1:◆4CEGjT9plRdB 2014/05/31(土) 23:04:17.91 ID:AEF3FsCU0

すれ違ってもわからないくらい、大人になった時に

今の楽しいこの時間が、『懐かしさ』に変わるのかな──なんて


そんなことを考えながら、みんなと歩いていた帰り道



いつも隣にいるから、それが当たり前すぎて

悩んだり笑ったりするこの日々が……

きっと、いつまでも続いていくような気がして


でも、そんなことを考えていたら

楽しいって思う今を、保存したい、残したいって

そんなような気持ちが、私の中に……初めて生まれたんだ



2: 2014/05/31(土) 23:05:25.52 ID:AEF3FsCU0
うーん……


何度考えてもその、すれ違ってもわからないくらい大人になった頃が、全然想像できないや

だってやっぱり、ずっと一緒だって、思うから

そう、思うから……!



でも、見えないだけで本当は……少しずつ、みんな成長してるんだよね

そんなことはわかってる

種を埋めた場所からは、芽が出てきて、小さな葉っぱが、歌いだすように開いて……

そんなふうに、みんな──


ふと立ち止まって、街のほうを見てみたら

いつの間にか、街の色が季節に塗りかえられていっているような気がした

前に見た時よりも、少し遠くなっているような、そんな……

3: 2014/05/31(土) 23:07:34.38 ID:AEF3FsCU0
……ううん、気のせいだよね

振り返って、またみんなの方を向いてみる


良かった……いつものみんなだ


ふざけて走って転びそうになる凛ちゃんに


「危ないよー」


とか、


「急に走るから……」


って言う花陽ちゃんたちや……


「あっ、待って、どこか寄って帰らない?」


「また寄り道ですか……?」


「まぁまぁ、いいじゃない」


なんて会話をすることりちゃんたち


楽しそうに歩く、いつものみんな



木漏れ日の中……なんとなく


「みんなー!」


って、少し離れたところにいるみんなを呼んでみる

でもその声は、不意に吹いた強い風にかき消されて、みんなには届かなかったみたいで


なんだかその時、自分だけが、ここに取り残されたような……

今見ている景色が一瞬、切なさに染まったような……そんな気がした

4: 2014/05/31(土) 23:08:49.14 ID:AEF3FsCU0
そんな、センチメンタルな気分になりながら、ただボーっと立ち尽くしていると


「穂乃果ちゃーん!」


「早くしないと、おいていきますよー!」


って、私を呼ぶ声が聞こえて

フッと、我に返った


その瞬間、さっきまで散々考えてたことは、全部そこらへんに投げ捨てて

私は急いで、みんなのところへ駆けていく


「あっ、ご、ごめん! 待ってぇ~!」


なんて、言いながら──









終わり

5: 2014/05/31(土) 23:17:08.87 ID:IqaO6zBQo

短かったけどこういうのもいいね!

引用元: 穂乃果「センチメンタルな足取りで」