1: 2014/09/02(火) 00:07:21.89 ID:S1GzIu+g0.net
勇者「つーわけでうーっす」

魔王「来るの早いなー」

勇者「そっちこそ、復活するの早いって」

魔王「今回は我慢した方だ」

勇者「そっか」

魔王「あー…家来る?」

勇者「うん。いくいく」

魔王「今回はどのくらい泊まる予定?」

勇者「…一週間かね」

魔王「えー早いなー」

勇者「すまん」

魔王「まあいいよ」
ジャヒー様はくじけない! 7巻通常版 (デジタル版ガンガンコミックスJOKER)
4: 2014/09/02(火) 00:11:43.12 ID:S1GzIu+g0.net
ガチャッ

魔王「帰ったぞー」

魔娘「父上!お帰りなさいなのだ!」トテトテトテ

魔王「おー魔娘!大きくなったなー」

魔娘「893歳なのです!」

勇者「やあ魔娘ちゃん」

魔娘「あっ!勇者なのだ!」

魔王「しばらくお父さんと勇者が家に居るからな」

魔娘「どのくらいいるのだ?」

勇者「一週間くらいかなぁ…」

魔娘「短いのだな…」

魔王「その代わりしっかりと甘やかしてしんぜよう」

魔娘「やったのだ!」

5: 2014/09/02(火) 00:16:08.86 ID:S1GzIu+g0.net
魔嫁「あらあら、帰るなら連絡してくださいな」

魔王「いや復活してまだ3日だからね…」

魔娘「母上ー!お祝いの準備なのだ!」

魔嫁「はいはい。腕によりをかけるわね!」

魔王「こりゃ楽しみだわ」

勇者「いつもながら苦労かけます…」

魔娘「遠慮するな!勇者も家族のようなものだ!」

魔嫁「そうですよ。実家のようにくつろいでくださいね」

勇者「…はい」

魔王「これ勇者、辛気臭い顔をするな!せっかくのお祝いなんだ!」

魔娘「そうだ!笑え笑え!」ニコッ

勇者「ああ!」ニカッ

8: 2014/09/02(火) 00:19:50.47 ID:S1GzIu+g0.net
ー調理中ー

魔娘「父上は一週間ほどいるらしいのだ!」

魔嫁「この間と同じくらいねぇ」

魔娘「今回は100年分遊んでもらうのだ!」

魔嫁「うふふ、しっかりと甘えちゃいなさいね」

魔娘「うん!」

フーンフーンフフフーン♪



魔王「いい光景だなぁ…」

勇者「心に染み渡るよ」

魔王「うちの嫁も娘も世界一だな!」

勇者「…かもね」

9: 2014/09/02(火) 00:23:56.43 ID:S1GzIu+g0.net
魔王「うむ!美味い!!」

魔娘「これは私が作ったのだ!!食え勇者!」

勇者「う、うむ…(なんだこの暗黒物質は…)」

魔娘「ほら!はやく!」

勇者「(えーいままよ!)パクッ」

魔娘「どうだ!?美味いか!?」

勇者「………」

魔娘「勇者?」

勇者「うまい…これめっちゃうまいぞ!」

魔娘「ほんとか!!」

勇者「見た目からは想像もつかないほどうまい…どうなってんだこれ」

魔王「これも愛のなせる技よ…」

魔嫁「あらあら、じゃあ私の愛もたっぷりと召し上がってくださいね」

魔王「ふはは!心配せずとも食べ尽くしてくれよう!」

10: 2014/09/02(火) 00:27:22.87 ID:S1GzIu+g0.net
ー食後ー

魔娘「父上!勇者!遊ぶのだ!」

魔王「うむ…魔娘は何がしたい?」

魔娘「そうだなぁ…また父上と勇者の話が聞きたいのだ!」

勇者「またあの話かぁ?」

魔娘「何度でも聞きたいのだ!」

魔王「うむ…では話そうか、ワシと勇者の馴れ初めを」



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13: 2014/09/02(火) 00:30:59.14 ID:S1GzIu+g0.net
勇者『やっとこさ辿り着いたぞ!決着の時だな!魔王!!』

戦士『油断するなよ勇者…ここからでも分かる…凄え覇気だ』

勇者『分かってる!」

魔法使い『プロテクトをかけておきます!これで魔王とも渡り合えるはずです!』

勇者『よし、いくぞ!』


魔王『…』

16: 2014/09/02(火) 00:35:26.51 ID:S1GzIu+g0.net
戦士『ぐわぁ!!』

勇者『戦士!』

魔法使い『くっ…もう回復する力もほとんど残っていません…』

勇者『ちくしょう…これが魔王か…』

魔法使い『…勇者様』

勇者『どうした魔法使い?』

魔法使い『残りの私の魔法を勇者様にかけます…どうかそれで魔王を倒してください』

戦士『へへ…どうやら俺たちじゃ相手にもならないみたいだ』

勇者『…わかった』

勇者『お前らの意思も俺が受け継ぐ!』

魔法『頼みました…勇者様!』

戦士『いっけぇ!勇者!!』

18: 2014/09/02(火) 00:39:23.06 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『ぐあぁぁ!』

勇者『やったか!?』

魔王『ハァハァ…』

勇者『まだ息があるか…さすがは魔界の王』

勇者『だが…終わりみたいだな』

魔王『ハァハァ…』

勇者『じゃあな…魔王!」スゥ…

?『やめて!!』

勇者『!!』ピタッ

勇者『誰だ?』

魔嫁『まって…やめて…』

勇者『魔族の女…?』

21: 2014/09/02(火) 00:44:49.53 ID:S1GzIu+g0.net
魔嫁『あなた!!』

魔王『魔嫁…なぜ出てきた』

勇者『魔族の王女か…』

魔嫁『お願い…もうやめて…』

勇者『…魔族にも優しさや悲しみはあるんだな』

魔王『…勇者といったか、貴様は何か勘違いをしておらんか』

勇者『勘違い?』

魔王『魔族にも、凶暴なものはいる。しかし、良い心をもつ魔族もまた存在する』

勇者『へえ…』

23: 2014/09/02(火) 00:52:00.42 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『魔族と人間は決して分かり合えるものではない…それは分かっている』

勇者『人間に魔族の言葉は通用しない…魔族は凶暴で人間を襲う』

魔王『果たしてそうかな?』

勇者『あんたはさっきから何が言いたいんだ?』

魔王『人間を襲った魔族の中には住むところを、仲間を、家族を失ったものも多い』

魔王『その失う原因となったのは貴様ら人間であろう…』

勇者『確かに近年は人口の増加に伴って住処を求めてはいるが…魔族との接触は避けているはずだ』

魔王『皆がみな、約束を守るものではない』

勇者『近隣の魔族を退けて住処を確保した人間もいる…と?』

魔王『そうして住処を追われた者たちのある者は狭い住処で細々と暮らし、ある者は新たな土地で新たな生活を始め、ある者は復讐を誓って時を待った』

24: 2014/09/02(火) 00:58:18.00 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『長い時を経て復讐を果たした者は、魔族の侵略者として人間が派遣した強者に駆逐される』

勇者『それが今回の魔王退治に繋がっていると?』

魔王『それが全てではない…が、そういった側面もあるのだ』

勇者『へぇ…』

魔王『私は人間を恨むつもりはない、そして人間に許しを乞うこともない』

魔王『傷つき、傷つけたのは互い様だ』

勇者『魔王以外の魔族にも家族はいるのか?』

魔王『無論だ。貴様が倒した魔族の中には家族を守り氏んでいった者もいるだろう、病気の者に薬草を取りにいった道で殺された者もいるだろう』

勇者『知らなかった…というか考えもしなかった』

魔王『だろうな。我々も人間の暮らしなど知ろうと思うものはほとんどいない』

勇者『なあ魔王』

魔王『…なんだ』

勇者『魔族の話をもっと聞かせてくれよ!俺さっきからワクワクがとまらないんだ!』

魔王『……ふはははは!今の話を聞いてそんな反応が出来るか!』

25: 2014/09/02(火) 01:00:52.32 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『先ほどまで殺意を向けていた相手にそのようなことを申すとは、面白い人間だな』

勇者『あんたらが悪いやつじゃないってんなら敵対する理由もないさ』

勇者『あっ!出来たらあいつらの治療もしてやってくれよ!』

魔王『構わん…魔嫁よ!仕度をせい!』

27: 2014/09/02(火) 01:04:49.91 ID:S1GzIu+g0.net
ー数日後ー

戦士『いやー、すっかりげんきになったぜ!』

魔法使い『色々と為になる話も聞けましたしね』

戦士『難しいことは覚えてねえけど、魔族とも仲良くなれるってことは分かったぜ!』

魔王『全ての魔族が話の分かる訳ではない』

戦士『まあまあ!あんたと仲良くなれただけでも大きいもんさ!』

魔法使い『確かに…魔王の家で治療を受けることになるとは…』

魔嫁『もうお怪我は大丈夫です?』

魔法使い『ええ』

戦士『もうすっかり元気満々よ!』

28: 2014/09/02(火) 01:09:20.03 ID:S1GzIu+g0.net
勇者『…なあ魔王』

魔王『なんだ勇者よ』

勇者『あんたは大切な友達だ』

魔王『ふん…友達、か』

勇者『でも、魔族の王だ』

魔王『何が言いたいのだ、はっきりと言え』

勇者『あんたら魔族と、その王のあんたに敬意を払っているからこそ、言うことがある』

勇者『人間と魔族の世の為に…』

魔王『我に犠牲になれと言うのか』

勇者『そうだ』

30: 2014/09/02(火) 01:16:47.12 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『…人間と魔族の世の為、その言葉に偽りはないのだな?』

勇者『人間は王を頃しても、新たな王が出てくる。勇者を頃しても、新たな勇者が産まれる』

魔王『魔族の王たる我が氏ねば、魔族の活動は静まる』

勇者『そう、大人しくなる。止まりはしないのだけどね』

勇者『これは、互いの世の和解のためなどではない、せめてもの争いを止めるためのものだ』

魔王『確証もない希望のために我に氏ねと?』

勇者『あんたは氏んでも復活するのだろう?』

魔王『まあな。しかし、貴様が氏ねばまた争いは起こるだろうな…』

勇者『だから俺も魔王と共に生き続ける』

勇者『不老不氏、禁術だが存在する』

魔王『こんな世界に留まり続けるというのか?』

勇者『それが俺の覚悟だ』

31: 2014/09/02(火) 01:20:12.65 ID:S1GzIu+g0.net
魔王『ふん…どこまでも真っ直ぐな目をしておるな』

勇者『勇者だからな』

魔王『もしその誘いを断れば?』

勇者『無理やりでもあんたを頃す。数日前の続きさ』

魔王『ふはは…ならば戦う必要はあるまいな』

勇者『…すまんな』

魔王『よい。その代わり…』

魔王『私が復活した時は一番に駆けつけるのだぞ?我が友よ』

勇者『ああ!』

32: 2014/09/02(火) 01:23:42.26 ID:S1GzIu+g0.net
王様『勇者よ!よくぞ魔王を倒してまいった!』

勇者『はっ!しかし魔王はいずれ復活を遂げるでしょう』

王様『その時はまた新たな勇者が産まれるまでよ』

勇者『…もう一つご報告が、私は不老不氏の身になりました』

王様『不老不氏?ほう…丁度良いではないか、なんど魔王が復活しようとも、何度でも勇者が倒せば良い』

勇者『…はい』

王様『では頼んだぞ、下がって良いぞ』

34: 2014/09/02(火) 01:26:41.46 ID:S1GzIu+g0.net
ー70年後ー

王様『魔王が復活したという』

王様『勇者よ!不老不氏の身体を持って魔王を退治してみせい!』

勇者『魔王復活か…早いなー』

35: 2014/09/02(火) 01:29:20.70 ID:S1GzIu+g0.net
勇者『魔王!いるか魔王!』

魔王『これ!しすがにせんか!』

勇者『これが黙ってられるか!普通70年程度で復活なんてするかよ!!』

魔王『だから静かにせんか!今寝静まったところなのだ!!』

勇者『寝静まった…?』

魔王『ったく…こい!』

勇者『なんだよ…ってかキャラがだいぶ違うぞ…』

36: 2014/09/02(火) 01:32:30.97 ID:S1GzIu+g0.net
魔娘『zzz…』スゥスゥ

勇者『ほえー…娘が出来たのか』

魔王『どうだ?可愛かろう?ワシの娘だぞ』

勇者『あんたまさかさぁ…』

魔王『ふん!娘に会うために復活したに決まっておろう!』

勇者『…ったく、仕方ねえな』

勇者『3日後にはお別れしてもらうぞ』

魔王『…ふん!』

勇者『だからキャラ変わりすぎだっての』

37: 2014/09/02(火) 01:38:39.52 ID:S1GzIu+g0.net
勇者『それにしても…やっぱあんたは王の器だな。あんたがいなくなったら魔族もすっかり大人しくなったよ』

魔王『当たり前だ。血筋で全てが決まる人間とは違うのだよ』

勇者『…やっぱ敵わないねぇ』

魔王『しかし、まだあれから70年か。ひどく昔のように感じるな』

勇者『人間にとっては長すぎる時間さ。あの時の戦士も魔法使いも氏んじまったよ』

魔王『そうか…氏んだのか』

魔王『勇者よ、生きていて辛くはないのか?いつまでも成長をしない人間をみて虚しくはならんか?』

勇者『そういうのはよく分からんが…これから生きる楽しみは一つ、出来たかな』


オンギャア!オンギャア!

魔王『そうか…』

魔嫁『あらあら。ミルクの時間かしら』

魔王『おっ!ワシがあげてもよいかの?』

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38: 2014/09/02(火) 01:42:20.81 ID:S1GzIu+g0.net
魔王「というのがワシと勇者の馴れ初めだな」

勇者「なあ魔王…話が長すぎるよ」

魔娘「zzz…」スースー

魔王「…いつからだ?」

勇者「魔王復活あたりからかな」

魔王「少々懐かしくてな…つい話込んでしまった」

勇者「もう何百年も前の話だもんな」

魔王「…」

40: 2014/09/02(火) 01:45:03.32 ID:S1GzIu+g0.net
ー1週間後ー

勇者「じゃあ、また封印するぞ」

魔王「氏なずに済むようになったのはありがたいな」

魔娘「父上!また今度なのだ!」

魔嫁「ゆっくり休んでくださいねぇ」

勇者「じゃあいくぞ…はぁっ!」

魔娘「おやすみなさい!父上!」



勇者「今度はまた…百年後くらいかな」

41: 2014/09/02(火) 01:47:37.74 ID:S1GzIu+g0.net
魔娘「勇者も帰るのか?」

勇者「もう役目も終わったし…長居すると魔王になんて言われるかわからんからな」

魔娘「そうか…残念なのだ」

勇者「また魔王が帰ってきたら寄らせてもらうよ」

魔娘「なあ勇者?」

勇者「なんだ?」

魔娘「勇者はここ、好きか?」

勇者「ふむ…」

42: 2014/09/02(火) 01:52:22.73 ID:S1GzIu+g0.net
勇者「俺と魔王が出会ってから数百年の間に三度、国が変わり、237もの王が王座に座った。技術は進歩し、国民の暮らしは豊かになった」

魔娘「ここにはない物もいっぱいか?」

勇者「うん。でもね、ここにしかないものもたくさんあるんだ」

勇者「私はこの場所が大好きだ。こんな形にはなってしまったが、ここを残すことが出来て良かった」

勇者「この地上で最後の楽園を」

魔娘「楽園?」

勇者「とーっても好きな場所ってこと」

魔娘「そうか!私もここは大好きだ!」

勇者「そっか」ナデナデ

43: 2014/09/02(火) 01:54:58.90 ID:S1GzIu+g0.net
魔娘「でも人間界にもいってみたいのだ!」

勇者「うーん…あと数千年もすれば行けるようにはなってるかもね」

魔娘「えー…遅すぎです」

勇者「今度来る時は人間界のお土産を持ってこよう」

魔娘「わーい!さすが勇者!父上の友人なのです!」

魔嫁「あらあら。ご迷惑をおかけしますわ」

勇者「いえ、せめてもの見舞いです」

45: 2014/09/02(火) 01:58:34.25 ID:S1GzIu+g0.net
勇者「では、お世話になりました」

魔嫁「対したおもてなしもできず…申し訳ないです」

勇者「いえ…」

魔娘「勇者!またくるのだぞ!」

勇者「ええ…では」

魔娘「じゃーな!」




魔娘「帰ってしまったな…」

魔嫁「ねぇ、魔娘ちゃん?」

魔娘「なんです?」

魔嫁「勇者さんは好き?」

魔娘「うん!勇者はいいやつだから好きなのだ!」

魔娘「それに、勇者が来る時は父上が帰ってくる時なのだ!だから嬉しいのだ!」

魔嫁「…そっか」ニコッ

46: 2014/09/02(火) 01:59:46.95 ID:S1GzIu+g0.net
おわり

52: 2014/09/02(火) 02:20:17.40 ID:bmGAmHen0.net

引用元: 王様「魔王復活したから倒してきて」勇者「うーっす」