1:◆qTT9TbrQGQ 平成31年 04/21(日)01:10:11 ID:0j0
・雪美視点のSSです。割と短め。
・実験的に、同じ出来事をP視点からも書いています

2: 平成31年 04/21(日)01:12:59 ID:0j0

3: 平成31年 04/21(日)01:17:00 ID:0j0
1

雨は好き。
雨の音も、景色が青くなるのも、好き。
たまに虹が出てくれるのも、好き。

この日の雨は、大切な人のそばにいられたから、いつもの雨よりも好き。
アイドルマスター\THE IDOLM@STER シンデレラガールズ 佐城雪美[太陽の絵の具箱]+ 1/7 完成品フィギュア
4: 平成31年 04/21(日)01:22:42 ID:0j0
私は佐城雪美。10才。アイドルをしている。
そして、私の目の前にいるのは、私の担当をしているプロデューサー。
ずっと私のそばにいて、私をアイドルにしてくれた、大切な人。

今はお仕事のロケの帰りで、○○駅に帰ってきたところ。
お母さんが迎えにきてくれている……予定だった。
でも、駅についても、お母さんの姿はなかった。

プロデューサーが、私のお母さんに電話している。
どうせ、また仕事なんだろうな。お母さん、来れなかったら、どうしよう。
そう思っていたら、プロデューサーが、大丈夫だよ、って言って、頭をなでてくれた。

もしお母さんが来れなかったら、プロデューサーが送ってくれるのかな。
……お母さんには来てほしいけど、プロデューサーとも一緒にいたい。フクザツ。


結局、お母さんは電話に出なかった。
プロデューサーは、私を送ると留守番電話に残して、電話をしまった。
そして私に、家まで送っていくよ、と優しく言って、また頭を撫でてくれた。
プロデューサー、ありがとう。

5: 平成31年 04/21(日)01:30:51 ID:0j0
3

駅から外に出ると、雨が降っていた。
プロデューサーは雨に気付くと、折りたたみ傘を取り出して、傘をさした。
私は傘を持っていなかったから、さりげなく、プロデューサーの傘に入れてもらった。
雨が降っててよかった。相合傘ができるから。
でも、手が繋げないのは悲しい。その代わりに、プロデューサーの袖を、そっと掴んだ。

なんとなく、バスに目が留まった。
路線バスに乗ったことは、何回もある。
けれど、いつも一人で乗っていた。。
バスから景色を眺めるのは楽しかったけど、寂しかった。
……最初の時だけ、お母さんと一緒に乗っていたけど、その時も、お母さんはずっと誰かと電話をしていた。

プロデューサーと一緒なら、寂しくなくて、もっと楽しいのかな。

考え事をしていたら、プロデューサーが歩きだして、袖を引っ張っちゃった。
バスに乗ってみたいと言うと、タクシーより時間がかかると言われた。
よけい、バスに乗りたくなった。
言葉を考えながら……他の子に聞いた、おねだりの仕方を思い出しながら、こう言ってみた。
「たまには……ゆっくり、一緒に帰るの……だめ……?」

プロデューサーは、少し悩んでから、ちょうどいいバスがあったらな、と返してくれた。
おねだりの効果があったのかな。

6: 平成31年 04/21(日)01:33:19 ID:0j0
4

バスの中は、私たち以外には、二人しかいなかった。

前に、テレビでバス酔いしにくい席の話をしていたのを思い出した。
確か、前から五番目くらいの席。ここが。揺れにくくて、良い席だって言っていた
プロデューサーに教えてあげると、どこから聞いたんだろう、みたいな顔をしていた。

プロデューサーを先に座らせてから、私はプロデューサーの膝の上に座った。
ここが私の特等席。
プロデューサーは、少しだけ笑いながら、私を持ち上げて、膝の上のなかでも安定する場所に置いてくれた。

バスは、すぐに動きだした。

7: 平成31年 04/21(日)01:47:35 ID:0j0
5

バスの中で、私は、窓の外をずっと見ていた。
プロデューサーも、窓の外を見ていた。

窓の外は、雨も、雨の音も、綺麗だった。
そんな景色を、大切な人と一緒に見ていた。
背中とお尻に、大切な人の暖かさを感じながら。
二人で、お話もしないで、見ていた。

雨の匂いに混じって、たまにプロデューサーの匂いがした。
とても落ち着く匂いだと、いつも思う。

途中、目で、楽しいね、って話した。
プロデューサーは、口でお話をしなくても、目で……ううん、心でお話ができるから、……好き。

バスに乗っていた時間が、とても短く感じられた。

9: 平成31年 04/21(日)01:55:04 ID:0j0

6

バスから降りたら、また、プロデューサーと相合傘。
すぐに、雨に当たってないか、心配をしてくれた。
やっぱり、プロデューサーは優しい。

雨が降っている中で、相合傘の中、二人きりで、家まで歩いた。
雨が降っているからか、傘があるからか、分からないけれど……なんだかプロデューサーと世界で二人きりみたいだなと思った。

プロデューサーの方が濡れていることに気付いた。
私が雨に当たらないか気にしすぎているんだと思う。
だから、いつもよりもくっついて歩いた。

……プロデューサーにくっつきたいからじゃないよ? ……なんて。

傘のふちから落ちる雫のように、色んなことを、ぽつりぽつりと喋った。
それは、とても楽しい時間だった。

10: 平成31年 04/21(日)02:07:58 ID:0j0
7

雨、なんだか、楽しいね。
そう言ったら、プロデューサーは、そうだな……と呟きながら、何か考えていた。
そして、楽しいね、なんでだろうね、って答えてくれた。

大人は、みんな雨が嫌いだと思ってた。
でも、プロデューサーは、楽しいね、って、心から言ってくれた。

私は、それがとても嬉しくて、もっとくっついた。
プロデューサーは文句を言いたそうにしていたけれど、笑いながら、私の頭を撫でた。

雨は、ずっと私たち二人を優しく包んでくれた。

11: 平成31年 04/21(日)02:12:41 ID:0j0
おしまいです。

たまにはこういうのも、どうでしょうか。
慣れないことをしたので、誤爆してしまいましたが……。

総選挙、少しだけでもいいので、佐城雪美に投票をよろしくお願いします。

引用元: 【モバマスSS】雨の中で【雪美side】