1:◆CiplHxdHi6 2013/01/02(水) 01:39:07.78 ID:PNCG9lvV0
 東京新宿神室町天下一通り 金融会社『スカイファイナンス』

 そこでは他から融資を断られたような人間や、組織への上納金が払えずに借りに来る極道すらおり、『神室町の駆け込み寺』と呼ばれている。他の金貸しと異なる点は、融資の条件が特別と言うこと。
それは、スカイファイナンス社長秋山駿によるテストの合格。ここを訪れた者は必ず、何らかの条件を提示される。
ある者は老人介護、またある者はキャバ嬢として3日で500万の売り上げをあげることが条件だった。その条件をクリアした者には、無利息無担保で金を無制限で借りることが出来る。

 そして秋山から金を借りた人間は、2度と彼から金を借りることはなかったという。




THE IDOL M@STER×龍が如く



2: 2013/01/02(水) 01:50:46.68 ID:4lizV0kv0
カラオケ館

遥「~~♪」

桐生「L・O・V・E ラブリー遥!」

秋山「EじゃないEじゃない!」

冴島「オールージュオブラーブ!」

品田「フッフー!」

一同「KONNANじゃない!」

情熱オールスターズ「らーらーららーらーららららららー♪」

電話『プルルプルル』

品田「延長だ」

冴島「延長や」

秋山「延長だ」

桐生「延長だ」

遥「……延長でお願いします」

3: 2013/01/02(水) 01:55:50.16 ID:jvcdFSuv0
秋山「さて、次は俺の……」

遥「秋山さん、電話がかかって来ていますよ」

秋山「えっと、花ちゃん? ちょっと失礼しますね」

秋山「もしもし、花ちゃん?」

花『あっ、社長! 今どこにいるんですか!?』

秋山「今どこって……、集金中?」

品田『待ってました!』

冴島『みなぎって来たわ!』

花『嘘、思いっきり盛り上がってるじゃないですか! 誘ってくれたら行ったのに! ってそうじゃなくて!』

秋山「あ、あはは……。今から行こうとしてたんだって、本当だよ?」

花『あっ、それなんですけど。来客です』

秋山「来客?」

4: 2013/01/02(水) 02:02:18.39 ID:QjtM0DFG0
花『はい。融資の相談だと思いますけど』

秋山「分かった。今からそっちへ向かうよ。先方にもその旨を伝えといてくれる?」

花『分かりました』

秋山「……さて、戻らなくちゃな。みんなには悪いけど、お金だけ置いて帰るか」


 スカイファイナンスへ戻れ!


秋山「フンっ!」

チンピラ「うわぁ!」

秋山「よっと」

893「ぎゃあ!」

秋山「トドメだ!」

ホスト「か、顔はやめぐえぇ!」

「「「すんませんでしたぁ!」」」

秋山「ふぅ、しっかし毎回毎回からまれるのもどうにかならないかなぁ。警察は仕事しそうにないしさ」

5: 2013/01/02(水) 02:05:18.06 ID:QjtM0DFG0
秋山「花ちゃんただいまー」

花「あっ、社長。お帰りなさい。えっと、こちらの方が」

??「急に押しかけてすまないね。私はこういうものだ」

秋山「えっと、高木さん?」

デンデン 765プロ 社長 高木順二郎

秋山「ご丁寧にどうも。本日は、ご融資の相談で?」

高木「そういうわけではない。いや、ある意味融資というべきなのかな?」

秋山「はて、それはどのような意味で」

高木「765プロ、というのをご存知かね?」

秋山「はぁ、すみません。何分不勉強なもので……」

高木「まだ大きくない事務所だからね。知らなくても無理はないか」

秋山「花ちゃん知ってる?」

花「765プロですか? 芸能事務所ですよ」

秋山「芸能事務所ねぇ。大阪では色々お世話になったっけか。融資ではないと言うと、どのようなご用件で?」

6: 2013/01/02(水) 02:09:01.80 ID:IU+1cuED0
高木「うむ、実はだな……」

高木「君を一目見たときにティンときたんだ」

秋山「テ、ティンと? 私はもう30過ぎているのでアイドルに転向するのは厳しいかと……」

花「そうですよ! 社長は見た目はいいけど、仕事もちゃんとしませんし! なによりそんなキャラじゃないですよ!」

秋山(一応ダンスの心得はあるんだけどね)

高木「ははは、その発想はなかったよ。勿論アイドルとしてではなく、プロデューサーとしてわが社に協力してほしい」

秋山「プロデューサー、ですか」

花「プロデューサーって……、あのプロデューサー?」

高木「うむ、わが社には将来有望なアイドルが大勢いるのだが、どうも芽が出なくてね。そこで、新たにプロデューサーを雇おうと考えたのだよ」

秋山「ちょっと待ってください、どうして私なのでしょうか?」

高木「君の経歴だよ。悪いが調べさせてもらったよ。100万円を元手に、スカイファイナンスを設立。無利子、無担保の金貸しという風変わりな金融業をしていること、キャバクラエリーゼを経営し、何人ものキャバ嬢をプロデュースしていること。話によると先日電撃デビューと引退を同時にしたアイドル、澤村遥とも交流があるそうじゃないか」

7: 2013/01/02(水) 02:11:10.23 ID:YVnel4k70
秋山「……良くご存じで。でも、アイドルのプロデュースなんてキャバクラと勝手が違うんじゃないですかね?」

高木「まぁ早い話、直感だよ」

秋山「なるほど、直感なら仕方ないですね」

花「ええ? 社長プロデューサーになるんですか!? 会社の経営どうするんですか! ただでさえ集金が遅れてるのに」

秋山「花ちゃん一人でも出来るでしょ?」

花「女子一人にそんな危ないことさせないでくださいよ! 堅気じゃない人相手にもお金貸してるんだし、危険ですよ! レOプされたらどうするんですか!」

秋山「レOプ? 君が?」

花「どういう事ですか、もう!」

高木「うむ、秋山君。急な話で悪いが、受けてみてはくれないだろうか?」

秋山「本当に急な話ですね。ですが普通の女の子をアイドルへとプロデュースする、なかなか面白い話だ」

8: 2013/01/02(水) 02:12:20.00 ID:YVnel4k70
花「ちょっと社長、本当にするんですか?」

秋山「まぁ花ちゃん、話を最後まで聞きなよ。高木さん、そのアイドルの達の写真を見せてくれませんか?」

高木「うむ、これがわが社のアイドルたちの宣材だ。どうだい、なかなか素晴らしいだろ? 特にこれなんか……」

花「これ、仮装大会ですか?」

秋山「なんとなく芽が出ない理由がわかりましたよ」

高木「ははは、私は結構気に入っているのだがね」

花「少なくともこの写真を見て、ドラマに使いたいとは思わないですね」

秋山「でも、魅力的な子たちばかりなのは確かじゃない? ほら、みんなうちの店でもすぐにNo.1になれるよ」

花「この子とかどうみても小学生じゃないですか!!」

秋山「冗談だってば。まっ、素質があるかとかって、実際に会ってみないと分からないんだけどね」

高木「つまりそれは……」

秋山「分かりました、考えてみましょう」

9: 2013/01/02(水) 02:14:02.27 ID:YVnel4k70
高木「本当かね! では契約書に……」

秋山「ですが、条件があります」

高木「うむ、なんなりと言ってくれ!」

秋山「高木さん、あなたはわが社の融資の審査形態をご存知でしょうか?」

高木「提示した条件をクリアした者にのみ、融資すると聞いているが……」

秋山「その通りです。私の課すテストに合格した方にはご融資を無利息無担保で、無制限に行っています。過去には億単位の融資も行ったことがありますね」

花「あれにはびっくりしましたよ……。それでもお金が尽きないってのが凄いですよね」

秋山「今回は融資の話ではありませんが、高木さんの話から、私という人材を融資すると解釈しました」

高木「つまり、テストを行うというわけかね?」

秋山「ええ。ですが、テストを受けていただくのは、社長貴方ではない」

秋山「受けるのは、765プロに所属するアイドルの皆様です」

10: 2013/01/02(水) 02:15:49.68 ID:YVnel4k70
高木「彼女たちにテストを?」

秋山「ええ、こういうのもなんですが、私がプロデューサーになった場合、間違いなく彼女たちをトップへと導くことが出来るでしょう」

花「ずいぶんな自信ですね」

秋山「その気になれば、花ちゃんだってトップアイドルにすることが出来るよ?」

花「本当ですか!?」

秋山「でもまぁ、ダイエットに励んでもらわないと、ね」

花「じゃあいいです」

秋山「振られちゃったか。ですが彼女たちにその気がなければ、それは無駄に終わってしまう。生憎こちらも暇じゃないんでね」

花「集金しないでカラオケに行ってる人が、暇じゃないだなんてよく言えますね!」

秋山「こっちにも色々あるんだって。さて、高木さん。アイドルの皆様にテストを受けていただくか、考えていただけますか?」

11: 2013/01/02(水) 02:17:22.70 ID:YVnel4k70
高木「うむ……、少し待ってくれ」

秋山「ええ、じっくりとお考えを」

高木「追って連絡しよう。失礼するよ」

秋山「良いお返事をお待ちしていますよ」

花「やっぱりテストするんですね」

秋山「俺だけ気合い入れても、アイドルのみんなが変わりたいって気持ちを見せないと、意味がないしね」

花「高木さん、どうするんでしょうか?」

秋山「来るんじゃない? ところで花ちゃん、少し調べて欲しいことが有るんだけど……」

花「はい、なんでしょうか?」

秋山「アイドルたちのこと。素性から好物、苦手なもの。可能な限りで情報を集めて欲しい。俺はちょっと出かけるから」

花「また遊びに行くんじゃないでしょうね? この前の騒動で知り合った人たちと麻雀とか……」

秋山「信頼してほしいなぁ。色々とつてをあたろうと思ってね。特選カルビ弁当買ってくるからさ」

花「二つ買ってきてください!」

秋山「オーケー。んじゃ行ってくるよ」

花「いってらっしゃーい」

花「もう一回痩せてみようかな……。って社長! 集金も忘れないでくださいよー!」

12: 2013/01/02(水) 02:19:09.44 ID:YVnel4k70
765プロ

高木「諸君、聞いてほしいことがある」

律子「なんですか、社長?」

デンデン 765プロ直系竜宮小町プロデューサー兼元アイドル 秋月律子

高木「ああ、君たちには隠していたが、本日我が765プロにも待望のプロデューサーが生まれた……、のかもしれない」

伊織「かもしれないってどういうことよ」

デンデン 765プロ所属アイドル 水瀬財閥長女 水瀬伊織

高木「うむ、突っ込みたくなる気持ちは分かるが……、あくまでかもしれない、だ。それは君たちにかかっている」

千早「私たち、ですか?」

デンデン 765ry)

春香「どういう意味だろ?」

デンデry)

13: 2013/01/02(水) 02:19:47.02 ID:YVnel4k70
雪歩「お、男の人は怖いですぅ……」

デンデン 萩原組構成員兼765プロ所属アイドル 萩原雪歩

真「大丈夫だよ! 雪歩に酷いことするようなら僕がやっつけてあげるから!」

デンry)

あずさ「運命の人なら嬉しいわね~」

デry)

美希「誰が来ても別に言いの、あふぅ」

ry)

亜美「どんな悪戯してやろうかな~」

真美「楽しみだぜ~」

ry)

響「自分は完璧だからな!」

ハイサイry)

貴音「さて、どのような方が来られるのでしょうか?」

メンヨry)

やよい「楽しみです」

うっうーry)

14: 2013/01/02(水) 02:21:30.58 ID:YVnel4k70
社長「うむ、では紹介しよう! 我が765プロに入社する、かもしれないプロデューサーの、秋山君だ!」

秋山「どうも、秋山駿です」

春香「ねぇ、結構格好いいかも?」

真「カッコいいけど遊んでそうじゃない?」

雪歩「お、男の人は怖いですぅ……」

伊織「あら、なかなか頼りになりそうな顔してるじゃないの」

秋山「え? 遥ちゃん?」

春香「はい! 春香ちゃんです! 天海春香です!」

秋山「え? あぁ、同じ名前の別人か。一応沖縄に住んでるんだし」

響「沖縄がどうかしたか?」

秋山「え? ああ、知り合いが住んでるんだ」

あずさ「少し運命感じちゃったかしら?」

やよい「お金持ちそうです!」

美希「何でもいいの」

秋山「好き勝手言ってくれるねぇ」

15: 2013/01/02(水) 02:23:20.68 ID:YVnel4k70
千早「えーと、秋山プロデューサー?」

秋山「おっ、君みたいなかわいい子にプロデューサーと呼んで貰えるとは、そのままなっちゃおうかな?」

千早「変なこと言わないでください。かもしれない、ってどういうことですか?」

秋山「ああ、それか。言葉の通りだよ、プロデューサーになる、かもしれない」

真美「つまり、どういう事だってばよ?」

秋山「ああ、プロデューサーになるかは、今から決めるよ」

春香「今から?」

秋山「うん、この事務所に所属するアイドル……、あっ、律っちゃんも含むよ?」

律子「律っちゃんって!」

秋山「その方が呼びやすいじゃない。話に戻るよ? 13人には、私が課すテストを受けてもらいます」

響「テスト?」

亜美「えー、勉強ちょー嫌いだよー」

秋山「テストって言っても学力じゃないよ? 皆さんが、本当にトップアイドルになりたいか、それを見極めさせてもらいます」

16: 2013/01/02(水) 02:24:46.13 ID:YVnel4k70
春香「もし、それがダメだったら……」

秋山「その時はその時、さよならってとこですかね……」

伊織「私たちを試そうっていうの?」

秋山「そういうこと。幸いといっていいのかな? 大きな仕事は入っていないみたいだし、その間を使って行います」

やよい「ホワイトボード真っ白です」

律子「頑張ってはいるんだけどね……」

秋山「高木さんからは了承を得ています。受けるかどうかは、皆様次第です」

秋山「どうしますか?」

春香「やります!」

秋山「おっ、なかなかいい返事だねぇ。元気があるのはいいことだよ、うん。ほかのみんなはどうだい?」

千早「歌が歌えるのであれば、なんでも」

秋山「歌、ねぇ。君、千早ちゃんだよね?」

千早「ええ」

秋山「そうだね、じゃあまず君からテストを受けてもらおうか。何、そんな難しいことじゃない。君の得意分野さ。歌を歌う、ただそれだけだよ」

17: 2013/01/02(水) 02:26:50.14 ID:0xaMTJzD0
千早「本当ですか!?」

秋山「うん、これからある場所に行ってライブをしてもらうよ。そこの皆を盛り上げることが出来たら、合格です」

千早「歌が歌えるのならどこでも構いません」

秋山「気合十分ってとこかな? じゃあ、移動しようか」

ミレニアムタワーへ行け

秋山「おらぁ!!」

チンピラ「グヘ!!」

秋山「ふぅ、片付いたね……。おじさんもういい年なんだから、あんまり無茶させないでよね?」

チンピラ「サーセンしたぁ!」

千早「チ、チンピラを瞬殺……」

秋山「まぁ神室町じゃ良くあることだよ。俺といたら安全だからね。手つなぐ?」

千早「結構です」

秋山「振られちゃったか、そうつんつんしている君も可愛いよ?」

千早「余計なお世話です!」

18: 2013/01/02(水) 02:29:47.38 ID:0xaMTJzD0
秋山「じゃあオーディエンスがお待ちかねだ、入ろうか」

千早「カラオケ館でですか?」

秋山「ああ、おそらく君の人生の中で、もっとも印象に残るだろう観客がね」

千早「?」

ミレニアムタワーイベントホール

千早「ここですか?」

秋山「うん、入ろうか。ってすでに出来上がってるじゃないの……」

千早「?」

秋山「ああ、気にしないで」

ガチャ

?「あおいいいいいいとりいいいい♪ ボエー!!」

千早「こ、こっれはいったい……」

千早(上半身裸で刺青の男が蒼い鳥を歌ってる……)

20: 2013/01/02(水) 02:44:41.54 ID:IU+1cuED0
秋山「相変わらず下手だなぁ。えいっ」

プツン

南「かえれなひいいいいい♪ ってあら? あらら? 誰だ切った奴は!!」

秋山「あー、ごめんなさい。送信ボタン押したつもりが、間違えて中止ボタン押しちゃって」

?「あぁ? ってなんや、またあんたか」

秋山「お久しぶりです、南さん」

デンデン 東城会直系真島組若衆 南大作

秋山「話は通ってると思いましたが?」

南「人が気持ちよう歌っとうのに、何するんや……。ってあんた、隣におるんは!!」

秋山「ああ、千早ちゃん?」

南「ホンマかいな! 俺は真島組の南っちゅうもんや! 俺千早ちゃんのファンやねん!」

千早「そ、それはありがとうございます……」

南「うわぁ、ヤバい興奮してまう! 握手、握手ええか!?」

千早「ひぃ!」

21: 2013/01/02(水) 02:45:48.52 ID:IU+1cuED0
??「南、怖がってるやないか。辞めたれや」

南「お、親父……」

秋山「お久しぶりです、真島さん」

真島「おう、久しぶりやのう、秋山?」

デンデン 東城会直系真島組組長 真島吾郎

千早「が、眼帯……」

真島「その姉ちゃんが、ワシらを楽しませてくれるんやなぁ?」

秋山「ええ、満足していただけるかと」

千早「秋山さん! これはどういうことですか!!」

秋山「歌う場所を提供したんだよ。あの怖ーいおじさんたちが、今日の君のお客さん」

ヤクザ「げへへへへ……」

千早「な、なんでこんな人たちがカラオケを……」

真島「なんや、ワシらかて歌いたいときあるんや、あかんのか?」

22: 2013/01/02(水) 02:48:55.93 ID:IU+1cuED0
千早「そ、そういうわけじゃ……」

真島「別に怒ってへんよ。ただ一意見をやなぁ……」

秋山「真島さん、相手はアイドルとはいえ普通の女子高生です。そんな眼帯した強面のおじさんが来たら怖がるのが普通ですよ?」

真島「桐生ちゃんとこの姉ちゃんは何とも思ってへんで?」

秋山「遥ちゃんは色々特殊なんです」

真島「まぁ、ええわ。姉ちゃん、ワシらを楽しませてなぁ?」

千早「は、はひ……」

秋山「まぁ気楽に歌えばいいよ。別に氏ぬわけじゃないしさ」

千早(気楽……。私にほど遠い言葉ね。歌い続けることでしか、私は……)

秋山「それじゃ、ポチッとな」

136105 蒼い鳥

23: 2013/01/02(水) 02:50:11.42 ID:IU+1cuED0
千早「泣くことーなら容易いけーれどー♪」

真島「……」

千早「悲しみには 流されない 恋したこと この別れさえ 選んだのは 自分だから」

千早「群れを離れた鳥のように 明日の行き先など知らない だけど傷ついて 血を流したって いつも心のまま ただ羽ばたくよ」

千早「あおいいいいいいとりいいいいい もし幸せえええええ」

真島「あかんあかん! 興ざめや!!」

プツン

秋山「あらま」

千早「近くうううってえ?」

真島「姉ちゃん、暗すぎやで。こっちまで気が滅入ってくるわ」

千早「く、暗すぎるって……」

真島「音楽っちゅうのはな、音を楽しむって書くねん。そんなんじゃ盛り上がらんわぁ」

千早「そ、そんな……」

24: 2013/01/02(水) 02:56:31.34 ID:ZKtevwTw0
真島「ワシほどじゃなくても上手いけどな、まぁ見とけや。南、あれ入れるでえええ!」

南「うす!」

真島「GET TO THE TOP!!」

702987 GET TO THE TOP!(真島ver)

http://youtu.be/qHsBu-9uwtA


千早(こ、これは……)

真島「ボエー♪」

千早(お、音程なんてものもないしリズムも滅茶苦茶、歌詞も無視する……、最悪の歌い方……。だけど……)

ヤクザ「おい! おい! おい! おい! おい!」

真島「ぶち壊したるでええええええ!!」

千早「何でこんなに楽しそうなの?」

秋山「あの人たちは歌を心から楽しんでいるからね」

千早「歌を心から?」

秋山「うん、千早ちゃんさ、歌が好きなんだよね?」

25: 2013/01/02(水) 02:57:57.05 ID:ZKtevwTw0
千早「ええ、それしかありませんから」

秋山「そこだよ、そこ。音楽ってさ、真剣にやるのはいいよ? でもさ、深刻にやったら負けだと思うんだよね。春香ちゃんとかやよいちゃんの歌とかそうだよ。技術的にみると、君よりは劣るけど、楽しそうって意味では二人とも満点を挙げたいぐらいだ」

千早「……私は、重かったのでしょうか?」

秋山「命を懸けるまでのめり込んじゃだめだよ。仕事も、ギャンブルも、恋もね」

真島「どや!」

ヤクザ「ふううううううう!!!」

秋山「まあこの盛り上がりは下手すれば詰められちゃうからね、命がけのカラオケでもあったりする」

真島「ほら、姉ちゃん。歌ってみ?」

千早「真島さん……」

真島「またしょうもない歌聞かせたら、ワシの女になってもらうからな?」

千早「それはお断りします」

真島「あひゃっひゃっひゃ!! 余計気に入ったわ!」

26: 2013/01/02(水) 03:04:52.42 ID:QV7A6Fl50
真島「俺は正直モンが好きなだけや。人の顔色伺ったりせんと。……俺がそうやからなあ。見てみ、うちの組の連中」

千早「へ?」

真島「揃いも揃ってアホそうな顔してるやろ? けどこいつらかて色々あってんで?」

秋山「まぁ、こういう業界にいる人って、大変な目に合ってることが多いからね。俺だって苦労したんだよ?」

真島「せや。やけどな、今を必氏で生きとんのや。何事もな、なるようにしかならへんねん」

千早(私は……、とらわれ過ぎていたのかもしれない。弟のこと、両親のこと。でも……)

千早「歌います。心から、楽しめる曲を!!」

千早「キラメキラリ!!」

千早(今はこの時間を楽しみたい!)

真島「よっ! 姉ちゃん頼んだでー!!」

秋山「ここは俺も入りますかね……。ゴーゴーちーちゃん!」

真島「いーひっひっひ! あかん、惚れてまいそうやぁ」

27: 2013/01/02(水) 03:09:39.51 ID:zJHUCntS0
ヤクザ「フレーフレー頑張れ最高!」

真島「あーい! ほーう!」

ゲイリー・バスター・ホームズ「Oh!」

秋山(これは、合格だな)

千早「ギターソロ、カモン!」

真島「ええやないかい!」

秋山(残りは、12人か)←エアギター中

千早(私、こんなに楽しく歌えるんだ!)

真島組『フー!!』

如月千早、合格! 残りアイドル12人

31: 2013/01/02(水) 10:39:06.54 ID:8QccdWae0
千早「~♪」

春香「千早ちゃん、なんか吹っ切れたって顔してるね」

伊織「秋山の課題の影響かしら?」

秋山(春香ちゃんと遥ちゃんみたいな声をしている伊織ちゃん、ねぇ。ややこしいな)

秋山「さて、残り12人。次は誰にしますかね」

雪歩「うぅ……」

秋山(萩原雪歩……、東城会直系萩原組組長の一人娘だっけ? 表向きは建設会社だけど、遥ちゃんと言い、ヤクザがらみのアイドルってのも珍しくないのか? 花ちゃんからの資料によると、男の人が苦手、か)

秋山「あのー、萩原さん?」

雪歩「ひゃい! な、なんでふか!?」

秋山「もう少し、こっちに来れない?」

雪歩「すみません、今の私にはこの距離が限界ですぅ」

秋山(こりゃ重症だな)

32: 2013/01/02(水) 10:51:16.31 ID:8QccdWae0
秋山「よしっ、それじゃあ次のテストは雪歩ちゃんに決定ね」

雪歩「わ、私ですか?」

秋山「そっ、君。言ったでしょ? 13人全員テストを受けて貰うって」

雪歩「ですよね……。私だけ無しとかはないですもんね」

秋山「で、気になるテスト内容だけど……、はい、これ。受け取って」

雪歩「え? 封筒ですか?」

秋山「この中にテスト内容が入っているからね。事務所を出て確認してくれるかな?」

雪歩「? 分かりました」

秋山「はい、行ってらっしゃい」

秋山「さて、俺もついて行きますかね」

真「秋山さん?」

33: 2013/01/02(水) 10:57:18.99 ID:y0s+AT6p0
雪歩「えっと、封筒に入っているんだよね。どんなテストだろう……」

雪歩「え? お金?」

『テスト内容 今から指定するところに買い物に行ってきてくれるかな』

雪歩「ほっ、お使いかぁ。男の人ばかりのところでライブをするとかじゃなくて良かったで」

『この男からたこ焼きを買ってきて』

雪歩「……え?」

秋山「男嫌いを克服するなら、まずは男と接する機会を作らないとね」

真「はぁ。でもたこ焼きを買うだけならそこまで難しくないですよね」

秋山「……普通のたこ焼きやならね。真君」

真「君付けはやめてください! 怒りますよ!?」

秋山「ははは、これは失礼」

34: 2013/01/02(水) 11:10:34.90 ID:y0s+AT6p0
秋山「真ちゃん、たこ三昧ってたこ焼き屋知ってる?」

真「いや、知らないです」

秋山「こっちには来てなかったのかな? まぁ良いや」

真「そのたこ三昧がどうしたんですか? あっ、まさかそこって男の人がたくさんいるとか」

秋山「沢山はいないさ。ただ、たこを焼いている人間が問題と言うか……」

真「?」

秋山「……元極道なんだよね」

真「ええええ!?」

秋山「関西の龍……、って言ったら怒られるな。関西一円を取り仕切る指定暴力団、近江連合会長の息子で、近江四天王の1人」

秋山「郷田龍司」

真「ってなんでそんなとんでもない所に雪歩を行かせるんですか!」

35: 2013/01/02(水) 11:25:59.39 ID:OWt6wmUN0
真「いくら元極道と言っても、それ雪歩に氏ねって言ってるもんですよ!」

秋山「落ち着きなって。郷田さん、ああ見えて結構紳士だから」

真「いや、そういう問題じゃなくて……」

秋山「それにさ、上手くいけばファンになってくれるかもしれないよ? アイドルを応援する気持ちに、堅気もヤクザもないと思うけどな」

真「分かりました。ボクもついていきます。雪歩に何かあってからじゃ遅いですからね!」

秋山「大丈夫だって。とはいえ、神室町の治安は決していいと思えないからな」

真「安心してください! ボク護身術ぐらいは齧ってますから」

秋山「そう? それは心強い。んじゃ、こっそりついていきますかね」

真「はい!」

雪歩「ど、どうしよう。この人、怖いってレベルじゃないですぅ。なんか右腕がメカメカしいし……。(OF THE END参照)うちのお弟子さんにもここまでの人はいないのに……」

36: 2013/01/02(水) 11:35:32.56 ID:zx4g/FgF0
雪歩「で、でも私が逃げたらそこで終わってしまうし」

雪歩「うぅ……、怖いですけど、すぐ終わります……よね?」

雪歩「そうと決まれば、たこ焼きを買いに……」

チャラそうな男「ねぇねぇおねーさん、今暇?」

性欲を抑えきれない男「今から俺らとホテル赤レンガに行かない?」

雪歩「ひぃ!!」

ウザい男「ざ-んねん! こっから先は通さあべし!」

チャラ男「なんだばぁ!」

性男「ぎゃおおおおん!」

雪歩「消火器? た、助かったのかな?」

秋山「真ちゃん、流石に消火器ぶつけるのはやり過ぎじゃないかな?」

真「秋山さんもノリノリで蹴飛ばしてたじゃないですか」

37: 2013/01/02(水) 11:45:47.96 ID:CeYJmawo0
雪歩(その後も色々な人に絡まれましたが……)

ヤクザ「嬢ちゃんどこに目をつけとんや!」

チンピラ「俺達とサタデーナイトラヴァーしようぜ!」

DAIGO「お嬢さん、ハンカチ落としましたよ?」

雪歩「お、男の人!!」

ヤクザ「うげぇ!」

チンピラ「ぎゃーす!」

DAIGO「うわぁー(棒)」

雪歩(どこからともなく消火器が飛んできて、助けてくれました)

秋山「最後の人、普通に雪歩ちゃんが落としたハンカチを返してあげようとしていただけじゃない?」

真「のヮの」

秋山「ってあの人、一応知り合いなんだけどね、うん」

38: 2013/01/02(水) 11:53:26.96 ID:CeYJmawo0
雪歩(そして私はたこ三昧までたどり着くことが出来ました)

雪歩「あ、あの人ですよね……」

龍司「たこ焼き14個で300円やぁ!!」

雪歩「い、いかつすぎます!」

真「実物で見ると、迫力が段違いですよね」

秋山「まぁ、組の頭をやって来た人だからね。色々な修羅場を乗り越えてきたんだよ、きっと」

雪歩「ど、ど、どうしよう……」

龍司「なんや嬢ちゃん、たこ焼きが欲しいんかいな?」

雪歩「ひゃあい!!」

龍司「そんな驚かんでもええやんか。300円やで」

雪歩「あ、あ、あの私……」

龍司「? まぁええわ。ってたこが切れたな。ちょっと待っとき」

39: 2013/01/02(水) 12:00:19.57 ID:fzzMRpkG0
雪歩(そう言ってたこ焼き屋さんはアイスピックでタコの眉間を)

龍司「堪忍してや……。そいやっ!」

たこ「ちーん」

雪歩「ひっ!」

雪歩(一刺しにしました! わ、私もあのアイスピックで貫かれるんです! たこ焼きの中に混ぜられるんです!)

雪歩「あ、あの私!」

龍司「なんや?」

雪歩「焼かれたくありませえええん!!」

龍司「ちょ! 行ってもうた……」

秋山「あらま、こりゃテスト失敗か?」

真「秋山さん、ちょっと追いかけてきます!」

40: 2013/01/02(水) 12:08:40.52 ID:y0s+AT6p0
追え!

真「ちょっと、雪歩! 待ってよ!」

雪歩「この町は私には怖すぎますぅ!!」

真「大丈夫だって! 秋山さんが言うにはあの人一応堅気の人だから! 紳士らしいから!」

雪歩「ロボットみたいな腕した堅気の人なんか聞いてことないよ!」

真「ほらいるじゃん! エルリックさんちのニーサンとか!」


伊織「くしゅん!」

春香「伊織、風邪ひいた?」

伊織「いや、今どこかで私の噂をされたような……。全く、可愛すぎるのも罪よねぇ」

春香「などと意味不明な供述を繰り返しており」

伊織「失礼ねあんた!!」


遥「くちゅん!」

桐生「どうした遥、風邪でもひいたか?」

遥「ううん、違うと思う。あっ、おじさん! 次はバッティングセンターで2500円以上出してよ!」

桐生「任せておけ!」

41: 2013/01/02(水) 12:25:12.99 ID:sR00ZIJ30
真「捕まえた!」

雪歩「きゃあ!」

真「とりあえず落ち着きなよ! ほら、深呼吸深呼吸」

真(ふぅ。なんとか捕まえたけど……。途中で○とか□とか出て来たけどあれなんだったんだろ?)

雪歩「はぁ、はぁ。どうして真ちゃんがここに?」

真「えーっと、雪歩が心配だから秋山さんとついてきちゃった」

雪歩(ってことはあの消火器ラッシュは真ちゃんたちだったんだ)

真「大丈夫かい? どうする、秋山さんに頼んで別のテストにして貰う?」

雪歩「ううん、私……頑張りたい。また逃げちゃうかもしれないけど……、逃げてばかりはもう嫌だから」

真「じゃあたこ三昧に……」

チンピラ「かわい娘ちゃんはっけーん」

チンピラ「ねぇねぇ、俺らと遊ばんなーい?」

42: 2013/01/02(水) 12:32:16.30 ID:X4YN//530
雪歩「真ちゃん!」

真「また絡まれたよ……。ねぇ、ボク達そんなに暇じゃないんだけど」

目が節穴なチンピラ「あぁ? 男にゃ聞いてねえんだよ!」

真「お、男!?」

最近JOJOを見たチンピラ「お前みたいに胸なくてイケメンな女がいるか! スカタン! 客観的に自分を見れねーのかバーカ!」

色々アブナイチンピラ「俺はどちらでも食っちゃうけどな」

チンピラーズ「AHAHAHAHA!」

真「い、言わせておけば……。行こう、雪歩。無視が一番だよ」

雪歩「う、うん!」

キ○タクチンピラ「ちょ、待てよ!」

ドチンピラ「こっからは逃がさねーぜ」

雪歩「お、男の人が一杯ですぅ」

真「囲まれた!?」

43: 2013/01/02(水) 12:37:42.57 ID:X4YN//530
チンピラ「ぐへへへ……」

真「クッ、さすがにこの人数はちょっときついよね……」

目が節穴なチンピラ「往生せいや!」

雪歩「真ちゃん!」

真「うわっ! ってあれ?」

目チンピラ「ぐ、ぐああああ」

龍司「おどれら、女子供に大人数で情けないと思わんのか」

雪歩「たこ焼き、屋さん?」

龍司「おう、嬢ちゃん。これ、落としとったで」

雪歩「封筒? 私走っている最中に落としちゃったんだ……」

秋山「まっ、俺もいるけどね」

真「秋山さん!」

44: 2013/01/02(水) 12:44:13.60 ID:sR00ZIJ30
チンピラ「お、お前らなんなんだよぉ!」

龍司「……通りすがりのたこ焼き屋や」

秋山「同じく、通りすがりの金貸しです」

チンピラ「お、お前みたいなたこ焼き屋がいてたまるか! おい、おめーら! こいつらぶっ頃しちまえ!!」

チンピラーズ「ヘイ!」

秋山「揉め事はあまり好きじゃないんだけどなぁ」

龍司「しゃあない、こいつらにはちゃんと教育したらなあかんわ」

秋山「雪歩ちゃん、とりあえず救急車呼んでおいて」

雪歩「え、え?」

龍司「せやなぁ。生きて終わるとは限らんもんのぉ」

チンピラ「なめてんじゃねーぞゴルァ!!」

秋山「それじゃあ行きますか!」

龍司「おう! 氏にたい奴だけかかってこいやぁ!!」

45: 2013/01/02(水) 12:48:56.12 ID:sR00ZIJ30
秋山「ヤァ!」

チンピラ「ぐげぇ!」

龍司「オラァ!!」

チンピラ「ヒデブ!」

雪歩「す、凄い……」

雪歩(あ、秋山さん空飛んでるよね!? たこ焼き屋さんも重そうなスクーター振り回しているし……)

チンピラ「URYYYY!」

雪歩「きゃあ!」

真「まっこまっこりーん!」

チンピラ「URYYYY!?」

雪歩「真ちゃん!?」

真「雪歩はどこかに隠れてて! ボクを忘れるなよ!」

チンピラ「ウギャー!」

46: 2013/01/02(水) 12:54:02.39 ID:/M76KrX20
チンピラーズ『ずんばべんべびばー!!』

秋山「これに懲りたらもうこういうのは止めなよ?」

龍司「がっはっは! 口ほどにもないわ!」

真「雪歩、大丈夫?」

雪歩「う、うん……」

チンピラ「あの、これで赦してもらえませんかね?」

10000円貰った

秋山「……ねえ雪歩ちゃん、君の出したCDって、いくら?」

雪歩「えっと、1500円ですぅ」

秋山「よし! じゃあ今から買ってこい! 一緒に真ちゃんのCDを買うんだぞ」

チンピラ「ええ!? で、でも俺T-SETのファンなのに……」

龍司「買ってこい言うたんや、聞こえんかったんか?」

チンピラ「ひぃ!! 買います買います!」

秋山「1人3枚ずつ買うんだぞー」

47: 2013/01/02(水) 13:00:40.78 ID:sR00ZIJ30
雪歩「その……。ありがとうございました」

龍司「気にせんでええ。ワシぁああいう連中が嫌いなだけや」

秋山「さてと、どうする雪歩ちゃん? テストはまだ、終わってないよ?」

龍司「テスト? なんやこの子、お前から金借りるんかいや」

秋山「まぁ似たようなとこですね」

真「ほら、雪歩!」

雪歩「あ、あの! たこ焼き屋さん!」

龍司「何や?」

雪歩「わ、私にたこ焼きを売ってください!」

龍司「おう、任せとき! とびきりうまいの作ったるわ! ただし! こっちのお願い聞いてくれたらな」

雪歩「お願い、ですか?」

龍司「せや。なんや自分ら、アイドルらしいな?」

雪歩「い、一応そうですけど……」

48: 2013/01/02(水) 13:09:04.70 ID:sR00ZIJ30
龍司「そらええ! それでや、自分らにな……」


道行く人「ん? なんだあれ?」

アイドルオタク「ゆ雪歩ちゃんとま真君なんだな!」

学生「なんかやってるなうっと」

龍司「たこ焼き14個で300円で握手つき! 今日は765プロのアイドルが1日店長やってくれてるでぇ!」

雪歩「よ、よろしくお願いします……」

真「ありがとうございまーす!」

秋山(なるほどね。客を増やしたい郷田さんと、名前を売りたいアイドル達のwin-winの関係ね)

ファン「応援してます!」

雪歩「は、はい! ありがとうございます……」

真「……雪歩、それ握手になってないよ?」

秋山(まっ、少しずつ慣れて行けばいっか)

49: 2013/01/02(水) 13:17:47.29 ID:hBEq2EUL0
真「歌います!」

雪歩「First Stage(たこVer)」

~♪

言いたいことさえ
言えない私だけれど
もしたこ焼きするなら
第一候補はいるの

秋山「ゴーゴーゴーゴー!」

あと少しだけ前に出て
墨を掛けれたならば
触手を伸ばしたら届くほど
近い存在だけに

龍司「イッツマイファーストステージ!」

あなたはいつでも
いかつい微笑みくれる
でも私はうにゃうにゃ
不器用ひょっとこ笑顔

龍司「上げ底ディ!」

もし青のりかけてお洒落して
焼かれ始めた自分ならば
この初めての気持ち通じるの?
マニュアルで読んだ

秋山「イッツマイファーストステージ!」

Love you,love you
貴方への溢れる
混乱した心
もどかしくて
Eat me,eat me
私に気付いたら
少しだけ
意識してください

秋山&龍司「イッツマイファーストステージ!」

萩原雪歩、テスト合格!

54: 2013/01/03(木) 00:27:46.00 ID:anBjDT7x0
秋山「これで2人と。さて、次はどの子に……」

美希「Zzz……」

あずさ「えーっと、お手洗いはどっちだったかしら……」

律子「ここ事務所の中ですよ!?」

やよい「あっ、タイムセール始まっちゃう」

秋山(にしても、随分あくの強い子が揃ったもんだ)

真美「ねーねーアッキー、真美たちどんなテストするの?」

秋山「あ、アッキー!?」

亜美「秋山だからアッキーだYO」

秋山「随分安直だなぁ。そっちが亜美ちゃんで、君が真美ちゃん……で良いよね?」

亜美「ピンポンピンポーン!」

真美「さっすが金貸し―!」

秋山「これでも、人を見る目は確かなんでね」

55: 2013/01/03(木) 00:38:11.05 ID:XXd311YE0
秋山「君たちはそうだな……、難しいね、うん」

真美「えー、まだ先なの?」

秋山「そうポンポン出てくるものでもないさ。各アイドルの持つ素養や弱点を加味した上でテストしているんだよ?」

亜美「そーなのかー」

秋山「まっ、気楽に待ってなよ」

真美亜美「「はーい」」

秋山(去年までランドセル背負ってた子にあれこれ注文するのも変な話だけどね)

秋山「さてと、どうしましょうかね」

律子「こら、美希! またこんなところで寝て!」

美希「あっ、律子。おはよー」

律子「さんをつけなさいさんを! あんた今からレッスンでしょ!?」

美希「あと五分だけ寝かして欲しいの。あふぅ」

56: 2013/01/03(木) 00:43:49.83 ID:XXd311YE0
亜美「相変わらずミキミキゆとってるねー」

真美「律っちゃんも大変ですなぁ」

秋山「ゆとってるって、君たちより年上だよ?」

亜美「アッキーは知らないんだろうけど、ミキミキのフリーダムっぷりはそーとーだよ?」

真美「無条件で強いよ!」

秋山「なんのことか、さっぱりだな」

秋山(星井美希……、確か花ちゃんが言うには、天才型らしいけど、ありゃ指導に苦労しそうだな)

秋山(律っちゃんはプロデューサーだ。元アイドルだったみたいだけど、今でも十分通用しそうな気がするけどね)

律子「ほら、行くわよ!」

秋山「あー、律っちゃん! ちょっと待ってくれるかな」

律子「へ? どうしました? 今急いで」

秋山「レッスンなんだけどさ、こっちに預からせてもらえないかな」

57: 2013/01/03(木) 00:49:53.35 ID:QMPJxlKw0
律子「ええ!? 秋山さんがレッスンするんですか!? ビジュアルレッスンですよ?」

秋山「キャバクラを経営しているから結構自信あるんだけどね。言い方が悪かったかな。今から美希ちゃんにはテストを受けて貰います」

律子「今からですか? また急ですね」

秋山「気が変わっちゃう前に出来ていいじゃん。悪いけど、美希ちゃんはキャンセルってことで、ダメ?」

律子「はぁ、そう言うならわかりました。亜美、真美! 暇でしょ? 今から美希の代わりにレッスン行ってきなさい」

亜美真美『えー』

律子「ほら、行った行った! 次からはこちらの都合も考えてくださいね?」

秋山「以降気を付けます。さて、肝心のテストの内容だけど」

美希「ミキ、しんどいのは嫌なの」

律子「こら! 秋山さん、気にしないで一番きつーい奴お願いしますね」

秋山「言われなくてもそのつもりさ」

58: 2013/01/03(木) 00:55:42.09 ID:iv44LwsG0
秋山「ただ、今回のテストは3日間かかるんだよね」

律子「3日もですか? まぁ見ての通り仕事が無いんで、気にしなくても良いんですけどね」

美希「自由な時間があるとたっぷり寝れるからいいよね」

秋山「それには同感だけど、3日間寝るとかそんな楽なもんじゃないよ?」

律子「それはそれでしんどそうですね」

秋山「で、美希ちゃんへのテストだけど……」

秋山「今から神室町に落ちているゴミ、全部拾ってきな」

美希「へ?」

律子「ゴミ拾いですか?」

秋山「そ、神室町クリーン作戦。最近さ、観光客が多いのか知らないけど、ゴミを道端に捨ててそのままって人が多いんだよね」

律子「あの町治安が良いとは言えませんからね」

59: 2013/01/03(木) 01:04:50.62 ID:TV7+KoDP0
秋山「そこで美希ちゃんの出番さ町中のゴミを拾って、きれいに掃除してきてくれないかな」

律子「ちょっと待ってください! それを3日で、ですか?」

秋山「そう、3日。あっ、もっと早く終わったりする?」

律子「無理に決まってるじゃないですか! 神室町のゴミ全部って、どれだけ広いと思っているんですか!」

美希「そんなに広いの?」

律子「アジア最大の歓楽街よ! それを3日だなんて……。確かに厳しくって言いましたけど、これは流石に不可能じゃないですか!?」

秋山「過去にクリアした人もいるよ? その時はいくら融資したっけ。確かカード破産で首が回らなくなった人だったか」

律子「お金がかかれば必氏にもなりますよ!」

秋山「勿論、嫌なら嫌でいいんだよ? その場合、俺はおさらばって話だけど」

律子「構いませんよ! そもそも金貸しだなんて胡散臭すぎるのよ。キャバ嬢のプロデュースが上手いのかどうか知りませんけど、他にも優秀なプロデューサーはいますよ!」

秋山「まっ、無理に俺に頼らなくてもいいよね。俺も興味本位で始めたことだし、本業のプロデューサーに頼む方が建設的だ」

美希「学校のゴミ拾いぐらいなら頑張れるの」

60: 2013/01/03(木) 01:16:41.53 ID:TV7+KoDP0
律子「確かに千早と雪歩に関しては上手くやったと思いますよ? でもこれは」

秋山「律っちゃん、熱くなっているところ悪いけど、決めるのは美希ちゃんだ。君がああだこうだ言うことでもないよ」

律子「ぐぬぬ」

美希「ねぇ……、秋元さん?」

秋山「残念、俺は秋山だ」

美希「秋山さん。ミキ、どうしてもそれをしなくちゃダメなの?」

秋山「営業活動の一環と思ってくれればいい。神室町のゴミを拾うアイドル、まぁタウン誌とかは取り上げるよね。これは事務所の名をあげるチャンスでもある。だよね、律っちゃん」

律子「……それは否定しませんけど」

秋山「美希ちゃんは、どうしてアイドルを続けているのかな?」

美希「ミキはね、輝きたいの! ステージの上でキラキラって光っていたいな」

秋山「そのためなら厳しいことだって耐えれるかい?」

美希「……うん、しんどいのは嫌だけど、このまま終わっちゃうのはもっと嫌だから」

61: 2013/01/03(木) 01:25:18.06 ID:TV7+KoDP0
律子「美希、あんた」

美希「3日あれば出来るんだよね?」

秋山「君が本気を出したら、ね?」

美希「分かったよ、ミキやってやるの!」

秋山「よし! それじゃあ、これトングと袋。足りなくなったら天下一通りのスカイファイナンスに行ったら袋を貰えるよ。地図は携帯に送っておくから。ゴミ拾い、頑張ってね」

美希「え? ミキ1人だけでやるの?」

秋山「当然だよ。後、美希ちゃんから誰かに手伝ってくださいって言っちゃダメだからね」

美希「えー!? 律子も一緒にやると思ってたの」

律子「そこまで面倒見ないわよ! ほら、今のままじゃ嫌なんでしょ? さっさと行ってきなさい!」

美希「律子の薄情者ー!」

律子「さんをつけなさい、さんを! 」

秋山「さてと、どうなるかな」

62: 2013/01/03(木) 01:31:36.40 ID:TV7+KoDP0
律子「でも本当に出来るんですか?」

秋山「んー、無理じゃないかな」

律子「ちょっと! それどういう意味ですか!」

秋山「いやさ、ゴミ拾いって言ってもさ、拾ったところでまた捨てられるじゃんか。だから全部のゴミを無くすなんてこと、不可能なんだよ」

律子「じゃあなんでそんなことをあの子にさせるんですか!」

秋山「あー、律っちゃんなら良いか、話しても」

律子「何をですか」

秋山「こういってしまうのもあれだけどさ、テストで重要なのは結果じゃないんだ。氏ぬ気で、自分の夢を叶えたいかが重要なんだ」

律子「過程が重要ってことですか。案外甘いんですね」

秋山「そうでもないさ。俺はいつも厳正な審査を心がけているよ。で美希ちゃんだけど、あの子今まで苦労と言う苦労してきてなさそうじゃんか」

律子「どうも親御さんが甘々らしいですよ」

秋山「やっぱりねぇ。狭い周囲から可愛がられてきて、それが外でも当たり前と思っている。ってとこかな。否定的に聞こえるかもしれないけど、それが悪いとは言わないよ? アイドルとしては大切なファクターだし、何よりその自信が彼女を輝かせている」

63: 2013/01/03(木) 01:40:40.84 ID:XXd311YE0
律子「同級生から告白されまくってるらしいですよ」

秋山「俺の好みとはちょっと外れるかな。それはさておき、今まで順風満帆に舟を漕いできた彼女の前に、どうしようもない嵐が待っているんだ。それを乗り越えた時、彼女はより輝ける」

律子「そういうものですか?」

秋山「そういうものだよ。まっ、実を言うとあのテストには抜け道があるんだけどね」

律子「抜け道ってなんですか?」

秋山「それは教えないよ?」

律子「じゃあ思わせぶりなこと言わないでください!」

秋山「ところで律っちゃん」

律子「なんですか?」

秋山「律っちゃんってまだ未成年だよね?」

律子「ええ、まだ19歳ですけど」

秋山「ギリ大丈夫ってとこかな」

64: 2013/01/03(木) 01:46:20.50 ID:XXd311YE0
律子「へ?」

秋山「いや、君の受けるテストのことだよ」

律子「やっぱり私も受けるんですか?」

秋山「そりゃあねぇ。アイドル達ががんばってるのに、君ひとり高みの見学ってわけにいかないでしょ?」

律子「そ、それはそうですけど。で、それと年齢がどう関係しているんですか」

秋山「あずさちゃんにやって貰おうかと考えたけど、今後のことを思うと君の方がいいかもね」

律子「何がですか」

秋山「何って……、キャバクラ」

律子「なーんだ、キャバクラですか。まさか私がお水になるなんて……」

律子「は?」

秋山「律っちゃんの受けるテストはこれ、俺の経営するキャバクラで働いてもらうよ」

律子「はぁ!?」

65: 2013/01/03(木) 01:52:31.13 ID:9ioiW3+Y0
律子「誰が?」

秋山「君が」

律子「どこで?」

秋山「エリーゼで。あっ、ミレニアムタワーの前にあるよ」

律子「何を?」

秋山「うちのキャストとして働いてもらう。あっ、キャストってのはホステスのことね」

律子「誰が?」

秋山「いや、君がね」

律子「いやいやおかしいですよね! キャバクラで働けって! 私まだ未成年ですよ!?」

秋山「キャバクラは18歳から働けるんだよ?」

律子「え、そうなんですか。それは不勉強でしたってそうじゃないですよね! 何から何まで間違ってますよね!? 秋山さん私に恨みでもあるんですか!?」

秋山「君に恨み? まさか。恨まれることが有っても恨むなんてないよ」

66: 2013/01/03(木) 02:02:55.16 ID:anBjDT7x0
秋山「律っちゃんはさ、プロデューサーになりたいんだよね?」

律子「ええ、そのつもりではいますけど。キャバ嬢をプロデュースするとかならまだ理解できますよ? 分野が違うとはいえ、それはそれで面白そうですし興味が無いわけではありません」

秋山「ならあずさちゃんをプロデュースしてNo1キャバ嬢にしてみる?」

律子「あずささんは関係ないでしょうが!」

秋山「まっ、あずさちゃんならうちの店どころか神室町一のキャバ嬢になれそうだけどね」

律子「それは喜んでいいのか悲しんでいいのかわかりませんが、どうして私なんですか!」

秋山「律っちゃんはさ、自分をプロデュースしたいと思ったことある?」

律子「自分を、ですか? いや、あまり……」

秋山「どうしてさ? 着せ替え遊びが好きなら、自分ならこんな服を着たいとか、こう魅せたいとか思うんじゃないの?」

律子「似合わないじゃないですか。着せ替え遊びは好きでしたよ? 小さい頃とか従弟で色々遊んでましたし。それが切っ掛けってわけでもないですけどね。でも私ってそんな柄じゃないんです」

秋山「柄じゃない、ねぇ」

67: 2013/01/03(木) 02:14:51.82 ID:KQdc6qVA0
秋山「律っちゃんさ、自分を過小評価し過ぎとか言われたりしない?」

律子「気休めですよ、そういうのって。少しの間アイドルもやってましたけど、私は裏方の方が性に合っているんですよ」

秋山「そう決めつけるのはさ、まだ早いんじゃないの? 19年間で出せる結論じゃないと思うけどな」

律子「それにきっと私がキャバ嬢をしていても、楽しい場にならないと思いますよ?」

秋山「俺は結構楽しんでるけどね。なに、ちゃんといろはも教えるさ。律っちゃんには教養がある。それはキャバ嬢の3大要素の1つだよ」

律子「3大要素ってなんですか」

秋山「うちの店でそう呼んでるんだよ。容姿、教養、話術。律っちゃんには全部備わってると思うけど?」

律子「買いかぶり過ぎです」

秋山「プロデューサーもさ、同じじゃないかな? 心地良い場を作り、お偉いさんに自分たちを売り込む。キャバ嬢はその天才だと思うんだよね。お偉いさんが買うのがシャンパンかアイドルかの違いしかないよ」

律子「はぁ、分かりましたよ。働けばいいんでしょ、働けば」

秋山「律っちゃんさ、他の子には強引にいくのに、自分のこととなると消極的だよね」

律子「やらせていただきます!」

秋山「良い返事だ!」

68: 2013/01/03(木) 02:21:42.55 ID:n083AQnV0
律子「で、働くだけじゃないんですよね」

秋山「ご名答。このテストは美希ちゃんと同じく期限は3日とします。そしてその間にあげていただく売り上げは」

律子「……売り上げは?」

秋山「250万円」

律子「はあああああ!? 正気ですか!?」

秋山「俺は至って真面目だよ? 因みに過去には300万円上げて貰ったこともある。そん時は1億円融資したっけか」

律子「い、1億円ってええ!? 無利息無担保無制限って都市伝説じゃなかったんだ……」

秋山「どうする、受ける?」

律子「受けないって選択肢、有って無いようなものよね……」

秋山「それじゃ、今から買いに行きますか」

律子「何をですか?」

秋山「衣装だよ、衣装。スーツのままってわけに行かないでしょ? うちはイメクラじゃないからね」

律子「これ、本当にアイドルプロデュースに関係あるのかしら……」

71: 2013/01/03(木) 10:55:24.39 ID:MyoqaAgP0
その頃の美希

美希「ああは言ったけど……」

通行人A「でさー」

通行人B「ゾンビが来たりしたら大変だよなぁ」

通行人C「チッ、タバコ切れてやがる。捨てとけ」

ホームレス「お恵みを……」

どこかで見たことある通行人「おじさん、私ぷちどるのぬいぐるみ欲しいな!」

強面の通行人「分かった」

美希「この町思ってた以上に汚すぎるの!!」

美希(しかもあの人たちって、ホームレスって人だよね? ゴミ箱を漁っているから余計増えているし……)

美希「ミキ、早くも心折れそうなの……」

美希「ううん、秋山さんもこれが出来れば輝けるって言ってた。やるしかないよね」

72: 2013/01/03(木) 11:02:42.30 ID:MyoqaAgP0
美希「ふぅ、この辺はあらかた綺麗にした……」

神室町「汚ーい」

美希「またポイ捨てされてるの!!」

美希「……これ、本当に出来るのかな?」


律子「これは……、なかなかキツイですね」

秋山「東京でもトップクラスに汚い街だからねぇ。ネオンが綺麗に光ったところで、誤魔化し切れるもんでもないさ」

律子「美希、私は何もできないけど……、心折れないでね?」

秋山「さて、俺たちも劇場地下に行きますかね」


美希「また捨ててる! 公園で掃除しているおじさんの気持ちが初めて分かった気がするの」

73: 2013/01/03(木) 11:19:02.86 ID:vZxgUvfB0
秋山「で、律っちゃんの衣装合わせも終わったわけだけど」

律子「うぅ……、絶対似合ってませんって」

秋山「そう? 結構いい線いってるよ?」

律子「それは秋山さんの好みですよね?」

秋山「否定はしないでおくよ」

律子「はぁ、こんな姿事務所の皆には見られたくないわ」

秋山「アイドルにこういう服あるんじゃないの?」

律子「無いことはないですけど、まず着たいと思いません!」

秋山「それじゃあ接客の練習だ。とりあえず俺を客と思って、接客してくれ」

律子「それ、自分が楽しみたいだけですよね……。分かりましたよ」

秋山「ダメダメ! そんな湿気た顔じゃ、お客さんも嫌な顔しちゃうよ?」

律子(た、耐えるのよ律子……!)


74: 2013/01/03(木) 11:38:27.96 ID:W2vRm3XH0
秋山「まっ、練習はこんなところで良いかな」

律子「はぁ、はぁ……。ここまでしんどいものとは思いませんでしたよ」

秋山「俺なんか割と優しい客だよ? 黒服たちが目を光らせてるとは言え、性質の悪い客だっているんだ。ほら、あの人とか」

性質の悪い客「ふと桃すりすりさせてよー」

真理奈「止めてください!」

律子「……あの人どこかで見たことあるような」

性質の悪い黒色「君ぃ、私はねぇ、あンの961プロの社長なんだよ? ウィー、その気になればこの店だってつぶせちゃうんだよ? ほらふと桃ふと桃しゅりしゅりー」

真理奈「きゃあ!」

律子「うわぁ、やっぱり黒井社長だ……。って秋山さん?」

秋山「あーあ、こんな高い酒浴びるように飲んじゃって。こんなのうちの店じゃ市場価格の4倍は取られるよ?」

性質の悪いしげる松崎「あぁん? なんだね、君は? 目障りだから消えたまへ、ひっく」

秋山「ちょっと失礼。あー、美味ぇ! 贅沢に飲んじゃって、こんなの本当の酒飲みがすることじゃないよね」

75: 2013/01/03(木) 11:48:52.72 ID:W2vRm3XH0
性質の悪い子安「貴様! なに無視している!」

秋山「真理奈、あっちのお客様のヘルプに行ってきて」

真理奈「はい」

性質の悪いZAZEL「ちょ、真理奈ちゃーん! きさま! 馬鹿にしよって!」

秋山「お父さんが悪いんだよ? この店ではキャストへの過度のスキンシップは禁止しているもんでね。申し訳ないけど、今日のところはお引き取り願えるかな?」
 
性質の悪いおっさん「何をぉ? 私がだエレか知っていっているのか? えぇ?」

秋山「律っちゃん、さっき黒井社長とか言ってたけど、知り合い?」

律子「私が知ってるわけじゃないんですけど、何やら高木社長と色々と因縁があるみたいでして」

黒井「私はぁなぁ、あの961プロダクションの社長、黒井崇男だ! 忘れてくれたまへ!」

デンデン 961プロ社長 黒井崇男

秋山「忘れてくれって、言われなくてもそのつもりでしたけど」

黒井「イチイチ癇に障る男だな!」

76: 2013/01/03(木) 12:27:13.78 ID:GUYZ+BEn0
黒井「わらひはねぇ、天下の961プロなんだぞぉ!」

秋山「天下の961プロ、ねぇ。そんなにすごいの?」

律子「ええ、今ある芸能事務所では最大の力を持っているかと思います。ただ、良い話はあまり聞きませんけどね」

秋山「枕とかやってるわけ?」

律子「そ、それは知りませんよ! 勿論、765プロはしてませんけどね!」

秋山「分かってるよ。もししていたら立ち直れなくなりそうだ」

黒井「あぁ? よーくみればそこの眼鏡は……高木のとこの犬じゃないか! はん! あまりに売れなくてキャバ嬢に転向か!? それが貴様らの言う団結か? 笑わせてくれる!」

秋山「急に饒舌になったな」

律子「無視するのが一番ですよ」

黒井「ねぇ君総資産いくら? 私はねぇ、それはもう100億は軽くいくね」

秋山「それは、まぁ凄いですね」

秋山(1000億持ってました、なんて言っても信じて貰えないんだろうな)

77: 2013/01/03(木) 12:43:27.15 ID:s5mIVMXw0
秋山「ですがね、お金があるからって、貴方だけ特別扱いはできませんよ?」

黒井「随分と偉そうだな、貴様何者だ?」

秋山「あー、申し遅れました。わたくし、この店で、オーナーをやっている秋山ってものです。天下一通りの方で金貸しもやっているので、そっちの方で名が知られてますかね」

黒井「店長だ? あんな芽の出なかったアイドル擬きを雇うとは、随分と変わった趣味をお持ちのようだ! プロデューサーを目指しているとか聞くが、自分すら満足にマネジメントできなかった奴に出来るわけがないだろう!」

律子「……!」

秋山「随分と詳しいんですね。やっぱりあんた、765プロのこと好きなんじゃないの? ツンデレって奴?」

黒井「気持ち悪いことを言うな!! 全く、キャバ嬢もキャバ嬢なら店長も店長だ!」

秋山「おっと、今度は俺に飛び火したよ」

黒井「この忙しい私が時間を見つけて来てやったんだ! 貴様らは客に誠心誠意尽くすのが常識だろう? お客様は神さm」

秋山「オラァ!」

律子「秋山さん!!」

78: 2013/01/03(木) 12:50:12.47 ID:V2+yLrek0
黒井「あ、あああ……」

律子(勢いよく回された蹴りを寸で止めた……!)

秋山「すみません、そのダンディなお顔にハエが止まっていたもので。追い払っておきました」

秋山「神様、ですか。その言葉はそもそも芸の世界の言葉だと記憶していますが?」

黒井「き、貴様……! な、な何をしてるのか分かっているのかね? 私を黒井崇男と知ってのことか!?」

秋山「黒井さん、あんたがどれだけ凄い社長かは知ったこっちゃない。うちの店を潰したいというなら潰せばいいさ。それが出来たら、の話だけどね」

黒井「き、貴様!」

秋山「こっちは明日氏んでもおかしくない覚悟でやってんだ。黒井さん、お金はもう結構です。だから今日はお引き取り願いますかね?」

黒井「貴様、舐めた真似を!」

秋山「まだ言いたいことが有るって言うなら、いくらでも聞きましょう。またハエが飛んでくるかもしれませんが」

秋山「あー、それと! あんまり765プロのこと、悪く言わないでくださいよ? 窮鼠猫を噛むって言うんだ、慢心してるようじゃ、いつか痛い目に合いますよ」

黒井「クッ! 貴様、憶えておけ!」

秋山「忘れてくれって言ったのそっちじゃないですかー。あっ、行っちゃった」

79: 2013/01/03(木) 12:59:36.43 ID:V2+yLrek0
秋山「いやぁすみませんねぇ。それではみなさん、良い夜をお過ごしください」

律子「秋山さん、大丈夫なんですか?」

秋山「え? 何が?」

律子「何がって黒井社長に決まってるじゃないですか!」

秋山「あー、あのおじさんね。良いんじゃない、放っておいて」

律子「この店本当に潰されちゃいますよ!?」

秋山「うーん、大丈夫じゃない?」

律子「秋山さんは黒井社長を甘く見過ぎです。あの人、一度からんだらネチネチとしつこいらしいですし」

秋山「そのパワーを他のところに活かせないのかね? でもま、黒井さんはまだこの町のこと良く分かってないみたいだし」

律子「へ?」

秋山「ここは神室町だよ? ここに来る人は大なり小なり夢を持っている。かく言う俺だってそうだ。そしてその夢のためなら、この町の人たちは必氏になれる。ダサくても格好付かなくても、みんな逃げずに生きているんだ。あんな脅しで屈するような人間はいないよ」

秋山「それは君も同じじゃないかな?」

律子「それは……」

80: 2013/01/03(木) 13:05:26.13 ID:V2+yLrek0
秋山「良いじゃない、少しぐらいハードルが有った方が。その方が燃えない?」

律子「……否定はしませんけど」

秋山「いい顔してるよ、律っちゃん。あのおじさんの鼻、明かしてやろうじゃない」

律子「はい!」

秋山「そうそう律っちゃん!」

律子「なんですか?」

秋山「名選手だからって、名コーチになると限らない。逆もまた然りだよ」

律子「分かってますって!」

律子(黒井社長をぎゃふんと言わせたいけど、今はこのテストを終わらせないとダメよね)

秋山「んじゃ、律っちゃんのこと、よろしくね」

ボーイ「はい。秋山さんどこかに行かれるんですか?」

秋山「ん? ちょっとね。ねぇ律っちゃん」

秋山「美希ちゃんって何味のおにぎりが好きかな?」

82: 2013/01/03(木) 23:13:10.49 ID:W2vRm3XH0
神室町 劇場前広場

美希「全然なくならないの……」

秋山「よっ、美希ちゃん。お疲れさん。首尾はどうだい?」

美希「あっ、秋山さん。拾っても拾ってもゴミが湧いて出てくるの」

秋山「湧いては出てこないよ?」

美希「さっき綺麗にしたところもまた誰かが捨てるし、これ本当に出来るの? さすがにどうかと思うな」

秋山「出来るさ。俺は実現不可能なテストを課したりはしないよ? はい、差し入れ」

美希「わぁ! おにぎり! 秋山さん、ありがとうね」

秋山「どういたしまして。でももう夜も遅い。親御さんも心配するだろうから、今日はこの辺にしたら?」

美希「そんなことしてたらまたゴミが増えるの。あふぅ……」

秋山「ほら、もう眠いんでしょ? また明日頑張ればいいさ。今日はここまで、良いね?」

美希「はぁい」

84: 2013/01/03(木) 23:29:45.29 ID:GUYZ+BEn0
秋山(さてと、俺もスカイファイナンスに戻るかな。花ちゃんも待ってるかもしれないし)



秋山「花ちゃん今帰ったよ」

花「社長! 帰ってくるの遅いですよ!」

秋山「ごめんごめん。プロデュースがなかなか楽しくてさ」

花「楽しむのもいいですけど、ちゃんと集金してくださいよ?」

秋山「分かってるって。そうだ花ちゃん。どこかに食べに行かない?」

花「外食ですか? 喜んで! そうですね、今日はラーメンの気分です」

秋山「んじゃ、九州一番星にでも行く?」

花「良いですね! 何食べようかなー♪ 全部食べようかな♪」

秋山「早氏にするよ。それ」

85: 2013/01/03(木) 23:39:47.52 ID:GUYZ+BEn0
店主「へいらっしゃい! おや、秋山さんじゃねえか」

右京「いらっしゃい! うげ、キング・オブ・グルメ!」

秋山「よっ、食べに来たよ」

花「誰がキングオブグルメですか!」

店主「何にします?」

秋山「そうだね、九州とんこつつけ麺で」

花「えーと、チャーシューとんこつラーメン大盛りとチャーシュー丼大盛りで」

店主「はいよ!」

秋山「焼豚尽くしだね」

花「社長が半分趣味の仕事している間に私は働いていたんですよ! 勿論、社長のおごりですからね!」

秋山「分かってるよ。ん? あれは」

テレビ『本日961プロダクションは新アイドルユニットジュピターの結成を発表、生放送にてデビューライブを放送し、話題を集めました』

86: 2013/01/03(木) 23:50:58.18 ID:8pggI1iB0
秋山「961って確か……、あの性質の悪い客か。本当にすごい社長なんだな」

花「961プロダクションって結構有名ですよ?」

秋山「そうなの? ま、ジュピターとやらは男性グループみたいだし、あの子らと客層が被るってことはないかな。ちなみに花ちゃん的には誰が好み?」

花「えー、なんか違いますよ。3人とも合わないです。特にあのリーダーっぽい子、いかにも俺様ーって感じで嫌じゃないですか? ああいう人ほど、女性経験が無いんですよ」

秋山「はは、随分辛口だね」

店主「へい、一丁お待ち!」

秋山「来た来た、んじゃ食べますか。いただきます」

花「いっただっきまーす! うん、美味しい」

秋山「いつ来ても飽きないよ、ホント」

店主「そう言ってくれると嬉しいな! へい、らっしゃい!」

??「たのもー!」

87: 2013/01/04(金) 00:03:06.43 ID:hkr2L/tp0
秋山「ん? 君は……、貴音ちゃん?」

貴音「秋山様、これは奇遇ですね」

秋山「いやぁ、驚いたな。まさかラーメン屋で出会うとは」

花「隣座りますか?」

貴音「ええ、失礼いたします」

秋山(四条貴音……、この子はどうにも謎が多い。花ちゃんから貰ったデータも、殆どが『とっぷしぃくれっと』らしい。いちごマーヤみたいに作ってるのか?)

貴音「わたくしの顔に何か?」

秋山「いや、なんでもない。気に障ったなら謝るよ」

貴音「お気になさらず。このような仕事ゆえ、見られるということには慣れていますので」

秋山(にしてもこの貫禄……、いいとこのお嬢様か?)

噂好きな客「おい、あれ見ろよ」

相槌を打つ客「ああ、間違いねぇ」

88: 2013/01/04(金) 00:09:10.43 ID:hkr2L/tp0
秋山(しかし貴音ちゃんが入ってから妙にざわめいてるな。アイドルだから仕方……)

貴音「店長、当店で一番おいしいらぁめんを、大盛りで」

店主「!?」

花「店長、どうされたんですか? 震えて」

店主「いや、まさかな。都市伝説と思っていたがまさか本当にいたとは?」

秋山「え? 何が?」

店主「『銀髪の女王』だよ!」

秋山「へ? 銀髪の、女王?」

花「私それ聞いたことあります! 確か全国各地のラーメン屋に現れて、その店で一番自信のあるメニューの大盛りを頼むという女性の話です。ラーメンの発音が妙に日本語チックだったり、見るものを圧倒するその存在感……! まさか四条さんがそうだったなんて!」

秋山「え? 全然話についていけないんだけど、へ?」

貴音「そう呼ばれることもあるようですね」

花「そして、銀髪の女王が褒めた店は、驚くほど客足が増えるんです。だからラーメン屋さんの間では幸福の女神とも呼ばれているらしいです」

秋山「君が?」

貴音「?」

89: 2013/01/04(金) 00:22:57.97 ID:LUYxOXqX0
店主「お待ち! 濃厚黒マー油とんこつラーメンだ!」

秋山(一言でいうならかなり濃い味だけど、一度食べたら病み付きになる、この店自慢の一品だ。過去にエー○コックとタイアップを果たしたぐらいだ)

貴音「ふむ、この香り、食欲をそそりますね。このどこまでも濃厚なとんこつ、ふふっ、溺れたいぐらいです」

花「店長! 私もそれお願いします」

秋山「まだ食べるの?」

貴音「それでは、いただきます」

秋山(ラーメンを食べているだけでも絵になるな。グルメリポートの仕事を与えたら、いい感じになりそうだ)

貴音「こ、これは!」

店主「ッ!」

客「……ッ!」

貴音「本場九州を彷彿とさせる濃厚なとんこつスープに絡みつくコシと歯切れの強い麺、彩りよいねぎと食感のよいキクラゲ、程よく味付けされた焼豚が口の中で踊り始めました。そして何より、とんこつスープに加えられた黒マー油! これを加えることでまた新たな次元へと昇華しています。あぁ、素晴らしい……。らぁめんとは真、良いものですね」

90: 2013/01/04(金) 00:32:45.29 ID:25BV6Giq0
貴音「御馳走様でした。夢のような時間を過ごすことが出来ました。店長、貴方様には感謝してもしきれない……!」

秋山「これは……、合格ってことで良いんだよね」

貴音「それでは私はこれで。また会う日まで。会計は……」

店主「?」

花「四条さん固まっちゃいましたね」

秋山「貴音ちゃん、まさか財布落としたとか?」

貴音「クッ……、私としたことが。どうやら事務所に忘れてしまったようです」

秋山「意外におっちょこちょいなのか? あっ、店長。彼女の分、俺から払っておくよ」

貴音「秋山様!?」

秋山「誰にでもミスはあるからね。こういう時は助け合いだよ?」

花「それじゃあまた来ますねー」

店主「またのおこしをー!」

91: 2013/01/04(金) 00:40:24.76 ID:OzWiAvu10
秋山「それじゃ、帰りますか」

貴音「秋山殿! 先ほどは助かりました。なんとお礼を言えばよいか……」

秋山「ああ、気にしなくていいよ。どうせ花ちゃんの分も払う予定だったんだ。1人増えたところで、さほど変わらないよ」

秋山(その辺のチンピラ適当に狩ればお金入るしね)

貴音「その、秋山殿。非常に申しあげにくいのですが……」

秋山「ん?」

貴音「わたくし、花嬢の食べっぷりを見ていると、お恥ずかしいのですが……」

秋山「まさか、まだ食べたりないとか!?」

貴音「その通りでございます。いつもならこの後数軒回るのですが」

秋山「それはまた元気な腹の虫で」

花「社長! 私も食べたりないです!」

秋山「はいはい、分かったよ。なんか買って来るから、その辺で待ってて」

貴音「ありがとうございます!」

92: 2013/01/04(金) 01:08:16.06 ID:/dr8YRoD0
秋山「さてと、特選カルビ弁当も買ったし帰るかな。女子2人だけで夜の神室町は危険だし」

負傷したチンピラ1「うぅ、なんだよあれ……」

負傷したチンピラ2「魔人ブゥみたいなのはともかく、銀髪の子すっげー好みだったのによぉ」

負傷したチンピラ3「あんなタックル真に受けたらアバラ折れちまうぜいてて」

負傷したチンピラ4「ってあの銀髪の子もかなり強かったぞ……。背負い投げされたぞ」

秋山「……そうでも無かったかな」

花「社長! 遅いですよー! さっきまで絡まれてたんですからね!」

貴音「ええ、幸い大事に至りませんでしたが」

秋山「君らなら大丈夫じゃないの? はい、特選カルビ弁当」

花「流石社長! 分かってますね」

貴音「これはまた、美味しそうなものを……。あなた様には頭が上がりません」

秋山(餌付けに成功したの、か?)

93: 2013/01/04(金) 01:15:17.65 ID:WrP3lLaG0
秋山「食べ終わったならもう帰るかな。お金ないでしょ? 貴音ちゃん送っていくよ」

貴音「いえ、お気になさらず。ここから先は、とっぷしぃくれっとですので」

花「そうですよ、社長。送りオオカミになろうだなんて許しませんからね」

秋山「ねえ、貴音ちゃん」

貴音「何でしょうか?」

秋山「君の持っている秘密ってさ、765プロのみんなに話せないの?」

貴音「!」

花「社長?」

秋山「そりゃ生きてれば秘密なんていくらでも出来る。それは仕方ない。でも君はあまりに謎が多すぎる。それが君の魅力の一つと言うのは認めざるを得ないけど、同じ釜の飯を食う仲間だ。ある程度共有しててもいいんじゃないの?」

貴音「それは……」

秋山「765プロに来る前に君たちのことを色々と調べさせてもらった。プロフィールから嫌いなもの、どうしてアイドルになったか、色々とね。マニアに売ればそれこそかなりの価値になるよ」

秋山「だけど君に関してはほとんど情報が集まらなかった。花ちゃんは優秀だ、1時間あればニンベン師を見つけることだってできる」

94: 2013/01/04(金) 01:23:43.74 ID:25BV6Giq0
ニンベン師→偽造屋。偽造パスポートや偽札を作る人。

秋山「それでも君に関してはほとんど白紙だ。だから俺は賽の花屋にも行った。あそこならこの町の情報は何でも手に入る。今花ちゃんが穿いているパンツの色だってわかる」

花「変なこと言わないでください!」

秋山「それでも見つからなかった。見事すぎるぐらい、君のガードは堅いんだ。きっと765プロの皆にも話していないことが、有るんじゃない?」

貴音「あなた様、わたくしは」

秋山「あー、別に俺は聞きたいと思わないよ? 経験上女性に深入りすると痛い目に合うからさ」

秋山「でも765プロの皆は違う。君たちは信頼し合わなければならない。裏切りだかく仕事だなんてことは、ヤクザな世界だけで十分だよ」

貴音「……わたくしは、怖いのかもしれませんね」

秋山「ん? 怖い?」

貴音「ええ、もしわたくしのことを誰かに話して、それを受け入れて貰えなかったら……。そう思うと、足がすくんでしまうのです」

秋山「成程ねぇ。秘密を知られることで今の関係が壊れることを恐れている、と」

95: 2013/01/04(金) 01:32:46.53 ID:o2BJacj90
秋山「決めた。貴音ちゃん、君へのテスト内容はこれだ」

貴音「……」

秋山「君の持つ秘密、765プロのみんなに話してみな」

貴音「それだけですか? 美希は町中のゴミを拾っている、萩原雪歩は苦手な殿方を克服しようとしました。わたくしへの試練が秘密を話すだけとは……」

秋山「確かに、聞くだけじゃ難しい課題じゃないかもしれないね。でも君にとっては違うはずだ。彼女たちに課されたテストと同格、いやそれ以上に厳しいものじゃないか? 期間は明日中に。どう、受けるかい?」

貴音「……分かりました。その試練挑戦します」

秋山「了解っと。手段は問わない、君が皆に伝えやすい方法でやってくれればいいさ。その後、ちゃんと話したかみんなに聞いて回るよ。言っておくけど、商売柄相手の嘘は分かる。裏で口裏合わせようとしたってそうはいかないからね」

貴音「分かりました」

秋山「さっ、何時までも外にいたら風邪を引いちゃう。タクシー呼んでおくからそれで帰りな。あっ、支払いはスカイファイナンスにつけておいてくれたらいい良い」

貴音「お気遣いありがとうございます。それでは、失礼いたします」

花「四条さん結構焦ってましたね。やっぱり秘密がネックなんですかね?」

秋山「だろうね」

96: 2013/01/04(金) 01:43:42.93 ID:o2BJacj90
秋山「でも遅かれ早かれ話さなければいけないことじゃない? 隠し事を氏ぬまでするなんて、到底無理な話だ。いつかどこかでボロが出るよ」

花「でも、結構酷じゃないですか? 極端なこと言うと、秘密にしていることを話したせいで、結果として命を狙われるようなことになるとか」

秋山「成程ねぇ。それは危険だ」

花「その可能性も十分ありますよ」

秋山「いや、それはないと思う」

花「どうしてそう言い切れるんですか?」

秋山「彼女の反応を見てさ、感じたんだ。秘密を知られることで誰かが傷つくのが怖いんじゃなくて、周囲から受け入れられなくなるのが怖いんだって」

秋山「なら簡単だ。思い切ってそれを話してしまえばいい。きっと楽になるぞ?」

花「受け入れられなかったらどうするんですか!」

秋山「そん時は事務所を変えたらいいさ。彼女たちとは一緒に活動が出来ない、自分を受け入れてくれる事務所を探すって移籍すれば言い。受け入れられたなら、そのままだ。前以上に団結力が出来て万々歳ってこと」

花「皆が四条さんを信じることが出来るか、ってことですか」

秋山「そっ、生きていたら色々あるさ。ヤクザに育てられたアイドルだっているんだ。俺だってこんな風にその日暮らしの金貸しやってるなんて夢にも思ってなかった。あの一件が無けりゃ、今頃幹部コースだったろうに。ホント、何が起こるか分からないよ」

秋山「まっ、今は今なりに楽しいけどね」

102: 2013/01/04(金) 14:45:35.14 ID:yOfBHePv0
翌日

秋山「さてと、今日も元気にアイドルプロデュースといきますかね」

小鳥「あっ、秋山さん! おはようございます」

デンデン 765プロ事務員音無小鳥

秋山「えっと、音無さんですよね。事務員の」

小鳥「小鳥で結構ですよ」

秋山「じゃあ小鳥ちゃんで」

小鳥(小鳥ちゃんって呼ばれるの何ていつぶりだろう)

小鳥「事務所には慣れましたか?」

秋山「ええ、何とかね。みんな良くやってくれて、こっちも助かりますよ」

小鳥「分からないことが有れば何でも聞いてくださいね!」

秋山「そうしますね」

小鳥(34歳、独身。金融業とキャバクラを経営……。ちょっと危ない人だけど、なかなか優良物件……)

秋山「どうかしました?」

小鳥「い、いえ! 何でもないですよ! さて仕事仕事……」

103: 2013/01/04(金) 14:55:13.22 ID:Spa/LRzF0
秋山「よし、みんな集まっているね。今日の予定だけど……」

高木「ああ、それだが。レッスンと仕事の引率に付き合ってやってくれないか?」

秋山「私が? 全員のテストを終わらせてからでなく?」

高木「うむ、後だしジャンケンのようで悪いが、見学するだけならプロデューサーじゃなくても出来る。それに、君も気になって来ているところじゃないか?」

秋山「まぁ、面白そうだと思いますけど」

高木「恥ずかしい話だが、こちらも人手が足りなくてね」

律子「どこかの誰かさんが私をキャバクラに放り込むからこうなるんですよ」

秋山「え? 俺のせい?」

小鳥「いつもは律子さんが中心になって動いていますからね」

秋山「こりゃ参ったね」

律子「私の分もお願いしますよ? 秋山さん」

秋山「了解。やれやれ、結局こうなるのか」

104: 2013/01/04(金) 15:01:37.09 ID:Spa/LRzF0
秋山「それで、誰のレッスンを見ればいいんですかね?」

律子「午前中は彼女たちのダンスレッスンをお願いします」

秋山「ダンスレッスンねぇ。多少心得はあるから何とかなるかな。えっと、真ちゃんと響ちゃんと伊織ちゃん?」

真「秋山さん、よろしくお願いしますね!」

響「ようやく出番さー!」

伊織「……ッ!」

秋山(あれ、俺伊織ちゃんに睨まれてない?)

律子「それでお昼からですけど、あずささんに付いてください」

あずさ「よろしくお願いしますね~」

秋山「ええ、こちらこそ」

律子「そんなところですね」

秋山「それとテスト中の律っちゃんと美希ちゃんの様子を見なきゃなんない、か。結構大変だな」

律子「自分で自分の首絞めているんですよ」

105: 2013/01/04(金) 15:06:27.02 ID:Spa/LRzF0
高木「うむ、それでは各自今日のスケジュールをこなしてくれ。以上」

貴音「お待ちください!」

高木「うむ、どうしたのかね?」

貴音「いえ、少しばかりお時間をいただけないでしょうか?」

秋山「おっ」

春香「四条さんが? 珍しいね」

貴音「ええ、これから活動していくにあたって、皆様にお話ししなければならないことが有ります」

雪歩「なんでしょうか?」

貴音「わたくしの、秘密です」

律子「秘密?」

貴音「ええ、今まで皆様に隠していたことです。わたくしはそれを知られることで、皆様に拒絶されるのが怖かった。ですがこれから先に進むためには、わたくしのことをあなた方には知っていて欲しかったのです」

真美「お姫ちんの秘密かぁ」

亜美「ねんれーさしょーとか?」

106: 2013/01/04(金) 15:12:16.01 ID:MhNBcz2y0
秋山「おや、電話がかかって来てた。ちょいっと失礼」

貴音(お気遣いありがとうございます、秋山殿)

貴音「それでは話します。わたくしの、秘密を――」


秋山「ふぅ、事務所の中じゃタバコ吸えないしなぁ」

秋山(さて、貴音ちゃんの話が終わった頃合いを見て事務所に戻るか。それまでこの辺をブラブラしていよう)

??「た、助けてくれぇ!」

秋山「ん? なんだ?」

ヤクザ「おい待ちやがれ!」

ヤクザ「逃がさねーぞ!」

秋山「随分物騒だねぇ。ってこっちに来てない?」

??「そこのあんた! 助けてくれ!」

秋山「え、俺?」

107: 2013/01/04(金) 15:17:12.43 ID:MhNBcz2y0
??「そう! あんた喧嘩強そうだし助けてくれよぉ!」

秋山「ちょっとちょっと、何なのさ。お父さんなんでヤクザに追われてるのさ」

ヤクザ「そいつが借りた金を返さねーからだよ!」

ヤクザ「返済期日とっくに過ぎているだろうが! おらぁ!」

??「ひぃぃぃ!!」

秋山「何? お父さんあいつらから金借りてるの? じゃあ返さなきゃダメじゃない」

??「い、今はないんだ! 今月中には払えるから」

ヤクザ「その言葉聞き飽きたんだよ!」

ヤクザ「おいそこのアンちゃん。痛い目見たくなきゃそいつをこっちに引き渡すんだな」

秋山「別に痛い目は合わないと思うけどなぁ」

ヤクザ「何を舐めた真似を! おい、こいつもまとめてやっちまえ!」

ヤクザーズ「ヘイ!」

秋山「えっ、それだけで怒るの? 沸点低くて生き難くない?」

ヤクザ「野郎ぶっ頃してやらぁ!!」

108: 2013/01/04(金) 15:22:48.53 ID:TnRmEAKx0
ヤクザ「ち、畜生……。憶えておけー!」

秋山「憶えておくも何も名前聞いてないんだけどー! って行っちゃった」

??「ああ、助かりました! なんと感謝すればよいか……」

秋山「今日のとこは助かったけど、ああいう人たちってねちっこいよ? 早いとこ素直に返さないと、臓器を売られるかタコ部屋にでも送られちゃうよ?」

??「そ、それだけは勘弁を!」

秋山「俺に言われてもねぇ……。あっ、そうそう。一応俺も金貸しやっているんだけど、首が回らなくなったら来なよ。力になると思うしさ」

??「スカイファイナンス? あ、貴方が秋山さん!?」

秋山「へ? 俺のこと知ってるの?」

??「貴方を探していたんだ! 無利子無担保で無制限にお金を借りれるという伝説の金貸し! こんな偶然が有るとは……」

秋山「うちに融資の相談に来たってとこか」

高槻「はい! 私、高槻って言います!」

秋山「ん? 高槻?」

???「あきやまさーん、律子さんが呼んで……お父さん!?」

秋山「え? お父さん?」

109: 2013/01/04(金) 15:28:18.09 ID:dKwlAxkr0
高槻「やよい!?」

やよい「お父さんどうしてここに? すっごいボロボロだけど……」

秋山(そう言えばやよいちゃんの家って多重債務が重なっているとか聞いてたっけか。家計を助けるためにアイドル、か。色々な志望動機があるんだな)

秋山(しかしこんな時間帯からヤクザに追いかけられてるとはね、ちゃんと仕事についているのか?)

秋山「えっと、ここじゃまたあいつらが来そうだから、場所替えませんか?」


765プロ

やよい「えーっと、お父さんです」

高槻「やよいの父です。いつも娘がお世話になってます」

伊織「……どういうことよ、これ」

秋山「俺の客、みたいな?」

伊織「……やよい、借金っていくらよ?」

やよい「お父さん、いくら?」

110: 2013/01/04(金) 15:32:43.05 ID:QgrgIarY0
高槻「……1000万円」

やよい「そんなにあったの!?」

秋山「それって、色んな所から借りてそうなった、みたいな感じ?」

高槻「え、ええ……。結果どこからも借りれなくなって。このままじゃ家も差し押さえられてしまいます」

秋山「成程ね、それで俺のところにか」

伊織「やよい、ちょっと待ってなさい」

やよい「え?」

伊織「1000万、建て替えてあげるわ」

やよい「えええ!?」

秋山「おいおい、いくらいいとこのお嬢様とは言え、ポンッと出せるお金じゃないだろ?」

伊織「それでもあんたの所に借りるよりはマシよ! 秋山駿、あんたの素性、とっくに割れてんだから」

秋山「!」

111: 2013/01/04(金) 15:48:54.10 ID:uLpTgio70
伊織「何間抜けな顔してるのよ。あんたがこっちのことを調べたのと同じように、こっちもあんたのこと調べさせてもらったわ」

伊織「秋山駿34歳、元東都大学法学部卒業後、東都銀行に勤務。順調にエリート街道を歩んでいるように見えたも、横領の容疑がかかり銀行をクビになる。その後神室町でホームレスとして生活していたが、2005年のミレニアムタワー爆破事件により空から待って来た100億円の内100万円を掻き集め、必氏でデイトレードをして今に至る。どう、間違ってる?」

秋山「そこまで知っていたのか」

伊織「ええ。一体どんな手を使って100万円を膨らましたか知らないわ。デイトレードって言ったって限界がある。いくらあんたが優秀でもね」

秋山「生きるために必氏だったんだよ」

伊織「でもそれだけじゃない。あんたは遊びで金を貸している、違う? 無利息無担保無制限。甘い話をチラつかせて、テストと称した暇つぶしをしているようにしか見れないわ」

秋山「手厳しいねぇ」

伊織「プロデューサーとしての才能は認めてあげるわ。千早や雪歩だけじゃない、あの貴音もあんたのテストをやってのけた。全く、どんなことが有っても信じるに決まってるのに。いつになく弱気な貴音にちょっくら喝を入れてやったわよ」

伊織「でも私は信用できない。裏でどんな繋がりがあるか分かったもんじゃないわ。デイトレードに関しても、何も知らない誰かを傷つけてきたんでしょうね」

やよい「伊織ちゃん……」

秋山「嫌われちゃったか」

112: 2013/01/04(金) 15:58:39.61 ID:CORqkkoJ0
秋山「伊織ちゃん、確かに俺は誰かを犠牲にして来たかもしれない。俺だって犠牲にされた身分だしね」

伊織「自分を正当化するつもり?」

秋山「そうじゃない。生きるってことは、選ぶってことはそう言うことなんだ。そしてその選択には、責任が付きまとう。当然責められることだってあるさ」

伊織「どうだか」

秋山「君だって同じさ。例えば誰かとユニットを組んだとしよう。とても仲のいい子だ。だけどユニットとして芽が出なかった。その代わり、君だけ評価された。大手レコード会社からの引き抜きだ。これ以上良い話はない」

秋山「だけど選ばれたのは君だけ、相方は見向きもされてなかった。伊織ちゃん、君ならどうする?」

伊織「そ、それは……」

秋山「即答出来ないよね。特に君の様な責任感の強く、誰かのために自分を犠牲に出来るような優しい子はさ」

伊織「だ、誰が優しいですって! 変なこと言わないでよ!」

秋山「あれ、違った? まぁ良いや。高槻さん、御金を借りるかどうか、考えておいてください。さっき伊織ちゃんが言ったように、傍目には俺が道楽で金貸しをしているように見えるかもしれない」

秋山「でもね、こんなんでも、俺なりの信念を持って金貸しているつもりですよ」

113: 2013/01/04(金) 16:04:17.70 ID:CORqkkoJ0
律子「秋山さん、伊織ー! レッスンの時間ですよー!」

秋山「あっ、今いくよ!」

伊織「……」

秋山(伊織ちゃんは考え込んでいるようだ。レッスン前にする話じゃ無かったかな)

秋山「高槻さん、俺は遅くまで戻ってこれないんですが、どうしますか?」

高槻「けど外には金貸したちがいますよね」

やよい「じゃあ事務所にいようよ! お父さんにも私たちの活動見て貰いたいし」

高槻「やよい……、ではそうさせてもらいます」

秋山「分かりましたっと。んじゃ行きますかね、伊織ちゃん」

伊織「ふん! あんたなんかに教えて貰うことなんかないだろうけど、期待しといてあげる!」

秋山(おっ、今流行りのツンデレって奴?)

114: 2013/01/04(金) 16:20:13.78 ID:gO2VyTbT0
貴音「貴方様」

秋山「うわっ! 貴音ちゃん、何時からそこに?」

貴音「話しかける機会をうかがっていたのですが、どうも深刻な話をしていたようだったので」

秋山「待っててくれてた? 悪かったね。で、さっきのこと?」

貴音「ええ。全てわたくしの杞憂で終わって安心しました。彼女たちは、わたくしの出自を知ったうえで、仲間だと言ってくれました。伊織に説教されましたよ。『あんたは私たちがそんなことで引いてしまうと思う!?』と」

秋山「あんまり似てないかな」

貴音「不思議なものですね。あれだけ怖かったのに、口に出してしまえば案外どうってことはありませんでした。わたくしは、この事務所で良かった、心からそう思えます」

秋山「そっか、それは良かった」

貴音「貴方様、昨日払って頂いた分ですが……」

秋山「あー、良いよ良いよ。返さなくて」

貴音「しかし」

秋山「君がこの事務所の本当の一員になれたお祝いだよ。気にするなって」

貴音「そうですね、ではありがたくいただいておきます」

四条貴音、テスト合格!

115: 2013/01/04(金) 16:24:51.50 ID:gO2VyTbT0
秋山「そこだー!」

チンピラ1「あぎゃあ!」

秋山「まだやる気?」

チンピラ2「すんませんでしたー!!」

秋山「スタミナンロイヤルか。いる?」

響「流石にチンピラからカツアゲされたものを飲みたいと思わないぞ」

伊織「警察沙汰になったらどうするのよ!」

秋山「大丈夫じゃない? 神室町の警察って日本一無能だからさ。知り合いに職務中に競馬してたり麻雀してるのもいたし。そんな彼も今や捜査一課さ」

伊織「日本一危険な場所にそんな集団を置くな!」

真「秋山さん、何か格闘技をしていたんですか?」

秋山「ん? いや、我流だよ?」

真「我流であの足さばき……、凄いですね」

秋山「ホームレス時代は食うか食われるかだったからさ。自分の身を守れるのは自分だけだったし」

116: 2013/01/04(金) 16:28:29.76 ID:yqex2gMC0
響「あれ、誰か倒れてる」

テレンスリーみたいな人「氏ーん」

真「本当だ! 大丈夫ですか!?」

秋山「あれ、あの人……」

伊織「知り合いなの?」

秋山「真ちゃん、その人は気にしなくていいよ」

真「ええ!? でも苦しそうですよ?」

秋山「その人にかかわると碌な目に合わないからね」

響「知り合い?」

秋山「修行と称してマシンガンをぶっ放してくる人だよ? 触らぬ髪に祟りなしだよ」

真「ま、マシンガン!? 銃刀法違反じゃ……」

秋山「だからアンタッチャブルが一番だよ。さっ、レッスンに遅れるよ?」

伊織「漢字が違うのは気のせいかしら?」

117: 2013/01/04(金) 16:38:37.48 ID:Jr8gNMR/0
レッスンスタジオ

秋山「へ? トレーナーがいない? いや、765プロでおたくのトレーナーを予約していたはずでしょ? ちょっと、聞いてます?」

伊織「どういうことよ」

真「律子がミスったのかな」

響「どうなるんだ?」

秋山「弱ったな、どうやらトレーナーが他のアイドルグループの指導に回ってしまったらしい」

真「ええ!? 急な話ですね」

秋山「しかも向こうは最初からそっちの予定だったの一点張りだ。幸い、スタジオは使えるみたいだけど、どうしたものかね」

伊織「はぁ? じゃあトレーナーなしってこと?」

秋山「……になるね。仕方ない、俺がやるしかないのか」

響「秋山さんダンスできるのか?」

秋山「少しだけ大阪でストリートダンスを齧ったけど、そんなんでいいのかね」

118: 2013/01/04(金) 19:29:09.94 ID:SDxlHBZK0
真「大阪ってストリートダンスの本場でしたっけ」

秋山「蒼天堀のいたるところにストリートダンサーがいたっけな。おばあちゃんと踊ったこともあったか」

伊織「何でもいいわ始めましょう」

秋山「とりあえず通してみるか」

秋山(真ちゃんと響ちゃんはダンスが得意と言うだけあって流石だな。この2人相手じゃやや劣るけど、伊織ちゃんもなんとか付いていこうとしているな)

秋山「あー、そこ! もっと足上げて。こんぐらい!」

真&響『おー!!』

伊織「ってそんなに上がるわけないでしょうが!」

秋山「出来ないってことはないでしょ。股関節鍛えたら何とかなるよ?」

伊織「そこまでして踊りたいと思わないわ」

秋山「そう? んじゃさっき止めたところからもっかいね。それ、ワンツーワンツー!」

120: 2013/01/04(金) 19:46:10.43 ID:8s9zfxQu0

秋山「お疲れさん。これ薬局で貰った試供品」

真「アーッ、染み渡る!」

響「疲れたぞ、なぁハム蔵」

ハム蔵「へけ?」

伊織「なかなか、ハードだったわね」

秋山「律っちゃんから厳しくやるよう言われてるからね。トレーナーがいなくて一時はどうなるもんかと思ったけど、案外何とかなるもんだな」

秋山「とはいえ、こう予定を変えられたら溜まったもんじゃないな。今後レッスンスタジオ変えた方がいいんじゃない?」

伊織「そーね。律子に言っておくわ」

秋山「さてと。俺はお手洗いに行くから、帰る準備しておいて」

アイドルズ『はーい』

121: 2013/01/04(金) 19:49:18.93 ID:8s9zfxQu0
秋山「うー、にしても冷えるねぇ。さっさと戻って松屋で昼を取るかわっ!」

??「ちっ、どこ見て歩いてんだよおっさん」

秋山「ぶつかっておいてそれはないだろ? それにおっさんって君、これでも俺は34歳?」

??「んだよ、何か言いたいことでもあるのか?」

秋山(この顔、他しか昨日テレビで見た……)

秋山「思い出した! ジュピターの女性経験のないリーダーだ」

冬馬「な、何言ってんだおい! 俺の名前は天ヶ瀬冬馬だ!」

デンデン 961プロ直系木星組組長 天ヶ瀬冬馬

秋山「961プロがここにいるってことは、ははぁん。そう言うことね」

冬馬「何言ってんだよ。けっ、胸糞悪いぜ」

秋山「随分と口が悪いねぇ。もし俺が業界のお偉いさんだったりしたらどうするのよ。今ので思いっきり心象悪くしちゃったよ?」

冬馬「そんなお偉いさんがこんなレッスン場に来ると思えねーけどな」

秋山「こんなって酷いこと言うなぁ。確かに、直前でドタキャンされるようなとこだけどさ」

122: 2013/01/04(金) 19:53:28.74 ID:vn8NIoCc0
冬馬「ドタキャン?」

秋山「あらま、その顔は何にも知らないって顔してるね」

冬馬「なんのことだよ」

黒井「おい、冬馬何をしている! これ以上底辺プロと一緒の空間におられるか!」

冬馬「悪いおっさん! 今行くぜ」

秋山「黒井社長直時期に来ているのか。何してるんだ?」

冬馬「おい、おっさん! 待てよ」

秋山「だーかーら、俺はまだ34歳なんだって! 君からしたらおっさんかもしれないけど、まだまだ心は若いつもりだよ?」

黒井「あぁん? 貴様が765プロのプロデューサー……」

秋山「どうも、昨日ぶりです」

黒井「ドドドどうして貴様がここに!! 貴様はキャバクラのオーナーじゃ!」

123: 2013/01/04(金) 20:22:10.42 ID:+yk0ahxT0
背の低い男子「黒ちゃん、キャバクラ行ってるの?」

ホスト風の男「なんだ、それなら誘ってくれたら良かったのに」

黒井「な、ななんのことかさっぱりだぁ!」

冬馬「こいつが765プロのプロデューサー! 見れば見るほど胡散臭い顔してるぜ」

秋山「おたくの社長よりかはマシな自信があるんだけどな。伊織ちゃん、何かあったの?」

伊織「向こうがつっかかって来たのよ。嫌味たっぷりにね」

秋山「本当に大人げない人ですね。あんたが恨んでいるのはこの子らじゃない、高木社長だろ?」

黒井「ふん! 飼い主が飼い主なら飼い犬も飼い犬だな! 仲良しこよしでトップアイドル? 笑わせてくれる! そのままお笑い番組に出たらどうだ? 失笑されるだろうがな」

真「おいあんた! ふざけたこと言ってんじゃ」

秋山「やめろ! 真っちゃん!」

伊織「ライトウイング!?」

響「右翼がどうしたんだ?」

124: 2013/01/04(金) 20:25:58.22 ID:+yk0ahxT0
真「秋山さん! 止めないでください!」

黒井「ほう? 口で勝てないとわかると手を出すか? どこまでも低能だな!」

真「なにを!」

響「真落ち着いて! 口車に乗っちゃだめだぞ」

伊織「そんな安い挑発に乗らないの!」

真「クッ!」

冬馬「けっ、言いたいことが有るならステージで語れよ」

黒井「とっとと出るぞ! これ以上奴らの顔を見たくないんでな」

背の低い男子「じゃあねー」

ホスト風の男「チャオ☆」

冬馬「……ふん」

真「……ッ」

125: 2013/01/04(金) 20:32:20.73 ID:t5UK1bLI0
秋山「あー、ちょっと良いかな」

響「秋山さん?」

黒井「なんだね、私は今帰ろうとしているんだ。邪魔しないでもらえるかな、貴様たちに掛ける時間なんてこれっぽっちもないんだよ!」

秋山「10分あれば十分です。あのね、うちのアイドルを黙って馬鹿にされていくってわけにもいかないんですよ。折角真ちゃんのボルテージが上がってるんだ。こんないい顔、なかなかお目にかかれないぜ?」

伊織「秋山! あんたどういうつもりよ」

秋山「黒井社長、どうです。ここは1つ、勝負してみませんか?」

黒井「勝負だ?」

冬馬「なんだ? ライブバトルでもするって言うのか?」

秋山「10分あれば十分って言ったでしょ。こっちも次の仕事が入ってるもんでね。だからと言って後程ってわけにもいかない。どうせおたくのことだ、ライブバトルをするにしたって完全にフェアな勝負を仕掛けてくるか分かったもんじゃない」

冬馬「フェアじゃないだ? てめーらが言えた義理かよ!」

秋山「そういう教育方針ですか。ライバルがいた方が気分も盛り上がりますからね。そう言えば、あの事務所もそんな感じだったっけか。こちらは社長同士の仲が悪いみたいだけど」


126: 2013/01/04(金) 20:41:59.43 ID:t5UK1bLI0
秋山「そこで完璧にフェアな勝負を一つ提供しましょう。ほらっ、受け取れ!」

冬馬「あ? スタミナン試供品? おいおい、早飲み勝負とかいうんじゃねえだろうな?」

秋山「まさか。おたくら、わらしべ長者って知ってるよな」

背の低い男子「わらしべ長者ってあの物々交換の?」

秋山「そっ。貧乏な男が一本のわらを交換していき、最終的に屋敷を手に入れたって昔話さ」

響「つまりスタミナンを交換していくのか?」

秋山「そういうこと。制限時間は10分。その間にこの町の人から交換していき、最終的に手に残ったものの価値で勝負してもらう。どうです? 面白そうでしょ?」

黒井「くだらん! そんな勝負にかまっている時間などない! 行くぞ」

秋山「ほう、逃げると?」

冬馬「何? 誰が逃げるって?」

秋山「黒井さーん、おたくのリーダーは乗り気ですけど? あっ、961プロダクションは勝てない勝負はしない主義ですか。なんだかがっかりだなぁ」

127: 2013/01/04(金) 20:46:39.11 ID:l1eq848p0
黒井「き、貴様馬鹿にしよって! 良いだろう! その勝負、受けてたとう!」

秋山「そう来なくっちゃ。さてと、代表一人にやって貰いますかね。伊織ちゃん!」

伊織「え? 私!?」

響「真じゃないの?」

真「そうですよ! ボクがやりますよ!」

秋山「まぁその気持ちは分からなくはないんだけど、実はこれ伊織ちゃんに対するテスト内容だったんだよね」

真「伊織の、テストですか?」

秋山「そっ」

伊織「何それ、初耳なんだけど!」

秋山「事前に言っちゃテストにならないでしょ?」

伊織「でもこれは真こそすべき」

秋山「いや、真ちゃんよりや響ちゃんよりも、君が一番我慢ならないんじゃないのかい?」

響「伊織?」

128: 2013/01/04(金) 21:18:35.48 ID:C66IUpeg0
秋山「仲間想いの君のことだ。馬鹿にされたら怒るのは想像に難くない。むしろよく我慢した方だと思うよ?」

真「そうなの、伊織?」

伊織「分かったわよ! 私がやればいいんでしょ! 真! 響! あんたらの分まであいつらをぎゃふんと言わせてやるわ!」

秋山「その意気だ! で、おたくらは誰が出るの?」

冬馬「俺が出る」

秋山「天ヶ崎君ね」

冬馬「天ヶ瀬だ!」

秋山「おっと失礼。最近物覚えが悪くなったかな、おっさんだからか?」

冬馬「イチイチ癇に障る野郎だな。さっさと始めようぜ。俺達だって暇じゃないんだ」

秋山「ルールはさっき言った通り。スタミナン試供品を起点に交換していき、最終的に価値の高いものを持っていたほうの価値だ」

秋山「そうそう! これは勝負事だ、何か賭けないと燃えないよな?」

黒井「賭けだと?」

秋山「そう。そうだな、こちらが勝てばジュピターだっけ? そのグループ名をこっちで変えさせてもらう」

129: 2013/01/04(金) 21:24:26.29 ID:C66IUpeg0
冬馬「な!?」

背の低い男子「改名ってバカルディみたいなことを!」

ホスト風の男「翔太結構詳しいな。改名ねぇ、ノーザンスターに変えるのか?」

翔太「いや、それは北斗君の希望でしょ?」

秋山「どうする? 別に賭けなくても良いけど」

黒井「面白い! ならばこちらが勝った場合、貴様の持つキャバクラをこちらに譲ってもらおう!」

冬馬「はぁ!?」

伊織「キャバクラ!?」

秋山「まぁ、分かりましたよ。権利書をあげましょう。キャストをどうしようがあんたの勝手だ。好きに改装すればいいさ」

黒井「良し! ジュピター! 今すぐ準備しろ!」

冬馬「ちょっと待て! これ俺達が勝っても何一つメリットがねえだろ!」

北斗「完全に社長の趣味ですよね」

翔太「はぁ、なんかやるのが馬鹿らしくなってきた」

黒井「何を言う! 勝てばキャバクラは私たちのものだ! 好きなだけキャバ嬢とアフター出来るんだぞ!」

冬馬「そ、それは魅力的だ……」

130: 2013/01/04(金) 21:44:28.85 ID:PkIJ0KGH0
翔太「納得しちゃったよこのDT!」

北斗「まぁ一応こちらにも旨味はある、か」

翔太「いや僕とかは入れないからね! 未成年お断りだからね!?」

響「なんか向こう揉めてるぞ?」

伊織「男なんてね、馬鹿ばっかりなのよ」

真「伊織、今何でこっちを見たかな……」

秋山「あのー、話済みました? あずささんを待たせるわけにもいかないし、それじゃあスタート!」



伊織「ってそもそもスタミナンが必要な人なんているのかしら?」

ズタボロなチンピラ「うぅ、あのおっさん強すぎだろ。やべぇ、力が出ねぇ……」

金髪ツインテ女子「センパイ風邪を引いちゃんたんデスよね。スタミナンでもあれば回復するかな……」

伊織「うわぁ、いたわ。しかも2人も……」

131: 2013/01/04(金) 21:49:50.54 ID:PkIJ0KGH0
伊織「でもスタミナンは1つだけなのよね。片方には渡せない……」

伊織「これが選ぶってことなの?」

伊織「どちらを選べばいいのよ……」

チンピラ「うげぇ」

ツインテ「フッフッフ、センパイへの看病で好感度アップデスよ」

伊織(今必要なのはあのチンピラよね!)

伊織「あのー、そこの方? スタミナンいりませんかぁ?」

チンピラ「ス、スタミナン!? あ、あんた俺にくれるのか!?」

伊織「ええ、どうぞ」

チンピラ「生き返るー!」

チンピラ「あんがとな、姉ちゃん! まさか俺なんかにこんなに優しくしてくれる人がいるなんて……」

伊織「どういたしまして!」

チンピラ「このお礼はどうすれば、そのスタミナンいくらだ? さっき子連れのおっさんに金渡しちまったけど、スタミナン買うぐらいの金なら」

伊織「あっ、お金はいりません! でもその代り、何か他のものと交換ってことでどうですかぁ?」

132: 2013/01/04(金) 21:56:07.09 ID:3h/J4/oN0
伊織「で手に入れたのが……、整腸剤?」

伊織「貰ったのは良いけど、欲しがっている人なんて……」

女装の似合いそうな男子「う、うぅ……」

女装の似合わない6代目「は、腹が……」

伊織「ま、また2人!?」

伊織(片方は私と同じぐらいの男子かしら? どことなく律子に似てるような気がするけど……。もう1人は……、あの人もテレビで見たことが有るような無いような)

女装が似合いそうな男子「ダ、ダメだりゅんりゅんしちゃう……。15の昼が出ちゃう」

女装の似合わない6代目「も、持ちこたえろ……! 腹の中でカチコミが来るとは……。耐えるんだ、6代目」

伊織「これどっちに渡しても大惨事よね……」

伊織(高価そうなものを持っているのはスーツの男だけど)

伊織(あの男の子も律子の顔がよぎっちゃうわね)

伊織「時間もない。どちらに……」

133: 2013/01/04(金) 22:04:51.23 ID:3h/J4/oN0
女装の似合う男子「あ、ありがとうございました! おかげで峠を乗り越えることが出来ました」

伊織「感謝しなさいよ! 全く、みっともないったらありゃしない」

女装の似合う男子「その、何かお礼がしたいんですけど」

伊織「そうね……。お金じゃなくて、ものと交換ってことでどう?」

女装の似合う少年「交換、ですか。でも今こんなのしか持ってなくて……」

伊織「サイン色紙?」

女装の似合う少年「はい、近くでサッカー選手のサイン会が有ってその帰りなんです。あまりもので恐縮ですが、これしかないんです」

伊織(あのスーツの男に渡した方が良かったかしら? いや、もしこいつを放っておいたら律子を見るたびに罪悪感が生まれるはず!)

伊織(とりあえず今はサイン色紙を欲しがっている人を探さないと)

伊織「後5分、時間はないわね!」

女装の似合わない6代目「と、東城会を……頼みます、4代目……」

136: 2013/01/04(金) 22:13:00.50 ID:3h/J4/oN0
伊織「あら、何か人だかりが出来てるわね」

興奮するオタク「見ろよ! 日高舞だぜ!」

うっかりしたオタク「ちくしょー! 何でこんな時に限ってサイン色紙が無いんだよ!」

伊織「……自分の幸運が少し怖くなってきたわ」

伊織「あのー、サイン色紙をお探し、ですか?」

うっかりしたオタク「そうなんだよ! まさかこんなところであの伝説のスーパーアイドル日高舞に会えるなんて思ってもなかったよ」

伊織「サイン色紙、使いますかぁ?」

うっかりオタク「え、いいの!?」

伊織「はい、私が持ってても仕方ないですから」

うっかりオタク「助かるぜ! これでサインがもらえるぜ! 本当にありがとう! このお礼はどうすればいいか……100万円あっても足りないぐらいだ!」

伊織「あ、あの! お金はちょっと」

うっかりオタク「そ、そうだよね! 生々しいよね……。じゃあこれを」

伊織「キーホルダー?」

うっかりオタク「伝説のアイドル、澤村遥のキーホルダーだよ。大阪に仕事で行ったときにもらえたんだ」

137: 2013/01/04(金) 22:21:55.40 ID:3h/J4/oN0
秋山「時間だな」

伊織「ぜぇ、ぜぇ……」

真「伊織、お疲れ!」

響「スタミナンシークアーサー味だぞ!」

冬馬「はぁ……、はぁ……」

翔太「冬馬君お疲れさん」

北斗「さて、どうなることやら」

黒井「秋山よ、貴様約束を忘れたとは言うまいな?」

秋山「そちらこそ。放送倫理コードギリギリのグループ名付けられる覚悟はありますか?」

真「で、どこで鑑定するんですか?」

秋山「鑑定人は質屋えびすやの店長だよ」

店長「いらっしゃい」

黒井「よし、冬馬! 貴様から行け!」

秋山(さて、どんなものを見せてくれるかね)

138: 2013/01/04(金) 22:28:09.70 ID:eE68E0Fw0
冬馬「これだ!」

真「これって……」

翔太「サインボール?」

冬馬「聞いて驚くんじゃねぇぞ? これはな、15年前東京ギガンツ対名古屋ワイバーンズ戦で澤田から品田辰雄が打ったとされる世界に一つしかないホームランボールだ!」

伊織「品田辰雄?」

響「聞いたことないぞ」

真「名前だけは知っているかな」

北斗「まっ、君らぐらいの年齢じゃ、彼のことを知らなくても無理はない、か」

秋山(思いっきり知り合いなんだけどね)

黒井「流石だ冬馬! 品田辰雄はたった一度だけしか一軍の試合に出ていない。そしてその時に打った、最初で最後のホームランボール! マニアなら喉から手が出るほど欲しい一品だろう?」

店主「うーん、このボールは……」

139: 2013/01/04(金) 22:35:37.28 ID:eE68E0Fw0
店主「良くて850円だな」

冬馬「だろ? 850円!」

冬馬「……って、え?」

黒井「貴様! あの品田の打ったボールが850円の価値しかないというのか!? 貴様の目は節穴か!?」

店主「いやそうじゃなくて。これ、模造品ですよ?」

黒冬『は?』

真「確かに新品みたいだ」

響「いくら保存が良くても15年前のものがこんなに綺麗なわけがないもんね」

店主「そもそもまずこれ低反発球ですよ?」

秋山「そんなことまで分かっちゃうの?」

店主「品田辰雄って言ったら、知る人ぞ知る悲劇の打者ですからね。野球賭博に関与した罪を問われ、球界追放。最近になって一連の事件の真相が明らかになったけど、結構お客さんみたいな人多いんですよ。品田の打ったボールだって。野球を全く知らない人からしたら、サインボールが本物か偽物か区別付きませんからね」

秋山「どうやら、節穴なのはそちらさんのようだな」

140: 2013/01/04(金) 22:48:46.79 ID:eE68E0Fw0
伊織「次は私ね。これを鑑定して頂戴」

店主「これは、キーホルダー?」

伊織「澤村遥キーホルダーよ」

黒井「キーホルダーだぁ?」

翔太「あれ、これロフトで売ってるやつ見たよ? 値段は500円だったかな」

冬馬「500円? それって、850円より高いの?」

北斗「冬馬のやつ、ショックで算数が出来なくなったのか……」

黒井「クックック、やはり貴様らの方こそものを見る価値が無かったようだな! さぁ、今の内からキャバクラ『ZAZEL』立ち上げの準備を……」

店主「こ、これは!!」

響「どうかしたのか?」

店主「き、君! これをどこで手に入れたんだ!?」

伊織「へ? 日高舞のファンにだけど。確か大阪で手に入れたって言ってたかしら?」

店主「大阪! 成程それでか……」

141: 2013/01/04(金) 22:54:34.16 ID:eE68E0Fw0
秋山「思わせぶりなのはもう結構何で、それの価値を教えてくれる?」

店主「あ、ああ。これに価格をつけるなら……」

店主「2万円だ」

黒井「は?」

伊織「に、2万円!?」

真「嘘でしょ! いくらあの澤村遥だからって言っても普通のキーホルダーにしか見えないんだけど」

響「凄くプレミアがついてるとか?」

冬馬「なぁ、2万って850円より安いのか?」

翔太「20倍以上の価値があるよ! これ、ロフトに売ってたのと同じ奴だよね!?」

北斗「店主さん、どうしてそんなに価値があるんですか?」

店主「これは彼女が大阪で活動を始めた初期に作られたキーホルダーなんだ。まだほとんど売れていないアイドルだったから生産は少なかったんだけど、このキーホルダー、良く見てごらん」

伊織「あっ……。気にしなかったけど」

真「澤村の澤が」

響「沢になってるぞ」

142: 2013/01/04(金) 23:02:18.32 ID:muqQelJl0
店主「そう。だから販売してすぐに回収されたんだ。名前も知らないアイドルのキーホルダーなんて誰も買わない。故に持っている人自体そういなかった。だけど今になって、一気に価値が出来た。理由は、言わなくても分かるよね。とにかくこれは、ファンたちが喉から手が出るほど欲しくなる、超プレミアものなんだ。ネットオークションにかけてみれば、価値が分かると思うよ」

秋山「どれどれ、澤村遥初期版キーホルダー……。20万円って頑張り過ぎだろ」

伊織「そんな価値が……」

秋山「もしかしたら、君らのグッズも今後何らかの形で評価されるかもしれないね」

響「でもオークションにかけられるのは嫌だなぁ」

真「そうですよ! 転売目的何てファンの風上にも置けないや」

秋山「まっ、複雑な所だよね」

秋山「850円と2万円。どちらの方が高いか、明白ですよね、黒井社長」

黒井「ぐ、ぐぬぬ……」

秋山「さぁ、約束だ。おたくらのユニット名替えさせてもらうよ」

冬馬「クッ……」

秋山「さて、どんな名前にしてやろうかな?」

143: 2013/01/04(金) 23:20:29.09 ID:dKwlAxkr0
秋山「伊織ちゃんお疲れさん」

伊織「秋山」

秋山「しかし良いとこ出なだけあって、見る目が有るね。陰から見てたけど、スタミナンがああなるなんてね。面白かったよ」

伊織「結局楽しんでるじゃないの。だけどまぁ、選ぶのって大変なのね。可能なら、必要としている人みんなに与えたかったわ」

秋山「堂島会長は流石に可哀想だったよなぁ。ま、東城会は今日も平和ってとこか?」

伊織「ちょっと、聞いてる?」

秋山「ああ、ごめんごめん。伊織ちゃんってさ、確かみんなを見返したくてアイドルになったんだっけ?」

伊織「自分1人じゃ何もできないって思っている皆の鼻を明かしたかったのよ。自分は水瀬の力なくても頑張れるって、1から作っていけるって。でも765プロに入ったのも、お父様と社長が旧知の仲だったから入れて貰えたようなものよ」

秋山「でもアイドルの皆は君が1から手に入れたものだ。そこには財閥の力も何もない。今日だってそう、タダ同然のスタミナンから、遥ちゃんのキーホルダーにまで行きついたんだ。君はもう、1人で十分歩いて行けるよ」

伊織「へ、変なこと言うな! この変態!」

秋山「変態って、酷くない!?」

伊織「あんたほどの変態を見たことないわよ。ねぇ、秋山。私961の連中に馬鹿にされた時、本当に腹が立っていた。でも抑えなきゃって思ってた。熱くなればあいつらの思うつぼだから」

伊織「ありがとう。私にチャンスをくれて……って私は何を言ってるのよ! 秋山、2秒で忘れないさい!!」

秋山「ツンデレ頂きましたー!」

伊織「ああ、もう! うるさーい!!」

144: 2013/01/04(金) 23:26:44.95 ID:dKwlAxkr0
響「伊織ー、秋山さーん! 帰るぞー!」

真「置いてきますよー!」

伊織「ちょっと待ちなさい!」

秋山「……」

秋山「塩原、元気でやってるかな」

伊織「秋山ー! 早く来なさーい!」

秋山「今行きますよっと!」

 その日の午後のワイドショーの話題

関東最大の暴力団団体東城会会長堂島大吾、神室町で倒れる。
前日電撃デビューを果たしたジュピターが、ジュピター(笑)に改名し、お茶の間に笑いを与える。

水瀬伊織、テスト合格!

150: 2013/01/05(土) 23:46:29.79 ID:xmfglxS/0
秋山「さて、次はあずさちゃんの仕事の引率か。準備できてる?」

あずさ「大丈夫ですよ、秋山さん」

秋山「えーっと、仕事内容は……、カラオケ大会? テレビでするの?」

あずさ「最近は多いんです。お笑い芸人さんが真剣に歌ったり、カラオケの良き会で点数を図ったり」

秋山「なんか違う気がするけど、まっいっか。それじゃ行きますよ。俺に付いて来てくださいね」

あずさ「はい~」

秋山「ってあずさちゃん! 言ってる傍から方向が違うよ!」

あずさ「すみません、私方向音痴なもので……」

秋山「ちゃんと俺に付いて来てくださいよ? それじゃあ東都TVに……」

あずさ「あらあら~」

秋山「ってあずさちゃん! そのタクシーに乗ったら月見野に行っちゃうから! 北海道行のタクシーだから!」


151: 2013/01/06(日) 00:13:50.21 ID:k9W6c0lR0
秋山「ぜぇ、ぜぇ。何とか間に合ったかな」

あずさ「え、ええ。そうですね……。あのー、秋山さん?」

秋山「何かな、あずさちゃん」

あずさ「今私たちの手、繋がってますよね」

秋山「ええ、手錠でね。そうでもしないと、あずさちゃんいなくなっちゃうでしょ?」

あずさ「おかげさまで迷子にならずに済んだんですけど……」

秋山「谷村君が余分に持ってて助かりましたよ。やっぱり、持つべきものは相棒……、じゃなくて戦友だね」

あずさ「あの、それなんですけど」

あずさ「鍵、貰いましたっけ?」

秋山「……」

秋山「あっ」

あずさ「ええ? ってことは手錠をかけたまま収録に出るってことですか? 窮屈ですね」

秋山「いやいや、それ以前に俺がテレビに映っちゃうよね」

152: 2013/01/06(日) 00:22:12.58 ID:k9W6c0lR0
秋山「テレビ局の小道具班が何か持ってないかな」

あずさ「さぁ。手錠の鍵は流石にないと思いますけど」

秋山「弱ったねぇ。今から谷村君を探すわけにもいかないし」

番組P「765プロさん! 待ってましたよ!」

あずさ「あら、プロデューサーさん」

P「貴方、765の新しいプロデューサーですか?」

秋山「まぁ、そんなところですね」

P「えっと、何で手錠しているんですか? そう言うプレイ?」

秋山「あっ、これ今流行のワッパダイエットって奴? 信じないよね、うん。分かってた」

P「つまり、手錠が外れなくて困ってる、と」

あずさ「そうなんです。私があっちこっちフラフラするから、仕方なしだったんですけど」

秋山「こうなるのなら素直にタクシー使っときゃよかったな」

153: 2013/01/06(日) 00:30:56.87 ID:Nj6DgTYX0
P「困りましたね。今回のお仕事はカラオケ大会なんですけど、あずささんはある方とデュエットをする手はずになっていたんですよ」

秋山「有る方?」

P「大御所芸人ヤングマサヤって言うんですけど」

秋山「あー、その人なら分かるよ。毒舌で有名な人でしょ?」

P「ステージにその状態で上がられたら、プロデューサーさんが目立っちゃうんですよね。ヤング師匠、かなり自己顕示欲の強い人何で、機嫌損ねてしまいそうだ」

秋山「それ以前に俺がステージに上がっちゃって言い訳?」

P「まぁこういうアクシデントなら大歓迎ですよ。番組としても、あずささんとしてもおいしいと思いますし。だけどヤング師匠がどう思うか……」

秋山「それは困ったな。ヤング師匠に説明しに行くか」

P「あー、それなんですけど。ヤング師匠、まだ来てないんですね」

秋山「へ? 大御所出勤?」

P「時間には厳しい人何で、連絡も無しに遅れるなんてことは有り得ないと思うんですが。ちょっと電話してみます」

あずさ「秋山さん、どうしましょう?」

秋山「チェーンソーでもあれば切れるかもしれないけど、怖いよね」

154: 2013/01/06(日) 00:40:24.90 ID:V2rWHCX80
P「困りましたね。今回のお仕事はカラオケ大会なんですけど、あずささんはある方とデュエットをする手はずになっていたんですよ」

秋山「有る方?」

P「大御所芸人バズーカ山寺って言うんですけど」

秋山「あー、その人なら分かるよ。マシンガントークで有名な人でしょ?」

P「ステージにその状態で上がられたら、プロデューサーさんが目立っちゃうんですよね。バズーカ師匠、かなり自己顕示欲の強い人何で、機嫌損ねてしまいそうだ」

秋山「それ以前に俺がステージに上がっちゃって言い訳?」

P「まぁこういうアクシデントなら大歓迎ですよ。番組としても、あずささんとしてもおいしいと思いますし。だけどバズーカ師匠がどう思うか……」

秋山「それは困ったな。バズーカ師匠に説明しに行くか」

P「あー、それなんですけど。バズーカ師匠、まだ来てないんですね」

秋山「へ? 大御所出勤?」

P「時間には厳しい人何で、連絡も無しに遅れるなんてことは有り得ないと思うんですが。ちょっと電話してみます」

あずさ「秋山さん、どうしましょう?」

秋山「チェーンソーでもあれば切れるかもしれないけど、怖いよね」

155: 2013/01/06(日) 00:41:39.76 ID:V2rWHCX80
P「あっ、バズーカ師匠!? どうされたんですか、連絡も無しに……。へ? 甘美な塩? なんですかそれ。あっ、切れちゃった」

秋山「どうだった?」

P「いや、出たのは出たんですけど、『甘美な塩』とか言って切れちゃって……。塩は辛いのに、何を言っていたんだろう」

あずさ「風邪でも引かれたのかしら?」

秋山「甘美な塩……、甘美な氏を?」

P「はぁ、困ったなぁ。今からプログラムを変えるわけにも……」

秋山「ん? 俺の顔に何かついてる?」

P「そうだ! プロデューサーさん! 貴方バズーカ師匠の代わりに番組に出てくれませんか!?」

秋山「ええ!? 俺が?」

P「そうですね、覆面でも被ればバレませんよ!」

秋山「いくらなんでもそれは無理でしょ!」

あずさ「でも秋山さん、どことなくバズーカ山寺さんに声が似ているような……」

157: 2013/01/06(日) 00:46:17.85 ID:qHDIg5dX0
P「秋山さん! 一度この言葉読んでください!」

秋山「ええ? えっと、」

秋山『おーはー!』

あずさ「……!」

P「す、凄い! まんまバズーカ師匠だ! 慎○ママのそれとは違う!」

秋山「ちょっと待ってよ! 声が似ているのは良く分かった、今度キャバでの話題にさせて貰うよ。でもデュエットだなんて、俺あずさちゃんと歌ったことないよ?」

P「大丈夫です! なんとかなります! そうとなったら覆面を探してこないと……」

秋山「あっ、ちょ! 言ってしまった」

あずさ「秋山さん、どうしましょう……」

秋山(はぁ、なる様にしかならないか。後は野となれ山となれ、か)

P「すみません秋山さん! それじゃこのマスク被ってください!」

ドラゴンマスクを手に入れた

158: 2013/01/06(日) 01:11:08.56 ID:J560VbSz0
                   芸能界カラオケ王決定戦

藤森似の司会者「皆様ご機嫌いかがでSHOWタ~イム! 司会のドルチェ神谷です!」

ドルチェ神谷「まずはこの番組のルールをチャチャっとご説明しちゃいましょう!」

ドルチェ神谷「この番組では芸能界の歌自慢達が、カラオケで勝負をつけるといういたってシンプルなガチンコバトル」

ドルチェ神谷「会場の皆様と審査員の方には、のど自慢の芸能人たちのカラオケパフォーマンスをジャッジしてもらいます! それでは審査員の紹介をしちゃいまSHOWタイム!」

ドルチェ神谷「結成以来飛ぶ鳥を落とす勢いで人気急上昇中T-SET!」

まい&あずさ『こんにちわー!』

ドルチェ神谷「最近CDデビューも果たした巷で話題沸騰中の人気シェフタツヤ!」

タツヤ「どうも」

ドルチェ神谷「オバサマ達は彼の笑顔にメロメロ! 韓流スターイ・リュウジョン!」

イ「アナタガチュキダカラー!」

ドルチェ神谷「美しすぎる体操選手田中○恵!」

田中「よろしくお願いします!」

ドルチェ神谷「アンパ○マンのメロ○パンちゃんでお馴染み、かな○みか!」

かな○「よろしくねー」

秋山(田中理○……、か○いみか……、うっ、頭が)

あずさ「?」


159: 2013/01/06(日) 01:23:09.33 ID:sYMGR6wP0
ドルチェ「ちょい悪親父? いやいやごく悪親父だ! 狂剣楽団ボーカル、クレイジー横山!」

横山「イーネ!」

ドルチェ「そして最後に! 日本の生んだスーパーロックスター! ヒムロックだー!」

ヒムロック「MAD city...」

ドルチェ「審査員の紹介も終わったところで、お次はのど自慢たちの入場だー!」

あずさ「行きましょう、秋山さん。いや、バズーカ山寺さん」

秋山「あ、ああ。そうだね」

参加者A(なんでバズーカ師匠覆面被っているんだだろ)

参加者B(てか何で手錠掛けてるんだ?)

うらら「ここで一気にメジャーに行くわよ!」

参加者C(誰だよ柳原加○子擬き連れて来たの……)

アヤ=スタイル「つーかこれからっしょ!」

参加者D(何でこの人水着を逆に着ているんだろ)

ドルチェ神谷「それではカラオケバトルスタート!」

160: 2013/01/06(日) 01:29:58.99 ID:sYMGR6wP0
ドルチェ神谷「アヤ=スタイルさんありがとうございました! お次は、なんと異色の組み合わせ! 泣く子も笑う大御所バズーカ山寺さんと、まさかまさかの新人さん! 三浦あずささんのユニットだー!」

あずさ「よろしくお願いいたしますね~」

秋山「……」

ドルチェ「あれ、バズーカ師匠。どうされたんですか?」

秋山(バズーカ師匠っぽいこと言わなきゃな)

秋山「お、おーはー!」

ドルチェ「ば、バズーカ師匠?」

あずさ「あきや、バズーカさん!」

秋山「あっ、うん。頑張るよ、うん」

秋山(却って変な空気になってしまった。こりゃ後でバズーカ師匠に怒られちまうな)

ドルチェ「バズーカ師匠も気合十分のようですね! 一緒に歌う三浦あずささんは新人アイドルとのことですが、意気込みをどうぞ」

あずさ「このような機会に呼んでくださりありがとうございます」

ドルチェ「落ち着いてますねぇ。それでは行ってみましょう! バズーカ山寺と三浦あずさで、神室純恋歌」

秋山(この曲は……十八番だ!)

162: 2013/01/06(日) 01:40:32.00 ID:Nj6DgTYX0
秋山「嗚呼信じない~嬢(おんな)は裏がある~今夜も~バラ撒く~指名の数の愛情」

あずさ「遊びでしょ~信じない~客(おとこ)は気まぐれね~」

参加者A(え? 滅茶苦茶うまくね?)

参加者B(バズーカ師匠は言わずもがなだけど、あの手錠で繋がれたパイオツカイデーなねーちゃんもかなり上手いぞ)

うらら(私の方が上手いわよ!)

アヤ(あれ、持ち歌とられた?)

秋山&あずさ『だけどなぜだろうこの人だけは違うそう思えた』

秋山&あずさ『ネオン街が2人照らす 運命さえ信じられる』

あずさ「建前」

秋山「本気さ」

あずさ「でまかせ」

秋山「じゃない」

秋山&あずさ『恋は止まらない』

163: 2013/01/06(日) 01:50:55.21 ID:0sztzRSx0
秋山&あずさ『時に笑い時に迷い時に悩み共に紡ぐ』

あずさ「あなたと~」

秋山「お~前の~」

秋山&あずさ『神室町 恋のストーリー』

秋山「俺の心に咲いた一輪の、お前と言う名の雪月花 ネオン眩しい神室町 2人紡いだこの歌を神室純恋歌と名付けよう」

ちゃちゃちゃん

横山「イーネ! イーネ!!」

ドルチェ「いやぁ素晴らしいステージをありがとうございます! わたくし、感動のあまり気の利いたコメントも出来ません! いやぁ素晴らしいデュエットでした!」

秋山「気持ちよく歌えましたね。彼女の歌声の伸びが凄いものだから、負けじとがんばっちゃったよ」

あずさ「ええ、こんなに歌えたのは初めてでした。バズーカさんに負けないように歌ったからでしょうか?」

ドルチェ「デュエットとは歌い手同士の闘いなんですね! 審査員のタツヤさん、コメント有りますか?」

タツヤ「そうですね、耳の中で甘くとろけてコクが出ると言いますか、聞けば聞くほど好きになりそうなスルメ曲ですね。新作のアイデアが出来たぞー!」

ドルチェ「ありがとうございます! それでは運命の採点、スタート!!」

164: 2013/01/06(日) 02:01:45.42 ID:sYMGR6wP0
P「いやぁ秋山さん! 凄いじゃないですか! 見事1位、おめでとうございます!」

秋山「いや、俺じゃなくてあずさちゃんのおかげだよ」

あずさ「そんな。秋山さんの方が凄かったですよ。まるで本物の歌手みたいでした」

秋山「カラオケは結構行くからね。ストレス発散とトロフィー獲得には必要不可欠なのさ」

あずさ「トロフィー?」

秋山「いや、こっちの話ね」

P「これ、今回のギャラです。秋山さん、あずささん。またお願いするかもしれませんが、その時はよろしくお願いしますね」

秋山「その前に、バズーカ師匠を探しなよ?」

P「ええ、そうですね。それではまた」

あずさ「あの、秋山さん。今からお忙しかったりしますか?」

秋山「まぁ事務所に人待たせてるかな」

あずさ「それでは、帰りながら話しませんか?」

秋山「話? それは良いけど……、あれ、谷村君か?」

165: 2013/01/06(日) 02:08:44.81 ID:SUd+xacf0
秋山「おーい! 谷村君! さっき君に手錠借りたけど、鍵貰って無くてさ……」

??「谷村? 人違いじゃないですか?」

秋山「人違い? いや、谷村君でしょ。君みたいな色男、そう忘れないよ?」

??「いや谷村じゃありませんって」

あずさ「この人、さっきと服が違いますね」

秋山「それじゃあ何、谷村君のそっくりさん?」

カイト君「あのね、俺は甲斐なの。警視庁特命係の甲斐亨。なに、手錠の鍵が無いって? ちょっと待ってな。ほい、これ開くんじゃないの?」

あずさ「あっ、手錠が外れました!」

秋山「おっ、助かったよ。サンキュね」

カイト君「どういたしまして」

紳士的な声「カイト君、どうかしましたか?」

カイト君「いえ、今行きます! それじゃ!」

166: 2013/01/06(日) 02:29:37.06 ID:Dizcs2c+0
秋山「そっくりさんでどちらも警察、ねぇ」

あずさ「凄い偶然もあるんですね」

秋山「まぁ世の中はある意味運命的な偶然の連鎖だよ? 今こうやって手を繋いで歩いているのも、偶然の産物じゃない?」

あずさ「その、すみません」

秋山「良いって良いって! さすがに手錠はもうコリゴリだな」

秋山「で、あずさちゃん。話って、何かな?」

あずさ「あっ、そうでしたね。秋山さんは、運命の人って信じますか?」

秋山「運命の人?」

あずさ「はい。この人と一生添い遂げる、ずっと歩んでいくと思える――そんな人です」

秋山「あずさちゃんは、その人を探しているんだっけ?」

あずさ「はい。やっぱり、変でしょうか?」

秋山「思わないよ。あずさちゃんはその夢を叶えるためにアイドルを頑張っているんでしょ? なら誇ってもいいぐらいじゃない?」

167: 2013/01/06(日) 02:47:56.05 ID:Dizcs2c+0
秋山「夢ってさ、その人にとって一番の価値になるものだと思うんだよね。自分の行動の礎になり、叶えるために必氏になる。あずさちゃんの夢は、君1人だけで叶えなければいけないから、凄く大変だと思うけどね」

あずさ「でも、時々本当に運命なんかあるのかな、って思っちゃうんです。私の友達なんですけど、最近離婚しちゃって。結婚するときは運命の人を見つけただなんて言っていたのに、結局合わなかったんですって」

秋山「男と女ってのは、気移りしやすいもんだからね。運命と思い込んでいただけだったんだろうな。あずさちゃんはそれを聞いて心配になったとか?」

あずさ「20歳を過ぎて可笑しなことをって思うかもしれませんけど、少し揺らいじゃいました」

秋山「そうねぇ。運命、か。あずさちゃん、この町にどれだけの人いると思う?」

あずさ「え?」

秋山「まぁ正確に数えたことはないけど、人口は2000人超。だけど繁華街だからさ、実際はそれ以上いると思う。ブラックなこと言うと、戸籍のない人たちもいたりするぐらいだし」

秋山「その2000人の内、同じ苗字の人間って何人いるんだろうね。偶然でもさ、同じ苗字の人がいたら少し嬉しくない?」

あずさ「あの、秋山さん?」

秋山「あずさちゃんに対するテストだよ。今から1時間で、この町に住む人の中から同じ苗字の人を探す。言わば苗字神経衰弱ってとこだな」

あずさ「苗字神経衰弱?」

169: 2013/01/06(日) 02:55:07.13 ID:Dizcs2c+0
秋山「ルールは簡単。えっと、そこのお嬢ちゃん!」

?「? なんですか?」

秋山「えーと、怪しいものじゃないんだけどさ。君の苗字を教えてくれる?」

桜井「は? 苗字? 桜井ですけど」

秋山「桜井さん、ね。了解」

あずさ「秋山さん?」

秋山「それじゃあ今から1時間で、桜井さんを探せるだけ探してきな」

桜井「あの、全然話が読めないんだけど」

あずさ「つまり、神室町から桜井さんを探すってことで良いんですか?」

秋山「そういうこと。コンビニの店員でもいいし、その辺のチンピラでもいい。その人の苗字が分かる物を写メって来るんだ」

あずさ「はぁ……」

秋山「で勝利条件だけど、俺も別の苗字を探すから、それより多く見つけたらあずさちゃんの勝ち、ね。あー、そこのお嬢さん! ちょっと良いかな」

170: 2013/01/06(日) 03:00:24.52 ID:Dizcs2c+0
??「なんだ?」

秋山「悪用はしないから教えて欲しいんだけど、苗字何って言うのかな?」

??「どういうことだ?」

秋山「今窓口調査をしているんだよ。この町にやってくる人の苗字でどれが一番多いかを調べてるの」

??「悪いが私は名乗れる苗字じゃないのでな。他を当たって……」

秋山「ん? 俺の顔になんかついてる?」

??「お前、秋山駿だな」

秋山「へ? なんで俺の名前を知っているの?」

??「成程、これも運命と言うのか。桐生一馬の戦友、疾風の朱雀に出会うとはな。」

秋山「桐生さんを知ってる? あの、どちら様?」

乃亜「亜門、それが私の苗字だ」

秋山「あ、亜門!? 亜門ってあの亜門か?」

乃亜「ふっ、思い出したようだな」

秋山「ってことはなんだ? 俺は今から一時間で亜門一族を探し回らなきゃいけないのか?」

乃亜「何を言っている?」

171: 2013/01/06(日) 03:09:18.99 ID:Dizcs2c+0
秋山「こりゃツイてないねぇ。まぁ仕方ないか。あずさちゃん、君の勝利ボーダーは5だ」

あずさ「桜井さんを、5人ですか?」

秋山「漢字は別に問わない。とにかく『さくらい』さんを5人見つけて写メって来るんだ。時間は1時間、スタート!」

乃亜「おい、待て! 秋山駿!」

あずさ「行っちゃった……」

桜井「えっと、何よこれ?」

あずさ「困ったわねぇ。私ひとりじゃ間違いなく迷っちゃうわ」

桜井「私、帰っていいわよね?」

あずさ「あっ、そうだ。桜井さん」

桜井「ゲッ! な、何でしょうか?」

あずさ「桜井さんって、神室町に詳しい?」

桜井「ええ、それなりには」

あずさ「良かった。差し出がましいようで恐縮なんですけど、私が道に迷わないように手を繋いでいてくれるかしら?」

桜井「は?」

172: 2013/01/06(日) 03:15:17.21 ID:Dizcs2c+0
あずさ「今から1時間で『さくらい』さんを5人見つけなくちゃいけないのよ」

桜井「それは知ってます。1人でしたら良いじゃないの」

あずさ「でも私方向音痴で……」

桜井「私にナビゲートしろって言いたいんですか? はぁ、あいにく私もそこまで暇じゃ……」

桜井(こいつ初対面の年下女子になんてことを頼むのよ。無視よ無視)

あずさ「だめ、かしら?」

桜井「グッ……」

桜井(あぁ! そんな顔されたら断りにくいでしょうが! でもホテル街に迷い込んで痛い目に合うのは流石に可哀想よね)

桜井「はぁ、分かりました。『さくらい』さんを探せばいいんでしょ?」

あずさ「ありがとうね、桜井……えっと、お名前を聞いてなかったわね」

桜井「私の名前? そういや言ってませんでしたね」

夢子「夢子、桜井夢子です」

デンデン フリーアイドル 桜井夢子

175: 2013/01/07(月) 13:45:51.56 ID:iARAaXpW0
夢子(私の名前はフリーアイドル桜井夢子)

夢子(レッスンのために神室町に来ていた帰り、秋山と名乗る胡散臭いおっさんに呼び止められた)

夢子(何でも今から私と同じ苗字、『さくらい』さんを神室町で5人見つけないといけないらしい)

夢子(番組か何かの企画かと思ったけど、カメラもないからそれは違うだろう)

夢子(面倒なことに巻き込まれるのは嫌だったけど、なりゆきで三浦あずさと言うアイドルと一緒に『さくらいさん』を探す羽目になってしまった)

夢子(探し始めて20分。見つけたさくらいさんは、1人。コンビニの店員だ)

夢子(残り40分で4人見つけなくちゃいけない。そんなこと、出来るのかしら?)

夢子(それと……)

あずさ「さくらいさん、さくらいさんはいないですか~?」

夢子「ちょ、ちょっと! そっちは亜細亜街! 言葉が通じないわよ!」

夢子(この三浦あずさと言う女、どうにも抜けている。一瞬でも目を離すとどこかにワープしているし……、さっさと帰ってレッスンしたいのに、ツイてないわ)

あずさ「あのー、さくらいさんでしょうか? え? 芭月さん? ごめんなさい、知り合いのさくらいさんに似ていたもので……」

夢子(後シェンムー3いつ出るんだろ)

176: 2013/01/07(月) 13:52:54.70 ID:s1h3Kbvt0
あずさ「困ったわね、さくらいさんが見つからないわ」

夢子「当然です。こんな馬鹿広い町でそう都合よく見つかるわけないに決まってるわ」

あずさ「でも後30分で見つけないと……」

夢子「1つ聞いていいですか? どうして探しているんです?」

あずさ「うーん、実はこれテストなのよ」

夢子「は? テスト?」

あずさ「ええ、信じて貰えるか分からないけど、私がアイドルとして夢を叶えることが出来るかを試しているんだって」

夢子「これが?」

あずさ「学校に行こう! って番組に似たようなのが有った気がするけど、なんだったかしらね?」

夢子「いやいや、これ明らかに遊ばれているでしょ! あの秋山とかいうおっさんに」

あずさ「そうかしら?」

夢子「そうに決まってます! そんなのに私を巻き込まないでください!」


177: 2013/01/07(月) 13:59:13.93 ID:s1h3Kbvt0
あずさ「うーん、でも秋山さんのことだから何か考えがあると思うのよね」

夢子「はぁ、まぁあなたがそう言うなら文句は言いませんけど」

夢子(つくづく私もお人好しよね)

あずさ「あの人、さくらいさんっぽいわね」

夢子「っぽいってなんですか」

あずさ「あのー、すみません。さくらいさんですか?」

桜井莉菜「へ? なんで知っとるん?」

夢子(ビンゴかよ!)

あずさ「あのー、お手数ですけど、名前が分かるものってありますか?」

莉菜「なんなん? 新興宗教か何か?」

あずさ「あっ、そう言うのじゃないんです。少し街頭調査をしてまして」

莉菜「ふーん、大変そうやなぁ。じゃあこれでええか? 名刺やけど」

夢子(この人キャバ嬢なのね)

あずさ「ありがとうございます」

莉菜「それあったら指名できるからなー! ってそろそろ出勤の時間や! ほな!」

178: 2013/01/07(月) 14:11:14.81 ID:kEvOnwsr0
あずさ「調子が出てきたかしら? この調子で探しましょう」

夢子「はいはい……。ってだからそっちは違いますって! ピンク通りに行っちゃダメ!」

あずさ「あらあら~」

夢子(フラフラと歩きまわって……。これじゃあ私の方が大人じゃないの?)

夢子「……もう帰ってもバレないわよね」

あずさ「さくらいさーん、さくらいさーん!」

夢子「第一さくらいを5人見つけるだけでトップアイドルになれるのなら、私だってとっくにやってるわよ! まっ、あの調子じゃ大したアイドルでもないんでしょうけ」

夢子「いたっ! ちょっと、どこに目を」

頭の悪そうなチンピラ「おぉ、姉ちゃん。どこ見て歩いとんや」

夢子「ゲッ」

痛がるチンピラ「痛いよー! 痛いよー! 頭が複雑骨折しちゃったよー!」

頭の悪そうなチンピラ「おいこら姉ちゃん! こいつはのう、東大受験目指してがんばっとってんぞ! 頭が複雑骨折したら受験できんやろうが!」

179: 2013/01/07(月) 14:19:08.75 ID:HmSQ8FPt0
夢子「って頭が複雑骨折ってどんなのよ……」

痛がるチンピラ「痛いよー痛いよー! 頭が痛すぎてお尻が割れちゃうよー」

夢子「元々でしょ!」

頭の悪そうなチンピラ「何!? それはえらいこっちゃ! 姉ちゃんこの落とし前どうつけてくれるねん!」

夢子「は、はぁ!? 因縁吹っかけてきたのそっちじゃない!」

頭の悪そうなチンピラ「姉ちゃん、いい度胸しとるのぉ。ワシらを誰やと思っとるんや。見てみぃ! この代紋!」

夢子「と、東城会!?」

夢子(東城会って確か……関東最大の極道組織!?)

頭の悪そうなチンピラ「そうや。姉ちゃん、あんま極道なめとったらあかんで?」

痛がるチンピラ「痛いよー! この女をソープに落としたら痛みも消えるよー!」

頭の悪そうなチンピラ「よう見たら姉ちゃん、中々可愛いやないけ。それで勘弁したるわ」

夢子(ソ、ソープ……!? ウソでしょ!?)

180: 2013/01/07(月) 14:34:21.40 ID:+ERwQ8A40
夢子「ひ、ひぃ誰か助けて!」

チンピラ「その体でしっかり賠償せーや!」

???「あ、あのー」

チンピラ「何や!」

夢子「あ、あんたは」

あずさ「その子、離してくれませんか?」

チンピラ「あぁ? 何言ってるんや」

あずさ「その子、私の妹なんです。もし彼女が何かしたのなら謝ります。だから、これ以上は勘弁してもらえないでしょうか?」

チンピラ「妹やぁ? 知ったこっちゃないわ! おい、お前ら! この女も連れて行くで!」

チンピラーズ「ぐへへへへ」

夢子「ど、どうして来たのよ! あんたまでピンチじゃない! テストはどうしたのよ!」

あずさ「夢子ちゃんを見捨てることなんかできないわ。夢子ちゃんにも、夢があるんでしょ? 私は夢子ちゃんにもその夢、叶えて欲しいもの。テストは、ううん。私に頑張りが足りなかっただけだから」

181: 2013/01/07(月) 14:54:10.40 ID:ykBS2/rz0
夢子(この人、本物の馬鹿よ! 私なんて放っておいて夢を叶えればいいのに!)

チンピラーズ「マシンガンキッスでジャスフォーリンラーブ!」

夢子「きゃあああ!」

??「あのー、君たち。何をしているのかな?」

チンピラ「あぁ? 誰やおっさん!」

??「おっさんって酷いなぁ。まだ37歳だよ? で、何をしているかって聞いているんだけど」

チンピラ「十分おっさんじゃねえか!」

??「大人数でナンパとは感心しないなぁ」

チンピラ「んだとゴルァ! 極道舐めてんじゃねーぞ!」

??「え? 極道? チーマーの間違いじゃなくて?」

チンピラ「この代紋見ろや! 東城会やぞ! まさか知らんとは言わせんぞ?」

??「あー、うん。あれだね、堂島君も大変そうだなぁ」

夢子(誰よこのくたびれた大男は)

あずさ(この顔、どこかで見たことあるような無いような)

183: 2013/01/07(月) 15:05:41.29 ID:NjeHZuFg0
??「そもそもさ、極道がそう簡単に代紋見せびらかすのって駄目なんじゃないの?」

チンピラ「あぁ!? 変なこと言ってるとぶっ頃すぞ! おい、お前ら! こいつからやっちまえ!」

チンピラーズ「ウス!」

??「あんまり荒っぽいことは好きじゃないんだけどなぁ。オラッ!」

チンピラ「あだっ!」

??「よっと! しゃちほこの極み!」

チンピラ「ぐわぁ!」

??「俺流・引き回しの極み!」

痛がるチンピラ「痛い痛い! 顔削れる!」

あずさ「夢子ちゃん、今のうちに逃げましょう」

夢子「ちょ、待ちなさいよ!」

チンピラ「逃がすな! 追げぇ!!」

秋山「よっと。随分派手にやってるじゃないの、品田」

品田「秋山さん! ちょうどいいや、とっととここ片付けちゃいましょう!」

秋山「そうしますか! シャア!」

184: 2013/01/07(月) 15:10:24.70 ID:NjeHZuFg0
チンピラ「つ、強い……」

品田「おたくらラッキーだったよ。もしこれが俺じゃなくて桐生さんとか冴島さんだったら、間違いなく命が無いよ」

秋山「あぁ、あの人たち加減ってものを知らないからなぁ」

チンピラ「て、てめえら何者なんだよ……」

品田「通りすがりの風俗ライターと」

秋山「通りすがりの金貸しだ!」

チンピラーズ「すんませんでしたー!!」

品田「やれやれ、堂島君も新人研修には手こずってるんですかね」

秋山「全く、東城会は人騒がせな連中ばっかだよ」

品田「で、秋山さん。1つ聞きたいんですけど」

秋山「何?」

品田「何で亜門一族が一緒にいるんですか?」

秋山「あー、そういや時間か。あずさちゃんを呼び戻さないと」

185: 2013/01/07(月) 15:14:10.31 ID:MwtStXPj0
あずさ「あの、秋山さん……」

秋山「それじゃ、テストの結果発表といきますか。ボーダーラインは5人だったよね。俺は4人、亜門と言う名字の人間を連れて来たぞ」

品田「良く付いて来てくれましたね」

秋山「まぁ肉体言語でね。で、あずさちゃん。そっちは?」

あずさ「えっと、実は……」

秋山「ん?」

あずさ「2人、なんです」

秋山「2人、ねぇ。それじゃあこの勝負は、俺のか」

夢子「ちょっと待ちなさいよ!」

秋山「ち?」

夢子「この人、私を助けてくれたのよ。自分のテストをほっぽり出してね」

あずさ「夢子ちゃん?」

186: 2013/01/07(月) 15:36:03.15 ID:l26IWz680
秋山「それで、テストをこなせなかった、と」

夢子「そうよ! そもそもこんなテストに意味が有るか分からないし……、私が勝手なことをしなければこの人は! あずささんは……、私に夢を叶えて欲しいって自分の夢を犠牲にしようとしたのよ!」

秋山「……」

夢子「だからもう一度! あずささんにチャンスを与えて欲しいのよ! この人にも、夢を叶えて欲しいのよ!」

品田「秋山さん、俺からもお願いします。一体何の話か分かりませんけど、彼女……、あずさちゃんの目はまだ氏んでいませんよ」

秋山「再テスト、か。いやその必要はないよ」

あずさ「え?」

秋山「あずさちゃんは運命の人を見つけるためにアイドルになったんだよね」

夢子「う、運命の人?」

秋山「そっ。でも運命の人ってさ、一口に行っても色々有るんだよ。夫婦となって一生を添い遂げる人、共に企業を作って成功するパートナー、夢を叶えてくれた人もね」

あずさ「夢を叶えてくれた人……」

秋山「このテストは切っ掛けなんだ。だから同じ苗字の人間じゃなくても成り立った。同じ仕事をしている人、同じ誕生日の人、同じ町に生まれた人。それらの人に出会うのも、ある種の運命だよね」

187: 2013/01/07(月) 15:41:13.44 ID:l26IWz680
あずさ「運命……」

秋山「自分の人生を左右する存在に出会えるかどうか、俺達はそれを毎日繰り返しているわけだ。その人がもたらす運命が、良いか悪いかは別としてね」

品田「まっ、間違ってませんね。俺に取ったら、監督やみるくちゃん、堂島君になるのかな」

秋山「それに、あずさちゃん。どうやら君は、彼女にとっての運命の人になってしまったみたいだしね」

あずさ「え?」

夢子「わ、私!?」

秋山「だってあずさちゃんが来なきゃ、君は今頃泡風呂だよ?」

夢子「そ、そうかもしれないけど……、ってそうなったのもあんたが私を指名したからでしょうが!」

秋山「そうだったけな?」

夢子「誤魔化すな!」

秋山「ごめんごめん。でも無事で何よりだ」

188: 2013/01/07(月) 15:47:23.42 ID:l26IWz680
秋山「本当ならさくらいさんを5人見つけて来れればよかったけど、それ以上の収穫が有ったみたいだし、あずさちゃん。テストは合格だ」

あずさ「ええ!? 本当ですか?」

夢子「!」

品田「流石秋山さん! 空気が読める! 日本一!」

秋山「褒めても借金は減らないからな、品田」

品田「ですよねー」

あずさ「品田? もしかして、あなたは品田辰雄さん?」

品田「ええ!? あずさちゃん、俺の名前を知っているの?」

あずさ「え、ええ。小学校ぐらいの時、名古屋に行ったときに野球を見たんです。その時ホームランを打っていたバッターさん、ですよね」

品田「ええ、まぁそうなんですよね」

秋山「それなのに今は風俗ライターとは、人生何が起こるか分からないもんだ」

品田「ちょ、秋山さん! 女の子の前でそう言うこと言わないでくださいよ!」

189: 2013/01/07(月) 15:54:34.74 ID:l26IWz680
あずさ「その、私のお父さんなんですけど、品田選手のホームランに勇気づけられた一人なんです。世間はあれを八百長と呼んでいたみたいですけど、お父さんは絶対違うって言っていました。えっと、今日は助けてくださりありがとうございます」

夢子「ありがとう……」

品田「あー、感謝されるのは少し恥ずかしいな。あずさちゃん、夢子ちゃん。俺は自分の夢を一度失いかけた。だけど周囲の人たちの、親友のおかげで取り戻すことが出来た。2人の夢がどんなものか分からないけど、いつでも応援してくれる人はいる。だから、頑張ってね」

秋山「で、お前はこれからどうするんだ?」

品田「さぁね。錦栄の町でもう一度スタートを切りますよ。俺は夢を叶えたんだから、次は誰かの夢を応援したいんです」

秋山「そっか。お前も頑張れよ」

品田「それじゃ秋山さん! またカラオケ行きましょうね。次は勝ってみせますよ」

秋山「おっ、良いね! いつでもチャレンジ待ってるぜ」

あずさ「行っちゃった……」

秋山「さてと、事務所に戻りましょうかね。行きましょう、あずささん」

あずさ「ええ、そうしましょうか」

190: 2013/01/07(月) 16:02:08.09 ID:l26IWz680
夢子「ちょっと待って!」

あずさ「あら?」

秋山「どうしたの? 大声出しちゃって」

夢子「あ、あの! あずささんのこと、お姉さまって呼んでいいですか!?」

あずさ「お姉さま?」

秋山「お、お姉さま!? 君、そう言う趣味の」

夢子「違うわよ! ノンケに決まってるでしょうが!」

あずさ「えーと、私は夢子ちゃんのお姉ちゃんに?」

秋山「多分あずさちゃんが言っているお姉ちゃんと、夢子ちゃんの言うお姉さまは意味が違うと思いますよ」

夢子「私、お姉さまに夢を守ってもらいました。だから今度は、私がお姉さまのために頑張る番です!」

あずさ「えーと、秋山さん。これがいわゆる」

秋山「運命って奴、ですかね?」

あずさ「杯交わした方がいいのかしら?」

秋山「別に良いんじゃないですか?」

夢子「一生お慕いいたします! お姉さま!」

三浦あずさ、テスト合格!

196: 2013/01/09(水) 00:47:22.94 ID:QrMag2P00
秋山「さてと、美希ちゃんと律っちゃんも気になるけど、やよいちゃんたちも待たしているからな。一度事務所に戻るか」

亜美「あっ、アッキーだ!」

真美「またチンピラ狩って来たなー!」

秋山「向こうから寄ってくるんだよ。ほい、戦利品の金の皿。えびすやで売ればちょっとしたお小遣いになるぞ」

亜美真美「「アッキー太っ腹ぁ!」」

やよい「お帰りなさい!」

秋山「ただいま、やよいちゃん。お父さんはいるかな」

やよい「えっと、呼んできますね」

高槻「秋山さん! 待っていましたよ」

秋山「すみませんね、こっちも色々とあったもので。さて、融資の話としましょうか。高槻さんの現在の借金は1000万円。様々な所から借金をしたと聞きましたが、一体どのような使い道だったんですか」

高槻「実は、その……。FXに失敗しまして」

やよい「えーと、えふえっくすってなんですか?」

197: 2013/01/09(水) 00:56:23.77 ID:SHZya2Qd0
亜美「やよいっちそんなことも知らないのー?」

真美「遅れってるー!」

やよい「じゃあどう意味か教えてよ」

亜美「骨折だYO!」

真美「真美たちん家病院だからね! そういう知識には強いのだ!」

やよい「すごーい」

秋山「この場合は違うけどな。外国為替証拠金取引って言って、海外の通貨を売買して、利益を得る取引のことを言うんだ。ドルを円にするって考えていたら良いよ」

やよい「良く分からないです……」

秋山「まぁ結構とっつきにくいイメージがあるから、素人さんは甘い話に食いついてしまうんだな。高槻さんもそうだったんじゃないですか? 大方金を預けた先が倒産して、借金だけが残ってしまったって所じゃない?」

高槻「お、仰る通りです……。シエルトレーディングって所なんですけど」

秋山「あそこまだやっていたのか! 応対した男、佐木って言うやつじゃなかったですか?」

高槻「ど、どうしてそれを」

秋山「昔少しありましてね。今からとっちめに行きますかね」

198: 2013/01/09(水) 01:01:30.96 ID:Sflv2Uuk0
高槻「いや、それは無理です……。もうこの町から逃げたみたいで」

秋山「そいつは困りましたね。まだ奴らがいたのなら力ずくで回収出来たんですけどね」

高槻「高い教科書代だと思っておきます」

秋山「で、そこから膨らむ様に借金と」

高槻「え、ええ……。私のギャンブル癖も悪いんです」

秋山「そこまで分かってるならどうして止めなかったのさ。まぁこう言うのって禁煙みたいなもので、そう止めれるものじゃないけど」

亜美「アッキータバコ吸ってるの?」

真美「早氏にするよ?」

秋山「まさか。結構頑丈な体してるんだよこれでも。高槻さん、あなた仕事は?」

高槻「それが、その。この不況でクビを切られてしまって。こんな年ですし中々雇ってくれるところも無くて」

秋山「あんた現状に甘えているんじゃないのか? やよいちゃんが働いているから自分は探すふりをすればいいって思ってたりしません?」

高槻「そ、そんなわけないでしょ! 失礼なことを言いますね!」

やよい「お父さん落ち着いてよ!」

199: 2013/01/09(水) 01:06:02.45 ID:8IpkiEcO0
秋山「ですが、こちらとしてもやよいちゃんの負担が減ってくれるのなら本望だ。そこで1つ、テストをしましょう」

高槻「テスト!? じゃ、じゃあ合格すれば融資して下さるんですね!」

秋山「ええ、1000万円融資することを約束しましょう。勿論合格出来ればの話ですが。高槻さん、やりますか?」

高槻「やります! やらせてください!」

秋山「そうですね。テスト内容は非常にシンプル、今から3時間以内に仕事を見つけてきてください」

高槻「さ、3時間以内に仕事だと!? 無茶ですよ!」

秋山「そうですか、ならばこのお話は無かったことに」

やよい「お父さん……」

高槻「クッ、やるしかないのか……」

秋山「受けるということで良いんですね。それではここの時計で3時間計ります。その間に仕事に就いて来てください」

秋山「では、スタート!」

やよい「お父さん、頑張って!」

201: 2013/01/09(水) 01:18:57.37 ID:0wsqsnCe0
亜美「ねぇねぇアッキー。本当にやよいっちのパパは合格出来んの?」

真美「やよいっちには悪いけど、あの人からすっごくマダオ臭がするよ」

やよい「そ、それは否定できないです」

真美「それにさー、この時間からじゃお店も閉まってくんじゃないの?」

亜美「無理ゲーじゃね?」

秋山「無理かどうかわからないよ? 人間場所さえ選ばなかったらどんなところでも働けるんだ」

真美「マグロ漁船とか?」

秋山「それも1つの選択肢だ。言ってしまえば『仕事』であれば何でもいいんだよ。バイトでも派遣でも正社員でも。それを彼が受け入れることが出来ればの話だけど」

やよい「大丈夫かな……」

秋山「さてと、だいぶ暇になったな。美希ちゃんたちの様子でも見に行こうかな。そう言えばほかの皆は?」

亜美「はるるん達はミキミキの手伝いに行ってるよ?」

真美「社長は律っちゃんのキャバ嬢姿見に行くんだって」

秋山「高木社長が? 俺としては利益になれば何でもいいけどさ」

202: 2013/01/09(水) 01:25:57.80 ID:0wsqsnCe0
秋山「さてと、高槻さんが戻ってくるまで2人の様子を見に行くかな」

劇場前広場

美希「ふぅ、この辺はあらかた綺麗になったの」

春香「はぁ、これ結構疲れるね」

千早「しかも掃除してもまた捨てられるから埒が明かないわね」

美希「そこはもう良心を信じるしかないと思うな」

秋山「よっ、お疲れさん」

美希「あっ、秋山さん。お疲れ様なの」

春香&千早「「お疲れ様です」」

秋山「ほう、案外綺麗になるもんじゃないか。感心感心」

美希「美希頑張ったんだよ?」

秋山「見たら分かるさ。後一日あるけど、最後まで頑張れよ? そら、差し入れだ」

春香「金麦ですよ、金麦! ってええ!?」

千早「あの、私たちは未成年なんですが」

203: 2013/01/09(水) 01:33:51.46 ID:8IpkiEcO0
秋山「ああ、それはあの人達用だ。こっちこっち」

美希「鮭おにぎりだね! これで釣りをしたらお魚が釣れそうな気がするな」

春香「私達はスタミナンロイヤルかぁ」

千早「ありがとうございます、秋山さん」

秋山「君らもそろそろ帰っていいんだよ? もう遅い、女の子だけじゃ危険だ」

美希「でももう少しゴミ拾っておきたいな」

春香「美希が言うなら手伝うよ」

千早「私もです。いざって時は大声を出して助けを呼びますから」

秋山「そう? それじゃ頑張って! んじゃ俺はこれで」

春香「行っちゃったね」

千早「でも金麦をあんなに買ってどうするつもりなのかしら?」

美希「飲むんじゃないの?」

204: 2013/01/09(水) 01:38:46.27 ID:OGQNFdvA0
春香「でもさ、私たち秋山さんのこと全然知らないよね」

美希「凸ちゃんがやけに睨んでいたけど、何かあったのかな?」

春香「さぁ? 何でだろ。千早ちゃんはテスト受けたんだよね。どんな感じだった?」

千早「真島組って言うヤクザの宴会で歌わされたわ」

春香「ヤ、ヤクザの宴会って……」

美希「秋山さんの知り合い?」

千早「だと思うけど……。あっ、でも案外普通だったわよ。見てくれこそは怖かったけど、歌が好きな気持ちに善も悪もないから」

美希「そういうものなのかな?」

春香「千早ちゃんらしいかな。さてと、ゴミ拾い再開」

美希「ねぇ、春香、千早さん。秋山さんを尾行してみない?」

千早「ええ? 尾行?」

美希「うん。秋山さんはこっちのことなんでも知ってるのに、美希たちが知らないのは不平等だと思うな」

春香「そうかもしれないけど、でもゴミ拾いは?」

205: 2013/01/09(水) 01:45:31.60 ID:ZnsGafeX0
美希「まだ明日もあるよ? 金麦はどこかに持って行くみたいな口ぶりだったし、秋山さんの生態を知る絶好のチャンスなの」

千早「確かに気になるわね。こっそり後を付けてみましょう」

春香「ええ? 千早ちゃんも? じゃあ私も行くしかないよね」

美希「それじゃあ尾行ミッション、スタートなの!」


秋山「よっ、今日も来ましたよ。差し入れです」

ホームレス「ああ、秋山さん! いつも悪いねぇ」

秋山「何、いつもお世話になってますからね」

ホームレス「聞いたよ、秋山さん。何でもアイドルのプロデュースをしているみたいじゃないか」

秋山「流石情報が早い。まぁ興味本位でやってるだけですけどね」


美希「ホームレス?」

千早「なんか意外ね……」

春香「うん、秋山さんって大金持ちだったんじゃなかったっけ?」

206: 2013/01/09(水) 01:48:21.14 ID:tgVQ8S470
ホームレス「お嬢さんたち、こんなところで何をしているんだい?」

美希「わぁ!」

春香「きゃあ!」どんがらがっしゃーん

千早「春香大丈夫!?」

秋山「ん? って君たち何してるの!?」

春香「あ、あははは」

美希「すぐに見つかっちゃったね」

千早「慣れないことはするもんじゃないわね」

秋山「もしかして俺を尾行してたのか?」

春香「ま、まぁそう言うところです」

美希「だって美希たち秋山さんのこと全然知らないんだよ? それってずるいと思うな」

秋山「あー、伊織ちゃん他の子に言っていなかったんだな」

207: 2013/01/09(水) 01:58:46.17 ID:tgVQ8S470
千早「あの、秋山さん。この方々とはいったいどのような御関係で?」

秋山「昔一緒に生活していたんだよ。こう見えて俺、元ホームレスなんだよね」

春香「ええ!?」

美希「信じられないの」

千早「秋山さんがホームレスだったなんて……」

秋山「昔ちょっとあってね。全財産を無くして、神室町でその日暮らしをしていたんだ。彼らはその時にお世話になった顔なじみってとこかな。この町のことならこの人たちは何でも知っててさ、情報を集める時に重宝しているんだよ」

ホームレス「右から春香ちゃん、美希ちゃん、千早ちゃんだね。うちらにかかればバストサイズも下着の色もすぐに分かるよ」

春香「そ、そう言うのは勘弁してください!」

ホームレス「勿論今美希ちゃんがしていることも知っている。神室町中のゴミを拾っているんだろ?」

美希「そこまで知っているんだ……」

ホームレス「だけど秋山さんもひどい人だ。神室町中のゴミなんて到底無理な話じゃないかい?」

秋山「そうですかね? 俺は出来ると思ってますよ、彼女なら」

208: 2013/01/09(水) 02:05:37.52 ID:HwWbWOfF0
美希「ミキね、最初は凄く面倒くさいことだと思ってた。綺麗にしてもごみを捨てる人は減らないし、本当にこれでトップアイドルになれるのか理解できなかったし」

美希「でも町が綺麗になると、何となく嬉しいの。町が輝いているみたいで……、うまく言えないけど、ゴミ拾いもそこまで嫌じゃないよ?」

ホームレス「そうか……。良し、明日ホームレスを全動員してゴミ拾いをさせよう」

秋山「おっ」

美希「え? そんなこと出来るの?」

ホームレス「うちらにとっても住みやすくなるからね。なんだかんだ言って、この町が好きなんだよ」

美希「でも」

秋山「まぁ、美希ちゃんからお願いするのを禁じているだけで、町の人が手伝うのを禁止してないからテストに影響はしないさ。むしろそうでもしないとこの町を綺麗にするなんて不可能さ」

美希「えっと、ホームレスのおじさんたち、ありがとうございますなの」

ホームレス「良いってことよ。さて、今から俺達もやりますか!」

ホームレスズ『おー!!』

美希「春香、千早さん! 美希たちももうひと頑張りしよ?」

春香「そうだね、もう少し付き合いますか」

千早「ええ、そうね」

秋山(これなら明日には上手くいくかな? 律っちゃんのとこ行ってみるか)

211: 2013/01/10(木) 01:11:56.11 ID:TRXPxeLW0
秋山「シャァ!」

チンピラ「ひぃ!」

秋山「ったく、神室町も蒼天堀も治安が悪いったらありゃしない。律っちゃんの様子はどうかな?」

店長「あっ、秋山さん! 彼女凄いですね」

秋山「彼女? 律っちゃんのこと?」

店長「はい。いやぁ、あんな凄い子どこから連れてきたんですか」

秋山「ちょっと待って。俺がいない間に何かあった?」

店長「あっ、それなんですけど……」

??「キャバ嬢のプロデュースってのもなかなか楽しいじゃないですか、秋山さん」

秋山「律っちゃん?」

律子「ええ、どこかの誰かさんの気まぐれのせいでキャバ嬢になってしまった律子です!」

店長「ナオミちゃん!」

秋山「へ? ナオミ?」

212: 2013/01/10(木) 01:18:09.21 ID:FnACwqtg0
律子「源氏名です! 流石に律子のままやるわけにいかないでしょ。これでも一応元アイドルなんですし、キャバで働いているとマスコミに嗅ぎつけられたら色々厄介ですからね」

秋山「そう言えば決めてなかったね」

律子「まぁ、キャバ嬢と言うのもなかなか興味深いですけどね」

高木「律子くーん、どこかねー?」

秋山「高木社長?」

律子「今戻りまーす! 社長、お客さんとして来てるんですよ。それじゃあ後で」

秋山「へぇ、なかなか様になってるじゃんか。髪をほどいた方がセクシーだ」

店長「ええ、トークの技術も高いので、お客さんたちの受けも良いんですよ」

秋山「今の売り上げはいくらぐらい?」

店長「えっと、ナオミちゃんの2日間の売り上げは……180万円ですね」

秋山「おっ、やるじゃない。明日もうひと頑張りすれば合格ってとこかな」

店長「それなんですけど……」

秋山「ん? どうかした?」

213: 2013/01/10(木) 01:25:31.51 ID:zNxC3gS50
店長「ナオミちゃんとしての売り上げは180万円なんですけど、彼女が指導したキャストの売り上げも合わせると、500万を超えているんですよ」

秋山「指導? 律っちゃんが?」

店長「ええ、はい。最初は普通に接客していたんですけど、今日の開店前に何人かキャストをピックアップしてプロデュースしたいと」

秋山「プロデュースねぇ」

店長「是非やらしてくださいっていうもんだから、少しの間お願いしたんです。そしたら」

秋山「他のキャストの売り上げも上がったってわけね」

店長「そうなんです。ナオミちゃん昨日の接客中にキャストの観察をしていたみたいで、各々の課題をまとめて来たんです」

秋山(流石律っちゃんと言うべきか? 俺としては、客の動向を掴んでほしいんだけどな)

秋山「さてと、それじゃあ俺も楽しませてもらおうかな。ナオミちゃん指名で!」

店長「ナオミちゃん指名入りましたー!」

律子「はーい、ナオミでーす……ってなんだ、秋山さんか」

秋山「なんだとは酷いなぁ。今の俺は客だぜ?」

律子「オーナーが何接客してもらおうと考えているんですか」

214: 2013/01/10(木) 01:31:53.27 ID:F5ZtqGfB0
秋山「別に良いでしょ? ここ俺の店だし。そうそう、この接客は別に売り上げには加算しないからね、悪しからず」

律子「じゃあシャンパンタワーで良いですね」

秋山「え? ちょっとま」

律子「シャンパンタワー入りまーす!!」

秋山「参ったねぇ。後で街の掃除でもして金を稼ぐか」

律子「リアルで初めて見たけど、綺麗ですね」

秋山「うちで一番高いんだよ? これ。今回のテストもこれ3回で終わるレベルだし」

律子「秋山さんお金持ってるからいいじゃないですか。あっ、私これ食べたいかも」

秋山「律っちゃん、結構キャバ嬢楽しんでない?」

律子「まさか! 私はあくまでプロデューサー志望ですよーだ」

秋山「アイドルでも十分いけると思うけど」

律子「過大評価です! さぁ、飲みましょう。私はオレンジジュースですけど、乾杯」

秋山「乾杯」

215: 2013/01/10(木) 01:37:38.08 ID:tK1vPg6a0
律子「うーん、彼女は興味のないトークになると口数が減るわね……」

秋山「律っちゃん?」

律子「あっ、ごめんなさい。つい癖で他の子を観察しちゃって。安心してください、お客さんの前ではそんなことしてませんから」

秋山「俺だって客だよ?」

律子「そうでしたねっと。ところで秋山さん、765プロのみんなはどんな感じですか?」

秋山「まぁ良くやってるよ。千早ちゃん、雪歩ちゃん、貴音ちゃん、伊織ちゃん、あずさちゃんは合格、美希ちゃんと律ちゃんは明日結果発表ってとこかな」

律子「他の子のテストは?」

秋山「勿論考えているよ。明日にも受けて貰うつもりだし」

律子「みんな頑張ってるんですね。何の意味が有るか分からないテストを」

秋山「言ってくれるね。俺なりに考えて課題を出してるんだよ?」

律子「とてもそうは見えませんけどね! あっ、呼ばれちゃった……。それじゃ秋山さん、失礼します!」

秋山「んじゃ、頑張って」

秋山(まぁ律っちゃんもなんだかんだ言って楽しそうだからよしとするか。それに、そろそろ3時間経過するしな)

217: 2013/01/10(木) 01:51:01.92 ID:tK1vPg6a0
事務所

小鳥「うーん……」

秋山「小鳥ちゃん、難しい顔してどうしたの?」

小鳥「あっ、秋山さん。いや少し会計的なあれで……。いつもは律子さんがしているんですけど、今キャバクラですから私が帳簿とか管理しているんです」

秋山「ちょっと失礼。ん? このアニマル係数ってのは?」

小鳥「あっ、それですか? それ、響ちゃんのペットの餌代なんですよ」

秋山「ペットの餌代を事務所が負担しているの?」

小鳥「ええ、ですがちょっとばかし負担が大きいので、頭が痛いんですよね。響ちゃんにとって、ペットは家族と一緒何です。それに、精神安定剤的な効果もあるんですよ。沖縄から1人東京にやってきた彼女にとって、彼らの存在は大きんですよ」

秋山「なるほどね。でもそれで自分の首を絞めるのもどうかと思うよ? これ見る限り、おたくらも裕福とは言えない。設備の充実や今よりよいレッスン環境が欲しいなら、真っ先に切るべき部分だと思うけどね」

小鳥「響ちゃんにそれだけの収入が有ればいいんですけど、まだうちの事務所も小さいので仕事が中々入ってこないんです。もしここを切ってしまえば、響ちゃんのメンタルに悪影響を及ぼすでしょうから。社長は問題ないと言ってますけど、律子さんは頭を抱えていますね」

秋山「響ちゃんは今事務所にいる?」

小鳥「秋山さんが帰ってくる前に帰ってしまいましたね」

秋山「仕方ない、それに関しては明日に回すか。そろそろ高槻さんも帰ってくるだろうし」

218: 2013/01/10(木) 02:01:32.49 ID:tK1vPg6a0
やよい「すぅ、すぅ……」

秋山「お疲れってとこかな。こんなところで寝てちゃ風邪ひいちゃうよ?」

やよい「うぅん……、もやし食べ放題で嬉しいです……」

秋山「夢の中ぐらいもっと贅沢すればいいのに。っと時間だな」

高槻「あ、秋山さん……。その……」

秋山「3時間が経ちました。高槻さん、仕事は見つかりましたか?」

高槻「こ、この歳になると雇ってくれるとこも無くて……、それにこんな時間に開いているところなんて……」

秋山「高槻さん、ここは眠らない街神室町ですよ? どこも開いていないなんてことは有り得ない。松屋、ドンキ、わたみん屋。開いているじゃないですか。工事現場だってある、その気になればどこでも働ける、違いますか?」

高槻「うぐっ……」

秋山「高槻さんが以前どのような仕事をしていたかは知りません。今上げた所よりも良い条件で働いていたかもしれません。ですが今、あんたは周囲に甘えているだけだ。年齢が、条件が――。全く贅沢な話だと思いませんか? 世間でブラック企業と呼ばれるようなところでも、働かないと生きていけない人だっているんだ」

高槻「も、もう一度! もう一度チャンスを下さい! 次はちゃんと仕事を……」

219: 2013/01/10(木) 02:08:18.96 ID:F5ZtqGfB0
秋山「厳しいことを言わせてもらうが、次は次はと言っているうちは、また同じ過ちを繰り返すでしょうね。チャンスなんてものはその時にしかない、それをあんたは逃した、それだけだ」

高槻「クソッ! もう良い! あんたからは借りない! そもそもこんなテスト自体おかしいんだ!」

秋山「そうですか、それでは借金返済、頑張ってください」

高槻「失礼させてもらう!」

秋山「あーあ、こりゃもう借りてこないパターンだな」

やよい「ん、んんー。あれ、お父さんは?」

秋山「あー、うん。残念ながら、不合格、かな」

やよい「やっぱりそうでしたか……。あ、あの……」

秋山「ん?」

やよい「い、いえ……。やっぱり何でもないです。秋山さん、さようなら」

秋山「? 気を付けて帰るんだよ」

秋山「ふぅ、今日は色々有り過ぎたな。たまにはクラブセガで遊んで帰るかな」

220: 2013/01/10(木) 02:17:10.25 ID:KVceH7eP0
クラブセガ

秋山「ん? あれは」

貴音「れんだあああああああ!」

秋山(貴音ちゃんが太鼓の達人? なんかシュールな絵だな。真剣にやっているっぽいし、放っておくか)

秋山「ん? なんだかプリサークルのあたりが騒がしいな」

面白がる女子高生「ねぇ今見た?」

はしゃぐ女子高生「見た見た! あれ、やっぱそういう関係の人たちなのかな」

つぶやく女子高生「坊主頭のゴツイおっさんと坊主のイケメンがプリサーに入っていったなうっと」

秋山(坊主頭のゴツイおっさんと坊主のイケメンがプリサー? 面白そうだな、少し覗いてみるか)

小声の女子高生「あっ、出て来た」

坊主頭A「プリサーってのは、楽しいもんやな」

坊主頭B「そうですね、兄貴」

221: 2013/01/10(木) 02:37:15.30 ID:qQvkP3hE0
坊主頭A「良し、次は行きつけの焼肉屋に連れてったる。あそこのホルモンは一級品やぞ」

坊主頭B「冴島の兄貴のお勧めですか、楽しみです」

冴島「よし、行くで馬場ちゃん!」

馬場「はい!」

秋山「……冴島さん達、何しているんだ?」

秋山「流石にあの後でプリサーに入るのは気が引けるな。バーチャファイターでもして帰るかな……。ん?」

紳士な男「これで10戦10勝、まだやりますか?」

いかつい大男「おい、勝っちゃん! このスティックの効きどないなっとんねん!」

紳士な男「台パンはマナー違反ですよ、渡瀬の兄貴」

渡瀬「知らんわアホ! おい兄ちゃん! この機械壊れとんちゃうか!?」

秋山(勝矢に渡瀬!? 東城会のシマで何やっているんだ2人とも……。まぁ、別に危害を加えるわけじゃなさそうだし放っておくか)

秋山「どこに行っても誰かしら知り合いがいるな……。今日はもう帰るか」

222: 2013/01/10(木) 02:41:54.10 ID:wD12gHR80
翌日

秋山「さてと、今日もみんな揃って」

やよい「あっ……」

秋山(昨日の一件が堪えているのか? ああは言ったけど、高槻さんがどうなったかも気になるし、確認しておくか。それと)

響「今日もバンバン頑張るぞ! なっ、ハム蔵!」

ハム蔵「ギュイ!」

秋山「気合入っているとこ悪いけどさ、響ちゃん。ちょっと良いかな? 律っちゃんも一緒にね」

響「へ? 自分何かしたのか?」

律子「どうして私まで?」

秋山「765プロの台所事情は律っちゃんが握っているって聞いてね」

律子「まぁ、そうですけど。会計関係ですか?」

秋山「そっ、この事務所の無駄な支出をなくそうと言う話さ」

223: 2013/01/10(木) 02:50:59.64 ID:wD12gHR80
律子「無駄な支出と言われても一応うちはいっぱいいっぱい……、まさか秋山さん、アニマル係数を?」

響「アニマル係数? なんだそれ?」

秋山「エンゲル係数って知っている? 家計の消費支出に占める飲食費のパーセントのことを言うんだけど、習ってないかな?」

響「それなら分かるけど、アニマル係数って……、もしかしてみんなの飼育費のことか?」

秋山「そういうこと。律っちゃんの造語だけど、今この事務所の支出の内、響ちゃんのところのペッ、家族の皆にあてられている分のお金だよ」

律子「でも秋山さん、私たちはこれも必要経費と思って」

秋山「本当にそう思っている? 俺が経理を担当するなら、まず初めにこの無駄を切るよ」

響「無駄って……、家族のご飯代なんだぞ」

秋山「でもそれは本来君が面倒見るべきことだ。違うかい?」

響「そ、それはそうだけど……。売れたらちゃんと返すぞ!」

秋山「じゃあもし売れなかったら?」

響「そんなことはないもんね! 自分完璧だから……」

秋山「まっ、現状は芳しくないな」

224: 2013/01/10(木) 03:04:40.79 ID:2Ga99h8R0
秋山「売れるか売れないか、それを評価するのは俺達じゃない、ファンになってくれるかもしれない人たちだ。君たちにポテンシャルがあることは認めるけど、それだけで生きていける世界じゃないはず」

秋山「不慮の事故で怪我をしてしまうかもしれない、誰かと結婚してアイドル活動を終わらせてしまうかもしれない。夢半ばで倒れてしまうことだって十分にあるんだ」

響「……分かってるよ、それぐらい」

律子「響……」

秋山「響ちゃん、確認しておくよ。君の夢はトップアイドル、間違いないね」

響「うん。沖縄の皆とも約束したんだ。絶対トップアイドルになって見せるって。そのためなら、自分どんな辛いことも受け入れるって」

響「ねぇ、秋山さん。テスト、有るんんでしょ? 自分、受けるよ」

秋山「話が早い。ちょうど響ちゃんへのテストを用意していたところだからね。ただ、今回のは相当キツイよ? それでも、受けるかい?」

響「なんくるないさー。自分は完璧だから、何が来てもへっちゃらだぞ!」

秋山「そうか。ところで響ちゃん、君が一緒に暮らしている家族のことを教えて欲しいんだけど」

響「家族? ハムスターのハム蔵だろ、蛇のへび香、シマリスのシマ男、オウムのオウ助に犬のいぬ美、ねこのねこ吉、うさぎのウサ江、ワニのワニ子、ぶたのブタ太とモモンガのモモ次郎、あっ沖縄に鶏のコケ麿が……」

225: 2013/01/10(木) 03:08:17.69 ID:cV7PVNH40
秋山「ワニまで飼っているの? 躾とか大変じゃない?」

響「そうでもないぞ! みんな自分の大切な家族だからな! 人に危害を加えないぞ! でもどうしてみんなのことを……」

秋山「いやさ、知り合いが養護施設を経営しててね。犬を飼っているみたいだけど、最近他のペットも欲しいなんて言ってたからさ」

響「秋山、さん?」

律子「まさか……」

秋山「響ちゃん、テストの内容を発表するよ」









秋山「今から2時間以内に家族のみんなとお別れしてきな」

230: 2013/01/11(金) 01:15:38.50 ID:42YxIprs0
律子「ちょっと秋山さん! いくらなんでもそれは酷な話じゃないですか!?」

秋山「そう? きちんと自分で面倒を見れないのなら、誰かに引き渡す。悪いことじゃないと思うけど」

律子「そうじゃなくて! 確かにアニマル係数を削減できれば、うちの経営も幾分か楽になりますよ? だけど、響を苦しめてまでする必要が無いって言ってるんです!」

秋山「それは、随分不平等じゃない?」

響「え?」

秋山「君らはやよいちゃんの借金を肩代わりしているかい? 今高槻家が抱えている借金を無くせば、やよいちゃんの負担も減るし、アイドル活動に良い影響が出る。違う?」

律子「うっ……」

響「……ッ!」

秋山「厳しいことを言ってると思うけどさ、現段階で響ちゃんが家族の皆を養えていないってことが問題なわけ。別に捨てろなんて言っているわけじゃない。養護施設あさがおに引き渡す、それだけだ」

響「あさがお?」

秋山「あー、俺の知り合いが経営している施設ね。沖縄にあるんだけど……、ちょうど良いじゃない。響ちゃんの故郷だ」

231: 2013/01/11(金) 01:22:21.16 ID:UWW+c0nY0
響「秋山さんは知っているの?」

秋山「直接伺ったことはないけど、あの人が面倒見ている子供たちだ。みんなしっかりと教育が行き届いているよ」

響「そっか。じゃあ大丈夫だね」

律子「響、あんた……」

響「ありがとね、律子。自分のために秋山さんに反抗してくれて」

響「秋山さん、自分みんなと別れるよ。正直言って辛いけど、みんなを困らせていたんじゃ本末転倒だもん」

秋山「そっか。なら1つだけ。ハム蔵君、だったっけな? 彼1人ぐらいなら養うのも問題ないはずだ。もちろん、響ちゃんのお金でね」

響「ありがとう、秋山さん。じゃあハム蔵、みんなのところに行こうか。ちゃんとお別れしなきゃね」

ハム蔵「ギュ」

律子「あんな響の顔を見ちゃうなんて……」

秋山「今の彼女に、全てを守るだけの力が無い、それだけだよ」

律子「なんだかんだ言いつつ情に厚い人かと思ってましたけど」

秋山「さっ、どうだろうね? 律ちゃん、君も今日がテスト最終日だ。売り上げ250万、きっちり稼いできなよ?」

232: 2013/01/11(金) 01:29:24.63 ID:U7shnBr+0
神室町

ナァアレミロヨドウブツダイコウシン?
ワニガアルイテルナウ
オイダレカケイサツヨベヨ
ムチャイウナコノマチノケイサツナンテカイテンキュウギョウジョウタイダッテノ
カンビナシヲ・・・


響「こうやってみんなを外に出すのも、久しぶりだな」

ハム蔵「ギュ」

響「なぁ、ハム蔵。自分今までわがままだったのかな? 当たり前のようにみんなの餌を食べて怒らせて、挙句の果てには事務所の食い潰し……」

響「自分、ダメな飼い主なのかな?」

ハム蔵「へけっ!」

響「んなこたぁない? ははっ、そう言ってくれると嬉しいな」

響「じゃあ今からみんなでプリサーを撮る……」

イヌ美「へむへむ!」

響「ちょ、イヌ美!?」

233: 2013/01/11(金) 01:38:04.28 ID:Q/3Ym5hP0
ブタ太「ぶひぃぃぃぃぃぃ!」

ワニ子「ワニー!」

響「ってみんな! どうしたの!? 待ってよー!」

響「はぁ、はぁ……、一体全体どうしたんだ? ん? なんか騒がしい……」

巨大クマ「クマー」

響「え?」

響(で、で、デカっ! ちょっとコイツデカすぎないか!? いやクマって大きいけど、これは規格外だぞ!)

イヌ美「わんっ!」

ねこ吉「にゃん!」

響「え? みんな逃げろって言ってるの?」

ハム蔵「ギュ!」

響「俺達がクマを食い止める……、って無理だよ! いくらみんなでもひとたまりもないぞ!」

234: 2013/01/11(金) 01:42:49.61 ID:Q/3Ym5hP0
巨大クマ「クマー!」

響「ひっ!」

響(だ、ダメだ……。足がすくんで動けないぞ……)

へび香「シャーボック!」

オウ助「ハゼロリアル ハジケロシナプス パニッシュメントディスワールド!」

ワニ子「ワニーワニー!(もぅ怒ったぞ~!)」

響「じ、自分は良いからみんな逃げて! みんなまで氏んじゃうよ!」

ハム蔵「ぎゅいー!」

巨大クマ「クマー!!」

響「いやあああああ!」

??「フンっ!!」

巨大クマ「クマー!?」

235: 2013/01/11(金) 01:49:40.74 ID:OUTuta0n0
響「え? 怪我がない?」

??「おい、大丈夫か?」

響「う、うん……」

??「ならはよ逃げるんや! ここは俺に任しとき。行くでぇ……」

響「ちょ、ちょっと! 素手でクマに挑むなんて……」

??「ウオラァ!!」

巨大クマ「クマー!」

??「ふん、甘いな。俺はお前よりでっかい奴と素手でやりあったことが有るんや! そいやっ!」

響「地面を叩いた?」

巨大クマ「クマッ!!」

響「わぁ!!」

??「おう、大丈夫か嬢ちゃん」

響(い、今地震が起きた、よね?)

236: 2013/01/11(金) 01:54:29.16 ID:OUTuta0n0
運転手「いやぁ、助かりました。車が事故ってしまってコイツが逃げちゃって……」

??「気を付けるんやで」

運転手「これ、少ないけどお礼です」

3万円を手に入れた

響「あ、あのー?」

??「なんや?」

響「その、助けてくれてありがとう……だぞ」

??「ええってことや。しかし嬢ちゃんは変わっとるの。ワニを連れて神室町歩く奴なんて初めて見たわ」

響「そ、そうだよね。やっぱり危ないですよね?」

??「いや、俺は感心しとんや。嬢ちゃんの連れている仲間、嬢ちゃんのピンチに逃げることなく戦おうとしとった。あの大熊相手にな。よほど強い絆で結ばれてないと有り得ん」

響「絆、か……」

??「どうしたんや? 浮かない顔して」

237: 2013/01/11(金) 02:02:30.91 ID:73UJcAwm0
ゴリラガクマヲタオシタナウ
カンビナシヲ・・・
カンビナシヲ・・・
ナンダコイツ! カミツイテ・・・
ケイサツヲヨベー!

響「え?」

??「俺で良かったら話聞いたる。とりあえず動こか。どうも警察は苦手でしゃあないからな」

響「でも皆がはいれる場所って……」

??「ちょうどええ広さのところ知っとんや。そこいこか」

響「う、うん。えっと、おじさん、って呼べばいいのか?」

??「そういや名前名乗って無かったな。俺の名前は」

冴島「冴島大河や。嬢ちゃんの名前は?」

響「我那覇響だぞ」

冴島「我那覇? 沖縄のもんか」

238: 2013/01/11(金) 02:14:41.34 ID:Md79ttiY0
響「そうだぞ! 沖縄は良い所さー。冴島さんも来たらいいぞ」

冴島「昔仕事の関係で25年ほどおったな」

響「へー、結構いたんだね。海はきれいだし、ご飯はおいしいし良い所だよ!」

冴島(それどころやなかったと言うのも気が引けるな。沖縄か……。斉藤はまだやっとんか? 浜崎の兄弟の墓参りにもいかなあかんな)

冴島「ここや。ここなら広いし、響の仲間も置いておけるやろ」

響「曽田地道場?」

冴島「知り合いがやっとんや。俺の頼みなら断らんやろ。邪魔するで」

曽田地「あっ、冴島さんじゃないですか! あれ? そちらの女性は? あっ、まさか冴島さんのこれですか? これ?」

冴島「相変わらずやの。少し邪魔させてもらうで」

曽田地「どうぞどうぞ! 冴島さんの頼みとあればお好きに……」

ワニ子「?」

曽田地「さ、冴島さん? 私の目が節穴じゃなければ、ワニがいるように見えるんですが……」

響「ワニ子は危害を加えないから大丈夫だぞ!」

239: 2013/01/11(金) 02:21:58.95 ID:i9VTFEPi0
曽田地「そ、そうですか……。冴島さんも変わった女性が好みなんですね」

冴島「違う。そこで会っただけや」

曽田地「ナンパですか!? いやぁ、冴島さんも隅に置けませんね」

冴島「違う言うとうやろうが。全く、性質が悪いのは中々治らんな」

響「冴島さんってここのお師匠さんなの?」

冴島「まっ、そんなところやな。で、響。なんかあるんか?」

響「えっ、本当に聞くんだ。初対面の相手なのに」

冴島「なんや寂しそうな顔しとったからな。これでも俺は聞き上手で知られとんや。ほら、話してみ」

響「なーんか変な感じがするぞ。でも助けて貰ったし、甘えちゃおうかな」

響「ねぇ、冴島さんは家族っている?」

冴島「家族?」

響「そう。自分にはあんまーとにぃにぃ、それと動物のみんなが家族なんだ。だから沖縄から1人東京に来ても寂しくなかったんだ」

冴島「家族か。どうりで助けようとしたわけや。信頼されとんやな」

240: 2013/01/11(金) 02:42:22.60 ID:v+rghTAz0
すみません、冴島が沖縄25年ってのは間違いです。東京刑務所で25年、その後沖縄の第弐刑務所に行きました。


響「うん。だけど、みんなと別れなくちゃいけないんだ。今まで餌代を払ってもらってたけど、それを自分で払わなくちゃいけなくて。でも今の自分にそれだけの力もないから、別れなさいって」

冴島「それは辛い話やな」

響「そうしたら自分は1人ぼっちになっちゃう。ハム蔵がいるけど、今まで一緒に暮らしてきた皆がいなくなるって言うのを想像したくないし、認めたくないんだ。家族の絆が切れちゃいそうで」

冴島「そうか……。響、少し俺の話をしたる」

響「え?」

冴島「さっき沖縄におったゆうたやろ? それな、実は沖縄第弐刑務所っつうとこにおってん」

響「えっ? 刑務所? 冴島さんって……」

冴島「どう捉えて貰っても構わん。25年間、俺は氏刑執行の恐怖と戦っとった。そんな俺でも、心の中には待ってくれている家族の姿があった。妹、親父、兄弟。それは切っても切れへん絆や」

冴島「例え遠く離れても、2度と会えなくても、縁ってのは切れへんもんなんや。そこに人だとか動物だとか、違いはない。響の家族は、何があってもバラバラになんかならへん」

響「そっか、そうだよね。そう簡単に家族の絆って切れないよね。みんなのことを信じてやれなかった自分が嫌になるぞ」

冴島「なら今から信じるんや。そんなもん、早いも遅いもあらへんからな」

241: 2013/01/11(金) 02:47:38.93 ID:v+rghTAz0
響「よしっ! 時間もあまりないけど、みんな遊び倒すぞ!」

ハム蔵「ぎゅいー!」

冴島「吹っ切れたようやな」

響「うん。自分悩み過ぎていたんだね。そんなの、自分らしくない。どんなことがあっても、なんくるないさーの精神でいかなきゃ!」

響「ありがとうね、冴島さん! 自分、頑張れる気がするぞ!」

冴島「そうか! んな頑張れや!」

響「よーし、みんな競争だぞ!」

冴島「ふぅ、ええ顔するようになったやんか」

曽田地「さ、冴島さん!」

冴島「ん? どうしたんや?」

曽田地「い、今の子どこかで見たことあるなぁって思ってたんですよ。さっき思い出しました! 彼女我那覇響ちゃんです!」

冴島「知ってるで?」

242: 2013/01/11(金) 02:50:53.56 ID:MkjKduBs0
曽田地「そうじゃなくて! 冴島さんは世間に疎いから知らないんでしょうけど、彼女新人アイドルですよ!」

冴島「アイドル? なんや最近は色々おり過ぎて憶えれんわ。遥とそのライバルのやつらだけしか覚えてない。B-SETやっけ?」

曽田地「多分それT-SETですね」

冴島「A-SETはどこにおんねん」

曽田地「いませんよ! でも良いですねぇ、冴島さん。アイドルの人生相談に乗れるなんて」

冴島「そうか?」

曽田地「そうですよ! あぁ、サイン貰っときゃよかったなぁ」

冴島(アイドルか……。カラオケに行ったときにでも歌ってみるかな)

243: 2013/01/11(金) 02:54:44.18 ID:MkjKduBs0
その頃の秋山

秋山(響ちゃんはどうするか気になるけど、やよいちゃんも気になるんだよな)

やよい「あっ……」

秋山(ずっとこの調子だ。俺に何か言いたげだけど、すぐに目を逸らしてしまう)

やよい「失礼しまーす」

秋山「ストップ、やよいちゃん。ちょっと良いかな?」

やよい「え、えっと何でしょうか?」

秋山「ずっと何か言いたそうにしているからさ。話なら聞くよ?」

やよい「は、話は無いです!」

秋山「そう? でも俺からはあるんだよね。お父さん、昨日帰ってからどうだった?」

やよい「私が帰って来たときにはお父さん、お酒飲んで潰れていました……。嫌なことが有るといつもそうなんです」

秋山「今日は何をしてるかな?」

やよい「分からないです……。お母さんからお金を借りてどこかに行っちゃいました」

244: 2013/01/11(金) 03:02:04.84 ID:NbRhcWoQ0
秋山「参ったね……、こりゃギャンブルに走ったか?」

秋山(どうも根本的な部分を治さないと、高槻さんの借金癖は無くならないだろうな)

やよい「あ、あの秋山さん! えっと、あの……」

秋山(やよいちゃんも何か抱えているっぽいし、どうしたものかね)

やよい「えっと、秋山さんってお金貸しているんですよね」

秋山「まぁ本職は金貸しだしね」

やよい「い、いくらでも貸してくれるんですよね?」

秋山「まぁテストに合格したら……、っておいおい、冗談だろ?」

秋山(まさかやよいちゃん……)

やよい「秋山さん! えっと、私に……、私たちに」

やよい「1000万円貸してください!」

秋山「Oh…」

253: 2013/01/11(金) 22:41:28.15 ID:XRCLLNzt0
秋山(参ったねぇ。なんとなくそんな気はしていたけど、本当に言うとは)

やよい「……ダメですか?」

秋山「いや、ちょっと驚いてね。今まで億単位で金を貸してくれって人もいたけど、中学生が相談に来るなんて初めてだからさ」

やよい「そう、ですよね。中学生に普通貸しませんもんね」

秋山「まぁその普通じゃない街金がスカイファイナンスなんだけど、弱ったな……」

やよい「?」

秋山「いやさ。1000万円もの大金だよ? 借金はチャラになっちゃうかもしれないけど、お父さんが働き始めるかと聞かれたらどうかな?」

やよい「説得します! このままじゃダメなのは、お父さんだって良く分かっていると思うし……」

秋山(果たしてあの人は本当にそう思っているのかな)

やよい「お父さん、前はちゃんと仕事していたんです。だけど、会社をクビになってから今までのお父さんが嘘みたいになっちゃって……」

秋山「クビにされたことで自暴自棄になった、か」

やよい「はい……」

254: 2013/01/11(金) 22:47:21.45 ID:lXQ4PkfL0
やよい「で、でも! お父さんはきっかけさえあれば変われると思うんです。だから……、そのチャンスを私に下さい! 私なんでもします!」

秋山「はぁ、随分と親御さん想いなお子さんだ。羨ましいねぇ、全く」

やよい「秋山さん?」

秋山「時にやよいちゃん、ドラマのオーディションとかに行ったことある?」

やよい「オーディションですか? あるけど、落ちちゃいました。キャラクターに合っていないって言われちゃって」

秋山「なら都合が良いな。分かった、やよいちゃん。高槻さんにチャンスを与える」

やよい「本当ですか!? ありがとうございます!」

秋山「でも、そのためには君にも手伝って貰わなくちゃいけないんだ」

やよい「え?」

秋山「それと、暇なアイドルが何人かいればありがたいんだけどな」

春香「呼びましたか?」

亜美「ねーねーアッキー。そろそろ亜美たちもテストしたいよ~」

真美「そうだよ、最近あんまり構ってくれないじゃん」

雪歩「わ、私もいますよ?」

真「なんですか?」

255: 2013/01/11(金) 22:51:12.17 ID:lXQ4PkfL0
秋山(男手は流石にないか。ジュピター(笑)がいてくれたら楽だったんだけど、まぁいいか。流石に本職さん使うのも気が引けるし)

秋山「うん、ちょうどいいや。ちょーっとみんなに協力してほしいことが有るんだけど」

春香「なんですか?」

真美「よーやく出番が来たって感じ?」

亜美「んっふっふ~、頑張っちゃうよ~」

真「女の子らしい仕事なら大歓迎ですよ!」

雪歩「需要無いよぉ」

真「有るよ! ねぇ、秋山さん!」

秋山「いやさ、今から……」

やよい「?」

秋山「やよいちゃんを誘拐しちゃおうと思ってさ」

256: 2013/01/11(金) 23:15:26.22 ID:7AemCL6V0
ボルケーノ

パチンコ台(CV黒田崇矢)「素早い蠅は、壁に止まっている時に潰すのか」

高槻「……」

パチンコ台(CV黒田)「我、天啓を得たり!」

高槻「来たか!?」

パチンコ台(CVくぎゅ)「女」

パチンコ台(CV黒田)「お前はあの時の……」

パチンコ台(CV知らない)「ずっと1人で寂しかったの、そばにいて」

パチンコ台「みんな、お前を頃すための芝居だったのさ」

パチンコ台(CV黒田)「心の隙を付け込んで女を抱くような真似はしねぇ」

高槻「どうなる……」

パチンコ台(CVくぎゅ)「ボタンを連打して!」

高槻「連打ああああああ!!」

7―6―7

高槻「クソッ!!」

257: 2013/01/11(金) 23:19:24.25 ID:7AemCL6V0
高槻「ちっ、金がなくなってしまった。仕方ない、借りに帰る」

携帯『さぁ一杯食べようよ』

高槻「やよいから?」

高槻「もしもし、やよいどうした?」

?『高槻はん、ですな?』

高槻「はぁ? なんなんだ? やよいじゃないのか? いたずら電話なら止めてくれ。こっちは仕事で忙しいんだ」

?『まぁそう言わんと聞いてくださいな。いやですね、単刀直入に言わせてもらいましょか』

?『おたくの娘さん、預からせていただきましたわ』

高槻「へ?」

やよい『お父さん!!』

高槻「や、やよいなのか!? おい、やよい!」

?『おっと、そこまでにしましょか』

高槻「おい! どういうことだ!」

258: 2013/01/11(金) 23:27:03.11 ID:7AemCL6V0
?『誘拐した、って言えばええんでっしゃろか?』

高槻「や、やよいは無事なんだよな!?」

?『ええ、怪我1つありまへん。ですが、そちらさんの態度1つで、可愛らしい顔に風穴があいてまうかもしれませんよ? ジュースを飲むとき吹き出てきて大変でっしゃろなぁ』

高槻「よ、要件はなんだ……」

?『おお、そうですな。身代金のことを忘れてましたわ。高槻はん、おたくの娘さんは価値が高い。今後売れたら、今の暮らしよりええものになるやろなぁ。そこでや、身代金は』

高槻「……ッ!」

?『1000万円ぽっきりで手打ちましょか』

高槻「い、1000万円だと!?」

?『娘さんが可愛いんなら、決して高い数字やないと思いますけどなぁ?』

?『さぁ、どうします? うちらからしたら別に払って貰わんでもええんですよ? た・だ・』

やよい「た、助けてぇ……」

?『こんな怯えとう子見頃しに出来る、って言うんやったらな』

260: 2013/01/11(金) 23:35:14.35 ID:7AemCL6V0
?『さぁ、どうしましょか? なんや最近埠頭の方でエ○パー伊東が釣れるとか言いますやんか。やよいちゃん餌にしたら、食いつくんやろなぁ』

やよい「い、いやだよ……。せめてデビットさんが」

?『こらやよい!』

高槻「え?」

?『い、いや! なんでもあらへん。こっちの話や』

?『ええですか、高槻はん。今が10時やから、11時半。11時半に埠頭の方で待っておりますわ』

高槻「11時半だと!? そんなの、1時間半しかないじゃないか!」

?『そちらからの注文は一切受け付けまへん。それじゃあ、11時半にまた会いましょか。ほな、さいなら』

高槻「ど、どういうことだ……。そうだ、達の悪いいたずらに……」

携帯『ゲッダン 揺れる 廻る 振れる切ない気持ち~』

高槻「こ、これは……」

携帯『薄暗いどこかで、スク水姿のやよいちゃんがポールギャグで猿轡されて、手錠で両手がふさがっているよ』

高槻「こ、こんなこと……!」

261: 2013/01/11(金) 23:42:06.40 ID:7AemCL6V0
高槻「け、警察に連絡しないと……」

携帯『さぁ一杯』

?『あぁ、言い忘れとりましたわ。高槻はんのこと、うちらは見守っとるんで。サツに連絡いれようもんなら、どうなるか分かったもんやないで?』

高槻「み、見られているのか……?」

高槻「クソッ、どうすれば良いんだ!? 1000万円なんて大金、どうやって集めれば……」

双子の姉「ねーねー、子供でもお金借りることできるとこが有るんだってさー」

双子の妹「凄いねー。テストに合格したら無制限で借りれるんでしょ? 亜美も借りに行かない?」

双子「「スカイファイナンス!」」

高槻「……クソッ!」

双子の妹「ねー真美」

真美「なに、亜美」

亜美「こういうのって、ステマって言うんだっけ?」

真美「ダイマじゃない?」

262: 2013/01/11(金) 23:49:10.86 ID:7AemCL6V0
少し遡って765プロ

真「ゆ、誘拐ってどういうことですか!? 冗談ですよね?」

秋山「冗談ではないんだよな。少し皆には一芝居売って欲しい」

雪歩「芝居ですか?」

秋山「そっ。これは高槻さんへのテストである共に、やよいちゃんへのテストでもあるんだ」

やよい「私のテストですか?」

秋山「ドラマのオーディションに落ちたって言ってたでしょ? キャラに合わないからって。やよいちゃんは明るく溌剌とした子だから、シリアスな演技をあまり求められないでしょ?」

春香「確かにやよいの悪役ってティンと来ませんけど」

亜美「はるるんは得意そうだねー」

真美「キャラが乗り移っちゃうタイプだよね!」

春香「そ、そんなことないですよ!」

秋山「続けていいかな?」

263: 2013/01/11(金) 23:58:11.03 ID:kA6WPkYP0
秋山「これは俺の経験による持論だけど、人間って追いつめられると何でもできちゃうんだよね」

春香「昨日言ってた空からお金が降って来たって奴ですか?」

秋山「そういうこと。だから高槻さんも、どうしようもない事態を目にしたら、前のようなお父さんに戻ってくれると思うんだよね」

真「分かった! それで誘拐ですか!」

秋山「狂言誘拐。ベタっちゃベタだけど、高槻さんからしたら冗談に捉えれないはずだ。なんせ彼は1000万円もの借金をしている身、家族に危害がいくことぐらい理解しているはずだ」

秋山「本当ならそれっぽい人たちを用意できれば良かったけど、こんな形で東城会の力を借りるわけにいかないからね」

雪歩「あ、あの……。言ってくれたらお父さんのお弟子さんを用意しますけど」

秋山「いや、そこまでサービスしてもらわなくても良いかな」

秋山「で、みんなにはちょっと誘拐を手伝って貰いたい。誘拐犯役と、見張り役と……。そうだな、高槻さんがスカイファイナンスの存在に気付くようにそれとなく仕向けてくれる人。それだけいれば良っか」

真「えっ、秋山さんはしないんですか?」

秋山「本当にやよいちゃんを助けたいのなら、行きつく先は俺だからね。だからここにいるわけにもいかないんだ」

264: 2013/01/12(土) 00:36:31.96 ID:fd3I4vE80
亜美「亜美らはスカイファイナンスのステマだね!」

真美「ギャラ出るよね?」

秋山「そうだな、ラブシャインステッキなら買ってやってもいいぞ」

春香「で、私がですか!」

秋山「ああ、出来るだけ高槻さんに見つからないように頼む。それと、彼の声が聞こえる距離を保ってくれ。恐らく警察に電話するだろう、いくらこの町の警察が無能と言っても、動かないわけにいかないからね」

春香「随分と警察の評価が低いですね……」

秋山「そりゃカツアゲするようなのもいるし」

秋山「で、真ちゃんと雪歩ちゃんが誘拐犯ってとこだな」

真「はぁ、どうしてこういう役回りばっかりなんだろう」

雪歩「えっと、真ちゃん。台本はこんな感じかな?」

真「うわっ、なんだか本格的だね……。しかも関西弁だし」

雪歩「お弟子さんに関西系の人がいるの」

秋山(さてと、作戦開始と行くかな)

265: 2013/01/12(土) 00:40:52.59 ID:fd3I4vE80
真美「でもさー、折角だからやよいっちにも細工しない?」

やよい「細工ですか?」

亜美「そーだよ! 誘拐されてるーって感じ出さなきゃね! ってことでじゃっじゃじゃーん!」

雪歩「……」

春香「うわぁ……」

真「な、なんでそんなものが」

やよい「野球ボールですか?」

真美「ピヨちゃんに言ったら貸してもらえたよ? ところで手錠は分かるけど、これ何なの? 口にくわえるものって言ってたけど」

秋山「あー、うん。教育上良くないね」

亜美「後スク水も貸してくれたよ! ささ、やよいっち! 脱げー!」

やよい「え、ええええ!?」

真「秋山さんは出てってください!」

秋山「……やり過ぎるなよ?」

春香(後で写メって千早ちゃんに売ってあげよ)

266: 2013/01/12(土) 00:47:01.66 ID:fd3I4vE80
秋山「さてと、俺もスカイファイナンスに急ぐかな。さて、どうなることやら」

秋山(響ちゃんのテストも大体同じぐらいの時間に終わるかな。埠頭に来てもらうよう連絡しておくか)

スカイファイナンス

花「社長! お客様です」

高槻「ぜぇ、ぜぇ……」

秋山「おや、昨日はもう借りないと言っていたのに。どういう風の吹き回しですか?」

高槻「関係ないだろ! い、今すぐに1000万円が必要なんだ!」

秋山「今すぐに、ねぇ」

高槻「11時半までに入用なんだ! 頼む! 絶対に返すから融資してください!」

花「ちょ! 頭を地面に付けなくても」

秋山「高槻さん、どうやらお急ぎのようですが、私はどのような状況下であれ、テストは必ず行います。現在10時10分、今から1時間以内に仕事を見つけてきてください」

267: 2013/01/12(土) 00:53:09.54 ID:fd3I4vE80
高槻「……っ! 分かった! 受けます!」

秋山「では、今から計ります。それでは、スタート!」

花「1時間って……、無茶なテストですね」

秋山「どうかな? 極限状態に追い詰められた人間の力、舐めちゃいけないよ?」

花「まあ今まで色んな人を見てきましたからね。一理あります」

秋山「さて、約束の時間まで少しあるな。適当にぶらついて時間を潰すか」

花「ちょっと! ちゃんと集金行ってきてくださいよー!?」

秋山「分かってるって」

カラオケ館

秋山「ばかみたい 子供なのね♪」

268: 2013/01/12(土) 01:02:42.08 ID:fd3I4vE80
高槻「お願いします! 話を、話だけでも……」

754「帰った帰った!」

高槻「私を雇ってください!」

4580000清掃「あのね、おっさんを雇うほどうちは暇じゃないの!」

高槻「名越も横山清掃もダメか……、クソッどうすれば……」

??「うーん、困ったなぁ」

高槻(あれ? あの男テレビで見たことあるような)

??「あのー、すみません!」

高槻「えっ? 俺?」

??「はい、貴方です。いやですねー、ちょっと今探しているんですよ」

高槻「あの、忙しいので失礼」

??「うーん、神室町の人は冷たいなー。しかし、もやしに合うソースだなんて、貧乏臭いものを注文しなくても良いのに」

269: 2013/01/12(土) 01:14:01.27 ID:fd3I4vE80
高槻「もやしに合うソース?」

??「あっ、お父さん見るからに貧しそうだし知っているかも! 僕の知り合いのシェフが、学生さんでも気軽に入れるレストランを開店することになってて、メニューを教えてくれって五月蠅いんですよね」

高槻「シェフ? もしかしてあなた……、タツヤ・カワゴエ!?」

タツヤ「あれ? ばれちゃった?」

高槻(そりゃ調理服着てたら目立つがな)

タツヤ「それは置いといて、安く手に入るからってもやしを使ったメニューを考えてるんだけど、後一歩何かが足りないんだよね。例えばソースをつけてつまみ感覚で食べれたら良いんだけど」

高槻「うちでもやしパーティーってのを時々するんですけど、その時の特製ソースなら……」

タツヤ「ん? お父さん何かあるんですか?」

高槻「は、はい! ちょっと待っててください!」

タツヤ「あっ、行っちゃった」

タツヤ「帰ってくるまでYOUTUBEでも見ておこっと」

http://youtu.be/u46Dj_3GqtY


タツヤ「このタツヤってシェフイケメンだなぁ」

270: 2013/01/12(土) 01:24:23.65 ID:fd3I4vE80
高槻「ぜぇ、ぜぇ……」

タツヤ「へぇ、これが特製ソースですかぁ。あんまり美味しくなさそうだけどなぁ」

高槻「美味しいかどうか、食べて確認してください!」

タツヤ「どれどれ……」

タツヤ「おいすぃー」

高槻「本当ですか!?」

タツヤ「うん、正直言ってビックリ。絶妙なバランスで素材がまじりあって、もやしを高級品にまで仕立てあげている。お父さん、これ凄いよ? お父さん、料理の経験ってある?」

高槻「ま、まぁ人並みには」

タツヤ「なら良いかな。さっきも言ったけど知り合いのお店、今オープンスタッフ募集しているんだよね。このソ-スだけってわけにもいかないから、今から調理師目指すって言うのなら口利きするけど。もちろん、あべの辻調理師専門学校に行かなきゃダメだよ?」

高槻「ええ!? 良いんですか?」

タツヤ「うん。このソースを食べた感じ、お父さんセンス有るっぽいし。今知り合いも近くにいるから面接する?」

高槻「は、はい! お願いします!!」


271: 2013/01/12(土) 01:30:25.84 ID:fd3I4vE80
秋山「時間だな」

高槻「あ、秋山さーん!!」

秋山「高槻さん、成果はどうですか?」

高槻「アルバイトからってことですけど、レストランのスタッフの内定を頂きました! これが証拠です」

花「ええ!?」

秋山「こりゃ驚いたな。予想の斜め上だ。タツヤまでいるし」

高槻「お知合いなんですか?」

秋山「ああ、ちょっと有りましてね。彼の紹介状が有るということは、本物と言うことでしょう」

秋山「高槻さん、おめでとうございます。1000万円喜んで融資させていただきましょう」

高槻「ありがとうございます!」

秋山「約束の1000万円です。ご確認なさいますか?」

高槻「いや、大丈夫です! 私は急いでますので、では!」

秋山(さて、俺も埠頭に向かうかな)

274: 2013/01/14(月) 20:37:09.00 ID:JTxnXXmv0
埠頭の倉庫

ギャーギャーワメクナ!
タスケテーオトウサーン!
ヨシ、ヒトジチノジュンビハデキタゼ!

やよい「隣の倉庫からなんか聞こえませんか?」

真「そう? 気にならないけどなぁ」

雪歩「私もかな」

真「っと。そうこうしているうちに、秋山さんから連絡が来てる。えっと、高槻さんテスト合格だって!」

やよい「本当ですか!?」

雪歩「良かったね」

真「さて、後はやよいの演技だよね」

やよい「自信ないですけど、頑張ります!」

雪歩「えっと、私たちも着替えないと……」

275: 2013/01/14(月) 20:42:56.23 ID:SEItMltB0
高槻「ぜぇ、ぜぇ……」

高槻「こ、この倉庫だな……。やよい、今行くからな!」

秋山(さて、どうなることやら)

真美「ねー、アッキー。あの車高そうだね」

秋山「ん? 隣の倉庫で何かしているのか?」

亜美「あっ、やよいっちのパパさんが入っちゃうよ!」

春香「私たちもこっそり入りましょう!」

秋山「……気のせいか」


高槻「やよいはどこだ!?」

雪歩(龍司VOICE)「おう、高槻さん。よう来ましたなぁ」

真(真島VOICE)「てっきり逃げ出したかと思いましたわ。感心しますなぁ」

秋山(ちなみに2人はマスクの下に変成器を掛けている。真ちゃんならまだしも、雪歩ちゃんだとすぐにバレちゃうからね)

276: 2013/01/14(月) 20:48:20.70 ID:+rIF4gaI0
雪歩「おたくのお嬢さんなら、ほら、そこや」

やよい「お、お父さぁん……」

高槻「や、やよい!」

真「おっと、安心してくださいよ? こちとら危害は加えてまへん。ただちょっぴり、怖い思いしたかもしれませんけどなぁ」

高槻「1000万円持ってきたぞ! だから……やよいを返してくれ!」

雪歩「おうおう、そう焦りなさんなや」

真「せや、その金が本物かどうか、確認でけてへんからなぁ。新聞紙で誤魔化してたりしとらんよなぁ?」

高槻「確認すればいいだろ! 約束の金だ!」

真「うわっ、こんな大金初めて見たよ……。札束風呂出来るかな」

雪歩「諭吉だらけですぅ……」

やよい「毎日もやし祭りが出来ます!」

高槻「?」

278: 2013/01/14(月) 20:55:42.78 ID:e3zNbJwb0
真「あっ、コホン! ちゃんと全部現金やないですか。もし壱枚でも偽もんが入ってたら、今頃親子仲良くエスパー伊東の餌になっとるとこでしたわ」

高槻「これで文句はないはずだ! やよいを返してくれ! もうこんなに怯えている娘を見たくないんだ!」

雪歩「おや、ええんでっか? 高槻さん、あんさん1000万円の借金、あったんとちゃいまっか?」

真「うちら優しいさかい、今ならこの嬢ちゃん風呂に売り飛ばして、借金チャラに出来まっせ?」

やよい「風呂? 銭湯ですかぁ?」

真「少し黙ってて! さぁ、どうしますか高槻はん。借金を消すか、娘をソープに売り払うか!」

高槻「そ、そんなもの……、娘を取るに決まっているだろうが!」

やよい「お、お父さん!」

真「ほう?」

高槻「確かに俺はダメな親父だ。仕事をクビになって、娘に働かせるようなクズだ。アイドルになった理由が、家計を助けるため? 本当に、自分が情けないよ……」

高槻「だけどな、俺は家族のことをどうでもいいなんて思ったことは一度たりともない! 1000万だなんて借金、すぐに返済してやるさ!」

高槻「だからこの1000万円はくれてやる! やよいを、俺の娘を開放してくれ! ……頼む」

279: 2013/01/14(月) 20:59:23.83 ID:e3zNbJwb0
真「……」

雪歩「……ぐすっ」

やよい「お父さん、私……」

真「好きにしたらええ。……どうぞ、家にお持ち帰りください」

高槻「やよい!」

やよい「お父さん!!」

高槻「!?」

雪歩「良い話ですぅ」

真「せやけどなぁ、とどめを刺してない人間に背中向けるんは、この町じゃ……」

真「氏亡フラグやでぇ!!」

高槻「クソっ!」

やよい「え?」

パーン!!!

280: 2013/01/14(月) 21:03:30.80 ID:YPKAV+D30
高槻「……?」

やよい「お、お父さん、苦しぃ……」

高槻「あれ、俺撃たれたんじゃ……」

秋山「いやぁすみませんねー。みんな、お疲れ様!」

高槻「え? 秋山さん?」

真「はぁ、でも良く信じましたね。こんな背の低いヤクザなんて」

雪歩「その、ごめんなさい……」

高槻「き、君たちはやよいの同僚? 秋山さん、これはどういう……」

秋山「おめでとうございます。これにてテストを終了とさせていただきます」

高槻「は? これはどういう……」

やよい「え、えっと。怒らないで聞いてほしいんだけどね、実はこれ……」

やよい「ドッキリなんです!」

亜美&真美&天海『ドッキリ大成功!』

高槻「ふぇ?」

281: 2013/01/14(月) 21:10:13.43 ID:OS6wFu5Y0
秋山(高槻さんに事情を説明した)

高槻「つまりこれは、私へのテストであるとともに、」

やよい「私へのテストだったんだ」

秋山「そう言うことです。やよいちゃんに課したテストは、迫真の怯えた演技で高槻さんを騙す、でした。そのために、彼女たちにも協力してもらったんですよ」

真「ホント、無理がありますよ。秋山さん、ちゃんと女の子らしい仕事取って来てくださいよ!」

秋山「あー、そうだね。善処しておくよ」

秋山(極妻シリーズでも紹介しておくか)

高槻「じゃ、じゃあやよいは無事なんですね!?」

秋山「はい。まぁ途中とても無事とは思えないような写真が送られてきたかと思いますが、あれ以外は何もしておりません」

やよい「えっと、お父さん。だましてごめんね」

高槻「いや、俺こそ今まで迷惑をかけて悪かった。これからは心を入れ替えて働く。だからやよいも、俺達のためにアイドルをするんじゃなくて、自分のために夢を叶えなさい。良いね?」

やよい「うん。ありがとう」

282: 2013/01/14(月) 21:14:22.00 ID:OS6wFu5Y0
秋山「さてと、やよいちゃんも高槻さんもテスト合格ってとこだな。高槻さん、その1000万円は貴方に融資したものだ。早く借金を返して、私どもに返済するようにしてください」

高槻「ええ、秋山さん。本当にお世話になりました」

秋山「いやいや、お世話になるのはこれからです。うちは無利子無担保無制限ですが、ちゃんと集金は行いますので、そのおつもりで」

高槻「はい」

秋山「さてと、後は響ちゃんがどうなったかだな。そろそろ彼も来ると思うし」

春香「彼?」

秋山「この町の生きる伝説だよ」

『さぁ一杯』

高槻「電話?」

秋山「ああ、遠慮なさらず出てください」

亜美「でもやよいっちの演技もなかなかだったよねー」

やよい「そ、そうかな……」

283: 2013/01/14(月) 21:18:41.65 ID:59DaIERC0
高槻「もしもし?」

???「た、助けてお父さん!!」

高槻「かすみ?」

???「高槻さん、憶えてますかぁ?」

高槻「誰だ?」

???「おたくの娘さん、預からせてもらいましたから。返して欲しければ1000万円を持って今すぐ埠頭に来い。警察に知らせるなよ?」

高槻「は? ちょ、切れた……」

秋山「どうなさいました?」

高槻「秋山さん、貴方は本当に人が悪い。今度はかすみを誘拐するなんて」

秋山「かすみ?」

やよい「え? かすみがどうしたの?」

高槻「ついさっきかすみを誘拐しただなんて電話が来まして。まだ誘拐したりないんですか?」

秋山「へ? 知らないよ、それ」

284: 2013/01/14(月) 21:24:18.33 ID:x1QM0cFS0
高槻「へ?」

携帯『ババンババンバンバン』

高槻「もしもし?」

??「た、大変だよ父ちゃん!」

高槻「長介? どうした?」

長介「どうしたじゃないよ! かすみが、誘拐されたんだよ!!」

高槻「へ?」

長介「さっきヤクザが家に押しかけてきて、かすみを無理やり……」

高槻「分かった! 俺が何とかする、だから長介はみんなを頼む。いいな?」

長介「う、うん!」

秋山「その、何と言うか……」

高槻「奴らは埠頭にいると言っていました! すみません、行ってきます!」

秋山「ちょっと! はぁ、こりゃ大変なことになったぞ」

285: 2013/01/14(月) 21:27:53.96 ID:tUiBY2R30
隣の倉庫

かすみ「んぐー!」

口リコンヤクザ「ぐへへへへ」

ヤクザ「1000万円払えん言うんやったら、娘さんで稼ぐしかないもんなぁ」

高槻「かすみー!!」

ヤクザ「って早!? ついさっき電話したところだぞ!!」

高槻「ぜぇ、1000万円はここにある! だから娘を返せ!」

ヤクザ「はぁ? こんな短時間で……、マジじゃないか」

高槻「文句ないはずだ!」

ヤクザ「グッ……、だけどよお、高槻さん。あんた今までうちの集金から逃げてきてたじゃんかよ」

高槻「それがどうした!」

ヤクザ「開き直るんじゃねーよ! 迷惑料を払って貰わなきゃ割に合わないんだよ! あぁ!?」

高槻「め、迷惑料だと!?」

286: 2013/01/14(月) 21:32:28.43 ID:tUiBY2R30
ヤクザ「そうだよ! てめーに貸してた分が一向に帰って来ねーから、こっちも損害受けてんだよ!」

高槻「そ、そんなこと!」

ヤクザ「そうだなぁ……、500万円で手を打とうじゃねえか」

高槻「横暴だぞ!」

ヤクザ「それが出来ないなら、この子はソープで生きてくしかないよなぁ? 最近はこういう子が流行っているらしいぜ?」

口リヤクザ「ぐへへへへ」

高槻「クッ……」

ヤクザ「さぁ、どう出る!? 今この場で決めなきゃ、このガキは……」

響「秋山さーん! 時間だから来たぞー!」

高槻「……」

ヤクザ「……」

かすみ「むぐー!」

響「あっ、えーと……。倉庫間違え」

288: 2013/01/14(月) 21:36:37.56 ID:tUiBY2R30
ヤクザ「その娘もひっ捕らえろー!!」

ヤクザイル「うぃー!!」

響「え、えええええ!?」

イヌ美「ばう!」

響「イヌ美!」

ヤクザ「ぐわっ! こ、この犬……! 腕を噛みやがって」

へび江「シャーボック!」

ワニ子「ワニー!」

オウ助「エンリョハイラネェ、シニテェヤツカラカカッテコイ!!」

ハム蔵「ぎゅい!!」

響「み、みんな……」

秋山「高槻さん! って響ちゃん!?」

真「え、えっとどうなってるんですか、これ」

289: 2013/01/14(月) 21:42:23.04 ID:+nHekGFj0
ヤクザ「こ、こいつ仲間を呼びやがったぞ!」

秋山「はぁ、どうしていつもこうなるのか……。響ちゃん、早く逃げるんだ!」

響「で、でも」

秋山「大丈夫! こう見えて俺、結構強いから」

真「秋山さん、ボクも援護しますよ!」

秋山「ダメだよ! 君だって女の子……って言っても聞かないよね」

真「はい! ボクの仲間の家族を傷つけたんだ、きっちりお見舞いしてやる!」

秋山「言っておくけど、ヤバいと思ったら逃げなよ? 万一君の可愛い顔に傷でもつけたら、ファンに殺されかねないからね」

高槻「お、俺も戦うぞ!」

ヤクザ「おいてめーら! こいつら纏めて、海に沈めてしまえ!!」

ヤクザイル『おう!』

秋山「さてと、ちょっくら行きますかね!」

290: 2013/01/14(月) 21:59:37.79 ID:+nHekGFj0
ヤクザ1「おらぁ!」

秋山「シャァ!」

ヤクザ1「ぐはぁ!!」

ヤクザ2「こ、コイツやるじゃねえか!」

秋山「伊達に絡まれてないからね!」

ヤクザ3「ぐへ!」金的の極み

秋山「って真ちゃん危ない!」

ドスを持ったヤクザ「キェェェェ!!」

真「フンッ!」△

ドスごと投げられたヤクザ「何!?」

秋山「おいおい、小牧流か!?」

チャカを持つヤクザ「野郎ぶっ頃してやらぁ!!」

真「ボクは女の子だ!!」△

秋山「火縄崩し……って、あの子何者だ!?」

291: 2013/01/14(月) 22:02:38.17 ID:+nHekGFj0
ワニ子「ワニー!」

響「氏なない程度に痛めつけるさー!」

ヤクザ4「ひええええ!!」

イヌ美「ばう!!」

ヤクザ5「ぐはぁ!」

春香「秋山さーん! 武器ですよー!」

秋山「頂き! ってなんでペンチ?」

ヤクザ6「おりゃああああ!」

秋山「おらっ!」

ヤクザ6「いぎゃああああ!」

雪歩「ひ、ひぃぃぃぃ……」

亜美「あー! ゆきぴょんが気絶しちゃった!」

真美「ペンチで爪をはがすなんてやることえぐすぎだよー!」

春香「ええ!? 私のせいなの!?」

292: 2013/01/14(月) 22:09:23.38 ID:u7UZTt400
かすみ「むぐー!」

高槻「かすみ! もう大丈夫だ!」

かすみ「お父さぁん!」

高槻「よしよし、怖かっただろう。大丈夫だ、早く逃げ」

口リコンヤクザ「幼女おおおおおおおおおおおお!!!!」

かすみ「ひぃ!」

高槻「かすみー!!」

??「おい、お前何をしている」

口リコン「?」

??「おらぁ!!」

口リコン「ぐぎゃあ!!」

高槻「あ、あなたは……」

??「後でで良い。今は早くここから出るんだ」

高槻「あ、ありがとうございます!」

293: 2013/01/14(月) 22:15:10.90 ID:PVBEogTE0
ヤクザ「ど、どうなってやがる……。た、ただの芸能事務所じゃなかったのか!?」

秋山「悪いねぇ。どうやらうちの事務所は、仲間に手を出されたら容赦をしないらしい」

真「へぇ、これがチャカですか! 撃ってみていいですか?」

ヤクザ「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」

秋山「逃がすか!」

ヤクザ「た、助けてくれええええ!」

??「寝てろ!!」

ヤクザ「ぐはぁ!!」

??「おい、憶えておけ。子供は宝だ。そいつを粗末に扱うだなんて、許されることじゃねぇ」

ヤクザ「ど、どうして……」

ヤクザ「4代目、桐生一馬が……」

桐生「秋山、遅くなったな」

秋山「いやいや。こちらこそ妙なことに巻き込んじゃってすみませんね」

294: 2013/01/14(月) 22:23:06.01 ID:PVBEogTE0
やよい「かすみ!」

かすみ「お姉ちゃん! 怖かったよぉ」

やよい「よしよし」

響「じゃあ、この人が秋山さんの知り合いの養護施設経営者なのか?」

桐生「ああ」

亜美「いかついねー」

真美「人一人頃してる顔だよねー」

雪歩「どこかで見たことが有るような……」

春香「雪歩?」

桐生「しかし、花屋から聞いていたが、お前はまだ芸能プロダクションを手伝っているんだな」

秋山「ダイナチェアと関係はないんですけどね。まぁ、色々とありまして」

桐生「そうか。この動物たちが……」

秋山「ええ、桐生さんちで引き取ってもらいたい子たちです。見ての通り、ちゃんと躾されてるんで、アサガオの子たちのもスグに懐くでしょう」

響「大事な家族なんだ。だから、大切に育てて欲しいんだ。お願いします」

桐生「……」

295: 2013/01/14(月) 22:27:16.83 ID:PVBEogTE0
イヌ美「ばう!」

オウ助「コノオトコゼッタイカタギジャネーヨ!」

へび江「ハブネーク!」

響「大丈夫だよ。この人、かすみを助けたんだ。だからみんなをちゃんと育てて……」

桐生「秋山」

秋山「どうしました?」

桐生「悪いが、こいつらを預かることは出来ない」

響「え?」

秋山「ほう、それはまたどうして?」

桐生「俺は動物のことは詳しく知らない。うちで面倒見ている子供たちの方が詳しいだろう。だが、主人と離れたくないとこいつらは言っているんだ。それぐらいは分かる」

響「で、でも……」

桐生「それに、うちも結構カツカツなんだ。こいつら全員面倒見ている余裕もない」

296: 2013/01/14(月) 22:34:08.00 ID:eyYJNMVS0
響「桐生さん……」

秋山「しかし困ったなぁ、これじゃあテストのしようがない」

桐生「テストの内容は、サヨナラをする、と言うことだったはずだ。この子がサヨナラした上で、俺は断っているんだ」

秋山「はぁ、そう言われたら反論できませんね。仕方ない、響ちゃん。君の家族は、君が育てるんだ」

響「ほ、本当!?」

秋山「今度は事務所に頼らず、自分の力でね。もしお金が無いと言うのなら、俺を頼ればいい。もちろんテストが有るけど、融資できなくもないさ」

響「う、うん! 自分、ちゃんと育てるよ!」

桐生「ああ、お前なら出来るはずだ」

響「ありがとう、桐生さん、秋山さん!」

秋山(まっ、事務所の負担を減らせることが出来たなら、万々歳かな?)

高槻「かすみ、ゴメンな。もうお前たちに迷惑を掛けないから、俺を許しておくれ」

かすみ「ううん、お父さんちゃんと助けてくれたもん」

やよい「えっと、秋山さん! ありがとうございました! 今度もやしパーティーするときは、遊びに来てください!」

秋山「そうだね、その時はうちの秘書も連れて行くよ」

高槻やよい、高槻氏、我那覇響、テスト合格!!

297: 2013/01/14(月) 22:39:58.01 ID:j9SE2YAW0
やよい「えーっと、きりゅう? さん。あの、助けてくれたお礼がしたいんですけど、私なにも持ってなくて」

桐生「そうだな。サインをくれないか?」

やよい「サインですか?」

桐生「ああ、沖縄のみんなに自慢したいからな!」

亜美「亜美らのサインは高くつくよ~?」

響「なぁ、沖縄のどこに住んでいるんだ!? 自分は……」

雪歩「そう言えば! あの人、お父さんと一緒にいるところを見たことあるな」

真「そう言えば、道場でも見たことあるかも」

春香「うーん? テレビで見たことあるような無いような」

秋山(さてと、美希ちゃんと律っちゃんの方も確認しないとな)

秋山(残りは真ちゃん、亜美ちゃん真美ちゃん、春香ちゃんか。さて、どんなテストにしようか)

秋山(ひとまずスカイファイナンスに戻ろう。また花ちゃんにどやされそうだ)

298: 2013/01/14(月) 22:45:22.36 ID:j9SE2YAW0
その頃の美希

美希「こ、こんなにいるの?」

千早「ここまで来ると、壮観ね」

貴音「ですが、彼らもこの町の住民。この町を綺麗にしたいという気持ちは同じなのでしょう」

ホームレス「美希ちゃん、俺達はこの当たりを綺麗にするから、他のところをよろしく頼むよ」

美希「はいなの! いこっ、千早さん、貴音!」

貴音「美希も変わったのですかね?」

千早「?」

貴音「あの何より面倒なことを嫌った彼女が、こうやって面倒なゴミ拾いを率先してしている。これも、彼との出会いのおかげなのでしょうか?」

千早「さぁ? でも、本気の美希は何でも出来そうに見えるから、心強いわね」

美希「今日もゴミを拾うのー!」

299: 2013/01/14(月) 22:49:39.46 ID:xpWF5krA0
美希「ふぅ、この辺は大体終わったの」

千早「中々腰に来るわね」

貴音「ですが、誰かがやらなければいけないこと。この町を生きるものとしての、義務です」

美希「それじゃあ次の……いたっ!」

千早「美希?」

美希「う~、なんか飛んで来たの……。ペットボトル?」

貴音「はっ、何奴!」

チーマー1「おい、見ろよ! ゴミ拾いだってよ!」

チーマー2「だっせー! このゴミも拾ってくれよー!」

美希「もうやめて欲しいの!」

チーマー3「そんなことより、俺らと遊ぼうぜ!」

チーマー72「うわっ、このスレンダーな子俺メッチャ好みだわ! スリスリしてぇー!」

千早「クッ……」

300: 2013/01/14(月) 22:55:18.98 ID:smv0zqz/0
チーマー4「なぁ、んなきったねーことしてるならさ、俺らとクラブセガ行こうぜ!」

チーマー5「俺太鼓の達人上手いんだぜ!」

チーマー6「大体この町でゴミ拾いしたって、1秒後には捨てられてるっての!」

美希「こういう男の人は、無視するのが一番だと思うな」

貴音「そうですね、気にする価値もありません」

千早「そう言うことですので。あなた方と時間を過ごすより、ゴミを拾っていたほうが有意義かと」

チーマー1「ぬぁにをおおお!? おい、こいつらいっぺん痛い目見なきゃわかんねーみてぇだな」

チーマー2「二度と外に出れねぇ身体にしてやるぞ! あぁ!?」

千早「いい加減にしてください! 警察を呼びますよ!?」

美希「そうだそうだ!」

チーマー3「はぁ? オマワリだ? 有り得ねー! この町の警察なんてな、道端で銃撃戦が起きようがドスで刺されようが碌に機能しねえんだよ!」

チーマー4「この町じゃあな、強ければ何しても許されんだよ!」

???「ほう、言うじゃねえか。このクソガキが」

301: 2013/01/14(月) 23:00:48.18 ID:smv0zqz/0
チーマー5「あぁ? 誰だてべっ!」

???「強ければ何しても許されんだろ? さっさと立てやガキが」

チーマー6「んだとおっさん! 舐めてんじゃねえよ!」

???「おっさんねぇ……。どうやら、お前たち俺のこと知らないみたいだな」

チーマー72「あぁ!?」

チーマー1「い、いや待て……。この顔確か……」

チーマー72「おらぁ!」

???「ゴルァ!」

チーマー72「ぎゃお!」

チーマー1「お、思い出した! ブ、ブラックサンダー初代総長だよ!」

ユウヤ「思い出すの遅いんだよ!!」

チーマー1「ぶべら!」

美希「千早さん、通報する?」

千早「放っておきましょう」

貴音「ぶらっくさんだぁ……。不思議とお腹が減る響きですね」

302: 2013/01/14(月) 23:07:39.45 ID:smv0zqz/0
ユウヤ「おい! そこにもゴミ落ちてんだろ! ちゃんと拾えや!」

チーマーズ『は、はいぃ!!』

美希「おじさん、ありがとうございますなの」

千早「少し荒っぽいやり方でしたが、助かりました」

貴音「その上、彼らを掃除要因に。なんとお礼をすればよいか」

ユウヤ「いいや、お礼をするのはこっちの方さ。ここんとこ町にポイ捨てする奴が増えたからな。こうやって拾ってくれるだけでも、すっげーありがたいんだよ」

ユウヤ「そうだ! ちょっと待ってな。携帯取出しなんとやらっと!」

ユウヤ「ああ、俺だ。今から暇な奴連れて、劇場前広場集合な。それと、ゴミ袋を持ってこいよ!」

美希「誰に電話したの?」

ユウヤ「うちの店のキャストだよ。俺さ、スターダストってホストクラブの店長してんだよ」

千早「え? ホストの方がゴミ拾いですか?」

ユウヤ「変か? この町を愛する気持ちは、ホームレスだろうがホストだろうが同じだ。俺達ホストは、この町の夜を彩るんだ。そんな町が汚くちゃ嫌だしな。待ってろ、他の店にも掛け合うから」

美希「みんなこの町が好きなんだね」

ユウヤ「ゴタゴタしてるけどよ、この町には色んなバカが集まるからな。日本のどこ探しても、ここまでバカな街はないぜ」

303: 2013/01/14(月) 23:12:49.07 ID:smv0zqz/0
ホスト達「ユウヤさん、ちーっす!」

ユウヤ「よし、集まったな。それじゃあお前たちはあっちを頼む。お前らはそうだな、亜細亜街の方で」

美希「どんどん人が集まっていくね」

千早「ええ、この町のゴミ、本当に全部拾えそうな気がして来たわ」

貴音「ええ。一度でもいいから、ゴミ1つないこの町を見てみたいものです」

ユウヤ「それじゃあ、各自始め!」


スカイファイナンス

秋山「なになに、ゴミ拾いなう、か」

花「どうしたんですか? Twitterを見て」

秋山「いやさ、今神室町でゴミ拾い活動が起きてるんだよ。最初は1人の女の子だけだったけど、徐々にホームレスやホストを巻き込んで、今となれば待ちゆく人全員が参加しているんだと」

花「ホントだ。外にも人いますね」

秋山「やっぱり、彼女は人を惹き付ける天才だな。こうやって名前も知らない者同士が、ゴミ拾いを通じて繋がっていく。いやぁ、たまには俺も良いことするね」

花「良いことするのは良いんですけど、集金ちゃんとしてくださいよ?」

304: 2013/01/14(月) 23:21:25.65 ID:IoesBHHi0
美希「終わったの―!!」

千早「ふぅ、まさか本当に全部のゴミを拾ってしまうなんて」

貴音「この町は、真面白き町ですね」

ユウヤ「皆、お疲れさん! ゴミは後で回収するらしいから、分別してこっちに持ってきてくれ。それと、終わったからってポイ捨てすんじゃねーぞ? もししているのを見たら、痛い目に合うからな」

秋山「よっ!」

美希「秋山さん!」

秋山「いやー、驚いたよ。最初は姿勢だけでもちゃんとしてれば及第点かと思ってたけど、ゴミを拾い尽くすとは、花丸をあげたいね」

美希「ミキだってやる時はやるの! ゆとりだなんて馬鹿にしちゃ、や!」

秋山「そうだな。美希ちゃんは、ちゃんとやり遂げたんだ。確かに1人の力で出来たことじゃないよ? だけど、この町に生きる人を巻き込んで、ゴミを拾わせたんだ。765プロの皆も、ホームレスの皆も、ホストの皆も、行きかう人も。みんな美希ちゃんが拾っているのを見て、拾ったんだ」

美希「ミキを見て?」

秋山「アイドルってさ、流行の先端にもなるわけじゃん。昔はアムラーとかシノラーとか有ったけど、まぁ知らないか」

秋山「美希ちゃんの持つ輝きは、どんな所にいても人を惹きつけちゃうんだ。例え下水道掃除だとしても、君の姿を見た誰かがついてきただろうね」

美希「下水道掃除は嫌かな」

305: 2013/01/14(月) 23:27:29.56 ID:YPKAV+D30
秋山「その輝きは、君の何よりの武器だ。誇っても良いぐらいだろう」

美希「うーん、良く分からないけど、褒めてくれてるんだよね?」

秋山「まぁね。さてと、これで美希ちゃんもテスト合格だ。おめでとう」

美希「大変だったけど、町を綺麗にするのも悪くなかったかな」

秋山「そうそう。さっき小鳥ちゃんから連絡が有ったけど、神室町のゴミを拾う少女ってことで、美希ちゃんがちょっとした話題になってるらしいよ」

美希「そうなの?」

秋山「Twitterのホットワードにもなってるとか。あの美少女は誰だ!? って感じで、テレビ局が来てるんだと」

美希「じゃ、じゃあ美希はテレビに出れるの!?」

秋山「そういうことになるかな。それに、これだけの大規模なゴミ拾いになったんだ。神室町町内会から、表彰をしたいって連絡もあったよ」

千早「美希、おめでとう」

貴音「仲間として、誇らしい限りです」

美希「ミキ、今輝いているの?」

秋山「ああ、眩しいぐらいにね。神室町と言うステージで、君は輝いているんだ」

星井美希、テスト合格!!

311: 2013/01/17(木) 01:16:21.89 ID:s1+SSA0Z0
秋山「さて、律っちゃんはどうなってるかな?」

エリーゼ

ヤクザみたいなゲームクリエイター「いやぁ、ナオミちゃん喋り面白いねぇ。是非うちの次回作にも出て欲しいぐらいだよ」

律子「へぇ、どんなゲームを作っているんですか?」

ヤクザみたいなゲームクリエイター「バイナリードメインって知ってる? あれうちのスタジオなんだよね」

秋山(やってるやってる。本当に様になるな。そのままうちで雇いたいぐらいだ)

ヤクザみたいなゲームクリエイター「これ俺の名刺だから! なんかあったら頼って頂戴」

律子「わざわざありがとうございます。あら、秋山さん」

秋山「よっ、首尾はどう?」

律子「上々じゃないですか? 売上金額確認してないから、今どれぐらい言ってるか知りませんけど」

秋山「そうだね。確認しておくよ。でもさ、なんだかんだ言いながら結構楽しんでるんじゃない?」

312: 2013/01/17(木) 01:24:48.49 ID:F58cgaS+0
律子「まぁ、思ってたよりかは楽しいですね。名刺も色々集まりましたし、成程コネが出来るわけです」

秋山「ビジネスじゃそうでもないけど、キャバ嬢に名刺なんて、気を許した相手に渡すものだからね。り、ナオミちゃんはその数だけ相手に気に入られたんだ」

律子「ホント物好きな人もいるもんですね」

秋山「見るとゲーム会社、芸能プロダクション、レコード会社と色々あるみたいだし、これからアイドルユニット売り出してくには使えるんじゃない?」

律子「そうですね。普通に乗り込んでも門前払い食らいそうなとこのもありますし、それに色々学べましたからね」

秋山「そう?」

律子「キャストのプロデュースも勉強になりましたよ。その時その時の流行や客のニーズを見極め、スタイルを変えていく。アイドル活動にも通じますね」

秋山「さてと、売上金額が出たようだ。発表するよ?」

律子「ふう、これでキャバ嬢もお終いですね。で、いくらですか?」

秋山「ボーダーラインは250万だったね。それじゃあ発表するよ? ナオミちゃんの3日間の売り上げは……」

313: 2013/01/17(木) 01:30:56.11 ID:Cmow4EHT0
秋山「お見事! 400万だよ」

律子「そ、そんなにですか!?」

秋山「正直、俺も驚いてるよ。3日でこれだけ稼げるんだ、真剣に転向してみる気ない?」

律子「ありません! でもビックリしました。なんとかボーダーを超えたかなと思ってたら、400万だなんて」

秋山「まだまだ現役でやれるんじゃない?」

律子「まさか! 私はもう、プロデューサー一色で頑張っていくって決めたんですから!」

秋山「そいつは残念だ」

律子「まっ、どうしてもって言うなら、プロデュースさせてあげますよ。秋山さんなら悪いようにしないでしょうし」

秋山「言ってくれるね。まっ、気が向いたらステージに立ってみなよ。律っちゃん、君は十分輝けるんだ。美希ちゃん達と謙遜ないぐらいにね」

律子「そんな褒めたって何も出ませんよ?」

秋山「とはいえ、これで律っちゃんも合格か。3日間、お疲れさん」

律子「さてと、新アイドルユニットの企画書作らないと。誰かさんのせいで大幅にタイムロスしちゃいましたしね!」

秋月律子、テスト合格!!

314: 2013/01/17(木) 01:37:56.21 ID:nDaSJHWF0
秋山「さてと、残るテストもしないとな」

亜美「ねーねー、アッキー」

真美「テストまだー?」

秋山「そうだなぁ……」

テレビ『本日日本ドームで行われるダンスフェスティバルは、世界中のダンサーが一堂に集い……』

秋山「ダンスフェス?」

真美「アッキー知らないの?」

亜美「おっくれってるー! ちょーかっちょいいやつだよ! 世界一のダンサーを決めるバトルなのだ!」

秋山「世界一のダンサー、か。ってことは彼も来てそうだな」

亜美「彼?」

真美「アッキ-の元彼?」

秋山「おいおい! 俺はノンケだって。そうだ、折角だし2人にお使いを頼もうかな」

315: 2013/01/17(木) 01:43:38.97 ID:nDaSJHWF0
亜美「お使い?」

秋山「そっ。2人はさ、クリスティーナって知ってる?」

真美「千早お姉ちゃんのそっくりさん?」

亜美「栗ご飯とカメハメ波?」

秋山「知らないっぽいね。律っちゃんなら知ってるんじゃない? ダンストレーナーのクリスティーナ」

律子「知ってますよ。我々の業界では、伝説的な存在ですし」

真美「レジェンゴ?」

律子「レジェンドよ! 何よその嫌な言い方!」

亜美「クリスチーナだっけ? そんなにすごいの?」

律子「凄いも何も、クリスティーナが才能を見出したスターは数知れず。ちょっと前に話題になった澤村遥も、彼が才能を見出した一人って言うのよ」

秋山「ちょっと変わった人だけど、見る目は確かだからね」

316: 2013/01/17(木) 01:50:12.16 ID:CBue5IUa0
律子「へ? 秋山さんお知合いなんですか?」

秋山「大阪にいた時に色々有ってね」

律子「それなら、クリスティーナを765プロのダンストレーナーにってこと出来るんですか!?」

秋山「出来なくはないけど、それを決めるのは彼自身だからね。クリスティーナが表舞台に姿を現さない理由の1つに、安請け合いしないってのが有るんだよね。お金や権力に流されず、彼が本当に認めた人にしか教えないんだ」

秋山(そう考えると、遥ちゃんは凄かったんだな)

律子「ですよねー。そんな上手い話があるわけないか。でも、教えて貰えたら心強いんですけどね。ほら、ダンストレーナー961に取られちゃいましたし」

秋山「ああ、そう言えばそうだったな。結局俺が教えることになったけど」

亜美「ねーねーアッキー。クリスチーナが納得したら教えてくれるんだよね?」

秋山「ん? そうなるかな。とはいえ、本当にこの辺にいるか知らないよ? 世界的なダンスイベントが有るのなら、神室町に来ていてもおかしくはないけど」

律子「そうなんですか?」

秋山「彼は1人で飲むのが好きだからね。神室町のバーを片っ端から探したらいるかもしれないよ?」

317: 2013/01/17(木) 01:55:24.86 ID:CBue5IUa0
真美「ほー、それは良いことを聞きましたなぁ」

亜美「真美隊員、ここは我らで探すのが得策では?」

秋山「探すって、君らが?」

真美「そっ!」

亜美「クリスチーナを捕まえてきたらいいんだよね?」

真美「ってわけで」

亜美真美『行って来まーす!』

秋山「あっ、おいおい!」

律子「あんたら未成年でしょうが!」

秋山「行っちゃったね。クリスティーナがどんな格好しているか教えてないんだけどなぁ」

律子「はぁ、すみませんけど秋山さん、2人の後追っかけてもらえませんか?」

秋山「了解。何かあってからじゃ遅いからね。飲み屋をブラブラと探してみるか」

318: 2013/01/17(木) 02:06:45.63 ID:wwjYVn5s0
クリスティーナを探せ!

秋山(とはいえ、神室町は居酒屋が多いからな。クリスティーナのことだから、静かなバーにいるんだろうけど)

秋山「まずは亜美ちゃんと真美ちゃんを探さないとな」


亜美「クリスチーナー!」

真美「亜美、クリスティーナだって! チーナじゃ絵の怖い百合っ娘だよ!」

亜美「どっちでもいいじゃん! でもさー真美、亜美たちさ、クリスチーナがどんな人か聞いてないよね」

真美「……あっ」

秋山「おっ、いたいた! 2人とも、探したんだぜ?」

亜美「グッドタイミング!」

真美「アッキーに聞きたいことあるんだけど……」

秋山「クリスティーナは帽子を黒い被っている初老の男性だ」

亜美「でもそれじゃー結構いるよ?」

真美「居酒屋探すしかない?」

319: 2013/01/17(木) 02:12:44.04 ID:upUAPsjd0
秋山「居酒屋って言っても、わたみん家とか銀だこ&ハイボールみたいに騒がしい所を嫌うからね。狙うなら、バーだな」

真美「バーなら1つ知ってるよ?」

亜美「病院の人がたまに行くんだって!」

亜美真美『ニューセレナ!』

秋山「ニューセレナね。十分有りうるな。それじゃあニューセレナに行こうか」


ニューセレナ

亜美「頼もー!」

真美「クリスティーナはいねえが!?」

伊達「おいおい、ここは子供の来るところじゃないぞ?」

ママ「まぁ、可愛らしいお客様ね。ジュースで良いかしら?」

伊達「ママ、良いのか?」

ママ「ええ、だけどお酒はダメよ?」

秋山「ぜぇ、ぜぇ……。タバコやめとくべきだな、うん」

320: 2013/01/17(木) 02:17:28.35 ID:nKVzVkpr0
亜美「アッキーだらちないよ?」

秋山「34歳相手に全力疾走はやめてくれよ……。ママ、俺は水で」

伊達「って秋山? どうしたんだ、桐生の真似ごとか?」

秋山「どうも、伊達さん。この子ら、俺のツレです」

ママ「はい、オレンジジュースね」

亜美真美『かんぱーい!!』

伊達「なるほど、芸能事務所の手伝いをしてるってわけか。何かと芸能界と縁のある男だな、お前は。いっそ俳優デビューしたらどうだ?」

秋山「遠慮しておきます。今の自由な生活を気に入ってるもんで。ところでママ、ここに帽子を被った初老の男性が来なかった?」

亜美「クリスチーナって感じの人だよ!」

真美「どんな感じだよー」

伊達「クリスティーナ……。ああ、お前の知り合いか。さっきまでここで飲んでたんだが、さっき出て行っちまった」

321: 2013/01/17(木) 02:21:40.28 ID:nKVzVkpr0
秋山「どこ行くか言ってましたか?」

伊達「さあな。酔いを醒ますって言ってたけど、さっきのことだ。そこまで遠くに行ってないだろ」

真美「それじゃあ早速探しに行こうよ!」

亜美「ママありがとねー!」

ママ「また遊びにいらしてね」

伊達「勿論保護者同伴だぞ!」

秋山「それじゃあ俺もお邪魔します」

秋山(入れ違いだったみたいだな。まだその辺に……)

真美「ねー、あの人じゃない?」

亜美「おー! 見るからにクリスてっぃーなって感じだね!」

秋山「ん? あれは……」

??「もう! 何分待たせる気なのかしら!」

322: 2013/01/17(木) 02:24:57.56 ID:nKVzVkpr0
秋山「いや、あの人は違うよ。そもそも帽子を被ってない」

真美「でもクリスティーナって感じしない?」

秋山「あの人はあの人で凄いスタイリストなんだよ。しかし、こっちに来ていたんだな」

秋山(そうだな。真ちゃんのテストで手伝って貰うか)

亜美「うーん、クリスチーナはどこに……」

真美「あれ? あそこ人が集まってない?」

秋山「本当だ。何かやっているのか?」


??「ダメですね。あなた方とは、お付き合いをする気にもなりません」

翔太「まさか、僕のダンスが通用しないなんて……」

黒井「クッ! こちらはいくらでも出すと言っているんだ!」

??「知っているはずです。私はお金や権力に興味が無い。不毛な話です」

323: 2013/01/17(木) 02:30:29.37 ID:uAUpVB920
秋山「961の社長と何とか君と、クリスティーナ?」

クリスティーナ「おや、秋山ではないですか。奇遇ですね」

秋山「そっちこそ。元々こっちの人間なんでね」

クリスティーナ「そう言えばあなたは訛っていませんでしたからね」

翔太「765プロのプロデューサーと知り合いなの!?」

黒井「き、貴様どうしてここに!?」

秋山「それはこっちのセリフだ。あんたらうちからトレーナー奪っといて、クリスティーナから教えを乞うつもりなの? 随分と図々しいことで」

黒井「ふん! あの様な3流、いくらでもくれてやるわ!」

秋山「すみませんけど、こちらもいりません。765プロとしても、クリスティーナの指導は喉から手が出るほど欲しいんでね」

クリスティーナ「765プロ?」

秋山「あー。今俺が手伝ってる芸能プロダクションのことね。ほら、この子らもそのメンバー」

324: 2013/01/17(木) 02:36:34.19 ID:uAUpVB920
クリスティーナ「双子ですか」

真美「こっちが真美で」

亜美「こっちが亜美だよ!」

秋山「後11人ほどいるけど、代表してこの子らを見て欲しいんだ。クリスティーナの指導を受けるに値するかどうかをね」

翔太「無理だって。僕でもダメだったんだよ? 765プロが出来るわけ」

亜美「トイレは黙ってなよ!」

真美「トイレだから他の2人より地味なんだよ!」

翔太「ト、トイレはかんけーし!!」

クリスティーナ「そうですね、秋山の紹介と言うことであれば興味深い。亜美、真美。一度踊ってみてください」

黒井「翔太! 貴様も踊るのだ! 王者の貫録をとくと見せるが良い!」

翔太「僕のことトイレって言ったこと、悔い新めろ、出来損ない」

秋山(どこかで聞いたことが有るような。まぁいっか)

325: 2013/01/17(木) 02:50:15.27 ID:mPgBaIVr0
秋山「そうだ。折角だしこれを2人のテストにするよ」

亜美「テスト?」

秋山「そっ。トイレ君に勝って、クリスティーナを765プロまで連れてくるんだ。良いね?」

真美「ラジャー!」

ダンスバトル中

クリスティーナ「……」

亜美真美『はいっ! ターン!』

翔太「そらっ!」

翔太(この華麗なバク天! 何回でも続くよ!)

秋山「甘いね!」←ちゃっかり踊ってる

黒井「面白い!!」←こいつも踊ってる

332: 2013/01/18(金) 15:56:35.26 ID:T2/dSsdE0
秋山「はぁ、はぁ……、キツイって。もうたばこは吸わないぞ……」

亜美「もう、だらちないなぁ」

真美「そーだよ。いい年して無茶するからこうなるんだって」

秋山(知り合いのおっさんたちはもっと凄いんだけどね)

黒井「こひゅう……」

翔太「黒ちゃんも張り合うからダメなんだよ! ただでさえ碌な生活してないのに」

秋山「ぜぇ、クリスティーナ、うちの子ら、結構やるもんでしょ?」

翔太「僕の方が出来たはずだよ!」

クリスティーナ「そうですね……。秋山」

秋山「?」

クリスティーナ「亜美と真美、と言いましたか?」

真美「こっちが亜美で」

亜美「こっちが真美だよ!」

秋山「嘘を吐かない」

333: 2013/01/18(金) 16:01:55.82 ID:qdHFKUgn0
黒井「ふん。そんな子供みたいなダンス、語るに値しない! 翔太のように洗練された完成度こそが……」

クリスティーナ「亜美、真美。ダンスは好きですか?」

真美「うん、好きだよ!」

亜美「歌って踊るとちょー気持ちーし!」

クリスティーナ「それは、良いことですね。秋山、感謝します。彼女たちとは良いお話が出来そうだ」

翔太「ええ!?」

黒井「バカな!? 全てにおいて、翔太が上回っていたはずだ! 貴様、口リコンか!?」

クリスティーナ「どうとでも言ってもらって構いません。ですが、今日の私は機嫌が良い。翔太、あなたにも1つアドバイスをあげましょう」

クリスティーナ「ダンスは完成度を求められる。もちろんそれは間違っていません、ですがそのダンスであなたは何を表現できましたか?」

翔太「表現?」

クリスティーナ「ダンスはその時その時の感情を、全身を使って表現するもの。あなたのダンスは、技術こそ高くとも、面白くない。亜美と真美のダンスは、どこまでも自由で、喜びを感じれた。違いはそこです」

翔太「クッ……」

黒井「貴様! 憶えておくがいい!!」

334: 2013/01/18(金) 16:06:13.36 ID:qdHFKUgn0
秋山「あーあ、行っちゃった」

真美「なんかトイレ可哀想だったね」

亜美「だねー」

秋山「そのトイレってあだ名の方が可哀想に聞こえるのは俺だけか?」

亜美「でもさ、これで亜美たちのテスト、合格だよね」

真美「クリスティーナ納得させたんだし!」

クリスティーナ「テスト?」

秋山「ああ、こっちの話です」

クリスティーナ「さて、彼女たちの他に11人、いると言いましたね。その11人全員が、亜美たちのように踊れるのなら、765プロのトレーナーを受けましょう」

秋山「そいつは心強い。早速、全員集めないとな。亜美ちゃん、真美ちゃん。お手柄だぞ?」

真美「んっふっふ~、こんなのお茶の子さいさいなのだ!」

亜美「だって亜美たち2人揃えば、完璧だもんね!」

秋山(2人揃えば、か。いつか別れる日が来るんだろうな。その時も、そう言っていられるのだろうか?)

秋山(そっから先は、俺が口出しすることじゃないな)

双海亜美、双海真美、テスト合格!!

335: 2013/01/18(金) 16:38:01.29 ID:IGH+zvSc0
クリスティーナ「秋山、この事務所のアイドル達は活気があってよろしい。久しぶりに、私も指導のし甲斐が有るものです」

秋山「そう言ってくれるならありがたいよ。っと、少しだけ真ちゃんを借りるよ」

真「? 呼びましたか?」

秋山「真ちゃんさ、スタイリストのYOKO知ってる?」

真「スタイリストのYOKOって……、あの元トップスタイリストの?」

秋山「ああ。君らも知っているのか」

真「業界のレジェンドですよ。クリスティーナと言い、秋山さんどんなパイプを持っているんですか?」

秋山「いや、俺自身はYOKOと関わりが無いんだけど、俺の知り合いの子がYOKOに面倒を見て貰っていたからさ。今後の活動に協力してくれたら心強いでしょ?」

真「そうですけど、どうしてボクなんですか?」

秋山「YOKOは美のカリスマだ。もしかしたら、君が女の子らしくなる秘訣を握っているかもしれないよ?」

真「なるほど! 流石秋山さん!」

秋山「タダで見てくれると思わないけど、遥ちゃんの名前を出したら少しは反応してくれるかな」

真「春香がどうしたんですか?」

秋山「あー、君の思っている春香ちゃんとは違うかな」

336: 2013/01/18(金) 16:45:01.87 ID:tYVfkXAD0
真「えっと、あの人がYOKOですか? どんだけーとか言いそうですけど」

秋山「似てるけど別人だよ? さてと、接触してみるか」

秋山「あー、すみません。スタイリストのYOKOさん、ですよね?」

YOKO「はぁ? 何よアンタ。ナンパ? あら、中々いい男じゃない」

秋山「いえ、そう言うのじゃないんですけどね。私、こういうものでして」

YOKO「スカイファイナンス社長秋山駿? 金貸しが何の用よ」

秋山「おっと失礼。今はこっちを渡した方が良かったかな」

YOKO「765プロ臨時プロデューサー? 聞いたことない事務所ね」

秋山「まぁまだ若い事務所なもので」

YOKO「つまりアタシに、へっぽこ事務所のスタイリストをしろって話?」

秋山「察しが早くて助かります」

YOKO「で、そのアイドルってのが……、男?」

真「違います! ボクは菊地真、女の子ですよ!!」

337: 2013/01/18(金) 17:04:43.06 ID:T2/dSsdE0
YOKO「冗談よ。そう熱くならないでよ、王子ちゃん」

真「お、王子ちゃん……」

秋山「でもあんたなら、真ちゃんを今よりかわいくメイクアップすることも出来る、違いません?」

YOKO「そうね。こういう子ほど、私の美の秘訣を教えたくなるのも事実ねぇ。でも、どうして私なの? 他にも優秀なスタイリストはいるはずよ?」

秋山「遥ちゃんからの紹介ってとこで、どうですか?」

YOKO「あら、懐かしい名前ね。元気しているかしら?」

秋山「ええ、日に日に成長して、美人になっていますよ」

YOKO「それは楽しみね」

真「あのっ、美の秘訣、教えてくれませんか!?」

YOKO「そうがっつかないの。王子ちゃん、今からあんたが思う通りで良いから、可愛い服を買って来なさい」

真「服を買う、ですか?」

YOKO「まず王子ちゃんがどれくらいのものか見ないと話が進まないわ」

338: 2013/01/18(金) 17:57:27.55 ID:LemgBfaN0
真「でもな……」

YOKO「あら、お金ないのかしら。まぁ、高校生ぐらいの子からしたら、服なんて結構高価な買い物よね」

秋山「仕方ない、後で事務所に請求しておくか。真ちゃん、この店なら俺の名前を出せば問題ないよ。こっちで建て替えておく」

真「ええ? 良いんですか?」

秋山「俺の金で誰かが変われるのなら、安いもんさ。さっ、行ってきな」

真「分かりました! 行ってきます!!」

秋山「気をつけて行くんだよー」

YOKO「ねぇ、秋山って言ったかしら? アンタ、おイモちゃんとどういう関係なのよ?」

秋山「一緒にカラオケに行くような仲ですよ。最近は彼女も情熱的な愛の手を入れてくれますしね」

YOKO「はぁ?」

秋山「さてと、そろそろ帰って」

真「きゃっぴぴぴぴ(ry」

秋山「」

YOKO「」

339: 2013/01/18(金) 18:08:17.64 ID:LemgBfaN0
YOKO「ね、ねぇ王子ちゃん……、貴女、漫才でもするつもり?」

秋山「真ちゃん。こういうことを言いたくはないんだけど……、それはないよ」

真「えええ!? そんなー!?」

YOKO「むしろどうしてそれで良いと思ったのか頭の中を見てみたいわ」

真「可愛いじゃないですか! ピンク色で、フリフリってしてて!」

秋山「単品で見ればね。でも真ちゃんには致命的に合わないよ」

YOKO「はぁ、王子ちゃんはまず自分の身の丈に合った服を着るってことから学ばなきゃダメみたいね」

真「はーい……」

YOKO「見た感じ健康的で問題はないけど、ボーイッシュな見た目故に、可愛い服って言うのは劇物みたいになっているのよね」

真「劇物って言い過ぎです……」

YOKO「そうかしら? それじゃあここで立ってみなさいな」

真「は、はい」

340: 2013/01/18(金) 18:28:33.61 ID:IJbHzerq0
真「えっと、どうすればいいんですか」

YOKO「簡単よ。そのままそこで立っているの」

真「立っているだけで良いんですか?」

YOKO「30分間立ってみなさい。それから説明するわ」

真「は、はぁ」

秋山「30分後」

真「あ、あのー。立ってただけだったんですけど」

YOKO「まぁ、声は掛からないでしょうね」

真「へ?」

YOKO「この辺りは、スカウトが多いから可愛い子は立っているだけで声を掛けられるのよ。うちのプロダクションに入らないかとか、今からお茶しないとか、そんな感じね」

秋山「確かに、女子が多いな。まるでスカウトされるのを待っているみたいだ」

YOKO「でも今の王子ちゃんのセンスなら、スカウトマンも声を掛けたがらないでしょうね」

真「うぅ、やっぱり向いてないのかな……」

341: 2013/01/19(土) 14:30:33.56 ID:bT+zLO9L0
YOKO「向いていない、そうなるわね。だけど、それはこの服が王子ちゃんに致命的に合っていないってだけ。アンタの魅力は、そのボーイッシュなところなのよ? 秋山は可愛い系と綺麗系、どちらが似合うと思う?」

秋山「俺に振るんですか? そうですね。俺がもし真ちゃんをうちの店のキャストとして雇うなら、セクシーな感じで売り出しますかね」

真「セクシー、ですか? でもボク、あまり色気が」

秋山「そうかな? 例えば髪を伸ばしてみたら、結構いい線行くと思うよ?」

真「そうですか?」

YOKO「それもあるわ。見たところ、適当に切っているみたいだし。どこで切って貰ってるの?」

真「行きつけのとこですけど……」

YOKO「そこは止めておいた方がいいわ。まず可愛らしくなりたいというのなら、そのツンツンヘアーを伸ばしてみたらどうかしら」

真「髪を伸ばす?」

YOKO「ええ。耳が隠れるぐらいまで伸びたら、いい感じになると思うわ。ちょっと待ってなさい」

秋山「真ちゃん、俺もその方がいいと思うよ? すぐに生えてくるものでもないけどさ、少し伸ばしてみたらどう?」

真「ちょっと考えてみますね」

342: 2013/01/19(土) 14:39:18.78 ID:NL3da69R0
YOKO「そうね、その話はまた今度、ね? それじゃあよろしく頼むわ」

真「YOKOさん?」

YOKO「知り合いの経営するお店よ。ちょっと値は張るけど、腕は確かよ」

真「えっと、何のことですか?」

YOKO「ヘアケアよ。今までそんなに気にしたことなかったでしょ?」

真「それは否定できないかも……」

YOKO「話は付けといたわ。普段なら予約でいっぱいだけど、今回だけ特別ね」

真「はい。で、すみませんが……」

秋山「仕方ないねぇ。ほら、2万円あれば行けるでしょ?」

真「そんなにかかるんですか!?」

YOKO「他の店と比べても高く感じるかもしれないけど、それだけの効果はあるわよ。さっ、行って来なさい」

真「秋山さん、ありがとうございます」

秋山「ちゃんと765プロに請求しておくから気にしないでくれ」

343: 2013/01/19(土) 14:49:03.50 ID:4xYgC5oN0
秋山「ほう、これは驚いた。こんな短時間でここまで変わるとは。やっぱり女の子ってのは、1秒1秒綺麗になっていくもんだな」

真「そ、そうですか?」

YOKO「2万円分の価値はあったんじゃないかしら? 向こうでヘアケアについて教えて貰ったと思うし、これからは毎日心がけなさい。美なんてものは一朝一夕でマスターできるほど甘いものじゃないわ。

YOKO「幸いアンタは健康的で、無駄なお肉もついていない。カラダはとても恵まれているわ。後はそうね、ココロとカラダのバランスをいかにうまくとるか、ね。おイモちゃんの時は漢方薬を進めたけど、アンタの場合そうね……」

真「?」

YOKO「女はね、男に認められることで綺麗になっていくの。これは古来からそう宿命づけられていると言っても過言ではないわ」

秋山「随分、壮大な話ですね」

YOKO「傾国の美女って奴よ。どんな男の心を奪う絶対的な存在、もちろんそれを目指せってわけじゃないけど、王子ちゃんは男性ファンを増やすとっかかりを作らないとね」

真「とっかかり?」

YOKO「秋山が言うには、何かテストをしなくちゃいけないみたいだし、折角だから私が課題を出すわ。別に良いわよね?」

秋山「内容次第ですかね」

344: 2013/01/19(土) 15:02:39.69 ID:ugJIL7kN0
YOKO「今から30分以内に、1人逆ナンしてきなさい」

秋山「ほう?」

真「ぎゃ、逆ナン!?」

YOKO「男性ファンを増やすとっかかりよ。どうも事務所は王子様キャラで売っていく方針らしいけど、アンタもアイドルになったからには、男からチヤホヤされたいわよね?」

真「はい! 僕でも可愛くなれるって思って応募したんですし、女の人のファンも嬉しいんですけど、出来れば男性ファンも欲しいです」

YOKO「ならば今から作って来なさいな。アンタのファンをね。どう? アンタのテストがどんなものか知らないけど、王子ちゃんにはぴったりだと思うけど?」

秋山「そうですね。真ちゃん、これはYOKOからの試練であるとともに、俺の課したテストでもある。30分間で1人逆ナン、いけるよね?」

真「はい!」

秋山「それじゃあ今からカウントするよ。スタート!」

真「行って来まーす!!」

秋山(さて、真ちゃんなら心配する必要もなさそうだけど、あまり治安の良い町じゃないからね。場合によっちゃ喧嘩になりそうだ。様子を見てくるか)

345: 2013/01/19(土) 15:14:19.86 ID:z5wWihWy0
真「えっと、逆ナンって言ったって……、どういう人に声を掛けたらいいんだろ?」

煙草をふかす6代目(CV徳重聡)「はぁ、また東城会の幹部がやらかした……」

ダンディな老人(CV渡哲也)「ビューティフォーアイズ……」

金髪の太っちょ(CV宮川大輔)「神室町は琉球街と違うなぁ」

真「なんか色々いるなぁ。えっと、逆ナンしやすそうな人は……」

気弱そうな眼鏡「うーん、律子姉ちゃんも人使いが荒いよー」

真「あの子とか良いかな? 行ってみよう!」

真「コホン! 声を作って……。うっふん、ねぇそこのキ・ミ?」

気弱そうな眼鏡「へ? 僕ですか?」

真「そ・う、キミ。ねぇ、今暇かしらん?」

気弱そうな眼鏡「え? えっと、暇なようなそうでも無いような……」

真「そう? それじゃあ、お姉さんと遊ばない?」

秋山(……真ちゃん、いろいろ間違えているよ)

346: 2013/01/19(土) 15:21:53.72 ID:z5wWihWy0
気弱そうな眼鏡「で、でも……ええ?」

真「ねぇ、ダメかしらん?」

秋山(声だけは色っぽくなってるけど、まだカラダが追い付いていないぞ……)

真(あっ、秋山さん! どうですか?)←目線で話す

秋山(どうもこうも根本的に間違えてるよ!)←目線で話す

真(あっ、やっぱいい感じですか? 流石秋山さん、見る目が有りますね!)←目線で話す

秋山「……伝わらないよね、そりゃ」

気弱そうな眼鏡「あ、あのー。もしもーし」

真「あら、ごめんなさい、子猫ちゃん」

気弱そうな眼鏡「こ、子猫ちゃん!?」

真「今からお姉さんが、イロイロ教えてあ・げ・る」

気弱そうな眼鏡「ぎゃおおおおん! すみません! 用事思い出しました! 失礼しまーす!!」

真「あれ? 行っちゃった。いい線行ったと思ったんだけどなぁ」

秋山(どうやら真ちゃんは女の子と言うものをずれた認識で見ているようだ)

347: 2013/01/19(土) 15:26:28.00 ID:z5wWihWy0
真「はぁ、最初の子は行けそうだったんだけどなぁ。そうこうしているうちに後3分だよ。どうしよ」

怒るチンピラ「おい! どこ見て歩いとんじゃい!!」

気弱そうな眼鏡「す、すみません!」

痛がるチンピラ「い、いだいよおおお! 肩が、肩の骨がばっきばきだよおおおお!」

怒るチンピラ「おいこらどうしてくれるんじゃい! こいつはなぁ、プロからも注目されとうピッチャーやねんぞ!? ああ、大丈夫か!?」

痛がるチンピラ「いだいいだいいだい……」

怒るチンピラ「ああ、なんて可哀想なんや。この落とし前、どうつけてくれるんや?」

気弱そうな眼鏡「ひ、ひぃぃ」

怒るチンピラ「ああ? よく見ればお前、可愛い顔しとるやないか」

気弱そうな眼鏡「へ?」

怒るチンピラ「おい! こいつをホテルに連れ込むぞ!」

気弱そうな眼鏡「えええええ!?」

348: 2013/01/19(土) 15:30:21.55 ID:z5wWihWy0
怒るチンピラ「こないな気持ち、初めてやぁ」

気弱そうな眼鏡「ぎゃおおおおん! 誰でもいいから助けてくださーい!!」

真「さっきの子だ! 助けに行かなきゃ!」

秋山(危なくなったら消火器投げてアシストするか)

真「止めろ! 嫌がってるじゃないか!」

気弱眼鏡「あれ? さっきの痴女さん?」

真「痴女ってボクのこと!? 酷いよそれは!」

気弱眼鏡「い、いやあれは誰がどう見ても痴女でした」

真「女扱いされたのは嬉しいけど、痴女はなぁ」

怒るチンピラ「なんや? 兄ちゃん、俺らにケンカ売るっつうんか?」

真「兄ちゃん?」

怒るチンピラ「舐めたら開かんぞ兄ちゃん! 俺は神室町で15番目ぐらいにつ」

真「シャァ!!」

怒るチンピラ「ひでぶ!」

349: 2013/01/19(土) 15:34:07.66 ID:z5wWihWy0
真「今、兄ちゃんって言ったよね……? 男扱いした、よね……?」

秋山(あーあ、やっちゃったか?)

真「ボクは女の子だぁい!!」

怒るチンピラ「ごぎゃっ!」

痛がるチンピラ「マサトー!? お、憶えておけええええ!」

真「滅茶苦茶元気じゃんか。はぁ、どうしていつもこうなるんだろう……。怪我はない?」

眼鏡「は、はい……」

真「この町ってさ、結構治安が悪いからさ、気を付けなよ? って時間がやばい! そろそろ何とかしないと!」

眼鏡「あ、あの!」

真「え? 何かな? ちょっと急いでて……」

眼鏡「えっと、その……。兄貴って呼んでいいですか!?」

真「へ? 兄貴? えっと、分かってると思うけど、ボク女の子」

眼鏡「それでもです! かっこよすぎて惚れました!! 弟子にしてください!!」

真「え、ええええ!?」

355: 2013/01/19(土) 23:54:50.17 ID:u2hzgxDm0
眼鏡「待ってください兄貴ー!」

真「待たないって!」

眼鏡「兄貴ー!!」

真「うわああん! せめて姉御にしてよー!」

YOKO「……」

秋山「……」

YOKO「一応、王子ちゃんの魅力にやられたのよね?」

秋山「真ちゃんは認めたくないでしょうけどね」

YOKO「まっ、そうすぐに上手くいかないわね」

秋山(真ちゃん、強く生きろ。一杯悩むことも重要だ)

眼鏡「真の兄貴、一生ついていきます!」

真「だあああ! KONNANじゃないっ! のに!」

菊地真、テスト合格……?

356: 2013/01/20(日) 00:00:43.60 ID:GH60I16f0
秋山(真ちゃんには気の毒なことをしてしまったかな。また何か埋め合わせをしておくか)

秋山(さて、これで残すはあと1人。本人は意図してるか知らないけど、765プロの盛り上げ隊長春香ちゃん)

秋山(漢字は違えど、どうも俺は『はるか』って子に縁が有るのかね?)

春香「あーきやーまさーん! 私のこと忘れてませんよねー?」

秋山「忘れるだなんて嫌だなぁ。ちゃんとトリを残しておいてあげたんだから」

春香「いつ呼ばれるかドキドキしてましたよー!」

秋山「さて、待たせた分きっちりとテストをしないとな」

春香「はい! 秋山さん、私どんなことでもやってのけますよ!!」

秋山「良い心がけだ! それじゃあ……」

律子「すみません秋山さーん! 少し買い出しに行ってきてくれませんかー?」

秋山「買い出し?」

律子「はい、備品がいくつか切れちゃって。他の子はクリスティーナのレッスン中ですし、私もちょっとやることが有るもので」

小鳥「すみません、私も電話応対を受けなくちゃいけませんので。恐縮ですが、お願いできますか?」

357: 2013/01/20(日) 00:10:21.63 ID:5P3hMBLZ0
秋山「動けないなら仕方ないね。何を買ってこればいいかな?」

律子「はい、これです。ドンキに行けばまぁ大体揃ってると思いますよ?」

秋山「まっ、あそこはテーマパークみたいなもんだしね」

春香「私も行きます!」

秋山「んじゃ、買い出し行ってからテストを始めるとしますか」

春香「はい!」

ドンドンドン ドンキー ドン・キホーテ♪

春香「私ドンキホーテのBGM歌えるんですよ」

秋山「それはまた、自慢できるかできないか微妙なところだね」

春香「そう言うこと言わないでくださいよー! 結構クラスの皆には好評ですよ? 秋山さんは学生時代どんな人だったんですか?」

秋山「どうだったかな。東都大に入るために勉強したかと言うとそうでもないしなぁ」

春香「へぇ、凄いですねー。あっ、これで最後ですね」

店員「ありがとうございましたぁ」

358: 2013/01/20(日) 00:19:43.26 ID:A9WMhemZ0
春香「秋山さん、結局私のテストはなんなんですか?」

秋山「そうだね、忘れるところだったよ。キミへのテストは……」

春香「あれ? あそこでなんか向こう人だかりが出来てますね」

秋山「本当だ。ミレニアムタワー前で大道芸でもやっているのか?」

野次馬1「おい、あれヤバくねーか?」

野次馬2「飛び降りたら一発であの世行きだぞ?」

春香「あ、秋山さん! あれ見てください!!」

秋山「なっ! あいつ、あそこから飛び降りる気か!?」

眼鏡の青年「し、氏んでやるー!!」

秋山「おい! そこのあんた! 飛び降りる気か!?」

眼鏡の青年「もうこれ以上誰にも迷惑かけたくないんだよー!!」

春香「聞こえてませんよ!」

秋山「くそっ、あれだけ高けりゃ聞こえないか」

359: 2013/01/20(日) 00:22:55.66 ID:SQQh93Ux0
秋山「仕方ない、上に上がって止めて……」

眼鏡の青年「と、飛び降りてやるー!」

真島「んじゃさっさと飛び降りろや!」

眼鏡の青年「へ? わあああああ!?」

春香「お、落ちてきます!!」

秋山「ちょ、真島さん! あなたって人は……」

春香「あ、秋山さん?」

秋山「ちょっと離れてて。行くぞ! おらっ!!」

眼鏡の青年「ぐはっ!!」

春香(上から落ちてくる人を足で蹴り上げて勢いを頃した!?)

秋山「ったー……、こりゃ骨折れるわ」

春香「だ、大丈夫ですか!? 今とんでもないことしてましたけど」

秋山「あー、松屋に行けば問題ないよ」

春香「病院に行ってください!!」

360: 2013/01/20(日) 00:27:52.68 ID:SQQh93Ux0
秋山「俺よりも、おいあんた! 生きてるか!?」

春香「大丈夫ですか!?」

眼鏡の青年「うぅ……」

春香「良かったぁ、気を失ってるだけですね」

秋山「それはいいんだけど、どうやら流石に神室署も動いたみたいだ。見つかると色々と面倒なことになるし、こいつ連れて事務所に戻るか」

春香「は、はい!」

眼鏡の青年「うぅ……」

春香「あのー、何か落とし……、免許証?」

秋山「赤羽根……、彼のものみたいだね。とりあえず、事務所に急ごう。律っちゃんたちにどう説明したものか?」

春香「空から降って来たって言って信じるかな……」

秋山「金とか号外が空から降る町だからなぁ。空から女の子が落ちてきても何ら気にしないだろ、この町は」

春香「ははは……」

361: 2013/01/20(日) 00:32:45.54 ID:SQQh93Ux0
赤羽根「こ、ここは……」

小鳥「秋山さん、目が覚めましたよ!」

秋山「そいつは良かった。よう、氏にかけた心地はどうだった?」

赤羽根「氏ぬかと思いました」

秋山「だろうねぇ。しかし真島さんも無茶をする。あんなの下に俺とか桐生さん冴島さんクラスの人間がいなきゃ、あんたは今頃お陀仏だよ」

赤羽根「いえ、氏のうと思ってあそこに立ったんです。だけど、怖くなって……」

秋山「もたもたしているうちに真島さんに蹴飛ばされたと。まっ、場所が悪かったね。ミレニアムタワーに組の事務所有るの知らない? あんたを蹴飛ばしたのそこの組長さん」

春香「え、えっと! 赤羽根、さんで良いですよね?」

赤羽根「え? どうして俺の名前を?」

春香「さっき免許証を見ちゃって……。あっ、でも名前のところしか見てませんよ?」

秋山「赤羽根君さ、一体どうしたのさ? 氏にたいってことは、何か嫌なことでもあったんじゃないの?」

赤羽根「借金が返せなくなったんです」

秋山「借金ねぇ」

362: 2013/01/20(日) 00:39:24.32 ID:WWbX1RGf0
春香「あの、差し出がましいとは思いますが、いくらぐらいですか?」

赤羽根「1000万、です」

秋山「これはこれは。高槻さんちの2倍か」

赤羽根「それに仕事が決まらないし好きな子には散々な振られ方するし、それで生きていくに疲れちゃったんです」

秋山「就活生なの? 確かに最近、不景気で仕事取るのも大変だと思うけどさ、氏のうだなんてことはないよ?」

赤羽根「あの、ところで気になっていたんですが、ここどこですか? 病院じゃなさそうですけど」

秋山「ああ、ここね。おたく、765プロって知ってる?」

赤羽根「ええ、まぁ。名前ぐらいは」

秋山「有名なのかそうじゃないのかイマイチ分からない事務所だな。俺は秋山駿、スカイファイナンスって金貸しやってんの」

赤羽根「金貸し? とてもそうは見えないけど」

秋山「まっ、強面のおじさんたちよりかは親しみやすいよね」

春香「私は天海春香です! これでも、アイドル候補生なんですよ?」

赤羽根「アイドル? そうですね、アイドルがいないと芸能事務所成り立ちませんもんね」

363: 2013/01/20(日) 00:44:43.99 ID:WWbX1RGf0
赤羽根「その、すみません。ご迷惑をおかけして」

秋山「全くだよ。あんなとこで氏なれちゃ、色んな人に迷惑掛かるの分かってるんじゃないの?」

赤羽根「はい。だから誰にも迷惑を掛けないように、樹海でクビを」

春香「ダメです!」

赤羽根「え?」

春香「自殺だなんてダメです! 借金も就活なんも失恋も辛いかもしれません、ですけど! 明日はもっと楽しい1日が待っているかもしれません! だから、氏ぬなんてダメです……」

秋山「俺も彼女の言うとおりだと思うよ? 人生さ何がどう転ぶか分からないわけ。あんたが今見ている地獄も、何時かは天国へと変わる。そう思っとかないと」

赤羽根「無理ですよ。今まで俺、良いことなんか一つもなかったんだし。生きてるだけで迷惑なんです」

秋山「はぁ。そう言いながらもさ、真島さんに蹴られて氏を意識したとき、あんたの顔は恐怖に歪んでたよ? 氏ぬの、怖いんでしょ?」

赤羽根「でも生きるのもしんどい」

秋山「あー! じゃあこうしよう! 春香ちゃん、君へのテストを今決めた」

春香「今ですか? それどころじゃないと思う」

秋山「赤羽根君に生きる希望を与える、それが君へのテストだ。どんな手段でもいい、とにかく赤羽根君に、明日も生きようと思って貰うんだ」

364: 2013/01/20(日) 00:53:29.43 ID:WWbX1RGf0
春香「ど、どんな手を使って持って……、え? それがテスト、ですか? 人命掛かってるんですよね」

秋山「最悪俺が何とかするが、それでも君の言葉なら彼に届くかもしれない」

春香「一応聞きますけど、その根拠は?」

秋山「ティンと来た」

春香「ふぅ、ちょっと予想外の展開でしたけど……、私頑張ってみます。これも縁ですしね」

赤羽根「はぁ……、いっそゾンビに噛まれたら気分いいんだろうなぁ……」

春香「赤羽根さーん! そんなクヨクヨしないでください、ね?」

赤羽根「はぁ……」

春香(ぐぬぬ、これは強敵ですね……)

春香「そうだ! こういう時は、歌って嫌な思いをすっきりさせるのが一番ですよ! カラオケ館に行きましょう!!」

秋山「それじゃ、行きますか!」

春香(あっ、秋山さんも来るんだ)

365: 2013/01/20(日) 00:56:54.78 ID:MN1nVwwt0
カラオケ館

春香「ゴマエー」

秋山「FOOO!」

赤羽根「はぁ」

春香「ゴマエー」

秋山「オイッ!」

赤羽根「あぁ……」

春香「頑張ってゆきましょう」

秋山「はいはい!」

赤羽根「いえー」

春香「一番大好きな」

春香&秋山『私になりーたーいー』

赤羽根「はぁ……」

春香(う、歌いにくい……)

366: 2013/01/20(日) 01:07:34.86 ID:MN1nVwwt0
秋山「ダメだね ダメよ ダメなのよ」

春香「切ない歌ですね……」

赤羽根「……」

秋山「あんたが 好きで 好きすぎて」

春香「ヒュー!」

赤羽根(俺なにしてんだろ)

秋山「どれだけ 強いお酒でもー」

春香「秋山さんの歌、心にしみます……」

赤羽根「サイッコー↓」

秋山「歪まない 思い出が 馬鹿みたい」

秋山「春香ちゃん、なかなか情熱的な愛の手だったよ。気持ちよく歌えたよ」

春香「さぁ! 次は赤羽根さんですよ!」

367: 2013/01/20(日) 01:11:33.73 ID:MN1nVwwt0
赤羽根「あるー日突然考えた どうして俺は頑張ってるんだろ」

赤羽根「家族のため 自分のため 考えるのはもうやめた」

春香「あちゃー」

秋山「明日があるさが明日がないさになってしまったな……」

赤羽根「はぁ、ホント俺、何してんだろ」

春香「カラオケは失敗でしたか……」

秋山「俺は楽しかったけどね」

春香(歌ってる途中で踊り出すのは笑いをこらえるのに必氏だからやめて欲しいな……)

秋山「しかし、どうしたものかね……。春香ちゃんが赤羽根君みたいにどうしようもない事態に陥った時、それを乗り越えることが出来たら彼も希望を……」

春香「秋山さん?」

秋山「ねえ、春香ちゃん。今からライブバトル出来る?」

春香「今からですか!? ずいぶんと急ですね……、って何でですか?」

秋山「赤羽根君に見せてやるのさ。諦めないことの大切さをね」

368: 2013/01/20(日) 01:26:18.50 ID:MN1nVwwt0
伊織「で、何で私らが呼び出されたのよ!」

真「そうですよ。クリスティーナのレッスンを受けてたのに」

秋山「なんだかんだ言いながらきっちり着替えてきてくれたじゃないの。感心感心」

雪歩「あのー、秋山さん。これって……」

観客「FOOOOOO!!」

秋山「何って、フェスだよ。見たことない? プリンセスリーグ」

春香「えっと、大阪でやってるあれですよね。私の実家じゃ映らないんですよ。だから小鳥さんにビデオ貰って……、ってここ、地下ですよね?」

秋山「この町の地下だね」

律子「下水道通りましたからね。ってなんでこんなに人がいるんですか。つーかなんですか! この現代の吉原は!?」

伊織「賽の河原って言って言うのよ。都市伝説かと思ってたけど、本当に有ったなんて」

秋山「友達には内緒だぞ?」

響「いや、言っても信じて貰えないぞ」

秋山「さて、赤羽根君。これから彼女達はライブに出るわけだが、君はその姿を焼き付けるんだ。春香ちゃん達が相手するのは、かなりの強敵だ。勝てるかどうか、分かったもんじゃない」

秋山「だけど彼女達は諦めないはずだ。どんなに手ごわい相手でも、彼女らは諦めるってことを選択しないからね」

369: 2013/01/20(日) 01:31:08.83 ID:GH60I16f0
亜美「アッキー、うちらの相手ってどんな人なの?」

真美「わざわざ開いちゃうぐらいだから、めちゃんこ凄い相手なんだよきっと」

千早「しかし13人全員を借り出すとは……、全員の力を合わせないと勝てない相手と言うことですね」

秋山「ああ、相手は1人だけど、恐らく君たちが今まで見たアイドル達と格が違うだろうな」

美希「なんでもいいけど、早く始めたいな。ミキ、今日は絶好調だよ?」

あずさ「えっと、あまり無茶しないようにね」

やよい「昨日はゆっくり休んだから、体力有り余ってます!」

貴音「秋山殿、こちらの準備は万全です」

秋山「そう? それじゃあ行くけど、やり残したことは?」

春香「みんな! いつものあれ、しようよ! ほら、秋山さんも赤羽根さんも!」

赤羽根「え? 俺も?」

秋山「折角なんだ、君も付き合いなよ」

春香「それじゃあ765プロ……、ファイトー」

『オー!!』

370: 2013/01/20(日) 01:36:21.92 ID:9b6uWt820
伊織「どうやら向こうも準備が済んだみたいね」

春香「どれだけ凄い人たちか分かりませんが、みんなで力を合わせれば越えられない壁は有りません!」

秋山「おっ、言うじゃない。それじゃあ、始めようか」

秋山「レディースエーンドジェントルメーン! 大変長らくお待たせしました。それではこれより、765エンジェルVS初音ミクのライブバトルを始めたいと思います!!」

真「は、初音ミク!?」

律子「ちょ、ちょっと秋山さん! 初音ミクって、あの初音ミクですか? 私たち、ボカロと対決するんですか!?」

やよい「ボカロ?」

亜美「やよいっちは貧乏だからしらないよねー」

あずさ「こらこら、そういうことを言っちゃだめですよ?」

秋山「勿論、初音ミクと言うのは参加するアイドルの芸名、彼女は素顔と名前を明かさない代わりに、このライブへの参加を認めてくれました」

伊織「覆面アイドルって奴ね」

千早「本当にボーカロイドと対決するのかと勘違いしてしまったわ……」

371: 2013/01/20(日) 01:40:07.47 ID:9b6uWt820
秋山「それでは、入場してもらいましょう! 初音ミクです、どうぞ!!」

ミク「こんにちわー!」

春香「へ? 伊織?」

伊織「何よ?」

春香「いや、今伊織が喋ったみたいな……」

伊織「はぁ? 何よそれ」

ミク「初音ミクです。今回のライブ、少し事情があってこのような形での参加となりますが、皆様を精一杯楽しませますので、盛り上がってくださいね!」

観客『FOOOO!!!』

『はるかああああああ!!!』

ミク「!? お、おじさん……」

春香「へ?今私が呼ばれた?」

伊織「あら、随分野太いファンもいるものね」

響「今の声、どっかで聞いたような……」

372: 2013/01/20(日) 01:51:27.33 ID:smfdAAvG0
春香「えっと、初音ミクさん? 私たちも負けちゃいません! 今日のライブ、全力で楽しんでってくださいね!!」

観客『FOOOO!!!』

貴音「相手にとって不足は無しですね」

亜美「んっふっふ~、ライブに勝って本性暴いちゃうよ?」

真美「いざ、しゅっつじーん!!」

雪歩「思いっきり行きます!!」

伊織「声が似ている? 気のせいよ!!」

ミク「久しぶりのライブ、楽しみだな」

春香「赤羽根さん、見ててくださいね!! 私たちの、ライブを!!」

赤羽根「……!」

秋山「それではライブバトル……スタート!!」

KONNANじゃないっ!

373: 2013/01/20(日) 02:30:25.40 ID:smfdAAvG0
秋山「やっぱり、遥ちゃんは勿体ない存在なんだよな」

赤羽根「?」

秋山「ああ、こっちの話ね。どう、ライブを見た感想」

赤羽根「初音ミク、凄いですね。アイドルのことが分からない俺でも、違いは分かります」

秋山「彼女、10年に1人の逸材だってさ。あらゆる人間が遥ちゃんに夢を見た。彼女の夢のために自分の夢を諦めた男、彼女に夢を見た女、そして夢を受け継いでステージに立った。彼女はね、夢叶えし者なんだ」

赤羽根「夢叶えし者……」

秋山「そして、自分がずっと持ち続けていた夢を最後に叶えた。あれはさ、非難されても仕方ないと思うけど、彼女たちの絆の形なんだ。ホント、育ての親に良く似たもんだ」

赤羽根「ああ! またミクがアピールを!」

秋山「何、彼女たちだって負けちゃいないさ。団結と才能、勝つのはどっちか? これはこれで、気になるね。赤羽根君」

赤羽根「何ですか?」

秋山「氏にたいって言う前にさ、もう一度夢、見てみなよ。どんなものでもいい、きっと生きる気力が生まれるからさ」

374: 2013/01/20(日) 02:43:28.47 ID:ASLEVLR/0
赤羽根「……」

秋山「彼女たちさ、必氏なんだ。自分たちの夢を叶えるために、毎日大変なんだよ。理不尽な思いをしたって、悲しいことが有ったって、最後は全員で立ち上がるんだ。それが彼女たちの、輝きだ。いやホント、いい顔してるよ」

赤羽根「彼女たちの輝き……」

秋山「おや、みなさんお揃いで」

赤羽根「え?」

品田「そっ! 最後まで諦めるもんじゃないよ。世の中、何が待ってるか分からないんだからさ」

谷村「だな。あんたもさ、こんなところで終わりたくないでしょ?」

龍司「生きてこそ、出会いがあるんや」

冴島「そうや。氏ぬまでに、全部やりきらなアカン。自分はまだ、氏ぬわけにいかへんはずや」

真島「それでも氏にたい言うんやったら、この場でやったるでぇ!」

桐生「1つ、憶えておくんだな。俺達は立ち止まらない、そして全力で生きて、戦い抜いて、最期に氏ぬ時が来たらこう言うんだ」

桐生「生きてて良かったってな」

765エンジェル&ミク『信じてみよう 私は こんなんじゃないはず~♪』

情熱オールスターズ『らーらーららーらーららららららー』

赤羽根「……らーらーららーらーららららーらー!」

KONNANじゃないっ!

375: 2013/01/20(日) 02:51:48.70 ID:ASLEVLR/0
赤羽根「秋山さん! 俺、生まれ変わります! 最期までしぶとく生きて、夢を見つけてみます」

秋山「あんたの目、悪くないぜ。金が必要になれば、いつでも来なよ。テストを受けて貰うけど、本当に変わりたいのなら、俺は力を貸すからさ」

赤羽根「その時は、よろしくお願いします!!」

品田「秋山さん、結果発表結果発表!」

秋山「おっと、そうだったな。それじゃ、行ってきますかね」

秋山「お待たせしました! 結果発表だー!! よりライブを盛り上げたのは――!!」

――

遥「ふぅ、楽しかったな!」

律子「まさかミクの中の人が……」

春香「澤村遥ちゃんだったなんて!!」

真美「ほんと、いおりんと声が似てるよねー」

亜美「魂が一緒なんじゃない?」

伊織「どういうことよ! でも流石の私もびっくりしたわ。本当に澤村遥を引っ張ってくるなんて」

遥「えへへ、ゴメンナサイ。素性を隠す真似をしちゃって。本当は私、ステージに立つ資格は無かったんだけど、秋山さんに誘われて。すっごく楽しかったよ!」

376: 2013/01/20(日) 02:56:32.09 ID:Zf2AtEFt0
あずさ「秋山さんに感謝しなくちゃね」

美希「今日は負けちゃったけど、次は絶対に勝ってやるの!」

響「負けっぱなしは癪だからなー!」

貴音「次会う時は、こうもいきませんよ?」

遥「あはは、またステージに立たなきゃいけないのかな」

真「勝ち逃げは許さないからね!」

やよい「次は負けませんよ!!」

雪歩「次に会う時は、私たちももっと素敵なアイドルになっていますから」

千早「楽しみに待っててくださいね」

遥「うん。皆が活躍するとこ、楽しみにしてるね」

春香「絶対勝ってみせるからね!!」

桐生「遥、帰るか。アサガオでみんなが待っている」

遥「うん。それじゃあ皆、またね!」

377: 2013/01/20(日) 03:04:10.39 ID:WBH9629/0
真島組 イベントホール

真島「目と目が合う瞬間好きやと気付いてもうたわぁ!」

千早「真島さんは相変わらずですね」

真島「なんや、姉ちゃんか。俺の歌に聞き惚れたかぁ?」

千早「まさか! でも、楽しそうに歌ってて、素敵だと思います」

真島「いっひっひ! そらええわ! おい、次は姉ちゃんとデュエットや!! お前ら、しっかり盛り上げろやぁ!! さもないと、指詰めるでぇ!!」

千早「そ、それは流石に可哀想かなと思うんですが……」

――

たこ焼きの屋台

雪歩「そーっと、そーっと……」

龍司「おう、そこや。そこを一突きで逝かせるんや」

雪歩「えっと、ごめんなさい!!」

龍司「中々筋がええんとちゃうか? やけど驚いたな、たこ焼き屋を手伝ってみたいってどんな風の吹き回しや」

雪歩「え、えっと! 男の人が怖いままは嫌ですから。郷田さんは、まだ大丈夫ですし、たこ焼き屋の売り子なら慣れるかなって」

龍司「まぁ、頑張れや。もう少しやったら、秘伝の味を教えたるわ」

378: 2013/01/20(日) 03:10:02.20 ID:WBH9629/0
韓来

貴音「ふむ、このホルモンの焼き加減。素晴らしいですね」

花「ですよね! 社長ったら、あんまり食べない方がいいとか言いますけど、無理がありますよね!」

貴音「ええ、これは食べなければ、人生を損しているとしか言えません」

花「そう言えば! 四条さんって、一体何者なんですか? 賽の花屋もつかめないってよっぽどですもん」

貴音「花嬢、わたくしの正体は……」

貴音「とっぷしぃくれっとでございます」

――

キャバクラ エリーゼ

律子「こら! 違うでしょ、そこはこの話題を……」

キャバ嬢「は、はい!!」

店長「ナオミちゃん、張り切ってるねー」

律子「あっ、店長」

店長「もう来ないかと思ってたのになぁ。嬉しいけどね」

律子「まぁ、結構楽しかったですしね。色々学べましたし、悪くない経験でした。あっ、店長! お店の内装なんですけど、ここをこうして……」

379: 2013/01/20(日) 03:18:12.30 ID:nFxfZDcJ0
劇場前広場

若者「ゴミ箱ないのか、その辺に捨て……」

美希「……」
ユウヤ「……」
ホームレス「……」

若者「……ずにちゃんとゴミ箱に捨てるか、うん」

美希「この町も綺麗になったね」

ユウヤ「ホント、数日前が嘘のようだ。感謝してるぜ」

ホームレス「ですな。拾えるものが減ったのは少しさびしいですがな」

美希「こらー! ここはポイ捨て禁止なのー!!」

――

昭和通

大誤算な6代目「ま、また腹が……! くそっ、こんなところで……」

伊織「あのー、もしかしてこれいりますか?」

6代目「そ、それは! 水無し一錠のあれ!! た、助かりました!!」

6代目「ふぅ、生きているって素晴らしい。このご恩は……」

伊織「えっと、それじゃあ……。厚かましいかも知れないけど、私のCD、買ってくれるかしら?」

伊織(まっ、別に悪いことじゃないわよね。これでファンになって貰えれば万々歳だし)

380: 2013/01/20(日) 03:23:13.00 ID:ITR90taf0
バッティングセンター

品田「良し来た! ホームラン!!」

あずさ「あら、品田さん。凄いですね~」

品田「あれ、あずささん! どうしたんですか? もしかして俺に会いに」

夢子「見つけましたよお姉さま!」

あずさ「あら、夢子ちゃん。迎えに来てくれたの?」

夢子「ほら、急がないとオーディションに間に合いませんよ?」

あずさ「それは大変ね。すみません、品田さん。私はこれで……」

品田「まっ、んなワケないよね! ホームラン!!」

――

レストラン

やよい「ここがお父さんの働いているお店かー」

長介「な、なんか高そうだな姉ちゃん」

タツヤ「あっ、こっちこっち! 高槻さんのご家族ですよね?」

長介「この人テレビで見たことある人だ!!」

やよい「えっと、お父さんは……」

タツヤ「あそこで元気に働いているよ。そうそう、高槻さんのアイデアのもやしセット、食べてみる?」

やよい「じゃあそれ食べます!」

381: 2013/01/20(日) 03:30:47.38 ID:3yRlwiNB0
冴島「そうか、秋山から金借りれてんな」

響「まぁな! 自分完璧だから、テストもパーフェクトに終わらせたぞ!」

ハム蔵「ぎゅい!」

響「自分のお金じゃないけどさ、絶対今より売れて、秋山さんと事務所に返すんだ。その後、みんなにもっと美味しいもの買えると思うし」

冴島「せや、それがええ。借りは作らんに限るからな」

響「冴島さんもありがとうね。もしあの時助けてくれなかったら、きっと自分はみんなと別れていたと思うから」

冴島「そうでもない。そいつらは、自分のことを家族って思っとるからな。俺がおらんでも、なんとかなっとったやろ。さてと、馬場ちゃんまたしてるしそろそろ戻るかな。じゃあな、響」

響「冴島さんなら、いつでも歓迎するぞ! 今度は刑務所じゃなくて、沖縄の自然を楽しんでほしいな!」

――

亜美真美『奥義! 虹色プリズムスター!!』

クリスティーナ「身のこなしは素晴らしいですが、もう少し堅実に踊るということをマスターしなければいけませんね。自由な表現と、無秩序は似ていませんからね」

亜美「うーん、クリスチーナの言ってることが分かんないよー!」

真美「亜美は子供だなぁ、真美はちゃんと理解したもんね!」

亜美「じゃあ説明してよ!」

真美「それは……あれだよ!」

亜美「理解してないじゃん!」

クリスティーナ「そこまで。理解するまで何回でも続けますよ?」

亜美&真美『はーい!!』

382: 2013/01/20(日) 03:35:36.98 ID:h0VPGgfC0
真「きゃっぴぴぴぴーん! まっこまっこりーん!」

YOKO「はぁ、間違えているということを分かっていないんでしょうね……」

眼鏡の弟子「流石です兄貴!! 僕もマスターしてみせます!!」

真「そう? じゃあ一緒に行くよ、涼!」

真&涼『まっこまっこりーん!!』

YOKO「まぁ、本人たちが楽しそうなら別に良いのかしらね?」

真「YOKOさんもしませんか? せーの!」

YOKO「まっこまっこ……ってするわけないでしょ!!」

――

スカイファイナンス

春香「えっと、そう言えば秋山さん」

秋山「ん? どうかした?」

春香「私、まだテストの結果聞いてなかったんですよね。秋山さん、結局プロデューサーはしないって言っちゃうし、私だけどうだったか知らないままなんですよ」

秋山「あー、素で忘れていたわ……」

春香「もう! 扱い酷くないですか?」

383: 2013/01/20(日) 03:41:01.70 ID:LSXiHWS50
春香「あの後赤羽根さんがどうなったかも知りませんし、それに秋山さんはどうしてプロデュースしないって言ったんですか?」

秋山「まあ、俺よりももっとうまくプロデュースしてくれるだろう人間を見つけてね。社長からも了承済みさ」

春香「秋山さんよりうまいんですか?」

秋山「正確には、君たちアイドルとともに成長するプロデューサーってとこかな。俺がそのままプロデュースするよりも、彼の方が君たちも輝けると思ってさ。それに、本職も忙しいからね」

春香「そうですか? 秋山さんが集金しているところ、見たことないんですけど」

秋山「色々やってるんだよ」

春香「そうですか? あっ、そう言えば」

秋山「ん?」

春香「今日の予定が全て終わったら、事務所に来て欲しいって言われてたんでした! それじゃあ秋山さん、また会いましょうね!!」

秋山「ふぅ、行ったか。なんだかんだ言っても、プロデューサー生活も結構楽しかったけどね」

秋山「でも、こっから先は彼に任せるとしようか。きっと彼女たちが、彼の夢になるだろうし」

秋山「さて、カラオケでも行くかな」

384: 2013/01/20(日) 03:50:06.78 ID:tUL3yBrG0
赤羽根『秋山さん! 俺に1000万円、融資してほしいんです』

秋山『おや、やる気ってことで良いんだね』

赤羽根『はい。俺はもう現実から逃げません』

秋山『よろしい。そう言えば、まだ赤羽根君就職先決まってないよね?』

赤羽根『そ、そうですけど……』

秋山『それじゃあさ、今から面接に行ってほしいんだけど。ここの』

赤羽根『こ、これは……!』

秋山『出来るかな? いばらの道だよ? それでも、人生を変えたいのなら、俺は手伝うよ』

赤羽根『やります! 俺、頑張ります!! 新しい夢、見つけてみます!!』

秋山「しっかりやれよ? 赤羽根プロデューサー」


P「みんなまとめてトップアイドル!! それが俺の夢だ!」

春香「! よろしくお願いしますね、プロデューサーさん!!」

天海春香、プロデューサー、テスト合格!!


                         完                              

385: 2013/01/20(日) 03:53:49.03 ID:5P3hMBLZ0
これにてこのお話は完結です。ゾンビを投げっぱなしにしたり、谷村を強引に出したりで長々として粗だらけでしたが、楽しんで頂けたのなら幸いです。
読んでくださった方本当にありがとうございました!!

386: 2013/01/20(日) 07:50:51.09 ID:pkAijqsPo
乙乙
龍が如くSS少なかったから良いもの見たぜ

387: 2013/01/20(日) 11:35:29.32 ID:O0jKLIhIO
でもなんで1000万も借金してたんだろう?

390: 2013/01/20(日) 13:17:08.31 ID:MUgLCSgB0
Pの借金について明言はしていませんが、一応自分の中では>>388の方の言うように、保証人にされたって考えています。あまりPのことを掘り下げすぎるのもどうかと思ったので、そんな感じで捉えておいてください。

実はこのSSの冒頭部分と千早編だけは半年ぐらい前にVIPで書いたことが有ります。そのリメイク版って感じなので、書いた後に秋山さんがプロデューサーになるじゃなくて、朴社長みたいな理由でライブを開くための方が良かったかなと後悔してます。
でもそのおかげで、最後に遥とライブバトルが出来たので、まぁなんとかなるもんですね

龍が如くSSもアイマスSSもこれからも書いて行けたらなと思います。この2作品はクロスしやすいので、もしかしたらまたクロスで書くかもしれません。桐生さん達が765プロに嵌って嫉妬した遥が喧嘩を売りに行ったり、あずささんの恋人役を頼まれる桐生さんだったり色々有りますね。
龍が如く名物早脱ぎをどこかしらに入れたかったのですが、叶いませんでした。3~5のキャラが中心で、1,2のキャラがあまり出なかったのも反省ですね。殆ど氏んでいるから使いにくいってのもありますが。

HTML化は夕方か夜にでもします。最後になりますが、久しぶりの長編を書ききれたのは読んでくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

引用元: 秋山駿「私がプロデューサーに?」