1: 2017/05/04(木) 19:00:58.66ID:0yblQgFh.net
果南「ワン、ツー、スリー、フォー!」

果南「!ちょっと止まって!…曜ちゃん」

曜「え…な、なに?」

果南「振り付け違うよ?それ……千歌のパート、だよね」

曜「あ、あはは~…曜ちゃんとしたことが!やってしまいましたなぁ!」

2: 2017/05/04(木) 19:01:38.47ID:0yblQgFh.net
梨子「千歌ちゃんがいなくてつらいのはわかるけど…」

曜「……梨子ちゃんになにがわかるの」ボソッ

果南「ちょっと、曜ちゃん!」

曜「っ…!ごめん…」

梨子「ううん…曜ちゃんの言う通りだよ。私…曜ちゃんと千歌ちゃんみたいな関係の子……いないから」

3: 2017/05/04(木) 19:02:05.31ID:0yblQgFh.net
曜「ちが…っ今のは、ちがくて…」

梨子「……大丈夫、千歌ちゃんはすぐに戻ってくるよ」

果南「そうだよ、帰ってきたときに曜ちゃんの元気がなかったら千歌、困っちゃうでしょ?」

曜「うん…ごめ、ごめんね……!」ポロポロ

4: 2017/05/04(木) 19:07:40.60ID:0yblQgFh.net
ダイヤ「あ、あの~…ちょっとよろしいですか?」

果南「ん?」

ダイヤ「確認なのですが…千歌さんは、風邪でお休みなのですよね?」

梨子「うん、そうだけど…」

ダイヤ「ならば…なぜこんなシリアスなムードになっているんですの!?」

5: 2017/05/04(木) 19:08:25.15ID:0yblQgFh.net
曜「……ダイヤさんは千歌ちゃんがいないことに…なにも、感じないの?」

ダイヤ「たしかにリーダーである千歌さんがいなくて…物足りないような感じもありますが……風邪であるなら数日も休めば治るでしょう?」

果南「わかってないなぁ、ダイヤは……今まで千歌はね、風邪をひいたことがないんだよ!?一度も!」

ダイヤ「は、はぁ…」

6: 2017/05/04(木) 19:08:50.94ID:0yblQgFh.net
果南「……前にね、曜ちゃんが水泳部の合宿で…東京に行ったんだ。一週間も千歌と会えなくなる、合宿にね」

果南「そのとき……曜ちゃんは二日で帰ってきたんだ…緊急事態だからって、大急ぎで水泳のコーチが送ってくれて…」

ダイヤ「な…なにがあったんですの!?」

果南「……千歌不足」

7: 2017/05/04(木) 19:09:16.02ID:0yblQgFh.net
ダイヤ「は?」

果南「千歌がそばにいないことに不安を感じて…過呼吸になっちゃってね」

ダイヤ「いや……もしそうなら、曜さんは…」チラッ

曜「!…っぐぅ!うぅ!」

ダイヤ「よ、曜さん!?」

8: 2017/05/04(木) 19:09:50.43ID:0yblQgFh.net
果南「まぁ、それは冗談なんだけど」

曜「さすがにね」ケロッ

曜「でも千歌ちゃんがいないからなんだか落ち着かないんだよね」

果南「うんうん、それはある」

梨子「静かだよね」

9: 2017/05/04(木) 19:12:57.32ID:0yblQgFh.net
曜「よーし!みんなでお見舞いヨーソロー!」

ダイヤ「ちょ…練習は!?」

鞠莉「うーん、たまにはいいんじゃない?」

ダイヤ「なっ…って、あら?ルビィたちは……」

10: 2017/05/04(木) 19:13:29.00ID:0yblQgFh.net
善子「みかん買ってきたわよ」

ダイヤ「箱で!?」

曜「おーおかえり!」

花丸「みかんゼリーにみかんどら焼きに……みかん尽くしずら!」

12: 2017/05/04(木) 19:14:42.10ID:0yblQgFh.net
ルビィ「えへへ…千歌さん、喜んでくれるかなぁ」

ダイヤ「……はぁ、それでは今日はここで終わりにしましょうか。クールダウンを怠らずに!」ビシッ

「はーい!」

13: 2017/05/04(木) 19:21:10.35ID:0yblQgFh.net
曜「えーと、今から行くよ…っと」

梨子「千歌ちゃんにメール?」

曜「うん、一応ね。風邪なのにいきなり来られたらびっくりするかな、って」

梨子「へぇ…意外かも。曜ちゃんってそういうの気にしなさそうなのに」

曜「ちょっと」

梨子「冗談よ」クスッ

14: 2017/05/04(木) 19:21:40.08ID:0yblQgFh.net
ピロンッ

曜「お、返信早い…どれどれ」


From 千歌ちゃん

件名 Re:今から

本文
こないで

16: 2017/05/04(木) 19:28:55.07ID:0yblQgFh.net
曜「……へ?」

梨子「どうしたの?」

曜「千歌ちゃんから…こないで、って」

果南「え?重い風邪ってことかな…」

鞠莉「それなら行かない方がいいんじゃない?千歌っちもつらいだろうし…」

17: 2017/05/04(木) 19:30:02.23ID:0yblQgFh.net
善子「せっかく買ってきたし……これ食べて元気になって欲しい、けど」

ルビィ「で、でも無理に行くのは…」

花丸「お姉さんに渡すだけ渡して帰ればいいんじゃない?」

曜「うーん…とりあえず、着替えない?日が高くなってきたし……中で話そうよ」

果南「そうだね」

20: 2017/05/04(木) 19:42:52.34ID:0yblQgFh.net
梨子「千歌ちゃん、どうしたんだろうね…大丈夫かな」

善子「みかんの箱…置いていい?」

梨子「あ、うんお疲れ様」

善子「重かった…」ドサッ

果南「箱で買うなんて…お金はどうしたの?」

22: 2017/05/04(木) 19:44:48.11ID:0yblQgFh.net
鞠莉「部費をちょちょっとね☆」

果南「……鞠莉?」

ダイヤ「鞠莉さん、少しお話が」

鞠莉「No!いいじゃない、少しくらい!千歌っちのためなんだし…」

曜「……ん?」ヒョイッ

曜「手帳、かな…使い込んでるけど」パラパラッ

23: 2017/05/04(木) 19:45:43.76ID:0yblQgFh.net
○月×日
梨子ちゃん 作詞の催促
明日まで
サビを明るく
曜ちゃん 漫画1~5巻

○月△日
ステップの変更
前→左に移動
クロスステップ

24: 2017/05/04(木) 19:46:47.66ID:0yblQgFh.net
曜「千歌ちゃんの字?それに、なんだろ…これ」

梨子「こら、人の手帳勝手に見ちゃダメでしょ?」

曜「あ、梨子ちゃん…これ、千歌ちゃんの字なんだけどね?」

梨子「…ん?千歌ちゃん、メモとかちゃんと取る人だったんだね…って、ほら千歌ちゃんの家行くから早く着替えて?」

曜「あ、うん!ごめんごめん」

25: 2017/05/04(木) 20:19:00.51ID:0yblQgFh.net
曜(びっしり詰まってた…なぁ。昔からあんなにメモ取ってたっけ……?)

梨子「この手帳、一緒に入れちゃうねー」

曜「あ、うん!」

曜(ま、いいか…千歌ちゃん、大丈夫かな。できれば会いたいな)

曜「お待たせー!」

26: 2017/05/04(木) 20:19:26.63ID:0yblQgFh.net
果南「じゃあ行こうか。みかんの箱は私が持つね」

善子「助かった…」フゥ

花丸「堕天使さんは体力がないずらね」

善子「ずら丸だってバテてたじゃない!」

ルビィ「ふ、二人とも…みんな行っちゃったよ?」

27: 2017/05/04(木) 20:19:51.99ID:0yblQgFh.net
ガラガラッ

志満「いらっしゃ…って、あら」

曜「志満さん、いきなりすみません…千歌ちゃんのお見舞いに来たんですけど…」

志満「あー…ごめんね?風邪がひどいみたいで…」

トントントンッ

善子「千歌さん?」

志満「えっ?」バッ

28: 2017/05/04(木) 20:20:25.17ID:0yblQgFh.net
千歌「ぁ…」

ダッ

曜「千歌ちゃん、風邪は!?こないで、ってどういうこと!?」ガシッ

千歌「ぇ、と…」

果南「曜、だめだって」

千歌「ありがとう…か、なん…ちゃん」

29: 2017/05/04(木) 20:20:50.78ID:0yblQgFh.net
果南「……大丈夫?でも、熱があるようには…」

千歌「ご、ごめん…熱は下がった、けど…まだ体がだるくて…」

ダイヤ「それはいけませんね…ゆっくり休んでください」

千歌「っと…は、はい…ありがとう、ございます」

果南「これ、みんなから…みかんばっかだけど」

30: 2017/05/04(木) 20:21:36.49ID:0yblQgFh.net
千歌「みんな、ありがとう…」

梨子「あと、千歌ちゃんの手帳落ちてたから…」

千歌「手帳…?」パラパラ

千歌「……これ、誰か見た?」

曜「え?私、ちょっと見ちゃった…ごめんね」

千歌「……よう、ちゃん」

曜「…?」

31: 2017/05/04(木) 20:23:35.52ID:0yblQgFh.net
千歌「みんな、ごめん…今日は、いいかな?」

鞠莉「えぇ、もちろん!お大事にね」

曜「じゃあ、ちゃんと治してね!」

千歌「待って…ようちゃんだけは…残って、ほしい」

曜「へ?いいけど…なんで?」

32: 2017/05/04(木) 20:27:17.97ID:0yblQgFh.net
鞠莉「!…ほら、みんな帰りましょ?」グイグイ

花丸「え?なんで曜さんだけ?」

ルビィ「幼なじみ…だから?」

善子「…あんたら鈍感すぎない?」

「おじゃましました!」

34: 2017/05/04(木) 20:39:04.40ID:0yblQgFh.net
志満「千歌、みかんとか下に置いておくね?」

千歌「ぁ…はい」

志満「曜ちゃんだけで…いいの?」

千歌「…今は、まだ」

志満「……そっか」

曜「え?え?」

35: 2017/05/04(木) 20:39:40.15ID:0yblQgFh.net
千歌「……あれ」ピタッ

曜「どうしたの?」

千歌「部屋って、どっちだっけ」

曜「……え?」

美渡「そっちで合ってるよ。右のポケットに入ってるはずだけど」

36: 2017/05/04(木) 20:40:10.84ID:0yblQgFh.net
千歌「ん…あった。ありがと…美渡、姉」

美渡「はいよー」

千歌「ごめんね…えっと…よう、ちゃん」

曜「あ、いや、うん」

千歌「……部屋ついたらちゃんと話す、から」

曜「…うん」

47: 2017/05/05(金) 00:40:11.91ID:cljvMhM0.net
千歌「あの、散らかってるから…ごめんね」

曜「ううん、気にしなくていいよ。こないでって言われたのに来ちゃったのが悪いしさ」

千歌「ありがとう…ようちゃん」

ガラッ

曜「…!」

48: 2017/05/05(金) 00:40:39.51ID:cljvMhM0.net
曜(アルバムがたくさん散らばってる…それに、机の上にはノートが何冊も広げられてて…)

千歌「ちょっとこの手帳読んでもいいかな?」

曜「あ、うん!私はこの辺のアルバムでも見てるよ」

千歌「ありがとう」ペラッ

千歌「……」ペラッ

49: 2017/05/05(金) 00:41:05.63ID:cljvMhM0.net
曜「…」ジーッ

曜(すごく、真剣な顔…)

千歌「…ふぅ」

千歌「拾ってくれてありがとね」ニコッ

曜「ううん…千歌ちゃん、それより」

千歌「……うん」

50: 2017/05/05(金) 00:41:48.83ID:cljvMhM0.net
千歌「え、と…あった!これ、見てくれる?」

曜「ん…これ、私だよね?それに…幼なじみ、高飛び込み……」

千歌「他のページには他の子のが書いてあるんだ」パラパラ

曜(簡単なイラストとその人についての説明がびっしり。学年とか、呼び方まで…)

51: 2017/05/05(金) 00:42:14.41ID:cljvMhM0.net
千歌「あとは…拾ってもらった手帳とか、み…美渡姉に書いてもらったこの旅館の地図、とか」

千歌「……うん、単刀直入に言うね」

千歌「私…記憶がなくなってるんだ」

曜「……どういう、こと?」

52: 2017/05/05(金) 00:42:39.75ID:cljvMhM0.net
曜「いきなりなくなったわけじゃ…ないよね?そんな大量の手帳…」

千歌「う、うん…私も、覚えてないからよくわからないんだけど…一番古いメモが、三ヶ月くらい前だったんだ」

曜「そんなに…?なん、で…私、全然気付かなかったよ……っ」

千歌「最初のやつは……あ、これだ…はい」

曜「あ…うん」ペラッ

53: 2017/05/05(金) 00:43:04.82ID:cljvMhM0.net
曜(□月○日…最近物忘れが多いのでメモを取ろうと思います!みんなに迷惑をかけないようにしないとね)

曜(□月×日…ダンスのステップがどうしても思い出せなかった。これからこの手帳にメモしていこう)

曜(□月△日…サイドステップ→クロスステップ。裏拍子から始める。右足から。手を大きく。)

曜「……こんなに前、から」

54: 2017/05/05(金) 00:43:30.12ID:cljvMhM0.net
千歌「最初は…あんまり負担にならない程度だったみたい、なんだけど…拾ってもらった手帳、見たよね?」

曜「うん。びっしり埋まってた」

千歌「あれくらい書かないと、まともに生活できないレベルだったみたい…こっちの日記に書いてあったんだ」

55: 2017/05/05(金) 00:43:54.87ID:cljvMhM0.net
曜「……それ、見てもいい?」

千歌「え゛…い、いや…これはちょっと」

曜「ん、そっかぁ…でも、なんで言ってくれなかったんだろ…っ」

千歌「……ごめん」

曜「あ、いや!…私の方がごめん、だよ!」

57: 2017/05/05(金) 00:44:28.61ID:cljvMhM0.net
曜「ずっと隣にいて…誰よりも千歌ちゃんのこと知ってるつもりだった、のに…気付けなくて、ごめん」

千歌「……いや、ようちゃんは悪くない、よ」

曜「あー!もう!これやめよ!」

千歌「へ?」

曜「こうやって暗くなるのやめよ!どんどんネガティブになっちゃうよ」

千歌「うん…!」

58: 2017/05/05(金) 00:44:56.86ID:cljvMhM0.net
曜「えへへ…じゃあ、書いてあるかもだけど…自己紹介するね」

曜「渡辺曜、浦の星女学院の二年生!特技は高飛び込みと体感天気予報!趣味は筋トレであります!」ピシッ

曜「そして、高海千歌さんの幼なじみで大親友!」ニシシッ

千歌「あ、質問!いいですか!」

曜「はいどーぞ!」

59: 2017/05/05(金) 00:45:37.00ID:cljvMhM0.net
千歌「私のメモにね、時間が書いてあって…この時間まで!ってあるんだけど…これが何かわかる?」

曜「んーどれどれ……あ、これ終バスの時間だよ」

千歌「しゅー…バス?」

曜「うん。一日の最後のバス!私、沼津に住んでるから…ここからだと少し遠いんだよね。それで、この時間までに千歌ちゃんちを出ないと家に帰れないんだ」

千歌「……過ぎてる、けど」

曜「…へ?」

60: 2017/05/05(金) 00:46:09.95ID:cljvMhM0.net
曜「う、うわぁあああ!?気付かなかったー!?」

千歌「うーん…泊まっていけばいいんじゃない?今までもよくお泊まりしてたみたいだし…」

曜「うぅ…大変なときなのに…お世話になります」ペコリ

千歌「こちらこそ…不安なのが、二人だと楽になります」ペコリ

61: 2017/05/05(金) 00:46:36.54ID:cljvMhM0.net
曜「と…とりあえずこれ、片付けよっか」

千歌「そうだね…ごめんね、手伝ってもらっちゃって」

曜「今日の千歌ちゃん、謝ってばかりだね…ごめんよりもありがとうの方が嬉しい、かな」

千歌「あ、そ…そうだよね!ありがと、ようちゃん!」

曜「うん!」

62: 2017/05/05(金) 00:47:03.17ID:cljvMhM0.net
曜「よっ…と」ヒョイッ

曜「千歌ちゃんはさ、いつから記憶がないの?その…病院とか、は?」

千歌「ん…とね……朝起きたら、ここどこ!?ってなったかなぁ」

千歌「ついつい叫んじゃってさ、美渡姉と志満姉が慌てて部屋に来て…とりあえず今日は風邪ってことにして、アルバムとか見てたらなにか思い出すかも!って」

63: 2017/05/05(金) 00:47:31.46ID:cljvMhM0.net
千歌「…でも、思い出せなかった。どれを見てもなんだか他人事って感じがして……。病院には明日行こうと思ってるよ」

曜「そっかぁ…なにもないと、いいんだけど」

千歌「いやいや、何もない方が怖いよぉ」ケラケラ

曜「怖く…ないの?千歌ちゃんにとって私は…この家は…今日初めて見るんだよね?」

千歌「……」

64: 2017/05/05(金) 00:47:59.22ID:cljvMhM0.net
曜「ぁ…ごめん……怖くないわけ、ないよね」

フワッ

千歌「…なんかね、ようちゃん見てると……きっとこの子とはすっごーく仲良しだったんだな。って、なんとなくわかるんだ。そりゃ、怖いけど…ひとりぼっちじゃないから、大丈夫」ギューッ

65: 2017/05/05(金) 00:48:29.97ID:cljvMhM0.net
曜「千歌、ちゃん」ギュッ

千歌「こんな私だけど…側にいて欲しい、な…もし記憶が戻らなくても……前までと同じくらい…ううん。前よりも、もっとたくさんの思い出を一緒につくって欲しい!」

曜「そんなの…そんなの、当たり前だよ…っ」

73: 2017/05/05(金) 13:14:47.82ID:cljvMhM0.net
千歌「…ふふ、ありがとね」

美渡「千歌、曜ちゃん、そろそろお風呂入っちゃってー」

千歌「はーい」

美渡「あ、お風呂の場所は…」

曜「私が案内するから大丈夫です!」

美渡「そっか。じゃあ、よろしくね」

74: 2017/05/05(金) 13:15:16.44ID:cljvMhM0.net
曜「はい!行こ、千歌ちゃん」ギュッ

千歌「あ…手」

曜「い、いやだった…?」

千歌「違う!から…離さないで」

曜「……うん」

75: 2017/05/05(金) 13:16:02.81ID:cljvMhM0.net
千歌「……あのね、ようちゃん」

曜「ん?」

千歌「記憶がなくなるの、だんだん間隔が短くなってるみたいなんだ」

千歌「だからね…今のようちゃんとの記憶も、いつなくなるかわからなくて…不安、で……」

曜「千歌ちゃん…」

76: 2017/05/05(金) 13:16:30.10ID:cljvMhM0.net
千歌「もしかしたら、すぐ一秒後には忘れてるかもしれない、って…!」

曜「…大丈夫!」

千歌「……え?」

曜「もし私のことを忘れちゃっても、そのたびに自己紹介して、友達になればいいんだよ!」

千歌「で…でも……ようちゃんは、そんなのつらいよ…?一緒に遊んだこととか、話したこととか…何もわからなくなっちゃうんだよ?」

77: 2017/05/05(金) 13:17:04.56ID:cljvMhM0.net
曜「これから思い出をつくっていこう!忘れちゃっても、また思い出をつくればいいんだよ!」ニッ

千歌「よ、ようちゃ~ん!」ギュッ

曜「大丈夫……私が支えるから」

千歌「うぅ…」フラッ

曜「ち、千歌ちゃん!?」

78: 2017/05/05(金) 13:17:29.70ID:cljvMhM0.net
千歌「めんぼくない…」

曜「はいはい」パタパタ

曜「もう…のぼせたならそう言ってよ…びっくりした……」

千歌「ふぅ…もう大丈夫!ありがとね」

曜「ううん、いいよ。歩ける?」

千歌「うん!」

79: 2017/05/05(金) 13:17:59.27ID:cljvMhM0.net
曜「さて、だいたい片付いたね…後は机の上の…」

千歌「あ、まだ読んでるからそれは大丈夫!」

曜「ん、そう?」

ハニハーウォウウォー

曜「電話?…ちょっと出てるね」

80: 2017/05/05(金) 13:18:25.32ID:cljvMhM0.net
千歌「あ、うん!わかった!」

ガラッ

千歌「…」カキカキ

千歌「…」パラパラ

ズキッ

千歌「…っ」

81: 2017/05/05(金) 13:18:50.42ID:cljvMhM0.net
曜「もしもし、梨子ちゃん?」

梨子【曜ちゃん、千歌ちゃんはどうだった?】

曜(みんなにはまだ、って言ってたっけ…嘘つくのは申し訳ない、けど)

曜「うん、平気そうだったよ!一応明日病院に行くって」

梨子【そう…今曜ちゃんは家?】

曜「ううん、終バスなくなっちゃってたから千歌ちゃんの家に泊まってるよ」

82: 2017/05/05(金) 13:20:07.01ID:cljvMhM0.net
梨子【じゃあ、千歌ちゃんのそばにいてあげてね】

曜「うん、もちろん」

梨子【用事はそれだけ!おやすみ、曜ちゃん】

曜「おやすみ!」

ピッ

曜「……ごめん、梨子ちゃん」

ガタッ

曜「千歌ちゃん?」

83: 2017/05/05(金) 13:20:43.34ID:cljvMhM0.net
曜「…っ!?千歌ちゃん、千歌ちゃん!」ユサユサ

美渡「どうし…っ」

美渡「曜ちゃん、揺らさないで!志満姉呼んでくるから!」

曜「起きて、起きてよぉ…」

美渡「大丈夫、大丈夫…」

志満「救急車すぐ来てくれるって!」

84: 2017/05/05(金) 13:21:43.77ID:cljvMhM0.net
志満「曜ちゃん、なにがあったかわかる?」

曜「わ、わかん、ない…梨子ちゃんと電話してて…物音がしたから、部屋に入ったら…ごめん、ごめんなさい……っ」グスッ

ポンッ

志満「曜ちゃんは悪くないでしょ?謝らないの」ナデナデ

曜「う、うぅう…っ」グスッ

85: 2017/05/05(金) 13:22:08.18ID:cljvMhM0.net
ピッピッピッ…

曜「千歌ちゃん…千歌ちゃんっ」ギュッ

ガラッ

善子「曜!これ、どういうこと!?」ガシッ

果南「ちょ、善子!?」

鞠莉「ただの風邪じゃないの…?」

曜「……ごめん、私の、せい…で」

86: 2017/05/05(金) 13:22:48.53ID:cljvMhM0.net
梨子「……曜ちゃん、こっち来て」

曜「え?」

梨子「早く」グイッ

曜「ちょ、まっ…!」

ガラッ

曜「ったぁ…な、なに?」

梨子「…バカ曜」

87: 2017/05/05(金) 13:23:15.33ID:cljvMhM0.net
梨子「なんで電話したときに言ってくれなかったの!?ねぇ!曜ちゃんは知ってたんでしょ!?」

梨子「千歌ちゃんの記憶がないこと!」

曜「なん、で…そのこと…」

梨子「千歌ちゃんのお姉さんが教えてくれたの…どうして、曜ちゃんは一人で何とかしようとしたの?私じゃ、頼りなかった?」

曜「違うよ!千歌ちゃんが…まだ、って」

88: 2017/05/05(金) 13:23:40.15ID:cljvMhM0.net
梨子「……バカとか言ってごめんね。みんなのとこ、戻ろっか」ニコッ

曜「なん…で……なんで、もっと責めてくれないの!?お前のせいだ、って…ちゃんと見ててあげなかったからだ、って…言ってよ!私のこと、責めてよ!?」

梨子「曜ちゃん…ここ、病院だよ?静かにね」シーッ

曜「り、梨子ちゃんだってうるさかったじゃん…」

89: 2017/05/05(金) 13:24:03.65ID:cljvMhM0.net
梨子「なんで、曜ちゃんは責めて欲しいの?」

曜「そ、れ…は」

梨子「楽になりたいからだよね?自分が悪いって思い込めば、自分を責めていれば、そんなに悩まなくて済むもんね」

曜「違う!」

90: 2017/05/05(金) 13:24:55.47ID:cljvMhM0.net
梨子「なにが違うの?少なくとも私には、そう見えるよ。だから私は曜ちゃんを責めなかった。千歌ちゃんから目をそらさないで。逃げないで」

梨子「千歌ちゃんが記憶をなくして…つらいときに、選んだのは曜ちゃんだったんだよ?」

曜「…!」

曜「……ありがと、梨子ちゃん」

梨子「私、お礼言われるようなこと言ってないよ…むしろ一発くらい殴られるかと思ったよ……」

91: 2017/05/05(金) 13:25:19.09ID:cljvMhM0.net
曜「あはは、わざとでしょ?もう大丈夫だから」

梨子「…じゃあ今度こそ戻ろっか」

曜「うん!」

ガラッ

曜「お、お待たせヨーソロー…」

花丸「あ、おかえり!」

ルビィ「大丈夫?」

92: 2017/05/05(金) 13:25:58.33ID:cljvMhM0.net
曜「あの…なんていうか、ごめん!」

果南「あー…もうだいたい聞いたからいいよ」

ダイヤ「気付けなかったのは私たちも同じですし…」

鞠莉「そうそう!リョーセイバイ、ってやつよね!」

ダイヤ「それはちょっと違うような…」

93: 2017/05/05(金) 13:26:24.04ID:cljvMhM0.net
善子「いきなり突っ掛かって悪かったわね」

曜「ヨーシコー…!」

善子「ヨハネ!…ごめん、曜」

曜「ううん!私がうじうじしてたのが悪いから、さ」

果南「それにしても…ずいぶん気持ち良さそうに眠ってるね」プニプニ

94: 2017/05/05(金) 13:26:48.61ID:cljvMhM0.net
善子「たく…心配させといて本人はぐっすり?」

曜「みんなは…今の千歌ちゃんのこと、聞いた?」

花丸「三ヶ月くらい前から記憶がなくなっていってた、って…」

ルビィ「手帳も見せてもらったよ!」

善子「眠ってる原因とかは聞いてないけど…」

95: 2017/05/05(金) 13:27:26.63ID:cljvMhM0.net
曜「そっか…え、と…眠ってる原因なんだけど」

曜「千歌ちゃん、昨日起きたときにはもう何も覚えていなかったみたいで…一日中、その手帳とか…アルバムとか見て、覚えようとしてたみたいで」

曜「簡単に言うと…容量オーバー、ってことらしい」

善子「…詰め込みすぎて強制シャットダウンってこと?」

曜「そうそう」

96: 2017/05/05(金) 13:28:18.52ID:cljvMhM0.net
花丸「し、しゃっとだうん…?」

曜「……でも、いつ起きるかはわからないみたい」

果南「そのうち、よく寝た~って起きてきそうだけど」クスッ

ダイヤ「たしかに…千歌さんならあり得ますわね」

鞠莉「みかん置いといたら起きてくるんじゃない?」

97: 2017/05/05(金) 13:29:14.95ID:cljvMhM0.net
花丸「みかんならここに」スッ

善子「ナイスずら丸」

曜「え…ちょ、みんな……?」

梨子「…曜ちゃんは難しく考えすぎだよ」クスッ

曜「いや…」

98: 2017/05/05(金) 13:29:41.23ID:cljvMhM0.net
果南「どんよりしてるよりもこっちの方が千歌も喜ぶと思うよ」

ルビィ「楽しい方がいいよね!」

曜「……そう、だよね」

曜「みんな、ありがとう!」

99: 2017/05/05(金) 13:30:07.97ID:cljvMhM0.net
曜(……とは言ったものの)

曜(やっぱり、千歌ちゃんと二人きりになると寂しさとか、虚しさとか、申し訳なさとかがあふれてくる)

曜(もう何日、何週間眠ってるの?)

曜(もう一度お話しようよ、一緒に出かけようよ……)

曜(千歌ちゃん、会いたいよ…)

109: 2017/05/06(土) 14:08:28.79ID:if4uaCkm.net
曜「ちか、ちゃ……」スゥスゥ

ヒョコッ

梨子「曜ちゃん…また千歌ちゃんの手を握って寝てる……」

善子「ね、ねぇ…本当に言うの?」

果南「だってそうでもしないと曜ちゃんあのままだよ?」

110: 2017/05/06(土) 14:09:13.40ID:if4uaCkm.net
花丸「で、でもアレは…どう、なんだろう」

ルビィ「お…怒られない?」

ダイヤ「大丈夫ですわ!これは、あのエリーチカが使ったと言われている方法ですのよ?」

鞠莉「……本当に?誰が言うの?」

111: 2017/05/06(土) 14:09:39.50ID:if4uaCkm.net
曜「んぅ…?」

善子「やば、起きた!」

曜「あれ…みんな、来てたんだ!ごめんごめん、つい寝ちゃってさ」アハハ

果南「あ…あの、ね……曜に話があって」

曜「ん?どうしたの?」

112: 2017/05/06(土) 14:10:07.84ID:if4uaCkm.net
果南「これから…つらいときに一人で抱え込むたびに…ジュースおごりね、全員分!」

曜「は?」

善子「この世の終わりみたいな顔してるくせに何も話してくれないのやめない?」

曜「そ、そんな…つらくなんて」

鞠莉「ダウト」

曜「うっ」

113: 2017/05/06(土) 14:10:33.11ID:if4uaCkm.net
鞠莉「あんな顔されて気付かない人なんていないわよ」

花丸「マルじゃ頼りないかもしれないけど…話すだけでも違うと思うから!」

ルビィ「ルビィも…お姉ちゃん直伝のナデナデがありますよ!」

ダイヤ「曜さん、一人で抱え込まずに…仲間に頼ることを覚えてください」ニコッ

114: 2017/05/06(土) 14:10:59.84ID:if4uaCkm.net
鞠莉「あー、一番頼れてない人がなにか言ってるー!」

ダイヤ「鞠莉さんに言われたくありませんが?」

果南「まぁまぁ、とりあえずハグしとこ」ギュッ

梨子「ざ、雑じゃないですか…?」

115: 2017/05/06(土) 14:11:24.90ID:if4uaCkm.net
果南「ほら、曜もハグする?」

曜「……す、る」ギュッ

果南「うん」ギュッ

曜「わたし…やっぱり、千歌ちゃんがいないとダメ……みたい」

曜「うぅ…なんで、なんで千歌ちゃん…っ」

曜「わたしを…置いていかないでよ……」グスッ

116: 2017/05/06(土) 14:12:16.74ID:if4uaCkm.net
梨子「やっと素直になれたね」ナデナデ

梨子(曜ちゃんも千歌ちゃんも…幼なじみだからなのかな……すごい、似てる)

曜「千歌ちゃん…千歌ちゃんっ!」ギューッ

花丸「……あれ?」

ルビィ「花丸ちゃん、どうしたの?」

117: 2017/05/06(土) 14:12:56.37ID:if4uaCkm.net
花丸「今…まぶたが……?」

曜「千歌ちゃん!?」バッ

千歌「ぅ…」

果南「千歌!?千歌!」

ダイヤ「い、いやお医者様を!」ダッ

鞠莉「ちょ…ナースコール!ナースコールあるから!」

118: 2017/05/06(土) 14:13:20.90ID:if4uaCkm.net
梨子「……っ」ウルッ

善子「な、なんかこう…黒魔術的なものでもした方がいいかしら?」オロオロ

梨子「しなくて…いいよぉ…っ」ダキッ

善子「…リリー」ナデナデ

119: 2017/05/06(土) 14:13:51.16ID:if4uaCkm.net
医者「おはようございます、ここがどこかわかりますか?」

千歌「……びょ…ぃん」

医者「はい、そうですね。では、ご自分の名前は言えますか?」

千歌「ゎ…は……わたし、は…」

千歌「………だれ、だろう」

曜「っ!?」

120: 2017/05/06(土) 14:14:16.12ID:if4uaCkm.net
医者「……あなたのお名前は『高海千歌』さんです」

千歌「たか、み…ちか」

医者「えぇ…それでは、検査の準備などもありますので…少し、お仲間のみなさんとお話をしていてください。もしかしたら、記憶を取り戻すきっかけになるかもしれませんね」ニコッ

パタンッ

121: 2017/05/06(土) 14:14:47.32ID:if4uaCkm.net
千歌「あ、の…」

パシーンッ

果南「へ?曜ちゃん、なにして……」

曜「ふぅ…気合い入れようと思って」ヒリヒリ

曜「高海千歌さん、私と友達になってください!」バッ

千歌「…え?」

123: 2017/05/06(土) 14:15:15.00ID:if4uaCkm.net
曜「私は渡辺曜。千歌ちゃんと同じ高校二年生!特技は高飛び込みと体感天気予報!趣味は筋トレ!よろしくね!」ニシシッ

梨子「曜、ちゃん…」

千歌「ぁ…」

≪そして、高海千歌さんの幼なじみで大親友!≫

≪もし私のことを忘れちゃっても、そのたびに自己紹介して、友達になればいいんだよ!≫

124: 2017/05/06(土) 14:15:40.92ID:if4uaCkm.net
千歌「思い出…つくってくれるんだよね?」ポロッ

曜「ち、かちゃ…思い、出したの……?」

千歌「わかんない、わかんない…けど……頭に、浮かんで…よう、ちゃんが…わたしを、はげましてくれるのが……っ」グスッ

125: 2017/05/06(土) 14:16:10.03ID:if4uaCkm.net
曜「千歌ちゃ…千歌ちゃん!」ギュッ

果南「みんな、しーっ」

ソロソロ

梨子「ふふ、ごゆっくり♡」

127: 2017/05/06(土) 14:16:42.87ID:if4uaCkm.net
―――
曜「それでね、高校二年になる春休みに秋葉原で千歌ちゃんがμ'sに出会ってさ、これだー!って!」

千歌「あはは、本当に?」

曜「そうそう。それで勝手に勧誘始めちゃってさ!自分でポスターまで作ってたんだー」

128: 2017/05/06(土) 14:17:30.96ID:if4uaCkm.net
≪よっしゃ!今日は千歌ちゃんのために、一肌脱ぎますか!≫

≪かっわいいよね!≫

≪千歌ちゃん…やめる?≫

千歌「ぁ、れ…」

曜「ど、どうしたの!?頭痛い!?」

千歌「違う…違う、けど」

129: 2017/05/06(土) 14:18:08.86ID:if4uaCkm.net
≪やっと素直になれたね…≫

≪本当ムカつくよね、こいつ!≫

≪ぶっぶーですわ!≫

≪あ…あくあ?≫

千歌「ぁ…」

千歌「Aqours、だ…」

130: 2017/05/06(土) 14:18:39.56ID:if4uaCkm.net
曜「っ!」

千歌「私…なんで忘れてたんだろ」

千歌「なんで……大切な仲間なのに…っ」

曜「千歌ちゃんっ!」ギュッ

千歌「わ、曜ちゃん…危ないよ」

131: 2017/05/06(土) 14:19:13.60ID:if4uaCkm.net
曜「いいの!」ボロボロ

千歌「……泣いてる、の?」

曜「おかえり…千歌ちゃん」

曜「ずっと、ずっと会いたかったよ」

千歌「……うん、ただいま!曜ちゃん」

132: 2017/05/06(土) 14:19:56.22ID:if4uaCkm.net
おしまい。

140: 2017/05/06(土) 22:37:50.95ID:fk+MT58Z.net
おつです!

引用元: 曜「千歌ちゃん、会いたいよ…」