1: 2013/04/14(日) 22:23:18.38 ID:KIIoIuUro
第一夜 神在月
小梅「は、はじめまし、て。本日から始まりました、ラジオ百物語。パーソナリティの白坂小梅、です」
ほたる「アシスタントの、白菊ほたるです」
茄子「同じくアシスタントの鷹富士茄子です」
白坂小梅のラジオ百物語シリーズ
小梅「は、はじめまし、て。本日から始まりました、ラジオ百物語。パーソナリティの白坂小梅、です」
ほたる「アシスタントの、白菊ほたるです」
茄子「同じくアシスタントの鷹富士茄子です」
白坂小梅のラジオ百物語シリーズ
2: 2013/04/14(日) 22:24:03.64 ID:KIIoIuUro
小梅「こ、この番組は……みんなで怪談話を楽しむ……番組。でも、オカルト、だけじゃ……ない」
茄子「超常的なことに限らず、怖い話も、不思議な話も、変な話も楽しんじゃおうっていうことですね」
ほたる「幽霊さんのお話ばっかりじゃ……ないんですね」
小梅「う、うん。心霊関係も多くなる……と思うけど、それだけじゃ……ない」
茄子「怪談と言えるものならなんでもいいんですよね?」
小梅「そう……。あまり、ジャンルを限定するのは……よくない。当人が……わかってなくても、他の人が聞いたら……怪談っていうことも、ある」
ほたる「なるほど……」
茄子「なんでも楽しんじゃう姿勢が大事ですね!」
小梅「うん」
ほたる「楽しむ……。そうですね。それが一番ですね」
小梅「みんなで……怖がったり、ほっとしたり、驚いたりする。……楽しいと思う」
茄子「ですねー。ええと、それでですね。今日は第一回なので、お手紙などもありません。ですから、早速メインコーナーにいってみましょう」
茄子「超常的なことに限らず、怖い話も、不思議な話も、変な話も楽しんじゃおうっていうことですね」
ほたる「幽霊さんのお話ばっかりじゃ……ないんですね」
小梅「う、うん。心霊関係も多くなる……と思うけど、それだけじゃ……ない」
茄子「怪談と言えるものならなんでもいいんですよね?」
小梅「そう……。あまり、ジャンルを限定するのは……よくない。当人が……わかってなくても、他の人が聞いたら……怪談っていうことも、ある」
ほたる「なるほど……」
茄子「なんでも楽しんじゃう姿勢が大事ですね!」
小梅「うん」
ほたる「楽しむ……。そうですね。それが一番ですね」
小梅「みんなで……怖がったり、ほっとしたり、驚いたりする。……楽しいと思う」
茄子「ですねー。ええと、それでですね。今日は第一回なので、お手紙などもありません。ですから、早速メインコーナーにいってみましょう」
3: 2013/04/14(日) 22:24:33.87 ID:KIIoIuUro
小梅「うん。この番組のメインは……アイドル百物語」
ほたる「このコーナーは、小梅さんが私たちの同業者……アイドルのみなさんの所に取材に行き、怪談を聞かせてもらう、というものです」
小梅「いろんな人に……会うのも、楽しみ」
茄子「そうですねー。ただ、今回は第一回ということで、アシスタントの私、鷹富士茄子の怪談になっています!」
ほたる「茄子さんは……あんまり怖い目にあってる印象が……ないかも」
茄子「あははー。そうですね、怖いっていうのとは違うかもしれませんが……」
小梅「さ、さっきも言ったけど、怪しい話であれば……いい」
ほたる「あ、そっか」
小梅「では、一人目……茄子さん、どうぞ」
ほたる「このコーナーは、小梅さんが私たちの同業者……アイドルのみなさんの所に取材に行き、怪談を聞かせてもらう、というものです」
小梅「いろんな人に……会うのも、楽しみ」
茄子「そうですねー。ただ、今回は第一回ということで、アシスタントの私、鷹富士茄子の怪談になっています!」
ほたる「茄子さんは……あんまり怖い目にあってる印象が……ないかも」
茄子「あははー。そうですね、怖いっていうのとは違うかもしれませんが……」
小梅「さ、さっきも言ったけど、怪しい話であれば……いい」
ほたる「あ、そっか」
小梅「では、一人目……茄子さん、どうぞ」
4: 2013/04/14(日) 22:26:27.57 ID:KIIoIuUro
はい。
それでは、話させてもらいますね。
これは、私が小梅ちゃんやほたるちゃんくらいの歳の……そう、六、七年前の冬のことです。
学校から帰る道すがら、友達と別れた後のこと。
ちょっと海を見ていこうと思って、浜に出たんです。
ええ、すぐ近くにとっても気持ちのいい海岸があって。
そうそう、日本の渚百選っていうのにも選ばれたことがあるくらいの場所なんですよ。
冬でしたから、浜に出ている人は少ないだろうと思ってました。
とはいえ、有名な場所なので、少しくらい観光客の人がいるだろうとは思っていたんですが。
浜に出てみると、思った通り、ぽつりぽつりと観光客らしき人がいるくらいでした。
そろそろ日が暮れ始めてもおかしくない時間でしたから、その人たちも引き上げようとしている感じでしたね。
私は地元ですしね。ゆっくりと歩きながら、風を楽しんでました。
冬ですから、一度暮れ始めるとすぐに暗くなっちゃいます。
だから、空の色が夕焼けに染まり始めたところで、帰ろうと思って歩き出しました。
ところが、少し行ったところで、なにかゴミ拾いをしている人たちに行き当たったんです。
浜って、どうしてもゴミがたまるんですよ。
観光客の人が気をつけててくれても、どこかから流れ着いてくるのはどうしようもないものです。
たまにボランティアの人たちがずーっと列になってゴミ拾いをしてくれたりするんですよね。
私も気がついたときは拾うようにしてました。
ただ、今回は大規模なボランティアの団体ということでもなさそうでした。
人数も少なめでしたし、夕方にやるってのはあんまりないですからね。
それでは、話させてもらいますね。
これは、私が小梅ちゃんやほたるちゃんくらいの歳の……そう、六、七年前の冬のことです。
学校から帰る道すがら、友達と別れた後のこと。
ちょっと海を見ていこうと思って、浜に出たんです。
ええ、すぐ近くにとっても気持ちのいい海岸があって。
そうそう、日本の渚百選っていうのにも選ばれたことがあるくらいの場所なんですよ。
冬でしたから、浜に出ている人は少ないだろうと思ってました。
とはいえ、有名な場所なので、少しくらい観光客の人がいるだろうとは思っていたんですが。
浜に出てみると、思った通り、ぽつりぽつりと観光客らしき人がいるくらいでした。
そろそろ日が暮れ始めてもおかしくない時間でしたから、その人たちも引き上げようとしている感じでしたね。
私は地元ですしね。ゆっくりと歩きながら、風を楽しんでました。
冬ですから、一度暮れ始めるとすぐに暗くなっちゃいます。
だから、空の色が夕焼けに染まり始めたところで、帰ろうと思って歩き出しました。
ところが、少し行ったところで、なにかゴミ拾いをしている人たちに行き当たったんです。
浜って、どうしてもゴミがたまるんですよ。
観光客の人が気をつけててくれても、どこかから流れ着いてくるのはどうしようもないものです。
たまにボランティアの人たちがずーっと列になってゴミ拾いをしてくれたりするんですよね。
私も気がついたときは拾うようにしてました。
ただ、今回は大規模なボランティアの団体ということでもなさそうでした。
人数も少なめでしたし、夕方にやるってのはあんまりないですからね。
5: 2013/04/14(日) 22:28:29.78 ID:KIIoIuUro
でも、なんにしても海岸を綺麗にするのはいいことです。
だから、私も手伝おうと思って、その人たちの集団から少し離れて、ゴミを拾い始めたんです。
といっても、私はそんなに準備をしているわけではないので、小さいのを拾っては持っていたコンビニの袋に入れて、くらいでしたけどね。
海に沈んでいく夕日が、あたりを橙色に染めあげていて。
海に煌めく明るい橙と空からの暗い赤で、あたりがもうなんだかぼんやりしてしまうんですよね、そんな時って。
近くでゴミ拾いをしている人たちの姿も、あまりよくは見えなくて。
なんだか夕日を反射する光の柱がゆらゆら揺れているような感じでした。
自分や、その人たちの影も長く伸びて、まるで、怪獣みたいにおっきな影になっていて。
本当に、長く長く伸びるんですよ。
ずーっと先まで……。
そんな様子を楽しみながら、夢中になって拾っていたら、ふと声がかかりました。
『お嬢さん』
はい、と顔をあげました。
その途端、びっくりして声を無くしちゃいました。
なにしろ、あたりはとっぷりとくれ、声をかけてくれた人の顔も見えないくらいに真っ暗で、空には星がきらきら輝いているんですから。
そんなはずはありません。
だって、顔をあげるまでは、夕日を頼りにゴミを拾っていたんですよ?
多少は暗くなっていたとしても、手元も見えないくらいになれば、すぐわかるはずなんです。
『手伝うてくれてありがとな。やけど、そろそろ自分は上がっとき』
『ここらが潮時よ』
だから、私も手伝おうと思って、その人たちの集団から少し離れて、ゴミを拾い始めたんです。
といっても、私はそんなに準備をしているわけではないので、小さいのを拾っては持っていたコンビニの袋に入れて、くらいでしたけどね。
海に沈んでいく夕日が、あたりを橙色に染めあげていて。
海に煌めく明るい橙と空からの暗い赤で、あたりがもうなんだかぼんやりしてしまうんですよね、そんな時って。
近くでゴミ拾いをしている人たちの姿も、あまりよくは見えなくて。
なんだか夕日を反射する光の柱がゆらゆら揺れているような感じでした。
自分や、その人たちの影も長く伸びて、まるで、怪獣みたいにおっきな影になっていて。
本当に、長く長く伸びるんですよ。
ずーっと先まで……。
そんな様子を楽しみながら、夢中になって拾っていたら、ふと声がかかりました。
『お嬢さん』
はい、と顔をあげました。
その途端、びっくりして声を無くしちゃいました。
なにしろ、あたりはとっぷりとくれ、声をかけてくれた人の顔も見えないくらいに真っ暗で、空には星がきらきら輝いているんですから。
そんなはずはありません。
だって、顔をあげるまでは、夕日を頼りにゴミを拾っていたんですよ?
多少は暗くなっていたとしても、手元も見えないくらいになれば、すぐわかるはずなんです。
『手伝うてくれてありがとな。やけど、そろそろ自分は上がっとき』
『ここらが潮時よ』
6: 2013/04/14(日) 22:29:22.01 ID:KIIoIuUro
私の記憶では、男の人も女の人も、歳を取っている人の声も、若そうな声もありました。
それに、色んな地方の言葉で話していたと思います。
ただ、口々に、早く帰るよう、彼らは言っていました。
『ごめんねえ、あなたがいるのに気づかずにいた私らが悪いんよ』
『わしらにつきあうと、こうなっちまうんだ』
『他所から来るから、せめて掃除でもしようとして、地元の子に迷惑かけてたら世話ぁない。すまんなあ』
私が彼らの言うとおりに立ち去ることを告げると、最後にその人たちはそんなことを言って謝っていましたっけ。
私はどういうことかよくわからず、とにかく家に急ぎました。
遅くまでどこに行ってたって、お母さんたちに叱られちゃいますからね。
ところが、家に帰ると、両親は目を丸くして、その後で、飛びついて来ました。
大丈夫か、大丈夫か、って泣きながら……。
私は目を白黒させながら、どういうこと? って尋ねました。
すると、お母さんはあきれながら、こう言ったんです。
『お前、三日もどこに行ってたんだい?』
って。
私、ゴミ拾いを手伝ううちに、三日も姿を消していたそうですよ。
おかしな、話ですよねぇ。
それに、色んな地方の言葉で話していたと思います。
ただ、口々に、早く帰るよう、彼らは言っていました。
『ごめんねえ、あなたがいるのに気づかずにいた私らが悪いんよ』
『わしらにつきあうと、こうなっちまうんだ』
『他所から来るから、せめて掃除でもしようとして、地元の子に迷惑かけてたら世話ぁない。すまんなあ』
私が彼らの言うとおりに立ち去ることを告げると、最後にその人たちはそんなことを言って謝っていましたっけ。
私はどういうことかよくわからず、とにかく家に急ぎました。
遅くまでどこに行ってたって、お母さんたちに叱られちゃいますからね。
ところが、家に帰ると、両親は目を丸くして、その後で、飛びついて来ました。
大丈夫か、大丈夫か、って泣きながら……。
私は目を白黒させながら、どういうこと? って尋ねました。
すると、お母さんはあきれながら、こう言ったんです。
『お前、三日もどこに行ってたんだい?』
って。
私、ゴミ拾いを手伝ううちに、三日も姿を消していたそうですよ。
おかしな、話ですよねぇ。
7: 2013/04/14(日) 22:30:12.56 ID:KIIoIuUro
小梅「か、神隠し……」
ほたる「ああ、ありますね……。いつの間にか何日も……っていうの……」
茄子「はい。両親も周囲も、最後は、神隠しと思うしかないってことになってました。家出するようなタイプには思われなかったみたいです」
小梅「冬の……いつ頃?」
茄子「十一月の上旬でした」
小梅「……あ。あの、そ、そこ、もしかして……」
茄子「はい」
小梅「えっと、稲佐の浜っていうんじゃ……」
茄子「あ、よく知ってますね」
ほたる「有名なところなんですか?」
小梅「……タケミカヅチが、オオクニヌシに国譲りを迫った、ところ」
ほたる「え?」
小梅「神話の……舞台」
ほたる「はあ」
小梅「それに……」
茄子「ほたるちゃん、旧暦の十月の異名を知ってますか?」
ほたる「え? あ……えっと、神無月……ですか?」
茄子「はい、正解です。でも、私の故郷、出雲では違います。神在月と言います」
小梅「日本中の神様たちが、出雲に集まる……。稲佐の、浜から……」
ほたる「え?……それって、え?」
ほたる「ああ、ありますね……。いつの間にか何日も……っていうの……」
茄子「はい。両親も周囲も、最後は、神隠しと思うしかないってことになってました。家出するようなタイプには思われなかったみたいです」
小梅「冬の……いつ頃?」
茄子「十一月の上旬でした」
小梅「……あ。あの、そ、そこ、もしかして……」
茄子「はい」
小梅「えっと、稲佐の浜っていうんじゃ……」
茄子「あ、よく知ってますね」
ほたる「有名なところなんですか?」
小梅「……タケミカヅチが、オオクニヌシに国譲りを迫った、ところ」
ほたる「え?」
小梅「神話の……舞台」
ほたる「はあ」
小梅「それに……」
茄子「ほたるちゃん、旧暦の十月の異名を知ってますか?」
ほたる「え? あ……えっと、神無月……ですか?」
茄子「はい、正解です。でも、私の故郷、出雲では違います。神在月と言います」
小梅「日本中の神様たちが、出雲に集まる……。稲佐の、浜から……」
ほたる「え?……それって、え?」
8: 2013/04/14(日) 22:30:57.33 ID:KIIoIuUro
小梅「か、茄子さんが会った人たちは……」
茄子「そう、なのかもしれませんね。私にはわかりませんけれど」
ほたる「も、もし、そうだったら……あわわ」
小梅「ふ、不思議」
茄子「私も、不思議です。はい、そんなわけで、アイドル百物語の第一回が終わりました。どうでしたか?」
ほたる「すごい……」
茄子「ほたるちゃん、進行、進行!」
ほたる「あ、ご、ごめんなさい。当番組では、今回のお話の感想のお手紙やメールに加え、各コーナーあての……」
第一夜 終
茄子「そう、なのかもしれませんね。私にはわかりませんけれど」
ほたる「も、もし、そうだったら……あわわ」
小梅「ふ、不思議」
茄子「私も、不思議です。はい、そんなわけで、アイドル百物語の第一回が終わりました。どうでしたか?」
ほたる「すごい……」
茄子「ほたるちゃん、進行、進行!」
ほたる「あ、ご、ごめんなさい。当番組では、今回のお話の感想のお手紙やメールに加え、各コーナーあての……」
第一夜 終
9: 2013/04/14(日) 22:31:59.43 ID:KIIoIuUro
タイトル通り、百物語目指して、ぼちぼち書いていく予定です。
二、三日に一話程度の更新頻度かと思います。
それにしても、シンデレラガールズの場合、百人やっても、三分の二未満というのがすさまじいですな。
765組の十三怪談の時は、なんだかんだで怖い話ばかりになってしまったので、今回はほんわか話や、へんてこな話も入れていきたい所存。
さすがに1スレで百までいくのも大変だろうから、途中区切っていこうかと思っています。
なお、出演アイドルは、比較的年齢層が上のほうに偏るのではないかと。
経験的なことを考えるとどうしても。
では、また。
二、三日に一話程度の更新頻度かと思います。
それにしても、シンデレラガールズの場合、百人やっても、三分の二未満というのがすさまじいですな。
765組の十三怪談の時は、なんだかんだで怖い話ばかりになってしまったので、今回はほんわか話や、へんてこな話も入れていきたい所存。
さすがに1スレで百までいくのも大変だろうから、途中区切っていこうかと思っています。
なお、出演アイドルは、比較的年齢層が上のほうに偏るのではないかと。
経験的なことを考えるとどうしても。
では、また。
12: 2013/04/14(日) 22:44:11.18 ID:IceVoRTi0
小梅と聞いて支援
13: 2013/04/14(日) 22:47:05.61 ID:droPhpxM0
十三怪談の人か
乙です
乙です
引用元: 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」
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