―――――――学園都市、とある病院



ﾀｯﾀｯﾀｯ

御坂「黒子！？」

固法「あっ、御坂さん？」

御坂「すいません、黒子は、黒子のヤツは！？」ｶﾞｼｯ！

固法「落ち着いて！――どうやら峠は越えたみたいよ」

御坂「……よかった」ｸﾞｽｯ

固法「……でも、暫くは面会謝絶ね」

御坂「……そんな」

初春「……御坂さん」ｸﾞｽｯ

御坂「初春さん！？」

初春「……ごめんなさい、わたし、一緒だったのに、なんにもできなくて……」ｸﾞｽｯｸﾞｽｯ

御坂「初春さんは怪我はないの！？」ｶﾞｼｯ

初春「……はい、わたし、怖くて、何にもできなくて……」ﾋｯｸﾋｯｸ

御坂「……そんな事ない、初春さんに怪我なくて黒子も安心してるよ、きっと」ｷﾞｭｯ

初春「みさかさん……」ｸﾞｽｯ

御坂「……でも、黒子にあんな大怪我させるなんて、一体……」

佐天「あの～、その事なんですけど、あたし、ちょっと調べてみたんですよ」

御坂「佐天さん！？」ﾀｯ

御坂「佐天さんは怪我ないの！？」

佐天「あ、はい。固法先輩に呼び出されたもので…」

御坂「そうなんだ……」ﾎｯ

佐天「それでですね、やっぱ気になって調べてみたんですけど、」

御坂「犯人が誰か分かったの！？」

佐天「いや、それが学園都市の人間じゃないかもしれないんですよ」

御坂「……どういう事？」

佐天「何か話を聞いてみてると、犯人は大人なんじゃないかって」

固法「ちょっ、ちょっと佐天さん！？」

佐天「―――それと、一番気になったのは、白井さんの鉄針が効かなかった、っていうんですよ」

御坂「……まさか」

佐天「そもそも、大勢で賑わっているところ、突然大暴れしだしたらしく、それを取り押さえようとした白井さんが」

御坂「返り討ちにあった、ってこと？」

佐天「……らしいんですよ」

御坂「……ちょっと信じられないわね」

固法「……ええ、白井さんの実力は折り紙つきだもんね……」

固法「……その犯人に傷を負わされながらも、怪我をした人達をテレポートさせてその場を逃れた……」

御坂「そんな！？そんな事、黒子に出来る訳……」

固法「……必氏だったんだと思う。でも、一番重症なのが白井さんだなんてね……」

御坂「……黒子」ｷﾞｭｯ

ｶﾂﾝ

「あらー、怪我をされた風紀委員の病室ってここでいいのかな～☆」

固法「あなたは……」

御坂「……」ｷﾞﾘｯ



佐天「…………誰？」



「」

固法「ほら、レベル5の……」ｺｼｮｺｼｮ

佐天「……えーっと、原子崩し？」

御坂「それは年増ヒス女の方よ」


麦野「えくしっ」ｸｼｭﾝ


佐天「えーっと、それじゃあ……」

御坂「……心理操作」


固法「常盤台の食蜂操祈さん……？」

御坂「……何でアンタがここにいんのよ……」ｷﾞﾘｯ…

食蜂「なーんでだろーね☆」

食蜂「ま、とりあえず、その白井さんに会わせてもらって、と」

初春「……駄目です」ｽｯ

初春「……今、白井さんは面会謝絶です」ｼﾞｯ…

食蜂「え～☆そうなんだ？……でも、どうでも良いんだけど、アナタの意見なんて」



ﾋﾟｯ

食蜂「それじゃ、通してね☆」

初春「……駄目です」



初春「……今は、面会謝絶なんです……！！」ｼﾞﾘｯ…


食蜂「……ふーん、抵抗するんだ～。どうなっても知らないゾ☆」



御坂「……止めろ、食蜂操祈」ﾊﾞﾁｯ


御坂「これ以上余計な事をしてみなさい」ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ…



御坂「消すわよ」ﾊﾞﾁｯ

食蜂「あらあら、な～にムキになってんだか」ﾔﾚﾔﾚ

食蜂「ま、いいや。今日は挨拶しに来ただけだし」ｸﾙｯ


食蜂「それじゃ、またね☆御坂さん」ﾋﾟｯ



御坂「……下衆が」

初春「……ぅ」ﾌﾗｯ…

御坂「大丈夫、初春さん！？」ｶﾞｼｯ

初春「……はい、何だか頭の中がチカチカしますけど何とか……」ｱﾊﾊ…

佐天「……何かあたしも頭が……」ｸﾗｯ…

御坂「……心理掌握」

佐天「……へ？」

御坂「アイツの能力は人の心を好き勝手に塗り変える、……最低の能力よ」

佐天「……そんな」

初春「……今も御坂さんがシールドを張って守ってくれなかったら……」ｿﾞｯ…

固法「……恐ろしい能力ね」

御坂「……でも、何でアイツが……」


佐天「……そう言えば」




佐天「襲われた生徒の多くが常盤台の生徒だったみたいですよ」

―――――――――――




御坂「……で、今に至る、か……」ﾊｧ…

御坂「……全く、大体何でアンタがノコノコ一人で化け物退治に乗り出してんのよ！？」ﾊﾞｷﾝﾊﾞｷﾝ!

御坂「何だっけ、常盤台の女王に対する挑戦？このままほっといたら自分の経歴に傷がつく？冗談じゃないわよ！！自分勝手にして！！」ｶﾞｽｯｶﾞｽｯ！

御坂「どーせアンタの事だから、能力一発でカタがつくって思ってロクな下調べもせずにノコノコ誘い出されるままやって来たんでしょ！？」ｺﾞﾝｺﾞﾝｺﾞﾝ!

御坂「今時メールであおられて簡単に誘い出されるなんてそこらのチンピラ以下じゃない！！」ｶﾞｷﾞﾝｶﾞｷﾞﾝｶﾞｷﾞﾝ！

御坂「ちょっと聞いて―――――」ｸﾞｲｯ

食蜂「ﾎﾟｰﾂﾏｽｼﾞｮｰﾔｸﾃﾞｺﾑﾗｼﾞｭﾀﾛｰｶｲｹﾞﾝﾚｰﾃﾞﾊﾄﾎﾟｯﾎﾟｰ……」ﾌﾆｭｳｩｩｳ…

御坂「……ダメだこりゃ」


御坂「……レールガンも効かない、チェーンソーもダメ……。電撃で精々足止めが精一杯って、どうすりゃいいのよ……」ﾊｧ…

食蜂「ﾌﾆｭｳｩｩｳ……」

御坂「……そういや、空が青いわよねー…」ﾊｧ…

御坂「澄み渡る空、穏やか日、何でこんないけすかないヤツと一緒に港の波止場のクレーンに閉じ込められてんだか……」ﾊｧ…

食蜂「ﾌﾆｭｳｩｩｳ……」

御坂「大体、アンタがちゃんと携帯切ってなかったからこんな事態に―――」グラッ


御坂「えっ！？なになになに！？」

ズズズ…

御坂「く、クレーンの支柱が、叩き折られちゃったの！？」

ゴゴゴ…！

御坂「や、ヤバい！早く脱出――――」ﾀﾞｯ

食蜂「ふにゅううぅぅう……」

御坂「何時までも逃避してんなああああぁぁああ！！」ｸﾞｲｯ！

食蜂「ひぇ！？御坂さん！？」

御坂「しっかり捕まってて！！」ｼｬｱｱ－ｯ！！

食蜂「う、うん！！」ｷﾞｭｰｯ!

御坂「うおおおぉぉりゃああぁぁああ！！」ﾀﾞｯ！



ﾊﾞﾝｯ―――――――

―――ﾀﾊﾟｰﾝ


御坂「……くそっ」ｻﾞﾊﾟｯ


食蜂「うええ、水飲んだ……」ﾊﾟｼｬｯ…


御坂「ほら、さっさと上がりなさい」ｸﾞｲｯ

食蜂「う、うん……」ﾊﾟｼｬｯ


食蜂「あっ、大変！！」


御坂「ど、どうしたの！？」

食蜂「……リモコン壊れた」ｶﾁｶﾁ

御坂「」

御坂「……じゃあ何？アンタ、正真正銘の役立たずになったってわけ？」

食蜂「……ｱﾊｯ☆」

御坂「ニヤニヤすんな！！」ﾎﾞｶｯ！

食蜂「ひぃんっ」



御坂「……たくっ、良い？今から二人でアイツを倒すのよ？」

食蜂「へ？








二人、で？」

食蜂「二人でって、







無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理」

御坂「無理無理言うな！！DIOかアンタは！！」ﾎﾞｶｯ！

食蜂「きゃいんっ」

御坂「いい？アイツにはレールガンやチェーンソーといった物理攻撃は通用しない」

御坂「でも、電撃、特にプログラムを仕込んだものならそれなりに効果はある」

食蜂「じゃあ御坂さんだけで戦えばいいじゃない」ｸｽﾝ

御坂「いい？アイツに効果が多少あるからといって、距離があれば電撃自体の威力は落ちるし、アイツの防御壁に阻まれて効果が減る」

食蜂「……つまり、接近戦……？」

御坂「そうよ、分かってるじゃない」

食蜂「……帰る☆」

御坂「コラマテ」ｶﾞｼｯ

食蜂「ああんっ」

御坂「いい？アイツの正体は恐らくプログラム体」

御坂「人の姿をしたり化け猫みたいな格好になるけど、佐天さんの話や黒子の事、これまでの交戦からして十中八、九間違いないわ」

食蜂「……えと、それって……」

御坂「……まあ、化け物よね」

食蜂「うん、帰る☆」

御坂「帰んな」ﾊﾞｼｯ

食蜂「きゃいんっ」

食蜂「無理よ無理無理！そんなレベル6モドキ相手に勝てっこない！！」

御坂「無理無理言うな！どの道、このままじゃやられるし逃げられる！！アイツの特性からして、電波の送信アンテナさえあれば自由自在に移動できる、そうなったら手遅れになる！！」

食蜂「で、でも、だからって……」

御坂「だからもくそもない！！」








御坂「やるのよ」

食蜂「で、でも、もしあたしの攻撃が効かなかったら……」

御坂「……そん時はあれよ」


御坂「アンタだけでも逃がす。命に代えても、ね」

食蜂「い、命って……」ｺﾞｸｯ


御坂「……だから、ね。安心して」ｷﾞｭｯ



御坂「……ね？」ﾆｺｯ


食蜂「う、うん……」

ｶﾂﾝ…ｶﾂﾝ…


御坂「……来た！」


御坂「行くわよ、操祈！！」ﾀﾞｯ！

食蜂「あっ、ちょっと！？」



食蜂『……もし、ここで逃げれば……』

食蜂『……いや、駄目だ。そうなれば、あいつは御坂さんを無視してこっちをやりにくる』

食蜂『そもそもの狙いはこっち。御坂さんは割って入ってるに過ぎない』

食蜂『でも、今逃げてもやられるし御坂さんがやられるても結局は殺される』


食蜂『――――生き残るには、行くしかない！！』ﾀﾞｯ！

御坂「行くわよ、操祈！合わせて！！」

食蜂「う、うん！」



食蜂『……体が震えてる』ｿﾞｸｯ…

食蜂『……怖い？この心理掌握が？』

食蜂『……そうか、これまでは能力に依存して、必ず相手を屈服させられる事を前提にしてきた』

食蜂『だから未知の相手を前に体が震えるんだ……』

御坂「行くよ！いち！」

食蜂『―――でも、』

食蜂「にの！」

食蜂『今なら戦える！彼女となら！！』

御坂・食蜂「「さんっ！！」」


食蜂『必ず勝てる！！』




カッ

御坂「うわああぁぁああ！！」

ギャギャギャ！

食蜂『電撃の縄での拘束！？あり得ないんじゃない！？』

御坂「くらええぇぇええ！！」ｽﾞｶﾞｶﾞｶﾞｯ！

食蜂『す、素手でプログラム体の情報障壁を破るための電撃！？』

御坂「今よ、操祈！！」

食蜂「―――うん！！」

食蜂『――――集中しろ』



食蜂『――――恐怖は遮断、喚起するのは勇気！！』


食蜂『――――化け猫を倒すためのプログラムを想起せよ！！』



食蜂「喰らえ――――――――――






消去――デリート――――！！！！！」







バンッ！




ﾅｧｧｱｱｧｱｱｱｱｱｱｱ！！！！



―――――――

――――――


御坂「……ｻｷ、ミサキ！！」

食蜂「……う、あれ……、御坂さん……？」

御坂「……どうやら無事みたいね」ﾎｯ

食蜂「う、うん……、なんとか……」




食蜂「あっ、そういえば！あいつはどうなったの！？」


御坂「ああ、あの猫なら」ﾁﾗｯ

食蜂「……猫？」

御坂「そう、猫」

食蜂「猫って……」ｶﾞｸｯ

食蜂「……でも、この猫って何がしたかったんだろうね……」

御坂「……よっぽど強い怒りがあったのかな……」

食蜂「……かもね」


御坂「……後でお墓でも作ってあげるか」

食蜂「……そうね」

食蜂「さてと、」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ


食蜂「これで友達ごっこはおしまい。あとは普段通りって事で」

御坂「……ふーん。ま、あたし達にはそっちの方があってるかもねー」

食蜂「つれないなぁ～。そんな事じゃ友達なくしちゃうゾ☆」

御坂「誰がよ誰がっ」ｸｽｯ

食蜂「じゃあね、御坂さん。一日楽しかった！」

御坂「……ま、その通り。最悪だけど最高の一日だった」

食蜂「じゃあ、ね」

御坂「じゃあね、食蜂操祈―――――――



………………





「……目標の消去に失敗」

『了解、直ちにプランBを発動する――――――』

―――――――――



黒子「……それで」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

御坂「いや、本当に大変だったんだってば」

黒子「そうではなくっ！！」バンッ！



黒子「何故その方がお姉様にべったりくっついてますのおおおおぉぉお！？」


食蜂「ん～☆」ｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘ

食蜂「あら～、白井さん妬きもちはみっともないゾ☆」ｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘ

黒子「キーーッ！！！」

食蜂「えへへ～、みこちん～☆」ｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘ

御坂「みこちんって誰よ、つーか暑苦しいんだけど」ｸﾞｲｯ

食蜂「もぅ、照れちゃって～～☆」


黒子「くーーーーっ！！！」ｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘ

佐天「おやおやおや、まさかの三角関係！？」

初春「非常に興味深いです！！」



黒子「ゆゆゆゆる許されませんわそんなことーーーーっ！！！」キーーッ！


婚后「その通りです！！」



御坂「こ、婚后さん！？」

婚后「その席は私のものです！！」ﾄﾞｼｯ！


黒子「」

婚后「今後は私達も下の名前で呼びあいましょう！！」

御坂「えっ、あの」

婚后「そ、その、私も、み、美琴と呼ばせて頂きますから///」

御坂「」


黒子「お、おおお姉様！！一体どういう事ですの！？」

食蜂「そーよそーよ、みこちんの浮気もの～！！」

御坂「あ、あんたら……」

初春「これは四角関係ならぬ三角錘関係！？」

佐天「これがゆるゆり、いや、がちゆりってやつですか！？」



婚后「み、美琴……//」


食蜂「みーこーちーんー//」ｽﾘｽﾘｽﾘｽﾘ

御坂「あのね、ちょっと！？」



黒子「許せませんの！！」ﾄﾞﾝ！！


黒子「お姉さまは、黒子のものですのおおおぉぉおお！！！」





おしまい

期待も何も終わってるじゃないか

おわり！？
ここからドロドロにならないのか…