79: 2009/10/31(土) 00:05:45.71 ID:yIdh++UU0

律「みんな彼氏くらい普通にいるよな!?」唯「えっ!?」の続き

澪「で!梓!その彼とはどこまで行ったんだ!?」

梓「どこまでって…この間科学館にあるプラネタリウムまで行きましたよ。」

律「お前な!こういう場面で尋ねられたらそういうことじゃないというのはわかるだろ!?」

梓「(///
 すたすた(ギターを取り出す)
 ジャーン」

律「なにキョドってんだ梓…」

唯「今弾いたコードってAだよね?
 それって何かのメッセージ?」

律澪紬(A!?)
けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
81: 2009/10/31(土) 00:21:56.94 ID:yIdh++UU0
唯「そうっかー、あずにゃんの彼はAが得意なんだね?
 私の彼はFもHも…」

律「悪い…唯、今だけはちょっと静かにしててくれ」

澪「エ…Aってどういうことだ!梓!?」

梓「そのままの意味です!想像にお任せしますけど!!」

澪(Aってことは…キス!?
 梓が…こんな子供みたいな梓が…)

唯「えー、それってどういう意味なの?
 あずにゃんの彼氏もギターやってるってこと?」

104: 2009/10/31(土) 19:59:00.93 ID:yIdh++UU0
律「あ…梓はキスはしたことがあるということか…?」(じっ

唯「キスっ!?あずにゃんが!?」(じっ

澪「!?」(じっ

紬「この唇で…!?」(じっ

梓「そんな私のくち凝視しないでください!!」
 両手で口を隠すようにする。

105: 2009/10/31(土) 20:06:23.28 ID:yIdh++UU0
律「な…なぁ、梓!
 その…ファーストキスは…どんな感じだった!?」

澪「やっぱり、ファーストキスはレモンの味がするの?」

唯「あずにゃん…私のちゅーを拒んだのはそんな理由があったんだね…」

紬「梓ちゃん…その相手はどういう人なの?
 私、すごく詳しく知りたいわ!」

梓「そ…そんなの言えませんよ!
 絶対に!」

一同「なんで!?」

梓「だって…ファーストキスは私と彼…二人だけの思い出にするって、約束したから…
 だからどんなに聞かれても教えられません!」

107: 2009/10/31(土) 20:30:16.43 ID:lrS9M9Z40
澪(ホゥ(///)

梓「だいたい先輩方だって彼氏くらいいるってさっきから言ってるじゃないですか!
 それならそうやって根掘り葉掘り聞かれるのが嫌だって分かるじゃないですか!」

澪「いや…その…」

唯「あのね、あずにゃん…
 私たちが嘘ついてたって言うのは年上ってことじゃなくて…」

紬「私は彼氏なんていたことないから梓ちゃんの話を聞きたいわ!」

澪「うわー…なんかムギのメートルが上がってる…」

紬「だって信じたくないじゃない!
 梓ちゃんが男と…男とだなんて…(うぅ…」

梓(ムギ先輩は何を言ってるの!?)

108: 2009/10/31(土) 20:38:43.40 ID:K/DZlUDO0
唯ねーねーあずにゃん。
 じゃあ、彼氏の写真とかないの?
 あずにゃんの彼氏がどんな子なのか見てみたい!」

律「そうだな。うちの梓のハートを盗んでいった不届き者の顔くらいは拝んでおきたいな。」

梓「だ…ダメです!絶対!
 特に…」

律「ん?なに?そんなにじっと私を見つめて?
 別に取って食ったりしないってw
 大体梓の彼氏が誰かなんて私たちには分かんないんだし、
 ただ、ちょっと面が拝みたいだけだからさ、いいだろ?」

112: 2009/10/31(土) 21:09:29.97 ID:daDc+xYh0
澪「た…頼むよ梓!
 ちょっとだけでいいから!」

梓「澪先輩まで…
 なんでそんなに写真にこだわるんですか?
 そんな期待されるほどの子でもないですよ…本当に」

唯「なぜかって!?
 それはそこにあずにゃんの彼氏がいるからだ!」

梓「かっこ良く言い切っても全然かっこよくないです…」

114: 2009/10/31(土) 21:10:44.54 ID:daDc+xYh0
梓「じゃあ…携帯にある写真でよければ…」

唯「見せてくれるの!?」

律「よし!じゃあさっそく…」

梓「でも!…律先輩はダメです!
 これは絶対譲れません!!」

律「えーっ!?なんでだよー!
 なんで私だけ仲間はずれ?
 そんなんおかしーじゃん!
 みんなだってそう思うだろ?」

唯「ごめん!りっちゃん隊員!
 私はりっちゃん隊員を見捨ててでもあずにゃんの彼氏の顔を見てみたいよ!」

律「こいつあっさり裏切りやがった!」

澪「大体律が普段から何かあるとや大騒ぎするから、こうなるんだぞ!
 律の分も私が見といてやるから…安心しろ!」

律「なんで私が怒られるんだ!?」
 「ム…ムギは私の味方だよな…?」

紬「ごめんなさい、りっちゃん。
 私、友達の彼氏の写真を見てやいのやいの言うのが夢だったの!」

律「しょんなー…つーか、どんな夢だよ!?」

115: 2009/10/31(土) 21:12:19.06 ID:daDc+xYh0
梓「こ…この人です」

唯「おぉー…なんかかわいい子だね!
 あ…あずにゃん耳まで真っ赤だよ?w」

梓「う゛ー…」

紬「でも本当…男の子っぽい感じがあまり強くないわね…
 この子と梓ちゃんは…」

梓「わー!!変な想像禁止です!!」

澪(あれ…この子って…)

123: 2009/10/31(土) 21:33:27.06 ID:790BiGRs0

澪(そりゃ律には見せられないって訳か…)

律「で!私をのけものにして見た、梓の彼氏はどうだった!?」

紬「とってもかわいらしい男の子だったわ。」

唯「うん!ちっちゃいあずにゃんにお似合いのちっちゃくてかわいい男の子だったよ!」

梓「なんか微妙に傷つくんですけど…」

紬「でも、梓ちゃんとはお似合いだからいつか機会があったらみんなでお話でもしてみたいわ。」

律「なんでムギまで肯定派に肩入れしてるんだよ~
 いいのか!?うちの梓がこんな男にたぶらかされてもー!」

梓「人の彼氏をこんな男扱いしないでください…」

124: 2009/10/31(土) 21:34:55.40 ID:790BiGRs0
澪「なぁ、梓?」

梓「はい?」

澪「えと…その、彼氏と付き合ってるってことは…彼氏の家族は…知らないんだよな…?」

梓「はい…えっ!?」

律「何!?この空気!?
 もしかして澪の知ってる子だったの!?
 私も知ってる!?」

梓(そういえば澪先輩って律先輩と幼なじみだった!
 …てことは…律先輩に話されたら…!(><)?)

澪「…中学生で異性と付き合うなんてどういうことか分からなくて聞いただけだ!
 律のそういうのが梓は苦手だから見せたくないんだろ?」

律「そうだったのかー!?
 じゃあ、もう梓の彼氏とか興味ないから写真だけ見せて♪」

澪「いや、どう考えても興味ないってのは嘘だろ…」

127: 2009/10/31(土) 22:16:18.75 ID:YkarBn9g0
梓「それよりも!
 みなさんの彼氏の本当の話を聞きたいです!
 年下の男の子と付き合ってると、自分より若い子に取られちゃうんじゃないかって不安になりませんか!?」

律「いや…梓なら中学生の中に混じっても全く違和感ないだろ…」

紬「そうよ!梓ちゃんなら中学生…ううん!小学生にもきっと紛れ込めるわ!」

梓「いや…それ全然嬉しくないです…」

128: 2009/10/31(土) 22:19:50.60 ID:YkarBn9g0
律「だいたい、澪や唯だって年上どころか彼氏自体いないんだから聞いたって何の参考にもならないぞ?」

梓「え!?そうだったんですか?!その話自体が嘘だったんですか!?
 うわー!?なんか私だけ正直に話しちゃったじゃないですか!?」

澪「ご…ごめん…別にだますつもりはなかったんだけど…」

梓「わ…私の話も嘘です!
 彼氏なんていません!」

紬「じゃあさっきの写真は…」

梓「心霊写真です!」

一同(んなわけねーだろ!!)

167: 2009/11/01(日) 23:10:36.02 ID:PwTM1Vbs0
律「そんじゃー練習も終わったし今日はみんなでおしるこ食べに行こうぜ!」

唯「じゃあ今日は登里庵だね!」

紬「いいわね!みんなで行きましょ!」

澪「梓も来るよな?
 今日はなんか梓に悪いことしちゃったし、おごるよ。」

律「よっ!澪ちゃん太っ腹!」

澪「梓の分は割り勘だぞ」

169: 2009/11/01(日) 23:15:17.32 ID:PwTM1Vbs0
梓「あ…すみません…折角ですけど今日
 …家の用事で帰らなきゃいけないから…」

紬「そういえば梓ちゃん最近はずっと部活が終わってまっすぐ帰ってたわね?」

梓「え?えぇ…ちょっと、忙しいもので…」

唯「えー!ちょっと位いいじゃん!一緒に行こうよあずにゃん!」

律(ピーン)
 「まぁ、忙しいって言ってるんだから無理に誘ってもかわいそうだろ!
 一緒に来るのは今度時間のある時でいいよ。
 そんときおごったげるから。」

梓「すみません!いつか埋め合わせしますんで!」

律「じゃあ、あんまり練習練習言わないで…」

梓「それとこれとは話が別です!」

170: 2009/11/01(日) 23:23:20.03 ID:PwTM1Vbs0
唯「あずにゃんと一緒におしるこ食べたかったよ~
 今の私にはあずにゃん成分がしております!」

紬「唯ちゃん…」

律「考えてみればここ一カ月くらい梓って帰りの付き合いが悪くなってたよなー」

澪「そういえばそうだな。
 以前は一緒に寄り道とかしてたのに…」

律「ズバリ!
 梓は学校帰りにデートだな!」

唯紬「おぉ!?」

澪「まさか律!つける気か!?」

律「えへ♪」

172: 2009/11/01(日) 23:28:24.22 ID:PwTM1Vbs0
唯「あずにゃんが彼氏とどんなデートしてるか…気になる…」

紬「確かに…見てみたいような、見たくないような…」

澪「おいおい、みんな…それはいくらなんでも…」

律「唯とムギはつけるつもり?」

澪「ちょっと待て!律!」

紬「りっちゃんは…どうするの?」

律「あー…私今回はパス。
 気にならないでもないけど梓は私に彼氏とやらを見られたくないみたいだから
 行くんなら3人だけで行ってくれ。」

澪「私も行かないよ…」

173: 2009/11/01(日) 23:33:00.03 ID:PwTM1Vbs0
澪「おしるこはちょっと食べすぎるとすぐ体重に出ちゃうから怖いんだよな…」

紬「澪ちゃん!その気持ちは良く分かるけど、恐れちゃダメ!
 おいしいものを食べすぎるのは決して悪いことじゃないわ!」

唯「二人ともそんなに心配しなくてもだいじょうぶだよ~
 私なんか大盛りで頼んじゃったよ?」

一同「それで大丈夫なのはお前だけだ!」

176: 2009/11/01(日) 23:38:39.49 ID:PwTM1Vbs0
律「しっかし、梓がデートか―…どんなデートなんだろ?」

唯「きっと手をつないで体を寄せ合って、にゃんにゃん言ってるんだと思うよ!」

律「ネコか!?…つか、にゃんにゃんしだしたら大変だけどな…」

澪(…梓が…聡と…うわぁ…なんか複雑だなー…)

律「どうした澪?そんな怖い顔してたらおいしいものもおいしく食べられないぞ~?」

紬「澪ちゃん、今日は甘いものはやめておいた方が良かった?」

澪「え!?あ、違うんだ!大丈夫!ちょっと考え事してただけだから!
 体重のことなんて考えてないよ!ほんと!」

律(考えてんじゃん…)

177: 2009/11/01(日) 23:43:53.74 ID:PwTM1Vbs0
律「でもさ、梓はいいとしてみんなだったらどんなデートがしたい?」

紬「そうねー…
 男の人とだったらピクニックとか行きたいかしら?」

澪(男の人とだったら!?
 なんでそういう前提を最初につけるんだ!?)

律「ムギって自分は男と付き合うのは平気なの?」

澪(ちょっと律ー!?」

紬「え?
 そりゃあ女の子だもん。
 素敵な男性と一緒にお出かけしたい気持ちはあるわ。」

唯「ムギちゃん男の子でも行けるクチだったんだね。」

紬「?」

178: 2009/11/01(日) 23:50:52.65 ID:PwTM1Vbs0
紬「暖かい日は河川敷をお話ししながら歩いて、
 疲れたら休憩して、一緒に四つ葉のクローバーを探したり、
 お弁当を作っていって一緒に食べたり…
 のんびりしたデートをするのが夢かしら」

律「ムギは相変わらず、妙な夢を持ってるな。
 私だったらそんなのんびりしたのは耐えられないわ!」

唯「じゃありっちゃんはどんなのがいいの?」

律「そうだな!
 私だったらボーリング行ってゲーセン行ってカラオケ行って…とにかく一緒に遊びまくるな!」

唯「私もおんなじ!
 二人でおいしいもの食べに行ったり、おいしいお店に出かけに行ったりしたい!」

澪「いや…同じじゃないだろ…」

179: 2009/11/01(日) 23:53:08.04 ID:PwTM1Vbs0
律「そういう澪はどうなんだ?」

澪「私!?
 私はそういうのは…恥ずかしいし…」

唯「私たちだって話したんだから澪ちゃんだって話さないと不公平だよ!?」

澪「そ…そうか?
 そこまで言うんじゃあ仕方ないよな、うん!」

律「いや…そんなそこまでは言ってないぞ」

181: 2009/11/02(月) 00:03:53.74 ID:zU9UALNW0
澪「冬…山の上にある公園に二人で出掛けるんだ…
 そこでベンチに腰掛けて…

律「なんか…語り始めたぞ…」

………
……


「う~やっぱり冷えるな、澪」

「うん。
 …でもこうやってくっついてれば寒くないよ?」

「そうだな。あと、コーヒー。
 あったまるぞ。」

「ありがと。
 でも今日はどうしてこんなところに?」

「澪にプレゼントしたいものがあってね!
 この階段を上ったら分かるよ!」


182: 2009/11/02(月) 00:04:46.81 ID:zU9UALNW0
「うん…うわぁ!?
 綺麗な夜景!」

「それだけじゃない、冬の寒い日は星空も綺麗に見えるだろ?」

「本当…綺麗…吸い込まれそう…」

「でも、澪の方がきれいだよ。
 それに、僕のハートはもう澪に吸いこまれちゃって離れられないよ!
 澪!君が好きだ愛してる!」


……
………

 なんて…っておい!?」

律「かいかいかいかい!」

紬「澪ちゃんはやっぱりロマンチストね…」

唯「今どきそんなこと真面目に言う奴なんて石田純一くらいしかいねーって!ww」

183: 2009/11/02(月) 00:11:15.67 ID:zU9UALNW0
澪「だから話すのは嫌だったんだ!
 絶対笑われると思ったから!」

律「ごめんごめん!悪かったよ!
 澪は昔から甘い恋愛にあこがれてるもんな!」

唯「でも澪ちゃんの気持ちも分かるよ~
 私だけの白馬の王子様に迎えに来てほしい…
 って言うのはあるよね。」

律「澪の場合は恋愛にあこがれる前に
 昔からの男を寄せ付けないその性格を何とかしないとな!w」

紬「男の子を寄せ付けないの!?」

澪「だって恥ずかしいんだもん…」

215: 2009/11/02(月) 19:39:13.99 ID:zU9UALNW0
律「二人とも、澪の武勇伝聞きたい?」

唯紬「武勇伝?」

澪「な…なんだよそれ…」

律「中学の頃さ…澪ラブレターもらって、
 『放課後の校舎裏に来てください』って内容だったんだけど…

 『怖いから』って言って無視ったんだよ!」

唯「うわぁ…」

紬「それはちょっと…」

澪「え!え!?だって怖いだろ!?」

217: 2009/11/02(月) 19:42:16.71 ID:zU9UALNW0
律「他にも、授業が終わってすぐに廊下で待ち伏せされて
 衆人環視の元告白された時は
 そこから逃げ出して一週間学校休んだんだよな…」

澪「……」

紬「それはさすがにちょっと…」

唯「なんていうか…」

220: 2009/11/02(月) 19:50:54.62 ID:zU9UALNW0
律「すごいだろ!?
 その男たちって別に変な奴らじゃなかったんだぜ?
 うちらの学年じゃあ結構女子から人気のある奴らばっかりでさ

 それを澪の奴…」

紬「澪ちゃんって…すごかったのね…」

唯「私は告白されたことすらないのに…」

澪「え!?なんで!みんなどん引きなの!?」

律「そりゃあ…
 告白した側としたらそんなことされたと思ったら…」

唯「うぅ…うぅぅぅぅ…」

紬「ゆ…唯ちゃん!どうしたの!急に泣き出して!?」

221: 2009/11/02(月) 19:52:51.42 ID:zU9UALNW0
律(ムギ…それはダメだ!深く追求しちゃダメだ…)

239: 2009/11/02(月) 23:30:57.28 ID:zU9UALNW0
律「ともあれ、梓が年下と付き合ってるって言ってただろ?
 正直これは盲点だった。」

紬「どういうこと?」

律「いや、男は自分よりも年下にもいるんだな…って!」

唯「年下の男の子に目覚めたの!?
 りっちゃん敵に年下の男の子はありなの!?」

律「いや、私よりも澪の方。」

澪「へ?私?」

240: 2009/11/02(月) 23:39:59.43 ID:zU9UALNW0
律「澪ちゃん的にはー、年下の男の子ってどう?」

澪「な…何訳の分かんないこと言ってるんだ!?」(ガタッ

紬「澪ちゃん!どこへ?」

澪「…お手洗い…(///」

紬「あ…ご…ごめんなさい…」

242: 2009/11/02(月) 23:45:25.54 ID:zU9UALNW0
律「ちょうど澪もいなくなったし二人に聞いて欲しいことがあるんだ。」

唯「なになに?」

律「二人は澪に恋愛経験がないのってどう思う?」

唯「どうって…」

紬「澪ちゃんは男の子恐怖症みたいなものだから…なかなか男の子と親しくなれないのが原因じゃないかしら?」

律「そうなんだ。
 澪って男をすごく怖がってるから
 なかなか恋愛しようってまで仲良くなれないんだ…」

 「澪ってあんな見た目だろ?
 子供のころからすごく目立つ女の子でさ、
 小学校…いやその前からかな?男子にすごく人気があって…」

紬「分かる気がするわ…」

243: 2009/11/02(月) 23:55:27.34 ID:zU9UALNW0
律「けどさ…小学生男の子の好きの表現って、
 好きだからいじめちゃう…みたいなことが結構あってさ…」

唯「あー、そういうのあるよね。」

律「それで、元々引っ込み思案だったのに
 ずっといじめられ続けるみたいな形になっちゃって、
 ますます、男子と関わり合いになるのも嫌になって行ったみたいで…」

紬唯「……」

律「でもさ、澪って、すごく恋愛に憧れてるだろ?
 さっき話してたみたいな、絵に描いたような恋愛に…」

 「けどさ…今みたいに男が苦手なままじゃあきっと、ずっと、
 ちゃんとした恋愛なんてできなくなっちゃうと思うんだ…」

244: 2009/11/02(月) 23:56:15.72 ID:zU9UALNW0
律「だから、澪でも男を怖がらないで恋愛できるようになるんじゃないかと思って
 それで…もし二人にちゃんとした恋愛経験があったら
 澪に話してやってほしいと思ってたんだけど…」

唯「それで突然彼氏がいるかなんて話をしてきたんだ?」

律「ん…まぁ…」

紬「それなら、りっちゃんがお話しすればよかったじゃない?」

律「いや…私の場合は…どっちかと言うと
 うまくいかない話しかできないからさ…
 唯やムギ…あと梓もだけど…なら澪が恋愛したい!って思えるような
 経験があるんじゃないかと思って…」

唯「りっちゃん…」

245: 2009/11/02(月) 23:58:39.69 ID:zU9UALNW0
律「でも意外と二人とも役に立たなかったけどなw」

唯「その点に関しては私もどっちかと言うとりっちゃん寄りの方だからw」

紬「私は中学の頃から女子高だったから、男の子とはあまり知り合う機会がなかったし…」

律「いや、でも、梓のおかげでちょっと思いついたことがあるんだ。」

唯「何?」

246: 2009/11/03(火) 00:03:09.27 ID:3vpF6MKX0
律「多分澪のことだからいくら年下と言っても初対面だと
 緊張してまともに話もできないと思うんだ。」

紬「多分男の子じゃなくてもそうだと思うわ。」

律「ところが!
 今まで私も気付いてなかったけど私の知る限りでは一人だけ、
 父親ほど歳が離れてる訳ではないにもかかわらず
 普通に話したり遊びに行ったりできる男がいたんだ!」

唯「嘘!?
 あの澪ちゃんが!?」

紬「信じられない!」

247: 2009/11/03(火) 00:07:13.12 ID:3vpF6MKX0
唯「誰なのそれ!?」

律「ふふふ…聞いて驚け!
 なんと澪は私の弟相手だと
 怯えたり逃げ出したりしないで
 いつも通りに振る舞うことが出来るのだ!!」

唯紬「おー!」

250: 2009/11/03(火) 00:17:59.07 ID:3vpF6MKX0
律「澪って元々私の家にしょっちゅう来てて弟とも面識があったんだけど
 弟が澪に憧れてるらしくて、中学入ったころから
 澪が来てるとや用もないのに私の部屋に来たりしてて…w」

 「だから、弟の方は問題ないと思うからさ!
 澪の男嫌いを治すためにも、普通に恋愛できるようにするためにも、
 二人に協力してほしいんだ!」

紬「協力と言っても…」

唯「澪ちゃんがりっちゃんの弟君と仲良くするお手伝いをすればいいの?」

律「そういうこと!
 うちの弟…あ、聡って言うんだけど…
 まだまだ全然子供っぽいけどさ…
 姉のあたしが言うのもなんだけど、いい奴だからさ。」

251: 2009/11/03(火) 00:18:46.13 ID:3vpF6MKX0
律「澪と聡が付き合ったりしたら嬉しいような悲しいような気がするけど…
 悪くないと思うんだ。

 さっきも話したみたいに弟の方は昔からずっと澪に憧れてたし、
 澪だって聡のことを悪くは思っていないと思うから!」

紬「澪ちゃんのためになるなら…」

唯「うん!私たち協力するよ!」

律「へへ…ありがと!
 なんか嬉しくなったら私までトイレに行きたくなってきた!w」

紬「女の子としてその発言はどうかと思うわ…りっちゃん…」

252: 2009/11/03(火) 00:21:38.71 ID:3vpF6MKX0
澪(戻ってきて黙って座る)

律「澪―、ずいぶんと長かったな大きいほ」(げんこつ

澪「そういうことを大声で言うなー!」

律「じゃあ小声でならいいの?」(げんこつ

澪「いい加減にしないと怒るぞ!」

唯紬(ここまでして怒っていないって言うの!?(汗)

253: 2009/11/03(火) 00:26:27.13 ID:3vpF6MKX0
律「そんじゃあ、今度は私が行ってきますわん、お便所に!」

澪「律ーっ!?」

律「おほほほほ~!」

澪「なんかおかしいぞ、律の奴!」

紬「まあまあまあまあまあまあ」

澪「でも、ちょうどいいか。
 律もいないし二人に話しておきたいことがあるんだ。」

唯「え…?」

254: 2009/11/03(火) 00:36:59.42 ID:3vpF6MKX0
唯「もしかしてりっちゃんとりっちゃんの弟君を付き合わせようって話ですかーっ!?」

澪「??いや、律の弟の話には違いないんだけど…
 梓の彼氏の話なんだけど…」

紬「梓ちゃんの?」

澪「あぁ…二人は写真で見たと思うけどさ…あいつ…律の弟なんだ!」

唯紬「!?」

紬「…あの…他人の空似とかじゃないの…?」

澪「いや、着てる服とか持ってるかばんまで同じだったし…
 聡…あ、律の弟のことなんだけど…は私にとっても幼なじみだしさ…
 絶対に見間違うことなんてないよ!

 梓が律にだけ見せたくないって言ったことから考えても間違いないと思う。
 あれは律の弟の聡だと思う!」

255: 2009/11/03(火) 00:46:56.52 ID:3vpF6MKX0
紬「……で、私たちに話したいことって言うのは?」

澪「今日、梓の奴わざわざ律にだけは分からないようにしてただろ?
 多分、まだ聡と付き合ってることを律には内緒にしておきたいと思ってると思うんだ!

 梓は、私たちの後輩だし…聡はさ、私にとっても幼なじみで弟みたいなものだから…
 出来れば、幸せになってほしいから…

 二人には、梓から言い出すまでそのことを律に黙ってて欲しいんだ!
 それと…もしできるなら…二人の事を応援してあげて欲しいんだ…」

唯「……」

紬「……」

唯「どうしよう…ムギちゃん…」

286: 2009/11/03(火) 19:58:55.95 ID:3vpF6MKX0
梓「聡くん!おーい!」

聡「梓さん!」

梓「待った?」

聡「いえ、今来たところです!」

梓「本当?」

聡「あ…いえ…実は待ち遠しくて…ちょっと待ってました…」

梓「私も。聡くんに会えるのが待ち遠しかったから…」

288: 2009/11/03(火) 20:03:53.91 ID:3vpF6MKX0
聡「そこのベンチに座りませんか?
 あ、俺何か飲むもの買ってきますけど、何かリクエスト、有りますか?」

梓「あ…それじゃあ…一緒にいこ!」

聡「は…はい!」

梓(……手はつないでくれないのかな?
 手をつなぎやすいように左手は出してるのに…)

聡(こ…ここは…手をつないだ方がいいんだろうか!?
 いや…まずいかな?大丈夫かな?
 でも、どのタイミングで?
 いきなり手を握っても良いのかな?
 ど…どうしよう…!?)

梓「……自販機、着いたね」

聡「え!?あ…はぁ…」

289: 2009/11/03(火) 20:12:15.57 ID:3vpF6MKX0
梓「今日は寒いね。
 あったかい飲み物がおいしい。

 あ、今日部活で食べたお菓子がおいしかったから一個余ったのを貰ってきたんだ。
 一緒に食べよ?」

聡「え…でもいいんですか?
 折角もらってきたのに…」

梓「聡くんと一緒に食べたかったから貰ってきたんだから。
 ほら、半分こして…
 こうすれば二人で食べれるよ。」

聡「ありがとうございます。
 (ぱく)
 ほんとだ!うめぇ!」

梓「えへへ…」

291: 2009/11/03(火) 20:28:46.90 ID:3vpF6MKX0
梓(急いで食べるから…ほっぺにおべんとうが…
 これって…とってあげた方がいいのかな?

 ……(想像中)……

 (//////
 恥ずかしすぎる!!)

聡(真っ赤になって表情を変えてる梓さんもかわいいなぁ…)

294: 2009/11/03(火) 21:25:41.17 ID:3vpF6MKX0
聡「それでこんな事があって~…あいつほんとにバカだからwww」

梓「でもそれをバカって言うのはかわいそうだよw」

(prrrr...prrrr...

梓「ごめん…電話だ…」
(Pi
 「あ…うん…すぐ帰るよ。
 えーっと…ん、軽音部の先輩と寄り道してたから…
 うん、ごめん。うん、すぐ帰るよ。」
(Pi

梓「お母さんが早く帰って来なさい…って…
 もう8時だもんね…」

聡「そっか…」

梓「ごめんね…今日は沢山の話できて楽しかったよ。」

 (けど…今日は一回も聡くんに触れてない…
 手もつないでもらえなかったし…
 ハグもしてもらえなかったし…
 キ…キスも…出来なかったし…

 少しだけでいいから…聡くんに触れたい…)

295: 2009/11/03(火) 21:30:39.40 ID:3vpF6MKX0
聡「あの!あず…梓さん!?」

梓(どうしたんだろ…聡くん?
 このすごい速さで独読言ってる音はなんだろう?)

聡「あの!こんなしがみつかれると…なんか…!」

梓「え!?」
 (なんで聡くんの顔がこんなに近くにあるの!?
 え!?私聡くんに寄りかかって…胸に顔埋めて!?
 この音って聡くんの鼓動!?)

 「―――-!?」
 (な…何やってるの私!?
 いきなり無意識でこんなことして!
 聡くんに変な女だと思われちゃう!
 いや!聡くんに嫌われちゃう!?)

 ダダッ!

あずさはにげだした

299: 2009/11/03(火) 22:02:52.47 ID:3vpF6MKX0
聡「あ…梓さん!」

さとしはまわりこんだ

(ぎゅっ

聡「な…なんでいきなり逃げ出すんですか!?」

梓「だって!だって!私今すごく変なことしたし!
 聡くんに嫌われるんじゃないかって!?」

聡「いや…俺としてはちょっと…いやかなり嬉しかったんですけど…」

梓「え・・・え?」

聡「あ…いや…あ…荷物…ギターとか忘れちゃいけないから…
 ベンチまで戻りませんか?」

梓「う…うん…」

300: 2009/11/03(火) 22:06:16.57 ID:3vpF6MKX0
梓(あ…手…握ってくれるんだ…)

聡(梓の方を横見に見て)
 「………」

梓「こうするとあったかいね。」
 (聡の手を引いて体を寄せる)

聡「はい…」

梓「えへへ…」

303: 2009/11/03(火) 22:22:26.08 ID:3vpF6MKX0
梓「ねえ聡くん。」

聡「はい?…(///」

梓「聡くん。」

聡「梓さん…」

梓「恋をするって不思議だよね…
 ただ名前を呼ぶだけで…聡くんの名前を呼んでるだけで幸せな気分になれるんだから…(///」

聡「まだ、デートって言っても近所の公園のベンチで
 話をするくらいしかできないけど…
 俺も一緒にいるだけで、話をするだけで…すごく幸せです。」

梓「うん!」

306: 2009/11/03(火) 23:31:50.99 ID:3vpF6MKX0
聡「ただいまー」

律「お帰り~遅かったな、ご飯は?」

聡「まだだけど…」

律「そんじゃあ一緒に食べるか!}

聡「う…うん…」

律(さて…こいつと澪をどうやってくっつけてやろうか!)

308: 2009/11/03(火) 23:41:59.28 ID:3vpF6MKX0
律「最近遅いけどさ、こんな時間まで何やってんの?(モグモグ」

聡「と…友達と話しこんでて…(モグモグ」

律「また遊戯王カードか?
 そんなんじゃ女の子にもてないぞ?」
 (私としてはそっちの方が助かるけどね!)

聡「別に…そんなもてたくないよ…」
 (梓さんさえいてくれれば…別に)

律「なに言ってんだ!そんなこと言ってると…」

聡(なんか微妙にうざいな)
 「あ!この映画面白そうだな!」

律「あー、最近よくCMやってる奴だな…行きたいの?」

聡「そうだな…
 と…友達と一緒に…見に行こうかな?」

律「友達って…鈴木くんとこの間のあの子?」

聡「え…あ…そう…かな…?」

律「………私と見に行かない?」

聡「は?」

311: 2009/11/03(火) 23:58:01.77 ID:3vpF6MKX0
律「いや、私もこの映画見たいしさ、
 もしアレだったら連れてってやるよ」

聡「いや、いいよ!」
 (別にこの映画を見に行きたい訳じゃないんだって!
 この映画を梓さんと二人で見に行きたいのに!!)

律「遠慮すんなって!
 この前みたいに一緒に見に行こうぜ!」

聡「いや、いいから。
 友達と行くから!」

律(この野郎…いっちょ前に反抗期のつもりか?
 そっちがその気なら…)
 「聡の机の一番上の引き出しの澪の写真ってさー…」

聡「ね…姉ちゃん!
 映画!映画行こうよ!!
 たまには姉弟水入らずってのも大事だよね!!」

314: 2009/11/04(水) 00:26:44.59 ID:+aJW9/7v0
翌日――――

律「…と、言うことで聡と映画見に行くことになってるんだけど…
 その日、クラスの友達と遊びに行くからいけないんだわ。
 な、唯、ムギ!」

唯「え…え―っと…」

律(バチ!バチッ!←澪に見えないようにウィンク

紬「そうね!
 クラスの友達と遊びに行くから
 りっちゃんはその日聡くんを映画に連れていけないわ!」

澪「へー…でもクラスの友達じゃあ私も…って訳にはいかないよな?」

紬「そう!澪ちゃんの知らない子も来るから!」

317: 2009/11/04(水) 00:37:39.82 ID:+aJW9/7v0
律「そこで澪にお願いがあるんだ!」

澪「私に?なんだ、一体?」

律「その日、聡を映画に連れてってあげて?」

澪「は?」

律「いやぁ…一応約束した手前、聡を映画に連れてってやらない訳にはいかないだろ?
 だから澪に私の代わりに聡の面倒を見てやってほしいんだ。」

紬「そうよね!私たちはその日用があるから、
 澪ちゃんにお願いするしかないわ!」

律(よし!ナイスだムギー!
 ナイスフォローだぞー!
 そのまま澪と聡の二人で映画を見に行くように仕向けるんだ!)

澪「そういうことなら仕方ないか…」

唯「ちょっと待って、澪ちゃん!」

320: 2009/11/04(水) 00:46:23.53 ID:+aJW9/7v0
澪「??どうした、唯?」

唯「た…確かその映画あずにゃんも見たいって話してたよ!
 聡くんの面倒、あずにゃんに見てもらったらどうかな!?」

梓「え…私は…別に…」

澪「そうなのか!?
 確かにそれなら聡にとっても梓にとっても一石二鳥だな!
 今回は梓にお願いしないか!?」
 (唯!ナイスフォロー!!)

律「…って梓って聡にとっては見ず知らずの人なんだから
 一緒に映画と言われても困るだろうが?
 ここは勝手知ったる昔馴染みの澪が連れて行ってやるべきだと思うんだ!」
 (唯の奴…どういうつもりだ?)


341: 2009/11/04(水) 19:31:27.49 ID:+aJW9/7v0
梓「あ…でも…わ…私は別にかまいませんよ。
 律先輩の弟さん…聡くん…でしたっけ?を映画に連れてってあげるくらい。」

律「でも…梓はやっぱやめといたほうがいいと思うわ。」

唯「なんで!?」
 (もしかしてあずにゃんと聡くんが付き合ってるのに感づいて…!?)

律「いや…梓の彼氏って年下だって言ってただろ?
 いくら先輩の弟と言っても彼氏と同じような年の男と二人で映画見に行くってのは…
 その気はなくても浮気させてるみたいで…私が気にしちゃうから…」

唯(あずにゃんの彼氏に気を遣って!?
 りっちゃんの心遣いが憎い!!)

343: 2009/11/04(水) 19:53:32.12 ID:+aJW9/7v0
澪「まー、そういうことなら映画に連れてく位は構わないけど…
 私と言っても聡も面白くないんじゃない?」

律「そんなことないって!
 お詫びにこれ!
 カラオケとボーリングのカップル割引券があるから
 聡と遊んで来てくれ!」

澪「これ…クーポンマガジンの奴だろ…」

346: 2009/11/04(水) 19:59:07.53 ID:+aJW9/7v0
梓「……」

唯「あ…あずにゃん!
 私、屋上で練習したいから付き合ってくれない!?」

梓「はぁ…屋上ですか?」

唯「屋上デビューよー!」

梓「あ!待ってください!唯先輩!」

347: 2009/11/04(水) 20:02:31.40 ID:+aJW9/7v0
律「…唯の奴何やってんだ?」

紬「でも…屋上は分からないけど、公園に行くと楽器の練習してる人とかいるわよね?」

澪「多いのはサックスとかトランペットだけどなw」

律「お…もしかして澪も公園でベースの練習したりしてるの!?」

澪「ばっ!?…そんな恥ずかしいこと出来るか!?
 あれは練習してるように見せかけて自分の演奏をアピールしてるんだから!」

紬「そうなの?」

澪「そうだよ…だから…少しはうまい人じゃないとなかなか公園で練習なんてできないんだよ!」

349: 2009/11/04(水) 20:28:50.51 ID:+aJW9/7v0
― おくじょう! ―

唯「ねーあずにゃん。」

梓「なんですか?こんな寒い中屋上に来て…」

唯「あずにゃんの彼氏ってりっちゃんの弟の聡くんなんだよね?」

梓「!?
 …な…なんでそのことを…?」

唯「澪ちゃんから聞いたんだ。
 可愛い子だよね~」

梓「あの…そのことは皆さんご存じなんでしょうか…?」

唯「知ってるのは私とムギちゃんだけだよ?」

梓「そうですか…良かった…」

唯「やっぱりりっちゃんには知られたくないんだ?」

梓「いえ!そんな訳では!?」

351: 2009/11/04(水) 20:37:38.29 ID:+aJW9/7v0
唯「あずにゃん。
 私はどんなことがあってもあずにゃんの味方だから
 がんばってね!」

梓「唯先輩…」

唯「えへへ~
 じゃあ練習しよ!あずにゃん!」

354: 2009/11/04(水) 21:55:43.95 ID:+aJW9/7v0
律「しっかしさ―…」

澪「どうした、律?」

律「彼氏か…」

紬「どうしたの、突然?」

律「いや…梓には彼氏がいるんだよなー…って。」

澪「何言ってるんだ?」

律「だって私たち唯も含めて誰も彼氏いたことないじゃん!
 うがー!うらやましーぞー!!」

紬「まぁ…そうねえ…
 女子高って出会いのないグループって本当に出会いがないから…」

373: 2009/11/05(木) 04:38:55.48 ID:M/nsaIcj0
律「ところでさー、当日はどんな服着てくの?」

澪「別に…普段着のつもりだけど…」

律「…もうちょっと気合い入れていかないか?」

澪「え?だって聡と出かけるだけだぞ?そんな気合い入れてどうするんだよ。」

紬「でも相手が誰でも、せっかくお出かけなんだから少し位おしゃれして
 メイクをしていくのはエチケットだと思うの。」

澪「そんなもんかなぁ?」

紬「澪ちゃんお出かけのときでもほとんどメイクもしないでしょ?
 少し気にするだけでずいぶん変わるわよ。」

律「着る物にも少しは気を遣っていかないとな。」

澪「え…いや…メイクはともかく着る物には私なりに気を遣ってるつもりなんだけど…」

律「え…?」

紬「え…?」

374: 2009/11/05(木) 04:43:17.51 ID:M/nsaIcj0
律「でも、そういうムギもあんまり化粧してるイメージないけどな。」

紬「あまり派手なメイクはちょっと…
 でも、うちはお客様がいらっしゃることも多いから
 メイクする機会は多いの。」

澪「なるほどなー…
 私も律もそういうのは縁がなかったからな」

376: 2009/11/05(木) 04:52:26.97 ID:M/nsaIcj0
――――練習後

律「と、いうことでこの後澪の服を選びに行くんだけど一緒に行かない?」

唯「澪ちゃんのお洋服!?行く行く~!!」

梓「私はちょっと…」

律「今日もデートか~?」

梓「いえ…あの…」

律「隠すな隠すな。
 頑張ってこいよ。」

梓「…がんばるって何をですか…」

377: 2009/11/05(木) 04:57:53.89 ID:M/nsaIcj0
紬「澪ちゃんってもう少し体のラインが出やすいお洋服が似合うと思うの。」

澪「え…いや…あんまりそういうのは…」

唯「どうして?」

澪「なんか…すごく人から見られるから…恥ずかしいし…」

律「澪はスタイルいいからな~」

唯「そうだよね~
 もし私が澪ちゃんくらいスタイルが良かったら
 一年中水着で暮らすのに。」

律「よかった、唯が普通の体型で…」

381: 2009/11/05(木) 05:12:31.48 ID:M/nsaIcj0
紬「これなんかどうかしら?」

唯「それだったらスカートはこれを合わせるとかわいいかもー
 ちょっと着てみてよ、澪ちゃん!」

………
……


澪「ど…どう?」

律紬唯「……」

澪「…やっぱりおかしいかな?」

紬「そんなことない!すごく似合ってるわ!!」

律「うん、似合ってるぞ、澪。
 道ですれ違ったら女の私でも思わず振り向きたくなるぞ!」

澪「そう…かな・・・?」

紬「これで、メイクも決めたら、聡くんもイチコロね!」

唯「…え?」

437: 2009/11/06(金) 23:18:06.30 ID:8+NaWPho0
聡「姉ちゃんの奴…一緒に家出ればいいのになんでわざわざ外で待ち合わせなんだよ!?」

………
……


(回想シーン)

律「おい聡!明日のデートだけどさぁ…」

聡「デート!?
 いや…姉ちゃんと映画見に行くのにデートとか…キモいんだけど…」

438: 2009/11/06(金) 23:19:01.73 ID:8+NaWPho0
律「なんだ聡私のこと嫌いなのか?」

聡「別に嫌いじゃないよ。
 嫌いな奴と映画見に行ったりしないだろ?」

律「嫌いじゃないなら好きなんだろ?
 好き合ってる男女が一緒に出かけるならデートだろ?
 で、デートだから、外で待ち合わせしたいんだ?」

聡「言ってる意味が分からないんだけど…
 別に家から一緒に出かければいいじゃん?」

律「待ち合わせることに意味があるんだよ!
 大丈夫!明日のこの時間には聡は絶対私のことを感謝してるはずだから!」

聡「もう…どうでもいいや。
 じゃあ待ち合わせればいいんだね?
 どこに何時に行けばいいの?」


……
………

聡「と、言う訳で待ち合わせ場所に来たけど…」

439: 2009/11/06(金) 23:22:52.77 ID:8+NaWPho0
澪(今朝は出かける前になぜか律とムギが来て
 着るもののコーディネートとメイクもしてくれて…靴とバッグまで借りてしまった…
 なんか…変じゃないかな…?

 あ…あそこにいるのは聡!)

 「聡!おーい、聡―!」

聡「…?」

澪(え?何この怪訝そうなリアクション?)

聡「!!もしかして澪姉!?
 え…どうしたのそんな…え!?」

441: 2009/11/06(金) 23:26:48.06 ID:8+NaWPho0
澪「あ…やっぱり変だったかな…?」

聡「いや!変なことなんてないよ!?
 なんつーか…いつもの雰囲気が違ったから見違えたというか…」

澪「……?」

聡「つか…澪姉のスカートって最近見慣れてなかったし…」

澪「スカートにはちょっとトラウマがあるから制服以外ではあまり着ないようにしてたんだ…」

聡「へ?」

澪「あ、聡は知らないの!?
 じゃあ気にしないで!!お願いだから!!」

聡「いや…じゃあ…分かったけど…」

443: 2009/11/06(金) 23:32:03.17 ID:8+NaWPho0
聡「つか、今日姉ちゃんと一緒に出かけるはずだったんだけど…なんで澪姉が?」

澪「へ?律から聞いてないの?
 今日は都合が悪くなったから聡の面倒見てくれって言われたんだけど」

聡「聞いてないよ…つか、ドタキャンかよ…
 さすが姉ちゃんだな…」

澪「もしかして聡も私と映画見に行くなんて嫌だった・・・?」

聡「そんなことないから!すげー嬉しいから!!」

451: 2009/11/07(土) 06:44:32.31 ID:ctN35vut0
―――映画の後二人で食事中

澪「思ったよりも恋愛要素が強くて面白かったな」

聡「うん、そうだね…」

澪「……本当は梓と来たかった?」

聡「ブー!?(飲んでたものを噴き出す)
 ゲホゲホ…な…なんでそれを…!?」

澪「梓に教えてもらった…付き合ってるんだろ?」

聡「まぁ…うん…それってやっぱり姉ちゃんも知ってるの…?」

澪「その点は安心して大丈夫だよ。律はまだ知らないから。」

聡「そっか…良かった…」

澪「律に知られるのは嫌なの?」

聡「え…なんか…恥ずかしいじゃん…」

澪「そんな恥ずかしがることでもないだろw」

聡「それを澪姉が言うの!?」

澪「あはは…」

453: 2009/11/07(土) 07:35:25.83 ID:ctN35vut0
―――よくじつ!

澪「…で、カラオケボーリングと行って、その後一緒にゲーセン行ってきたんだ。
 うん、楽しかったよ。」

律「聡も楽しんでたみたいだし
 もしよかったらまた度っか連れてってもらえる?」

澪「そうだな。また時間があったら遊びに行きたいな。
 そういえば聡ってゲームうまいんだな!」

律「あいつゲームとかアニメとか好きだからなー
 歌ったのもアニソンばっかだったんじゃない?」

澪「あ、でも意外と歌うまかったよ…」

がちゃ「ドア」

梓「こんにちは~」

律「おっす、梓!」

454: 2009/11/07(土) 07:44:18.40 ID:ctN35vut0
梓「ずいぶんと盛り上がってますね。
 なんの話です?」

律「昨日澪がうちの弟と遊びに行った時の話をしてたんだ~
 梓も昨日はデート?」

梓「いえ…昨日は彼用事があったので…」

律「そうだったんだ?
 そんじゃー今日は澪の武勇伝をテーマにしますか!」

澪「いや…そういうのは…あんまり人に話すものでは…」

律「どうした?さっきまで楽しそうに話してたのに?」

澪「いや…その…」(梓を横目に見る)

梓「…いいじゃないですか、そんなに恥ずかしがらなくても。
 聡くんにとって澪先輩は  お 姉 ち ゃ ん み た い な も の
 …なんですから。」

456: 2009/11/07(土) 07:47:19.98 ID:ctN35vut0
梓「私…用事を思い出したので…ちょっと席はずしますね」

澪「あ…ああ…」

律「なんか梓の奴…えらいトゲのある言い方だったな。」

澪「……」

律「もしかしたら大好きな澪先輩を取られちゃうかも~…って嫉妬してるのかもなw」

澪「……」

460: 2009/11/07(土) 09:24:34.76 ID:xV90b4AN0
―――一ヶ月くらい後

唯「澪ちゃん…この間もまた、聡くんと二人で遊びに行ったの?」

澪「ん?うん。ご…誤解するなよ!姉として一緒に出かけただけだから!
 それに聡にはちゃんと梓のこともフォローしておいたし。」

唯「それでも、だよ!もう、二人で遊びに行くのやめてほしいんだ…
 聡くんも澪ちゃんと遊びに行ったことは隠そうともしないし
 あずにゃん凄く苦しんでるから…

 澪ちゃん、あずにゃんのこと応援してくれるって話してたでしょ?」

澪「あ…うん…
 そっか…それじゃあ、二人で遊びに行くのはやめた方がいいな…」

唯「ごめんね、澪ちゃん…」

澪「なんで唯が謝るんだよ…」


463: 2009/11/07(土) 09:29:45.90 ID:xV90b4AN0
澪「あ、もうみんな来てたんだ?」

律「おっす、澪に唯!
 どうしたんだ二人して、内緒の話でもしてたのか?」

唯「んふふ~澪ちゃん一人占めしてたんだ~
 りっちゃんまたやきもち妬いちゃう?」

律「ば…あれは別にそんなんじゃないの!
 それに澪を一人占めなんかしたら私より聡の方が妬くんじゃないの?w」

澪「あ…そ…そんなことないんじゃないかな…」

梓「………」

464: 2009/11/07(土) 09:49:09.72 ID:xV90b4AN0
律「でも最近澪と聡凄く仲良くしてて…なんか昔を思い出した。」

紬「何かあったの?」

律「聡が小学校入る前くらいまで二人、ほんとの姉弟みたいに
 すっごく仲が良くてさ、結婚の約束とかしてたの思い出してw」

澪「そ…その話はやめろ!律ー!」

紬「あら、素敵じゃない!」

唯「で…でも子供の頃のお話でしょ?」

律「そうなんだけど、その時の話が傑作でさー…」

澪「やめろ―りーつー!(泣き)」

紬「どんなお話だったの?」(律を止めようとする澪を律引き離しながら)

465: 2009/11/07(土) 10:03:19.92 ID:xV90b4AN0
律「小学校の頃私と澪ほとんど毎日遊んでてさー
 で、澪が毎日うちにいるから聡の奴自分には姉ちゃんが二人いるって思ってたみたいでw」

紬「澪ちゃんのこともお姉ちゃんだと思ってたのね?」

律「そうそう!
 だから毎日夕方になって自分の家に帰るのが不思議だったんだって。」

紬「可愛いわねぇ」

律「いつだったか、うちで盛り上がっちゃって凄く帰りが遅くなったことがあって、
 澪のお父さんが迎えに来てくれたんだけど、
 聡の奴その日はずっと澪と一緒にいれると思って舞い上がってたんだろうな
 『みおちゃんをつれてくな!ひとさらい!』…っておじさんに殴りかかってさww」

紬「あら!」

澪「律ーやめてぇぇぇ」

梓唯「………」

467: 2009/11/07(土) 10:12:59.80 ID:xV90b4AN0
律「殴りかかると言ってもまだ小学校に上がる前だし聡は特に体も小さい方だったからさ
 もちろん、大騒ぎすることじゃないんだけど『みおちゃんにげてー!』って大泣きしちゃってさ

 その後聡がおじさんに謝りに行ったんだけどおじさんに言われたんだ。
 あ、私と澪はたまたま居合わせただけなんだけど。

 『澪はおじさんの家の子だからさとくんの家族じゃないけど、
 おじさんとおばさんも最初は家族じゃなかったけど
 結婚したから家族になったんだよ。

 さとくんのお父さんとお母さんもそうなんだよ。
 みんな結婚して、今は家族になってるだろ?

 だからさとくんが将来澪をお嫁さんにすれば、
 本当の家族になってずっと一緒にいられるよ。

 さとくんは澪と結婚するかい?』

 …って。

 聡も『おとなになったらみおちゃんをおよめさんにする!』…って」

469: 2009/11/07(土) 10:29:35.15 ID:Mlt9+rM00
澪「ああ…」

律「そん時の澪、かわいかったなー!
 真っ赤になって涙目でどぎまぎするだけで…」

紬「今もその辺りは変わってないわね。
 ちっちゃい澪ちゃんが動揺してるの姿が目に浮かぶわ。」

梓「……」

唯「…で…でも、子供の頃のお話だよね!
 そういう思い出は誰にでもあるよね!」

律「でも、子供の頃と言っても私たちはもう10歳くらいで完全に物心ついてたし
 澪もまんざらじゃなかったんじゃないの?」

澪「いや…それは…その…」

梓「……」

472: 2009/11/07(土) 10:43:02.28 ID:Mlt9+rM00
律「でも、本当に澪が聡と結婚してうちに来たら…うちのお父さんとお母さんも喜ぶだろうし、
 私が嫁に行くのが遅れるかもなw」

澪「何言ってるんだよ!」

律「澪が嫁に来てくれたら一番喜ぶのは聡だろうけどな!ww」

澪「……」(梓の方を見る)

梓「……」

澪「そ…そんなことないだろ…」

481: 2009/11/07(土) 12:51:05.44 ID:OSWeoaDE0
梓「…なんか、澪先輩って律先輩のご家族とも仲いいんですね…」

律「まーな!何しろ幼馴染だし!
 昔はうちの家族旅行に澪がついてきたりしてたんだぜ!」

紬「それじゃあ聡君が家族だと勘違いするのも仕方ないわね。」

澪「ああ…まぁ…」

梓「もし澪先輩がその気になったら私じゃあかなわないかも…」

唯「あずにゃん!?」
澪「梓!?」

律「何?何の話?」

梓「なんでもないです…」

律「…?」

482: 2009/11/07(土) 13:02:31.50 ID:OSWeoaDE0
―――それから半月後、ある日曜日

澪(…退屈だな…そういえばここのところは毎週聡と遊びに行ってたんだっけ…

 誰か空いてないかな…
 梓は…聡とデートだって言ってたっけ…
 律と唯はどことなく顔を合わせ辛いな…

 ムギに電話してみるか…)

(prrr prrr

紬「もしもし、どうしたの、澪ちゃん?

澪「いや、あまりに暇だったからさ…
 もしよかったらお茶でもしない?」

紬「今日は空いてるから大丈夫よ。
 もしかして私に相談がある…とか?」

澪「相談?
 いや・・・特にそういうわけでもないんだけど…」

483: 2009/11/07(土) 13:11:33.27 ID:OSWeoaDE0
紬「おまたせー」

澪「悪いな、せっかくの休みの日に。」

紬「気にしないで!
 今日はりっちゃんはいないのね?
 やっぱりりっちゃんにはお話しにくいこと?」

澪「は…?いや、特にそういうつもりじゃないんだけど
 ただ…最近は顔を合わせると聡のことばっかり聞いてくるからさ
 顔を合わせづらくって…」

紬「澪ちゃん、ここ一時期はすごく楽しそうにしてたのに
 最近はちょっと落ち込んでるわね?」

澪「そう…かなぁ?」

紬「私ね…澪ちゃんの味方をしたいと思ってるの。」

澪「味方って…何言って…」

486: 2009/11/07(土) 13:24:08.82 ID:mOodNXEE0
紬「澪ちゃんが聡くんと二人で遊びに行ってた時期の澪ちゃんはすごく楽しそうで
 そんな澪ちゃんを見るのが嬉しくって…」

澪「別にそんなつもりは…」

紬「いくら年下の幼馴染でも男の子と遊びに行った話を
 男の子が苦手な澪ちゃんがあんなに楽しそうにしてるのを見ると
 澪ちゃんも聡くんのこと好きになってきてるんだ…って思えたもの。」

澪「でも…聡は梓と…」

紬「好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない。
 以前澪ちゃんは聡くんと梓ちゃんのことを応援してあげてほしいって
 私たちに話してくれたけど…ごめんなさい…その約束は守れなさそう。」

澪「じゃあ梓はどうするんだよ…」

紬「梓ちゃんのことも大好きだから不幸なことになったらつらいけど…
 でもね、私思うの。
 今、澪ちゃんが男の人を好きになれる自分の気持ちを押さえ込んじゃったら
 もしかしたら二度と男の人を好きになれなくなっちゃうんじゃないか…って。

 もしそうなったら…すごく不幸だな…って。」

492: 2009/11/07(土) 13:35:01.52 ID:mOodNXEE0
紬「ここ最近、聡くんと遊びに行かなくなったのは
 梓ちゃんに気を遣って…でしょ?」

澪「……」

紬「梓ちゃんやりっちゃんや唯ちゃん…みんなの気持ち、
 そういうのはひとまず置いておくとして、
 澪ちゃん自身はどうしたいの?」

澪「……そっか…これが男の子を好きになるってことだったんだな…
 ずっと…自分は男の子と仲良くなんてなれなかったから…
 もしかしたら一生恋なんてできないかも知れないって不安だったけど…」

紬「澪ちゃん、がんばってね!」

493: 2009/11/07(土) 13:41:03.85 ID:mOodNXEE0
―――その夜

(prrrr prrrr

聡「もしーどうしたの澪姉?」

澪「聡!来週、デートしないか!?」

聡「デートぉ!?
 な…なにそれ!?」

澪「そんなに驚くなよ。
 別に特別なことするわけじゃないよ。
 これまでみたいに二人で遊びに行こうって言ってるだけだよ。」

聡「遊びに行くのはいいけど…来週は…」

澪「梓とデートか?」

聡「うん…」

澪(チク
 (なんでこんなに苦しいんだ…前からわかってたことじゃない…)

494: 2009/11/07(土) 13:46:20.58 ID:mOodNXEE0
澪「じゃあ再来週!
 いや、土曜日でもいい!平日、学校が終わってからでもいいからさ!」

聡「うん…それじゃあ今度、一緒に遊びにいこ」

澪「ありがとな、聡!
 じゃあ…切るね…おやすみ…」

(pi←電話を切る音

澪「やった…うふふ…
 はーすっごくドキドキした!
 えへへ…」

503: 2009/11/07(土) 15:03:58.97 ID:esKwbkE+0
―――数日後、2年1組にて

澪「~♪」

和「どうしたの?えらく上機嫌だけど。」

澪「へへへ…実は…」

唯「澪ちゃん!!」

澪「唯!?」

和「どうしたの唯?そんな血相変えて。」

唯「……ちょっと来て!」

澪「お…おい唯!」

507: 2009/11/07(土) 15:18:29.21 ID:esKwbkE+0
澪「どうしたんだ、いったい?」

唯「どうしたんだ…じゃないよ!
 一体どういうこと!?」

澪「どういうこと、と言われても良く分からないんだけど…」

唯「聡くんのことだよ!
 澪ちゃんもう聡くんと二人で遊びに行かないって言ってたのに、
 今度遊びに行くって…
 あずにゃんがかわいそうだよ。」

澪「…約束を破ってごめんな、唯。
 あと…私から頼んでおいてこんなこと言うのも心苦しいけど…
 私、もう梓の応援してあげられなくなったから…」

唯「なんで!?」

澪「私も…聡のことを好きだから…
 怖がって、自分の気持ちをごまかすのが嫌だから…

 だから、聡に振り向いて欲しいから、梓のことは応援できなくなったから…」

唯「…そんなのひどいよ、澪ちゃん!」

澪「ごめん…」
 

514: 2009/11/07(土) 15:34:02.44 ID:esKwbkE+0
―――放課後

梓「こんにちは…」

律「おっす梓!
 なんか元気ないな?」

澪「……」

梓「いえ…そんなことは…」

唯「あずにゃーん(だきっ
 大丈夫だからね、あずにゃん。
 私は前も言ったようにあずにゃんの味方だからね~」

律「相変わらず仲いいな~お前ら。
 こんなところ梓の彼氏に見られたらやきもち妬かれるぞ!w」

梓「大丈夫です!
 今日部活が終わったらデートするからその時
 沢山好きって言ってもらって沢山ハグしてもらうから!」

律「うわっ!?今の中学生はそこまで進んでるのか!?」

澪「………」

519: 2009/11/07(土) 15:41:02.08 ID:esKwbkE+0
紬「澪ちゃん…大丈夫?」

澪「あ…ああ…ありがと、ムギ…」

紬「梓ちゃんも座って。
 今お茶とお菓子用意するから。」

梓「ありがとうございます」

澪「…なぁ、律!今日律んち行っていいか?」

律「ん?急にどうして?」

澪「さ…聡に会いたいから…」

梓「!?」

律「え…?おー!ついに澪もその気になってくれたか!?
 こりゃお祝いをしないとな!
 あ、でも最近聡の奴友達と遊んで帰りが遅いから
 今日は澪が来るから早く帰るように電話しないと…」

525: 2009/11/07(土) 15:58:23.15 ID:esKwbkE+0
梓「!?………」

唯「待ってりっちゃん!
 聡くんお友達と遊ぶのはきっとすごく大事な時間だと思うから!
 澪ちゃんとはいつも会ってるんだしそんな呼び出したりしたら悪いよ!!」

律「へ?そうかな?」

紬「でも澪ちゃんは今、少しでも早く聡くんに会いたいって思ってるんだから、
 連絡して、どうするかは聡くんに決めてもらえばいいんじゃないかしら!?」

梓「ムギ先輩!?」

唯「ムギちゃん…?
 どうしてそんなこと言うの?」

紬「ごめんなさい、唯ちゃん…私、澪ちゃんを応援することにしたの。」

律「ムギも応援してくれるのか?
 こりゃあ…」

唯「ちょっと待ってよ!
 それじゃああずにゃんはどうなるの!?
 あずにゃんがかわいそうだよ!!」

紬「澪ちゃんの心の扉を開けられるのは聡くんしかいないと思うの!
 澪ちゃんは今自分の気持ちを抑え込むことを覚えたら
 多分ずっと人を好きになることが出来なくなってしまうのよ?
 私…澪ちゃんにそんな風になってほしくないもの…」

526: 2009/11/07(土) 16:02:21.03 ID:esKwbkE+0
唯「!?」
 (確かにあの特に男の子に対しては引っ込み思案な澪ちゃんが
 こんなに積極的になるなんて…そこまでさせるほど好きなの…?
 でも…)
 「それじゃああずにゃんはどうなるの…」

紬「私だって…梓ちゃんのことは大好き!
 …喜んでこうするって決めた訳じゃないから…」

律「あれ?
 あのー…どうしたのかにゃ、みんな?」
 

529: 2009/11/07(土) 16:40:01.18 ID:esKwbkE+0
紬「………」

唯「………」

澪「……梓の彼氏な…」

梓「澪先輩!…私に言わせてください…」

律「梓の彼氏がどうしたの?
 まさか別れたとか!?」

一同「………」

律「そういう訳ではないみたいね…」

梓「私の彼氏って…聡くんなんです…」

律「へ?」

梓「私の彼氏は律先輩の弟の聡くんなんです!}

531: 2009/11/07(土) 16:52:04.79 ID:esKwbkE+0
律「へ…マジ?」

澪「……ああ…」

律「え…じゃあ…梓の彼氏は聡で…澪は聡が…」

澪「好きだ!友達や弟としてじゃなく、一人の男の子として!」

梓「私も聡くんのことは好きです!」

律「……マジか…
 ははっ…何やってんだ私は…
 幼なじみを焚きつけて…後輩の恋路を邪魔してたなんて…

 ごめん…梓…」

梓「律先輩に言ってなかった私も悪いですから…」

律「澪…」

澪「…律には感謝してる。
 私が聡のことを好きになるきっかけを作ってくれたのが律だから…
 もしかしたら私…男の人が怖くて一生恋なんてできないんじゃないかって不安だったから…」

律「…ごめん…」

536: 2009/11/07(土) 17:09:37.79 ID:esKwbkE+0
澪「…今日…決着をつけるよ…」

梓「澪先輩…?」

澪「今日…聡に好きだって告白する。」

梓「!?」

澪「梓が聡と付き合ってるのを知ってるのに…ごめんな…
 けど…もし聡が私を選んでくれたら…

 その時は私は聡と付き合うつもり。」

梓「いえ…それを選ぶのは、聡くんですから。
 …それに…私の大好きな聡くんと、
 私の大好きな澪先輩が幸せになれるなら
 私も…我慢しますから…」

唯「あずにゃん!」

梓「唯先輩…あったかいです…」

澪「調子がいいって思われるかもしれないけど…
 私も梓のことは大好きだよ。
 だから、聡が梓のことを選んでも梓のことを妬んだり…絶対にしないから!」

紬「澪ちゃん…」

537: 2009/11/07(土) 17:17:20.47 ID:esKwbkE+0
梓「私…聡くんと澪先輩が一緒に遊びに行くようになる前から
 ずっと不安だったんです…」

唯「あずにゃん?」

梓「聡くんと澪先輩が仲がいいって知って…

 私は澪先輩みたいに綺麗じゃないし、スタイルも良くないし、
 お姉さんらしいところも見せてあげれてないし、
 性格もかわいい訳じゃないし…
 澪先輩みたいに沢山の思い出を共有してる訳でもないし
 子供の頃結婚の約束をした訳でも、
 ご家族から認められてる訳でもないですし…

 聡くんと澪先輩が仲良くなったら、
 私なんてすぐ見向きもされなくなっちゃうんじゃないかな…って」

律「………」

梓「だから…どんな結果でも…
 今日からはそんな心配をしなくても良くなるから…
 律先輩のことだって…そんなに怒ってないですよ…
 …少しは怒ってますけど。」

539: 2009/11/07(土) 17:22:28.92 ID:esKwbkE+0
―――梓と聡が待ち合わせしてた公園

聡「あれ?澪姉?やっぱり澪姉だ!
 どうしたの、こんなところで?」

澪「梓ならもうすぐ来るよ。
 今日は聡に少し話があって来たんだ。」

聡「話?長い話は困るな~…もうじき梓さん来るし。」

澪(チクッ
 「大丈夫、そんなに長い話じゃないから…」

聡「それならいいよ」

澪「……(ドキドキ」

紬(澪ちゃん!頑張って!)

541: 2009/11/07(土) 17:31:16.78 ID:esKwbkE+0
澪「あ…あのさ…私…」

聡「??」

澪「さささ聡が…梓と付き合ってるのは知ってて…
 で…でも、二人で一緒に出かけて…凄く楽しくて…」

 「えと…何言ってるんだ、私は―!?」

 「だからね…これからも、聡と一緒にデ…デートして
 一緒にいたくって…」

聡「え…それって…」

澪「………幼なじみでずっと一緒にいて……
 しかも梓と付き合ってるのに今更こんなこと言っても
 聡を困らせるって分かってる!
 分かってるけど…どうしても自分の気持ちを伝えたいんだ!
 聡が初めて、本当に好きになった人だから!
 私の気持ち聞いて欲しい!!」

 「好きです!私と付き合ってください!!」

542: 2009/11/07(土) 17:36:55.91 ID:esKwbkE+0
聡「え…それって…マジ…?」

澪「私が冗談でこんな事言える人間に見えるか!?」

聡「だって…俺年下だし…澪姉より全然背だって低いし…
 全然子供だし…そんな俺を…?」

澪「うん…年下とか、身長とか…すぐに気にならなくなるよ。
 そんなことよりも、一緒にいて、怖くなくて、楽しくて、安心できる
 …そんな聡だから…私の彼氏になってほしいんだ。」

聡「え…えと…あの…おれ…
 な…なんて言ったらいいのか…
 うまく言えないんだけど…」

澪「私のこと…好き?」

543: 2009/11/07(土) 17:40:26.06 ID:esKwbkE+0
聡「!?………落着け!落着け俺!!
 すーはーすーは!!」

澪「………」

聡「…よし…
 ありがとう澪姉!俺澪姉にそんな風に思ってもらえたなんて嬉しいよ!
 俺も…ずっと澪姉には憧れてたからさ…ずっと、好きだったんだ…」

澪「じゃあ!?」


546: 2009/11/07(土) 17:46:17.25 ID:esKwbkE+0
聡「けど…ごめん!
 俺…澪姉も知ってるように梓さんと付き合いだして…
 恋をして…女の子を好きになるって言うのがどういうことか分かって…
 ……それは…澪姉に対する好きや憧れ…ってのと違うってのが分かって…

 だから、今、俺は梓さんのことが好きだから、
 澪姉の気持ちに応えることはできないんだ…

 ごめんなさい…それと…本当に…ありがとう…」

澪「……そっか…うん、ありがとう。
 私も、聡の気持ちが聞けて嬉しかった…」

(pi←携帯電話をかける音

澪「梓?もう来てもらって大丈夫だよ。
 ふふ…聡が早く梓とデートしたいってさ!」

梓「聡くん!」

聡「梓さん!?」

唯「あずにゃん!?」

紬「澪ちゃん!!」

律「澪!!」

549: 2009/11/07(土) 18:01:21.80 ID:esKwbkE+0
澪「ふふ…」

律「大丈夫か、澪!?」

紬「澪ちゃん?」

澪「私は…自分でも聡の姉のつもりでいたから…
 今、聡がはっきりと自分の気持ちを言ってくれたことが嬉しくてさ…
 あー、あのちっちゃかった聡がこんなに立派になったんだー…って」

聡「澪姉…」

澪「聡の姉としての気持ちは本当だよ!
 グス…けど…うぅ…うわーん!」

紬「澪ちゃん…」

聡「澪姉!大丈夫!?あの…」


550: 2009/11/07(土) 18:02:54.01 ID:esKwbkE+0
律「ストップ聡!お前は来ちゃダメだ!!
 お前が澪を慰めちゃダメだ!!
 お前は澪の気持ちを受け止めて真剣に答えを出したはずだ。
 聡にはまだ早かったかもしれないけど…だったらその言葉に責任は持たないといけないんだ。

 だから、聡が澪を慰めちゃいけないんだ…」

聡「姉ちゃん…」

紬「聡くん、梓ちゃん…今は…そっとしておいてあげて…
 今、澪ちゃんは泣けるだけ泣かないといけない時だから、
 泣かせてあげて。」

唯「み゛お゛ぢゃん゛…う゛う゛…うわーん澪ちゃーン!
 ごべんね…ごめんね澪ちゃん!!」

澪「グス…なんで唯まで泣くんだよ!?」

唯「だって…だって私澪ちゃんにひどいこと言ったし…うえーん!」

554: 2009/11/07(土) 18:09:06.07 ID:esKwbkE+0
―――2年後

律「全く男に縁がない私たちが言えた義理じゃないけどさ、
 結局その後澪の色恋沙汰って聞かなくなったよな~」

紬「やっぱりあの失恋がトラウマになって恋愛に踏み切れなくなっちゃったのかしら?」

梓「だとしたらやっぱり澪先輩には悪いことしたかな…?」

唯「それはないよ。あずにゃんはただ、聡くんを好きになっただけだし、
 聡くんはただ、あずにゃんのことを好きになっただけだから。
 誰も悪いことなんてないよ。」

律「…にしても澪の奴遅いな…久々に軽音部の5人で集まれるってのに。」

梓「…私は受験勉強もあるしすぐ帰りますけどね…」

唯「え~!受験勉強といってもたまには息抜きも必要だよ!
 今日は一日お休みでいいじゃん!?」

梓「ダメですよ…私は唯先輩みたいに短時間で勉強できるタイプじゃないから…
 毎日の積み重ねが肝心なんです!」

紬「でも、澪ちゃんが遅れるなんて珍しいわね」

555: 2009/11/07(土) 18:22:42.17 ID:esKwbkE+0
澪「おーい、みんなー遅くなってごめーん!」

律「全く!遅いぞ!何してたんだ?」

澪「いや…待ち合わせに手間取っちゃってさ…」

紬「待ち合わせ?」

澪「うん…みんなに紹介したい人がいてさ。
 こっちに来て!」

俺「ど…どうも…」

唯「…?
 この冴えない男の人は…誰?」

紬「ちょっと唯ちゃん!」

俺「あ…いえ…良く言われるんで、大丈夫ですよ。」

557: 2009/11/07(土) 18:23:29.67 ID:esKwbkE+0


澪「全くだ!人の彼氏を捕まえて冴えないとは!?」

梓「え?彼氏?この人が?」

澪「そ…そうだよ…大学のサークルで知り合ったんだ…」

律「な…なんでこんなさえな…あ、いや…この人と付き合ったんだ!?
 澪だったらもっといい人がいたんじゃ…」

紬「りっちゃん!?」

俺「あはは…良く言われます!
 みんな澪の彼氏って言われると凄いイケメンを想像するみたいで。
 俺みたいな冴えない男でごめんなさい!www」

澪「この人といるとなんて言うか安心できるからさ…私にはこの人じゃないとダメなんだ。
 私は、俺さんと出会えて本当に幸せだから!
 あと、みんなをびっくりさせたかったから!w」

梓「だとしても!
 女の子ばっかりの集まりに一人だけ彼氏連れてくるなんて非常識です!
 …こんなことなら私も聡くんと一緒に来ればよかったです!」

澪「ごめんな、梓。」


                                      ~ Fin ~

558: 2009/11/07(土) 18:24:29.23 ID:v4pkMV5O0
なんだ俺か/////


559: 2009/11/07(土) 18:25:20.54 ID:PhhdO+izP
乙!
幸せにな!

引用元: 律「みんな彼氏くらい普通にいるよな!?」唯「えっ!?」