1: 2011/10/07(金) 12:50:30.96 ID:UAo1+et50
セイバー「例え如何様な論理を振りかざそうとも、今日の夕食がすき焼きであるという運命からは免れません」

綺礼「……」

セイバー「確かに貴方と私はそれぞれが麻婆とすき焼きとで意見を争わせ、終始そちらが有利に進んでいた事は認めましょう」

綺礼「……」

セイバー「けれど貴方には強制力というものを持ち合わせていなかった。令呪も暴力も持ち合わせていない者に、垂れる頭なぞありません」

ランサー「さてVIPでもやるか……」(知り合いのはらぺこ王が脳筋過ぎてバロスwwwwwwwwwwwwwっと……)
Fate/stay night [Heaven's Feel](10) (角川コミックス・エース)

2: 2011/10/07(金) 13:00:36.20 ID:b2CUlooE0
綺礼「確かに貴様の言はもっともだ」

ランサー(糞へたれwwwwww)

セイバー「当然です。私はいつも正しい」

綺礼「だが私が問わねばならないと考えたのは、指し当たってセイバーの事でもなければ夕餉の件についてでもない」

セイバー「はい?」

ランサー(はいじゃないが……っと)

綺礼「貴様の事だ。ランサー」



ランサー「はい?」

6: 2011/10/07(金) 13:06:32.79 ID:b2CUlooE0
ランサー「なんだよ。藪から棒に……」

綺礼「私はこの件については当事者であり、少々特殊な事情を抱えている身でもある」

ランサー「ふむん」

綺礼「よって私は事態の進展を望んでいる者の一人だ。だからこそ、問わねばなるまい」

ランサー(槍兵としての勘が告げている……)

綺礼「貴様はサーヴァントとしての籍を、カレン・オルテンシアとバゼット・フラガ・マクレミッツの、いったいどちらに入れるのかを……」

ランサー(少なくともこいつは事態の好転なんて、一片の興味もない!)

12: 2011/10/07(金) 13:10:50.95 ID:b2CUlooE0
ガラッ!


カレン「そこまでです。この腐れ神父」
バゼット「興味深いテーマですね。続きを」

セイバー(ランサーは今、分水嶺に立たされている。彼はさながらウェルフィンの様に、至極の一言が思いつくのでしょうか)

16: 2011/10/07(金) 13:16:07.86 ID:b2CUlooE0
カレン「最初に明らかにしておきましょう。ランサーの帰属に関する問題は、一切存在しません」

バゼット「カレン、貴方という人は……」

カレン「事実です。それともバゼットには、過去マスターだった以外に何か一つでも、ランサーとの繋がりがあるのですか? 仮にあったとしても、現行のマスターであるという私の実効的な支配を覆せるとは思いませんが」

バゼット「ぐぬぬ……」

カレン「ふふ……」

23: 2011/10/07(金) 13:24:53.75 ID:b2CUlooE0
セイバー(カレン……今の貴方はまるで敗北が知りたいとでも言いたいかのような、そんな顔をしていますね--------)

綺礼「確かにそこの腐れ修道女の論理は正しいところがある」

カレン「……何が言いたいのですか? 血吸いダニ神父」

セイバー(--------けれど貴方は大きな見落としには気付けなかった。いや、それは正しい表現ではありません--------)

綺礼「ランサーは元々バゼットが召喚したものの、私に奪われた。その後、何の因果かそこのメンヘラ女の手へと渡った。ここまでの一連の流れに何か異存はあるか」

25: 2011/10/07(金) 13:31:38.97 ID:b2CUlooE0
「「「……」」」

セイバー(--------カレンも人の子であるということ、そしてにわかには信じられませんが-------)

綺礼「だがここに新たな事実をつけ加えねばならない。ランサーのマスター権のおよそ半分が、未だ私の手中にあるという点だ」

ランサー「なん……だと……」

セイバー(--------コトミネも人の親であるというただそれだけの、シンプルな構図なのだと)

バゼット「えーと、つまり?」

綺礼「私がバゼットに対しマスター権を譲渡すれば、バゼットと外道シスターの両者は少なくとも聖杯からの見地では、同等になるという訳だ」

カレン「ぐぬぬ……」

26: 2011/10/07(金) 13:37:08.60 ID:b2CUlooE0
セイバー(カレンがランサーに対して執着するというのは、結局のところ彼女が生来から持っている天邪鬼な部分から由来するのではありません)

バゼット「えーと、だから?」

綺礼「"カレン"によるランサーの一極支配から、バゼットを加えた二極支配への移行を意味するものだ」

セイバー(言ってみればそれは--------肉親との繋がりを希求する彼女の-------本当の素顔ではなかったか--------)

カレン「み、みとめません!」

バゼット「……はい?」

セイバー(びっくりしました……。とめどない妄想に、偶然とはいえレスポンスがあるとは思いませんでした。それに対してバゼットの巡りの悪さは、もはや形容のしようもありません)


27: 2011/10/07(金) 13:43:02.57 ID:b2CUlooE0
セイバー(ひとまずは解散させるべきでしょう)

セイバー「バゼット、貴方はそろそろハローワークとやらの戦地に赴かねばならないのではありませんか?」

バゼット「よくご存知ですね……。それでは皆さん、また後ほど」

セイバー「カレン、貴方が余り長居をしてはギルガメッシュが留守番の任を放棄するかもしれませんよ?」

カレン「そ、そのとおりです。わたしはきょうかいのつとめがあるのでしつれいします」

セイバー「……?」

ランサー(wwwカレンのやつ言峰に名前を呼ばれただけでwwwwwwお父さんが大好きなんですねwwwわかりますwwww)

29: 2011/10/07(金) 13:49:15.81 ID:b2CUlooE0
・・・



セイバー「そろそろ凛が現れる刻限ですね……」

綺礼「問わねばならない……」

セイバー「またですか……」

セイバー「確かに凛はこれから私たちに昼食をご馳走する為に、ここを訪問します」

綺礼「……」

セイバー「加えて彼女の持ち味が中華であるという点も、私は十分考慮しています」

綺礼「……」

セイバー「それでも尚、麻婆はいけない。これは約束された運命、ディスティニーなのです」

ランサー(DestinywwwwwwwちょっとFATE売ってくるwwwwww)

30: 2011/10/07(金) 13:55:14.80 ID:t7LSe2VB0
綺礼「確かに私は凛に麻婆を調理するように働きかけるつもりだったが……」

セイバー「コトミネ、貴方は間違っている。料理人に対する折衝はもちろん、この家では食事に関する全ての権限が私に集中しています。貴方の行為は徒に混乱を招くだけだ」

綺礼「私からセイバーに何か助言を与えるとすれば、それは厨二病をこれ以上こじらせるなという事だ」

セイバー「はい」

ランサー(はいじゃないが)

31: 2011/10/07(金) 14:02:58.86 ID:t7LSe2VB0
綺礼「凛への問いは昼食とは関係がない。これだ」ペラッ

セイバー「何ですかその、可愛らしい紙きれは?」

綺礼「手紙だ。幼い頃のあれが私宛にしたためたものだ」

ランサー「へえ。興味深いじゃねえか、読み上げろよ」(口リ凛kskkskkskskskskskkskksk)

セイバー「ふふ、きっと当時の彼女は知っている限りの、コトミネへの罵詈雑言で埋め尽くしたに決まっています」

綺礼「コホン、では読み上げよう……」

32: 2011/10/07(金) 14:13:35.67 ID:t7LSe2VB0

綺礼「大好きな綺礼へ
いつもいつも素直になれなくてごめんさい
このあいだも本当は抱きつきたかったのに
気が付けば蹴り飛ばした挙句にあっかんべをしてしまいました
このままでは大好きな綺礼に嫌われてしまうので
素直になれるようにと願って手紙を書きます
きっと綺礼に見せる勇気は持てないだろうけど
後になって振り返って
大事な、大きな一歩になっていれば良いな

ふふ、今日は綺礼の好物って聞いた麻婆の練習をしよう
だって大好きなひとに料理を食べて貰うのは
女の子の喜びの一つだって、お母様が言っていたもの
遠坂凛より」

34: 2011/10/07(金) 14:15:55.33 ID:t7LSe2VB0
セイバー「え」
ランサー「え」


ガラッ


凛「きてあげたわよー」




37: 2011/10/07(金) 14:23:56.85 ID:f2mjg3Ez0
凛「あら、やっぱりあんた達も居たのね……」

綺礼「ふむ。どうやら予想済みだったようだな」

凛「だって、特に綺礼はいつも居るじゃない。ちょっとは遠慮したらどうなのよ?」

綺礼「そう邪険にするな。傷付くだろう」

凛「最近のあんたは口を開けば嘘ばっかりね……。セイバー、台所を借りるわよー」

セイバー「え、ええ……どうぞ」

40: 2011/10/07(金) 14:31:54.48 ID:f2mjg3Ez0
セイバー「凛……、今日は何を作ってくれるのですか? 私は----」



凛「うーん、麻婆にしよっか♪ 丁度ひき肉が特売だったのよねー♪」



セイバー「----(言える訳がない。オムライスが食べたいなどと……)」
ランサー(……どうしてこんなになるまで放って置いたんだ! 畜生!!)

綺礼「麻婆か。それは重畳だ」

凛「別にあんたの為に作るんじゃないんだからね! セイバーのついでよ!! 心のオカラよ!!!」

ランサー(もういい……! もう…… 休めっ……! 休めっ……! 遠坂凛っ……!)

42: 2011/10/07(金) 14:38:40.92 ID:f2mjg3Ez0
セイバー「ふむふむこくこく、やはりリンの中華料理は本当に美味しい」

ランサー「そうだな……胸が詰まるくらいに……美味いぜ……」

凛「三点リーダーなんて多用して喋ってないで、さっさと食べないよね。中華は冷えたらホント、食えたもんじゃないんだから」

綺礼「……はぐはぐ、むが……凛、よくぞここまで功夫を積んだな……はふっはふっ……」

凛「なによ、もっとゆっくり言いなさいよ。減るもんでもスピード競技でもないでしょ」

セイバー(つっこみはしないでおきましょう)
ランサー(どう見てもダウトだろ……常識的に考えて……)

43: 2011/10/07(金) 14:45:08.80 ID:f2mjg3Ez0
綺礼「ところで凛、ものは相談なのだが」

凛「何よ、金は貸さないわよ」

セイバー(リン……同情はできません……)

綺礼「そう気張るな。実はかつて世話をしていた童女から、便箋が届いてな。しかし生憎、私はこの手の機微に疎い。だから一度キミに、朗読をして欲しいと思った次第だ」

凛「あちゃー、その娘はまた随分と趣味が悪いのね。将来が心配になるわ……っと、どれどれ」

ランサー(嬢ちゃん……無茶しやがって……)

44: 2011/10/07(金) 14:53:20.11 ID:hDAVIQzK0
凛「大好きな綺礼へ
いつもいつも素直になれなくてごめんさい
このあいだも本当は抱きつきたかったのに
気が付けば蹴り飛ばした挙句にあっかんべをしてしまいました
このままでは大好きな綺礼に嫌われてしまうので
素直になれるようにと願って手紙を書きます
きっと綺礼に見せる勇気は持てないだろうけど
後になって振り返って
大事な、大きな一歩になっていれば良いな

ふふ、今日は綺礼の好物って聞いた麻婆の練習をしよう
だって大好きなひとに料理を食べて貰うのは
女の子の喜びの一つだって、お母様が言っていたもの
遠……坂……凛……より……くぁwせdrftgyふじこ

46: 2011/10/07(金) 15:02:12.51 ID:D+MMwLBQ0
セイバー「あの……リン……」

ランサー「すげーな、最後の一行までは抑揚たっぷりに読み上げてたぜ。うっかりもここまでやれば立派なもんだ」


ガラッ


凛「綺礼の、ばかーーーーーーーーーーーーーーっ!」

ランサー(やつを追う前に言っておくッ!)



綺礼・セイバー・ランサー「終わりだ」「終わりです」「終わりだな」

49: 2011/10/07(金) 15:07:43.48 ID:D+MMwLBQ0
勢いに任せて書いた。
反省してます。
てかなんでIDが頻繁に変わるんだろ……

36: 2011/10/07(金) 14:22:51.31 ID:R1cQExZ80
たまげたなぁ

引用元: 綺礼「問わねばならない……」セイバー「不服そうですね、コトミネ」