瑠璃「だって悲運の再会をとげてやっと一緒になったとき抱きついてたじゃない」

柚子「あ、あれは遊矢が……」

瑠璃「憧れるなあ、ああいう積極性のある彼氏」

セレナ「それだけ遊矢は柚子を思っているということだ、かけがえのない仲間として」

瑠璃「セレナったら、なんにもわかってないなあ、いい柚子、ああなったら目を閉じて――」

リン「いい加減にしなさいっ！」

セレナ「なぜいつも私だけ仲間はずれなんだ！　もういい！　遊矢、デュエルだ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

遊矢「セレナ、今こっちの部屋でデュエルしてるからだめだよ」

ユーリ「速攻魔法発動、超融合」

ユーゴ「んああぁぁぁぁぁ！　フッザケンナ！」

ユーリ「ほんと面白いなあ君w」

ユート「静かにしろ、ユーゴ」

柚子「だ、だめっ！」ｳﾙｳﾙ

セレナ「なぜだ柚子。遊矢は今相手がいない。してもいいだろ！」

瑠璃「ほら、動揺してる。ぼやぼやしてると取られちゃうかもよー」

リン「瑠璃、からかうのもいい加減にして。柚子が泣いちゃうわ」

瑠璃「いいよねえリンは。相思相愛、スリップストリームで一直線に追いかけてくれる彼氏がいて」

リン「べ、べつにそんなんじゃ……」

瑠璃「じゃあなに？」ﾆﾔﾆﾔ

リン「ただの幼なじみ、というか……」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

瑠璃「全く、二人共ダメダメねえ。いい？　大事なのはかっとびングよ」

柚子「かっとび……なに？」

瑠璃「かっとびング。どんな時も諦めず、一歩踏み出すこと。そうすれば二人もランクアップできる」

柚子「瑠璃……」

リン「なんなのその本は」

瑠璃「フッフッフ、わがハートランドに伝わる最強恋愛本、『天地開闢！　かっとびング告白術！』よ！」

リン(うさんくさい……)

瑠璃「まずは二人の心を重ね合わせ、ネットワークを構築する」

柚子「ネットワークかあ」

リン「まずそれが大変だよ、しょっちゅう離れ離れになったり何処かへ行ったりするから」

瑠璃「リンとユーゴは気持ちがシンクロしてるから大丈夫。あとひと押し！」

リン「ほんとかなあ……」

瑠璃「日常をひとしきり楽しんだら、ランクアップ！　遊園地なんかに行ってみましょう。思い出のナンバーズを忘れないように」

柚子「ナンバーズって何？」

瑠璃「私もよくわかんない」

リン「たぶん、記念日のことかな」

瑠璃「悲しい別れもあるものです。二人で作り上げたユニットがなくなると、本来の力を使うことができなくなります。二人の愛のかっとびングが失敗しないうちに、ハートバーニーングッ！……だって」

柚子「うーん」

リン「あんまり参考になってないみたいよ。大体、そこまで恋愛に詳しいならどうしてユートくんにアタックしないの？」

瑠璃「あっ、アイツ……？　あいつはだってなんか、なよなよしてるし、頼りないし……それに、フツー告白は男の子がするもんじゃん」

リン「瑠璃だってハートバーニーングッ！　すればいいのに」


セレナ「ライオダンサーでダイレクトアタック！」

遊矢「うわああああ！」

ユート「セ、セレナ、やりすぎだ。大丈夫か遊矢」ｵﾛｵﾛ

瑠璃「何よぅ！　じゃあリンは私よりうまいアドバイスができるっていうの？」ﾌﾟﾝｽｶ

リン「そ、それは……」

柚子「そういえばリンも、何か恋愛本持ってきてたね」

リン「えっ、こっ、これは……///」

瑠璃「見せてっ！」ﾊﾞｯ

リン「あっ……」

『茨のSと満足のM～飴と鞭がドッキング～』

柚子「えっ……」

リン「ちっちが、違うのっ！　これは違うのおっ！///」

瑠璃「へえ、リンはそういうのに興味があるんだね」ﾆﾔﾆﾔ

リン「そっ、そんなわけないじゃない！　私は至って健全な……」

瑠璃「で、どっちなの」

リン「え？」

瑠璃「いじめたいの？　いじめられたいの？」

瑠璃「わかるよ、わかるよ。普段はかっこいいユーゴくんを縛り付けていじめたいんだよね？」

リン「違うってば！///」

瑠璃「それとも破天荒なユーゴくんにいじめられたいの？」ﾑﾆｯ

リン「ちょっと！　どこ触ってんのよ！」

柚子「遊矢は優しいから……そういうのは向かないかな。あ、でも……」


遊矢「覇王黒龍、オッドアイズ・リベリオンドラゴン！」ﾋﾞｭｵｵｵ

セレナ「うわああああ！」

ユーリ「エクシーズめ……滅ぼす」

柚子「ありかも……」ﾎﾞｿｯ

リン「え？」

柚子「まあでも、一歩ずつかなあ……」

瑠璃「『振り子メンタルの彼氏を支える方法～ホントの彼をディスカバーしよう～』かぁ……」

柚子「遊矢はみんなを笑顔に、って頑張ってるけど、遊矢自身が笑顔じゃないことが多いの……全部自分で背負い込んで。だから、私が支えてあげたい。遊勝塾の仲間として。ランサーズとして。そして――」

瑠璃「まったく、私達に告白してどうするんだか」

リン「素敵よ、柚子」

遊矢「さてさて皆様、ここで私が世紀の大エンタメデュエルをお見せいたしましょう！」

セレナ「いいぞー、遊矢ー！」

ユーゴ「お楽しみってわけか！」

ユーリ「ふぅん、まあいいんじゃないの」

ユート「幻影騎士団が受けて立つ！」

～後日～

セレナ「おい！　この間みんなが楽しそうに話していたから私もデュエルアカデミアで本を借りてきたぞ！」

瑠璃「ようやくセレナもわかってきたか！　どれどれ――」


『これで君もHEROだ！　乙女を落とすワクワクデート！』

『負けたくない！　サイバー世界での彼氏の見つけ方』

『脈無しを落とせ！　イケメン女子とのコミュニケーション術』

『かわいい恐竜さんコーデ～おしゃれは宇宙規模に進化するドン～』

『二十代からの恋愛～しつこい彼女を無視する方法～』

『乗っただけ！　簡単にできる夜の生活』

リン「こっ、これは……」

瑠璃「融合の男女はうまく行かないって、相場が決まってるのよ……」

END

瑠璃がはっちゃけないと話が進まなかった。
こんどはいつか遊矢シリーズで恋愛譚を書いてみたい