1: 2014/10/26(日) 22:52:59.02 ID:s0Vq5wCB0.net
男 (えと、七階七階と) エレベータ階数ポチッ

ウィーンカタカタカタカタカタカタ

男「お?」

\チーン/

男 (二階で止まった…誰か乗るのか)

ヴィードアヴィー

男「!?」
江戸前エルフ(1) (少年マガジンエッジコミックス)

2: 2014/10/26(日) 22:54:21.01 ID:s0Vq5wCB0.net
男「なんだこれ…外?」

男「灰色で窓の無い不思議な建物が乱立し、透明な管張り巡らされ、中を車が通っている…?」

男「まるで、未来都市の様だ」

男「なんか、変なかっこの奴が歩いてるな」

幼女「ママ、あの人歩行補助ユニット付けてない、変な服きてる、不審者だよ」

女「みちゃダメよ、ママが今、通報したから」

男「日本語…一応日本なのか」

3: 2014/10/26(日) 22:59:34.75 ID:s0Vq5wCB0.net
ロボ「アナタガ、不審者デスネ、戸籍カードヲ提出シ、タダチニ署マデ同行シテクダサイ」

男「警官のロボか?しかし来るの早いな」

ロボ「署マデ同行シテク」

男「まぁ待て、それより今は西暦何年だ?」

ロボ「2064デス、署マデ同」

男「50年でここまで変わるのか…俺もなんとか生きてそうだな」

4: 2014/10/26(日) 23:04:24.23 ID:s0Vq5wCB0.net
ロボ「署マ」

男「君はロボットだよね?人工知能とかまだ開発されてないの?」

ロボ「人工知能ハ、ワタシニハ搭載サレテマセン」

男「なんと、では誰に搭載されるの?」

ロボ「ヒト、生マレタ時ニ、脳ヲ摘出シ、人工知能ヲ搭載シマス」

男「へぇ、興味深い、つまり君達には感情がないのかな?」

ロボ「署マデ同行シテクダサイ」

5: 2014/10/26(日) 23:09:39.83 ID:s0Vq5wCB0.net
男「ありがとう、また会おう」

ロボ「オトナシク、同行シテクダサイ」

男「さらば」ヴィードアヴィー

ロボ「…ドア…閉ジタ?…逃ゲラレタ?」

ロボ「マタ犯人ニ逃ゲラレタ、ドウヤラ私ハ不良品ミタイダ」

ロボ「アァ、スクラップハ嫌ダナァ、ワタシガ、逃ゲ出シテシマイヨ」

7: 2014/10/26(日) 23:18:43.33 ID:s0Vq5wCB0.net
男「50年後、あぁなるとはな、脳を弄るなんて馬鹿げている、なんとかしないと」

\チーン/

男 (三階で止まった、誰か乗るのか?)

ヴィードアヴィー

男「!?」

8: 2014/10/26(日) 23:20:01.13 ID:s0Vq5wCB0.net
男「なんだこれ?空港?」

軍人「おい、何をしている、ん、貴様怪しいな、火星人のスパイじゃ無いだろうな?」

男「火星人?」

軍人「とぼけた真似をするな…R-5600型ビームライフルで風穴を開けてもらいたいのか?」

男「ちょっとまって!いま西暦何年だ?」

軍人「2064年だろ…鞄の中身をチェックさせてもらう」

男「うぇ!?あ、はい (また2064年!?)」

12: 2014/10/26(日) 23:28:20.17 ID:s0Vq5wCB0.net
軍人「ん?これは何だ…アメか!懐かしいな…俺も36年前には良く親父に買ってもらったもんだ」

男「飴が珍しいのか?」

軍人「貴重な物だろ?…今は昔と違い戦時中だ、火星人との星を掛けた戦争だ」

男「え?宇宙戦争中なの!?」

軍人「そうだ、だからアメなど高価な物は買えん、ほらみろ、今火星人を残滅する英雄が飛び立ったぞ」

男「あの、平べったい飛行機が火星に行くのか、凄いもんだなぁ、でも、戦争かぁ…」

13: 2014/10/26(日) 23:33:45.54 ID:s0Vq5wCB0.net
軍人「人類、地球の皆がこの戦争を信じて協力してくれてる、勝たなければならん、この戦争には」

男「でも、戦争ってとっても怖いことですよね、たくさんの人が氏ぬんですよ?傷付け合う事になんの意味があるんですか?」

軍人「馬鹿かお前、”たくさんの人が氏ぬ”、そんな事当たり前だ、俺の故郷も、俺の家族も、火星のフォトン粒子砲に殺られちまった、そして」

14: 2014/10/26(日) 23:36:46.27 ID:s0Vq5wCB0.net
軍人「奴らに話が通じるなら戦争にはならん、それぐらい火星人は非情だ」

軍人「わかったか?」

軍人「…どこかに行ったか」

軍人「…」

軍人「そういや、俺が軍人になったのは息子にアメを買ってやりたかったからだっけな、少し、遅かった訳だが」

軍人「これも全て、奴らが、悪いんだ、こんな戦争、今度の核投下作戦で全て終わらしてやる…」

15: 2014/10/26(日) 23:40:31.20 ID:s0Vq5wCB0.net
男「まさか、火星との戦争になるとはな、しかも50年後、近い未来だ」

男「なんとかして止めないと、多くの人が氏んでしまう」

\チーン/

男 (四階で止まった…誰か乗るのか)

ヴィードアヴィー

男「!?」

16: 2014/10/26(日) 23:44:07.28 ID:s0Vq5wCB0.net
男「臭い!!!なんだこれ、茶色の空に、ゴミの山!?」

女「!!! ちょっとそこのアンタ、マスクはどうしたの!?」

男「うわぁ!宇宙服着た怪物!?」

女「違うわよ!何が怪物よ!と…とにかく!私の酸素ボンベ分けてあげるから空気を吸わないで!喉が錆びても知らないわよ!」

男「え、ちょ、んぐっ」シュコー シュコー

18: 2014/10/26(日) 23:49:38.48 ID:s0Vq5wCB0.net
女「あと目閉じないで、洗眼液で洗ってゴーグルかけてあげる、失明しても知らないわよ!………うん、これで良し」

男「なんか目がシャバシャバする」

女「あ、あと放射線防護服も着せなきゃ…でも予備がない…あ、ここは放射能の影響無いから、布の服でいいか」

男「ねぇ、今西暦何年?」

女「ん?2064年じゃない、もしかして…もう毒が脳まで回ったの!?しっかりして!!」

19: 2014/10/26(日) 23:53:35.50 ID:s0Vq5wCB0.net
男「いや、大丈夫、それよりさ、どうしてこんなに汚いのかな?」

男「空は茶色、雲は黄土色、そこらかしこゴミだらけで、ハエだらけだよね」

女「今に始まった事じゃないわよ、50年前から、いや、もっともっと前からの積み重ねよ」

女「産業廃棄物、大気汚染、ゴミの不法投棄、森林の伐採、ポイ捨て、消費社会、無駄遣い、水質汚染、放射能、疫病、地球温暖化、他にももっといっぱいの原因があってこうなったの」

女「小学校で習ったはずよ、人間が、汚したの」

22: 2014/10/26(日) 23:57:20.18 ID:s0Vq5wCB0.net
男「それで、こんな酸素ボンベやゴーグルを?」

女「そうよ、有害な空気を吸うと、脳障害、呼吸困難、肺ガン、手足が動かなくなったりするわ、目も危険、あっと言う間に失明よ」

男「ゴミは、燃やさないの?」

女「燃やしたら、大気汚染がもっと酷くなる、まず空気清浄よ、今先進国が頑張ってくれてるはずよ」

男「放射能は?どうしたの?」

女「この酷い汚染で原始発電所が壊れたの、もう、地熱発電しかやってないわ」

男「人間は、生きてられるの?」

女「……皆、地下に住んでる、人工食と、浄化水でなんとか生きてるわ」

23: 2014/10/27(月) 00:01:14.03 ID:Z0SoToFH0.net
男「酷い」

女「記憶、戻らない?」

女「脳が毒に殺られちゃったのね、可哀想に、私が、もうちょっと早ければ、記憶を無くすなんて…うぅ」

男「俺はもう、帰るよ、ありがと」

女「地下セロメントに?わかった、行きましょ、あっちよ!」

24: 2014/10/27(月) 00:04:47.09 ID:Z0SoToFH0.net
女「きゃ!」

女「いて、て、何よゴキブリじゃない、ビックリさせないでよ、ねぇアンタ!」

女「あれ?どこに行ったの?」

女「まさか、そこの酸の水溜りに飛び込んだとか」

女「それとも、肉食虫に、食べられちゃったとか」

女「それとも、私の幻覚?」

女「それとも、それとも、それとも」

女「…もう嫌」

女「写真で見た綺麗な緑と青の地球、あんな綺麗な地球を、私達は見れないのかな…?」

25: 2014/10/27(月) 00:07:24.60 ID:Z0SoToFH0.net
男「まさか、地球がゴミだらけになるなんて」

男「あの子、50年後のあの子が可哀想だ、どうにかしないと、なんとかしないと!」

\チーン/

男 (五階で止まった…誰か乗るのか?)

ヴィードアヴィー

男「!?」

27: 2014/10/27(月) 00:10:14.35 ID:Z0SoToFH0.net
男「やけに…静かだ」

男「晴天、ビルが立ち並んでる、道路もあるな」

男「だが、人がいない」

男「建物に植物が絡みつき、コンクリートは木の根で割れてる」

男「まるで、人間が全滅したかのようだ」

男「念のため、酸素ボンベで息をしよう」

男「ん?あれは、なんだ?ビルのモニターが勝手についた?」

28: 2014/10/27(月) 00:14:35.27 ID:Z0SoToFH0.net
モニター「あーあー、マイクテストマイクテスト、聞こえる?」

モニター「聞こえないよな、ははっ、俺が、最後の人類、なん、だよな…」

モニター「おもえば45年前、ウィルスが発見された時から、もっと危惧するべきだったんだ」

モニター「そう、ウィルス、C-775」

モニター「最初は、私を含めた研究者が、危険性の無いものだ判断し、研究を停止していた」

31: 2014/10/27(月) 00:19:43.01 ID:Z0SoToFH0.net
モニター「人類の三分の二がC-775に感染した時、やっと研究が進んだ、なぜかって?」

モニター「そう、2043年5月20日、パンデミックだ、笑っちまう」

モニター「突然牙を向いたC-775に我々は人類は耐える事が出来ず、皆血反吐を吐いて氏んじまった、そこからまた感染、吐いて感染、地獄絵図だったよ」

モニター「そして、研究所に引きこもってたの俺だけが残っちまった、2064年、あーあー、寂しいよ」

モニター「みんな、俺、やったよ、そうC-775の特効薬だ!完成させたんだ!はっはっはっ!見てくれよ!」

モニター「俺だけ、長生きしちまうな…にひっ、すまねぇな」

32: 2014/10/27(月) 00:23:02.37 ID:Z0SoToFH0.net
モニター「ぐふっ、ごほっごほっ…え?…血…?」

モニター「…………そうか………負けたのか……へへへ」

モニター「へへ、母さん、父ちゃん、…みゆ…………………」

モニター「……………」

33: 2014/10/27(月) 00:25:15.73 ID:Z0SoToFH0.net
男「……C-775、未来を変えなきゃ、俺にしか、出来ないんだ」

男「生き物を、地球を、救わなきゃ」

\チーン/

男 (六階で止まった、誰か乗るのか)

ヴィードアヴィー

男「!?」

35: 2014/10/27(月) 00:28:47.10 ID:Z0SoToFH0.net
男「水!?いや、これは海か」

男「酸素ボンベが、かなり奴立つじゃないか」

男「にしても、なんでいきなり海なんだ?ドアを開けたら、いつも地面の上だったはずだ」

男「?…なんだ」

男「海の中に、家がある、いっぱいある、いってみよう」



男「窓の向こうで、誰か寝てるな…起こしてみるか」

男「おーい!今は西暦何年なんだぁー?」

窓ガンガンガン

青年「…zzz」

36: 2014/10/27(月) 00:32:33.53 ID:Z0SoToFH0.net
男「ん?聞いてない?よく見たらあいつ、ヘルメットみたいなの被ってるじゃねぇーか」

男「おーい!起きてくれ!」窓ガンガンガン

男「あのヘルメットみたいなのが原因か?」窓ガンガンガン



青年「…ん?」

男「お?起きたか、窓越しで悪いんだが、今は西暦何年なんだ?」

青年「……ぁ…」

男「んお?」

青年「…ごめ…声…だすの…久し…ぶりで…2064年」

37: 2014/10/27(月) 00:36:07.68 ID:Z0SoToFH0.net
男「そうか、やはりな、なぜ海の中で生活をしているんだ?」

青年「知らないの…地球温暖化で…はぁ…はぁ…海面が上昇して、温度も上がって、陸じゃ暑いから、仕方なく海の中で…」

男「コミュ力無いな…、いったいお前は何してたんだ?」

青年「仮想世界で、生活、を」

男「 仮 想 世 界 ?」

38: 2014/10/27(月) 00:40:46.12 ID:Z0SoToFH0.net
青年「知らないの?地球温暖化が悪化して、人類は諦めたの、地球じゃなく、ネットで生活することにしたんだよ」

青年「そして開発されたのが、ニューモ、50年前くらいの地球を再現したバーチャル世界で、僕達は家から出る事をやめ、まだ地球が平穏な時を、生活する事にしたんだ」

男「はぁ?じゃあお前、子供とかどうするんだよ?少子化ってレベルじゃないだろそれ」

青年「え?作ればいいじゃん」

男「でも、産めないだろ?」

青年「……、はぁ~」

40: 2014/10/27(月) 00:46:54.08 ID:Z0SoToFH0.net
青年「あのね、ニューモは世界を宇宙丸ごと再現し、感覚も感情も現実世界と一緒、人類は皆、そのニューモサーバーで生活するんだよ?」

青年「子供も産めるに決まってんじゃん」

男「普通にして産むの?」

青年「そう、女性とすると、一定時間の後に、ランダムパラメータで子供が生まれるの、かわいいよ、そりゃ、自分の子だし」

男「ちょっとまて、それってただのデータだろ、子供とは言えないよ」

青年「わからないかなぁー、限りなく人間に近いゾンビは、人間なんだよ、僕等にとっちゃニューモは帰る場所なんだ、問題が山積みの地球より、よっぽどいいじゃないか、そんな世界で産まれた子供、子供だよ、かわいい子供なんだ」

42: 2014/10/27(月) 00:51:03.26 ID:Z0SoToFH0.net
男「わからん、お前の話は難し過ぎる、とにかく酸素が切れそうだ」

青年「じゃあ帰れ」

男「おう…………幸せか?」

青年「もちろん」

43: 2014/10/27(月) 00:54:18.60 ID:Z0SoToFH0.net
青年「ニューモは凄いんだ!子供も出来る、健全に働ける、地球は温暖化しない、理不尽がない、運営は有能、色んな体験ができる、なりたい自分になれる!現実世界といっしょ!グラフィックも音楽も」

青年「ニューモは最高なんだ!僕達は!ニューモで暮らし、ニューモで老いていく、その覚悟は、出来てるさ、どう?ニューモの凄さ、少しでも伝わったかな?」

青年「あれ、いない、…帰ったか」

青年「さてと、僕もニューモに帰るか、っとその前にご飯を食べよう、もう三日も食べてない」

青年「早く食べなきゃ、息子が腹をすかしてる」



青年「ただいまニューモ、…………………」

44: 2014/10/27(月) 00:56:10.57 ID:Z0SoToFH0.net
男「外に出なくても、幸せ、かぁ」

男「やっぱり、間違ってるんじゃ」

\チーン/

男「七階についたか、やっと家に着く、これで時間旅行終わりかな」

男「うん、いつものマンションの光景だ」


男「50年後、か」

47: 2014/10/27(月) 00:59:00.10 ID:Z0SoToFH0.net
男「ロボットさん、軍人さん、女さん、テレビの向こうの人、青年くん」

男「なぜ俺がいろんな未来に飛ばされたのかは、なんとなく、わかる気がする、きっとみんな、助けて欲しいんだ」


男「50年、そう遠くない未来だけど、必ず人類に何か訪れる」

男「その50年後のために」

男「今日から出来ること、いっぱいあるよな」

男は、足元に落ちてた空の缶コーヒーをゴミ箱にシュートした

48: 2014/10/27(月) 00:59:56.44 ID:Z0SoToFH0.net
~終~

50: 2014/10/27(月) 01:02:00.55 ID:tPxMxnK40.net

52: 2014/10/27(月) 01:08:28.19 ID:cv5UdxPH0.net
最期に缶をリサイクルに出さないのはネタだろうか

53: 2014/10/27(月) 01:11:41.79 ID:/lZcp0CI0.net
好きだわ

引用元: 男「今日も疲れたなぁ」エレベーターポチッ