1: 2013/01/27(日) 17:16:26.16 ID:bm+a+d9R0
P「ぎゃ、ぎゃれんさんですか……ははは……」

朔也「おっと、すまない。そっちはあだ名みたいなものだな」

P「え?」

朔也「朔也。橘朔也だ」

P「あぁ……そうなんですか。変わったあだ名ですね……」

朔也「気にしないでくれ」

P「えぇ、わかりました」

P(……ありすの兄だからてっきり本名かと思ったが、違うんだな)
5: 2013/01/27(日) 17:21:20.56 ID:bm+a+d9R0
P「それで、いったいどうしてこんなところに?」

朔也「実はありすが家に弁当を忘れてな。ほら」

P「……な、なるほど……?」

朔也「俺としてはやっぱりたくさん食べて大きく育って欲しいんだ。栄養もまんてんだぞ!」

P「そ、それはすごいですね……ははは……」

朔也「まぁ、そういうわけでありすに会いたいんだが」

P「わかりました……少々お待ちください」

朔也「ああ、頼んだ」

P(ちょっと変わった人だな……ありす、お兄さんなんていたのか……)

6: 2013/01/27(日) 17:24:16.43 ID:bm+a+d9R0


P「ありす、ちょっといいか?」

ありす「……名前で呼ばないでください。なんですか?」

P「す、すまん。実はお前のお兄さんがな……」

ありす「兄さんが……?」

P「うん。お弁当を忘れたから届けに来たらしいんだ」

ありす「……そうですか」

P「どうした?」

ありす「いえ、大丈夫です……はぁ。今行きますから」

P「そ、そうか……」

9: 2013/01/27(日) 17:30:25.29 ID:bm+a+d9R0
P「お待たせしました」

朔也「ありす! まったく、お前もドジだなぁ」

ありす「……兄さん。なんで来たんですか?」

朔也「お前が弁当を忘れてたからな。届けに来たぞj!」

ありす「そうですか……別に、こっちで勝手に食べるから平気ですよ」

朔也「そうはいかん! 俺が必氏に考えたこの弁当のバランスはすごいんだぞ!」

ありす「……いりません」

朔也「ほら、もずくもある! 赤いスパゲッティもだ!」

ありす「いらないって言ってるんです!」ベシッ

  ガンッ からから…

ありす「……あっ」

朔也「うわぁぁぁぁ! 弁当が!」

11: 2013/01/27(日) 17:36:33.82 ID:bm+a+d9R0
ありす「……あ、明日からもいらないですから」

朔也「俺の弁当が……ボロボロに……」

P「あ、ありす……」

ありす「名前で呼ばないでください……もういいですよね。レッスンに戻りますから」

P「お、おい!」

朔也「うおぉぉぉ……ありすぅぅぅ……」

P(う、ほうっておくわけにはいかないか。しかし弁当箱をひっくり返されただけでずいぶんショックをうけて……)

朔也「……なぁ、キミはありすをプロデュースしてくれているんだよな」

P「え? は、はい。そうですけれど……」

朔也「少し詳しく話を聞かせてくれないか」

P「ちょ、ちょっと待ってください。急に言われても……」

16: 2013/01/27(日) 17:42:28.83 ID:bm+a+d9R0
――――

――

P「……はぁ、2人暮らしなんですね」

朔也「俺が面倒を見てきたんだ……ありすは本当にしっかりした子でな……」

P(捕まった……帰りたい……)

朔也「だが、最近は様子がおかしい」

P「そうなんですか……」

朔也「あぁ。昔はとてもなついてくれていて……遊んでくれとねだってきたんだが、最近はあの調子だ」

P「まぁ……もう、中学生ですしね……」

朔也「……ありす……」シュン…

P(め、目に見えて落ち込んでる……子供かこの人は……)

朔也「……すまない、昼食がまだなんだが何か食ってもいいかな?」

P「あー、じゃあ……社員食堂がそこなのでどうぞ。飯ぐらいなら……」

朔也「恩に着る」

22: 2013/01/27(日) 17:47:13.90 ID:bm+a+d9R0
朔也「じゃあこのエースランチを」

P「はい、じゃあ俺も……っと」ピッ

朔也「……それで、ありすのことなんだが」

P「まぁ、難しい年頃の女の子ですから……仕事に対してはきちんと真面目に取り組んでくれてますし」

朔也「そう……か……」

P「あまり干渉しすぎるのもよくないんじゃないでしょうか? その、距離感って難しいですけれど」

朔也「距離……距離か!」

P「え? どうしたんですか?」

朔也「なぁ、しばらく俺にここの仕事を見学させてくれないか! 手伝いもするぞ!」

P「は、はぁ?」

27: 2013/01/27(日) 17:51:40.60 ID:bm+a+d9R0
朔也「思うに、最近は俺も忙しくてありすのことをかまってやれなかったからな」

P「いや、あの」

朔也「大丈夫だ、最近はアンデッドの活動もおとなしい」

P「あ、あんでっど?」

朔也「おっと、気にしなくてもいい。どうだ? これでも腕には自信がある」

P「急に言われても……その……」

朔也「邪魔しない。約束する」

P「一存では決めかねますし……」

朔也「……そうか……」

P「熱意は伝わりましたから、こちらで少しそうだんをしてからまた連絡を……」

朔也「……」モグモグ

ちひろ「その必要はありません!」

P「ち、ちひろさん!?」

30: 2013/01/27(日) 18:00:06.96 ID:bm+a+d9R0
ちひろ「ふふっ、妹さん思いのいいお兄さんじゃありませんか!」

朔也「この人は……?」

P「うちの事務員……兼謎の人物、ちひろさんです」

ちひろ「うふふっ♪ ありすちゃんとの距離、なかなか縮まらずに困ってましたよね。プロデューサーさん?」

P「……そうですけれど」

ちひろ「えーっと、橘朔也さん。元BOARD研究員で間違いありませんか?」

朔也「どこでそれを!?」

ちひろ「ちょっとした情報網がありまして」

朔也「……最近の芸能事務所はすごいんだな」モグモグ

P「たぶんちひろさんはイレギュラーだと思いますけど……」

ちひろ「ありがとうございます。それで、妹さんのことは大切ですか?」

朔也「あぁ、何よりも大切だ。俺にとって、宝なんだ」

ちひろ「なるほど、素敵ですね」

朔也「俺の手元に残っているものなんて、ほとんどない。だから守りたいんだ……ありすは、残った最後の家族だからな」

P(……この人は、悪い人じゃないんだろうな。少しばかり、熱意がからまわりしてるだけで)

31: 2013/01/27(日) 18:05:17.27 ID:bm+a+d9R0
ちひろ「……いいでしょう!」

朔也「?」

P「えっ?」

ちひろ「私が話をつけておきます! お手伝い、お願いできますか?」

朔也「いいのか?」

ちひろ「はい! とっても面白……素敵な気持ちをお持ちのようなので!」

P(この人、今あきらかに面白そうって言いかけたよな)

朔也「本当か!? ありがとう!」

P(うわぁ、いい笑顔してる……)

ちひろ「ふふっ、とりあえずどんなお仕事かきちんと……」

朔也「ちょっと待ってくれ」

ちひろ「……なんですか? 私についての質問なら――」

朔也「……おかわり、いいかな?」

ちひろ「あ、あはは。どうぞ……」

P「い、いつの間に……」

34: 2013/01/27(日) 18:09:09.44 ID:bm+a+d9R0
朔也「ふぅ、食った食った」

P(結局3杯もおかわりを……すごいな)

朔也「よし。これからキミは俺の先輩だな、いろいろといたらないこともあるだろうが頼む」

P「は、はい。よろしくお願いします」

ちひろ「指導はプロデューサーさん、あなたがお願いしますね♪」

P「え? ちょっと!」

朔也「いろいろとすまないな、ありがとう」

P「……あー。まぁ、俺の担当は3人なんですけれど……」

朔也「ふむふむ……」

35: 2013/01/27(日) 18:15:20.22 ID:bm+a+d9R0
ありす「まったく……」

桃華「どうなさりましたの? 橘さん」

ありす「いえ、少し頭が痛くて」

莉嘉「たいへんだぁ! 大丈夫?」

ありす「大したことはないです……まったく、もう。兄さんは……」

莉嘉「お兄ちゃん?」

ありす「気にしないでください。レッスン、再開しましょう」

桃華「無理はいけませんわよ? 体調が悪いのならば、早退することも考えなくては……」

ありす「家に帰るとますますひどくなりそうですから、結構です」


56: 2013/01/27(日) 19:00:37.34 ID:bm+a+d9R0
ありす「いち、にっ、さん……むぅ」

莉嘉「ダイジョーブ? やっぱり調子悪そうだけど……」

ありす「大丈夫です。振り切るためにも、もっとレッスンに集中……」

 ガチャッ

ありす「あっ、遅かったですね。プロデュー、さ……」

P「……えーっと」

朔也「ありす!」

桃華「どちら様ですの……?」

莉嘉「わー! ひょっとして新しいプロデューサーの人? それともアイドルとか!」

ありす「」

59: 2013/01/27(日) 19:06:58.51 ID:bm+a+d9R0
P「――というわけで、俺たちについてくれることになった補佐の橘朔也さんだ」

朔也「俺は橘、プロデューサーだ。よろしく」

莉嘉「たちばな、ってことは……ひょっとしてお兄さん!」

桃華「まぁ、橘さんのお兄様ですの?」

ありす「……」

朔也「あぁ、俺はありすの兄として……ありす?」

ありす「……ちょっと頭が痛いんです」

朔也「なんだと!? まさかアンデッドの毒に!」

莉嘉「あんでっどってなぁに?」

桃華「さぁ、よくわかりませんけれど……」

ありす「平気です。兄さんのおかげですから」

朔也「そ、そうか。無理はするな」

ありす「……」

P(あぁ、わかってないなこの人……)

61: 2013/01/27(日) 19:13:35.52 ID:bm+a+d9R0
莉嘉「へぇー、ありすちゃんのお兄さん、カッコイイかも?」

ありす「欲しいならあげます。あと、橘です」

莉嘉「えーっ! 家族は大切にしなきゃダメなんだよ! アタシだってお姉ちゃんのこと大好きだし!」

ありす「……城ヶ崎さんのお姉さんはいい人ですから、うらやましいです」

莉嘉「むぅー、そういうことかなー?」

桃華「まぁまぁ、それよりも……補佐ということは、私たちのお手伝いをしてくださるんですわよね?」

朔也「あぁ、任せろ! 特訓や訓練なら、科学者としてきちんと監修できるはずだ」

莉嘉「すっごーい! ガクシャさんなの?」

朔也「あえていうなら研究職かな」

桃華「……監修って科学と関係あったかしら……?」

ありす「……櫻井さんはごまかされないでくださいね」

62: 2013/01/27(日) 19:20:13.40 ID:bm+a+d9R0
P「今日のところは、レッスンだけだから顔見せ程度かな」

ありす「……まぁ、なんでもいいです。再開しましょう」

桃華「そうですわね……それでは、ごらんあれ!」

莉嘉「アタシ達のこと、教えてアゲルっ☆」

 ~~♪  ~~~♪ ~♪ ~♪

朔也「……ほう」

P「この3人が俺の担当している子たちです」

朔也「なるほど、ありすはユニットメンバーなんだな」

P「そろそろテレビ露出もできるかと……あの、お嬢様みたいな雰囲気の子が櫻井桃華です」

朔也「桃華……」

P「家のしがらみを抜け出てアイドルを志願。……いや、俺がスカウトしたんですけれどね? 年不相応なぐらい落ち着いてしっかりしてます」

64: 2013/01/27(日) 19:26:06.06 ID:bm+a+d9R0
朔也「……」

P「それで、あのギャル風の女の子が城ヶ崎莉嘉」

朔也「莉嘉……」

P「あの子はお姉ちゃんもアイドルをしていますね。後を追う形でこの業界に入ってきました」

朔也「同じユニットじゃないのか?」

P「お姉さんはすでに売れていますから。だからこそ、別のものとして隣に立ちたいって本人も望んでます」

朔也「なるほど……しっかりしている」

P「はい。みんな上を目指す気持ちは一緒です……それから、橘ありす」

朔也「ありす……」

P「アイドル自体には興味がなかったみたいなんですけれど……将来のことを考えてのステップとして、デビューを望みました」

朔也「……」

P「あの、橘さん?」

朔也「あぁ、大丈夫だ……わかった」

67: 2013/01/27(日) 19:34:36.86 ID:bm+a+d9R0
P「そうですか? それからなんですが……」

 ~~♪ ~♪ ~~カチッ

朔也「すまない、ちょっといいか」

莉嘉「わ、っとっと……急に音楽止めてどうしたの?」

朔也「いや、見ていて思ったことが少しあってな」

桃華「思ったこと、ですか?」

朔也「あぁ。ひょっとしてありすの調子が悪いのが影響するのかもしれないが……なぜありすがセンターなんだ?」

ありす「っ……」

P「あの、橘さん」

朔也「今のままだと、2人に比べて頼りない気がする。よければ俺が……」

ありす「兄さんは黙っててください!」

莉嘉「あ、ありすちゃん……」

桃華「橘さん……?」

68: 2013/01/27(日) 19:41:35.78 ID:bm+a+d9R0
ありす「勝手に事務所まで来たと思ったら仕事の手伝いだなんて……でしゃばりすぎです」

朔也「ありす、俺は……」

ありす「……知りません。帰ります」

朔也「待てありす!」

ありす「ついてこないで!」

朔也「あ……」

 ガチャッ……バタンッ

P「お、おい! ……すまん、追いかけてくる」

莉嘉「う、うん」

桃華「わかりましたわ。こちらは大丈夫ですから」

P「あぁ」

70: 2013/01/27(日) 19:45:30.59 ID:bm+a+d9R0
朔也「……・俺は」

莉嘉「ねぇねぇ、ありすちゃんのお兄ちゃん!」

朔也「あぁ……どうしたんだ?」

莉嘉「あのね、最近ありすちゃんケッコー悩んでたんだよ?」

朔也「そうだったのか?」

莉嘉「うん! おうちではそんな風に見えなかった?」

朔也「家……家、か」

桃華「……その様子では、まともに帰ってすらいなかったのではありませんくて?」

朔也「……入院や、仕事の都合で、確かに減っていた……かもしれないな……」

桃華「まったく、レディの扱いがなっておりませんわ」

朔也「すまない……」

71: 2013/01/27(日) 19:51:25.78 ID:bm+a+d9R0
桃華「謝るべきはわたくし達に対して、ですか?」

朔也「……そうだな、俺がすべきことはそうじゃない」

莉嘉「わぁ、桃華ちゃんカッコいい!」

桃華「正しき道を示すもまた、ノブレス・オブリージュ……高貴たるものの義務ですわ」

朔也「ありすのことは、しっかり向き合うよ。キミは本当にしっかりした子だ」

桃華「うふふ、ありがとうございます」

朔也「だが、レッスン中少し気になったことがあるんだ……いいか?」

桃華「まぁ、なんでしょう?」

朔也「ここのくだりなんだが……」

桃華「その部分は立ち位置が変わって難しいですわね」

朔也「個人的には後ろから回った方がいいと思うんだが、どうだろう?」

桃華「そういう考え方もありかもしれませんわね。ですが、その場合は次の動きが問題になりませんこと?」

朔也「そこは……こう……」クルッ…シュタッ

桃華「ま、まぁ……」

朔也「ん、どうしたんだ?」

73: 2013/01/27(日) 19:58:57.57 ID:bm+a+d9R0
桃華「今の動き、どうやってなさいましたの?」

朔也「何、ちょっとひねってだな……」

莉嘉「スゴーい! バク宙とかもできるの?」

朔也「できないことはないな。こう……」

    バッ
         スタッ

朔也「こんな感じか」

桃華「……素晴らしいですわね。何か訓練でも?」

朔也「訓練か……まぁ、確かにいろいろとしたが。キミたちにもできることとなると……」

莉嘉「わわわ、ヒミツの特訓? ちょっとカッコいいかも……」

朔也「……ありすには、笑われたんだがな。帰ってきたら、やってみようか」

桃華「今、あなたがいけばきっと話がこじれてしまいますわ。 Pちゃまを信じてくださいまし」

朔也「わかった……待とう。ありすと、キミたちのプロデューサーを」

76: 2013/01/27(日) 20:05:52.23 ID:bm+a+d9R0
――――

――

P「ありす! ありーす!」

ありす「名前を呼びながらついてこないでください!」

P「待ってくれ、ありす。お兄さんだって悪気があったわけじゃ……」

ありす「……何がわかるっていうんですか!」

P「あ、ありす?」

ありす「最近はなんだか忙しいって、家をすぐ留守にして……たまに、帰ってきたと思ったら……」

ありす「恋人だった、小夜子さんが亡くなったって……なのにお葬式の、最後までいないで、抜け出して……」

P「……」

ありす「他にも、帰ってきたと思ったら入院してたり、ちゃんと帰ってきても寝てるばっかりで!」

ありす「なのに、あんなふうに、わかったみたいに文句を言われて……腹が立たないわけ、ないじゃないですか!」

P「ありす……」

P(目がうるんでる。泣きそう……いや、少し泣いていたのか?)

77: 2013/01/27(日) 20:12:02.13 ID:bm+a+d9R0
ありす「名前で呼ばないでください……」

P「ありす、お兄さんのこと……嫌いなのか?」

ありす「嫌いです。名前で呼ばれるのも、兄さんも、大嫌いです」

P「……そうか」

ありす「帰ってこない兄さんのことなんて、知りません。私は1人でも大丈夫です」

P「なぁ、ありす」

ありす「だから名前で呼ばないでください」

P「お兄さんな、やっと時間が取れそうだからここで働くって言い出したんだぞ?」

ありす「……え?」

84: 2013/01/27(日) 20:20:54.77 ID:bm+a+d9R0
P「何があったかなんて、わからない。だけど、きっと大変なことがいっぱいあったんだと思う」

ありす「……それで、ほうっておいて、暇になったから構うんですか。勝手です。大人って、卑怯です」

P「そうだな、大人はズルい。だけど……ちょっと話をしただけだけどさ、お兄さんは悪い人じゃないと思うな」

ありす「なんで、そんなことが言えるんですか」

P「俺、人を見る目は確かだからな」

ありす「……」

P「それに、何よりも……ありすのお兄さんだろ? だったら、間違いないはずだ」

ありす「……ふふっ、なんですか、それ」

P「だって、お兄さんはありすのことが好きみたいだしなぁ。ありすだってお兄さんのこと、好きだろ?」

ありす「……知りません。根拠は何ですか、証拠を出してください」

P「ははは……ごめんな。許してあげてくれ」

ありす「本当、大人ってズルいですね……男の人が、ズルいのかな?」

86: 2013/01/27(日) 20:26:28.91 ID:bm+a+d9R0
――――

――

 ガチャッ…

P「ただいま」

桃華「お帰りなさいませ、Pちゃま……あら?」

莉嘉「ねぇねぇPくん、ありすちゃんは?」

朔也「どうしたんだ、いったい! まさか……」

P「……ありす、ほら」

ありす「……」

朔也「よ、よかった。無事だったんだな! すまない、さっきは俺が思いやりが足りなかった」

ありす「……兄さん」

朔也「どうした? ひょっとして頭痛がひどくなったか!? もしそうなら、そうだな。救急車は……119番って何番だ?」

ありす「落ち着いてください、恥ずかしいじゃないですか。……怒ってませんから」

朔也「本当か……?」

88: 2013/01/27(日) 20:31:27.72 ID:bm+a+d9R0
ありす「だけど、1つだけ聞かせてください」

朔也「あぁ、なんでも聞いてくれ!」

ありす「……今まで、私に内緒で何をしていたんですか?」

朔也「それは……」

ありす「……」

朔也「……研究員として、働いて……いや、違うな」

朔也「俺は……そう、俺は……」

ありす「……そこから先は、今は話せないんですね」

朔也「……すまない」

ありす「いいです。言ってくれようとしただけでも、嬉しいですから」

93: 2013/01/27(日) 20:40:39.50 ID:bm+a+d9R0
朔也「ありす……」

ありす「本当に、昔から兄さんは隠し事が下手なんですから」

朔也「ありすにはいつも見破られていたからな……だけど、これは教えられないことなんだ」

ありす「そうですか……でも、嘘はつきませんよね?」

朔也「あぁ、大丈夫だ。俺の戦いは……ひと段落ついて、もうすぐきっと終わる」

ありす「プロデューサーをするのって、大変ですよ?」

朔也「ちゃんと先輩の言うことは聞くさ。ありすが信じている相手なら大丈夫だろう」

P「お、俺ですか?」

朔也「当然じゃないか。ありすは人に騙されないタイプだしな」

ありす「……兄さんは、私が見てないとすぐ詐欺とかにひっかかりそうですから」

朔也「そんなことはない! 俺だって、そう簡単には騙されないさ」

ありす「……プロデューサーはどう思います? 兄さんは騙されにくいタイプだと思いますか?」

P「え? いや……えーっと……」

朔也「見ての通りだ。そうだろう?」

P「……あはは、そうですね」

96: 2013/01/27(日) 20:44:53.31 ID:bm+a+d9R0
桃華「うふふっ、どうやら一件落着のようですわね?」

P「も、桃華?」

莉嘉「よかったねありすちゃん! お兄さんと仲直りできて!」

ありす「名前で……」

朔也「ありす、俺も橘なんだが……」

ありす「……仕方ないですね」

莉嘉「えっへへ~☆ あーりすちゃん♪」

ありす「なんですか?」

莉嘉「呼んだだけ! これからはお兄ちゃんと一緒にいるときは名前で呼んでいいんだよねー?」

ありす「……兄さんがいる時だけですよ」

桃華「うふふ、つまり事務所にいる間は平気ということですわよね……ありすさん?」

ありす「桃華さんまで……もうっ」

99: 2013/01/27(日) 20:51:37.94 ID:bm+a+d9R0
P「あぁ、仲良くなれたみたいでよかった……」

莉嘉「お兄さんもなかなかイケてるよね! ぐっじょーぶ!」

朔也「ありがとう!」

桃華「ところでお兄様? 先ほどのことなのですけれど……」

ありす「さっきのことって、なんですか?」

朔也「あぁ、ありすのことを俺が追いかけたら逆効果だって止められてな」

ありす「……まぁ、さっきのままだったら話もしたくなかったと思います」

P「あ、ありす……」

朔也「やはりそうか……それで、俺もいろいろと聞かせてもらったんだ。そのお礼に少しレッスンをな」

P「レッスンですって? 大丈夫だったんですか?」

莉嘉「あのねPくん! すっごいんだよ! 足とかぶわーってあがるし、動きはもうプロのダンサーの人よりもかも!」

桃華「えぇ、素直に感心してしまいましたわ。それで訓練方法についてうかがっておりましたの」

ありす「……そうなんですか」

朔也「少し照れくさいな」

100: 2013/01/27(日) 20:58:38.70 ID:bm+a+d9R0
P「へぇ……すごいですね。いったいどんな風に?」

莉嘉「それはありすちゃんが帰ってきてからのヒミツって言われちゃってねー」

桃華「Pちゃまでしたら、きちんとお話をしてくださると思っておりましたから……ありすさんも、帰ってきてくれると、ね」

ありす「……なるほど、だいたいわかりました。ご迷惑をおかけしましたね」

桃華「いえいえ。一度傷つくことで深まる絆というものもありますわ」

朔也「それじゃあ、俺の訓練の中でも……全体のバランスを見たりする、目の特訓をしてみようか」

莉嘉「目の特訓? こう、じーっと見つめて……のーさつウィンク☆」

ありす「城ヶ崎さん……」

莉嘉「ジョークジョーク♪ どんなのー?」

朔也「確か近場に……うん、ついてきてくれ」

P「へぇ、外ですか……わかりました、いったん着替えたほうがいいかな」

朔也「……そうだな、動きやすい方がいいが目がメインなら……」

莉嘉「わかったー☆」

桃華「着替えてまいりますわ」

ありす「……兄さんの特訓、か……ふふっ」

105: 2013/01/27(日) 21:10:18.11 ID:bm+a+d9R0
 ――バッティングセンター

莉嘉「ここ……?」

桃華「わたくし、野球をしたことはありませんわね……」

P「うーん、体ができてないのにいきなりバットにボールを当てるのは難しいような……橘さん?」

朔也「いいか、よく見ているんだ」

ありす「兄さん? その位置は危ないんじゃ……」

        バシュンッ!

P「ぼ、ボールが……!」

    
              ( 0M0)<3!   ③====================


                 パシッ!
               ( 0M0)ノシ=========


               (` 0M0)

108: 2013/01/27(日) 21:15:17.51 ID:bm+a+d9R0
桃華「」

莉嘉「」

ありす「」

P「」


朔也「こうやって、書いてある数字を読み取る。基礎訓練のひとつだ」

ありす「……兄さん」

朔也「安心しろ、慣れないうちは別にキャッチはしなくても……どうした、ありす?」

ありす「普通はああいうことはしません。何をさせようとしてるんですか!」

朔也「……俺はただ、聞かれたから訓練法を……」

ありす「12歳に何をさせようっていうんですか。兄さんはおかしいです」

朔也「す、すまん」

莉嘉「あ、あははー、お兄ちゃんすごいね……」

桃華「えぇ、本当……」

110: 2013/01/27(日) 21:21:46.28 ID:bm+a+d9R0
朔也「そうか、これは流石に女の子にやらせるべきではなかったかな……」

P「……」

朔也「どうしたんだ?」

P「ちょっと俺も1回試していいですか」

桃華「Pちゃま!?」

莉嘉「あ、危ないよPくん!」

P「あぁいう特訓ってなんだか男の子的にはすごく……いいんだよ」

朔也「そうか……じゃあ、一回だ」

P「はい!」

          バシュンッ!


           P                    ⑧====================


           P<8!   ⑧====================


           スカッ
⑧======-P-====

114: 2013/01/27(日) 21:26:47.38 ID:bm+a+d9R0
P「どうですか?」

朔也「……やるな」

莉嘉「えぇっ!? あたってる!」

桃華「Pちゃま……」

P「目には自信があるんだよ。いろいろとな」ドヤッ

朔也「会う形によっては、隣に立っていたかもしれないな」

ありす「……」

P「どうしたありす?」

朔也「何かあったのか?」

ありす「いえ、別に……ただ、勝手に別のボールを混ぜたりして怒られないのかなと」

朔也「普段は話をつけてあるんだがな……まぁ、大丈夫だ。俺が話をしてこよう」

P「ちゃんと回収もしないといけませんしね」

 スタスタ…

ありす「……あの2人が話している間に帰りましょう。怒られかねませんし」

莉嘉「えぇぇーっ!?」

115: 2013/01/27(日) 21:30:57.59 ID:bm+a+d9R0
――――

P「……おはよう、ありす」

ありす「おはようございます。どうしたんですか?」

P「昨日、勝手なことをしないでくださいってすごく怒られた」

ありす「当然です。まったく」

P「あれ、お兄さんは?」

ありす「熟睡していたので放ってきました。起きたら来ると思います」

P「そ、そうか……」

ありす「……なんですか?」

P「いや、調子に乗るもんじゃないなぁと」

ありす「兄さんも、プロデューサーも子供みたいですね」

P「そうかな?」

117: 2013/01/27(日) 21:35:27.39 ID:bm+a+d9R0
ありす「そうです。櫻井さんも城ヶ崎さんもしっかりしているからいいですけれど、ちゃんとしてもらわなきゃ困ります」

P「気を付けるよ……」

 ガチャッ!

莉嘉「Pくんおっはよー☆ ありすちゃんも、おはよっ!」

ありす「あぁ、おはようございます」

莉嘉「……あっ!」

ありす「な、なんですか?」

莉嘉「今普通に返事してくれた! やっりぃ~♪ えっへへ~☆」

ありす「……兄さんが遅刻なんてするから悪いんです」

莉嘉「でも、呼んでもいいよね? ありすちゃん!」

ありす「……お好きにどうぞ」

莉嘉「だって! ねぇねぇ聞いた! Pくん!」

ありす「名前で呼ぶの、禁止しますよ?」

莉嘉「あぅっ、ごめんね?」

119: 2013/01/27(日) 21:42:02.56 ID:bm+a+d9R0
ありす「まぁ、別に……いちいち咎めなくてもいいと思っただけですから」

P「ありす……」

莉嘉「ありすちゃん、えらーい!」

ありす「……なんだかむず痒いですけれど」

 ガチャッ…

桃華「ふふっ、にぎやかですわね?」

莉嘉「あ、桃華ちゃんおっはよー!」

ありす「おはようございます」

桃華「えぇ、おはようございます。本日はお兄様は?」

ありす「少し遅刻するんじゃないでしょうか……研修中みたいなものなのに、至らない兄ですけれど」

桃華「ふふっ、そうですか。かしこまりましたわ」

122: 2013/01/27(日) 21:47:11.49 ID:bm+a+d9R0
P「さて、本日の業務だ!」

莉嘉「よーし、がんばろーっ!」

P「まずはバラエティの収録だな。うまくすれば名が一気に売れるぞ」

桃華「動物とのふれあいですの? 楽しみですわ……」

ありす「あまり、大きな動物は……」

莉嘉「んんー? ありすちゃん怖いの?」

ありす「そういうわけではありません。怖くなんてありませんから」

                                スタスタ
                  ヤハリソウイウコトカ>(0M0 ))))))

ありす「に、兄さん!?」

朔也「あぁ、危うく遅刻だったな」

莉嘉(いつの間に入ったんだろ……?)

127: 2013/01/27(日) 21:50:51.73 ID:bm+a+d9R0
P「それで、やはりって?」

朔也「何、ありすは……」

ありす「兄さん」

朔也「……」

ありす「……ハンバーグ作ってあげませんよ」

朔也「すまない、なんでもないんだ」

P「あぁ、はい……わかりました……」

莉嘉(あれでいいのかなー?)

桃華(うふふっ、きょうだいの仲がいいというのは素晴らしいことでしてよ?)

132: 2013/01/27(日) 22:00:50.07 ID:bm+a+d9R0
――――

――


莉嘉「すごーい! キリンさんの舌って長いんだねー!」

桃華「うふふっ、象さんって本当にたくましいんですのね。ごつごつとしていて、乗り心地も……なんだか不思議でしたわ」

ありす「……ポニーって、ああ見えて力もあるんですね。馬力という言葉があるだけあります」

莉嘉「ありすちゃん、ぺろぺろってされてびっくりしてたよね?」

ありす「忘れてください」

桃華「よろしいではありませんか。スタッフの方々も……」

ありす「……あのカメラ、どうにか止めてもらえないでしょうか。無かったことに……」

P「まぁまぁ、いいじゃないか……」

ありす「……あれ? 兄さんはどうしたんですか?」

P「ウサギに襲われてるよ」

ありす「えぇ……?」

(;0M0)<ウワァァァァァァ!

134: 2013/01/27(日) 22:06:23.27 ID:bm+a+d9R0
――――
――

記者「今回は子役たちで構成された映画ということで……どうでしたか?」

桃華「わたくしたちだけで、考え、作る。とてもやりがいのあるお仕事でしたわ」

莉嘉「あのね、だけど……すっごーく楽しい映画になったと思うから、見てよねっ☆」

ありす「えぇ、スタッフの方々ともたくさん話し合ったりして――」

 ガチャーンッ!

朔也「みんな! スシがある! ウニもだ!」

記者「へ?」

桃華「……あらあら」

ありす「……兄さん?」

(;0M0)<……

ありす「……」

莉嘉(あれは相当怒ってるよぉ……)

――

――――

140: 2013/01/27(日) 22:15:01.61 ID:bm+a+d9R0
――――
――

ありす「……というわけで、今回の散歩はここまでです。次回のナビゲーターの方は」

莉嘉「アタシだよっ☆ えっへっへ~それじゃあ、まったねー!」

監督「はい、オッケーでーす!」

ありす「ふぅ……あれ? 兄さんとプロデューサーは?」

莉嘉「んーと……あっ」

朔也「……」ゴソゴソ

P「……」ゴソゴソ

莉嘉「何やってるの? Pくん」

朔也「四葉のクローバー探しだ」ゴソゴソ

莉嘉「へぇー……じゃあアタシもやるー」ゴソゴソ


監督「……これは次回使えるな、俺も探そう」

ありす「!?」

――
――――

143: 2013/01/27(日) 22:22:09.39 ID:bm+a+d9R0
――――

――

ありす「まったく、最近の兄さんときたら……」

莉嘉「ありすちゃん、お兄さんのこと大好きだねっ♪」

ありす「そういうのじゃありません。撮影の邪魔になったりとか、取材の邪魔になったりだとか……」

桃華「ですが、どこか憎めないというか……そこから、また大きなお話もいただいたりもしましたし」

ありす「……甘いですよ、2人とも」

桃華「そういうありすさん自身が一番甘いのでは? ……実は、家で」

ありす「なっ、なにを言ってるんですか!」

桃華「あら、本当にそうですの?」

ありす「っ……もうっ!」

桃華「うふふ、失礼しました」

莉嘉「アタシもお姉ちゃんのこと大好きだし、わかるけどなー?」

145: 2013/01/27(日) 22:29:06.29 ID:bm+a+d9R0
P「おーい、お待たせ」

桃華「あら、お帰りなさいませ」

莉嘉「もーっ、Pくんおそーい!」

P「近くの自販機のジュースが売切れてて……ほら、ありすも」

ありす「ありがとうございます……兄さんは?」

P「ん? なんだか緊急の連絡があったとかで……」

ありす「そうですか……また、忙しくなるのかな……」

莉嘉「大丈夫だよ、おうちにはちゃんと帰ってきてくれるって約束でしょ?」

ありす「そうですけれど……」

P「ありすも素直になったなぁ……」

ありす「なんですかその言い方は。心外です」

P「あぁ、ごめん。だけどよく笑うようになってさ……本当に可愛いと思うぞ?」

ありす「……そうですか。ありがとうございます」

桃華「ふふっ……あら?」

幼女「ふぇぇぇ……」

149: 2013/01/27(日) 22:34:30.01 ID:bm+a+d9R0
桃華「どうしたのですか?」

幼女「ふぇぇぇぇ……」

P「ひょっとして迷子か? キミ、お名前は?」

幼女「……ぐすん、ぐすん」

莉嘉「なんだかPくん怪しいヒトみたーい!」

P「ひ、ひどいな! 俺だって傷つくぞ?」

ありす「あの、あなた……」

幼女「……」ニタァ…

ありす「っ……!?」ゾクッ

151: 2013/01/27(日) 22:40:51.62 ID:bm+a+d9R0
              ザシュッ!



ありす「え……あ……」

幼女「ふぇぇぇ……はずしちゃったよぉ……」

P「っ痛ぅ……な、なんだ……いったい!」

莉嘉「Pくん、血が出てる! な、なに今の……」

幼女「……たぶん、こんかいのばとるふぁいとはれいがいなんだよぉ……」

桃華「な、何を言ってるんですの……?」

幼女「だから、ふういんのしゅだんをてにいれるひつようがあるんだよぉ……」

ありす「に、人間……じゃない……!?」

幼女「いいかんがえだとおもったのになぁ……たいせつなかぞくとひきかえにー、って……」

156: 2013/01/27(日) 22:45:36.11 ID:bm+a+d9R0
幼女「ねぇ、そうおもうよねぇ……?」

ありす「ひっ……!」

P「や、やめろ!」

幼女「もぉ……じゃまなんだよぉ……」


     グイッ… 
             ドンッ!


P「っあ……!」

莉嘉「Pくん!」  桃華「Pちゃまっ!?」

幼女「かみじょうむつきのまわりはなんだかちょろちょろしてるくいーんがうっとおしいんだよぉ……」

幼女「けんざきかずまはかぞくもともだちもいないさびしいひとだったよぉ……」

幼女「じょーかーなんて、こっちがふりなだけでなにもできないんだよぉ……」

幼女「だから、たちばなさくやの『たいせつなかぞく』をいただくよぉ……?」

ありす「い、いや……!」

157: 2013/01/27(日) 22:51:00.78 ID:bm+a+d9R0
幼女「ちゃんとらいだーしすてむをもらったらかえしてあげるからおとなしくしてほしいんだよぉ……」


    シュルッ……


ありす(や、やだ……助けて、誰か……誰か……)


幼女「ふぇぇぇ……らくしてずるしていただきなんだよぉ……」


     シュルルルッ……


ありす「――兄さんっ――!」


     ガァン!
      ガァン! ガァン!



ありす「……え?」



朔也「……」

161: 2013/01/27(日) 22:56:22.97 ID:bm+a+d9R0
幼女「ふぇぇぇ……いたいよぉ……」

ありす「に、兄さん……?」

朔也「……」チャキッ


幼女「あれれー、おかしいよぉ……?」

朔也「……」

幼女「ゆうどうのために、かいのあんでっどをはなれたばしょであばれさせたはずだよぉ……?」

朔也「剣崎がそっちへ向かった」

幼女「うわぁ……まちのひとをみすてるなんてわるいおとなだよぉ……」

朔也「嫌な予感がしてな」

幼女「ふぇぇぇ……まったくもってりかいふのうだよぉ……」

163: 2013/01/27(日) 23:04:02.05 ID:bm+a+d9R0
幼女「……でも、きちゃったものはしかたないよぉ……」

朔也「俺の家族に……その、大切な仲間に……」

  ガチャッ  シュルルルルッ  シャキンッ

ありす「ベル……ト……?」


幼女「おしえてあげるよぉ……きんぐの、じつりょくをぉー!」

        パキッ  パキパキパキッ……パリンッ!

朔也「手出しはさせない! 変身!」

       ≪Turn Up≫

ありす「……変わった……」



パラドキサ・アンデッド「……」

ギャレン「……」

167: 2013/01/27(日) 23:07:43.54 ID:bm+a+d9R0
ギャレン「……ありす」

ありす「あ……は、はい」

ギャレン「みんなを連れて逃げるんだ」

ありす「兄さんは……」

ギャレン「大丈夫だ、必ず帰る……急げ」

ありす「……はい!」


莉嘉「ど、どーいうことなの……?」

桃華「わ、わかりませんわ……でも、は、はやく……」

ありす「2人とも! プロデューサーは……」

桃華「お、おそらく気絶しているだけ……だと思いますけれど、でも」

ありす「……3人で抱えましょう。せーのでいきますよ」

莉嘉「う、うん。せーのっ……!」

 ズルッ… ズルッ…

176: 2013/01/27(日) 23:15:41.57 ID:bm+a+d9R0
パラドキサ「……ふふふ」

ギャレン「何がおかしい」

パラドキサ「しょうじきなはなしをすると、けんざきかずまやじょーかーがいなくてほっとしてるんだよぉ……?」

ギャレン「……」

パラドキサ「あのふたりはそこがしれないよぉ……だから、あいてにしないでらいだーしすてむだけてにいれられてらっきーなんだよぉ……」

ギャレン「俺は負けない……仲間のために。残された、痛みは……誰にも!」

パラドキサ「やれるものなら……やってみるんだよぉっ!」

      グアッ!

ギャレン「……フッ!」

   ≪Absorb Queen≫

パラドキサ「むむむ……? うえかぁッ!」

   ≪Fusion Jack!≫

Jギャレン「ハァーッ!」

    ガァンッ! ガァンッ!

183: 2013/01/27(日) 23:22:18.01 ID:bm+a+d9R0
  バチュンッ!  バチュンッ!
      バチュンッ!


パラドキサ「いたいよぉ……」

Jギャレン「よし、当たる……このまま……」

パラドキサ「このぉッ!」


   ブンッ            バチュンッ!   バチュンッ!
      スカッ      ダァン!   ダァン!


パラドキサ「ぴょんぴょんとびまわって……うっとおしいんだよぉ……」

Jギャレン「まだだ!」


   ダァン!  ダァン!   ダァン!


パラドキサ「ふ……ふふ、ふふ、あは、あはははは……」

Jギャレン「な、なんだ?」

パラドキサ「アーハッハッハッハ! でもこんな豆鉄砲じゃぁ、ききや……しないんだよぉッ!」

Jギャレン「……!?」

190: 2013/01/27(日) 23:27:58.39 ID:bm+a+d9R0
    ヒィ―――ン……       ザシュッ!


Jギャレン「な、に……!?」

パラドキサ「あれあれ~? 羽に当たっちゃったかぁ……ざぁんねん……」

Jギャレン「くっ!」


       ダァン! ダァン! ダァン!
    ガァン!    ガァン!    ガァン!


パラドキサ「無駄だよぉ……? うふふ、飛び道具っていうのはこうやって……」キィィ…

Jギャレン(まずい、来る!)

パラドキサ「やるんだ……よぉッ!」


      ヒィ――――ン……ザシュッ!


ギャレン「く……うっ」

パラドキサ「あれあれ~? まただめかぁ……でもこれで飛べないねえ?」

194: 2013/01/27(日) 23:35:48.53 ID:bm+a+d9R0
ギャレン「まだだ……!」

パラドキサ「諦めの悪い男は嫌われるよぉ……?」

ギャレン「貴様に好かれるつもりはない!」

パラドキサ「そぉ……ざ~んねん……」キィィ…

ギャレン「今だ! はぁっ!」

パラドキサ「えっ!? くっ!」


  ダァン!
    パシュンッ!


ギャレン「見えない刃の正体は……ウォーターカッターか!」

パラドキサ「……それがわかったところで、なんだっていうのかなぁ……?」

ギャレン「……お前に、勝つ」

パラドキサ「ふぅん……できるもんなら……」キィィ…

ギャレン「……」チャキッ

パラドキサ「やってみなよぉッ!」 ダンッ!

203: 2013/01/27(日) 23:43:10.91 ID:bm+a+d9R0
    ダァン!               ダァン!
      パシュンッ!   ダァン!        パシュンッ!
   ダァン!            パシュンッ!      ダァン!
       パシュンッ!                       パシュンッ!


パラドキサ「ちぃぃ……うっとぉしいなぁ……!」

ギャレン「……」

パラドキサ「……でもそのなまっちょろい銃じゃあ致命傷にはならないんだよぉ……?」

ギャレン「……」

パラドキサ「打ち消せないぐらい強烈なのをお見舞いして……」キィィィィィィ……!

パラドキサ「あげる、よぉッ!」

ギャレン「……」スッ  ピピピッ!  

    ≪Thief≫


パラドキサ「あ、あれ? おかし……」


   ヒィ―――ン……ザシュッ!


パラドキサ「ッあ……!?」

207: 2013/01/27(日) 23:52:41.52 ID:bm+a+d9R0
パラドキサ「なん、で……あた、しに……」

ギャレン「カテゴリー10、シーフでお前の最大の攻撃を盗み、返した」

パラドキサ「なんだ、って……このっ……! あ、あれ……?」

ギャレン「無駄だ」

パラドキサ「な、なんで……刃が……」

ギャレン「発生源は見極めた。そこを正確に打ち抜かせてもらったぞ……カテゴリー8の力でな」

パラドキサ「な、なめるなあぁぁぁぁっ! きんぐを! このていどでっ!」

ギャレン「……」スッ ピピピッ!


    ダァン!     ダァン!    ダァン!
       バキュンッ! ≪Drop≫   バキュンッ!
      ダァン!   バキュン!  ダァン!


パラドキサ「ぐ、う、ぅぅぅ……!」

ギャレン「……」スッ ピピピッ!


    ガァン!    バァン!!  バキュンッ!
       バキュンッ! ≪Fire≫    バキュンッ!
      ダァン!   バキュン!  ダァン!

217: 2013/01/27(日) 23:59:44.21 ID:bm+a+d9R0
パラドキサ「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

ギャレン「……」ピピピッ!


 ダァン!   ダァン!  ダァン!   ダァン!  ダァン!
    バキュンッ! ドォンッ!≪Gemini≫ バキュンッ!  バチュンッ!
  ドォンッ! ガァン! バチュンッ!  バキュン  ダァン!


パラドキサ「あっ……!」

ギャレン「ウオォォォォォォッ!」


    ≪Burning Divide!≫

   ダッ  シュミンッ!
          ギュルッ
            ―――ドガガガッ!


           ドオォーンッ!

ギャレン「……」

228: 2013/01/28(月) 00:07:35.49 ID:vaNq7em/0
パラドキサ「ぜったいに……こうかいするんだよぉ……」

ギャレン「まだ……いや、もう立てないか」

パラドキサ「だって……あなたたちは、みんな――」

   ヒュンッ    シュンシュンシュン―――パシッ

ギャレン「……」

ギャレン「終わった……か……」カシャンッ


朔也「くっ……」

朔也「剣崎の方は……大丈夫か……? いかなく、ては……」ズルッ…ズルッ…

ありす「兄さん!」

朔也「……あり、す……?」

ありす「ひ、ひどいケガですよ! 病院にいかないと!」

朔也「大丈夫だ……まだ、戦ってる、仲間……が……」

ありす「兄さん……? 兄さん、兄さん! しっかりしてください!」

桃華「血が……何か、止血しなくては……!」

莉嘉「うー、救急車! 早く来てよぉ……!」

234: 2013/01/28(月) 00:13:29.41 ID:vaNq7em/0
ありす「……」

桃華「ありすさん? いったい何を……」

ありす「……」バッ

莉嘉「え、ちょっと! なんで脱いで……」

ありす「圧迫止血には、布がいるって……読みました。だから……」

桃華「……でしたら、これを使いましょう。清潔な布のほうがよろしいでしょうし」

ありす「これって……?」

桃華「わたくしたちの新しい衣装ですわ。よろしいですわよね、莉嘉さん?」

莉嘉「う、うん! 服より、お兄さんの方が大切だよ! どうすればいいの!?」

ありす「……すみません、ありがとうございます」

桃華「いえ、それより全身裂傷だらけ……本当に、ひどい状態ですわ……血を止めないと……」

莉嘉「Pくんも、目を覚まさないし心配だよ……うぅ……」

238: 2013/01/28(月) 00:17:44.99 ID:vaNq7em/0
――――

――

ありす「……」


ありす「嘘つきです。あなたは……あなたたちは……」


ありす「大切だって、思ったのに……」


ありす「……遠くに、いっちゃいましたね」


ありす「私たちを、おいていくなんて……最低です……」


ありす「……ねぇ、お願いです。やっと、素直になれたんですから……」


ありす「……もう一度だけ、名前を呼んでください……」

241: 2013/01/28(月) 00:23:12.79 ID:vaNq7em/0
ありす「……」


 トテトテトテ……ガチャッ


桃華「あ、ありすさん。お帰りなさいませ」

莉嘉「あ、ありすちゃん。何か飲む?」

ありす「結構です。ところで……」



P「ありすぅぅぅぅぅぅぅ……」ボロボロ

朔也「アリズゥゥゥゥゥゥ……」ボドボド


ありす「……私の主演のドラマ、見てくれるのはありがたいんですけれど何回リピートする気なんでしょう」

桃華「ふふっ、良いことではありませんか! それだけ思われているということでしょう?」

莉嘉「ねー! ありすちゃんすっごーいきれいでステキだもん!」

244: 2013/01/28(月) 00:29:37.59 ID:vaNq7em/0
ありす「そうですか?」

桃華「えぇ、とっても。うらやましいぐらいですわ」

莉嘉「アタシもあんなふうにきゅーんってなるドラマとか出てみたいなー」

ありす「……莉嘉さんなら、私とは別の分野できっと素敵なお仕事が来ると思いますよ」

莉嘉「そうかな? えっへっへー、その時はアタシにクギヅケにしちゃうからねっ☆」

P「お……あ、ありす!」

ありす「なんですか?」

朔也「アリズゥゥゥゥ……」

ありす「あぁもう、大の大人がだらしない……何回目なんですか、まったく」

桃華「でもいやではないのでしょう?」

ありす「……そうですけれど」

249: 2013/01/28(月) 00:35:38.35 ID:vaNq7em/0
P「だって……だって、なぁ!」

ありす「はいはい、わかりましたから」

朔也「俺は氏なない、約束する!」

ありす「何回目だと思ってるんですか、もう」

莉嘉「ぷぷぷーっ、まるでありすちゃんがお姉ちゃんみたい!」

P「ありすはしっかりしてるもんなぁ」

朔也「俺の自慢の妹だ」

桃華「それも耳が痛くなるほどお聞きしましたわ」



ありす(――あのあと、兄さんとプロデューサーはすぐに入院しました)

ありす(思っていた以上に大変な状態だったみたいで、2人ともひょっとしたら目が覚めないかも、なんて言われて……)

ありす(……泣いてませんよ。本当です)

ありす(でも、なんとわずか2週間で完全回復。でたらめすぎます)

255: 2013/01/28(月) 00:41:59.08 ID:vaNq7em/0
ありす(……まぁ、だけど……)


朔也「どうしたんだ、ありす?」

P「ま、まさか! 何か嫌なことが!」

ありす「いいえ、特に」

朔也「そうか、何かあったら相談するんだぞ」

P「俺たちがついてるからな!」

ありす「そうですか、すごいですね」

朔也「あぁ、仮面ライダーと――」

P「プロデューサーがいるんだ。無敵だろ?」

ありす「ふふっ……意味わかんない」

P・朔也「「!?」」


ありす(私、今とっても楽しいです)

ありす(お仕事も、家族も、名前を呼ばれることだって!)


おわり

257: 2013/01/28(月) 00:43:10.28 ID:vaNq7em/0
橘さんは本当にかっこよくて素敵で一流な人
フォーゼクロスの人を一部参考にしました、ありがとう

保守支援ありがとうございました

258: 2013/01/28(月) 00:43:50.67 ID:Jg3H0pKL0

やっぱ一流だよなぁ橘さんは

262: 2013/01/28(月) 00:44:44.88 ID:vaNq7em/0
それから、このお話は一応本編とは矛盾するようにしてあるの
解放されなかったアンデッド、解放されたアンデッドは微妙に食い違ってるよ!
天王寺はたぶん別のアンデッドでティターンポジを作ると思うよ!

おつぁーしゃー☆

引用元: モバP「ありすのお兄さん……?」朔也「俺は橘、ギャレンだ」