86: 2013/10/22(火) 00:36:08.82 ID:/6LSAiHNo

第四十四夜 秘密の木


茄子「さて、オープニングトークも終わりましたが、本日はアイドル百物語からはじめさせていただきます」

ほたる「……というのも、実は……」

小梅「きょ、今日は……ゲストさんたちが……来てくれてる」

茄子「はい、それではご紹介しましょう。ファミリアツインこと城ヶ崎姉妹のお二人です」

莉嘉「わー、ようやくしゃべれるよー! 莉嘉でーす☆」

美嘉「実は最初からいたからねー。美嘉だよ★」




白坂小梅のラジオ百物語シリーズ

アイドルマスター シンデレラガールズ 白坂小梅 ハロウィンナイトメアVer. 1/7スケール ABS&PVC製 塗装済み完成品フィギュア

87: 2013/10/22(火) 00:37:40.89 ID:/6LSAiHNo


小梅「い、いらっしゃい」

莉嘉「うん、来ちゃったー」

美嘉「やっほー」

ほたる「お二人がいると、こう、華やかになりますね」

小梅「ま、まぶしい……」

莉嘉「三人はおとなしいカンジだからねー」

美嘉「いやあ、こういう番組だと、落ち着いてる方がいいんだろうけどさ」

茄子「そうですね。お二人は、怪談やホラーなどについてはどうです?」

美嘉「うーん。得意とは言い難いかなー」

莉嘉「映画とかは見るけどー……。こないだもお姉ちゃんと小梅ちゃんと一緒にゾンビ映画見たよ」

小梅「ぞ、ゾンビものとか、パニックものは……陰惨なほうに向かわないことも多いから……」

美嘉「バトルものっぽくなることもあるしね」

小梅「う、うん」

88: 2013/10/22(火) 00:38:22.40 ID:/6LSAiHNo


ほたる「でも……怖いですけどね。たいてい……心臓に悪いです」

美嘉「まあねー」

小梅「でも……楽しい、よ」

茄子「ふふ。それはたしかに。さて、今回と次回は、お二人に怪談を披露してもらうわけですが……」

ほたる「まず……どちらから?」

莉嘉「はいはーい! 今日は莉嘉だよー」

小梅「じゃあ……早速……」

美嘉「聞いてもらおっかな。じゃ、莉嘉がんばれ!」

莉嘉「はーい☆」

89: 2013/10/22(火) 00:38:52.30 ID:/6LSAiHNo

城ヶ崎美嘉(17)
城ヶ崎莉嘉(12)
○一言質問
小梅「目覚めたら、まるで見知らぬ場所にいたら……どうする?」
莉嘉「うーん。まずお姉ちゃんを探すよ!」

90: 2013/10/22(火) 00:40:16.09 ID:/6LSAiHNo

 ええとね、カブトムシっているでしょ。
 うん、そう。
 かっこいいよね!

 あー……。
 苦手な人も多い?
 うーん……。まあ、いっか。

 ともかく、アタシはカブトムシとか結構好きで、アタシの友達にも、そういうの好きな子がいるんだ。
 それで、夏の間とか、捕まえたカブトムシを見せ合ったりするんだけど……。

 そういう仲間の一人に……。
 ええと、そうだな。
 E君にしよっか。うん、E君。

 E君っていう、すっごいクワガタとかカブトムシとか捕まえるのが上手い子がいたの。

 ほんとすごいんだよー。
 莉嘉たちが見つけられないような場所でも、ふっと見つけて来ちゃって……。
 たとえばね……。

91: 2013/10/22(火) 00:41:26.64 ID:/6LSAiHNo

 え?
 なに、お姉ちゃん。

 脱線しそうだから、先に進め?
 あ、うん。

 えっと……そうだね。
 ともかく、E君がカブトムシとか見つけるのがうまいってことだけわかってくれたらいいや。

 だけど、その子、こないだの夏休み明けに急に引っ越して行っちゃったんだ。

 そんなこと誰にも言ってなかったのに、本当に急に。

 それでね、友達も、E君どうしたのかなー、どこいっちゃったのかなー、なんて言ってたんだけど……。
 この間、お母さんから、なんで急にE君のおうちが引っ越していったかっていうのを聞かせてもらったんだ。

 これがちょっと……怖い話でさ。

 今日は、その話をするね。

92: 2013/10/22(火) 00:43:36.81 ID:/6LSAiHNo

 さっきも言ったようにE君はカブトムシやクワガタを見つけるのが得意で、その中でも、おっきなやつを見つけるのが大の得意だったんだ。

 もちろん自分でもそれがわかってて、自分なりのポイントとかを見つけてたみたい。
 他の人が知らないような木とか、そういう木が生えてる場所とか、ね。

 その中に、ある神社があったんだって。
 アタシたちや、前にE君が住んでたところからだと、結構遠いところ。
 でも、E君は自転車を飛ばして、通ってたみたい。

 おっきなのとかが捕まえられる、いいスポットだったんだと思うな。

 それで、ある日もその神社の森に入って……一番有望な木に登ろうとしたらしいの。

 ところが、ちょっと見上げるくらいの場所に、なにか打ち付けてあった……。
 そう、指みたいに太い釘で、木の幹に。

 ひどいことする奴がいる! ってE君は怒ったみたい。

93: 2013/10/22(火) 00:44:49.74 ID:/6LSAiHNo

 虫取りの道具を放り出して、その釘をなんとか引き抜いたらしいよ。

 釘に絡みついてた、なにかの紙も一緒にね。

 そのときに誰かに相談していれば良かったんだろうね、ってお母さんは言ってた。

 でも、E君はその紙をぐちゃぐちゃにして捨てちゃったし、釘を引き抜くので疲れちゃってすぐに帰っちゃった。
 だから、誰にもそのことは言わなかったんだ。

 そうして、しばらくして。

 またE君はその神社に行ったの。
 今度こそ無事にカブトムシ見つけられるかな、と思って木に近づいていくと、またなにか打ち付けられている。

94: 2013/10/22(火) 00:46:07.22 ID:/6LSAiHNo

 今度も引き抜いてやろうと駆け寄ったE君は、そこで動けなくなっちゃったんだって。

 だって、そこに打ち付けられてたのは、E君の写真だったから……。

 しかも、その神社とは違う、家の近くの公園で遊んでいるのをカゲから撮ったような……そんな写真。

 それが、何枚も重ねられて、釘で木に縫い止められてたんだって。
 E君の心臓の位置を、釘が貫くようにしてね……。

 その日、真っ青な顔で帰ってきたE君からこの話を聞いて、E君のお父さんとお母さんはすぐに警察に行ったみたい。
 でも、それだけじゃ心配で、夏休み明けに引っ越して行った。

 これが、E君の突然の引っ越しの真相だって。
 お母さんが、E君のお母さんから聞いた話だから、間違いないよ。

95: 2013/10/22(火) 00:47:58.01 ID:/6LSAiHNo


莉嘉「ね? 怖いでしょ?」

茄子「たしかに……」

ほたる「……釘で打ち付けるというと、丑の刻参りを思い浮かべますが……」

莉嘉「わら人形じゃなかったけど?」

小梅「そこは……あんまり関係ない、かな」

莉嘉「そうなの?」

小梅「うん。それで……ものによるんだけど……。呪いは……呪った当人や第三者にばれると、効力を失う……って考えられてる」

美嘉「最初の釘が呪いの儀式かなにかだったってこと?」

小梅「……そう、信じている人がやったこと、かもしれない。それで、他人に知られちゃったから……」

茄子「今度はそれを知った人間を……ですか」

96: 2013/10/22(火) 00:49:13.82 ID:/6LSAiHNo


美嘉「だからって、それを抜いた子の写真を隠し撮りして……また釘で打つなんて」

ほたる「そもそも……どうやってE君が抜いたってわかったのか……」

莉嘉「……ずっと見てた、とか?」

美嘉「それ、もっと怖いよ」

茄子「いずれにせよ、E君に直接の危害が加えられる前に……と動いたご両親はさすがですね」

小梅「ふ、普通は……そんなに素早く判断できずに……大変なことになるのがパターン……」

莉嘉「だよねー。大げさだって言う人もいたらしいけど……」

ほたる「でも……ストーカー殺人とか、よくありますし……」

美嘉「なにか起きてからじゃ遅いもんね。アタシたちも気をつけないと……」

茄子「本当ですね。では、今日はお二人と共に番組を進めていくわけですが、次のコーナーでは、姉妹にまつわる怪談をいくつか……」


 第四十四夜 終

97: 2013/10/22(火) 00:50:11.57 ID:/6LSAiHNo
 本日は以上です。
 ガチャが来たこともあり、城ヶ崎姉妹の出番を繰り上げてみました。

98: 2013/10/22(火) 01:53:54.68 ID:JXdR9fHm0
霊も怖いが人も充分怖いな

99: 2013/10/22(火) 07:17:10.71 ID:KT2nYqbLo
繰り上げという事は、順番は決まっているのか……ドキドキ。

引用元: 小梅「白坂小梅のラジオ百物語」Season4