1: 2011/06/19(日) 20:15:32.65 ID:SVlbpQKu0
ここに親友であり、盟友の初ソロアルバムがある。
いろいろな面で感慨深い1枚...

私は今、この一枚をもって、盟友の元へと歩みを進めている..



私たちは高校時代に出会い、大学も同じというモラトリアム期間を得ることができた。

それは音楽のおかげ...そう音楽の...

ただ、それがあまりにも苦しみをもたらした。
音楽を「音を楽しむ」という陳腐な解釈では無く、私たちは「音で楽になる」を目指した。

それは唯ちゃんの声であり、澪ちゃんの詩だったと信じていた。
そして、実際そうだった...デビューまでは...

高3のとき、こっそりと高校生バンドだけのオーディションを受け、
最優秀賞を取り、そのままデビューの話もあったけど、


澪「まだ早いよ、とにかく大学に入ってからでもいいんじゃないか?」
律「え~、今からデビューすれば受験勉強なんか要らないじゃん」
唯「そーだよ澪ちゃん。勉強で苦しむより音楽で楽しようよぉ~」
梓「待ってください!!私はまだ高2ですよ!!高校中退の覚悟はありません!!」

そんな意見の対立を納めたのが私の一言

紬「まぁまぁ、才能を認めてもらっただけで十分でしょ?
  才能はすぐになくならないんだから、せめて梓ちゃんが卒業するまで待ちましょ」

モラトリアムが施行された。
けいおん!college (まんがタイムKRコミックス)
2: 2011/06/19(日) 20:17:41.68 ID:SVlbpQKu0
梓ちゃんも同じ大学に入り、モラトリアムも終了。
そして私たちは才能を発揮すべく腕を研き、私達が3回生、梓ちゃんが2回生のときに、
デビューの話がもちあがった。

執事の斎藤がエージェントとして八面六臂が活躍をし、私たちに有利な契約を進めてくれたものの、妥協せざるを得ないことが2つでてきた。

斎藤「この2つを飲んでくれたら、お嬢様達の要求は全て飲むとのことです。」

一同「ん?」

提示されたことはたしかに2つ...

でも、それは私たち放課後ティータイムを完全に否定することでもあった。

1. 平沢唯のボーカルは子供っぽいので一般受けしない。メインボーカルは秋山澪と琴吹紬。
2. 秋山澪の詩は個性的だが幼すぎる。


唖然とした。

紬「私たちから唯ちゃんの声と、澪ちゃんの詩を奪うの?」
紬「それだと、音でみんなを楽にさせられないじゃない!!」
紬「斎藤!!なんとかならないの?」

(わかってますともお嬢様)

という表情をしながら斎藤は

斎藤「お嬢様のご意見はもっともでございますが、これはビジネスです。妥協も時としては必要です。」

斎藤「レーベルを買収してデビューするのであれば簡単でしょうけど、お嬢様は望んではいないでしょうし」

斎藤「妥協してデビューするか、自身を貫いて次のチャンスを狙うかはお嬢様方次第です。」

澪「私の歌詞がダメなのか...」
紬「澪ちゃんがダメじゃないのよ、作詞の視点を変えたらいいんじゃない?」

澪「...」
澪「でも自信がないよ...」
律「そんなに落胆しないでいいんじゃねーの?それに澪のボーカルは認められてるんだし」

梓「そうですよ澪先輩!!作詞はみんなでやればいいじゃないですか!!」
澪「...そうだな!!そうだよな!!作詞なんかだれでもできるよな!!」
澪「私が頑張っても無駄なだけだよな...」グスッ
梓「どこまで後向きなんですか!!」

律「そーだぞぉ~、澪はボーカルと見た目の二物で十分なんだぞぉ~」
澪ちゃんは、そーかなぁ?とか言いながら顔をあげニコッと笑った。
紬(そーよ!!澪ちゃんは立っているだけで華があるのよ!!)
澪ちゃんの顔をみて私たちは安堵し1つは解決した。

だが、もう1つの問題は「唯ちゃんの声」はみんな考えあぐねていた。

唯「私はもういいよ。ここまで一緒にやってこれただけで十分だよ...」グスッ

一同「...」

紬「唯ちゃん!!なに言ってるのよ!!唯ちゃんがやらないなら私もやらないわ」
梓「そうですよ唯先輩!!逆に唯先輩の声を認めさせてやりましょう!!」
紬「斎藤。詩については妥協します。でも唯ちゃんの声に関しては妥協できません。
  たとえ契約破棄になってもこれだけは譲れません。」

斎藤「ですがお嬢様。無名の新人に対してこれだけの好条件の契約はなかなかありません。
斎藤「ここは1つ我慢をなさり、平沢様はバックボーカル兼ギターということでひとまず契約を進めてみませんか?」

斎藤「実は少しだけ策がありますので...」

3: 2011/06/19(日) 20:19:21.29 ID:SVlbpQKu0
律「どんな策ですか?」
澪「まさか?下着でステージにでるとか...」)))ブルガク(((

斎藤「はっはっはっRunaways じゃあるまいし、そんなことはありませんよ。」
斎藤「実は契約期間の事でお話を聞いていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

紬「それは一体どういうこと?」

斎藤「最初の契約期間をできる限り短くしノルマを低くすることです。」
斎藤「当然、宣伝費も抑えら、レーベルあげてのサポートも得られません。」
斎藤「鳴り物入りでのデビューは望めませんが、小さなホール回りを中心としたライブバンドとして活動するならばちょうど良いでしょう。」

紬「なるほど。ライブ活動主体での活動なら唯ちゃんが歌っても問題ないわね。」
律「それでCDではバッキングボーカルとしておけば、契約に違反でもないしな!!」

斎藤「さようでございます。それと契約期間が短いと次回の契約更改時に平沢様のライブでのボーカルが好評であれば相手も強くでられないでしょう。」

澪「そういうことか!!なるほど」
澪(斎藤さんがエージェントで助かった)
紬「でしょ?うふふっ」
梓「よかったですね?唯先輩!!」
唯「う?うん...」
紬「唯ちゃん。ど派手はデビューは無理だけど、実力だけで這い上がるって、いかにもロックスターじゃない?」
律「格好いいじゃね~か!!いつかこの話を美談にしようぜ!!」

かくして放課後ティータイムは、

1. 契約期間は2年。
2. 学生なので学業との両立すべく、活動は長期休みに集中して行う。
3. アルバムは2年に3枚。シングルはそこから2枚カットできること。
4. 基本給はなく完全売上げの歩合制とするが、印税に関しては50:50とする。

で契約を結び、晴れてメジャーデビューの運びとなった。

デビューといっても派手なスポットCM が流れるでもなく、
ライブといっても100人規模のライブハウスを回る程度。
それでも観客が20人とかが当たり前のような状況が続いた。

転機は1年後にやってきた。

ヒロT「今月の邦楽ヘビーローテーションで放課後ティータイムの「五月雨20ラブ」!!」

大阪のFM局で3枚目のシングル「五月雨20ラブ」がマンスリーヘビーローテーションとなった。

関西圏から火がつき、気がつけばゴールドディスクとなっていた。

ライブでの動員数も一気に延び、関西圏だけでなく全国でも Zepp クラスなら満員にできるだけの人気を得た。

4: 2011/06/19(日) 20:20:18.78 ID:SVlbpQKu0
唯「ほぇ~今日も満員だねぇ~」
紬「そうねぇ~」
澪「びっくりだよなぁ~」
律「やっぱチャンスって巡ってくるんだなぁ~」
梓「本当ですよ。最初はどうなるかと思ったんですがあの時の妥協は間違いではなかったんですね。」

律「よーし!!今日も一丁暴れるとしようか!!」
一同「お~!!」

ライブはいつもながら盛り上がる。

なんといっても唯ちゃんのMCが冴えている。

唯「ずーっとレコーディングで徹夜続きだったんですよぉ~」
唯「そんな時でも休みがあって『明日は休みなんだぁ』と思うと」
唯「うれしくって、その夜は寝られないんだよね~」

観客1「ナイス!!」
観客「WWWWWWwwwww」

唯「そんなわけで、次のアルバムに入れようと思う曲をやっちゃおう!!」
唯「Sunday Siesta!!」

唯ちゃんの声が輝いている。

そう。これが放課後ティータイムの魅力。
ライブに足を運んでくれるお客さんはわかっているはず。

これなら次回の契約時では「唯ちゃんのボーカルを外す」条項は無くせるはず。

時は経って、次回契約更改時。

今度は私たちの方が優位な立場になっていた。

五月雨20ラブのスマッシュヒットの後、大きなフェスティバルにも数多く出演し、
3枚目のアルバムはついにダブルプラチナを記録した。

この2年間で私たち放課後ティータイムはオリジナリティとアイデンティティを確立し、唯一無二のガールズバンドに成長した。

二回目の契約では、私たちの要求がほぼ通った。

かくして放課後ティータイムの快進撃が始まった。

といっても、私たちはなにも変わらなかった。

変わったのは CD やライブDVD/BDの売上げとツアーの観客動員数だけだった。


唯「デビューの時、『私は邪魔なの?』とか思ったけど、みんなのおかげでここまでこられたよ」
梓「なに、柄にもなく感慨にひたってるんですか?」
唯「あずにゃん、それはひどいよ。あの時の気持ちを考えると感慨にも浸るってもんだよぉ~」
澪「そうだよなぁ~、あの時は私の詩もダメだって言われたしなぁ~」
律「それがあっての今だぜ?いったじゃん『いつか美談にしよう』って」
紬「そうよねぇ~、今は美談になったんじゃないかしら?うふふっ」

順風満帆とはこのことなんだろう。

でも天候は突然崩れるもの...その原因が私と唯ちゃんにあったこと...

5: 2011/06/19(日) 20:21:29.00 ID:SVlbpQKu0
唯ちゃんは持ち前の明るさと天真爛漫さでバンド一の人気者になっていた。
当初は子供っぽいと言われていた声も個性として認められ、
今や子供から(孫を思い浮かばせるということで)爺ちゃん婆ちゃんにまで
知られるようになっていた。

「音で楽になってもらう」という私たちの願を最初に体現したのは唯ちゃんだった。

少なくとも私はそう思っていた。

そんなある日。

スタッフ「唯ちゃん。ソロデビューしてみない?」
唯「ぇえ~!?」
律「すげぇなぁ唯!!澪やムギを差し置いてのソロデビューじゃん!!」
澪「わっ、私はソロデビューなんか無理無理!!」
紬「私は最初が唯ちゃんで良かったわ~」
梓「そうですか?ここは澪先輩かムギ先輩じゃないんですか?」

紬「梓ちゃん?私たちのデビューの時の条件を覚えてる?」
紬「唯ちゃんをメインボーカルにしないということ」
紬「それで表向きはバッキングボーカルだけどライブでは唯ちゃんもメインにして
紬「そして、一番最初のソロデビュー話が唯ちゃんなのよ」
紬「それって、私達が大事にしてたものが正しかったってことじゃない?」
紬「だから、私はとってもうれしいの。」

梓「そういわれるとそうですね。」
律「難しい事言ってるみたいだけど、唯が大事だったってことさ」
澪「あぁ、だからこそソロデビューは唯が最初ってのが重要なんだよなぁ」
唯「みんなぁ~...ありがとう...」

唯「でもわっ私、作曲できないし、作詞も下手だし...でも他人の曲や詩は歌いたくないし...」

紬「唯ちゃん。曲だったら私がいくらでも作ってあげる。唯ちゃんにぴったりな曲を!!」澪「わっ私の詩で良かったらいくらでも作るよ!!」

律「ドラムならいくらでも叩いてやるよ!!」
梓「私でよければ客演します。」
紬「ずるーい!!私も演奏したぁい」
澪「私だけのけもの扱いはいやだ」

唯「でも、そこまでみんなに頑張ってもらうと、放課後ティータイムと変わらないじゃん」
唯「もちろん演奏や作詞、作曲は手伝ってもらうけど、今回は私一人で頑張ってみる。」
唯「私が一人前で、みんなに頼らなくたって大丈夫だというところを証明して見せるよ!!」

私は唯ちゃんがこの上なく頼もしかった。その半面最大級のお節介をしようと考えた。


レコーディングスタジオにて

唯ちゃんはレコーディングルームでマイクの前に立っている。
私、澪ちゃん、りっちゃん、梓ちゃんはコンソールルームから唯ちゃんをみている。

今録音している曲は、覆面バンドで私たち放課後ティータイムが演奏した曲である。
作詞は唯ちゃんと澪ちゃん、作曲は私がメインでブリッジ部分を全員。

全員「クレジットはどうしよう?」

どうでもいいことを真剣に論議しながら、マイク前の唯ちゃんを見守っていた。

唯ちゃんは気負うこともなく、テイク4あたりで無事ボーカルトラックを完成させ、

プロデューサと私たち5人でミックスダウンも行い、渾身の一曲が完成した。

「音を楽しむこと、音で楽になってもらうこと」

この2つを体言したまさに理想の曲の完成だった。

「今日はお疲れさまでした。
 一生懸命頑張ったんだよね?
 わかってるんだよ。私のために頑張ってくれてるの。
 そんな君のために私ができることはあんまりないけど、
 ゆっくり後ろから手を回すこと位はできるんだよ♪
 ...」

唯ちゃんの声が優しさを身に纏った天使になった曲ができあがった瞬間に立ち会えたことは幸せだった。

6: 2011/06/19(日) 20:22:47.02 ID:SVlbpQKu0
リリースされたアルバムのタイトルは「ゆいいつむに」という平凡なもの。
私は作曲、演奏、アレンジ、プロデュースにかかわっていたんで、唯ちゃんは

唯「ムギちゃぁん。タイトルは『ゆいいつむぎ』にしようよぉ~」
とかいってたけど、これは唯ちゃんのアルバムなんで

紬「このアルバムは唯ちゃんの今までの努力の成果なのよ!!だから唯ちゃん以外、だれもそこに並んじゃいけないのよ」ニコッ

ということで「ゆいいつむに」に決定。

リリース日が決まり、プロモーションも精力的に行って...

なんてことも無く、

せいぜいメンバーが持っている FM 番組で宣伝するとか...
公式サイトでニュースをだすとか...
梓ちゃんが Twitter でつぶやくとか...

にも関わらずヒットチャートはベスト20に入り、ゴールドディスクにもう少しで届くようなロングランセールスを継続中です。

予想通りといっていいのかわからないがネット上で批判的な投稿が増えてきた。

発信者1「平沢唯のソロって、放課後ティータイムと変わり映えしないよなぁ~」
発信者2「ほとんどの曲はムギ作曲らしいぜ」
発信者3「そもそも唯ってソロになったところで音楽的な才能はゼロ!!」
発信者4「はげど~」

紬(まったく、ネット住民は何様のつもりなの?)
紬(自分の思い通りにならないことは批判しかできないの?)
紬(国民総背番号になったら、ID必須にすることで政府に圧力をかけるわ!!)

この批判に過敏に反応したのは、唯ちゃんではなく澪ちゃんだった。

澪「なんで?なんでこんなに批判されるんだ?」
澪「自分の表現したいことを表現しただけでなんでこんなに批判されるんだ?」
澪「放課後ティータイムなら批判されないようなことが、なんで唯なら批判されるんだ?」
澪「そもそもこのアルバムの歌詞は私もかなり協力したんだよ。これを批判されたら私は自信が持てなくなるよ...」

律「そんな深刻になるなよ。澪のことなんかどこにも書いてないジャン」
梓「そうですよ、私なんか演奏ミスをいくつかしているのに誰も指摘しないんですよ。」梓「私は逆に傷つきましたよ。だれも演奏をきいてくれてないなんて...」
澪「そっ、そっかな?いや...悪かった...唯がコメントをだしていないのに私があれこれ言ってもしかたないよな?」

律「ところで、唯とムギを見ないんだがどうしたんだ?」
梓「唯先輩の2nd アルバムの打ち合わせじゃないですか?」
律「なんだとぉ~!! 次のソロは私じゃないのかよぉ~!!」
梓「律先輩のソロがでるころには、地球は統合情報思念体に征服されてますよ!!」
澪「なんだそりゃあ?」
梓「それほど律先輩のソロは理解できないということです。」
律「中野ぉ~!!特別メニューによる特訓だぁ~!!(怒)」
梓「はぁ~...やっぱり律先輩は脳味噌筋肉なんですねぇ~...」
律「なんだとぉ~(憤怒)」
梓「いえ、他意はありません。ただ頭痛でもアンメルツ塗ってればなおるんだなぁ~っと」
梓「馬鹿にしているんではないですよ。治療が楽なのはエコそのものですから」
律「馬鹿にされているとしか思えないんだが、ここはエコということでいいか...」

澪「それにしてもムギと唯の話が気になる。あの二人は放課後ティータイムでも双璧をなす天然派だろ?」
澪「その二人が真剣に話をするってことは妙な胸騒ぎがするんだ...」

律「あらっ、澪ちゅあーんはそんなに胸が気になるんですかぁ?」
梓「胸が気になるのは澪先輩だけじゃありませんよ!!」
澪「いやっ、私の身体的な胸の話では無く、漠然と感じる不安のことなんだよ。」

7: 2011/06/19(日) 20:23:32.83 ID:SVlbpQKu0
律・梓「不安?」

澪「うん」

律「例えば?」

澪「例えば...唯が余計な責任を感じて脱退を考えてるとか...」

律・梓「ぇえ~!?」

澪「無いとは言えないだろ?デビュー時のことを思い出してみろよ」

澪「唯に課せされた条件はとてつもなく残酷なものだっただろ?」
澪「唯はそれを乗り越えて、今回のソロデビューを飾ったんだ」
澪「それがトップ10にも入らず、なんとかゴールドディスクに届くかどうかだ」

律「おい澪!!それだけなら十分じゃないか!!そもそも放課後ティータイムでも
  ゴールドディスクは簡単には取れなかったし。」
梓「そうですよ澪先輩。唯先輩のソロで放課後ティータイムの半分に迫ってるんですよ!!」

澪「いや。そんな意味じゃないんだ...ただ...」

澪「唯はこれから私たちが背負う試練を最初に背負うことを覚悟したような気がしてさぁ~」

澪「売れても売れなくても放課後ティータイムのメンバーがソロになった時にどう扱われるか?」
澪「それを示してくれてるんじゃないか?」
梓「でもソロはソロじゃないですか!!バンド以上の結果がなくてもこれだけ売れたら十分じゃないですか!!」
律「いや梓、そんなに簡単なことじゃないぞ?」
律「たしかに唯はソロのチャンスをもらって、成功といって良い結果を出した。」
律「それだけで十分といえば十分なんだけど、唯って音楽以外の部分で評価されてたところが多いだろ?」
律「性格だったり、話だったり...でも音楽的才能ではあまり評価されたなかったのも事実じゃん」
律「ボーカルは面白いけど大人の歌を歌うには幼すぎるし、ギターも『うまいけど個性はない』感じだし」

律「そもそも放課後ティータイムの音楽性は澪とムギで決まってるんだよ。」
律「多分唯はそのなかで苦しんでいたんだ」
律「だから、ソロをだして自分の居場所はどこにでもあると思ってたんじゃないかな?」
律「でも世間は唯を『放課後ティータイムの唯』として見ている事に気がついて...」
律「ムギに相談しているんじゃないかな?」

梓「やっぱりそうなんですが、さすが部長ですね。見ているところは見ていますね!!」律「まぁな...これが私の唯一の取り柄だし...」

澪「ところで唯とムギはなんの話をしてるんだろう?気にはなるんだが恐くて聞けないよ。」


ーーー
ーー


紬「ゴルァー唯!!ワレ会心の一曲をようも駄作にしてくれたのぉ~あぁ~?」
唯「ご、ごめんなさい!!ごめんなさい」)))ブルブルガクガク(((
紬「ごめんですんだら警察は要らんのじゃあ~」
紬「おっと、これからのことは警察は邪魔やから要らんほうがええのぉ~」
唯「...」)))ブルブルガクガク(((
紬「心配せんでえぇ!!」
紬「唯ちゃんは生まれてなかったことにするから...うふふ」


  ー
 ーー
ーーー

澪「なんてことになってるんじゃ...」)))ブルブルガクガク(((
律「考えすぎだろ?それをいったら澪の歌詞が台無しにしたムギの曲は数えきれんだろ」
梓「そうですよ。ムギ先輩は曲がだめになった位でそんなことをするはずがないです!!」
澪「...二人共なにげにひどいな...」

8: 2011/06/19(日) 20:24:59.61 ID:SVlbpQKu0
紬「唯ちゃんが相談したいって事ってなんだろう?」
紬「私のアレンジがダメだったのかなぁ~」
紬「曲が放課後ティータイムに似過ぎだったのかなぁ~」

ようやく唯ちゃんのマンションに到着して、ドアフォンを鳴らす。

唯「ほいほーい」

ガチャッ

唯「あっ、ムギちゃん!!待ってたよ!!あがってあがって!!」
紬「お邪魔しまぁ~す。」

紬「唯ちゃんの部屋にくるのは引越し後初めてよね?」
唯「そ~だね。私も呼んだのは憂以外ではムギちゃんが初めてだよ。」
紬「あらあら、それはとても光栄なことだわ。」

引越し後というが、私たちメンバーには引っ越したことも知らされていない。
今日、ここにこれたのも前日に

唯「実はひっこししたんだぁ~、新しい住所はここだよ!!」

といったメールをくれたからだった。

この時、私は微妙な不安を感じてはいた。

紬(唯ちゃん、引っ越したことをなんで隠してたの?昔ならすぐにみんなを呼んでパーティでもしてたのに...)

紬(杞憂であって欲しいなぁ~)



今、部屋にいる唯ちゃんをみていると元気そのもので、一抹の不安は杞憂であったようだ...

紬(余計な心配だったみたい...うふふ、でも良かった唯ちゃんが元気で...)



唯「ムギちゃん。今日はお酒を呑みたい気分なんだけど、付き合ってくれるかなぁ~」
紬「あらっ、下戸の唯ちゃんが珍しいわね。うふふ。良いわよ。とことん付き合ってあげる。」

唯「やったぁ~、今日はとことん飲んでやるんだぁ~」
唯「ムギちゃん、今夜は寝かさないよ。そして夜明けを一緒に迎えるんだよ!!」

紬「いいわねぇ~。でも夜が明けたら世界が澪ちゃんワールドになってるかも知れないわねぇ~」

唯ちゃんが口を空けていない数本のボトルを両手にぶら下げて持ってきた。
ブランデー、コニャック、ウイスキー、焼酎などなど
どれもこれも度数は高いものばかり

紬(唯ちゃん、こんなお酒飲んで大丈夫かなぁ~)

そんな心配をよそに、唯ちゃんは

唯「ムギちゃん、今夜は無礼講だよ。さっさと酔ってワダカマリ無く言いたいことを言って、一晩寝たらすっかり忘れるんだよ。」

唯「そして、これから私のいうことはムギちゃんには辛いことかも知れないけど、ムギちゃんはそれもわかっているんだよね?」

唯「だから、ムギちゃんも遠慮せずにいろんなことを言って、一晩寝たら全部忘れようね!!」

9: 2011/06/19(日) 20:26:30.61 ID:SVlbpQKu0
唯ちゃん...

そこまで悩んでいたなんて、でも

紬「ええ、そのつもりよ!!今日は殴りあいの喧嘩も O.K.よ!!うふふっ」
唯「え~、ムギちゃんと喧嘩しても勝てるわけないじゃ~ん。暴力はんたーい!!」
紬「冗談よ。でも喧嘩する位に思いをぶつけあう覚悟はあるんでしょ?」
紬「私もその覚悟でやってきたんだから手加減無しよ!!」

唯「じゃああ~、これから始まる大喧嘩にかんぱーい!!」
紬「かんぱーい」

チーン

ゴクゴク・グビグビ

紬・唯「ぷはぁ~」

紬「あらあら、ブランデーで乾杯もすごいけど、一杯目を飲み干したのも凄いわ」
唯「ほえぇ~そうなの?私は飲みなれてないから普通に飲んじゃった」
紬「うふふ。それなら酔いの回る前に早く言いたいことを言いましょ?」

唯「ムギちゃん...あのね...私のソロアルバムなんだけど...」
紬(来たっ!!さすが唯ちゃんストレートね)

唯「あのソロアルバムね。」
紬「う、うん」
唯「とーっても、気に入ってるんだぁ~」

紬「へっ?そうだったの?」
紬(私はてっきり愚痴の相手をするつもりだったので、ちょっと拍子抜け)

唯「うん!!」
唯「セールスとかチャートとかいろいろ批評されてるけどさぁ」
唯「ムギちゃんを始め、りっちゃん、澪ちゃん、あずにゃんみーんながサポートしてくれて」
唯「放課後ティータイムと変わりがないって言われても」
唯「私はとーってもうれしかった」

唯「なんかさぁ、放課後ティータイムと変わらないって言われるとさぁ、
  最初の契約の時のメインボーカルを外されたときを思い出して。」
唯「放課後ティータイムと変わらないってことは、私が放課後ティータイムのメンバーとして認められたことでしょ?」
唯「だからとってもうれしいんだよ。」
唯「ムギちゃんは最初からずーっと私のことを考えて、コーラスの入れ方やボーカルエフェクトを考えてくれたり。」
唯「今回のソロでスライドギターってのを教えてくれたのもムギちゃんだし」
唯「そんなことを考えていると、ムギちゃんが一生懸命私を支えてくれてたことに気がついて」
唯「うれしくって、うれしくって...でもそのうれしさを表現する方法がわからなくって」
唯「もしかしたら酔っ払って無意識になった方が的確な言葉がでそうだとおもったんだけど...」
唯「そんなことしなくても、『ありがとう』だけで良かったんだよね?」
唯「難しいことを言うんではなく、心がこもっていたら簡単な言葉でも伝わるんだよね?」

紬「唯ちゃん...」
紬「うん、伝わるよ。」
紬「でもね唯ちゃん。」
紬「少なくともみんなは契約時のことに関しては全く負い目は感じてないわよ。」
紬「そんなことより、唯ちゃんの晴れの舞台を成功させるってことが大事だったの」
紬「もちろん事務所は話題性をだすために、みんなの名前を使ったり」
紬「私も『琴吹紬初プロデュース』と喧宣されたけど、とっても楽しかったし」
紬「セールス的には良くなかったかもしれないけど、唯ちゃんがやりたかったことや、私達が唯ちゃんに托した想いも、ぜーんぶがつまった1枚になったと思うの」
紬「『音で楽になってほしい』は唯ちゃんの声がないとできないの」
紬「だから唯ちゃんをサポートすることはとっても楽しいの」

酔っていたのかどうかは別として、いつもより饒舌だった。

紬(唯ちゃんは気が付いていないようだけど、唯ちゃんには幸せを届ける才能があるのよ)

唯「じゃあ、私は今のままでいいの?」
紬「当たり前じゃない!!変わってしまった唯ちゃんは唯ちゃんでないもの」
紬「プロだから契約とか制約とかいろいろあるけど、唯ちゃんは唯ちゃんのままでいいのよ?」
紬「ややこしいことは斎藤に任せたらいいの、なんせマネージャ兼エージェントだし」

唯「ムギちゃん...」
唯「ありがと...」
紬「私だけでは無く他の3人も代表して『どういたしまして』」

10: 2011/06/19(日) 20:28:14.16 ID:SVlbpQKu0
その後、放課後ティータイムは一世を風靡し、メジャーデビュー7年目を迎える前に

律「なんか充電期間が欲しいよなぁ~!!よし活動休止」

「無期限活動休止」

はあっけなく決まりました。
好きな事をするだけの資産もあることだし、音楽以外の事を経験するのも大切だし...


澪ちゃんは文筆生活に入りました。
在籍時から音楽雑誌などでエッセーを書いていたのですが、
最近は本格的な小説を書いており評判も上々です。
来年あたりには本屋大賞を取ることでしょう。


りっちゃんはあっさりと家庭に入りました。
結婚式は友人・親戚だけの簡素なものですが、一味違うのは
「放課後ティータイムのメンバー」が演奏したことでしょう。
あらゆる動画サイトに演奏シーンが投稿されましたが、
せっかくの結婚式なんで削除依頼なんて野暮なことはしません。
実は家庭的なりっちゃん、子育てが一段落したら活動宣言する気満々です。


梓ちゃんはライバルと見られていたバンド「ラブ・クライシス」に電撃加入し、
今でも第一線で活躍しています。
当初はバッシングもあったけど、今はすっかり馴染んでます。
そもそもラブ・クライシスは、りっちゃんと澪ちゃんの知合いなんで、
お互い切磋琢磨してきた良きライバルでありながら友達です。
梓ちゃんは
梓「ビートルズとローリング・ストーンズみたいですね」
といってたけど、
紬「ジョージ・ハリソンはストーンズに加入しなかったわよ、梓ちゃんはジョージ・ハリソンを越えたのよ!!」
というと、顔を真っ赤にして、
梓「ムギ先輩は真剣に冗談をいうから反応に困りますっ!!」
だって!!うふふっ


私は琴吹ファミリーとして経営に参画しています。
嫡男家でありながら一人娘ということなので、父も当主を譲る気は毛頭ないようです。
傘下の企業は親族一同で運営していることから、権力移行も順調なんでしょう。
私は音楽関係とリゾート関係の会社の取締役に名を連ねてます。
この若さで取締役というのは放課後ティータイムで得た知名度と人気があったからこそです。
うふふっ、お父様はこうなることを予見して私の音楽活動を見守っていたのですね。
お父様が引退したら叔父と従兄弟(叔父の長男)が当主になるのでしょう。
それを機に私は私の居場所に戻るつもりです。
一番最初に戻って、みんなが来るまではお茶でも準備してましょうか。

そして最後に唯ちゃん...

唯ちゃんは音楽を辞めてしまいました。
というと語弊がありますね。

音楽ができる程の時間がないといったところでしょう。

唯ちゃんは活動休止後、タレント業に進みました。
知名度のあるバンドのフロントマンながら天然ではおさまらない個性があいまって、
毎日、どこかの番組でかならす顔をみます。

でも、そんな唯ちゃんが一番輝くのは、放課後ティータイムの歌を歌うときです。
たとえバラエティでおちゃらけていても、歌う時だけは「放課後ティータイムの唯」に戻ってます。

いつもニコニコなんでわからないかもしれないけど、その目は来るべき再活動の時を見据えています。

唯ちゃんからのメッセージは、澪ちゃん、りっちゃん、梓ちゃん、そして私に向けて発せられてます。

そして、4人だけがそのメッセージを受け取っています。

11: 2011/06/19(日) 20:28:55.33 ID:SVlbpQKu0

「放課後ティータイムついに活動再開!!」


今日の情報ニュースのインタビューに一生懸命対応している唯ちゃん。
忙しそうながら、目がキラキラ輝いてる。
うふふっ...

私も澪ちゃんもりっちゃんも梓ちゃんもあと5秒したら飛び出してあげるから、
ちょっとしたサプライズは唯ちゃんも大好きだよね?







せーの

一同「わぁ~!!」


終わり

12: 2011/06/19(日) 20:37:49.12 ID:SVlbpQKu0
後書き 
放課後ティータイムが本当にデビューするにはなにが問題かな?

という単純な発想から考えてみました。

ムギちゃんの天才性と全員のルックスの良さは認められるけど、
メジャーでデビューとなると唯ちゃんの声や澪ちゃんの詩は色物扱いになりそうなので、
それを避けるためにどうすればいいのか?

結局、実力派ライブバンドになったらいいんでは?という考えです。

13: 2011/06/19(日) 20:41:49.13 ID:/AC2c9HG0
お疲れさまです
ムギが語ってるのって見たことなかったのでおもしろかったです

引用元: 紬「放課後ティータイムついに活動再開!!」