナブルが粛正しようというのだ!プロデューサー!!』

P「エゴだよそれはっ!」



泰葉「でもアレはちょっと酷いってレベルではないですよね……」ヒソヒソ

美優「……少なくとも、女の子にかける言葉じゃないと思うわ」ヒソヒソ

P「うぐっ……」

44: 2013/05/16(木) 20:44:33.16 ID:kVo62LWoo
P「こ、こうなったらライフライン……電気や水を断って、無理やりにでも!」

杏『ふふふ……Amamizonで部屋に取り寄せた、この物資を見よ!』

杏『これだけでも杏はあと2ヶ月は戦えるもんねー』

P「なんだとっ!?……こ、ここに2ヶ月も引き籠られたら、ウチの事務所は……!」



泰葉「んっ……」プルプル

美優「?……どうしたの、泰葉ちゃん?」

泰葉「少し、催してきたみたいで……ペットボトルか何か、容器は持ってます?」

美優「えぇ。ちょっと飲み残してるけど、私のでよければ」ゴソゴソ

P「えっ?……ちょ、まっ……す、ストップゥゥゥゥゥ!!」

45: 2013/05/16(木) 20:51:10.75 ID:kVo62LWoo
泰葉「?……何か?」

P「君達は俺の横で何とんでもないことやろうとしてんの!?」

泰葉「だってトイレまで行くの、面倒臭いですし。廊下を汚すよりは……」

美優「ふぅ……全部飲み干したわ。泰葉ちゃん、もう準備OKよ」スッ

P「だからペットボトルは携帯トイレじゃ……ああぁ、ちょっと!ダメですってば!!」

杏『………』



P「…………わ、分かった!分かったよ、ちゃんと謝る!謝るから!!」

P「俺が悪かった!酷い事言っちまって悪かったよ!全面的に俺が悪かったんだ!!」

P「だ、だからもう、許してくれ!頼む!……お願いだ、杏ぅ!!」ドンドン

47: 2013/05/16(木) 20:55:43.88 ID:kVo62LWoo
杏『……反省した?』

P「反省しました」

杏『ホントに?』

P「はい」

杏『じゃあ、証拠がほしいな~』

P「証拠?」

杏『うん。これから言われた通りのこと、私の前で見せてくれたら許してあげなくもない』

P「……俺に何をやれと?」

48: 2013/05/16(木) 20:59:31.17 ID:kVo62LWoo
杏『まず、そのペットボトルを尻に挟んでー』

P「………」ゴソゴソ

杏『右手の指を鼻の穴に突っ込んで―』

P「………」ズボッ

杏『左手でシャドウボクシングをしながらー』

P「………」シュッシュッシュッ

杏『いのちをだいじにって叫んで』

P「………」シュッシュッシュッ

杏『じゃなきゃ許してあーげない』



P「いのちをだいじにっ!!」クワッ

49: 2013/05/16(木) 21:03:01.68 ID:kVo62LWoo
バシュウウウウウウウ…


ガチャッ

杏「いやー、ホントにやるとは思わなかった。すごいね、プロデューサー」

P「あ、杏……」シュッシュッシュッ

杏「うん、許してあげる。ついでに杏のグラビアもちゃんと用意しなさい」

P「すまなかった、杏……」シュッシュッシュッ

杏「……も、もうやんなくていいから。うん」



P「俺を、許してくれるのか……!?」シュッシュッシュッシュッシュッシュッ

杏「だからもういいってば!わざとやってるでしょ!?」

50: 2013/05/16(木) 21:08:49.37 ID:kVo62LWoo
泰葉「……あ、れ……?」ハッ

美優「……っ!?」ハッ

P「……ふ、二人とも、もう大丈夫か?」

泰葉「…………×☆▽くぁすぇdrftgyふじこlp;~~~~~~~~~~ッ!!!」ピューッ



美優「……えっ?……なん、で……こ、この格好って……ふぇぇっ!?」

P「……ね、ネグリジェ似合ってますよ、美優さん」



美優「(´;ω;`)」ブワッ

P「美優さん!?」

51: 2013/05/16(木) 21:13:47.83 ID:kVo62LWoo
ガチャッ

菲菲「ちょと待つネ、レナ!また勝ち逃げカー!?」

レナ「あぁぁもうダメダメダメダメ……時間忘れて、ここまでのめり込むなんて……!」


ガチャッ

ヘレン「……そうよ、まだ余裕よ。世界レベルを自負するなら、余裕が大事……」

ヘレン「少しシエスタしただけじゃない、大丈夫……まだ慌てるような時間じゃないわ」キリッ


ガチャッ

千秋「ああああああああどうしようどうしようどうしようどうしよう……!」ボサボサ

千秋「何が楽してズルしてのんびりよ……何言ってるの私、ホント何言ってるの私!?」

53: 2013/05/16(木) 21:20:51.80 ID:kVo62LWoo
千秋「しかもプロデューサーにあんな事まで言って……あぁもう、どうすれば……」

P「千秋!」

千秋「!……プロデューサー!?」

P「まだ間に合う!着替えは車の中でやれ!」

P「すぐに荷物まとめて、駐車場まで来るんだ!」

千秋「は、はい!」





美優「……痴女よ、こんなの……絶対私のこと、痴女だって……」グスッ

杏「そ、そんな事ないって、大丈夫だよきっと……多分」

54: 2013/05/16(木) 21:25:47.83 ID:kVo62LWoo
~数日後~

杏「……ワイシャツ一枚姿を撮るだなんて、ホント変態だよね。プロデューサー」

P「ビキニの方が良かったか?」

杏「アレはズレるからあんまり好きじゃない」

P「なら我慢しろ」



杏「……ね、プロデューサー」

P「なんだ」

杏「グラビアはもう十分分かったからさ。疲れてきたし、そろそろ休み……」

P「何言ってるんだ?もう引き返せないぞ」

杏「えっ?」

55: 2013/05/16(木) 21:32:02.72 ID:kVo62LWoo
P「結構、と言うかすごい評判いいんだよ。杏の」

杏「マジでか」

P「17歳とは思えないギリギリアウトな体型がとても絶賛されてる」

杏「うわぁ……マジでか」

P「言わば、金鉱を掘りあてたってわけだ。これからも大体は撮影に追われるぞ」

杏「い、いやだ!もう働かないぞ!杏はとっくの昔に飽き……」

P「ん?最初にグラビアをやりたいと言い出したのは、どこのどいつだ?」

杏「ぐ、ぐぬぬ……」

56: 2013/05/16(木) 21:36:40.00 ID:kVo62LWoo
P「少なくともこないだの損失分は、きっちり稼いでもらうからな」

杏「た、確かに杏も責任は感じるけどさぁ、でもあれは」

P「黙らっしゃい」

杏「むむむ……」

P「何がむむむだ」



P「(……杏にカリスマ、か。確かに持ってるのかもしれないが)」

杏「?」

P「(この性格じゃなぁ。天は二物を与えずって事か)」

杏「……今失礼なこと考えてなかった?」

P「い、いや?全然」

60: 2013/05/16(木) 21:41:44.84 ID:kVo62LWoo
泰葉「………」

泰葉「………」キョロキョロ

泰葉「………」キョロキョロ



泰葉「皆、寝静まってる……出歩くなら、今の内……」


ファサ


泰葉「ふあぁ……この開放感、たまらない……!」プルプル

62: 2013/05/16(木) 21:45:32.52 ID:kVo62LWoo
泰葉「体が軽い……こんなにも幸せを感じられるなんて……!」

泰葉「真夜中だから空気もヒンヤリしてて……風が、私を吹きぬけていく!」

泰葉「ほぼ下着姿で寮内を出歩くなんて、今までしようと思ったことすらなかったけど……」

泰葉「……でも、でも……!」



泰葉「こんなの、知ってしまったら……どうしようも……!」プルプル

美優「……泰葉、ちゃん……?」



泰葉「」

64: 2013/05/16(木) 21:51:03.40 ID:kVo62LWoo
美優「あっ……」

泰葉「み、みみ、み三船さん!?どうしてこんな時間に……と言うか、その格好……」

美優「え、えっと……こんな恥ずかしい姿で、出歩いて……」

美優「誰かに見られたらって思うと……何だか……」

泰葉「あ、分かります……背徳感、ありますよね」

美優「え、えぇ。でも……」

美優「……それが……すごく、たまらなくて」

美優「私……どうか、しちゃってるわよね……?」



泰葉「三船さんも、なんですか……!?」パァァ

美優「えっ?……も、もしかして、泰葉ちゃんも?」

66: 2013/05/16(木) 21:57:19.08 ID:kVo62LWoo
晶葉「この事件の後、女子寮七不思議の一つ『深夜徘徊する二人組の亡霊』の噂が立つのだが……」

晶葉「噂が広まるにつれ、何故かパッタリと目撃されなくなったらしい」

晶葉「所詮は人の噂だな。亡霊などと……あれはプラズマだよ。大槻教授もそう言っていた」

晶葉「私もこの通り、ちゃんと風呂に入って下着も洗濯、消毒を施した。めでたしめでたしだよ」

晶葉「……そう。めでたしめでたし、だ」

晶葉「………」





晶葉「……………」

晶葉「……もう臭わない、だろうか?」クンクン



おわり

67: 2013/05/16(木) 22:00:27.13 ID:GkJbYla1o
乙。
残した傷痕の大きさが半端ないな

68: 2013/05/16(木) 22:09:31.35 ID:oKqpQkBJ0


杏くんには怠惰を司る新しいアイドルをやってくれ!

69: 2013/05/16(木) 22:09:38.88 ID:tQprEuOpo
グルグルネタ懐かしすぎだろwwww

引用元: モバP「IDLE DIS@STER」