1: 2012/12/09(日) 19:16:11.52 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「そうなんですか? でも、副隊長本人から聞いた話ですけど」

まほ「え? で、でも姉である私が聞いてないんだし、きっと冗談……」

エリカ「いや、でも今朝の船で出発されましたよ。他の部員やお母様も見送りに来てましたし」

エリカ「何でも大洗とか言う戦車道の無い学校へ転校するのだとか」

まほ「……」

エリカ「まぁこの前の全国大会決勝戦は副隊長のせいで負けたわけですし」

エリカ「それから逃げたくなるのも当然でしょうけどね」

まほ「……」

エリカ「しかし、あまりに根性がないというか……あれ、隊長何を書いているんですか?」

まほ「退部届け」


2: 2012/12/09(日) 19:27:57.70 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「は? 隊長、何で退部届けなんか……」

まほ「これ、渡しておいて。それじゃ私はこれで」

エリカ「ちょ、ちょっと待ってください隊長! 一体なぜ……」

まほ「隊長である私にも責任はある。全国での責任はみほだけに押し付けるものではない」

まほ「それを副隊長である、妹であるみほに全て背負わせるなんて」

まほ「そんなの隊長としても、姉としても失格」

エリカ「隊長……」

まほ「エリカ、あとはあなたに任せた。私は明日にでもここを去ることにする。それじゃ、またね」

エリカ「隊長、どちらへ?」

まほ「大洗へ行く」

エリカ「……隊長。もしかして副隊長と別れるのが嫌なだけじゃないですよね?」

まほ「そんなことはない」

エリカ「……」

まほ「……」

エリカ「あ、副隊長が帰ってきた!」

まほ「え? どこどこ! やっぱ退部止める!」

エリカ「隊長、嘘です」」

まほ「……騙すのは戦車道を学ぶものがやるべきことではない」

3: 2012/12/09(日) 21:07:13.79 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「何ですか。シスコンですか。シスコンなんですか?」

まほ「違う。私はみほが好きで大好きで愛していて結婚したいなぺろぺろちゅっちゅ、と思っているだけのただの姉」

エリカ「ただの変態じゃないですか」

まほ「あなたがそう思うならそうなんじゃない。あなたの中ではね」

エリカ「いえ、世間の中でも隊長は変態ですよ」

まほ「全く、世間と言うものはよく分からない。妹のパンツを借りただけで怒られるなんて」

エリカ「本来なら怒られるだけじゃすみませんよ。窃盗です」

まほ「盗んだんじゃない、借りただけ」

エリカ「ちゃんと返しましたか?」

まほ「……まだ借用中」

エリカ「隊長、借りパクって言葉知ってます?」

4: 2012/12/09(日) 22:30:21.77 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「はぁ……隊長、いったいどれだけ副隊長にセクハラしたんですか?」

まほ「セクハラなんてしていない」

エリカ「質問を変えましょう。今までに何枚、妹の下着を盗みました?」

まほ「あなたは今まで食べたパンツの数を覚えているの?」

エリカ「隊長、パンツは食べるものではありません。穿くものです」

まほ「そういう使い方もある」

エリカ「こういう使い方しかありませんよ」

6: 2012/12/09(日) 22:49:31.19 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「いい加減にしてくださいよ隊長。そんなんだから、副隊長も転校したんですよ」

まほ「私が原因?」

エリカ「ええ。そうでしょう」

まほ「そう……私が……」

エリカ「……いえ、まぁそれだけとは言いませんけど」

まほ「エリカ」

エリカ「何ですか?」

まほ「私のどこが駄目だったのかな?」

エリカ「……存在がじゃないですか」

まほ「酷すぎる」

エリカ「その言葉、そのまま8.8cm砲の弾に入れてお返ししますよ」

7: 2012/12/09(日) 22:59:00.91 ID:22T+Y7UJ0
まほ「もう、大洗に転校しようかな」

エリカ「止めてくださいよ。隊長が転校したら黒森峰はどうなるんです?」

まほ「もう黒森峰とかどうでもいい」

エリカ「全国優勝の夢は? 戦車道は? 隊長は西住流の後継者でしょう」

まほ「正直どうでもいい。それよりみほとハネムーンに行きたい」

エリカ「意味が分かりませんよ。ハネムーンって月にでも行くんですか?」

まほ「ムーンはムーンでもハニーの付いたムーン。新婚旅行」

エリカ「結婚して無いでしょう?」

まほ「私の中ではもうしてる」

エリカ「すみません。ちょっと何言ってるか分からないです」

8: 2012/12/09(日) 23:07:09.46 ID:22T+Y7UJ0
まほ「分かった。もういっその事みほを誘拐してうちで飼えばいいんだ」

エリカ「分かりませんよ。何ですかその斬新な犯罪への踏み切り方」

エリカ「そんな簡単に決めていいものじゃないでしょう。誘拐って」

まほ「いいよ別に」

エリカ「投げやりですね……」

まほ「なまら名案っしょ」

エリカ「何でいきなり北海道弁……全然名案じゃありませんよ」

まほ「じゃあどうしろと」

エリカ「普通にしててください」

まほ「分かった」ミホパンツカブリ

エリカ「……それが隊長にとっての普通なんですか」

9: 2012/12/09(日) 23:15:28.56 ID:22T+Y7UJ0
まほ「へーんたいへーんたい、みほ~早く、ここにおいで♪」

まほ「一生懸命追いかけーるよ♪ だから一生カモーン♪」

エリカ「何いきなり歌ってるんですか?」

まほ「普通にしてて、っていうから」

エリカ「隊長はいつも歌ってるんですか?」

まほ「基本みほの歌った歌を録音してずっと聴いてる」

エリカ「基本なんですか……」

まほ「みほパンツは標準装備」

エリカ「標準ですか……」

まほ「非常食にもなる」

エリカ「それはなりません」

10: 2012/12/09(日) 23:32:29.82 ID:22T+Y7UJ0
まほ「でも本当、どうすれば……」

エリカ「どうするもこうするも、副隊長は既に大洗に向かわれてますし、どうにもなりませんよ」

まほ「そんな……やっぱり私も転校を」

エリカ「お母様が許されますかね」

まほ「うっ……それは、ない」

エリカ「じゃあ、どうにもならないじゃないですか」

まほ「いや、まだ何か手があるはず……そう、私は最後まで諦めない」

エリカ「いえ、もうゲームセットです。完全敗北の無条件降伏ですよ」

まほ「そうだ! 大洗が無くなればいいじゃない」

エリカ「は?」

まほ「今すぐありったけの兵器を持ってきて。ティーガーとヘリと、それからできれば対艦ミサイルも」

エリカ「いや、何をする気ですか」

まほ「大丈夫、大洗の学園艦をちょっと改造して『海の藻屑号』にするだけ」

エリカ「それ改造って言うか破壊ですよね」

エリカ「止めてください。大洗の学園艦にだって人はいるんですよ。それを妹一人の為に海の藻屑だ何て」

まほ「じゃ、じゃあどうすればいいんだ!」

エリカ(うわ、涙が赤い……)

エリカ「落ち着いてください。大丈夫ですよ、きっとまた会えます」

11: 2012/12/09(日) 23:40:00.04 ID:22T+Y7UJ0
まほ「またっていつ?」

エリカ「えっとですね……そう、戦車道の全国大会とかで」

まほ「全国大会?」

エリカ「ええ、そうです」

まほ「みほは全国大会に参加するの?」

エリカ「参加しますよ、きっと。たぶん。おそらく。もしかすると。可能性はあります」

まほ「何かどんどん確率が低くなってる気がする」

エリカ「気がするだけです。大丈夫です、参加しますから」

まほ「そう……でも全国大会ってだいぶ先の話」

エリカ「隊長、恋愛って言うのは少し距離を置いた方がいいときもあるですよ」

まほ「距離を置く?」

エリカ「そうです」

12: 2012/12/09(日) 23:48:30.91 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「恋愛っていうのは長く続くとマンネリ化していくものです」

まほ「マンネリ化……」

エリカ「つまり、長く一緒にいすぎて相手がいることが当たり前に感じるようになると」

エリカ「恋愛感情も冷めて、飽きてしまうんですよ」

まほ「恋愛感情が、冷める……!?」

まほ「そういえばみほ、昔は良く『お姉ちゃん大好き』って言ってくれたのに、最近言ってくれなくなった……」

エリカ(それはたぶん違うと思う)

エリカ「でしょう? そう、そういうものなんですよ」

エリカ「そこで今回の転校です」

14: 2012/12/09(日) 23:56:44.56 ID:22T+Y7UJ0
エリカ「転校することによって一度距離を置き、全国大会という劇的な場面で再開する」

エリカ「これで副隊長の心も隊長の元へカムバックです」

エリカ「『お姉ちゃん大好き』も『お姉ちゃんキスして』も言われ放題ですよ!」

エリカ「今この機を逃す手はありません。むしろ利用するべきです」

エリカ「大会まで待てば、あとはブリッツクリーク電撃戦です。あっという間にゴールインです」

エリカ「アハトアハトの祝砲ですよ。隊長」

まほ「……なるほど、分かった」

エリカ「分かってくれましたか」

まほ「みほと一緒に戦車の狭い空間であんなことやこんなことが出来るなら私も我慢する」

エリカ「はい、我慢してください」

エリカ(たぶんあんなこともこんなことも出来ないだろうけど)

エリカ「いつもながら戦車意外だとこの人はちょろい」ボソ

まほ「何か言った?」

エリカ「いえ、何も。それでは帰りましょうか。もう日が暮れてしまいそうですよ」

まほ「分かった。そうだ、ちょっと文房具買いに行きたいんだけど、いい?」

エリカ「いいですけど……文房具ですか?」

まほ「ちょっと」

15: 2012/12/10(月) 00:03:16.94 ID:NQY3iF4C0
~翌日~

まほ「よし、今日もビシバシ行こう」

エリカ「はいそうですね」

エリカ「ところで隊長。昨日文房具店で何を買われたんですか? 結局見せてもらえませんでしたけど」

まほ「手紙」

エリカ「手紙? 一体何のため……もしかして副隊長へ?」

まほ「うん。でも大丈夫、マンネリ化解消の為に接触を極力避ける為に差出人を書かずに送っておいたから」

エリカ「え? 差出人不明で?」

まほ「私のみほへの全部思いを込めて書いた。これで少しすっきりした」

エリカ(……それは怖すぎる)

エリカ(まぁでも、プラウダ戦での失敗もあるし、副隊長には絶叫するくらいの恐怖は妥当な罰だな)

エリカ(隊長がやる気を出してくれればそれでいいし)

エリカ「良かったですね。すっきりして」

まほ「うん♪」

16: 2012/12/10(月) 00:14:28.59 ID:NQY3iF4C0
~数日後 みほの部屋~

みほ「あれ? 手紙が来てる……差出人が書いてないなぁ、だれからだろう?」

手紙『心の天使みほたんへ
   しばらく会えなくなり寂しいです。しかしこれも二人の為だと思いながらみほのパンツを被れば我慢できます。
   だからみほも我慢してください。私もみほの抱き枕を抱きしめながら我慢します。
   今度会ったら、そのときはたくさんお話しましょう。頬ずりもさせてください。できれば全身ペロペロさせてほし   いです。キスは許可がなくてもしますのでご了承ください。
   それではまた。愛しています。
                                                    』

みほ「……」ガクブルガクブル

みほ「こ、怖すぎて、声がでないよ……」ガクブルガクブル


終わり

17: 2012/12/10(月) 01:44:18.39 ID:/nGsxm0X0

引用元: エリカ「そういえば副隊長、転校なさるんですってね」 まほ「……何それ聞いてない」