1: 1935/01/11(日) 21:59:45.11 ID:E+rkSFyy0.net
-40年前-

オギャー…… オギャー…… オギャー……

女医「木村さん、産まれましたよ!
   元気な女の子です!」

女医「さぁ、抱いてあげてください」

母「ああ……ヨシエ……ヨシエ……」ギュ

母「ゴメンね、ゴメンね……私の所に産まれてしまって……可哀想な子……」ナデナデ

ヨシエ「オアン、オアン、オアアン!!」

4: 1935/01/11(日) 22:04:15.55 ID:E+rkSFyy0.net
-25年前-

ヨシエ「~♪」キュッキュ、フキフキ

上司「ヨシエちゃん、今日はもう上がっていいわよ」

ヨシエ「え、店長、まだ定時までは1時間以上も……」

上司「大丈夫よ、お給料は定時分まで出すから。お母さんの手術の日でしょう?
  会いに言ってあげなさいって。この時間は私一人でも大丈夫だし」

ヨシエ「……! すいません、本当にありがとうございます……。
  お言葉に甘えて、お先に失礼します……」ペコリ

上司(……可哀相ね…)

上司(母子家庭で、学校出たらすぐに働いて、お母さんが病気になって……。
  お母さんの病気、よくなればいいけど……)

7: 1935/01/11(日) 22:08:46.82 ID:E+rkSFyy0.net
-20年前-

ヨシエ「ほら、お墓の中のお婆ちゃんにこんにちわ、私は元気ですって。
   挨拶してあげなさい」

幼女「おんにちわ、あたちはゲンキです!」

ヨシエ「フフ……」ヨシヨシ

ヨシエ(大丈夫だからね、お母さん。夫に逃げられた程度、どって事ないわよ。
   お母さんだって、一人で私を育ててくれたんだから)

ヨシエ(この娘も、私が立派に……!)

9: 1935/01/11(日) 22:16:30.08 ID:E+rkSFyy0.net
-3年前-
某森林

少女「静かでいい所だね、お母さん。ちょっと時間がかかったけど、来て良かった~」ノビノビ

ヨシエ「都会だと、こういう綺麗な空気は吸えないわよ。
   今のうちに吸っときなさい、いくら吸っても無料なんだから♪」

少女「うん、じゃお弁当ここで食べよっか。丁度お昼時になったしね」

ヨシエ「そうね。じゃあここにシートを敷きましょう」

ヨシエ(夫に逃げられてから十何年……色々と苦労はしたけど、
   この娘のためならばたいした事じゃなかった)

ヨシエ(この娘は、本当にいい娘に育ってくれて……)

ヨシエ(神様、どうか娘にだけは、幸せな未来を……)

…ガサガサ

???「」ジー

???「」ニヤリ

10: 1935/01/11(日) 22:21:48.82 ID:E+rkSFyy0.net
─────────────

殺人犯「はぁ、はぁ、はぁ……」

娘「イヤだ、放して、放してよぉ!」ジタバタジタバタ

殺人犯「吉田千佳ちゃん、だよね? いくら叫んでも、誰も来てくれないよぉw」ケラケラ

娘「怖い、お母さん、助けて! お母さぁん!!」

ヨシエ「」ドクドクドク………

イヤ、ハナシテ、ハナシテェ ウッ……グゥゥゥ……

ウッ、、、クビシメルト、イイカオスルネェ……

ヨシエ「」

ヨシエ(呪ってやる……)

みんな呪ってやる……

11: 1935/01/11(日) 22:25:19.03 ID:E+rkSFyy0.net
-2年前-
某森林

女性「…………」ドクドクドク

殺人鬼「よーし、これで10人目の大台達成! どんどん記録が伸びてくぞーw」

殺人鬼「コレは倉庫に置いといて……」ガチャ

バタン

殺人鬼「っと」

12: 1935/01/11(日) 22:28:27.93 ID:E+rkSFyy0.net
殺人鬼「さーて、今回の戦利品は女物のコート!
    あ、有名なブランドもんじゃん、あの女いいもん着やがって!
    蓮×そっくりな顔のくせに!」

殺人鬼「これは森の何処に飾ろうかなー、と」

殺人鬼(この森に訪れた奴、そいつの遺品をこの森に設置すると……
   なんだかこの森を征服した気になるけど……やっぱ俺っておかしーよなぁ)

殺人鬼(ま、いっかw)

15: 1935/01/11(日) 22:31:10.31 ID:E+rkSFyy0.net
殺人鬼「さーて、今日はもう寝て、また獲物が来るのを……」

~♪

殺人鬼「ん……何か聞こえたか」クルッ

シーン

殺人鬼「……?」

殺人鬼「気のせいか」クルッ

ヨシエ「…………」ニタァリ

殺人鬼「……へ?」

16: 1935/01/11(日) 22:31:58.07 ID:E+rkSFyy0.net
.




ぎゃああああああああアアアアアアアアア




.

17: 1935/01/11(日) 22:35:25.93 ID:E+rkSFyy0.net
殺人鬼「ふぁ、ふぁべべぐへえ、ふぁぶへえ!」

殺人鬼は「やめてくれ、助けて」と言いたかったのだが声にならない。
何故なら殺人鬼の口は頬まで引き裂かれているからだ。
遠目には笑っているように見えるかもしれない。

ヨシエ「…ガリっ、ゴリッ」ジュルジュル

殺人鬼「びゃあああああああああああ」

かつてはヨシエだった白い顔は、殺人鬼の生皮を生きたまま器用に剥いでいく。
全身の血も吸われ、殺人鬼の身体は激痛と共に真っ白になっていた。

18: 1935/01/11(日) 22:38:18.07 ID:E+rkSFyy0.net
殺人鬼「ふぁ、ふぁぶべ!」

一瞬だけ口が離れたのを見計らい、殺人鬼は気力を振り絞って駆け出した。
後ろからヨシエが追ってくる気配がする。
このままでは逃げられない。

殺人鬼(迷路……迷路……)

激痛と恐怖で圧迫された脳に、一つの思考が閃いた。
そうだ、あの迷路ならば、あの化け物をまけるかもしれない、と。
殺人鬼は最後の力を振り絞って、迷路へと向かった。

20: 1935/01/11(日) 22:42:09.58 ID:E+rkSFyy0.net
どこをどう逃げたか、分からない。
ただ殺人鬼は、極限の恐怖に身を震わせて迷路の奥深くで蹲っていた。

殺人鬼(畜生、痛ぇ……痛ぇよぉ……)

真っ白になってしまった身体を抱えながら、ヨシエが自分を探している事を感じ取り、そのまま動けなくなる。



彼の肉体は迷路の入口でヨシエに丸呑みにされており、
今の自分は幽霊だという事に気付くのは、それから数日後のことだった。

21: 1935/01/11(日) 22:45:41.71 ID:E+rkSFyy0.net
-1年前-

男「いかん、迷った」

男(我ながら天性レベルの方向音痴がイヤになる……)

男(こんな調子じゃ、ホテルに着く頃には真夜中だな)

男「バイクの燃料は……余裕あり。急がないと」

22: 1935/01/11(日) 22:49:20.77 ID:E+rkSFyy0.net
男「確か、こっちは近道だけど……恐怖の森。白い顔が追っかけてくるホラースポットだってw」

男「……信じないぞ、うん。信じない」ゾ~

男「絶対に信じないけど、ここは通らないで、安全な道を行こう」バルルルル

男「君子、ホラー映画みたいな氏亡フラグは立てないのだよ」ブオオオオオオン

24: 1935/01/11(日) 22:52:04.54 ID:E+rkSFyy0.net
ブオオオオオオオオ───────

男「……なんか、どんどん道が険しくなってるような」

男「なんか、噂に聞いたホラースポットと同じような風景が周りに広がっているような……」

男「気のせいだよな、うん」


天性の方向音痴
安全な道のつもりで、どんどんホラースポットへ一直線なう

25: 1935/01/11(日) 22:57:01.85 ID:E+rkSFyy0.net
キキーーーーーッ

男「もう一回地図で確認しよ」ピラッ

男「えーっと……暗くて読めない。懐中電灯が確か……あった」カチッ

男「……地図を読んでも分からない。 ここ、何処?」ザッ

26: 1935/01/11(日) 22:59:02.65 ID:E+rkSFyy0.net
男「まいったなー、何か目印になるようなものは……」テクテクテク

男「看板の一つも無い、か」

~♪

男「……ん?」

~♪

男「……何か聞こえた?」

27: 1935/01/11(日) 23:02:13.73 ID:E+rkSFyy0.net
ドン

男「うわっ」 少女「きゃあ」

男「いたた……」

少女「ご、ごめんなさい! あ、早く逃げて!」タッタッタ

男「あ、ちょっと君……」

~♪

男「ん、すごくイヤな予感……」クルッ

ヨシエ「にぃぃ」ズモモモモモ

男「え?え?え?」

29: 1935/01/11(日) 23:04:05.68 ID:E+rkSFyy0.net
男「ど、ど、ど……」パクパクパク

少女「早く、こっち、こっちです!」

男「どわあああああああああああああ!!」ダダダダダ

少女「振り向かないで走って!」

31: 1935/01/11(日) 23:08:14.18 ID:E+rkSFyy0.net
バタンッ ガチャリ!

男「はぁ、はぁ、はぁ……」

男(少女に誘われるがまま、階段を上り、橋を渡り、小屋に逃げた……)

男「な、何なんだよ……アレ……」ゼェゼェ

少女「もう大丈夫です、お母さんは扉を開けられませんから……」

男「まぁ顔だけじゃあな……」ふぅ

男「…………。おい君、『お母さん』つった?」

少女「…………はい」

33: 1935/01/11(日) 23:10:50.36 ID:E+rkSFyy0.net
男「随分とかわったお母さんだな。アレか、産まれる時は口からデロンって感じで?」

少女「違うんです。お母さんは……昔は違ったんです」

男「どゆこと?」

36: 1935/01/11(日) 23:17:00.87 ID:E+rkSFyy0.net
少女……吉田から聞いた話は、ひどく荒唐無稽な物だった。

吉田と、あの巨大な顔……ヨシエは親子である事。

吉田とヨシエは、この森で凶悪な殺人鬼に殺されたという事。

ヨシエはその時の憎悪から悪霊と化して、森の訪れた人間を無差別に襲うようになった。

吉田は氏後も理性を保っている事。

もはや見境が完全に無くなったヨシエは、幽霊と化した我が娘ですら危害を加えるようになった事……

38: 1935/01/11(日) 23:21:38.33 ID:E+rkSFyy0.net
男「…………」ポカン

吉田「信じられないのは分かります……でも、本当の事なんです」

男「まぁ、信じるしかねぇよな。実際にあんな物見ちまったんだし」

男「実際お前、触ろうとしてもすり抜けるしな」スカッスカッ

吉田「…………」

男「でもな、何で君は理性を保ったままでいられたんだ?
  同じような殺され方したんだろ」

吉田「分かりません……ただ氏んだ時、お母さんが氏んで哀しい哀しいって気持ちでいっぱいで……
   本当に分からないんです」

39: 1935/01/11(日) 23:24:51.77 ID:E+rkSFyy0.net
男「まぁいいや、とりあえずここから逃げよう」

吉田「いえ、私は」

男「大丈夫だって、俺のバイクは二人くらいなら乗れるし。
  氏んでるとは言え、君だってこんな所いたくないだろ」

吉田「ごめんなさい……」

吉田「…………私は、残ります」

吉田「お母さんを一人置いていくなんて、できません……」

41: 1935/01/11(日) 23:27:49.11 ID:E+rkSFyy0.net
男「!? 何言ってんだ、もうアイツは完全にただの化け物で──」

吉田「わかっていますっ!」

吉田「それでも、離れるなんて、できないんです……」

吉田「今日は失敗しましたけど、いつか私の言葉に耳を傾けてくれるんじゃないかって……」

吉田「いつか昔の、優しいお母さんに戻ってくれるんじゃないかって……」

男「吉田……」

男「分かった」

42: 1935/01/11(日) 23:30:56.07 ID:E+rkSFyy0.net
男「じゃあ、俺一人で逃げるぜ」

吉田「…………」コクン

男「戻ったら、お坊さんでも雇って、また戻ってくる」

男「高い金払っても、また優しいお母さんに戻してくれるような奴を探してくるぜ」

吉田「!」

47: 1935/01/11(日) 23:34:42.56 ID:E+rkSFyy0.net
吉田「本当に、本当に……?」

男「もちろん本当だとも。それと
  懐中電灯、ここに置いておく。電池1個しかないから大事に使えよ」

吉田「で、でもそれじゃ、おじさんが」

男「大丈夫だって、目だけは結構いいから」

男「じゃ、必ず戻ってくるから。待っててな」コソッ

男(よし、あの白い顔はいないな)キョロキョロ

50: 1935/01/11(日) 23:39:21.41 ID:E+rkSFyy0.net
吉田「おじさん」

男「ん?」

男「おじさんじゃない、『須藤レン』だ」

吉田「須藤さん、本当に、本当にありがとうございます」ペコリ

吉田「どうか、気を付けて……」スゥ

須藤「…………」


瞬きをした時には、吉田は消えていた。
須藤は急いでバイクへと向かう。

53: 1935/01/11(日) 23:44:12.75 ID:E+rkSFyy0.net
…………………

須藤「おい、ウソだろ……」

バイクの残骸「」氏ーん……

須藤「タイヤが抜かれてる、
   スパークプラグも、
   ガスもやられた!」

須藤(どうなってんだ……コレもあの白い顔が……?)

須藤(いや、アレにそんな器用な真似ができるとは思えない)



須藤(きっと、他に……何かが……居る……!?)

ふぃふぃふぃふぃふぃ

須藤「!!」クルッ

殺人鬼「ふぃふぃふぃ」

56: 1935/01/11(日) 23:47:03.90 ID:E+rkSFyy0.net
須藤「おい、お前が持ってるの! 俺のバイクのタイヤだ、返せ!!」

殺人鬼「wwwwwwww」タッタッタッタ

須藤「ま、待て!」

殺人鬼「」サッ

須藤(あの白いの、変な建物に入っていった!)

58: 1935/01/11(日) 23:50:27.09 ID:E+rkSFyy0.net
須藤「畜生……他の部品も、アイツの仕業か……!!」

須藤(中を見てみると、迷路のような構造になってやがる)

須藤(モタモタしてる時間は無いっつーに)

須藤「とにかく、急いで取りかえ───」

~♪

須藤「す暇はない! 徒歩で下山!!」

61: 1935/01/11(日) 23:52:53.80 ID:E+rkSFyy0.net
───────

ヨシエ「…………」ニタニタ スウウウウウウ

須藤「……はー、……はー……」ダダダダダダダ

須藤「美術部のぉ、持久力をぉ、舐めんな……」ゼイゼイ

須藤(確か、道、こっちで、あってたよな……?)

62: 1935/01/11(日) 23:56:44.08 ID:E+rkSFyy0.net
須藤(安全第一なんて看板、あったっけ……)タッタッタッタ

須藤(あんな倉庫、あった……?)ゼイゼイ

ヨシエ「…………」ニタニタ

須藤「道……間違え、た……!!」ハァハァ

65: 2015/01/12(月) 00:00:11.64 ID:rflEHqKx0.net
須藤「倉庫に、避難……!」

ガチャ、バタン!!

須藤「カヒュー……カヒュー……」

須藤「ケホ……ケホ……」

ヨシエ「…………」バンッ

須藤「!!」ビクッ

ヨシエ「…………」金網にズリズリズリズリ

須藤「……頭悪いみたいだな、お前」

67: 2015/01/12(月) 00:05:04.32 ID:rflEHqKx0.net
須藤(あのバカが引っかかってる方とは反対に、もう一つ扉があるな……)

須藤(よし、あそこから逃げて……下山して、助けを……)ガチャ



須藤「は、ははは……」


須藤の目の前に広がったのは、巨大な地割れ……。
この恐怖の舞台と、安全な世界を完全に分断する崖だった。

68: 2015/01/12(月) 00:08:31.46 ID:rflEHqKx0.net
須藤「ほ、ほんの10メートルちょいだな……。
  カール・ルイスより1メートル長く飛べばいい、助走無しでな」

須藤(…………)アハハハハ


乾いた笑いを響かせながら、須藤は倉庫に戻る。
扉をしっかりと閉めて、鍵もかけた。

69: 2015/01/12(月) 00:11:34.96 ID:rflEHqKx0.net
ヨシエ「…………」ニタニタ

向かい側の扉の前では、ヨシエが相変わらず顔を倉庫の金網にこすり付けながら、
スライド移動している。
須藤にはもはやそれがバカにされてるようにしか見えない。
しかし、腹も立たなかった。

須藤(いや、諦めるな)

須藤(吉田とも約束したんだ、最後まであきらめん)

ヨシエ(…………)ニタニタニタ

70: 2015/01/12(月) 00:13:30.43 ID:rflEHqKx0.net
須藤(あのデカい顔だって、いつかは諦めるかもしれない……
  案外、朝になったら消えるかもしれない)

須藤(いなくなった時を見計らって、逃げよう。
  そして下山して、助けを呼ぶ……)

須藤(よし、少し予定は狂ったが、問題はない……
   俺は絶対にこんな所では氏なない)

71: 2015/01/12(月) 00:15:24.39 ID:rflEHqKx0.net
-355日前-
~♪

ヨシエ「…………」ニターリ ズリズリズリズリ

須藤「やっぱり、扉を開ける脳味噌は無いみたいだな……」

須藤(だが、昼になっても消えなかった。これは長期戦になるかもな……)

72: 2015/01/12(月) 00:18:09.38 ID:rflEHqKx0.net
-354日前-
~♪

ヨシエ「…………」ニヤニヤ

須藤(喉が……乾く……腹減ったな……)

須藤(三日目だぜ、しつこいんだよ怪物め……)

須藤(目が、霞むな……少し、寝よう……)

須藤(吉田の奴、待ちくたびれてるだろうなぁ……)

74: 2015/01/12(月) 00:23:15.87 ID:rflEHqKx0.net
-353日前-
~♪

ヨシエ「…………」ニタニタ

須藤(何度探してみても、食える物は何もない……)ガサガサ

須藤(この木箱、食べたら美味いかなぁ?)ボー

須藤(ああ、有機物だからきっと食えるな)ガツッ

ガツガツガツ ゴクン

須藤「うっぷ……」

須藤「げ、げぇ……うげええええええええ」

ヨシエ(ニヤニヤ)

75: 2015/01/12(月) 00:25:33.78 ID:rflEHqKx0.net
-352日前-

ネズミ「……チュー?」

須藤(…………)

ネズミ「…………」トコトコ

須藤()クワッ!!!

ガシッ

ネズミ「ジュッ!!?」

ガツガツガツムシャムシャムシャ

須藤(美味い……)

76: 2015/01/12(月) 00:28:02.14 ID:rflEHqKx0.net
-351日前-

須藤(親父とお袋は……心配してるだろーな……)

須藤(そーいや、吉田と、約束したんだった……)

須藤(やぶっちゃったな……)

須藤(眼が、殆ど、見えない……)

須藤(なんか、最近、音も聞こえなく、なって、きた……)

須藤(みず、ひとくち、だけで、も……)

須藤(み、ず……)

77: 2015/01/12(月) 00:30:28.28 ID:rflEHqKx0.net
-???日前-

須藤(ヤバかったが、腹ペコと喉カラカラはなぜか大分治った)

須藤(意識もハッキリしている、よし。だが眼と耳が殆ど聞こえねーな……
  脱出するのに苦労しそうだ)

須藤(何はともあれ、俺様大分復活っと)

須藤(だが、油断してはいけない事がある)

78: 2015/01/12(月) 00:33:10.10 ID:rflEHqKx0.net
須藤(あのデカい顔の事だ……)

須藤(アイツ、本当にしつこく入口で粘っていたからな。
  眼が見えない以上、ヘタに出て殺り合ったらこっちが食われる)

須藤(だが、この倉庫だったら……眼が見えなくても木箱の一つ一つまで、
 金網の錆一つの位置まで完全に把握している)

須藤(あの真っ白ブサイクがこっちに乗り込んできた所を、
  叩いてやる!)

79: 2015/01/12(月) 00:35:12.40 ID:rflEHqKx0.net
ガチャ、ガチャ

ほんのわずかに、音が聞こえた。

ガチャ、ガチャ……

何かが、扉を開けようとしている音。

ガチャン、キィィ……

ヨシエの奴が、ついにやってきた!
よし、殺られる前に殺ってやる、返り討ちだ!

須藤は雄叫びを挙げて、音がした方へと襲い掛かる。

80: 2015/01/12(月) 00:38:05.73 ID:rflEHqKx0.net
須藤「キィイイイイイイイイイイ!!!」ダッダッダッダッダ

吉田「ひゃあ!?」

ガチャ、バタン!!

須藤「キィィィィィィィィィイイイイ」

ガシッ ガチャガシャガシャガシャ

吉田「あ……あ……」ガタガタ ヘタリ

81: 2015/01/12(月) 00:39:46.52 ID:rflEHqKx0.net
キィィィィィィイイイイイイイ!!!

ガチャガチャガチャガチャ

吉田「……須藤さん……須藤さん……」

吉田「ごめんなさい……ごめんなさい……」グスッ


.

82: 2015/01/12(月) 00:43:48.91 ID:rflEHqKx0.net
-昨日-

内田「こりゃ、間に合わねーぞ」グビグビ

内田(予約していたホテルはまだ遠いし、何とかなんねーかな……)スマフォいじいじ

内田「あ、何だ。近道があるんじゃねーか」

内田「これなら『何もなけりゃ』今日中にはホテルに着くな」ブオンブオン

内田「さて、行くとしますか」

ブオオオオオオン

84: 2015/01/12(月) 00:45:18.10 ID:rflEHqKx0.net
-今日-




            さぁ、こっちにおいで





                       終わり

85: 2015/01/12(月) 00:47:35.04 ID:rflEHqKx0.net
アップデート前の「恐怖の森」にて、
敵キャラの過去を妄想したらこんなのが産まれた

アップデートで全然違う事が分かったけど、
まぁいいかと思った


見てくれた奴サンクス

86: 2015/01/12(月) 00:54:48.88 ID:9y22+Ls70.net
おつ

87: 2015/01/12(月) 00:58:12.48 ID:PwBD3kMsp.net
おつ

引用元: 男「恐怖の森? 白い顔が追っかけてくるホラースポットだってw?」