4: 2012/03/04(日) 19:42:38.63 ID:kWFKDvDD0
ゲルト「これがあればあんなことや、こんなことも・・・」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

宮藤『お姉ちゃーんお姉ちゃーんお姉ち

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ゲルト「た、たまらん・・・」



9: 2012/03/04(日) 19:47:14.92 ID:kWFKDvDD0
ゲルト「さて、それではこれをどうやって宮藤に飲ませるか、だが・・・」

ゲルト「オーソドックスに飲み物に混入させるのが一番か」

ゲルト「よし!ゲルトルート・バルクホルン、出るぞ!」


食堂ワイワイガヤガヤ


ゲルト「なんとも都合よく宮藤が食堂に。天は私に微笑んでいるようだフフフ」

12: 2012/03/04(日) 19:52:05.50 ID:kWFKDvDD0
ゲルト「オ、オマエタチナニを騒いでいるンだ」

宮藤「あ、バルクホルンさん聞いてください、ペリーヌさんったらプッププププーwwww」

ペリーヌ「ちょっと宮藤さん!!やめてくださいまし!」

リーネ(なんか大尉の様子が変な気が・・・)


ゲルト「お前たち喉がかわいてないかカワイテイルだろう渇いているに違いないヨシ私がなにか飲み物でも入れてやろう」

宮藤「だってペリーヌさん、ブッフォフォフォオwwwwww」

ペリーヌ「キィイイイイイこの豆狸ぃぃぃ!!」

リーネ「なんだこれ」

15: 2012/03/04(日) 19:56:27.99 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「おっ、大尉殿気が利くなぁ!ちょうど喉渇いてたんだよねーいっただきー!」ゴクゴク

バルクホルン「あっ貴様!」

シャーリー「うぇぇ・・・なんだコレ・・・まっずぅ・・・」ペッペッ

バルクホルン「なんてことを・・・」

シャーリー「・・・ん?」

バルクホルン「む?」

シャーリー「・・・」

バルクホルン「お、おいどうした?腹の具合でも悪いのか・・・?(リベリアンの様子が変だ・・・まさか・・・)」

シャーリー「い、いや・・・(こいつ・・・こんな感じだったっけ・・・?なんだこの・・・)」///

18: 2012/03/04(日) 19:58:57.61 ID:SyYAN7Kk0
シャーゲルと聞いて

28: 2012/03/04(日) 20:13:59.79 ID:L4ulvc3g0
ルッキーニ「シャーリーどしたのー?」

シャーリー「おおおおおうルッキーニぃ!あっちで遊ぼうかー!」///

ルッキーニ「ウジャー!んじゃ虫探しにいこ!ムシー!」

バルクホルン「あっおい」

シャーリー「しゃああ!待ってろよ虫ィ!」ダッ

ペリーヌ「きゃあ!ちょっと!気をつけてくださいまし!」プリプリ

バルクホルン(私から逃げたようにも見えるが・・・まさか本当に効果があったというのか・・・?)

ペリーヌ「大尉?どうかなさいまして?」

バルクホルン「!?いや何でもないぞ!?さあ自主トレでもするか!はっはっはっ」

ペリーヌ「?」

31: 2012/03/04(日) 20:17:49.45 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「ウルスラ、ちょっといいか」

ウルスラ「どうされました?」

バルクホルン「お前に先日渡された例の薬だが・・・飲んだとしてどの程度で効果が切れるんだ?」

ウルスラ「わかりません。実験の段階で出来た副産物ですので」

バルクホルン「じゃあ解毒剤などはないのか」

ウルスラ「ありません」

バルクホルン「じゃあどうしろというんだ・・・ほとぼりが冷めるまで待つしかないのか・・・?」

ウルスラ「誰かに飲ませたのですね。意外です」

バルクホルン「いやアレは不幸な事故だったんだ・・・」

ウルスラ「しかしそう憂うこともないと思いますよ」

バルクホルン「何故だ?何か解決策でも?」

34: 2012/03/04(日) 20:26:13.70 ID:L4ulvc3g0
ウルスラ「どうやらあの薬は俗に言う惚れ薬ではなく、『本来抱いている思慕の情を増幅させる』効能があるようです」

バルクホルン「本来抱いている・・・?」

ウルスラ「つまり全く知らない人間や嫌いな人間に対して恋心を抱くというのは無いようなんです。ですから生じうる混乱は少ないかと」

バルクホルン「ま、待ってくれ。ということはだ、惚れ薬を飲んで効き目があればそれは・・・」

ウルスラ「飲む以前から憎からぬ情を抱いていたということになりますね」

バルクホルン「・・・」


ルッキーニ「ムッシムシー!アタシのムシー!」

芳佳「あっルッキーニちゃん、また虫捕り?」

ルッキーニ「うん!でも今日は不作だったんだぁ~、シャーリーがヘンだったからさー」

シャーリー「アタシだって調子が悪いときくらいあるさ」

芳佳「シャーリーさん、具合悪いんですか?もしよければ私診ますけど・・・」

シャーリー「あ、いやいいんだ。ちょっと気疲れみたいなもんだからさ、寝りゃあ治るよ」

芳佳「はあ」

36: 2012/03/04(日) 20:30:46.00 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・」ゴロ

シャーリー「・・・・・・・」ゴロゴロ

シャーリー「・・・眠れん・・・困ったぞ・・・」

シャーリー(昼間っからなんかあの堅物のことばっか頭に浮かんで・・・絶対ヘンだ)

シャーリー「ううう・・・どうしちまったんだアタシは・・・」

シャーリー「軽くそこら辺走ってこようかな・・・中佐に見つかったら大目玉だけど」


ガレージ

シャーリー「うっし。頭ん中ゴチャゴチャしてるときはバイクぶっ飛ばすのが一番だ」

「おい不良軍人。こんな夜中にそこで何をしている」

シャーリー「ひぃっ!?」

バルクホルン「・・・」

シャーリー「あ~・・・えっと・・・」///

バルクホルン「・・・ミーナに見つかったらまた始末書だぞ。さっさと寝ろ」

シャーリー「あ・・・うん・・・」

38: 2012/03/04(日) 20:35:20.00 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・怒んないの?いつもならすげー怒るじゃん」

バルクホルン「・・・何やら具合が、悪そうだからな」

シャーリー「え・・・あたしやっぱヘンかな?」

バルクホルン「あ、いや・・・どう悪いのかまでは知らんがな?」

シャーリー「そっか・・・いやなんか、寝付けなくてさ・・・」

バルクホルン「それでバイクで気分転換でもしようと考えたのか。まったく・・・アレッシア先生に睡眠薬でも出してもらったらどうだ」

シャーリー「うん・・・」

バルクホルン「・・・やけに素直じゃないか」

シャーリー「あ、そっかな・・・ううん、やっぱ今日のアタシなんかヘンだよな、はは」

バルクホルン(・・・元はといえば私が宮藤に薬で良からぬことを考えたせいで・・・)

シャーリー(ダメだ・・・なんかアイツの顔見れないよ)

41: 2012/03/04(日) 20:42:52.39 ID:L4ulvc3g0
翌日

シャーリー「・・・はぁ」

ルッキーニ「うじゅ・・・」

坂本「お、どうしたシャーリー珍しく不景気な顔をして。またミーナに叱られたか?」

シャーリー「はは・・・そっちのがマシかも」

坂本「ん?何か悩みでもあるのなら私でよければ聞くぞ?話すだけで楽になるということもある」

シャーリー「うーん・・・」

シャーリー(少佐は誰かに話したりはしないんだろうけど・・・好きだの嫌いだのって話は苦手そうだよな・・・)

シャーリー「いや、大丈夫だよ。心配してくれてありがとな、少佐」

坂本「そうか?力になれずすまんな」

シャーリー(相談するとしたら誰だ・・・?まずルッキーニはダメ、宮藤たちにも話しづらいな)

シャーリー(ハルトマンは・・・ダメだ。いろんな意味で)

シャーリー(エイラか、中佐かな・・・)

46: 2012/03/04(日) 20:49:56.75 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「なあエイラ、ちょっといいか」

エイラ「なんだ大尉か、なんか用か?」

シャーリー「お前ってさあ・・・なんでサーニャのこと好きになったの?」

エイラ「っはァ!?なんダヨ藪から棒に!」

シャーリー「いいじゃん教えてよ」

エイラ「何でって・・・何でダロ・・・わかんないよ。気がついたら好きになってた」

シャーリー「そんなもん?なんかキッカケとかさ」

エイラ「うーん・・・サーニャはナイトウィッチだからあんまり皆と接する機会ないダロ。それに501に着たばかりの頃は引っ込み思案だったし、ほっとけなかったんダヨ」

シャーリー「ほっとけない・・・」

エイラ「そーゆー質問してくるってことはー、大尉も気になる人がいるんダナ」

シャーリー「う・・・お前ヘンなとこで鋭いよな」

エイラ「いやフツーだし。大体見当も付くけどナー」

シャーリー「・・・わかりやすい?」

エイラ「どうだかナー」

48: 2012/03/04(日) 20:58:10.03 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「うーん」

ミーナ「あ、シャーリーさん。丁度よかったわ」

シャーリー「中佐?なんですか?アタシ別に何も」

ミーナ「あら、何か後ろ暗いことでもあるのかしら」

シャーリー「やー別に・・・」

ミーナ「まあいいわ。トゥルーデから昨夜のことは聞いたのだけど、今日もあまり本調子じゃなさそうね」

シャーリー「え・・・アイツ結局中佐に話したんですか」

ミーナ「昨夜の件は未遂として不問にしますけど。トゥルーデも心配していたわよ」

シャーリー「・・・アイツが?心配・・・」

ミーナ「いつも元気溌剌な貴女だから尚更ね。何かあったの?差し支えなければ教えてくれるかしら」

シャーリー「うー・・・なんつーか・・・」

ミーナ「言いにくい事?」

シャーリー「うーん・・・・・・えと、中佐が少佐に対して抱えてる悩みに近い、っていうか・・・いやそこまでのモンでもないんだけど」

ミーナ「あら」

50: 2012/03/04(日) 21:04:30.77 ID:L4ulvc3g0
ミーナ「なるほどね」

シャーリー「誰にも言わないでくれよ」

ミーナ「もちろんよ」

シャーリー「あんまり驚いてないね」

ミーナ「そうね・・・『ああ、やっぱり』ってところかしら」

シャーリー「うへぇ・・・で、どうしたらいいかな」

ミーナ「貴女はどうしたいの?」

シャーリー「それがわかったら悩んでないと思いますよ」

ミーナ「ふふ、それもそうかもね。貴女は一度決めたら一直線だもの」

シャーリー「まあ・・・くよくよ悩んでるなんて確かにあたしらしくないけどさ。キッカケもよくわからないんだ。変な話、昨日突然さ」

ミーナ「この場合、理由はあまり関係ないと思うけど」

シャーリー「けどなぁ。もやもやして気持ち悪いんだ」

ミーナ「時間が解決してくれるってこともあるわ。自分の気持ちと向き合うことが大切なんじゃないかしら」

シャーリー「自分の気持ちね・・・」

52: 2012/03/04(日) 21:09:54.62 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「結局何も解決策が浮かばないな・・・もう中佐の言う通りほとぼりが冷めるのを待つしかないかなぁ」

ルッキーニ「シャーリー・・・」

シャーリー「どしたルッキーニ・・・ああ、心配かけちまったかな。もう大丈夫だぞ、まだ本調子ってわけじゃあないけどさ」

ルッキーニ「ホント?」

シャーリー「ああ。・・・」

「・・・きろハルトマン!」

エーリカ「うぇ~あと120分~・・・」

バルクホルン「いいかげんにせんか!そう毎日ぐうたらしていていざというとき動けません、じゃ困るのだぞ!」

エーリカ「なんとかなってるからいいじゃぁん・・・」

バルクホルン「そういう問題ではない!大体お前にはカールスラント軍人としての気構えが足らんのだ!そもそも軍人というものは」

ルッキーニ「うぇ~また大尉怒ってる・・・毎日飽きないね、シャーリー」

シャーリー「・・・」

ルッキーニ「シャーリー?」

シャーリー「え?あ、ああ、そうだな。まったくハルトマンにも困ったもんだよなぁ」

ルッキーニ「?」

54: 2012/03/04(日) 21:16:47.75 ID:L4ulvc3g0
浴場

シャーリー「・・・」

シャーリー(あの時・・・なんだか凄く嫌な気持ちになった)

シャーリー(それが何なのか、わかってる。でも認めたくないんだ・・・仲間にそんな気持ちになるなんて)

サーニャ「大尉・・・?」

シャーリー「え?ああ・・・サーニャか」

サーニャ「やっぱり、お元気ないみたいですね・・・エイラも気にしていました」

シャーリー「ん・・・大したことないよ」

サーニャ「・・・不謹慎ですけど、ちょっぴり安心しました。いつも元気で強い大尉でも悩むことがあるんだなって」

シャーリー「はは・・・あたしはそんな強くないよ。強がってるだけさ」

シャーリー「・・・なぁ、サーニャ」

サーニャ「はい?」

シャーリー「もし、もしさ・・・エイラがサーニャ以外の奴と仲良くしてたらどうする?ていうか・・・どう思う?」

サーニャ「え・・・」

56: 2012/03/04(日) 21:25:22.67 ID:L4ulvc3g0
サーニャ「・・・スオムスの方には、エイラの友達がたくさん居るそうです。カタヤイネン曹長とか」

シャーリー「へぇ。あいつも故郷じゃ人望あるのかな」

サーニャ「エイラは面倒見がいいから・・・私に優しくしてくれるのだってそうです」

シャーリー(いや、サーニャに関してはどう考えても特別だと思うけどな・・・)

サーニャ「だからエイラが他の人と仲良くするのは、当たり前のことだと思います」

シャーリー「・・・うん」

サーニャ「・・・思います、けど・・・でもやっぱりちょっとだけ辛いです」

シャーリー「うん・・・」

サーニャ「他の人じゃない、自分を見て欲しいって・・・そんな風に思ってしまう自分が嫌で。エイラも、エイラの友達も何も悪くはないのに」

シャーリー「うん」

サーニャ「だけど、人を好きになるってそういうことだと思います。自分にとって特別なひとだから・・・うまく言えませんけど・・・」

シャーリー「ああ・・・こっちだって普通じゃいられなくなっちまうんだな。厄介なもんだ」

58: 2012/03/04(日) 21:29:57.21 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「ごめんなサーニャ、変な話につき合わせちまって。長風呂になっちまったな」

サーニャ「いいえ・・・大尉とお話できてよかったです」

シャーリー「こっちこそ、サーニャに話したおかげで楽になったよ。ありがとうな」

サーニャ「いえ・・・」

エイラ「あ―――――ッ!なんで大尉がサーニャと一緒なんダヨ!」

シャーリー「げ」

サーニャ「エイラ・・・大尉とはお風呂場で一緒になったのよ」

エイラ「うぅ~ワタシもサーニャと一緒に入りたかった・・・」

サーニャ「じゃあ明日入りましょ」

エイラ「うん」

シャーリー(エイラぐらいはっきりしてりゃラクなのかもな・・・)

60: 2012/03/04(日) 21:34:22.55 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・あ」

バルクホルン「・・・」

エーリカ「やっほ、シャーリー!今お風呂?」

シャーリー「ああ、今あがったとこ。お前らはこれからかい?」

エーリカ「そ、トゥルーデに訓練つき合わされちゃってさぁ・・・もう汗だくだよ」

バルクホルン「馬鹿者。軍人が訓練するのは当たり前だろう」

エーリカ「はいはーい」

バルクホルン「・・・で、リベリアン。その・・・」

シャーリー「え?」

バルクホルン「あ、いや・・・」

エーリカ「そうそう、シャーリー体調悪いんだって?大丈夫?」

シャーリー「ああ・・・大したことないよ。・・・あのさ、バルクホルン」

バルクホルン「ん?・・・」

シャーリー「あの・・・中佐に言ってくれたらしいじゃん。あたしが具合悪いって・・・ありがと」

バルクホルン「いや・・・」

65: 2012/03/04(日) 21:43:10.37 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「でもさぁお前、バイクで抜け出そうとしたことも報告したろ。一言余計だっつーの」

バルクホルン「なっ・・・不問にされただけありがたく思え」

シャーリー「はは、へいへい!以後気をつけますよ、大尉殿!」

エーリカ「シャーリー、少し元気になったみたいだね」

バルクホルン「ん・・・そう、だな」

シャーリー(ちょっと不自然だったか・・・ぎこちなかった、かな・・・)


数日後

ミーナ「昨日のネウロイ撃墜に伴い、本日は非番とします。そこで買出しをお願いしたいのですが――トゥルーデと、シャーリーさん」

バルクホルン「なっ」

シャーリー「えっ」

ミーナ「不服かしら?シャーリーさんにはいい気分転換になるかと思ったのだけど」

バルクホルン「しかし何故付き添いが私なんだ。それこそルッキーニや宮藤のが――」

ミーナ「宮藤さんはともかく、ルッキーニさんはお金を使い込んだ前例があるもの」

バルクホルン「・・・」

67: 2012/03/04(日) 21:52:50.49 ID:L4ulvc3g0
ミーナ「それから弾薬が少し心許なくなってきていてね、せっかくだしロマーニャに補給をお願いしたいの。トゥルーデが適任でしょう」

バルクホルン「まあ・・・そういうことなら」

エーリカ「シャーリー、トゥルーデに運転させちゃダメだよ。命がいくつあっても足りないから」

バルクホルン「どういう意味だ!ハルトマン!」

宮藤・リーネ(シャーリーさん/大尉も変わらない気が・・・)



ルッキーニ「ウジュー・・・アタシも行きたいよー」

シャーリー「はは、中佐に怒られたくなかったら今回は我慢な。おみやげ買ってきてやるから」

ルッキーニ「ホント!?絶対ね!」



シャーリー「・・・」ゴトゴト

バルクホルン「・・・」ガタガタ

シャーリー「・・・」ゴトゴト

バルクホルン「・・・」ガタガタ

バルクホルン(間が保たん・・・困った)

68: 2012/03/04(日) 21:59:19.02 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「リベリアン、体調のほうはどうだ」

シャーリー「ん、まぁボチボチ。昨日の出撃んときも問題なかったろ」

バルクホルン「まあ・・・な」

シャーリー「・・・」

バルクホルン「・・・予想に反して随分大人しい運転じゃないか。宮藤の話じゃ前は随分飛ばしてたようだが」

シャーリー「おや、規律に厳しいカールスラント軍人様はもっと飛ばして欲しいと?」

バルクホルン「馬鹿者、そういう意味で言ったんじゃない」

シャーリー「飛ばす気分じゃないんだ。たまにはこう、のーんびり走りたいときもあるのさ」

バルクホルン「ふん・・・」

シャーリー「・・・」チラ

バルクホルン「・・・」

シャーリー(ふたりきりで・・・こんな近くに・・・・・・・・・何考えてんだろあたし)

シャーリー(中佐め、変な気回しやがって・・・)

71: 2012/03/04(日) 22:04:50.78 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「・・・」

バルクホルン(話すなら・・・今しかないのかもしれん)

バルクホルン(しかし話してどうなる・・・余計に話がこじれるだけではないか?まして解決など――いやしかし――)

シャーリー「・・・」

バルクホルン(しかし・・・ここ数日こいつを苦しめたのは間違いなくあの薬のせいだ。私のせいだ・・・)

バルクホルン「・・・なあ、シャーリー」

シャーリー「えっ・・・」

バルクホルン「もしここ数日のお前の不調が私のせいだと言ったら――信じるか?」

シャーリー「はっ・・・?えっ?」

シャーリー(なんで・・・?気付いてるのか?それか中佐かエイラが口を滑らせたか――)

シャーリー「ど、どういう意味だよ。それ・・・?」

バルクホルン「いや・・・その、な・・・」モゴモゴ

シャーリー(あの堅物が歯切れが悪いなんて――やっぱり・・・)

73: 2012/03/04(日) 22:13:40.51 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・あんたのせいじゃないよ。なんであんたのせいになるのさ」

バルクホルン「えっ?」

シャーリー「あたしがひとりで空回りしてくよくよしてただけなんだ。あんたは何も悪くないよ」

バルクホルン「いや、それは――」

シャーリー「らしくないよな、本当。自分でも笑っちまうくらいカッコ悪いよ」

バルクホルン「・・・そんなことは」

シャーリー「挙句、嫉妬とかさ。もう自分が嫌になるよ。あたしこんな人間だったのかって」

バルクホルン「嫉妬・・・?」

シャーリー「中佐は時間が解決してくれるって言ってたけど・・・そんなの待ってらんないかもしれない。いっそエイラのが潔いしな」

バルクホルン「お、おいシャーリー。お前さっきから何を・・・?」

シャーリー「あたしさ、バルクホルン」

バルクホルン(・・・待て。ダメだ)

シャーリー「・・・あたしは」

バルクホルン(それは・・・偽りではないのかもしれないけど、薬が引き出したもので――)

シャーリー「あたし、あんたが好き、だ」

75: 2012/03/04(日) 22:20:24.21 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「ッ・・・」

シャーリー「・・・」

バルクホルン(先に言われてしまった―――)

バルクホルン(今更、言えるのか?『それは薬による感情だ』などと――)

バルクホルン「シャ、シャーリー・・・あのな・・・」

シャーリー「いや、いいよ。無理して返事なんて」

シャーリー「突然こんなこと言われても困るよな、ごめん」

バルクホルン「いや・・・」

シャーリー「自分勝手だけど・・・伝えられてスッキリしたよ」

バルクホルン(何を、言えばいい・・・?)

シャーリー「あんたはさ、故郷のこととか妹のこととかいろいろ考えなきゃいけないのに。ごめん」

バルクホルン「・・・謝るな」

シャーリー「だけど」

バルクホルン「お前だって・・・お前こそ、何も悪くないんだ。悪いのは、私だ・・・」

シャーリー「だから、なんでさ・・・」

79: 2012/03/04(日) 22:25:41.41 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「・・・」

シャーリー「・・・?」

バルクホルン「・・・覚えているか?一週間ほど前・・・お前が私からある飲み物を奪って飲んだことを」

シャーリー「ん、ああ・・・あれがどうかしたのか?」

バルクホルン「あれは、な・・・馬鹿げていると思われるかもしれないが――」

バルクホルン「惚れ薬、だったんだ」

シャーリー「・・・は?」

バルクホルン「・・・」

シャーリー「ホレ、グスリ・・・?」

バルクホルン「・・・ああ。俗に言うそれとは若干違ったようだが・・・」

シャーリー「俗にって・・・作り話でよくある、飲んだら相手のことを好きになっちまうっていう――」

バルクホルン「ああ・・・」

バルクホルン(ウルスラの見解は言う必要はない、か・・・私はこいつに軽蔑されて然るべきなのかもしれない)

シャーリー「・・・お前もらしくないな。そんなデタラメで誤魔化そうとしてるのか?」

82: 2012/03/04(日) 22:32:49.36 ID:L4ulvc3g0
バルクホルン「いや、デタラメではないんだ。ウルスラ――お前も知っているだろう、ジェットストライカーの開発者で、エーリカの妹の」

シャーリー「ッ・・・」

バルクホルン「彼女の実験過程で出来たというそれを私がいただいてな・・・その・・・試しに使ってみようかと思っていたんだが」

シャーリー「それをあたしが知らずに飲んじまったと」

バルクホルン「・・・ああ」

シャーリー「・・・嘘だ。ふざけるなよ」

バルクホルン「い、いや。嘘じゃない。現にお前は――」

シャーリー「あたしのこの気持ちが、まがい物だって言いたいのかよ!!」

バルクホルン「ッ・・・」

シャーリー「なんだよ・・・なんだよ、それ・・・」ポロポロ

バルクホルン「あ・・・」

シャーリー「絶対、違う・・・だって、あたしは・・・」

バルクホルン(泣いている―――あの快活で、恐れるものなどなにもないようなリベリアンが)

シャーリー「無茶ばっかするあんたが・・・きっと、あのときから・・・」

バルクホルン(私のために・・・?)

84: 2012/03/04(日) 22:38:46.13 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「薬なんか、関係ない・・・」

バルクホルン(私が・・・泣かせてしまった)

シャーリー「あたしは、あんたが」

バルクホルン「・・・」ギュッ

シャーリー「えっ・・・?」

バルクホルン「すまない・・・」

シャーリー「なんで・・・」

バルクホルン「本当に・・・すまない」

シャーリー「謝んなよ・・・意味わかんないよ・・・」

シャーリー(あのときと、逆だ・・・ジェットストライカーのときと・・・)

85: 2012/03/04(日) 22:44:02.59 ID:L4ulvc3g0
坂本「うまくやっているかな、ふたりは」

ミーナ「大丈夫でしょう、トゥルーデが付いているんだし」

坂本「いや・・・道中でケンカでもしてやしないかと思ってな」

ミーナ「それこそ大丈夫よ・・・あのふたりのケンカなんていつもじゃれあってるようなものでしょう?」

坂本「それもそうだな」

ミーナ(シャーリーさん、上手くやっているかしら)


夕方

ルッキーニ「おかえりーシャーリー!おみや・・・」

シャーリー「ああ、ただいまルッキーニ。やぁ疲れた疲れた」

ルッキーニ「シャーリー・・・なんか元気ない・・・?」

シャーリー「うん、街まで運転して疲れちまった・・・大尉殿は運転任せられないしさぁ」

バルクホルン「・・・」

シャーリー「あーもー腹ペコ。宮藤ー今日の晩飯なにー?」

ミーナ(あらら・・・?)

89: 2012/03/04(日) 22:50:59.65 ID:L4ulvc3g0
夕食

シャーリー「・・・」もくもく

バルクホルン「・・・」もくもく

ミーナ(絶対何かあったわね・・・)

エイラ(ケンカしてるときのワタシとサーニャもあんな感じなのカナ)

シャーリー「ごちそうさん。今日はもう寝よーっと、おやすみー」ガタ

ルッキーニ「シャーリー・・・なんかヘン・・・」

バルクホルン「・・・」

92: 2012/03/04(日) 22:57:31.63 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「ふう・・・」ドサッ

シャーリー「薬、かあ・・・」


―――ウルスラによると、お前が飲んだあの薬は、ある種の感情を高める効能があったらしい

―――だからお前が私に抱いてくれた気持ちは・・・真なのだろうが

―――薬によって引き出されたものであるということも否めないのだ

―――だから・・・お前を悩ませ苦しめたのは、私だ

―――謝って片付くような話ではないのはわかっている

―――だが、謝る以外にお前に何を言えばいいのかわからないのだ

―――ただ

―――お前の気持ちを・・・私は嬉しく思う

―――それだけは嘘じゃない


シャーリー「・・・どうしろっつの」

94: 2012/03/04(日) 23:05:38.62 ID:L4ulvc3g0
ウルスラ「お疲れ様です、大尉」

バルクホルン「ウルスラ?どうしたのだ」

ウルスラ「今日は私用で。その後、いかがです?例の薬の件」

バルクホルン「ああ・・・あれは・・・」

ウルスラ「まだ解決していないようですね。実は今日、あの薬を抑える、薬を持ってきたんです」

バルクホルン「なんだと!?」

ウルスラ「501が人間関係のもつれで機能しなくなったりしたら困ります。・・・ジェットストライカーの件でもご迷惑をおかけしましたし」

ウルスラ「当事者の方とお話できますか?誓って口外はしません」

バルクホルン「あ、ああ」


シャーリー「あれ・・・君は」

ウルスラ「ご無沙汰しています、イェーガー大尉」

バルクホルン「少しいいか」

シャーリー「・・・ああ」

96: 2012/03/04(日) 23:12:29.07 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・バルクホルンの言ってた事は、本当だって言うんだな」

ウルスラ「はい」

シャーリー「で・・・解毒剤みたいなものがあるって」

ウルスラ「はい。ただ・・・感情を抑える効能がどの程度まで作用するのかはっきりとは申し上げられないんです」

バルクホルン「というと?」

ウルスラ「かいつまんで言えば、イェーガー大尉のバルクホルン大尉への感情が――惚れ薬を摂取する前より小さくなったり、消えてしまうことも考えられます」

シャーリー「・・・!」

バルクホルン「・・・」

ウルスラ「もう少しお時間をいただければ、その辺りも改善できるかもしれませんが」

シャーリー「いや、いいよ。その薬をくれ」

バルクホルン「・・・リベリアン」

シャーリー「もうさ、くたびれちまった。これで治まるんなら願ったりだ」

バルクホルン「・・・そう、か。そうだな」

ウルスラ「こちらですが・・・よろしいのですか」

シャーリー「ああ」

97: 2012/03/04(日) 23:17:41.53 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・そういやさ、前に飲んだあの薬、すっげぇマズかったんだ。これもマズいのかな」

ウルスラ「良薬口に苦しと言いますし」

シャーリー「食堂で砂糖でも入れて飲もうかな・・・効果に影響あったりする?」

ウルスラ「問題ないと思いますが」

シャーリー「じゃ、行ってくる。・・・バルクホルン」

バルクホルン「ん・・・」

シャーリー「・・・あたしさ、あんたを好きになれてよかった」

バルクホルン「・・・」

シャーリー「この一週間くらいさ、ガラにもなく色々悩んだけど・・・楽しかったよ」

バルクホルン「・・・私は」

シャーリー「じゃ、行くわ」


バルクホルン「・・・ダメだな、私は」

ウルスラ「?」

バルクホルン「あいつにかけるべき言葉が見つからない」

98: 2012/03/04(日) 23:21:17.22 ID:L4ulvc3g0
シャーリー「・・・」

宮藤「あれ、シャーリーさん。それ、飲まずに捨てちゃうんですか?」

シャーリー「ああ。クソ不味いからな」

宮藤「へえ・・・でももったいないな。ちょっと飲んでみていいですか?」

シャーリー「ダメダメ。お子さまには早いの」

宮藤「ううう」

シャーリー「・・・」

シャーリー(悪いな、バルクホルン。嘘ついて)

シャーリー(このくらいのわがままは、許されるよな)

104: 2012/03/04(日) 23:32:14.11 ID:L4ulvc3g0
それから数日後――あたしの「気持ち」は落ち着いた

ウルスラの薬は飲まなかった。とすると、例の惚れ薬の効果が切れたんじゃないかと思う

でも「気持ち」は消えたわけじゃない

それはひょっとしたら――あたしが「消えて欲しくない」と願ったからかもしれない


バルクホルン「こらぁリベリアン!貴様いつになったら大尉の自覚を持つんだ!?未だに新兵のような気持ちでは困るのだ!」

シャーリー「へっへぇーんだ。501の誇る大尉殿がお怒りだぞー!こえぇー!」

ルッキーニ「怖いー♪逃っげろー!」

バルクホルン「貴様も大尉だろうが!」

ペリーヌ「毎日毎日飽きもせず・・・にぎやかな方々ですこと」

ミーナ「雨降って地固まるってことかしら。ふふふ」



いつかまた・・・今度は薬なんか関係なく、伝える時が来るんだろうか?

来ないかもしれない。あたしとあいつの関係は、今のままが一番いいのかもしれない

でも、もしそのときが来たら

今度は笑顔で伝えたいと思う。

105: 2012/03/04(日) 23:33:26.73 ID:L4ulvc3g0
おわり

107: 2012/03/04(日) 23:36:33.03 ID:pnFKfMDA0
乙!
ええわ

108: 2012/03/04(日) 23:37:16.39 ID:CO8mlEmW0
すごく…良かったです…

引用元: バルクホルン「惚れ薬・・・?」