1: 2013/06/08(土) 09:23:05.87 ID:WrJx7gKF0
――――格闘術訓練中。



エレン「アニ、俺と組もうぜ」

アニ「なんだい。蹴られるのは痛いから、イヤだったんじゃないの?」

エレン「ああ。嫌だけど、技術は知りたいからな。やりながらでも学ばせてくれ!」

アニ「……はぁ」

エレン「なんだよ、ため息なんかついて」

アニ「別に」

エレン「?」

アニ「前も言ったと思うけど、こんな訓練に本気になっても何も意味がないことぐらい、わかってるんでしょ?」

エレン「ああ。確かに、この訓練は直接巨人を倒すためには不必要なものだ」

エレン「けど、俺は兵士だ。だから、何があっても何に対してだって、戦えるようになりたい」

エレン「だから、お前の技術を身に着けたいんだ。ダメか?」

アニ「……くだらないね。それなら、今度説明書でも書いてあげるから、勝手に学びなよ」

エレン「え? お、おい! アニ!」
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)

3: 2013/06/08(土) 09:25:29.68 ID:WrJx7gKF0
エレン「え? お、おい! アニ!」

エレン「いっちまった……ったく、結局あいつもサボりたいだけか?」

エレン(幼稚な遊びにしか思えない無駄な訓練が、楽しくねえのはわかるけどよ……。
    あんな怖ぇ面しなくたっていいじゃねえか)

エレン(……そういや、あいつの怒った顔は見たことあるけど、笑った顔とか見たことねぇな)

エレン(そもそも笑えるのか? あいつ)





――――食堂にて。

ミカサ「アニの笑った顔?」

エレン「ああ。女同士なら、どーかなって思ったんだけど」

ミカサ「……ごめん。記憶にない」

エレン「まぁ、お前だとそうだろうな」

ミカサ「…………これでも、私はアニとよく話す方」

4: 2013/06/08(土) 09:27:24.72 ID:WrJx7gKF0
エレン「え? そうなのか?」

ミカサ「そこまで多くは話さない。けど、同期の中ではかなり多いと思う」

エレン「そうか……。じゃあ、誰も見たことねーんだろうな」

ミカサ「たぶん」

エレン「…………なあミカサ」

ミカサ「なに?」

エレン「誰なら出来ると思う?」

ミカサ「? アニを笑わせられる人ってこと?」

エレン「ああ。俺は無理だろうし、ミカサでもダメなら他に誰なら適任かと思ってよ」

ミカサ「……見当もつかない」

エレン「だよなぁ。そもそも、誰かと話している姿をほとんど見かけねーもんな」

ミカサ「うん」

エレン「…………んー……」

ミカサ「ところでエレン。どうしてアニの笑顔なんて見たいの?
     まさか、何かアニに対して思うことが」

8: 2013/06/08(土) 09:30:14.10 ID:WrJx7gKF0
エレン「あ、よう。アルミン、遅かったな。先、食ってるぜ」

アルミン「うん。ちょっと調べものしてて」

ミカサ「……」

エレン「相変わらず勉強熱心だなぁお前は。俺は巨人学以外の授業はすぐ寝ちまうから」

アルミン「エレンは興味があることと、ないことへの、集中差が激しすぎるんだよ」

エレン「わかってはいるんだけどなぁ……どうも、頭がいっぱいになると、眠くなっちまうんだ」

アルミン「外の世界に出るのなら、色々と知っておいて損はないと思うけどなぁ」



アニ「アルミン」


エレン・ミカサ「!」

11: 2013/06/08(土) 09:32:32.63 ID:WrJx7gKF0
アルミン「ん? なんだい、アニ?」

アニ「これ、この前借りた資料」

アルミン「ああ、どうも。役には立った?」

アニ「それなりにね」

アルミン「良かった」

アニ「今度は私が使っていたのを貸すよ。読みたがってたでしょ?」

アルミン「ありがとう、助かるよ」

アニ「それじゃ」

アルミン「うん」


スタスタ……

12: 2013/06/08(土) 09:35:36.51 ID:WrJx7gKF0
エレン「……」

アルミン「あ、ごめん。それで、壁外に出るにしたって、やっぱ知識が必要な理由だけど」

エレン「アルミン」 ガシッ

アルミン「な、なに? どうしたの急に、真剣な顔して」

エレン「お前、アニと仲良いのか?」

アルミン「え? いや、普通……だと思うけど」

エレン「普通じゃないぞ、あれは!」

アルミン「そ、そうかな?」

ミカサ「私と話すときでも、二言以上アニは会話をしない。
     自発的に話しかけたりもしない。
     でも、アルミンとはそのすべてが違った」

エレン「アルミン、お前しかいねえよ!」

アルミン「だ、だから何がさ!?」

エレン「つまりだな……」

13: 2013/06/08(土) 09:38:13.61 ID:WrJx7gKF0
――――説明中。


アルミン「うーん……でも僕だって、アニの笑顔なんて見たことないよ」

エレン「そんなことわかってんだよ。だから、それを何とかするのがお前だって言ってんだ!」

ミカサ「他の人より心を開いているアルミンなら、きっと出来る」

アルミン「ええー!? そんなこと言われても……」

エレン「いいじゃねえか、減るもんでもねえし!
     協調性がないって、偶に教官から怒られてるだろアイツ。
     それを修正してやる、良い機会だとおもわねえか?」

ミカサ「悪くない考えだと思う」

アルミン「うーん……でも、それを覆す実力をアニは持っているから
     教官も、許容する姿勢を保っているんだと思うけど……」

エレン「それも……そうだな」

アルミン「それに、下手なことして訓練に支障が出る方がよっぽど、事だと僕は思うよ」

エレン「確かに……すまん。なんか変なこと言っちまって」



ミカサ「違う」

14: 2013/06/08(土) 09:40:58.20 ID:WrJx7gKF0
エレン・アルミン「え?」

ミカサ「エレン、あなたは巨人を一匹残らず駆逐するのが目的で、ココにいるんでしょ?」

エレン「あ、ああ」

ミカサ「それを完遂させるのは、一人では絶対できない。
     いくらエレンが頑張っても、それは揺るがない事実」

エレン「……」

ミカサ「だから、仲間が必要」

ミカサ「その仲間の欠点を補って、鍛え上げることは悪い事ではないと思う」

ミカサ「違わない? アルミン」

アルミン「……一理あるといえばあるけど」

アルミン「でも、だからって僕がその役を担えるとは思わない」

ミカサ「大丈夫。アルミンなら出来る。私達もサポートする。そうでしょ、エレン」

エレン「もちろんだ!」

15: 2013/06/08(土) 09:43:15.26 ID:WrJx7gKF0
ミカサ「アニは座学も格闘術もトップクラス。精神面、連帯面を養えばもっと強くなれる」

アルミン「……わかった。どこまでやれるかわからないけど、やってみる」

エレン「頼んだぜ、アルミン」

アルミン「うん」




――――後日、格闘術訓練にて。

アルミン(まずは手始めに、得意な格闘術から近づけって言われたけど……)

アニ「……」

アルミン(全然気づかなかったけど、上手に教官の目を掻い潜ってサボってるんだなぁ)

アルミン(立体機動以外の点数に大した意味はないって言われているけど……
      でも、僕だってたまには身体を休める目的で流すこともある。
      頭ごなしに否定するのは、アニに対して失礼だし)

16: 2013/06/08(土) 09:45:24.00 ID:WrJx7gKF0
アルミン「……うっ!?」

エレン・ミカサ  ジー……

アルミン(二人が期待と急き立ての入り混じった目で見てる……!!)

アルミン(……やらないわけにはいかないか)


アルミン「アニ」

アニ「……アルミン」

アルミン「その、訓練に付き合って欲しい……んだけど」

アニ「……どうしたんだい突然。あんた、格闘術は苦手だったろ?」

アルミン「うん。だから、上手い人と組んで少しでも上手になろうと思ってさ」

アニ「……よくは覚えてないけど」

アルミン「?」

20: 2013/06/08(土) 09:47:52.27 ID:WrJx7gKF0
アニ「あんた、いつもマルコと組んでなかった?
   マルコだって、格闘術なら上手な部類に入ると思うけど」

アルミン(しまった。そこまでは考えていなかった)


マルコ「あ、アルミン。こんなところにいたのか。さ、訓練はじめy」



フヒュッ!



マルコ「え?」


ドバッシィイン!!


マルコ「ぅがっ!?」

アルミン「!? ま、マルコ!?」

21: 2013/06/08(土) 09:50:01.71 ID:WrJx7gKF0
マルコ「……」


ミカサ「教官。マルコが受け身を失敗し、気を失ってしまいました。」


アルミン(み、ミカサ……一体どこから!? いや、むしろいつの間に!?)

キース「なに? 珍しいな。……わかった。すみやかに医務室へ運べ。
     他の者もこのような痴態を晒さないよう、気を抜くな!」

ミカサ「はい」


ミカサ チラッ


アルミン「!」

アルミン(あの目……ミカサの仕業……ってことだよね)

アニ「……」

アルミン「あ、アニ。えーと、そういうことだから。い、いいかな」

アニ「……いいよ。教官がこっちに目を付けちゃったみたいだし。
    手を抜いているのがばれて、点数引かれても困るからね」

アルミン「あ、ありがとう!」

22: 2013/06/08(土) 09:53:06.32 ID:WrJx7gKF0
エレン(困ったな。ミカサが居ないから、相手がいなくなっちまったぞ
     ライナーはベルトルトと組んでるし……うーん)

ミカサ「エレン」 フヒュッ

エレン「ぉわっ!? み、ミカサ!? お前、マルコを医務室に運んだんじゃ!?」

ミカサ「サシャに代わってもらった」

エレン「そ、そうか」

ミカサ「私は昨日、アルミンの助けになるといった。それに対して手を抜くことはしたくない」

エレン「ああ……そうだな」

ミカサ「それに、これはアニの為だけじゃない。アルミンの為でもある」

エレン「アルミンの?」

23: 2013/06/08(土) 09:56:15.37 ID:WrJx7gKF0
ミカサ「エレンもわかってると思うけれど。アルミンは、極端に自分を卑下している」

エレン「ああ。昔なんか、よく変な考えのヤツだってバカにされてたもんな」

ミカサ「それは、周りの人がアルミンの発想についていけなくて、理解できていなかっただけ。
     本当は、アルミンはもっともっと先のことを考えている。私達には及びもつかないほど、ずっと。」

エレン「それに、正しいことを導きだす能力もあるしな」

ミカサ「だから、アルミンは私たちの期待に応えられる立派な人なんだ、と自信を持ってほしい」

ミカサ「そのために、この矯正は必要。アニだけではなく、アルミン自身のために」

エレン「そうだな。あいつは、もっと胸張って生きていいはずだもんな」

ミカサ「うん」

24: 2013/06/08(土) 09:58:57.38 ID:WrJx7gKF0
アルミン「うがっ!?」 シュパァン!

ドサッ!

アニ「……アルミン、あんた受け身ぐらいは取ってくれない?」

アルミン「いたた……い、いや。でもそんな鋭い蹴りなんだもの、難しいよ」

アニ「これでも、かなり手加減しているんだけど……」

アルミン「そ、そうなんだ……」

アニ「はぁ……いいよ。じゃあまずは、受け身をしっかりとれるようにすることからだね」

アルミン「うん。お願いするよ」





エレン「……なんか、余計なことしなくても、上手くいきそうだな」

ミカサ「たしかに」

25: 2013/06/08(土) 10:01:33.04 ID:WrJx7gKF0
――――食事どき。



エレン「アルミン、おつかれ」

ミカサ「お疲れ様」

アルミン「やあ二人とも。先に食べてたんだ」

エレン「悪いな」

アルミン「ううん、医務室行っていた僕が悪いんだもの」

ミカサ「足、大丈夫?」

アルミン「うん。まあ支障がない程度には。
      エレンは凄いね。アニの、本気の蹴り受けてぴんぴんしてるんだろ?」

エレン「痛いのにかわりはねーけどな。俺も最初は動けなかったし」


ミカサ「……アルミン」

26: 2013/06/08(土) 10:04:09.98 ID:WrJx7gKF0
アルミン「ん?」

ミカサ「嫌でなかったら、だけど」

アルミン「うん」

ミカサ「アニはいつも、今だって。独りで食事を取っている。
     そういう時にでも、気をかけてくれたら成功確率はあがる、と私は思う」

アルミン「……つまり、一緒に摂ってこいってこと?」

ミカサ「……」 コクリ

エレン「無理にじゃねーからな。頼んだのは俺達だし、やるのはアルミンだ。
    嫌だったら嫌って言ってくれてかまわねーぞ」

アルミン「ありがとうエレン。でも、確かにミカサの言うとおりだ。
      僕も少しだけアニに興味が沸いてきたところだし、やってみるだけやってみようと思う」

ミカサ「その意気」

28: 2013/06/08(土) 10:07:28.42 ID:WrJx7gKF0
アルミン「じゃ、ごめんね二人とも」

エレン「おう」

ミカサ「頑張って」



――――。


アルミン「アニ。隣、良いかな?」

アニ「……構わないけど」

アルミン「ありがとう」

アニ「……」 カチャカチャ

アルミン「……」 モグモグ

アニ「……」 モグモグ

アルミン(弱ったな。何か会話でもしないと間が持たないや) ゴクン

30: 2013/06/08(土) 10:10:31.53 ID:WrJx7gKF0
アルミン「あのさ、アニ」

アニ「なに?」

アルミン「あの格闘術って、いったい誰から教わったの?
      書物を漁ってみても、見たことがない技術だったけど」

アニ「……お父さんのだから」

アルミン「へぇ、道理で。
      訓練兵全体にも広めて、公的なモノとしたっていいくらい、凄い技だと思うけど」

アニ「そういうのは好きじゃない。その為に身に着けたわけじゃないし」

アルミン「そっか」

アニ「……アルミン、あんたさ」

アルミン「?」

アニ「今日はやけに付きまとってくるけど、どうかしたの?」

アルミン「!」

31: 2013/06/08(土) 10:13:17.97 ID:WrJx7gKF0
アルミン(やっぱりバレてたか……馴れ馴れしかったもんなぁ。
      急にではなく、ゆっくりやるべきだったか)

アルミン「そうかな? いつも、こんな感じだったと思うけど」

アニ「そう」

アルミン「……ごめん。嫌だったら、そう言ってくれていいよ」

アニ「……別に。どっちだって構わないさ」

アルミン「……なら……うん。ありがとう」

アニ「……」 モグモグ





――――次の日。

午前、兵站行進訓練。



アルミン「はぁ……はぁ……!!」

キース「アルレルト、また貴様だけ遅れているぞ!!」

32: 2013/06/08(土) 10:16:31.45 ID:WrJx7gKF0
アルミン「ぐっ……はぁ……はぁ!」

キース「そうやって、仲間の背中を眺めるのが貴様の仕事か!? 呑気なものだな!!
     真っ先に巨人の餌になるのは、やはり貴様で間違いはないな!!」

アルミン「くそっ……!!」

アルミン(人一倍体力がないのはわかってるけど……でも、諦めるわけにはいかないんだ)

アルミン「うっ!」 ガッ

ドシャッ

マルコ「アルミン! 大丈夫か!?」

キース「ボット! 手を貸している暇があったら、一歩でも前へ進め!!
     貴様は後ろ手に巨人が迫っている時でも、同じことをする気か!?
     道ずれになるのが、貴様の望む戦いなのか!?」

マルコ「うっ……で、でも……!」

アルミン「いいんだマルコ! 先へ行ってくれ!! 足手まといにはなりたくない!!」

33: 2013/06/08(土) 10:19:19.82 ID:WrJx7gKF0
マルコ「アルミン……。ぐっ……すまない!」

アルミン(そうだ。助けてもらってばかりの自分が大嫌いで、訓練兵に志願したんだろ。
      エレンやミカサと同じ立場に成りたいんだったら……)

ググ……

アルミン(こんな訓練程度で、へこたれてちゃいけないんだ!!) ダッ!!


アニ(……) タッタッタッタ……






――――午後、格闘術訓練。

アルミン「あ、アニ。今日も一緒してもらっていいかな?」

34: 2013/06/08(土) 10:22:18.34 ID:WrJx7gKF0
アニ「……良いけど。あんた、行進後でフラフラじゃないの?」

アルミン「だ、大丈夫だよ。気にしないで。昼休憩も取ったし」

アニ「……わかった」

アルミン「いくよ!」 ダッ

アニ「ふっ!」 ガッ

アルミン「くっ!?」 グルン

アルミン(うわっ!? か、身体が思ったより重っ……!!)

ドジャァッ!

アニ「……」

アニ「……アルミン?」

アルミン「……」

35: 2013/06/08(土) 10:24:59.93 ID:WrJx7gKF0
キース「レオンハート、どうした」

アニ「あっ……」

キース「む……アルレルトが失神しているのか?
     貴様が組むとどうにも、こういった事案が多いな」

アニ「……すみません」

キース「まあ良い。医務室へ運んでおけ」

アニ「はい」







――――医務室。

<ハンナ……ハンナ……

<アァ……ダメヨ フランツ……

39: 2013/06/08(土) 10:27:46.71 ID:TTRHeF2mO
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って氏ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

41: 2013/06/08(土) 10:29:31.11 ID:WrJx7gKF0
アニ「……」


アルミン「……」


アニ「……」


アルミン「……ん」

アニ「!」

アルミン「あれ……アニ? ここは……医務室?」

アニ「……受け身の取り方、相変わらず下手だね。アルミン」

アルミン「あぁ……もしかして、また僕……ごめん。迷惑かけちゃって……」

アニ「……ねえ、アルミン」

アルミン「ん?」

43: 2013/06/08(土) 10:32:50.45 ID:WrJx7gKF0
アニ「なんであんたは、そんなバカ正直に訓練をやるの?
    体力がないのなら、頭使って手を抜けばいいのに」

アルミン「なんでって……そりゃあ、立派な兵士になりたいからだよ。
     手なんか抜いたら、それに近づけないだろう?」

アニ「アルミンも憲兵団志望ってこと?」

アルミン「ううん。そうじゃないよ。それに、僕の成績で上位10人以内に入ることは無理だから。
      僕の志望は調査兵団さ」

アニ「……あの、氏に急ぎ野郎と同じってことかい?」

アルミン「エレンだけじゃないよ。きっとミカサも同じだと思う」

アニ「どうしてそこまでするのさ? あんたの頭脳なら、技巧に行った方が人類にとって有益だと思うけど。
    下手な意地や叶わない理想で、適した場所を意図して避けるのは利口じゃない」

アルミン「厳しいことを言うね」

アニ「でも、事実でしょ」

44: 2013/06/08(土) 10:36:36.01 ID:WrJx7gKF0
アルミン「……確かに、そうかもしれないけど。僕は、あの二人と共にありたいんだ」

アルミン「変な考え方しているだとか、いじめられていた僕と、今も、今までも一緒にいてくれた」

アルミン「いつも僕は守られてばかりだったから、何かを与え返したくて。
      だから、二人と一緒に調査兵団に行きたい。
      遠くじゃなく、近くでそれを成し遂げたいんだ。僕自身の手で」

アルミン「最悪……巨人の餌になったっていい。
      そのおかげで、足止めが出来て、一匹でも巨人を倒せられれば。
      僕は足手まといだけにはならずに済んだ、って証明できるから」

アニ「……なるほどね」


アニ「……あんたも誰かに負けじ劣らない」



アニ「氏に急ぎ野郎なんだね」 フッ

45: 2013/06/08(土) 10:39:08.93 ID:WrJx7gKF0
アルミン(あっ……笑っ……!)


アニ「あんたの考えは勝手にしたらいいけど。
    目の前で巨人に食べられるってのだけは、夢見が悪いからね」

アニ「また明日から、鍛えてあげるよ」

アルミン「あはは……お手柔らかに」





――――その夜。


エレン「よお、アルミン」

ミカサ「もう動いて平気なの?」

アルミン「うん。少し頭打っただけだからね。また明日から普通に訓練に出るよ」

47: 2013/06/08(土) 10:42:24.24 ID:WrJx7gKF0
エレン「そっか。悪いな、俺達が無理にアニに近づくように言ったせいだろ?」

エレン「あいつ、手加減とかしらねえからさ。やっぱアルミンにやらせるには、少し危険だったな」

エレン「すまん、あとは俺たちが勝手になんとかするからさ。もう、アニと接触はしなくていいぞ」

アルミン「え?」

ミカサ「普段通りでいいってこと」

アルミン「あぁ……そういう……」

エレン「……というか、お前でも無理なら、もうあきらめた方がいいかもな」

アルミン「あ……そのことだけど、二人とも」

エレン「ん? どうした?」

アルミン「さっき医務室で付き添いしてもらっている時に、アニが笑ったんだ」

エレン「え!? 本当か!? どんな感じだった!?」

49: 2013/06/08(土) 10:45:43.08 ID:WrJx7gKF0
アルミン「口元が少し緩む感じだったよ。ちょっとだけ目つきも柔らかくなってた」

ミカサ「……ちょっと、想像しにくい」

エレン「そっか……。見られなかったのは残念だが、なんにしたって成果はあったようだな」

アルミン「成果?」

ミカサ「アルミンに対して、アニが心を開いた証拠。
     いずれは、みんなにもそういう面を見せてくれるようになれば、私達も嬉しい」

エレン「やっぱアルミンに頼んで正解だったな」

アルミン「う、うん……それはどうも」

エレン「どっちにしろ、もう無理しなくて良いからな。ありがとよ!」


アルミン(なんかいいように振り回された感じだなぁ……結局いつも通りな気がするや)




エレン(これで少しはアルミンも自信もったか?) ヒソヒソ

ミカサ(うん。昨日までより、ちょっとだけ凛々しい顔になってる) ヒソヒソ

エレン(やったな)ヒソヒソ

ミカサ(うん) ヒソヒソ

50: 2013/06/08(土) 10:48:11.90 ID:WrJx7gKF0
アルミン「……ふぁ」

エレン「そろそろ就寝時間だなそういえば。寝るか」

ミカサ「うん。それじゃ、おやすみなさい」

アルミン「おやすみ、ミカサ」

エレン「またな」


――――。


エレン「……」

アルミン「どうしたの? エレン」

エレン「いや、アニが笑えるのはわかったけどさ」

アルミン「うん」

51: 2013/06/08(土) 10:50:27.81 ID:WrJx7gKF0
エレン「ミカサも、ちゃんと笑った顔見たことないなーって思って。最近はニコッとすらしねーだろ?」

アルミン「……」

アルミン「エレン」

エレン「ん?」

アルミン「それに関しては、僕は何もしないから。頑張ってね。きっと、とても簡単だよ」

エレン「お、おう?」







おしまい

52: 2013/06/08(土) 10:52:41.99 ID:WrJx7gKF0
アルミンが胃痛持ちという風潮に逆らいたかった
アニのにやけ顔について、エレンは見えなかったという前提です。

53: 2013/06/08(土) 10:53:32.58 ID:5lTnJXUA0
おつ

54: 2013/06/08(土) 10:53:59.12 ID:eEIV4omD0

もうちょっと読んでいたい気もするが

引用元: アニ「くだらないね」