1: 2015/10/15(木) 18:05:12.54 ID:K7K52gbYo

2: 2015/10/15(木) 18:05:56.30 ID:K7K52gbYo

凛「…………」

P「…………」

凛「……え、あ。いる……んだ」

P「ああ」

凛「…………」

P「…………」

凛「えっと……」

P「…………」

凛「……うん、プロデューサーだって大人だもんね」

P「まぁな」

凛「そりゃ……気になる人の一人や二人、いる、よね」

P「一人だけだよ」

凛「そっか」

P「ああ」

4: 2015/10/15(木) 18:10:15.62 ID:K7K52gbYo

凛「えっと……」

P「…………」

凛「その、お付き合いとかは……してるの?」

P「あー……」

凛「…………」

P「いや、情けないが勇気が無くてな」

凛「そう、なんだ」

P「ああ」

凛「まぁ、その、何と言うか」

P「…………」

凛「私、応援してるから。勇気を出してみてもいいんじゃないかな」

P「……勇気、か」

凛「うん」

P「……そうだな。いつまでもこのままじゃいけないよな」

凛「うん。頑張って」

P「ああ」

6: 2015/10/15(木) 18:23:27.49 ID:K7K52gbYo

凛「好き……なんだね」

P「ああ」

凛「……羨ましいな」

P「……羨ましい?」

凛「そんなに誰かに想われるなんて、すごく素敵じゃない?」

P「そう、かもな」

凛「そうだよ」

P「……凛ってさ」

凛「?」

P「何と言うか、かなり乙女だよな」

凛「そうかな」

8: 2015/10/15(木) 18:33:03.13 ID:K7K52gbYo

凛「でも、やっぱり、プロデューサーのアイドルとしては、さ」

P「ああ」

凛「あんまりその人に夢中になって……疎かにされたくないな、って」

P「…………」

凛「…………」

P「凛」

凛「ん」

P「約束する。絶対に、凛の事を疎かになんてしない。絶対にだ」

凛「…………」

P「もちろん、その人を諦めるのも難しいけど……精一杯努力するよ」

凛「……そっか」

P「ああ」

凛「…………ありがとう、プロデューサー」

P「礼を言う場面なんかじゃないさ」

9: 2015/10/15(木) 18:49:02.44 ID:K7K52gbYo

凛「……あの、さ。プロデューサー」

P「ん?」

凛「…………誰、なのかな」

P「……誰、って」

凛「あ……ご、ごめん。失礼、だったよね……本当にごめん。忘れて」

P「…………」

凛「…………」

P「…………凛」

凛「…………えっ」

P「…………」

凛「…………」

P「……知りたい、のか?」

凛「…………あ、ああ……そういう意味ね」

P「意味?」

凛「何でも無い。忘れて」

P「そうか」

16: 2015/10/15(木) 20:32:43.90 ID:K7K52gbYo

P「で」

凛「うん」

P「知りたいのか?」

凛「…………まぁ、ね」

P「どうしてだ?」

凛「どうして、って」

P「…………」

凛「…………あはは。その、今後の参考になるかな、なんて、思っ」

P「凛」

凛「ん」

P「俺は、凛のほんとうの言葉が聞いてみたい」

凛「…………」

P「…………」

凛「ごめん」

P「謝る必要なんか何処にも無いぞ」

凛「それでも、ごめん」

P「そうか」

18: 2015/10/15(木) 21:11:15.78 ID:K7K52gbYo

P「それで、どうして……気になるんだ?」

凛「…………」

P「…………」

凛「プロデューサーは、私の色んな事を知ってるよね」

P「ああ」

凛「…………私。その、私も。あくまでパートナーとして、だけど」

P「…………」

凛「ぷ、プロデューサーの事を知りたいって、そう思うのは…………変、かな」

P「…………」

凛「…………」

P「……いや」

凛「…………」

P「変じゃないよ」

凛「……そっか」

P「ああ。凛に対して隠し事は無しだ」

凛「プロデューサー」

P「どうした?」

凛「何か、機嫌良さそうだね」

P「そうかな」

凛「そうだよ」

19: 2015/10/15(木) 21:25:27.39 ID:K7K52gbYo

凛「無理して答えてくれなくていいよ」

P「そうだな……名前は勘弁してくれると助かる」

凛「分かった。……芸能関係のお仕事してる人?」

P「……まぁ、そうだな」

凛「やっぱり同い年くらい?」

P「…………」

凛「……プロデューサー?」

P「いや……その、な」

凛「……?」

P「年下、なんだ。……世間一般からは、あまり良い顔をされないぐらいには」

凛「……プロデューサー」

P「ん」

凛「好き、なんでしょ。その人の事」

P「…………ああ、好きだ」

凛「それでいいんだよ。周りがどう思うかなんて関係無い」

P「…………」

凛「大事なのは、プロデューサーの気持ちじゃない?」

P「…………ありがとう、凛」

凛「どういたしまして、でいいのかな」

P「ああ、いいんだ」

22: 2015/10/15(木) 21:38:23.94 ID:K7K52gbYo

凛「その人さ、やっぱり可愛いの?」

P「ああ……いや」

凛「?」

P「綺麗……かな。どちらかと言えば」

凛「…………」

P「あ、いや、待ってくれ」

凛「うん」

P「綺麗なんだ。でも、同時に可愛らしくもあると言うか」

凛「うん」

P「凛とした綺麗さの中に、隠しきれない可愛さが見え」

凛「プロデューサー」

P「ああ」

凛「何でそんなに焦ってるの」

P「…………いや、焦ってないぞ」

凛「そっか」

P「ああ」

25: 2015/10/15(木) 21:51:59.36 ID:K7K52gbYo

凛「ちなみに、どんな風に綺麗なのか訊いてもいい?」

P「ああ、そうだな……」

凛「…………」

P「目標へ向かって、驚くぐらい真っ直ぐに駆けて行って」

凛「…………」

P「仕事の合間に視線をくれて、ふっと笑い掛けてくれたり」

凛「…………」

P「立ち姿がすらっと伸びてて、振る舞いも大人びていて」

凛「…………」

P「褒められると、少し照れたみたいに謙遜して」

凛「プロデューサー」

P「どうした?」

凛「何だか、いやに具体的だね」

P「つい目で追ってしまうから、かもしれないな」

凛「……そっか」

P「ああ」

26: 2015/10/15(木) 22:07:36.85 ID:K7K52gbYo

P「でも、可愛い所もたくさんあってな」

凛「うん」

P「油断した所の写メが回ってきたと思ったら、すぐに消せって電話が来たり」

凛「…………」

P「喫茶店でどっちのケーキを頼もうか、進路でも決めるみたいに真剣に悩んだり」

凛「…………」

P「飼い犬にじゃれつかれてくすぐったそうに笑ったり」

凛「…………」

P「友達に恋愛の話でからかわれて、顔を真っ赤にして言い返したり」

凛「プロデューサー」

P「どうした?」

凛「その人の可愛らしさはよく分かったよ」

P「そうか」

凛「私にもそんな風に、少しは可愛らしさがあったらね」

P「それは分かってるって言わないからな」

凛「え?」

P「いや、何でも無い」

凛「そう」

29: 2015/10/15(木) 22:14:31.49 ID:K7K52gbYo

凛「そんなに凄い人じゃ、何だか悔しくなっちゃうな」

P「そうかな」

凛「他にはどんな感じなの?」

P「うーん…………あ」

凛「何かあった?」

P「割と負けず嫌いかもしれない」

凛「ふふっ。それも可愛い所じゃない?」

P「そうだな。あ、凛」

凛「なに?」

P「ダーツな、選ぶんなら良い店知ってるからついて行くぞ」

凛「…………別に、秘密の特訓なんかしようとしてないよ」

P「そうか」

凛「プロデューサーにも加蓮にも奈緒にも負けたの、別に気にしてないから」

P「そうか」

凛「でも、選んでくれるなら一緒に行こうかな」

P「分かった」

30: 2015/10/15(木) 22:22:31.45 ID:K7K52gbYo

P「後は、仕事に一生懸命過ぎるのも困りものだな」

凛「そうなんだ」

P「ああ。休むのも大事だぞって言ってもなかなかな」

凛「けっこう頑固なんだね」

P「ああ。凛、仮眠室空いてるから後で使っていいぞ」

凛「別に眠くないけど」

P「学校休みだからって午前中からレッスンだろう? 夕方から撮影もあるしな」

凛「…………」

P「疲れってのは知らない間に溜まってるもんなんだ」

凛「…………」

P「別に寝顔を覗いたりしないさ」

凛「……ううん。もう少し、こうしてプロデューサーと話してるよ」

P「…………そうか」

31: 2015/10/15(木) 22:35:04.76 ID:K7K52gbYo

凛「……ちなみにさ」

P「どうした?」

凛「いつ頃出会ったの、その人と」

P「ちょうど二年くらい前だな」

凛「プロデューサーが私をスカウトした頃くらいかな」

P「ああ」

凛「二年前にしては随分、えっと……良い関係なんだね」

P「だいぶ一緒に居たからな」

凛「そうなんだ」

P「ああ」

凛「全然気付かなかったよ」

P「そうか」

凛「私、結構鈍いのかな」

P「いや結構なんて程度じゃ」

凛「え?」

P「いや、何でも無い」

凛「そっか」

P「ああ」

34: 2015/10/15(木) 22:49:01.38 ID:K7K52gbYo

凛「きっかけは何だったの?」

P「きっかけ?」

凛「例えば、お仕事で一緒になったとか」

P「ああ、街中で一目惚れしてしまってな」

凛「…………」

P「……?」

凛「…………ナ、ナンパ……?」

P「…………はっ?」

凛「ナンパ、したの……?」

P「え、ナンパだと思われてたのか……?」

凛「えっ?」

P「いや、何でも無い」

37: 2015/10/15(木) 23:00:21.09 ID:K7K52gbYo

凛「……えっと、具体的にはどんな感じだったの?」

P「あー……」

凛「…………」

P「実は、夢中でよく覚えてないんだ」

凛「夢中……?」

P「確か、とにかく褒めまくったような気がする」

凛「…………」

P「目とか、雰囲気とか、振る舞いとか」

凛「…………」

P「何か、すげぇ恥ずかしい事とかも言っちゃってたような……」

凛「……プロデューサー」

P「どうした?」

凛「そういう事、誰彼構わず言っちゃダメだよ」

P「いや、誰でもって訳じゃなくて俺は」

凛「俺は?」

P「……いや、何でも無い」

凛「ふーん」

38: 2015/10/15(木) 23:27:02.42 ID:K7K52gbYo

凛「それで、さ」

P「ん?」

凛「……その人とは、どうなりたいの?」

P「…………」

凛「…………」

P「……出来るなら、真剣に交際を申し込みたい、な」

凛「…………そっか」

P「ああ」

凛「…………私は」

P「ああ」

凛「プロデューサーの本当の気持ち。応援するよ」

P「……ああ」

凛「プロデューサー」

P「どうした?」

凛「私をプロデュースしてくれて、ありがとうね」

P「…………ああ」

41: 2015/10/15(木) 23:43:00.89 ID:K7K52gbYo

凛「プロデューサー」

P「ああ」

凛「その人、捕まえておかなきゃダメだよ」

P「……ああ」

凛「そんなに想える人なんて、そう簡単には見つからないんだから」

P「…………ああ」

凛「大丈夫」

P「…………」

凛「自信を持ってよ、プロデューサー」

P「…………」

凛「私は、プロデューサーのお陰でここまで来れたようなものだから」

P「…………」

凛「私のプロデューサーだよ。絶対に、大丈夫」

P「…………そうか」

凛「頑張ってね、プロデューサー」

P「ああ。ありがとう、凛」

42: 2015/10/16(金) 00:06:01.82 ID:Vq97qRJ0o

P「凛」

凛「なに?」

P「…………」

凛「……?」

P「……いや。やっぱり言わないでおくよ」

凛「うーん、気になるね」

P「きっと……いや、後で、必ず言うさ」

凛「そう」

P「俺にもなけなしの勇気が持てるようになったら、きっと言うよ」

凛「へぇ。何だか重要な話みたいだね」

P「…………」

凛「プロデューサー?」

P「……俺もさ」

凛「うん」



P「けっこう、負けず嫌いみたいだ」

凛「……?」


44: 2015/10/16(金) 00:16:24.33 ID:Vq97qRJ0o
 ― = ― ≡ ― = ―

「――あー、今日も疲れたな」

「ケーキでも食べて帰る?」

「あの喫茶店か?」

「うん。あそこのミルクレープ美味しいんだよね」

「確かに美味しいけど、マスターがちょっと怖いんだよなぁ……」

「顔が怖いだけで普通の人だよ、肇によると」

「……ま、寄って帰るか」

「うん」

「ミルクレープでいいのか?」

「え?」

「いや、この季節だとモンブランなんかも美味しそうだと思ってな」

「…………」

「凛」

「…………」

「凛」

「……あ、うん。なに?」

「悩むのはせめて店に着いてからにしてくれ」

「分かった」

45: 2015/10/16(金) 00:19:46.08 ID:Vq97qRJ0o

「さ、行くか。もう夕方にもなると寒いな」

「そうだね」

「手でも繋ぐか」

「何言ってるのさ」

「冗談だよ」

「…………」

「…………」

「…………あ、そうだプロデューサー」

「ん?」

「明日のお弁当、キュウリの梅肉和え入れとくね」

「え、俺梅干し苦手なのに……」

「好き嫌いは良くないよ、プロデューサー」

「そうは言ってもなぁ――」


46: 2015/10/16(金) 00:20:49.91 ID:Vq97qRJ0o

おしまい。

モバP「凛って好きな人とかいるのか?」 渋谷凛「うん」

岡崎泰葉「いえ、ダメです」 モバP「えっ」 


高垣楓『シンデレラ』 をクリスマスまでに書き上げられるだけの余裕が欲しいです

48: 2015/10/16(金) 00:24:58.84 ID:0iR8fa+f0
乙でした

引用元: 渋谷凛「プロデューサーは好きな人っているの?」 モバP「ああ」