1: 2013/03/18(月) 19:37:13.05 ID:sKSb1W1X0
 ──身体に異常なし、脳のプログラムは……まだ初期型か、発注元からの希望は?
 
 ──タイプ〝D〟、詳細はすでに設定済みです。では、第二フェーズに移行させます 
 


          「っ……うぅ、あぁお……あぁ…」

 

 ──ああ、頼んだ。私は他のチェックをしてくる、コレは任せた

 ──了解。じゃあこっちだ、おいで……そうか、言葉も分からないんだっけ君……



           「あぁ……っ、っあぉお…うぁ」



 ──……大丈夫だよ、だって君は今から生まれ変わるんだ……何も怖がることはない

 ──君は、快楽に溺れる人生を、これから一生歩んでいくことになるんだからね


──────────────────────────
   
   ───────────────
とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の心理掌握(2) (角川コミックス・エース)
4: 2013/03/18(月) 19:45:35.63 ID:sKSb1W1X0
    ──9月上旬 土曜日──
 
     ─午前6時30分─


上条「上条当麻の朝は早い。まず、凶暴シスターを起こさないよう、
   こっそりベッドから出るところから一日は始まる」

上条「そして次に、後で起こすことになる腹ペコシスターのために、朝ごはんを作る。
   トースト一枚だと頭を齧られることがあるから、ウィンナーぐらいは付けてやったほうがいい。そして──」

イン「とうま、朝から何をブツブツ言ってるの……?」ムクッ

上条「……あ、あれ、インデックスさん。今日は随分と御早い御起床で……」

イン「とうまがうるさいから、起きちゃったんだよ……ふわぁぁ~……」

6: 2013/03/18(月) 19:52:42.52 ID:sKSb1W1X0
上条「そりゃ朝から同居人が独り言言ってたら起きますよね! 俺のバカぁー!!」

イン「で、とうま。朝ごはんは?」グゥー…

上条「え、えぇーっと……」アセアセ

イン「私を起こすのは、まずとうまが朝ごはんを作ってからって、そう固く誓ったよねとうま?」

上条「えっと、その……」

イン「私がガウガウうるさいからって、そう自分で言ったよねとうま!?」ゴゴゴゴゴ--

上条「あの……イン、デックスさん……? 少し話さな──」

 ガプッ

8: 2013/03/18(月) 20:01:52.86 ID:sKSb1W1X0
 ───────────────
 
   ──午前10時──


上条「ったく、朝っぱらからとんだ災難だったぜ……」

土御門「そりゃあカミやん、シスターちゃんは責められないぜよ」

青ピ「そうやで、女の子の機嫌は取っとくもんやで~カミやん」

上条「てめぇらは俺の気持ちを知らずに……不幸だ」

青ピ「ふんふんふ~ん♪」

上条「……なんだよ青髪。こっちはテンション低迷期だってのに、やけに機嫌がいいじゃねぇか」

青ピ「それがなカミやん、良いチラシを拾ったんや」

土御門「チラシ? そんなことで幸せになれるんだったら、苦労しないにゃ~」

上条「宗教の勧誘チラシか? 口リコン教なんて夢だから止めとけよ」

9: 2013/03/18(月) 20:11:15.15 ID:sKSb1W1X0
青ピ「何を失礼な! これを見てみぃ!」バッ

 
 ソープ『エンジェル』─たくさんご奉仕☆─


上条「青髪、お前……」

青ピ「なっ? この風俗嬢の数々! これをラッキーと言わんでどないするんや!?」

土御門「あーあー期待して損したぜよ、なぁカミやん?」

上条「てか、こんなもんどこで拾ってきたんだよ!? 学園都市のじゃないよな?」

青ピ「えっと場所は……学園都市を出てすぐの所らしいで、いつでもいけるやんッ!」

土御門「風で飛んできたのかにゃー? よく拾ったな青髪ぃ」

上条「まぁ青髪らしいっちゃらしいよな……」ハァ…

青髪「まてまてまてぇい! 君ら少し興味なさすぎちゃうん? 
   健全な男子高校生らしからぬ反応やで、それ」

青ピ「ほらこの子とかっ! バインバイーン、やでっ?」

土御門「なになにー? 〝我が店自慢の仔牛ちゃん〟……。
    こりゃあ傑作ぜよッ、ハッハハ……、ッ!」

10: 2013/03/18(月) 20:21:12.41 ID:sKSb1W1X0
上条「どれ……上条さんも拝見してあげませう。健全な男子高校生を演じてやるよ」

青ピ「んなこといって~。カミやんも隅に置けんの~」

土御門「……」

上条「どれどれー……って、どうした土御門?」

土御門「い、いや……それより最近MYシスターがな──」

上条「流石に可愛い子がいっぱいいるなー……おっ、この子なんて黒髪がよく似合って……、ッ!!」

青ピ「ん、どないしたんカミやん? 絶句するほど可愛い子がいたんか?」

上条「え、いや──」

土御門「あーー!! 今、スク水幼女があのビルの角を曲がってったぜよッ!」

青ピ「なんやて!? ちょっと待っとれー……よし、最大出力やぁぁぁぁーーーー!!」ダダダダダーー

上条「……」

土御門「……」

上条「……おい、土御門!」 

土御門「話したいことは分かってる。場所を変えよう、カミやん」

13: 2013/03/18(月) 20:31:08.85 ID:sKSb1W1X0
────
──

上条「土御門、これ!」

土御門「ああ。御坂美琴のクローン体、妹達〈シスターズ〉に見えるな。……」

上条「でも、ミサカネットワークであいつ等の脳は繋がってるんだろ!? だったら、なんでこんなところに……」

土御門「……最近、嫌な噂を聞いた。一方通行の『絶対能力進化〈レベル6シフト〉実験』が頓挫になり、
    多額の債務を負った科学者たちが──」

土御門「──御坂美琴のクローンデータを他に提供し、別のルートで妹達〈シスターズ〉を売り出している……、
    という噂ぜよ」

上条「……なんで、言わなかったんだ」

土御門「言うも何も、カミやん。学園都市裏での出来事はカミやんの領分じゃない。
    それに、この都市はそういう事もコミで成り立って──」

上条「そういう事って何だよ……」

15: 2013/03/18(月) 20:40:42.25 ID:sKSb1W1X0
上条「そういう事って何だよ……」

土御門「……」

上条「そういう事って何だって訊いたんだッ!!」

土御門「……学園都市とはそういう街ぜよ。それだけの闇があって、仮にそれにカミやんが首を突っ込んだって、
    結局は現状は変えられない……ってことだ」

上条「……俺は結局はただの高校生だって、ただのガキだって分かってる……そんなことは分かってんだよ!!
   でも、知っちまった限りは、そういう事で片付けられる話じゃねぇんだよッ!!」

上条「確かに裏の世界は、土御門の領分かもしれない……だけどな、御坂妹を助けることに関しては、
   それは俺の領分でもあるんだ!!」

土御門「学園都市の闇を払拭することは、絶対に出来ないぜよ。カミやん、自分の力を驕るなよ」

上条「……それでも、せめて、御坂妹だけでも……ッ!!」

土御門「……そういうと思ってたぜよ。あーあ、ま~たタダ働きになるのかにゃー」

上条「土御門……」

土御門「助ける相手を間違えなければそれでいい。
    今回の件については上部にも内密にしておく、カミやん……やるぜぃッ」

上条「……おうッ!」

17: 2013/03/18(月) 20:48:33.14 ID:sKSb1W1X0
 ───────────────
 
  ──正午 学園都市郊外──


上条「GPSによれば、もう少しだな」

土御門「でも、こんな真昼間から開いてるとは思わないにゃー」

上条「……あっ」

土御門「もしかして、気付かなかったのかにゃーカミやん?」ニヤニヤ

上条「……インデックスの昼飯、忘れてた……」ダラダラ

土御門「それは、冗談じゃ済まされない事態ぜよカミやん……」

上条「」ピポパ…prrrrr

イン『うゃぁ! こ、こちら上条ですッ……どちら様で、しょうか?』

上条「あの、インデックs──」

イン『とうま!! とうまなの!? とうまだったら許さない、と~う~まぁ~……!』

上条(こ、こえぇぇぇぇーー!!)

20: 2013/03/18(月) 20:58:25.91 ID:sKSb1W1X0
上条「い、いえ……私常盤台の白井と申しますの~【裏声】」

イン『……誰?』

上条「私上条さんのお友達ですの。上条さんなら、今日は突然の用事で夜まで帰れないとのことですの~【裏声】」

イン『じゃあ、私のお昼ご飯はどうすればいいのかな……?』

上条「え、えぇーっと……きっと、子萌先生なら何とかしてくれますの~。
   行ってみては、如何でせう?【裏声】」

イン『うーん、そうだねっ、子萌ならなんとかしてくれそう。
   それより、なんで常盤台の貴方が子萌のことを──』

上条「あぁ、電波がぁッ!【裏声】」ピッ

上条「……今の一瞬で、何かを失った気がする……」

土御門「ひぃー苦しい! 笑いすぎてッ、疲れたぜよ……!」

上条「不幸だ……」

21: 2013/03/18(月) 21:04:57.01 ID:sKSb1W1X0
土御門「まあ、とりあえずは夜まで待とう。どこかで時間を潰すぜよカミやん」

上条「んなこと言ってもなー、最近医療費が家計を圧迫してるし……それに、
   ここまで来るための交通費だってばかにならなかったし……」ハァ…

土御門「あっ、ちょうど道挟んだ所にファミレスがあるぜよ~。
    フリードリンクだけ頼んで、ダラダラ待つことにしようぜぃ」

上条「おぉ、それならいいぞ」

23: 2013/03/18(月) 21:13:05.46 ID:sKSb1W1X0
────
──

上条「それで土御門、その噂のこと……他に何か知らないのか?」

土御門「だからさっき言ったろカミやん。この世界は本来、黙認によって成り立っている。
    噂はただの噂で終わりぜよ。だが──」

土御門「──それを黙認出来ない事態になった。
    まぁカミやんが知ってしまったからにゃー、しょうがないぜよ」チュー…ズズズー

上条「……ほっとけないだろ、普通」

土御門「そう、それでいい。きっとカミやんが気付くこともコミなんだろうぜ。
    だったら遠慮はいらないぜよ」

上条「土御門……そうだな、きっとそうだ」

土御門「よぉーっし、そうと決まったら決起集会ぜよッ! 
    今からオレが特製元春ミックスを作ってくるぜぃ! 待ってろよカミやんー!」

上条「なんかネーミングからして、あの自信からして、とんでもないモノを混ぜてくる気がするんですが……」

24: 2013/03/18(月) 21:20:13.66 ID:sKSb1W1X0
上条(……それにしても、別ルートでの売り出しって…結局なんなんだ……?)

上条(このチラシ、他人の空似ってわけじゃないしな……だとしたら、妹達〈シスターズ〉を……──)

土御門「はいお待ちどう様ッ! 特製元春ミックスだぜぃ!」ドンッ

上条「……なんです? この、いかにもデンジャラスな色と香りの液体は……?」

土御門「ブラックコーヒーとメロンソーダ、それに烏龍茶も入ってるぜよ~」

上条「んなもん飲ませようとすんな!!」

25: 2013/03/18(月) 21:29:19.84 ID:sKSb1W1X0
───────────────
 
─午後10時半 ファミレス前─


上条「うっぷ…腹がタプンタプンだ……」

土御門「言えば奢ってやったのににゃー。はぁー、お腹満腹ぜよ」

上条「てめぇの特製ジュース飲んだせいで、食欲が湧かなかったんだよ……」

土御門「……それにしても、こないな。もしかして非番なのかにゃー?」

上条「……有り得るな。なんだよ勢いで来ちまったけど、無駄金だったの──」

土御門「いや、非番ってのは冗談だカミやん。まだ、
    オレ達が待ち伏せしている時に出てきくれれば、マシな方だったんだ」

28: 2013/03/18(月) 21:37:41.61 ID:sKSb1W1X0
上条「どう、いうことだ?」

土御門「オレの勘が正しければ、もうあの子は店内にいる。いや、多分あそこに住んでいる」

上条「なっ!? それって……」

土御門「ああ、〝住んでいる〟なんて言葉じゃ……まだ甘いかもしれない。とにかく、突撃ぜよカミやん」

上条「分かった。容姿的に……俺は裏口から、土御門は客として入ってくれ……」

土御門「うっひょー、これは今までにない素晴らしい作戦ぜよーッ。じゃあ妹達〈シスターズ〉を確保次第、
    何か合図を出すことにしよう。合流地点は学園都市行きのバスターミナルでいいかにゃー?」

上条「うん、了解。くれぐれも遊ぶんじゃないぞ土御門。
   ちなみに上条さんは、ちーっとも羨ましいだなんて思ってないからな」

29: 2013/03/18(月) 21:47:51.20 ID:sKSb1W1X0
────
──

上条(裏口は、ここか……。さて、こっそり……)ギィ…

上条(……ほっ、ラッキー。裏には今誰もいないみたいだな)

上条「失礼します……」コソコソ

上条(事務室と……更衣室か。えっと名簿名簿……──)


 「いやー疲れたよぉー……」

 「ホントにねー、店長も働かせすぎよまったくもうッ」


上条「ゲゲッ!?」

30: 2013/03/18(月) 21:54:11.51 ID:sKSb1W1X0
────
──

 ガチャッ


 「あぁー! つーかーれーたー!!」

 「ちょっと、声でかいよメグミンッ」


上条(っぶねーッ……ナイス、掃除用具入れ)ドキドキ


 「もう今日ダメ……私の限界超えちゃったわ」

 「まぁ明後日までシフト入ってないんだし、いいじゃない」

  「んしょっと……お疲れ様ですッ」

 「あっ、お疲れミサカッチ。はいこれあげる、美容に効くらしい飲み物らしいよ~」

31: 2013/03/18(月) 22:01:09.68 ID:sKSb1W1X0
上条(!? み、〝ミサカッチ〟……!?)


  「うわぁ~ありがとう御座いますッ! それでは早速……」

 「美味しいかしら? まだミサカッチには早かったかなぁ?」

  「……ぷっはぁ~ッ! ヨーグルトっぽい味ですね、美味しかったです!」

 「ふふっ、そうだった? また持ってきてあげるわ、じゃあ私達はこれで」

 「じゃあねミサカッチ! また会う日まで~」
 
  「お疲れ様でしたぁーー」  

 
 ギィ…

上条(出てった音がしたな、じゃあ……今ここにいるのは……)


  「……さ~てさて、暇になったから掃除っと」ガチャッ


上条「……あ」

33: 2013/03/18(月) 22:12:04.47 ID:sKSb1W1X0
ミサカッチ「……へ?」

上条「待て、話を聴いてくれ。落ち着いて、大声を上げちゃダメだ」

ミサカッチ「……ああ、ハイ」

上条「よーし……じゃあ、まずは自己紹介からだな。俺は上条当麻、お前は? 
   さっき〝ミサカッチ〟って呼ばれてたけど」

ミサカッチ「……も~、お客さんなのに裏口から入っちゃダメじゃないですかー。
      こんなところでご奉仕する気ですかー?」ズイッ

上条「ち、違うッ。俺は客としてきたんじゃない、お前に用があってきたんだ」

ミサカッチ「お持ち帰りなんて気が早いですねッ、でも私は別にいいですよぉ? オールオッケーで~す!」

上条(容姿がビリビリそっくりだし、その上やけに扇情的だし……やりづれぇ!)ドキドキ

35: 2013/03/18(月) 22:20:57.43 ID:sKSb1W1X0
ミサカッチ「ん~? どーしたんですかー?」ズイズイッ

上条「えぇーっと……」

上条(なにか突破口は……あ、そうだ!)

上条「……お持ち帰り、オッケーなんだな。それと、ブレーカーの場所知ってるか?」

ミサカッチ「えぇーとブレーカーは……そこですね、そ~こ」

上条「オッケぇー──!!」ダッ

 バチンッ ヴゥーーーン…

ミサカッチ「ち、ちょっと! なにを──」

上条「ついて来いッ! 逃げるぞ!」ダッ

ミサカッチ「きゃあああああッ!!」

36: 2013/03/18(月) 22:29:19.10 ID:sKSb1W1X0
────
──

ミサカッチ「ちょっとぉ……! もう少し、優しく手握ってくださいよぉ~!」

上条「走れッ、すぐそこまでだ!」

ミサカッチ「こ、これってもしかして誘拐ってやつですかー!?」

上条「お前を助けにきたって言ってるだろッ。お前は、あそこにいちゃいけないんだ御坂ッ!」

ミサカッチ「なんで私の名前……あ、さっき〝ミサカッチ〟って言われてましたもんねっ! 
      それにしても裏口から入ってお持ち帰りとは、そんなに私が欲しかったんですかー?」

上条「黙って走れッ!」

ミサカッチ「はいはーいっ!」

41: 2013/03/18(月) 22:37:30.67 ID:sKSb1W1X0
上条「ッ!」ピポパ…prrrrr

上条「土御門ッ、そっちは大丈夫だったか!?」

土御門『おおカミやん。よくやった、オレも今向かってるぜよっ。
    監視カメラをブッ壊すのに手間が掛かっちまった』

上条「後始末まで悪いな、俺も今一緒に向かってるから──」

ミサカッチ「ちょっとぉ! もしかしてお仲間さんですかッ!? たーすーけーてー」

上条「うるっせぇ! 今電話中だ!」

土御門『にゃっはは、今までの妹達〈シスターズ〉とは打って変わって、なかなか威勢が良さそうぜよ~。
    じゃあカミやん、またバスターミナルで』ピッ

ミサカッチ「……もしかして、私のこと……何か知ってます?」

上条「……だから、誘拐したんだろうがッ!」

43: 2013/03/18(月) 22:46:44.10 ID:sKSb1W1X0
──────────────────────
 
───午後11時 バスターミナル───


土御門「悪いカミやーん、遅れたぜよ」

上条「追っ手は?」

土御門「いや、今回は敵相手じゃない。
    店側もポカーン状態だろうぜぃ……んで、その子が……」

ミサカッチ「は、初めましてっ! ミサカッチでーすッ☆」ペコッ

土御門「にゃーこれはこれは……オレは土御門、ツッチーとでも呼んでくれ。
    ……カミやん、ナニかしてもらったんじゃないだろうにゃー?」ニヤニヤ

上条「そんな余裕なかったわ!! ……それより、おいミサカッチ」

ミサカッチ「ん、なんでしょうか? ……えっと、上条さん」

上条「お前の……検体番号を、教えてくれないか」

ミサカッチ「えっ……やっぱり、知ってるんですね……研究機関の方々でしょうか?」

47: 2013/03/18(月) 22:56:49.94 ID:sKSb1W1X0
土御門「オレ達はただのお人好しぜよ。君らがいる理由を、多少なりとも知っちまったからにゃー」

上条「お前達の、味方だ」



ミサカッチ「……私は…検体、20774……号です」ボソボソ



上条「……やっぱり、噂は本当らしいな」

土御門「ああ、最も信頼性のあるのは本人からの自白……これは否定のしようがないぜぃ」

検体20744号「……」

上条「なぁ、おまえ──」

検体20744号「おまえとはなんですかッ。私は、ミサカッチとして、みんなの後輩キャラで通ってるんですー!」

上条「……は? 後輩キャラ?」

52: 2013/03/18(月) 23:07:07.88 ID:sKSb1W1X0
検体20774号「はいっ。私は元気で無邪気な後輩キャラとして、あの店のナンバー3を全うしてるんです!」

上条「クローンのDNAマップ提供者のことを、お前らは〝お姉さま〟って言って慕ってるんだぞ?
   それをまとめて妹達〈シスターズ〉と呼んでたんだ」

検体20774号「……あぁ~。なんかそんな話ちょろっと聴きました、過去の20000体のことですね?」

上条「詳しくは知らないのか」

検体20774号「はい。私達20000体以降にはいらない情報だと、そう開発者も考えたんだと思います……」

土御門「後輩キャラ……まさか、そのキャラっていうのも…」

検体20774号「……はい、この人格の根本も、プログラムからできています」

土御門「……」

上条「……くっそ、なんてことを……!」

検体20774号「でも、私はこれでも別に……それに、
      ちゃんと寝れるところもありますし……ご飯だって──」

上条「ふっざけんな……なんでてめぇらは、みんな揃ってそんなに自分を犠牲にするんだよッ!」 

56: 2013/03/18(月) 23:16:23.63 ID:sKSb1W1X0
上条「お前はそれでいいのかよ……お前にも人格ってものがあるんなら、
   自分の本当の気持ちぐらい分かるだろうが!!」

検体20774号「え、ぇっと…それは……」ビクビク

土御門「カミやん、それくらいにしておけ……ミーニャン」

検体20774号「み、ミーニャン……?」

土御門「お前はどうしたい。あの店に今から戻るか、それとも、
    このあってはならない計画を止めるか……ミーニャンが決めていい」

検体20774号「……そりゃぁ」

検体20774号「……ゃ、ですよ……」ジワッ

上条「……」

検体20774号「もう、嫌です……この人格はプログラムです。だけど、感覚とか感情は別物です……。
      本音がプログラムに吞まれるのは……嫌ですッ、怖いです……ッ」ポロポロ

60: 2013/03/18(月) 23:26:36.04 ID:sKSb1W1X0
土御門「……よく言った。それだけ言えるってことは、プログラムを超える感情がある、
    つまりこの子の言ったことは心の底からの言葉ってことぜよ、カミやん」

上条「……悪かったな。大丈夫だ、お前の仲間も絶対に助けてやる」

検体20774号「……少し心許ないですね。でも、お願いします……ッ」グスッ

上条「心許ないは余計だけどな……」

検体20774号「え、えへへー……」///

上条「ところで、改めてなんて呼べば良いかな。ミサカッチは俺の中の何かが許さないし……」


検体20774号「そうですねー……普通に、御坂って呼んでくださいッ!」ニコッ


上条「っ!? あぁ……わかったよ」ポリポリ

土御門「うっひょー! これはフラグか? フラグなのかにゃー!?」

上条「う、うるせぇ土御門! お前は黙ってろ!」カァー…

検体20774号「は、ははっ、アハハハッ!」

63: 2013/03/18(月) 23:34:22.25 ID:sKSb1W1X0
ちょっと頑張ってペースあげるわ

64: 2013/03/18(月) 23:34:56.81 ID:sKSb1W1X0
──────────────────────
 
───午前0時半 寮前 ───


上条「というわけで、しばらくは俺の部屋に泊まれ」

検体20774号「えっ!? いいんですかー!?」

土御門「今頃、店から発注元へと電話がいってるぜよ~。女の子を一人にするわけにはいかないにゃー」

上条「心配しなくていい。多分、今の所は安心してここにいられる。ちょっとうるさいシスターさんがいるけど、
   まあ気にすんな……」ポチッ

検体20774号「シスター、さん?」キョトン

土御門「オレの部屋はカミやん家の隣ぜよ。ツッチーはピンチになったらすぐに駆けつけるぜぃ」

 ガシャン--…

検体20774号「うわぁ~二人とも頼もしいですねっ! って、こ、これは……!?」

上条「なにって……エレベーターだよ。ほら、乗れよ」

検体20774号「ほほう。やはり世界には、摩訶不思議なものが溢れ返っているんですね~……」キラキラ

上条(そういえば、初めて御坂妹と会ったときも、こんな感じだったっけな)ポチッ

67: 2013/03/18(月) 23:40:56.45 ID:sKSb1W1X0
────
──

上条「で、ここが俺の部屋だ……あれ土御門、どこいくんだ?」

土御門「少し調査ぜよ~。そのほうが明日から動きやすくなるからにゃー」

上条「悪いな、任せちまって」

土御門「それより、カミやんはミサカッチを頼むぜよ。ゆっくり休ませてやってくれぃ」

上条「……もちろんだ」

検体20774号「ツッチー、いってらっしゃーいッ」フリフリ

土御門「それが何よりの力の源ぜよ~!」ダダダー

上条「元気だな、アイツ……」

検体20774号「皆を元気にさせるのが、私の仕事ですからね~」ニコニコ

73: 2013/03/19(火) 00:03:17.60 ID:/GyR5e9F0
上条「……」

上条(……い、いかんいかんッ! 心を無にしろ上条当麻……)

上条「まぁ、改めまして、ここが俺の家──」ガチャッ

イン「ガウッ!! ウガーーー!!」

 バタンッ

検体20774号「きゃぁ! 何ですか今の……?」

上条「……あのーインデックスさん。ドア越しだけど聞こえてますかー……?」

 
 ガルルルッ ウガーーーァァ ガウッウウウウーー…


上条「あー……こりゃダメだ。ちょっとそこで待っててくれ」

検体20774号「あ、はいっ!」

74: 2013/03/19(火) 00:07:30.36 ID:/GyR5e9F0
上条「……、……ッ!」ガチャッ バタン


 ガルルッ ウギャァァァァァァーーーー!!!!


検体20774号「っ!?」ビクッ


 …………


上条「……もういいぞ、御坂……」ボロッ

検体20774号「お、お邪魔します……」

77: 2013/03/19(火) 00:14:20.02 ID:/GyR5e9F0
────
──

上条「インデックス……お前ずっと起きてたのか?」

イン「そうだよっ。まったくとうまは、いつもいつもいつもいつもいつもっ! 心配してたんだから!」

上条「悪かったってだからもう噛むな! ……それより、こいつはインデックスってんだ、宜しくしてやってくれ」

検体20774号「あ、はいっ。どうも初めましてインデックスちゃん、ミサカッチでーす☆」

イン「……とうま、また女の子を連れてきたの? 一体何人目なの? 
   今までにとうまが出会った女の子だけで、簡略的な集団魔方陣ができちゃうんだよ?」

上条「その集団なんちゃらはしらねぇけど、誤解を招きかねない言い方をするな」

検体20774号「へ、へぇ~。上条さんって、意外とプレイボーイなんですかー……へぇ~」

上条「……ほら、こうなるのがヤダって言ってるんだよ! 分かったかインデックス!」

イン「む、どう考えたって夜遅くまで帰ってこなかったとうまの方が悪いに決まってるのに、なんだか心外かもッ!」

上条・イン「ふんっ!」プイッ

79: 2013/03/19(火) 00:22:49.92 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「……あ、あの二人ともっ……」オロオロ

上条「……あ、そうだ御坂。お前風呂入っちまえよ、もう遅いしすぐに寝るぞ」

検体20774号「そ、そうですねっ。じゃあ御言葉に甘えさせて頂いてー……」

上条「着替えは、とりあえず俺のシャツでいいか……」

イン「ちょっとっミサカッチ! とうまと二人きりにしないでほしいんだけどッ」

上条「ああん? だったらお前も一緒に風呂入ればいいじゃねぇかよ」

イン「私はとっくの前に入りました。
   とうまは帰ってくるのが お そ か っ た から分からないでしょうけどッ!」

上条「ぐっ、こんのアホシスタぁー……!」ワナワナ

検体20774号「まぁまぁ上条さん、抑えて抑えてー……」

上条「……わかったよ! 洗面所にいればいいんだろいればッ! 御坂、絶対覗いたりしないから、勘弁してくれ」

検体20774号「わ、私は別にいいですけど……」チラッ

イン「……」ツンッ

上条「……じゃあこっちだ、御坂」

81: 2013/03/19(火) 00:31:04.95 ID:/GyR5e9F0
────
──

検体20774号「……いいんですか? あんなに冷たくして」シュルルー…

上条「ほっとけ、いつものことだ」

検体20774号「イン、デックスちゃん? 多分、すごい心配してたと思いますよー?」シュル…

上条「……」

検体20774号「私も人格を当て嵌められただけの、まだ人生経験もなっちゃいない身ですが、
      それでもインデックスちゃんの思ってることは分かりますよー?」ファサッ─

上条「……俺だってわかってるよ、ただ……素直になれないだけだ」

検体20774号「上条さんは素直ですよ、自分が間違ったことをしてる、と思ったことはありますかー?」

上条「……まるで自信家みたいに思われちゃうな、はははっ」

検体20774号「きっとそれは、上条さんの強みです。自分を信じて下さい、解決策はそこにあるでしょーッ」

上条「御坂……お前、良いヤツだな」

83: 2013/03/19(火) 00:38:03.33 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「ブッ!? ……そ、そうですよーッ? 身体は汚されても、
      ミサカッチはピッカピカな心を持っているんですー!」

上条「ブラックジョークでもきついぜ、それ」 

検体20774号「あ、あはは……すいません、エOチぃ私が出てしまって……これもプログラムですから」

上条「……そうか」

検体20774号「今だって、ずっと我慢してます……あの、上条…さんッ?」

上条「なんだよ御坂、早く入んないと風邪ひくぞ」


検体20774号「……後ろから抱きしめても、いいですか……?」


上条「ぶっ!? お、おおお前ナニを言っておっしゃりやがりますか!?」ドギマギ

検体20774号「それだけでも性欲が少し抑えられます……じゃないと、
      また感情がプログラムに吞まれる……ッ。そんなの、もう嫌なんです」

検体20774号「上条さん……背中を、貸してくださいッ」

85: 2013/03/19(火) 00:46:52.76 ID:/GyR5e9F0
上条「……そういう、ことなら……、ほら、いつでもいいぞッ」ドキドキ

上条(え、なんでせうかコレ……!?)

検体20774号「ありがとうッ……では、失礼しまーす……」ピトッ

上条「ッッ!?」ゾワワワッ

検体20774号「……ふぅー」

上条(い、いかんッ!! 俺の童O力がッ、静まれマイサンッ!!)ドキドキ

検体20774号「……」ギュウッ

上条「!!!?? み、ミサカさんッ……!?」

検体20774号「ごめんなさい……でも、あと少しだけッ……」ギュウゥッ

──────────
 ──────
  ────
──

87: 2013/03/19(火) 00:55:25.43 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「」シャァァーー…

上条(……悶絶氏するかと思った…よく自我を保ってられたもんだ。よくやった上条当麻ッ!)

検体20774号「上条さーんッ」シャァァーー…

上条「は、ふぁいッ!? なんでせうか……?」

検体20774号「インデックスちゃんと仲直りしてきてくださいよーッ。上条さんのためでもあるし、
      なにより気まずいのは嫌いですーッ。お酒が不味くなりますー」シャァァーー…

上条「てめー酒のめねぇだろ! まぁ、分かったよ……」

検体20774号「頑張ってきて下さいねッ」シャァァーー…

上条(ここにこれ以上いたら、危険な気もするし……)ガチャッ

イン「……! ……ッ」ツンッ

上条(相変わらずのご機嫌斜め……)

90: 2013/03/19(火) 01:03:21.83 ID:/GyR5e9F0
上条「なぁ、インデックス。今度、でっかい祭りがあるんだ」

イン「……」

上条「そこで何か、美味しいもの食わせてやるよ。約束だ」

イン「……、……ほんと?」チラッ

上条「ああ、本当さ。だから機嫌直してくれよ、御坂もきてるんだし……なっ?」

イン「そっか……美味しいもの、うんっ! 分かったよとうま、仲直りしようっ!」

上条「さっきは悪かったよ」

イン「こっちの方こそごめんなさい、あんなこと言うつもりはなかったんだよ?」

上条「わかってる、だからもうこの話は終わりだ。それより……お前のベッドに、
   てか俺のベッドだけど……御坂も入れてやってくれ。床で寝させるわけにはいかないしな」

イン「うん、わかったんだよ。とうまはまたお風呂場?」

上条「ああ。アイツが加算されたことによって、ベッド付近はさらにデンジャラスになった気がする……」

93: 2013/03/19(火) 01:11:28.52 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「良いお湯でしたー、シャツ少し大きいですねーやっぱりッ」

上条「お、おぉ……」

イン「とうま、お休み」

上条「え、俺まだ少し話したいこと──」

イン「お や す み」ニコッ

上条「……はい、お休み二人とも」

検体20774号「えっ、上条さんはどこで寝るんですかー?」

イン「私達はベッドだよミサカッチ、ほら、髪乾かすの手伝ってあげるよ」

検体20774号「あ、ありがとねーっ。インデックス、ちゃん……」

上条「」トボトボ…

上条(女の子2人と一つ屋根の下だってのに……不幸だ)

96: 2013/03/19(火) 01:17:38.26 ID:/GyR5e9F0
────
──

上条「」ウッツラ… ウッツラ…

上条(やっと眠くなってきやがった……──)

上条「」スゥ─… スゥ─…

 ガ…チャッ…

上条「……んっ、…」スゥ─… スゥ─…

 シュル─… ファサ…

上条「……、……んっ……──!!」

検体20774号「……ッん、……ぁは」

上条「な、お前……! ていうかその格好ッ……」ドキドキ

99: 2013/03/19(火) 01:23:41.17 ID:/GyR5e9F0
上条(き、キスをしてしまった……いや、この場合されたのか?)

検体20774号「だってぇ、上条さんが攻めないからじゃないですかーッ……。
      女が腐っちゃいますよー」

上条「とりあえず、服を着ろ服をッ!」

検体20774号「いやです、このままじゃ気がすみませんよ……やっぱりいくら我慢したって、私はいつまでも淫乱で、
      汚い女で……上条さんは嫌いですよね、こんな女……」

上条「……御坂」

検体20774号「こう生まれたなら、やっぱりこうあるべきなんですよ。豚が食べられるために生まれるように……、
      私も性欲求の発散のために使われて──」

 
 パンッ─


検体20774号「……、上条……さん?」

101: 2013/03/19(火) 01:30:50.17 ID:/GyR5e9F0
上条「いい加減にしろよ……お前ッ!!」

上条「もうお前だけの身体じゃねぇんだよ、お前だけの命じゃねぇんだよ! 自己嫌悪こそ最悪の逃避法だッ!
   自暴自棄になるな、独りで抱え込むな! もうお前一人じゃないんだって!!」

検体20774号「……上条さん、私」ジワッ

上条「もしまたどうしようも無くなっちまったら、いつでも抱きしめてやる……だけどな、
   行為はお前がいつか出会う──本当に好きな人とだけにするんだ」

検体20774号「す、すいませんー……」グジッ

上条「分かったなら、さっさと服着ろッ」ドキドキ


検体20774号「……でも、本当に好きな人とならって言うんなら……──ッ」ドタッ


上条「……御坂? ……おい、御坂ッ!」


────────────────

 ────────

104: 2013/03/19(火) 01:38:05.07 ID:/GyR5e9F0
 ──────翌日 日曜日──────
 
  ───午前8時 上条宅───


検体20774号「はぁ……、はぁ……」

上条「……」

土御門「あれ、シスターちゃんは?」

上条「先に、子萌先生の家に送り届けておいた」

土御門「にゃ~るほどねぇ……」

土御門「多分、ミサカネットワークと同系のシステムを使って送られた、ウィルスデータぜよ。
    オレが甘かった……はなから接続機能なんてないって踏んでいたからな」

土御門「きっとこの場合──ミサカッチに送られたのは、〝情報破壊プログラム〟ぜよ」

上条「!? それって……」

土御門「病気に見立て、そのまま証拠の隠滅……科学者の考えそうなことだ」

106: 2013/03/19(火) 01:46:35.67 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「はぁ……、はぁ……んっ」

土御門「情報破壊プログラムは、基本3日持つか持たないかだ」

上条「じゃあ、御坂も……」

土御門「……手はある。ミサカッチの大元である、
    ミサカネットワークで言えば打ち止め〈ラストオーダー〉だな……それを探し出して、
    そいつに〝解除プログラム〟を送らせるぜよ」

上条「でも、そいつがどこにいるってのもわから──」

土御門「シュッ、キュピーンッ!! オレを嘗めないでほしいにゃーカミや~ん」ペラペラ

上条「地図? この赤い点って……まさかッ!」

土御門「そのまさかぜよ~、オレ様の人望を崇めるんだな~にゃーはははッ!」

上条「じゃあ、進入する方法もあるんだなっ?」

土御門「……進入? あぁ……えっと」アセアセ

109: 2013/03/19(火) 01:57:52.60 ID:/GyR5e9F0
上条「……考えてないのか。だったら、アンチスキルに任せるってのも──」

土御門「最終的にはそれでいいかもしれない。だが、中枢に近づくとなると、難しいどころか、
    まず不可能だろう」

土御門「やっぱり……強行突破しか…」

検体20774号「……ッ、はぁ……」

上条「……行ってみないと始まらない。とりあえず向かうだけ向かわないか?」

土御門「それもそうだ、よしッ! なんとかなるぜよッ~。裏口や抜け道ぐらいなら分かるから、
    そこから進入しよう」

上条「進入方法はあるんじゃないか。まあ問題はその先なのか……」

土御門「まぁ目標は研究所中枢だろう。そこに大元もいる筈だ」

111: 2013/03/19(火) 02:05:17.25 ID:/GyR5e9F0
上条「分かった。……御坂、すぐになんとかしてやるからな、待ってろ。
   俺の携帯をおいとくから、何かあったらすぐに土御門の携帯に連絡してくれ」
   
検体20774号「上、条さん……どこに、いくんですかー……?」ハァ… ハァ…

上条「お前を、助けに行くんだ」

土御門「すぐに良くなるにゃー。ミコトッチは寝ているだけでいいぜよ~。じゃあ行ってくるぜよ~」

 ガチャッ

検体20774号「……上条、さん…」

検体20774号「2人だけで、……無茶な…誰か、上条さん達を、守って……」ピッ


 ピッ… ピピッ… ピピピッ─ ピッ


検体20774号「……、この人って、もしかして……」ハァ… ハァ…

115: 2013/03/19(火) 02:16:57.35 ID:/GyR5e9F0
──────────────
 
 ───某ビル内───


土御門「さて、ビルの中身はなんとなんと、研究所だったぜよカミやん」コソコソ

上条「ただでさえ狭いんだから騒ぐなよ……」コソコソ

土御門「配管工の中って、何故だかドキドキするぜよ~」

上条「ていうかそろそろ降りないか? 天井這い蹲ってちゃどこがどこだかわからねぇぞ」

土御門「んまぁひと気もないし、大丈夫かにゃー?」

土御門「じゃあ、せーので降りるぜよ」

上条「分かった」

 「「せーっの!」」

117: 2013/03/19(火) 02:25:46.50 ID:/GyR5e9F0
上条「よっと……! ってあれ、土御門?」スタッ

 ビィー ビィー ビィー ビィー ビィー

土御門「あちゃー、やっぱりカメラ探知だったかぁ……」

上条「他人事みたいにいってんじゃねぇ!」

 ──いたぞっ! 侵入者だ!

上条「げぇっ、覚えてろよ土御門ーーー!!」ダダダー 

土御門「いってらっしゃーい……ということで、おとりは宜しくたのむぜぃカミやん」コソコソ

119: 2013/03/19(火) 02:35:07.84 ID:/GyR5e9F0
────
──

上条「ひぃ……ひぃ……」ダダダー

 ──待てこのクソガキぃ!

 ──これ以上逃亡するなら発砲するぞ!

上条「発砲するって言われて逃げないやつがいるかーー!! って」

上条「い、行き止まり……」ゼェゼェ

 ──ハァ、手こずらせやがって、連行しろ。不法侵入で街から追い出してやる

 ──いや、秘密を漏らされちゃまずい、ここで消した方が……

上条(……マズい。土御門、助けてッ!)

 
 ジ…ジジッ ヴゥー--ン

123: 2013/03/19(火) 02:47:25.00 ID:/GyR5e9F0
上条「!?」

上条(ま、まさか……)
 
 ──なんだ!? 停電かっ?

 ──すぐに予備電源に切り替わる、今はこっちを


 ジジ…ジ ビリッ ビリリッ…バチバチバチバチ--!!!!!!!! 


 ──うわぁ! な、なんだ!?



 

 「……あーいたいた。相変わらず無鉄砲なのね、まったく」





上条「……今回ばかりは助かったぜ、御坂」

美琴「それより、急ぐわよ……!」

上条「分かってるッ!」

125: 2013/03/19(火) 02:58:49.19 ID:/GyR5e9F0
────
──

美琴「黒こげは、やりすぎたかしら……」

上条(予想の斜め上だった……やっぱり恐ろしいやつ…)

上条「それより、なんでここの場所が?」

美琴「アンタのケータイから電話が掛かってきたのよ」


  ─────

美琴「も、もしもしッ!? なによアンタいきな──」

『たす、けて下さい……お姉、さま……』

『上条さんを……助けてくださいッ!』

  ─────


美琴「携帯からの電波を辿ってみれば、妹が寝てるし……事情は簡単に聴いたわ。
   どうやらまた私の大切な妹を、……許さない」

美琴「そっからその……ツッチーの電波を辿ってここまで来たのよ。
   ……絶対に助けるわよ、あの子を」

上条「ああ、絶対だッ!」

127: 2013/03/19(火) 03:09:39.63 ID:/GyR5e9F0
 prrrrr… prrrrr…

美琴「あ、ほらツッチーからよっ」

上条「土御門か!? どうした!」

土御門『中枢を見つけたぜよ。今はオレはモグラ状態だが、
    さっきの爆音から察するに、そっちには強力な助っ人がきたらしいし……──』

土御門「──オレの携帯の電波を辿ってもらえ、そこが中枢だカミやん」

上条「分かったッ。御坂、もう一度さっきの携帯の電波を辿ってくれないか。そこが研究室の中枢らしい!」

美琴「うんっ……オッケーここね、了解ッ!!」ビリビリビリビリッ─

129: 2013/03/19(火) 03:19:01.92 ID:/GyR5e9F0
────
──

上条「ここかっ、アレがミサカネットワークの──」


 ハ゛ンッ─


美琴「ッ! だ、大丈夫アンタ!?」

上条「……ッああ、掠っただけだ…」

 ──我々はこの事業を手放すわけにはいかない。解ってもらえなければ、氏んでもらう

美琴「そんな脅しが通用すると思ったの?」

 ──君らの狙いは分かってる、この……〝解除プログラム〟だろ?

美琴「……」

 ──よろしい、ならばこれを20774にこれを送ってやろう。これでいいかな?

131: 2013/03/19(火) 03:32:24.70 ID:/GyR5e9F0
上条「いいわけが…ねぇだろうが!!」

 ──物分りのない人間は嫌いだ、ではどうする。あの20774を犠牲にして、全てを終わらせるか


    ──助ける相手を間違えなければそれでいい──


上条「妹達〈シスターズ〉は、全員助けるッ!!」

 ──……わからんやつだ、これがいらないのかどうかッ……って、プログ──ッ!?

バキッ

土御門「ふぃー……間一髪だったぜよ。ほらカミやん、天井にいればいいことだってあるだろ~?」

上条「……つち、みかど」

土御門「今から解除プログラムをミサカッチに送る、手伝ってくれ。あとはアンチスキルに通報、
    到着するまでにはズラかるぜぃ!」

美琴「わ、分かったわッ」

上条「終わった、のか……? み、みさ……か……」ドサッ

美琴「ち、ちょっとアンタ!? ねぇ──────」


 ────────────────────
   ─────────────── 

133: 2013/03/19(火) 03:45:35.72 ID:/GyR5e9F0
    ──9月上旬 月曜日──

    ───病院─── 


カエル「もう君は、いっそ病院に住んじゃえばいいんじゃないのかい?」

上条「……家賃が安いなら是非、ははっ……」

カエル「ただの出血による貧血だよ。君はタフだと思ってたけど、案外鉄分不足?」

上条「まぁ、言及はしないで下さい……」

カエル「うん、いつものことだ」

135: 2013/03/19(火) 03:56:24.67 ID:/GyR5e9F0
 ────
  ──

土御門「いやぁ~意外に早い仕事だったぜよ~」

土御門「結局内部を見たアンチスキルの人間は買収されちまったが、まああれだけやれば計画は頓挫ぜよッ!」

上条「あれだけって……オレが気絶したあとに何があったんだよ……」

上条「それと、なんで大元ミサカがここにいるんだよ!?」

打ち止め2「貴方が上条当麻か、やぁ初めまして。私は打ち止め2〈ラストオーダー:ツー〉だ」

上条「命名適当だなおいッ!」

土御門「それがなんにも良い名前が、おもいつかなかったぜよ~。にゃっははー」

上条「……あ、それで……他の妹達〈シスターズ〉はどうなった!?」

土御門「安心しろカミやん、今日中とまではいかないが……コイツの脳内プログラムを、
    打ち止め〈ラストオーダー〉に酷似させることになった。それにより──」

土御門「──いつ、どんなことをしてても、コイツからの発信電波でコントロール可能になる。
    差し詰め、妹達〈シスターズ〉第二部隊ってところかにゃー。
    あとは各々を少しずつ直していく、っていう算段らしいぜよ」

137: 2013/03/19(火) 04:05:55.80 ID:/GyR5e9F0
上条「なるほどな……そうか、良かった」ホッ…

土御門「」ニヤニヤ

打ち止め2「ニヤニヤ」

上条「なんだよ揃いに揃って……」

土御門「いぃ~や、別に何もないぜよ~。なー?」

打ち止め2「ですよね~。あっ、私そろそろ定期検査が……」イソイソ

土御門「女の子一人じゃ危ない、付き添いするぜよ」イソイソ

 ガララ─

上条「……なんだあいつら」

139: 2013/03/19(火) 04:13:20.64 ID:/GyR5e9F0
 ────
  ──

 ガララ─

上条「すぅ……すぅ……」

「……、上条さーんッ!」

上条「ッ!? なんだ、御坂か、ていうかやっぱりビリビリと被るな……」

検体20774号「だったら~……お姉さまをビリビリと呼べばいいんじゃないですかー?」

上条「それはそれで害を被りそうだな……」

検体20774号「そうですねー……」クスクス

上条「もう……平気なのか?」

検体20774号「はいっ、もう元気いっぱいですーッ! いきなり身体が軽くなって、
      昨日はツッチーとラーメンを食べに行きましたー」キラキラ

上条「超元気だな!?」

141: 2013/03/19(火) 04:20:55.21 ID:/GyR5e9F0
検体20774号「えへへー……上条さん、ありがとう御座いました。貴方のおかげで、
      みんなが助かったんです。それってすごいことですよッ!」

上条「……俺は何もしてないよ、み…ビリビリがきてくれなきゃ殺されてたかもしれないし、
   土御門がいなければ、形勢逆転はできなか──」

検体20774号「ちがいますよーッ!」

検体20774号「上条さんは、自分が正しいと思ったことを、貫き通したんです。
      だからみんなが助かったんですッ」

上条「……そうかもな」

検体20774号「改めて、ありがとう御座いました。上条さんッ!」ニコッ

144: 2013/03/19(火) 04:35:53.39 ID:/GyR5e9F0
上条「お前も……どこかにしばらく通うのか?」

検体20774号「はい、多分……。もしかしたらもう会えないかもしれませんよーッ。
      淋しいです~……」

上条「大丈夫、また会えるって。縁ってそういうもんだぜ?」

検体20774号「そう、ですか……あっ、そろそろ行かないとーッ。定期健診があるんですっ」

上条「そうか、またいつか会おうな。御坂」

検体20774号「あ、の……上条、さんッ……そのー…」

上条「ん、なんだよ」



  最後に……抱きしめてもらっても、良いですか────? 




                           
                            ─fin─

146: 2013/03/19(火) 04:44:35.54 ID:/GyR5e9F0
おまけ、インデックスさんがでてなかったね



 ガララ─

上条「すぅ……すぅ……」

イン「──ぅまとうまとうまとうまとうまとうまーーーーー!!」 

上条「ッ!!? どぅわっと……!」

イン「また何か危ないことしてたんだね!? ほんとにとうまはとうまはとうまなんだからッ!!」

上条「結局蛇足オチかよーーー!?」

148: 2013/03/19(火) 04:56:04.67 ID:Jnkrzj9D0
乙なんだよ

151: 2013/03/19(火) 05:04:06.83 ID:/GyR5e9F0
イン「とうまはいっつも無理ばっかしてもうガミガミガミガミ────」

上条「……」

上条(不幸だ……)

イン「……もしかして疲れてる? まだ回復はしてないのかな?」

上条「説教がまるで呪文のように、ガリガリ体力削ってってるよ……」ハァ…

イン「うーん、しょうがないなー。……えいっ」ピトッ

上条「って、い、インデックス……? 背中にくっ付いて何をするおつもりで?」ドキドキ

イン「え? お説教だよ? 優しいお説教」ニコッ

上条「……かなわねぇな、ほら、好きなだけ怒ってくれ」

イン「もちろんそのつもりっ。続きだけどとうまはガミガミガミガミ────」


                                ─本当に本当のfin─

153: 2013/03/19(火) 05:06:30.43 ID:/GyR5e9F0
というわけで、設定めちゃくちゃになっちゃったけどおつかれww
演出重視ってことで許してくれ…
ではまた違うSSでノシ

154: 2013/03/19(火) 05:12:21.09 ID:QmB3KPziI
おつおつ

引用元: 検体20774「そうですねー……普通に、御坂って呼んでくださいッ!」