1: 2018/10/07(日) 19:47:40 ID:wnS7X5HA
卯月「刺さって抜けないんです! すぐ来てください!」

武内P「何故!?」

卯月「太い部分が奥側で、逆子状態なんです!」

武内P「ではなく!」


武内P「何故、マイクがお尻に刺さってしまったのですか!?」


卯月「急いで下さい! プロデューサーさん!」


武内P「いえ、あの! 島村さん!?」

武内P「説明をお願いします、島村さん! 島村さん!?」
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(12) (電撃コミックスEX)
2: 2018/10/07(日) 19:52:55 ID:wnS7X5HA
  ・  ・  ・

ガチャッ!

卯月「二人共! プロデューサーさんを連れてきました!」

武内P「大丈夫で――」


未央「ほら! もっと力を抜いて!」

ぐいぐいっ!

凛「無理無理無理だから! 痛い痛い痛――い!」ジタバタ!

未央「うわっ!? あっ、暴れないでよ、しぶりん!!」

凛「ふうううぅぅぅん!! ふうううぅぅぅん!!」ジタバタ!


武内P「地獄絵図!」

3: 2018/10/07(日) 19:57:15 ID:wnS7X5HA
武内P「ほっ、本田さんは何をなさっているんですか!?」

卯月「マイクを抜こうと、頑張ってるんです!」


未央「落ち着いて! 落ち着いて、しぶりん!」

凛「ぷっ、プロデューサー……! プロデューサー……!」ポロポロッ…


武内P「っ!」

武内P「涙を流しながら……私を呼んでいる……!?」

卯月「はいっ! だから、来て貰ったんです!」


凛「プロデューサーには……知られたくない……!」ポロポロッ…


武内P・卯月「……」

卯月「…………らしいです!」

武内P「お願いします! しっかりと、確認を取ってください!」

5: 2018/10/07(日) 20:04:19 ID:wnS7X5HA
武内P「ですが、状況が状況です!」

卯月「えっと、つまり……ぶいっ♪」ニコッ!

武内P「……良い、笑顔です」

武内P「が! 褒めてはいません!」


武内P「――渋谷さん! 大丈夫ですか!?」


凛「っ!?」ビクッ!

凛「ふうっ!? いっ、痛い痛い痛い痛い痛いっ!!」ジタバタ!

未央「!? しぶりん、力を入れちゃ駄目だって!」


凛「みっ……見ないで――っ!!」ジタバタ!

凛「プロデューサーは、見なくて良いから――っ!!」ジタバタ!


武内P「私も、可能ならば見ずにいたかったです!」

6: 2018/10/07(日) 20:09:59 ID:wnS7X5HA
武内P「待ってください! すぐ、救急車を!」

未央「待って、プロデューサー!」

武内P「っ!? 本田さん!?」

未央「救急車なんて呼んじゃったら――」


未央「――アイドル、渋谷凛(15)」

未央「――肛門にマイクが刺さり、救急車で運ばれる」

未央「――なお、命に別状はない模様」


未央「――なんて、ニュースが流れるよ!?」

武内P「その可能性はあります! ですが!」


凛「嫌あああぁぁぁっ!! 絶対嫌あああぁぁぁっ!!」ジタバタ!


武内P「お気持ちは! お気持ちは、わかりますが!」

7: 2018/10/07(日) 20:13:52 ID:wnS7X5HA
武内P「ですが、他に方法が!」


未央「……ぶっちゃけ、しまむーだったらどう?」

卯月「そういう報道がされたら、ですよね?」

未央「うん」

卯月「…………頑張ります」

未央「何を?」

卯月「苦しまずに、氏ぬ方法を探すのを」


凛「救急車呼んだら、自爆するからああああああ!!」ジタバタ!

凛「今! ここで! 自爆するからああああああ!!」ジタバタ!


武内P「待ってください! 自爆は、あまりにも!」

武内P「自爆……自爆!? えっ!? 自爆!?」

8: 2018/10/07(日) 20:19:58 ID:wnS7X5HA
凛「うううう! 痛い痛い痛い痛い……!」ポロポロッ…

未央「っ! そうだ! プロデューサーなら!」

武内P「えっ!?」

卯月「っ! 力があるから、抜けるかも知れません!」

武内P「えっ!?」


武内P「ま、待ってください!」

武内P「私が、マイクを引き抜くのですか!?」


凛「逃げないでよ! あああっ、痛たたたた!」ポロポロッ…

凛「アンタ、私のプロデューサーでしょ!? そうでしょ!?」ポロポロッ…


武内P「待ってください……待ってください!」

武内P「本気ですか!? あの、待ってください!」

9: 2018/10/07(日) 20:24:35 ID:wnS7X5HA
未央「プロデューサー! ほら、代わって!」

武内P「えっ!? いえ、あの……!?」


未央「はい!」

ぐいっ!

凛「っ!?」パプリ!

凛「ふううううううぅぅぅぅぅぅんんんあああああ!?」ダバダバ!


卯月「凛ちゃん!? どうして、急にダンスを!?」


武内P「急に、お尻に刺さったマイクを動かしたからですよ!」


未央・卯月「! 成る程!」


武内P「いえ、あの! わかりませんか!?」

10: 2018/10/07(日) 20:31:58 ID:wnS7X5HA
武内P「っ!」

ぱしっ!

武内P「渋谷さん! 大丈夫ですか!?」

凛「……!……!」イタイ…!イタイ…!

武内P「っ!? もう、声も出せない程……!?」


未央「さあ、プロデューサー! グイッと!」

卯月「お願いします、プロデューサーさん!」


武内P「待ってください!」

武内P「少しだけ! 少しだけ、休ませてあげてください!」

11: 2018/10/07(日) 20:44:20 ID:wnS7X5HA
未央「でもっ! このままじゃ埒が明かないよ!」

卯月「凛ちゃん! お尻は、どうですか!?」

凛「い、痛い……! 痛い……!」プルプル!

未央「マイク、プロデューサーが握ってくれてるよ!」

卯月「どうですか、凛ちゃん!?」

凛「ど、どうって!?」プルプル!

凛「い、痛いに決まって――」チラッ


武内P「……!」


凛「――ふうううぅぅぅん!///」モジモジ!

凛「!?」ビクッ!

凛「いいいっ!? いいっ、痛たっ、たたたた!」ジタバタ!


武内P「渋谷さん!?……渋谷さん!?」

12: 2018/10/07(日) 20:48:17 ID:wnS7X5HA
未央「もう駄目! 私、見てらんないよ!」

卯月「私もです! プロデューサーさん!」

未央・卯月「……!」

武内P「待ってください! それは、私もですよ!?」


凛「助けて……! お願い、助けて……!」ポロポロッ…


未央「しぶりん!……しまむー、私は右手を!」

卯月「! はいっ! それじゃあ、私は左手を!」

未央・卯月「マイク、お願いします!」


武内P「……」

武内P「えっ!?」

13: 2018/10/07(日) 20:51:28 ID:wnS7X5HA
未央「しぶりん!」

ぎゅっ!

凛「み、未央……?」プルプル!

卯月「凛ちゃん!」

ぎゅっ!

凛「うっ、卯月……?」プルプル!


未央「掛け声は、何にする!?」

卯月「チョコレートにしましょう!」


凛「……待って」

凛「待って待って待って待って待って――っ!!」


武内P「えっ!?」

武内P「……えっ!?」

14: 2018/10/07(日) 20:58:24 ID:wnS7X5HA
武内P「ほっ、本田さん!? 島村さん!?」

武内P「あの……何を!?」


未央「プロデューサー! その手を――」

卯月「――離さないでくださいね!」


武内P「あの! 待ってください! 待っ――」

凛「待ってって言ってるでしょ!? 何な――」


未央「チョコ!」

卯月「レー!」

未央・卯月「トォ――ッ!!」

ぐいいいっ!


凛「っ!?……あ――っ!? あああぁ――っ!?」ジタバタ!


武内P「うっ、うおおおっ!?」

15: 2018/10/07(日) 21:03:19 ID:wnS7X5HA
未央・卯月「トオォ――ッ!!」

ぐいいいっ!


凛「ああああ――っ!? ぉあああ――っ!」ジタバタ!

…フワッ


武内P「っ!? 待ってください、本田さん! 島村さん!」

武内P「渋谷さんの体が、浮いてしまっています!」

武内P「……と、言いますか……ですね!?」


凛「ひいいいっ!? ううういいいいっ!?」ジタバタ!


武内P「抜けないにも程があります!」

16: 2018/10/07(日) 21:10:21 ID:wnS7X5HA
  ・  ・  ・

凛「うっ……ぐすっ!……ひっく!」ポロポロッ!

武内P「……渋谷さん、このハンカチを使ってください」

凛「ハンカチじゃ……マイクは抜けない……!」ポロポロッ!

武内P「そんな目的で差し出したのではありません」


武内P「……」

…そっ

凛「……」

武内P「……涙を拭いてください、渋谷さん」

武内P「貴女に涙は似合わない、と」

武内P「……そう、思います」


凛「……それ、お尻に刺さったマイクを掴みながら、言う?」


武内P「……」

ぎゅっ

17: 2018/10/07(日) 21:16:04 ID:wnS7X5HA
凛「……でも、ありがと。借りるね」

武内P「はい、どうぞ」

武内P「痛みの方は……どうですか?」

凛「……まあ、悪くないかな」

凛「というか、もう感覚があんまり無い」

武内P「……」


凛「だから……さっき泣いてたのは、さ」

凛「このまま――マイク内蔵型アイドルになっちゃうのかな、って」

凛「……ちょっと、不安になっちゃって」


武内P「安心してください。その様な……」

武内P「……」

武内P「とにかく、安心してください」

18: 2018/10/07(日) 21:24:58 ID:wnS7X5HA
凛「……ねえ、プロデューサー」

武内P「はい、何でしょうか?」

凛「マイクがお尻に刺さったの、わざとじゃないから」

武内P「……」

凛「でも……やっぱり、このままじゃいけないと思う」

武内P「……渋谷さん」


凛「……私、頑張るから!」

凛「だから、プロデューサー……!」

凛「っ……!」


武内P「……笑顔です」

武内P「笑顔で、頑張りましょう」


凛「っ! プロデューサー!」

19: 2018/10/07(日) 21:30:39 ID:wnS7X5HA
  ・  ・  ・

武内P「リラックスして、力を緩めてください」

凛「う、うん……やってみる……!」

武内P「渋谷さん、笑顔です」

凛「笑顔……笑顔」


凛「――うん」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


凛「……一応言っておくけど」

凛「スカートの中見たら、怒るから」


武内P「事此処に至って、今更ですか?」

武内P(はい、わかりました)

20: 2018/10/07(日) 21:35:04 ID:wnS7X5HA
武内P「呼吸法は、吐く、吐く、吐く……です」

凛「うん、わかってる」

武内P「……それでは、頑張りましょう」

凛「すうっ……」


凛「ひっ!」

武内P「!」

ぐっ!

凛「ひぎにぃっ!?」

武内P「頑張ってください!」

ぐいっ!


凛「ふうううううううううんんん!!」


武内P「!」


…スポ――ンッ!!

21: 2018/10/07(日) 21:40:39 ID:wnS7X5HA
武内P「! やった! 抜けましたよ、渋谷さん!」

凛「あっ! か、はあっ! ふっ、ふうっ!」ビクンビクンッ!

武内P「っ! しっかりしてください、渋谷さん!」

凛「ぬっ、抜けた……? 本当に、抜けたの……?」

武内P「はい! その通りです!」


凛「おっ、お尻……私のお尻、壊れてない……?」


武内P「大丈夫です! 渋谷さんは、アイドルですから!」


凛「良かった……! アイドルで、良かった……!」…ニコッ


武内P「……良い……!」

武内P「良い、笑顔です……!」

22: 2018/10/07(日) 21:45:19 ID:wnS7X5HA
武内P「しかし、一体どんなマイクが……?」

凛「ちょっ、ちょっと待って!」

武内P「ん。すっぽ抜けて……飛んで行ってしまったようですね」

凛「確認しなくて良いから!/// やめてよね!?///」

武内P「す、すみませ――」


「ひぎいいいいっ!? お尻! お尻にマイクがあああっ!?」


武内P・凛「!?」

武内P・凛「……」

武内P・凛「!!?」

23: 2018/10/07(日) 22:05:02 ID:wnS7X5HA
武内P「……申し訳ありません、渋谷さん」

凛「……うん」

武内P「……確認、してきます」

凛「……うん」

武内P「……この様な形で、刺さったのでしょうね」

凛「……多分」

武内P・凛「……」


「誰か助けて! 誰かああああっ!?」


武内P・凛「……」


武内P「尻を叩かれたので、行ってきます」



おわり

24: 2018/10/07(日) 22:07:51 ID:uIQfa0NI
おつー

29: 2018/10/07(日) 23:23:44 ID:wnS7X5HA
元気があるので即興一本書きます
お題ください

32: 2018/10/07(日) 23:31:41 ID:wnS7X5HA
>>30-31
書きます

33: 2018/10/07(日) 23:40:26 ID:wnS7X5HA

「魔力が足りない……!?」


 覗き込むようにして見ている、プロデューサーさん。
 その顔は、とても心配そう。


「……はい」


 そう返した私の声は、とても小さく、今にも消え入りそうだった。
 本音を言えば、声を発する事すら厳しい。
 今の私は、それ程消耗しきっていた。


「……!」


 そんな顔をしないでください、プロデューサーさん。
 貴方の、悲しげな表情なんて……私、見たくないですよ。
 せっかくだから、笑ってください。
 ……なんて、ふふっ! 欲張りすぎ、ですかね?


「私の事、忘れないでくださいね」


 私は、アシスタント――千川ちひろ。
 そして、魔法少女――マジカルチッヒ。

34: 2018/10/07(日) 23:52:31 ID:wnS7X5HA

「何を……仰っているのですか!?」


 強く、強く……力の入らない体を抱き寄せられた。
 プロデューサーさんの匂いが、鼻腔をくすぐる。
 こんな状況なのに……私ったら、もう。
 でも、最後くらい、良いですよね。


「ちゃんと、お休みとらないと駄目ですよ?」


 私が言わないと、ずっと働き続けちゃうんですから。
 お休みをとるのも、お仕事の内です。
 リフレッシュして、ちゃんと英気を養ってください。
 その方が、きっと効率が上がります。


「わかりましたか?」


 人差し指で、胸をトスリと突こうとした。
 でも、もう……たったそれだけの力も、残ってないみたい。
 辛うじて人差し指は立てられたけど、手が、腕が……上がらない。
 それでも必氏に力を込めて上げた手は、震えが止まらない。


 もう、あまり時間は残されてないみたい。

引用元: http://undefined