1: 2014/12/05(金) 00:12:19.60 ID:dESjfAlGa.net
男「でも、もう昼ご飯作っちまったよ」

狐娘「イヤじゃイヤじゃ! お揚げのたっぷり入ったおうどんがいいのじゃー!」ジタバタ

男「美味しいと思うんだけどなあ……この、いなり寿司」

狐娘「むっ?」ピクッ

男「椎茸と昆布でダシとったから、オマエも問題なく食べられるし」

狐娘「むむ?」ピクピクッ

男「人参とゴボウと大豆と椎茸と湯葉の精進五目めしを、ふっくら煮た油揚げで包んだ自信作なんだが」

狐娘「の、のう、男よ」モジモジ

男「なんだ?」

狐娘「子供は何人欲しい?」

男「なんの話しだっけ?」
江戸前エルフ(6) (少年マガジンエッジコミックス)

11: 2014/12/05(金) 00:19:40.77 ID:dESjfAlGa.net
男「……」サラサラ

狐娘「……」カキカキ

男「……」サラサラリ

狐娘「むぅ……飽きた」ポイッ

男「こら、真面目に書きなさい」

狐娘「何の意味がある。お守りなんぞただの紙じゃろ」

男「たかが紙、されど紙。ここに1万円札があるだろ?」

狐娘「うむ」

男「お守り書き終わったら、これで角の店のきつねうど」

狐娘「男よ何をしておる。手が止まっとるぞ」カリカリカリ

12: 2014/12/05(金) 00:24:17.43 ID:dESjfAlGa.net
狐娘「〜♪」つるつる

男「本当にきつねうどんが好きだよな」

狐娘「まあ、神に使えるから、生臭が食えんからの」ちゅるるる〜

男「肉の代わりに油揚げを食べるようになったんだろ?」

狐娘「うむ。そこらの子供が唐揚げやハンバーグを好むようなもんじゃな」つるつる

男「だがその量は……つまりもともと食いしんぼ……」

狐娘「あ、店員よ、すまんがきつねの大盛りをあと2つ追加な」

男「諭吉さんで足りる……か?」

狐娘「〜♪」ちゅるるるるるー

14: 2014/12/05(金) 00:28:39.65 ID:dESjfAlGa.net
男「おい」

狐娘「なんじゃ?」

男「冷蔵庫に入れておいた油揚げが消えてるんだが」

狐娘「知らんな」

男「しょうゆとみりんで煮た、ふっくら美味しい油揚げだったんだが」

狐娘「知らんな」

男「……傷んでたから捨てようと思ってたんだが」

狐娘「なるほど、腹痛の原因はそれか」

17: 2014/12/05(金) 00:35:00.56 ID:dESjfAlGa.net
男「神職の日課」

狐娘「うむ」

男「起きたら朝風呂。朝のお勤めをする前に身体を清めます」ざばっ

狐娘「うむうむ」

男「石けんなどは匂いのない物を選びます」しゃかしゃか

狐娘「良い心がけじゃな。さて、わしの尻尾も頼むぞ」

男「同僚の尻尾を洗うのは業務に含まれないと思うんだが?」

狐娘「恋人なら?」

男「せいぜい娘だな」わしわし

18: 2014/12/05(金) 00:39:09.60 ID:dESjfAlGa.net
男「みみかきぐらい自分でやれよ」

狐娘「人と違ってひだが細かいからの、自分でするのは難しいんじゃ」

男「まあ、見れば分かるけどな……」くみくみ

狐娘「ん……っふ……」

男「なまめかしい声を出すな」くりくり

狐娘「あはぁ……男のMEN棒が、わしのやわらかな毛に囲まれた敏感な穴をかき回してぇ……」

男「耳にしょうゆ入れるぞ?」

狐娘「すみませんでした」

19: 2014/12/05(金) 00:42:05.90 ID:dESjfAlGa.net
狐娘「活躍したい」

男「また、ワケ分からんことを」

狐娘「こう、紫色のいかにもわるそーな雰囲気をまとったバケモノを、お札で一刀両断したい」

男「無茶を言うな」

狐娘「こうみえてわし、けっこう強いんじゃよ?」

男「ゴキブリに追いかけられてたのに?」

狐娘「あれはノーカンじゃ」

21: 2014/12/05(金) 00:45:29.72 ID:dESjfAlGa.net
狐娘「そもそも、狐だから油揚げが好きだろうというのは、ステレオタイプで相手を判断しすぎとる!」

男「まあ、そうかもな」

狐娘「タンパク質やミネラルが豊富で、肉と比べてカ口リーも低く、栄養満点でしかも美味しいからと言って、狐がみな油揚げを好きだと言い切れるか? いや、言いきれんじゃろ!」

男「そうだな。それじゃあ今晩の油揚げは無しということで」

狐娘「それとこれとは話が別じゃ!」

23: 2014/12/05(金) 00:50:00.34 ID:dESjfAlGa.net
男「くっ……気をつけろ、敵の気配がするぞ」

狐娘「右から小さいのが3,左からでかいのが1……くるぞ!」

キシャー! ウゲロバア!

男「ぐわっ!? 畜生、こいつらつええ!」

狐娘「何をしておる男! はやくリペアキットを! ああっ!?」

ギャアアァァ キャアアァァ……

GAME OVER

男「……さて、昼飯にするか」

狐娘「おうどんがいいのぅ」

25: 2014/12/05(金) 00:57:02.33 ID:dESjfAlGa.net
狐娘「おかえりなさいませご主人様だコン! お席にご案内しますコン!」

男「何をしている」

狐娘「げぶはぁ!? 男! どうやってここを知った!?」

男「そこらで噂になってんだよ、このメイド喫茶で本物のきつねさんが働いてるってな! 帰るぞこのバカ!」

狐娘「し、しかしな、おかしな料金も取らん優良店じゃし、キッチンには調理人も居て、美味い料理を出すまっとうな店なんじゃよ?」

男「時給も良いみたいだな……まかないは?」

狐娘「精進いなり寿司食べ放題」

男「完璧だな」

26: 2014/12/05(金) 01:00:11.14 ID:dESjfAlGa.net
狐娘「顔も良い、髪もなかなか、博識で、処Oで、見た目若くて、まあ性格も悪くはないじゃろ」

男「自分で言うか。まあ、否定はせんが」

狐娘「なのになんで縁談が無い!」

男「食い意地じゃないか?」

狐娘「……」ハッ

男「『そこか』みたいな顔するな」

28: 2014/12/05(金) 01:05:05.96 ID:dESjfAlGa.net
男「あー 寒い。指先がかじかむな。おまえの尻尾、あったかそうだよな」

狐娘「触るなよ?」

男「いいだろ少しくらい」

狐娘「毛をかき分けて触られると、ぞぞっとするんじゃ」

男「どれどれ」わさこん

狐娘「うっきゃう!?」ぞぞぞっ

男「うはー……あったけえ……」わっしわっし

狐娘「あ、ふぁ……」ピクピク

男「……どうした?」

狐娘「慣れた」

男「そうか」

33: 2014/12/05(金) 01:10:43.73 ID:dESjfAlGa.net
男「創作料理はどうだ?」

狐娘「うーん、たしかに新食感じゃが……油揚げの中身はなんじゃ?」

男「うどんと炊き込みごはんをまぜたものを詰めてみました」

狐娘「双方の良いところを消し合っておるな。うどんの喉ごしを飯が消し、飯のほぐれ具合をうどんがノリのようにくっついてしまっておる」

男「そうか、じゃあこれは下げるぞ。残りは俺が食べる」

狐娘「いや、このままで良い。おぬしが作ってくれたんじゃから、食べさせてくれ」

男「おまえ……」

狐娘「ふふ」モグモグ

男「つまり油揚げなら何だって良いんだろ」

狐娘「ばれたか」

36: 2014/12/05(金) 01:15:04.55 ID:dESjfAlGa.net
(´ー`)ノ 寝るよ お付き合いありがとう。

引用元: 狐娘「うどんがいいのじゃ! おーうーどーんー!」