1: 2010/09/18(土) 19:23:56.35 ID:z+7QboHr0
空軍の上層部、大将であるトレヴァー・マロニーは怒りを握り締め、その手で机を大きく叩いた。


マロニー「クソッ!今この時にもウィッチーズが体を張って戦っているというのに我々男に何もできないとはッ!」

マロニー「女性達、しかもまだ若い子供を戦わせておいて我々は座っているだけ…ッ!」

マロニー「こんな事があってたまるか!」バンッ!
ルミナスウィッチーズ 1stシングル「Flying Skyhigh」
2: 2010/09/18(土) 19:24:47.09 ID:z+7QboHr0
副官「か、閣下 落ち着いてください」

マロニー「落ち着いていられるものか!」

副官「しかし我々はネウロイと対向する為の術を持ち合わせておりません…」

マロニー「そんな事はわかっている!しかしだ!このままでいいはずがなかろう」

副官「はっ、はっ!その通りでございます!失礼致しました!」

マロニー「だが対抗戦力が無いのも事実… はやくどうにかせねばならんのだ」

4: 2010/09/18(土) 19:25:49.51 ID:z+7QboHr0
マロニー「ところでどうしたのかね?」

副官「はっ!501統合戦闘航空団の戦闘資料をお持ちしました」

マロニー「ふむ」ペラ… ペラ…

マロニー「…」ペラ…

マロニー「…近づきすぎている」

副官「はい?」

マロニー「ネウロイに近づきすぎていると言ったのだ!このままでは彼女達が危ない!」

6: 2010/09/18(土) 19:28:11.54 ID:z+7QboHr0
マロニー「今彼女達はどうしている?」

副官「只今2名が休暇を申請しております」

マロニー「そうか… 今すぐ兵を出せ!これを届けさせるのだ」

副官「し、しかし現戦力はウィッチーズだけ それを後退させては…」

マロニー「そんな事はわかっていると言っただろう!いいから急いで行かせたまえ!」バンッ!

副官「りょ、了解致しました!今すぐ届けさせます」

8: 2010/09/18(土) 19:31:44.18 ID:z+7QboHr0
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エーリカ「なんだこれ?」

バクルホルン「何でこんな物が… ん?」

エーリカ「どったの?」

エーリカ「…ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ殿」

バルクホルン「ミーナ宛?」


───深入りは禁物 これ以上知りすぎるな

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

9: 2010/09/18(土) 19:35:20.14 ID:z+7QboHr0
マロニー「ネウロイも侵攻しつつある このまま待っているだけでは我々に未来は無い」

マロニー「そしてウィッチーズ達をさらに危険な戦地へと送り込む事となろう」

マロニー「忌々しいネウロイめ!何としてでも奴らと戦える戦力が必要なのだっ!」

副官「閣下」

マロニー「どうした!?」ギロッ

副官「てっ、手紙を無事届けさせました!それと例の研究の定例報告です」スッ

マロニー「ネウロイのアレか… ふんっ、憎たらしい奴め」

11: 2010/09/18(土) 19:39:46.24 ID:z+7QboHr0
副官「しかしあの様な遠回しに伝えなくとも直接辞令を出されればよかったのでは?」

マロニー「馬鹿者!そんな命令を他の将官共が許すはずがなかろう」

マロニー「女子供に戦わせているのは彼女らを前線に押しこめその後ろに隠れて震えている奴ら自身なのだ!」

副官「それで直接ではなく間接的に、と」

マロニー「その通りだ 確かにネウロイを迎え撃つ戦力は現状ウィッチに頼るしか無い」

マロニー「だがこれ以上の増援を見込めない501だけではこのままでは間違いなくネウロイにやられてしまうだろう」

マロニー「それだけは避けねばなるまい 増援は軍部がそうそう許さんしな」

マロニー「なにが大将だ!まったく…」ギリッ!

副官「閣下…」

13: 2010/09/18(土) 19:43:33.99 ID:z+7QboHr0
副官「…それでは報告は以上です!」

マロニー「よろしい ご苦労だった」

副官「ありがとうございます!では」スタッスタッ

マロニー「どうするべきか… ネウロイの火力、そして回復能力は桁違いだ」

マロニー「防御能力の無い戦艦ではいくら火力があった所でたかが知れている」

マロニー「やはりウィッチたちに頼るしか無いというのか…」ガクッ


パササッ と音を立てて研究資料がマロニー大将の手からこぼれ落ちた。


マロニー「おっと」

14: 2010/09/18(土) 19:46:44.84 ID:z+7QboHr0
マロニー「このネウロイ共さえいなければッ!」ギリッ

マロニー「いや… 待てよ…」


その時、マロニー大将の脳裏に、最もシンプルで、それでいて最も効果的な方法が浮かんだ。


マロニー「ネウ…ロイ そうか、そうすればいいのか!」ガバッ

マロニー「フハハハハ!奴らの火力、防御力、回復能力には手を焼かされてきた!」

マロニー「ならば利用してやろうではないか!ネウロイにはネウロイを、だ!」

マロニー「副官ッ!」


今にも部屋から出ていこうとする副官をマロニーは呼びつけた。

16: 2010/09/18(土) 19:50:25.11 ID:z+7QboHr0
副官「はっ!閣下、如何なされました?」

マロニー「そうだ、ネウロイだ 逆にこいつの力を利用してやるのだ」

副官「と言いますと?」

マロニー「研究員達に今すぐ伝達しろ ネウロイの力を利用した新兵器を作れ、と」

副官「し、しかしこの研究はネウロイの特性や生態の調査の為であって軍事利用は想定外では…」

マロニー「御託はいい!既にウィッチ達がネウロイに近づきつつある 一刻を争うのだッ!」

副官「はっ!」

マロニー「それと真の目的は伝えるな ネウロイ対策とだけ伝えておけばよい」

副官「りょっ、了解致しましたっ!」タッタッタッ バタン!

マロニー「そうだ、これでいいのだ」

マロニー「ブリタリアの、いや世界の空とウィッチ達はこの私が守る」

17: 2010/09/18(土) 19:55:51.89 ID:z+7QboHr0
ネウロイのコアを利用した対ネウロイ兵器は「ウォーロック」と名付けられ、開発は急ピッチで進められた。
その過程でビーム兵器だけではなく、ネウロイと同調して操る事ができるコアコントロールシステムを副産物として発掘。
開発は軍部にも極秘に進められ、マロニー大将によるこの壮大な計画は順調に進行しつつあった。
しかし─── 完成間近という所でマロニー大将の元にある報告が入る。


マロニー「フフフ… まもなくウォーロックの試作0号機が出来上がる」

マロニー「今までの努力は全てこの時の為なのだ!今こそ我々が世界を、ウィッチ達を守る!」


ダッダッダッダッダッ バン! 激しい音と共に部屋のドアが勢い良く開き、副官が転がるようにして走りこんできた。


副官「か、閣下!大変です!」

マロニー「何事だ騒々しい」

副官「そっそれが、みや、みゃふ」カミカミ

マロニー「少し落ち着いて冷静になりたまえ」

18: 2010/09/18(土) 19:59:41.43 ID:z+7QboHr0
副官「はー、はー」

マロニー「落ち着いたかね」

副官「取り乱し失礼致しました!」

マロニー「それでどうしたというのかね」

副官「はっ!先程、501統合戦闘航空団所属、宮藤芳佳軍曹が人型のネウロイと接触した模様です」

マロニー「何だとッ!」バンッ!

副官「あと非常に申し上げづらいのですが…」

マロニー「早く言いたまえッ!」

副官「同じく501統合戦闘航空団所属の坂本美緒少佐が… ネウロイによって撃墜されたとの事です」

マロニー「…ッ!!」


ガッシャーン!ガランガラン… と大きな音をたてて椅子が床に倒れ込んだ。

19: 2010/09/18(土) 20:02:36.23 ID:z+7QboHr0
マロニー「ぐぅッ!もうまもなくウォーロックが完成すると言うのに…ッ!」ギリリッ

マロニー「遅い!遅すぎたのだ!」バンッ!

副官「か、閣下 落ち着いてください」

マロニー「これが落ち着いてなどいられるものか!!」

マロニー「それで坂本少佐の容態は今どうなっているのだ!?」

副官「はっ!先程まで意識不明の重体でしたが、今は容態が安定している様です」

マロニー「そ、そうか 最悪の事態は避けられたという事だな」フウッ…

20: 2010/09/18(土) 20:06:24.32 ID:z+7QboHr0
マロニー「で、宮藤軍曹はどうしているのかね?」

副官「宮藤芳佳軍曹は現在10日間の自室禁固中です」

マロニー「独断専行、命令違反、そして結果的に上官を負傷させ、ネウロイを取り逃がした…」

マロニー「本来ならば重罪なのだが… 軍法会議を避け、宮藤軍曹を庇ったか ミーナ中佐らしい」

副官「それで我々は如何なさいますか?」

マロニー「今回はまだなんとかなったものの、彼女達が非常に危険な状態なのは変わりない」

マロニー「ウォーロックの最終調整を急がせたまえ!」

副官「かしこまりました それでは失礼致します」

21: 2010/09/18(土) 20:10:27.61 ID:z+7QboHr0
副官が部屋を出て行った後、マロニー大将は一人考える。


マロニー(501のウィッチがネウロイと接触し、そして撃墜された 報告によると…)

マロニー(人型のネウロイと言うではないか 奴らも進化しているのか、それとも…)

マロニー(だがこれはいい機会なのかもしれん 命令違反等による罪で501統合戦闘航空団を解散)

マロニー(隊員は各所属部隊へ帰還、各自戦線復帰 少なくとも増援も無い、後にも退けない現状よりかは安全だろう)

マロニー(そして501の後は我々、ウォーロックが引継ぎネウロイを殲滅する 極秘裏に計画を進めてきたのはこの時の為だ)

マロニー(今は実績が第一なのだ 頭の固い連中共も実績さえあればネウロイのコア、いやウォーロックの力を認めざるをえない)

マロニー(これを足掛かりに軍公認でウォーロックを量産体制へと移行し、501だけでは無く世界中のウィッチ達を助ける事ができよう)


この男、トレヴァー・マロニーのしている事はクーデターの様な物だったのかもしれない。
しかしその目的は己の野心の為でも、欲望の為でも無かったのである。
確かにそこには自分の非力さを呪い、そして立ち向かった“漢の中の漢”が存在していた。

22: 2010/09/18(土) 20:14:42.43 ID:z+7QboHr0
扉を閉め、歩き出した副官は一人考える。


副官(何故閣下はこの計画の真の目的を話そうとしないのか)

副官(確かに部下にも前に立って戦い、階級も高いウィッチ達を快く思わない連中もいる…)

副官(しかし結局ウィッチ達を最前線から戻し、我々が前に立って戦うという意味では同じはず)

副官(手段は違えど目的が同じ、明確な目標を大将自ら掲げれば隊員達の士気も上がるという物)

副官(…)

副官(まあ私が考えた所で仕方が無い事か 閣下には閣下なりのお考えがあるのだろう)

副官(閣下はこの壮大な計画を1人で創り上げてきたお方だ 私は黙って従っていればよい)


副官の上官であるトレヴァー・マロニーは自分の力で空軍大将まで上り詰めた男である。
その男が世界の空を、疲労しながら戦っているウィッチ達を救うと言ったのだ。
従わない理由などどこにも無かった。

24: 2010/09/18(土) 20:19:03.19 ID:z+7QboHr0
ウォーロックは最終調整に入った。501統合戦闘航空団の解散の名目も出来た。
宮藤芳佳軍曹のネウロイとの接触、坂本美緒少佐の撃墜。多少の誤算こそあったものの計画は最後の段階へと移ろうとしていた。
その矢先、マロニー大将はチャーチル首相に緊急招集されたのである。


マロニー「どうなされましたか陛下」

チャーチル「501統合戦闘航空団の事なんだが… どうやら、先程宮藤軍曹が脱走した」

チャーチル「そのまま先日の接触、撃墜現場へと向かっているらしい」

マロニー「なッ!その様な報告はまだ入っておりませんが」

チャーチル「ミーナ中佐が報告する前に呼び戻し、なかった事にするつもりだったのだろう」

チャーチル「だが、世の中そんなに甘くは無いという事だよ」

マロニー「別のルートで情報が入ったという事ですか(あと少しと言う所で…ッ!)」

チャーチル「そういう事だ だから至急君を招集したという訳だ」

26: 2010/09/18(土) 20:24:09.07 ID:z+7QboHr0
マロニー「して、処分の程は?」

チャーチル「ああ… 私としては好まないのだが禁固中の脱走となると…」


このチャーチル首相は実にしたたかな人物であった。
それはマロニー大将も十分に承知である。だが今回ばかりはどうしようも無いという事もわかっていた。
これを見逃すなど、他の将官達に示しが付かないのである。
だからこそ、事を起こすには今しか無いとマロニー大将は思った。


マロニー「すぐさま501統合戦闘航空団に宮藤軍曹の撃墜命令を出します」

チャーチル「わざわざ呼び出してすまなかったね」

マロニー「いえ ところで陛下、私から一つ申し上げたい事がございます───」

27: 2010/09/18(土) 20:28:48.02 ID:z+7QboHr0
新兵器・ウォーロック使用の許可、そしてそれに伴うウォーロック部隊の配置、501統合戦闘航空団との配置転換が難なく決まった。
それ程の緊急事態だった訳である。勿論、ウォーロックのスペックこそ明かしたものの最重要項目である
ネウロイのコアの利用についてはまだ隠したままであった。全ては戦果を上げてから、だからだ。
マロニー大将は部屋に戻るなり、急いで副官を呼びつけた。


副官「おかえりなさいませ」

マロニー「副官、今すぐ501統合戦闘航空団との回線を繋ぐのだ」

マロニー「宮藤軍曹の撃墜命令である」

副官「な、何ですって!?」ガタッ

マロニー「どうやら禁固中に脱走したらしい その情報が別ルート経由で入ってきたのだ」

副官「し、しかし…」

マロニー「安心したまえ、彼女達が仲間を撃つ筈が無い 急げ!」

副官「は、はっ!」

30: 2010/09/18(土) 20:32:05.99 ID:z+7QboHr0
マロニー「彼女達の事だ、庇うに決まっている それでいいのだ」

マロニー「撃墜命令は形式上仕方あるまい 脱走の事実を軍部に隠し通せる筈も無いのだ」

マロニー「それに、撃墜せずに戻ってくればそれを口実に更に撤退を求め易くなろう」

副官「その様な事までお考えになられていたのですね、感服致しました!」ビシッ

マロニー「今回の事例も、そして今までの苦労も、全ては未来の為に、だよ」

マロニー「通信は繋がったかね?」

副官「はっ どうぞ」スッ

32: 2010/09/18(土) 20:36:09.56 ID:z+7QboHr0
一方その頃501統合戦闘航空団の基地では───


ミーナ「宮藤さんが脱走したわ!」バンッ!

シャーリー「脱走!?」

エーリカ「やるなあ」

バルクホルン「あの馬鹿っ…」

リーネ「…」

ミーナ「これが司令部に知られたら厄介だわ 急いで連れ戻すわよ」


とその時 ジリリリリリリ と通信電話が鳴った。

33: 2010/09/18(土) 20:39:51.83 ID:z+7QboHr0
ミーナ『はい、501統…』ガチャ

マロニー『私だ』

ミーナ『閣下!?』

マロニー『宮藤軍曹が脱走したそうじゃないか』

ミーナ『ですが、それは…』

マロニー『禁固中の脱走行為、残念ながら撃墜命令が出た すぐに宮藤軍曹を追いたまえ 何か異議は?』

ミーナ『いえ、了解しました…』ガッチャン

ミーナ「司令部から、宮藤さんに対する撃墜命令が下ったわ」

リーネ「えっ!」

34: 2010/09/18(土) 20:43:38.93 ID:z+7QboHr0
ミーナ「以上です あ、ペリーヌさんは少佐の看病をよろしくね」

ペリーヌ「はいっ!」

リーネ「…」スッ

ミーナ「お待ちなさい、リーネさん」

リーネ「はい」

ミーナ「貴方は残りなさい」

リーネ「え?」

ミーナ「今日一日、宮藤さんの代わりに自室で謹慎していなさい」

リーネ「はいっ!」

ミーナ(はあ… まったく、扶桑の魔女って…)

35: 2010/09/18(土) 20:48:29.03 ID:z+7QboHr0
坂本「へーっくしゅん!」

ペリーヌ「わ、大丈夫ですか?坂本少佐」

坂本「いや、何とも無い」

ペリーヌ「ふぅ…」

坂本「そうか、宮藤が…」

ペリーヌ「ええ、宮藤さんのおかげで基地中大騒ぎですわ」

坂本「そうだなあ」

坂本「…」

坂本「ペリーヌ、頼みがある お前にしかできない事だ」

ペリーヌ「あ、はいっ」

37: 2010/09/18(土) 20:51:37.83 ID:z+7QboHr0
マロニー大将と副官は急ぎ足で廊下を進む───


マロニー「始まった… 全てが動き出したのだ」

副官「閣下、あの様な誤解されかねない言い方でよろしかったのですか?このままではただ憎まれ役を買うだけでは…」

マロニー「憎まれ役か… フン、上等だ 今まで我々は彼女達の後ろに隠れているだけだったのだ」

マロニー「今更ヒーロー気取りなどできようものか 黙って行動するのみだ」

副官「は、はっ!」

マロニー「全隊員に通達しろ!今すぐウォーロック試作0号機を起動!進路は宮藤軍曹が向かったという先日の現場だ!」

副官「ウォーロックをですか?しかし最終調整中でまだ出力の安定性に不安が残っておりますが…」

マロニー「聞こえなかったのかーッ!ウォーロックを起動、すぐさま救援へと向かわせろッ!今度こそ遅れを取る訳にはいかんのだッ!」

副官「りょ、了解っ!」ビシッ

38: 2010/09/18(土) 20:55:40.84 ID:z+7QboHr0
副官「全隊員に告ぐ!至急ネウロイ試作0号機を起動!目標、先日の現場へ向けて発進せよ!」

隊員A「し、しかしまだ完全な状態ではありませんよ?調整が残っております」

副官「構わんっ!閣下のご命令だ!急いで発進準備せよ!」

隊員B「りょ、了解しました!ウォーロック起動準備!」

隊員C「ウォーロック起動準備開始!」

隊員D「電源オン!起動開始!」


キュイイイイイインンンン という音と共にウォーロックの目に青い光が灯った。

39: 2010/09/18(土) 20:56:28.01 ID:z+7QboHr0
副官「全隊員に告ぐ!至急ウォーロック試作0号機を起動!目標、先日の現場へ向けて発進せよ!」

隊員A「し、しかしまだ完全な状態ではありませんよ?調整が残っております」

副官「構わんっ!閣下のご命令だ!急いで発進準備せよ!」

隊員B「りょ、了解しました!ウォーロック起動準備!」

隊員C「ウォーロック起動準備開始!」

隊員D「電源オン!起動開始!」


キュイイイイイインンンン という音と共にウォーロックの目に青い光が灯った。

44: 2010/09/18(土) 21:00:06.12 ID:z+7QboHr0
隊員E「出力… 無事定格出力突破!シグナル、オールOK!」

隊員F「安全装置、コアコントロールシステム異常無し!」

隊員G「ウォーロック試作0号機、発進できます!」

マロニー「皆の者、今までご苦労だった 無理を押し付けて申し訳なかった」

マロニー「だが、全てはこの時の為にあったのだッ!」

マロニー「さあ、時は来た!ウォーロック試作0号機、発進せよッ!!」

全隊員「ネウロイ試作0号機、発進!」


キイイイイン… バシュウ! 鋭い音を立て、遂にウォーロック試作0号機は世界の空を、ウィッチを助ける為に発進した。

45: 2010/09/18(土) 21:02:05.24 ID:z+7QboHr0
隊員E「出力… 無事定格出力突破!シグナル、オールOK!」

隊員F「安全装置、コアコントロールシステム異常無し!」

隊員G「ウォーロック試作0号機、発進できます!」

マロニー「皆の者、今までご苦労だった 無理を押し付けて申し訳なかった」

マロニー「だが、全てはこの時の為にあったのだッ!」

マロニー「さあ、時は来た!ウォーロック試作0号機、発進せよッ!!」

全隊員「ウォーロック試作0号機、発進!」


キイイイイン… バシュウ! 鋭い音を立て、遂にウォーロック試作0号機は世界の空を、ウィッチを助ける為に発進した。

47: 2010/09/18(土) 21:06:00.64 ID:z+7QboHr0
マロニー「さて、我々はこの辞令を持って501統合戦闘航空団の基地へ向かうとしよう」

副官「了解!」

マロニー「全隊員、只今より我々の本部は元501統合戦闘航空団の基地跡地へと移転する」

マロニー「先行隊として私が先に向かうので君達は移動の準備を任せた」

全研究員「了解っ!」


マロニー大将は武装した隊員を引き連れ、飛行機へと向かう。


副官「いよいよですね、閣下」

マロニー「ああ、無事ウォーロックも動いた まずは我々のウォーロックの実力、見せてもらおうではないか!」


マロニー大将達が乗り込んだ飛行機は501の基地へと飛び立った。

48: 2010/09/18(土) 21:09:40.94 ID:z+7QboHr0
ペリーヌ「うまく入りますか?」

坂本「もうちょっと奥まで… よし、いいぞ そんな感じだ」


バシャン! スポットライトが坂本とペリーヌを照らした。


ペリーヌ「はっ」

坂本「くっ!始まったか」

マロニー「そこまでだ、坂本少佐」

坂本「これはこれは閣下 如何なされましたか?」

マロニー「これより戦線は我らに任せてもらおう 501統合戦闘航空団、君らの役割は終わったのだ」

坂本「嫌だと言ったら?」

マロニー「陛下直々の正式な辞令だよ」

坂本「拒否権は無い、という事ですね?閣下」

マロニー「物分りが良くて助かるよ、少佐」

ペリーヌ「はわわ… た、大変ですわ…」

50: 2010/09/18(土) 21:13:04.11 ID:z+7QboHr0
マロニー「それで、宮藤軍曹の件はどうなっているのかね?」

坂本「ミーナ中佐以下5名が先程宮藤軍曹を拘束したとの事です また、正体不明の戦闘機がネウロイを撃破したそうです」

マロニー「フッフッフ… そうか、流石我々のウォーロックだ」

坂本「!?」

マロニー「ところで少佐、私は撃墜命令を出したはずだが?」

坂本「っ!そんな事はできません!」

マロニー「そうか… まあいい どちらにせよもう変わらんのだからな」

坂本「くっ!」

マロニー「そろそろ帰ってくる頃かな それじゃあお出迎えといこうじゃないか」

マロニー(やはりそうであったか 彼女達の結束力はとてつもなく大きい物だ)

マロニー(私はそれを引き裂く事になろう だが、悪役、恨み、悲しみ、憎しみ全てを買ってでも、私は、私の成すべき事をやり遂げてみせよう)

52: 2010/09/18(土) 21:18:06.24 ID:z+7QboHr0
ミーナ、バルクホルン、エーリカ、シャーリー、ルッキーニ5名は途中ウォーロックがネウロイの巣を倒した事により、
無事宮藤を助け、そして拘束した。撃墜命令が出ていたが勿論そんな事はできるはずも無い。そのまま基地へ帰投となった。


宮藤「…」

ルッキーニ「あれ?誰かいるよ?」


帰投したウィッチーズ6名を待ち構えていたのは無事ウォーロックが戦果を上げたと聞き、自慢気に微笑むマロニー大将であった。


マロニー「ご苦労だった、ミーナ中佐」

宮藤「…」ビクッ


そして轟音と風が吹き荒み、戦闘を終えたウォーロックがマロニー大将の後ろに降り立つ。


エーリカ「さっきのだ…」

宮藤「はっ!?」


ガチャガチャ 途端にマロニー大将の部下達が一斉に銃を構えた。


マロニー「ふんッ」ニヤリ

54: 2010/09/18(土) 21:22:54.52 ID:z+7QboHr0
ミーナ「まるでクーデターですね、マロニー大将」

マロニー「命令に基づく正式な配置転換だよ、ミーナ中佐」

マロニー「この基地は、これより私の配下である第一特殊強襲部隊、通称ウォーロックが引き続ぐ事となる」

ミーナ「ウォーロック!?」


基地に待機していたリーネ、エイラ、サーニャ、坂本、ペリーヌ5名が帰投したばかりの6名と合流した。


マロニー「ウィッチーズ、全員集合かね?」

一同「…」

マロニー「君が、宮藤芳佳軍曹か」

宮藤「はい…」

55: 2010/09/18(土) 21:29:09.44 ID:z+7QboHr0
マロニー「君は軍規に背いて脱走した、そうだな?」

宮藤「え… 軍規…」

マロニー「ふんッ」

宮藤「あっ!その後ろの!」

マロニー「フフ、ウォーロックの事かね?」

宮藤「私見ました それがネウロイと同じ部屋で、実験室のような部屋で…!」

マロニー「なッ!何を言い出すんだ、君は!」

宮藤「でも私、見たんです!」

ミーナ「…」スッ

坂本「…」スッ

56: 2010/09/18(土) 21:33:32.61 ID:z+7QboHr0
マロニー「質問に答えたまえ!君は脱走をした、そうだな?」

宮藤「…はい でもっ」

マロニー「中佐 私は脱走者は撃墜する様に命令したはずだ」

ミーナ「はい… ですが!」

マロニー「隊員は脱走を企てる それを負うべき上官も司令部からの命令を守らない」

マロニー「まったく残念だ、ミーナ中佐 そしてウィッチーズの諸君!」

マロニー「本日只今をもって、第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズは解散する!」

57: 2010/09/18(土) 21:36:21.40 ID:z+7QboHr0
一同「なっ!」ザワッ

マロニー「各隊員は、可及的速やかに各国の原隊に復帰せよ 以上!」

マロニー「わかったかね、ミーナ中佐」

ミーナ「っ!…了解しました」

マロニー「君の独断専行が原因なのだよ?宮藤軍曹」

宮藤「でも… 私…!」

マロニー「安心したまえ ネウロイはこのウォーロックが撃滅する ブリタニアを守るのに君達はもう必要ないのだ!」

64: 2010/09/18(土) 22:10:32.72 ID:z+7QboHr0
その後、ストライクウィッチーズは解散、各隊員は各国に戻る為身支度をして出て行った。


隊員A「閣下!ウィッチーズ全員が当地より離れました」

マロニー「うむ」

隊員B「全て順調です!」

マロニー「何処が順調なものか まったく… 想定外のタイミングだ」

マロニー「こちらの戦力は、まだウォーロック1機しか無い 表に出る時期では無かったのだ」

副官「しかし、もう隠れている訳には」

マロニー「そうとも!元はと言えば忌々しいあの扶桑の小娘!」

マロニー「あいつがネウロイと接触する様な事さえ無ければ、こんな時期に我々が動く必要など無かったのだ!」

副官「扶桑に帰してもよろしかったのですか?」

マロニー「軍を離れ、ストライカーを失ったウィッチーズなど、只の小娘にすぎん」

マロニー「恐れる必要など無いッ!」

マロニー「全隊員は引き続き準備とウォーロックの調整にかかれ!」

一同「はっ!」ビシッ

67: 2010/09/18(土) 22:18:26.77 ID:z+7QboHr0
部屋を出て、マロニー大将と副官はチャーチル首相に報告する為通信室へと歩いていた。


副官「やはり撃墜命令は守りませんでしたね」

マロニー「ああ、彼女達の絆の強さは強大だ 我々程度がどうにかできる問題では無いのかもしれん」

副官「それにしても宮藤芳佳軍曹のあの話は…」

マロニー「彼女には焦らされた 我々が極秘で進めてきたネウロイのコアの軍事利用、ウォーロックの事を何故だ」

副官「ましてまだ新人、軍曹です 何かしらのツテがあるとは思えません」

マロニー「いや、彼女の父親はあの宮藤博士だという話だ」

副官「あのストライカー開発者の宮藤博士ですか?」

マロニー「ああ だがあの様子を見る限りそれは関係無さそうだ おそらくネウロイと接触した時だろう」

マロニー「人型ネウロイ… 今までと変わったのには何か意味があるはずなのだ 今回のもそれかもしれん」

マロニー「どう転ぶにせよ、ネウロイは放っておけないし巣も殲滅せねばならん 実績もそれからだ」

68: 2010/09/18(土) 22:25:50.54 ID:z+7QboHr0
副官「ところで… 閣下、意見失礼致します ウィッチだけで無く部下にまで黙秘 ここまで目的を黙っておく必要があるのですか?」

マロニー「言ったはずだ 今更必要無いと」

副官「し、しかし… これでは閣下が完全にウィッチーズから恨まれる形になってしまいます!納得いきません!」

副官「それと、部下の前でわざわざ悪役の様な事を仰られなくともよろしいのでは無いでしょうか?」

マロニー「しつこいぞ副官 ウィッチーズにも、部下にも知らせる必要など無い 以上だ」

副官「か、畏まりました!」

マロニー「それでは陛下に無事作戦は成功したと報告をせねば」


副官は疑問に思い始めていた。何がここまでマロニー大将の口を閉じさせるのか。
決して目的を話そうとしないのには何か理由があるのだろうか?
勿論話したから、話さないから、どうという訳では無い。実際にウィッチを追放したのは事実だ。
だからただただ副官の頭に疑問として残った。が、そんな事を考えている暇など無かったのである。
ウォーロック出撃の機会はすぐにやって来たのだった。

69: 2010/09/18(土) 22:34:37.84 ID:z+7QboHr0
ウ~~~ ネウロイ襲来の警報が、ウィッチ達がいない基地に鳴り響く。


マロニー「チッ!もう奴らが来たというのかッ!」

副官「その模様です」

マロニー「今ウォーロックはどうなっている?」

副官「ひとまず、今回の戦闘でのデータ取得と簡単な検査は終わっているようですが」

マロニー「まだ完全な調整は済んでいないという事か」

マロニー「今回の戦闘で我らのウォーロックは十分に通用する事がわかった!構わん、発進させろ!」

副官「了解!」

71: 2010/09/18(土) 22:43:35.47 ID:z+7QboHr0
キュイイイイイインンンン という音と共に再びウォーロックの目に青い光が灯った。


隊員A「ウォーロック0号機、準備整いました」

副官「これより、ガリア地方制圧に向かわせます!」

マロニー「うむ」

副官「ウォーロック0号機、発進せよ!」


キイイイイン… バシュウ! 勢い良く飛び立ったウォーロックは飛行形態へと姿を変え、ネウロイへ向けて進撃を始めた。


隊員B「飛行形態へ変形完了」

隊員C「ガリアへの進路変更を確認!既に亜音速へ到達しました」

マロニー「ふん!どうだ 小生意気なあの魔女達とはまったく違う!」

マロニー「ウォーロックこそ我々のネウロイ研究の成果なのだ!」

72: 2010/09/18(土) 22:47:47.69 ID:z+7QboHr0
副官(またしても閣下は部下の前で演技をなさっている… 何の意味があるのですか、閣下)

副官「技術主任は、実戦投入にはもう少し出力レベルを整えたいとの事でしたが」

マロニー「そんな事はわかっておる!だが、ウィッチを追放した今、我々が戦うしか無いのだ」

マロニー「実績が必要なのだよ ネウロイを殲滅し、そして世界のイニシアチブを握る為に!」


同時刻、ウォーロックの出撃を遠くから監視する3人のウィッチの姿があった。
ミーナ、バクルホルン、エーリカである。

同時刻、ウォーロックの出撃を眺める2人のウィッチの姿があった。
シャーリーとルッキーニである。

同時刻、船の上でウォーロックの出撃を間近で見る3人のウィッチの姿があった。
宮藤、坂本、ペリーヌである。


ウィッチ無き今、ウォーロックはネウロイを殲滅する為に巣へ向かって飛んでいく。

73: 2010/09/18(土) 22:51:22.32 ID:z+7QboHr0
ネウロイの巣の中から無数のビームがウォーロックに向かって撃ち込まれた。
ウォーロックはこれを全て回避。生み出されたネウロイを一撃で破壊した。


隊員A「ウォーロック0号機、ネウロイを撃破しました」

マロニー「ウハハハハ!見ろ、もはや我々の力はネウロイを超えたのだ!」


ウォーロックがビーム兵器でネウロイを一撃で仕留める様を見て、坂本は疑問を持つ。
宮藤はネウロイが見せてくれた映像からウォーロックとネウロイに関わりがある事を思い出す。
ウィッチ達が核心へと近づきつつある頃、ウォーロックがいるネウロイの巣では異変が起きていた。

75: 2010/09/18(土) 22:54:34.01 ID:z+7QboHr0
副官「どうした?何が起きている」

隊員B「ネウロイが2機、出現しました」

隊員A「いえ、3機です!」

副官「何っ!?」

マロニー「構わん!殲滅しろ!!」


ウォーロックはビーム兵器で次々と出現するネウロイを片っ端から撃破していった。


隊員B「ネウロイの数、8、9!」

技術主任「ウォーロックの処理能力は限界です!」

マロニー「くうッ!」ギリッ

マロニー「コアコントロールシステムを稼働させろ!!」

76: 2010/09/18(土) 22:57:07.92 ID:z+7QboHr0
技術主任「しかし、コントロールするには共鳴させるコアを持ったウォーロックが、5機以上必要です!」

マロニー「ぬう…」


その時だった。 ジリリリリリリリ と警報音が司令室に鳴り響く。


隊員C「コアコントロールシステムが勝手に動いています!」

マロニー「なにいッ!?」

技術主任「ウォーロック自らがコアコントロールシステムを稼働させた様です!」


異常なまでに増えたネウロイが攻撃を止め、ウォーロックの支配下に置かれていく。

77: 2010/09/18(土) 23:01:51.82 ID:z+7QboHr0
隊員A「ウォーロックのコアコントロールシステム、正常に稼働しています」

隊員B「全てのネウロイを支配下に置きました!予想以上の成果です!」

マロニー「ふんッ!」ニヤリ


やがてネウロイは同士討ちを始めた。その数は次々に減っていく。やがてその数は…


隊員A「ネウロイを殲滅しました!」

一同「いよおおおっし!」

隊員A「あっ!」

副官「どうしたっ!?」

隊員A「いえ、それが」

隊員B「こちらからの制御が遮断されました」

マロニー「何だとッ!」

78: 2010/09/18(土) 23:06:44.93 ID:z+7QboHr0
沈黙を守っていたウォーロックに異変が現れ始めた。
外装の色が変わり始め、そして今まで青く灯っていたその目には赤い光が宿った。
基地へと戻っていくかのように思われたその機体は急に進路を変えると宮藤達が乗る船を攻撃し始めた。


隊員A「空母赤城がウォーロックの攻撃を受けています!」

マロニー「なにぃッ!」

隊員B「ウォーロック制御不能…っ!暴走しています!」

マロニー「馬鹿なッ!!」

副官「閣下!至急ウォーロックの停止を!」

マロニー「ならん!貴重な0号機だ!今停止すれば海中に没する」

副官「しかし、味方を攻撃する事態となっているのです どうか、ご決断を」

マロニー「くうッ!…やむをえん」

隊員A「ウォーロック強制停止システム稼働準備!」

隊員B「稼働準備!」

79: 2010/09/18(土) 23:10:12.57 ID:z+7QboHr0
赤城は暴走したウォーロックから防衛する為、戦闘を始めた。
ウォーロックは暴走を止める様子など無い。
マロニー大将は覚悟を決めた。これ以上長引くと赤城の被害も増えるのだ。


隊員C「強制停止システム準備完了!」

マロニー「…」グッ

マロニー「強制停止!!」ガチャ!

80: 2010/09/18(土) 23:15:29.86 ID:z+7QboHr0
隊員A「とっ、止まりません!ウォーロック、依然稼働中!」

マロニー「なッ、何故だッ!何故停止しないッ!?」

副官「か、閣下」

マロニー「ぬうッ!何故だッ!!」バンッ!


赤城はほぼ撃沈。総員退艦命令が出て、船員は避難。
それを見ていたウィッチ達が再び集まろうとしていた。
飛行機から、監視先から、列車から、車から。


マロニー「何がいけないのだッ… 我々の… 今までの努力とは何だったのだ…」ギリッ

副官「閣下…」

隊員B「ウォーロックは現在も暴走中 沈みかけの赤城を攻撃しています!」

81: 2010/09/18(土) 23:19:13.99 ID:z+7QboHr0
隊員A「他の方法を探せ!」

隊員B「周波数を変えて通信を試みます!」


司令室が慌しくなる。


マロニー「ウォーロックは… この空を守る為の兵器であった」

マロニー「ウォーロックは… ネウロイから人々を守る為の兵器であった」

マロニー「ウォーロックは… ネウロイからウィッチ達を守る為の兵器であった」

副官「閣下…」

マロニー「潮時…か」

副官「閣下?」

82: 2010/09/18(土) 23:23:43.28 ID:z+7QboHr0
マロニー「おそらく異変に気づいたミーナ中佐達がやってくるだろう」

マロニー「色々と出しておこうと思ってな」

副官「それは?」

マロニー「今回の計画の資料や証拠品だよ」

マロニー「もはや我々に暴走したウォーロックを止める事はできない」

マロニー「守りたかったはずが逆に破壊の限りを尽している」

マロニー「軍人失格だ ならばせめて罰は潔く受けるしかあるまい」

副官「閣下… 私もお供します」

マロニー「ふん、余計なお世話だ」

84: 2010/09/18(土) 23:27:55.66 ID:z+7QboHr0
ドッカーン! と大きな音を立てて入り口のドアが吹き飛んだ。
それと同時にウィッチが1人飛び込んできた。


バルクホルン「貴様らぁっ!」

隊員A「ひ、ひい!」

マロニー「来たか、私が…」

副官「わっ、私が総責任者だあ!」

バルクホルン「ふうっ!はあああああああああ」


ガスッ!ドカッ!バキッ!メキャッ!


副官「いっつ… は… ぃ…」

バルクホルン「ふふん!」

ミーナ「トゥルーデ!それ副官よ…」

86: 2010/09/18(土) 23:33:04.53 ID:T5WPdvsI0
>副官「わっ、私が総責任者だあ!」

少し笑ってしまった

87: 2010/09/18(土) 23:33:57.09 ID:z+7QboHr0
バルクホルン「誰だって同じさ ここにいる奴らは全員っ」ギロッ

隊員一応「ひいっ」

副官「か、閣下… い、今こしょけいかう(計画)のもくてい(目的)を…」

マロニー「ふん、何度も言わせるな 失敗してしまったのだ、私は 今更言い訳などしても何もなるまい」

マロニー(つまらん事しおって… 私は最後まで悪役を演じきってやるだけだ)

マロニー「我々をどうするつもりだ?」

バルクホルン「どうする、ミーナ?」

ミーナ「ふう… ウィッチーズを落とし入れようとして、随分と色々なさったようですね、閣下」

マロニー「…」

89: 2010/09/18(土) 23:42:06.75 ID:z+7QboHr0
その後、彼女達は外で戦う仲間を助けに出て行き、
マロニー大将他、部下達は全員縄で縛られた。


マロニー「無茶しおって」

副官「ウォーロック、何が駄目だったのでしょうね」

マロニー「ネウロイの力などと言う物に頼ったのがそもそもの間違いだったのかもしれん」

マロニー「力は、制御する人がいてこそ初めて力たるのだ」

マロニー「ウィッチはあの強靭な結束力、団結力を持っている」

マロニー「我々程度が彼女達と並ぶ事など厚かましい事だったのだ」

90: 2010/09/18(土) 23:49:55.40 ID:z+7QboHr0
暴走したウォーロックはその後、赤城と融合、猛威を振るったが
再び集結した501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズの活躍によって無事倒された。
そしてマロニー大将と副官は部隊の代表という事で軍法会議にかけられる事になった。


裁判官A「これよりトレヴァー・マロニー元空軍大将と、その元配属部隊についての軍法会議を始める」

裁判官B「被告人は着席せよ」

裁判官A「君達部隊はネウロイの研究結果を報告せず、その力を我が物の為に使用した」

裁判官B「これは重大な反逆である 更にウィッチをも落とし入れようとした」

マロニー「違いありません」

91: 2010/09/18(土) 23:52:43.66 ID:z+7QboHr0
裁判官A「何か言いたい事はあるかね?」

マロニー「いえ」

副官「っ!裁判官!」

マロニー「やめたまえッ!」

副官「しかし…」

マロニー「言ったはずだ 罰は受けると」

裁判官B「私語は慎みたまえ」

裁判官A「もうよろしいな?」

マロニー「はい」

副官「…はい」

93: 2010/09/18(土) 23:59:42.75 ID:z+7QboHr0
裁判官A「今回の事例、責任はトレヴァー・マロニー被告にあるのだな?」

マロニー「はい 全て私です 部下はただ私の命令に従っていただけです」


その時になってようやく副官は気づいたのだった。
マロニー大将が部下にも目的を話さなかったのは士気だとかそういった物とは無関係だったのだ。
何かあったとき、全ての責任を自分で背負う為であったのだ。


裁判官B「そこの副官被告もそうなのだな?」

マロニー「勿論です」

副官「…」グッ


副官は私も共犯者ですとは言えなかった。
勿論刑罰の思い軽いはある。
だが何より、マロニー大将の努力、そして覚悟を無駄にはしたくなかった。

97: 2010/09/19(日) 00:06:44.87 ID:jw1d8RLz0
裁判官A「判決を言い渡す!トレヴァー・マロニー被告は重大な反逆罪で終身刑!」

裁判官B「副官被告は部隊の副代表としての責任監督、懲役20年!」

裁判官A「他の部下達も降格処分とする!」

マロニー「君にはすまない事をしたな」

副官「やはりおかしいです、閣下!閣下は…」


副官とマロニー大将は両側から取り押さえられそれぞれ別の扉から外に出された。
副官は叫ぼうとしたがその声は届く事は無かった。


ギイッ バタン! ガッチャン!!


マロニー元大将と元副官の隔てる扉が閉められた。
これをもって“空軍大将”トレヴァー・マロニーの計画は終わった───…

99: 2010/09/19(日) 00:15:32.87 ID:jw1d8RLz0
…───エピローグ

1967年、とある小さな墓の前に男が1人立っていた。
その男はつい2年前、20年の刑期を終え出所した元軍人であった。

「ここに辿りつくまで3年もかかりました」

「出所して当時の記事やら雑誌を調べてみました」

「びっくりしましたよ 裁判の日から数日後の1944年11月14日」

「刑務所へ護送中に飛行機が山中に墜落して氏亡だなんて」

「当時は酷い言われようだったみたいですね」

「英雄の様なウィッチを落とし入れようとした無礼者、敵の力を利用して世界を危機へ追い込んだ犯罪者」

「どれも間違ってはないんですけどね」

100: 2010/09/19(日) 00:16:11.28 ID:jw1d8RLz0
…───エピローグ

1967年、とある小さな墓の前に男が1人立っていた。
その男はつい3年前、20年の刑期を終え出所した元軍人であった。

「ここに辿りつくまで3年もかかりました」

「出所して当時の記事やら雑誌を調べてみました」

「びっくりしましたよ 裁判の日から数日後の1944年11月14日」

「刑務所へ護送中に飛行機が山中に墜落して氏亡だなんて」

「当時は酷い言われようだったみたいですね」

「英雄の様なウィッチを落とし入れようとした無礼者、敵の力を利用して世界を危機へ追い込んだ犯罪者」

「どれも間違ってはいないんですけどね」

101: 2010/09/19(日) 00:21:18.55 ID:jw1d8RLz0
「その反逆者も時と共に忘れられていったようで」

「このお墓を探すのに3年もかかってしまいました」

「申し訳ございません、閣下」

「そういえば閣下、閣下の発明したコアコントロールシステム、あれは無駄では無かったんですよ」

「あの後日本の大和に受け継がれ、そこで失敗したものの更なる改良を加え完成したらしいです それでネウロイの完全殲滅を達成したらしいですよ」

「私も雑誌や記事で見ただけだからよく知らないのですがね」

「あれが閣下の手柄だと知ってる人はどれくらいいるんでしょうかね」

103: 2010/09/19(日) 00:28:01.04 ID:jw1d8RLz0
私は覚えている 世界を守ろうと、ウィッチ達を守ろうとした男の事を

私は知っている 世界を守るキッカケを作り、その後の人類を救ったとも言える男の事を

私は忘れないだろう 全ての責任を被り、人知れずここに眠っている男の事を


その男の名前はトレヴァー・マロニー。漢の中の漢であった人物である。

私は一度墓に向かって敬礼をし、その場を立ち去った…



end

104: 2010/09/19(日) 00:29:15.81 ID:jw1d8RLz0
書き溜めきれてからの失速っぷりがハンパないね
なんかゴメンナサイ 最後まで読んでくれた方ありが㌧
次なんか書く時は最後まで書き切ってから投下します…

105: 2010/09/19(日) 00:29:44.48 ID:KFp6CSsT0
いちおつ

106: 2010/09/19(日) 00:30:01.24 ID:BE0uuOqU0
おつ

引用元: マロニー「ブリタリアの、いや世界の空とウィッチ達はこの私が守る」