1: 2013/04/04(木) 00:20:39.83 ID:1bdo6VdBo
ちひろ「じゃあ、大西さん、これからあなたを担当するプロデューサーさんを呼んできますから」

由里子「はーい! やー、ドキドキするぅー」

ちひろ「……いいですか? うちはスタッフのほとんどが女性です」

ちひろ「女性なんです。いいですね? 女性ですから」

由里子「? はい」

由里子(確かに、女性ばかりの職場ですって強調してたけど)

ちひろ「じゃあ、プロデューサーさん!」

P「初めまして」

由里子「……」

由里子(そこには、体格の良い男性が、女性用スーツを着てしなを作っていた)

シンデレラガールズ 大西由里子 ポストカード YURIKO ONISHI

3: 2013/04/04(木) 00:22:03.36 ID:1bdo6VdBo
由里子「えーっと」

P「あなたが由里子ちゃんね。私があなたの担当プロデューサーです」

由里子「はい……」

P「P子って呼んで」

由里子「ちひろさん?」

ちひろ「~♪ ~♪」

由里子「……男の人だよ、ネ?」

P「……!」ガタン

由里子「えっ?」

P「まさか、ついに、この時が来てしまうとは!!」

由里子「は?」

4: 2013/04/04(木) 00:26:20.92 ID:1bdo6VdBo
P「うおおおおお、もう、私はこの事務所にはいられないのね!」

ちひろ「プロデューサーさん、落ち着いてください!」

P「しかし、こうしてバレてしまったからには!」

ちひろ「まだバレたとは限りません!」

由里子「わけがわからないよ」

ちひろ「大西さん、空気読んでください!」

由里子「アタシが悪いの?」

P「いいや、こんな時が来るとは思っていたのよ!」

由里子(おおう、女装したお兄さんがブンブンウィッグを振り乱しておる)

5: 2013/04/04(木) 00:26:55.26 ID:1bdo6VdBo
――

由里子「アタシ、腐ってるかもしれないけど、女装子にはちょっと疎くて……」

P「なんのこと?」

ちひろ「ああ、そういうことじゃないんです。ちゃんとした理由があって」

由里子「あまり聞きたくないかも」

P「元々、うちの事務所にはティーンのアイドルも所属していたんだけれどね」

P「そこに、男嫌いの子が一人入ったの」

由里子「ははぁ、それで女装を……?」

ちひろ「いえ、最初は男性に慣れさせるつもりで、いろいろ試したんです」

ちひろ「特に、プロデューサーさんと二人っきりにするとか」

P「……けど、彼女は逆に怯えてしまって」

由里子「ガタイがいいし、強面だもんね。受け顔っぽいけど」

P「受け顔?」

由里子「あ、続けてください」

6: 2013/04/04(木) 00:27:25.50 ID:1bdo6VdBo
P「そこで、まずはと思って、ホ〇ビデオを見せたの」

由里子「そりゃ逃げるわ」

P「けどね、ホ〇ビデオって言っても18禁とかじゃないのよ!」

ちひろ「マッスルを強調したポージング・ビデオなんです」

由里子「詳しく説明しなくても分かるよ」

P「だけど……相当きつかったみたいで……」

ちひろ「親御さんまで出てきて、一度事務所は潰れかかったんです」

由里子「二次元からの方が良かったんじゃないの?」

ちひろ「別に腐を量産したいわけじゃないんですけど」

7: 2013/04/04(木) 00:27:57.28 ID:1bdo6VdBo
P「それから、私は事務所を去ろうと思っていたの」

P「けど、社長が一からやり直そうって、がんばってくれて……!」

由里子「がんばりの方向性を間違えているんだじぇ……」

P「女装に違和感をなくすくらい、女性らしくなれば、男嫌いでも接してくれるんじゃないかと……」

由里子「真実はBLよりも奇なり」

ちひろ「それで、事務所の方でも、女性スタッフを強調して、お化粧から何から協力してもらい」

ちひろ「空気の読め……もとい、ティーンの子には刺激が強いと思って、少し年齢の高い方を集めているんです」

由里子(今、何か言いかけたような)

P「これまではバレなかったのに、やっぱり若い子には分かっちゃうのかしら」

由里子「老眼が進んでいるとか、そういうのなんすか」

8: 2013/04/04(木) 00:28:27.22 ID:1bdo6VdBo
ちひろ「とにかく! プロデューサーさんの手腕は確かなものなんです!」

ちひろ「ここで辞めてもらっては困ります!」

P「ちひろお姉さま……」

ちひろ「ぶふっ」クルッ

由里子「!?」

ちひろ「え、ええ、そうですとも。ちひろお姉さんが保証しますよ」フルフル

由里子(こやつ、楽しんでおる)

P「お姉さま、私、がんばる!」

由里子(ということは……)

9: 2013/04/04(木) 00:28:54.46 ID:1bdo6VdBo
由里子「……他のアイドルの皆さんも?」

ちひろ「ええ。仕事先にもプロデューサーさんの性癖ということで押し通しています」

由里子「芸能界は魔窟ですな」

P「……でも、どうしましょう。由里子ちゃん」

由里子「あっ、ま、まあ、アタシはほら、賑やかしというか、グループのお笑い的な?」

由里子「オーデに受かったとはいえ、腐が突っ込むには、ねぇ?」

由里子(正直、今の展開についていけないんだじぇ……)

P「そんなことないわっ! 由里子ちゃんカワイイもの!」

由里子「分かったから、少し下がって」

P「腐ってるだなんて、すっごくぴっちぴちよ!」

由里子「うわあああ」

11: 2013/04/04(木) 00:30:02.79 ID:1bdo6VdBo
――

P「というわけで、新しく入った由里子ちゃんです!」

由里子「どもー」

P「皆さん、今日も元気よくお仕事をこなして行きましょうね」

『はーい』

早苗「……で、P子ちゃん、終わったら女子(飲み)会行こう☆」

P「え、ちょ……」

志乃「うふふ、そうね、夜はちょうど空いてるしね」

P「こ、困ります。私、女子力、あまり高くありませんし」

早苗「何言ってるのよー」

志乃「女子力上げるために行くんじゃない」

P「も、もう~、そんなこと言ってないで、スケジュール確認してくださいっ」

二人『はぁい』

由里子「……普通に馴染んでるじぇ」

12: 2013/04/04(木) 00:30:30.81 ID:1bdo6VdBo
礼子「ふふっ、プロデューサーさん」

P「どうかしましたか?」

礼子「ちょっと衣装合わせがしたいの、手伝ってくれる?」

P「そ、そんなこと」

礼子「あらぁ、いいじゃない、女同士でしょ?」

P「やめてください……! ちひろさんに手伝ってもらって!」

由里子「……ち、痴女がいるじぇー!」

13: 2013/04/04(木) 00:30:59.10 ID:1bdo6VdBo
礼子「んん? 新人さん?」

由里子「もしかして、普段からこんなことを?」

礼子「やぁね。日常茶飯事よ?」

由里子「まさか、プロデューサーが困ると知ってて……」

礼子「バカッ」ぺしっ

由里子「あうっ」

礼子「P子ちゃんは女の子よ。女の子」

早苗「そうそう」

志乃「そうよねぇ」

由里子「……なんという無駄な圧力社会」

14: 2013/04/04(木) 00:31:30.80 ID:1bdo6VdBo
――レッスン。

トレーナー「ほらっ、プロデューサーさんを見習え!」

トレーナー「アイドルでもないのに、あんなに力強くステップを!」

由里子(そりゃ性別が違うからね!)ブンブン

P「嫌ですわ、トレーナーさん。アイドルの気持ちに立ちたくて、参加させていただいているだけです」

トレーナー「いえいえ、終了後の掃除までしてくださるんですから……」ニッコー

由里子「えー?」

P「そんなもの、プロデューサーとして当然です」

由里子(というか……)

15: 2013/04/04(木) 00:32:03.25 ID:1bdo6VdBo
――営業。

P「というわけで、事前にお渡ししていた進行では……」

総括「いやぁ、いいですよ。めちゃくちゃ助かりました」

総括「ホントにプロデューサーさんはすごい人ですわ」

由里子(いろんな意味でだよね)

P「やだ、褒めても何も出ませんよ?」

総括「ははは」

由里子(笑い声は乾いているじぇ……)


由里子「そして仕事はバッチリ成功しているし!」

礼子「有能なら許されるのよ、なんでもね」

由里子(これは……)

16: 2013/04/04(木) 00:32:35.01 ID:1bdo6VdBo
――オーディション。

スタッフ「あ、じゃあ、衣装こっちに置いといてください」

P「はい、分かりました~」バタバタ

由里子「あの、プロデューサー?」

P「どうしたの、由里子ちゃん」

由里子「いや、その、何してんの?」

P「ああ、悪いんだけれど、私の席を取っておいて欲しいの」

由里子「うん、いいんだけどね」

スタッフ「すんませーん!」

P「今行きまーす!」


由里子(もしかして……)

17: 2013/04/04(木) 00:33:13.71 ID:1bdo6VdBo
――事務所。

由里子「プロデューサー、利用されてない?」

P「どうしたの? 急に」

由里子「いやいやいや、だっておかしいっしょ?」

由里子「担当アイドルのプロデュースに加えて、番組の制作協力から、レッスン場のお掃除までって」

P「それはもちろん、女性のプロデューサーは珍しいからでしょうね」

由里子「ええー!?」

P「やっぱり、女に厳しい社会なのよ。この格好をして、改めて痛感したわ……」

由里子「そういうんじゃないと思うし、無理なことはやめたほうが」

P「それは……できないわ」

由里子「どうして?」

18: 2013/04/04(木) 00:33:40.85 ID:1bdo6VdBo
P「私は、やっぱり一人のアイドル候補生の道を奪ってしまった人間なの」

P「彼女が例えば戻ってきた時に、元気に活動できるような、そんな事務所や業界にしたいもの」

P「だからこそ、私が頑張らないと」

由里子「……プロデューサー」

由里子(完全に罪悪感を膨らませ過ぎてるんだじぇー!)

P「本当だったら、大人しく去るべきだったんだわ」

P「せっかく、与えられた贖罪のチャンスなのよ」

由里子「……それは」

19: 2013/04/04(木) 00:34:08.03 ID:1bdo6VdBo
由里子「でも、無理して体を壊したら元も子もないよ」

P「それは由里子ちゃんの方こそ」

由里子「その、私は、ほら、まあ……」

P「由里子ちゃん」

由里子「はひっ?」

P「私、あなたをオーディションで見つけて、すっごくいいなって思ったのよ」

由里子「そ、そうですか」

由里子(うーん、そりゃノリノリで歌ってたけど……受かるとは思わなかったし)

P「素人なのに、キラキラしてて、楽しそうだった。ステージを楽しめるって、大事な才能なのよ?」

由里子「う、うん」

20: 2013/04/04(木) 00:34:37.60 ID:1bdo6VdBo
P「私は大丈夫だから、由里子ちゃんも一緒にがんばろう?」

由里子(おお、逆に励まされるとは)

由里子「うーん、プロデューサー」

P「なぁに?」

由里子「ユリユリ、じゃなくて、アタシももっと楽しむからさ」

由里子「プロデューサーも、罪滅ぼしで仕事をするのはやめようよ」

由里子「きっとその子も、贖罪をしてほしいとは思ってないだろうし」

P「……」

由里子「ね?」

P「そう……ね」

由里子(ふー、まあ、無理しなければいいんだけどさ)

由里子(なんてゆーか、完全にオカマ化してるよネ)

21: 2013/04/04(木) 00:35:14.20 ID:1bdo6VdBo
――収録。

由里子「ユリユリでした☆ イェイ!」

スタッフ「――はい、カット!」

由里子「お疲れ様でしたー」

スタッフ「はい、お疲れ様ー」

P「由里子ちゃん、良かったわ~」

由里子「あ、プロデューサー」

P「それで、この後の予定なんだけど」

由里子「はいはい……」


ガシャーン!

スタッフ「ちょ、お客さん、こっち入ったらダメだって!」

男「うるせぇ、ウサミンにあわせやがれ!」

スタッフ「ウサミンはいないよっ!」

22: 2013/04/04(木) 00:35:43.59 ID:1bdo6VdBo
由里子「うわ、なに?」

男「どけぇええええええ!」

P「! 由里子ちゃん、危ない!」

びりぃいいいいっ!

男「な、なんだぁ、てめぇは!」

P「それはこっちのセリフよ、この暴漢め!」

由里子「あ、あれは……! 両腕を風車のように振り回して打撃を与える、中国拳法の基本功!」


P「烏 龍 盤 打!」

男「ぐわぁぁぁぁぁぁーーーー!」


由里子「けど、プロデューサー……!」

由里子「ま、前が!」

P「え、きゃあっ!」

由里子(強靭な胸板が晒されてしまった……いや、これはチャンス!)

23: 2013/04/04(木) 00:36:09.31 ID:1bdo6VdBo
スタッフA「お、おい……」

スタッフB「け、警察だ、警察を呼べ!」

由里子「おおい、それよりもっと気にすることあったっしょ!?」

由里子「プロデューサー! ほら、ね!?」

P「は、恥ずかしい」

由里子「反応がおかしいから。プロデューサーはおと……」

スタッフA「乙女、だな」

スタッフB「ああ、鍛え上げた乙女の拳だった」

由里子「!?」

P「!?」

24: 2013/04/04(木) 00:36:36.21 ID:1bdo6VdBo
スタッフA「まったく女性を狙うなんてふてぇ野郎だ」

スタッフB「そうだそうだ!」

男「う、うるせぇ……この変態野郎が……」

スタッフA「はぁ!? 変態はてめぇだろうが!」

スタッフB「P子ちゃんを傷つけた罪は重いぞ、コラァ!」ずずい

男「ひっ」

スタッフA「P子ちゃんは女! 女!」

スタッフB「おら、言ってみろ、オラァ!」

男「お、おん……」

男「うおぉぉん! 女性ですぅ~!」

男「私は女性を狙った卑劣漢ですぅ……」

二人『……』

25: 2013/04/04(木) 00:37:26.00 ID:1bdo6VdBo
――その後。

ちひろ「大丈夫でしたかっ、プロデューサーさん!」

P「え、ええ。なんとか……」

ちひろ「大西さんも大変でしたね」

由里子「んー、まあ、プロデューサーが助けてくれたから」

ちひろ「ほっ、そうですか」


早苗「P子ちゃんは私より強いからねぇ」

礼子「それより、二人共寄り添って、随分仲良しさんみたい」

志乃「まぁ、由里子ちゃんなだけにユリユリなのね」

早苗「あはは、本当に百合なの?」

礼子「ふふっ、何がなんだかわけがわからないわね」


由里子(好き放題言われてるしー!)

26: 2013/04/04(木) 00:37:55.86 ID:1bdo6VdBo
P「由里子ちゃん」

由里子「あ、プロデューサー! こないだは、ども」

P「ううん、私こそ、由里子ちゃんが無事で良かったわ」

由里子「……まぁ」

P「私、少し自信がついたわ」

由里子「へい?」

P「こうして、由里子ちゃんを守れたんだもの」

由里子「そ、そーですか」

P「それに、まさか……裸まで女性に近づいていたなんて!」

由里子「…………は?」

27: 2013/04/04(木) 00:38:23.55 ID:1bdo6VdBo
P「より精進して、女らしさに磨きをかけるわ!」

由里子「ちょ、その方向性はダメですよー!?」

P「任せて! ちゃんと由里子ちゃんもトップアイドルにして見せるから!」

由里子「そういう問題じゃないし!」

P「ふふっ、それに、事件とはいえ、名前が取り上げられるんですもの」

P「せっかく忙しくなるなら、利用してやらなくっちゃ」

由里子「……」

由里子「ふ、ふふ」

由里子「ええーい! こうなったらとことんやってやるじぇー!」

P「その意気よ! 由里子ちゃん!」


……そして二人は、伝説のユリバラコンビとして名を残していく。

28: 2013/04/04(木) 00:40:19.12 ID:1bdo6VdBo
・「アカンプリス」を読もう! パク……オマ……参考にしました
・BBA三人衆の扱いがひどくてごめんなさい
・ユリユリ再現度は低。精進します
ホ〇じゃないので寝ます

引用元: 由里子「……男の人だよ、ネ?」