182: 2013/09/17(火) 22:48:59.53 ID:4z0Kte+Ho

第三十七夜 狸


ほたる「それでは、そろそろアイドル百物語へ参りましょうか……」

茄子「今日はどんなお話が聞けるのでしょうね?」

小梅「今日は……ええと、なんだろう」

ほたる「なんでしょう……?」

小梅「恩返し……じゃないし。祟り……というのも違う気がするし……。うーん……」

茄子「なにやら奇妙なお話のようですね?」

小梅「うん……。不思議」

ほたる「ともあれ、聞いてみればわかる……でしょうか?」

小梅「そう、だね」

茄子「それでは、どなたのお話か、教えてください」

小梅「今日は……赤城みりあちゃん」

ほたる「では、赤城みりあさんのお話を……お聞きください」


白坂小梅のラジオ百物語シリーズ

アイドルマスター シンデレラガールズ 白坂小梅 ハロウィンナイトメアVer. 1/7スケール ABS&PVC製 塗装済み完成品フィギュア
183: 2013/09/17(火) 22:49:56.15 ID:4z0Kte+Ho

赤城みりあ(11)

○一言質問
小梅「ホラー映画……見るなら、誰といっしょがいい?」
みりあ「え、見るってきまってるの? そ、それなら、家族とかなあ。夜もおうちにいるわけだし……」

184: 2013/09/17(火) 22:51:14.09 ID:4z0Kte+Ho

 こんにちは、小梅ちゃんっ。

 今日は怪談だよね。
 えっと、怖い話だけじゃなくて変な話だったらいいんだよね?
 えへへ、そうだよね。
 うん。

 怖い話限定だったら、私あんまり知らないから困るなーって思ってたんだけど、変な話だったら知ってるよ。

 これはね、親戚のおじさんから聞いたお話。
 おじさんは、お仕事でいろんな地方にいく人で……。
 いつも自分で自動車を運転して移動しているの。

 すごいよね、大人の人って。
 私、あんなずっと運転とかしてられないなー。

 あ、そうじゃなかった。

 おじさんが車で移動してる話ね。
 うん。

185: 2013/09/17(火) 22:52:29.49 ID:4z0Kte+Ho

 それで、おじさんが、とある地方で車を運転してたんだって。
 あんまりおっきな道路じゃなくて、山のほうの狭い道だったみたい。

 時間は、夕方で、空も夕焼けからだんだんと暗くなりかけてる頃。

 ふっと道の横からなにかが飛び出してきて、おじさんは急ブレーキを踏んだの。
 でも、止まりきれなくて、横から出てきた影をはね飛ばしちゃった。

 おじさんはね、車を止めて、下りてみたんだって。

 そうしたら、地面に横たわっていたのは、大きな狸さん。

 はね飛ばされた勢いと道路にたたきつけられたせいで、もうそのときには氏んじゃってたっておじさんは言ってたよ。
 かわいそうなことしたなあ、と思って、適当な布でくるんで、狸の氏体をおじさんは持ち上げたの。

 どこかに埋めてやろうって思ってたみたい。

186: 2013/09/17(火) 22:53:57.77 ID:4z0Kte+Ho

 そこで、ふっとおじさんは思い出したの。

 その地方の……お得意さま?
 うん、お仕事の相手の会社。
 そこの人が亡くなってお葬式に出たことがあったんだって。

 そのお寺が、この近くのはずだって、思い出したんだ。

 山に勝手に埋めるよりは、お寺のどこかに埋めてもらう方がいいんじゃないか、っておじさんは考えたそうだよ。
 お寺なら、掘る道具も借りられるだろうし、って。

 そうして、お寺を訪ねて事情を話したら、お坊さんもそうするのがいいでしょうって賛成してくれたんだって。
 あ、でも、さすがにお墓があるところに埋めるわけにはいかなかったみたいだよ。

 それはしかたないよね。
 狸だし……。

 だから、境内のすみっこのほうに埋めたんだって。

187: 2013/09/17(火) 22:55:41.26 ID:4z0Kte+Ho

 おじさんは、そうしてお仕事に戻って……。
 一年くらい経った頃。

 同じ地方に行く機会があったらしいんだ。

 ああ、そういえば、以前にここのお寺さんに頼んで狸を埋めてもらったな、って思い出したおじさんは、お礼がてらお寺を訪ねたのね。

 するとお坊さんも覚えていて、いろいろお話したらしいの。
 そうしてると、お坊さんが、奥からスイカを持ってきたんだって。
 まるまんま、一個。

『最近、うちのが家庭菜園をはじめましてね』

 それはお坊さんの奥さんが、境内で作ってるものだったらしいんだ。
 お店で売ってるのよりはだいぶ小さかったみたい。

 そうして、お坊さんがスイカを切ろうと包丁を入れた途端……。

188: 2013/09/17(火) 22:57:46.28 ID:4z0Kte+Ho

 あのね。
 スイカが、爆発したんだって!


 ぱーんって!


 おじさんもお坊さんもお汁で真っ赤っか!

 なんだこれはと思って見ても、スイカは飛び散ってちっちゃなかけらになっちゃってるし、もうわけがわからない。

 腐ってたわけじゃないよ?
 そんな変な感じは全然しなかったって。

 ともかくその場を片付けてから、お坊さんは奥さんを呼んで、スイカがなっていたところまで案内させたの。
 そうしたら、なんと、あの狸を埋めたその場所に、奧さんは菜園を作ってたんだって!

 だから……狸から、生えてたんだよね、たぶん。

『ありゃあ、怒ってたんかなあ。いや……からかわれたのかもしれんな』

 おじさんはそう言って笑ってたよ。
 服がスイカの汁まみれになったくらいで大したことはないし、怨みに思ってっていうよりは、悪戯だよなって。

 どうなんだろうねぇ。
 変なお話だよね。

189: 2013/09/17(火) 22:59:02.17 ID:4z0Kte+Ho


茄子「たしかに妙なお話でしたね。ある意味でかわいらしいというか」

ほたる「……轢かれた仕返しにしては、スイカの汁まみれというのはかわいいものですしね」

小梅「うん。怨みとかは……ないと思う」

茄子「狸のほうも、轢かれたこと自体はしかたないと思っているのかもしれません。それでも、ちょっと最後に……という感じで」

ほたる「そうかもしれませんね。……ふふっ」

小梅「でも……スイカが爆発したら……びっくりするね」

ほたる「そうですよね……。食べられませんし」

茄子「うんうん。もったいないですよね。さて、それでは、次のコーナーに参りましょうか」

ほたる「はい、次のコーナーでは、動物の氏にまつわる怪談を……」


 第三十七夜 終

190: 2013/09/17(火) 22:59:37.34 ID:4z0Kte+Ho
本日は以上です。
狸じゃないくまー。

191: 2013/09/17(火) 23:15:44.07 ID:1TKqp8ZZo
おつ
ほのぼの、かな?

192: 2013/09/17(火) 23:30:20.68 ID:pGUT+OPco
おつー
ほのぼのだね

193: 2013/09/18(水) 00:41:17.54 ID:KJ5zLNNWo
ちょっと奥さん、勘弁してよ!
って主張をちょうど近くに縁のある相手が来た機会を使ってしたのかもしれんね

引用元: 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season3