憂「はい・・・はい、はいわかりました」ﾋﾟｯ

憂「お姉ちゃん準備できた？」

唯「受験票がないの！」

憂「昨日忘れると行けないから靴の中に丸めて入れてたでしょ！」

唯「早く言ってよ！あーんもーう！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

憂「お姉ちゃーん、タクシー来たよー」

唯「わかってる！」

憂「焦りすぎだよ、なんとかなるよ」

唯「適当なこと言わないでよ！！」

憂「ちょっとなんで私に怒るの？」

唯「あーいいからもう！」

憂「よくないよ、お姉ちゃんが自分で起きれなかったのに私のせいにしてさ」

憂「勝手に不機嫌になって、私まで怒ってさ、おかしいよね？」

唯「・・・」

憂「まぁ、今はいいや。取りあえず急ぎなよ」

唯「うん・・・」

憂「急げば最初の科目も少しは受けられるよ」

唯「うん・・・」

憂「携帯電話は持った？」

唯「持ったけど電池切れてる・・・」

憂「なんで充電しておかなかったの！？」

唯「コンセントに刺すの忘れてた・・・」

憂「はぁ・・・」

唯「だから携帯のアラームも使えなかった・・・」

唯「だから寝坊した・・・」

憂「今は理由とかどうでもいいから早く行きなよ！」

唯「そうだね・・・ｱﾊﾊ(投げやり)」

憂「落ち着いてお姉ちゃん！元気出して！残りの教科頑張れば大丈夫だから！」

唯「うん、わかった・・・ありがと憂」

憂「これお弁当、昨日の残りの詰め合わせだけど。おにぎりはさっき作ったから」

唯「ありがとう憂。じゃあ行ってきます」ﾊﾞﾀﾑ

憂「・・・」

運「着きましたよ」

唯「ありがとうございます！」ﾊﾞﾀﾑ

唯「はぁ・・・はぁ・・・」ﾀﾀﾀｯ

唯「あの教室だ！」

係「ちょっとキミ！」

唯「はい？」

係「もう中には入れないよ」

唯「へ？」

係「遅刻してきた受験生だよね？」

唯「あ、はい・・・」

係「30分たったからもうこの教科は受けられないんだよ」

唯「そんな・・・」

唯「そこをなんとか・・・」

係「決まりだからダメだよ」

唯「・・・終わった」

・・・コーンカーン

唯「終わった」

係「回答用紙の回収がありますからまだ入らないでください。」

唯「あ、すみません・・・」

ガララ

唯「あ、開いた！」ﾀﾀｯ

唯「みんな！」

紬「唯ちゃん！」

律「唯！お前何してんだよ！」

澪「みんなで心配してたんだぞ！メールは帰って来ないし、電話しても圏外か電源が～だし！」

唯「実は寝坊しちゃって・・・」

澪「寝坊？」

律「バーッカじゃねぇのかっ！何してんだよ！」

紬「ちょっと律ちゃん・・・」

律「わりぃ、つい」

澪「・・・最初の科目終わっちゃったけどどうするんだ？」

唯「残りの科目頑張るしかないよ」

・・・コーンカーン

試験監督「鉛筆を置いてください。もう一度氏名・受験番号が正しく記入されているかｳﾝﾇﾝ」

・・・・・・

試験監督「確認が終わりました。これで本日の試験は終了しました。皆様お疲れさまでした。忘れ物に注意して帰ってください」

ガララ

律「終わったー」ｺｷｺｷ

律「なぁ、みんなどうだったよ」

紬「手応えはあったわ」

澪「全部解けたよ」

唯「・・・私は・・・全然・・・」

律(唯は遅刻引きずってたからなぁ)

律「なぁケーキでも食べてから帰ろうぜ！」

唯「私はいいや。三人で行ってよ・・・じゃ」ﾀﾞﾀﾞｯ

唯「うぅっ・・・ふぐっ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ガチャ

唯「ただいま・・・」

憂「お帰りなさい！どうだったの！？」

唯「ダメだったよ・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

憂「でも発表するまではまだわからないしさ！ね？」
唯「ううん」

唯が首を横に振る

唯「わかるよ。ダメだった」

憂「・・・」

憂「そ、そうだ！受験日が遅いところならまだ募集してるよ！」

憂「取りあえず受けてみたらいいんじゃ―」

唯「みんなで同じところに行くって約束したから・・・」

憂「あ、ごめん・・・」

唯「ううん」

唯「それより朝は八つ当たりしてごめんね憂」

憂「そんなのどうでもいいよ！私の方こそごめんねお姉ちゃん」ｷﾞｭｯ

憂が唯に抱きつく

唯「うぅっ・・・うぇっ・・・わたし、わたし・・・悔しい・・・」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

その日、お姉ちゃんは夕食も食べずに部屋に籠って泣いていたみたいです

それから合格発表の日まで、お姉ちゃんは明るく振る舞ってはいましたが正直、見ているこっちが辛かったです

お姉ちゃん元気出して！

―合格発表当日―
ザワザワ
律「けっこう人いるな、こんなに受けてたのか」

唯「・・・」

律「なに暗い顔してるんだよ！」

澪「そうだぞ、まだわからないだろ？」

紬「えぇ、そうよ唯ちゃん」

唯「・・・」

律「私なんか全科目受けたけど微妙だしな！アハハ。落ちてたらまた来年一緒に受けようぜ！」

唯「私は落ちるって思ってるんだね・・・」

律「いや、それは例えば仮にの話であって・・・」

澪「こら律」ｺﾞﾁﾝ！

律「あいたっ！ごめんなさい」

澪「そろそろ番号が貼り出される時間だけど」

紬「あ！見て！」

ザワワッ

律「来たっ！急げ！」ﾀﾀﾀｯ

唯「・・・」

澪「ほら、唯行くぞ」

律「えーと・・・0455・・・0455と」

律「あ、あれっ・・・ないぞ・・・」ｻｧｰ

律「私の番号がない！どうしよう！やべぇっ！ぶははっ！ないよ！

なんか可笑しくなってきちゃった！あはははは！泣きたいのに！」

澪「よく見ろ律、そこは別の学部のだ。私たちのは隣だ」ﾋﾟｯ

律「マジでか！ならまだわからねぇな！」

紬「律ちゃん、びっくりさせないでよもう」

唯「・・・」

律「455・・・455・・・」

律「453・・・454・・・455・・・457・・・458」

律「455！あった！あったぞ！私の番号があった！やったぞー！」

澪「453あった。よかった～」ﾎｯ

紬「454。確かにあるわね」ﾌﾝｽ!

唯「・・・456が・・・」

律「お前らあったか～？」

澪「あったよ」ﾆｺｯ

紬「私もあったわ～」ﾊﾟｱｧｧ

唯「私だけ落ちちゃったみたい・・・」

律「あ・・・」

澪「唯・・・」

紬「唯ちゃん・・・」

律(こんなとき、)

澪(なんて声をかけたらいいのか・・・)

紬(まったくわからないわ・・・)

律「お、おい澪。なんか声かけろよ」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

澪「私かよ！むぎ頼むよ」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

紬「えっ、わたし？あ、えーと・・・唯ちゃんどんまい」

唯「・・・私、もう帰るね」

ガチャ

唯「ただいま・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「落ちてた。ふふっ・・・」

憂「・・・そう(私もインターネットで確認したから知ってるけど)」

唯「ちょっと部屋で休むね」

憂「あ、うん」

トントントン

ガチャ

バタン！

「うわあぁぁあぁぁぁ！うわわあぁぁぁぁん！うわっうわっうわぁぁゎん！」

憂「お姉ちゃん・・・」

予想していたとはいえ、やっぱり実際に不合格とわかると相当ショックが大きかったようです

お姉ちゃんは試験日よりも大きな声で泣いてました

次の日は学校を休んじゃいました

和ちゃんや澪さん達が家まで来てくれたけど結局会いませんでした

和ちゃんだった

「仰げば～尊し～にゃんちゃら～・・・」

・・・・・・

さわ子「それじゃあみなさんさようなら！」ﾌﾞﾜｯ。ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

律「うわあぁあぁぁん！まだ卒業したくないよおぉーん！うぇっうぇっ」

紬「私も～」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

澪「お前ら泣くなよ・・・ひっく」

和「あらあら」

唯「・・・」

澪「和は大学の発表まだだったよな？」

和「えぇ。私立の方は大丈夫だったけど、本命の国立の発表はもう少し後よ」

澪「受かるといいな」

和「ありがとう」

和「唯は結局どうするの？」

唯「浪人することにしたよ。みんなと同じとこに行きたいし」

和「そう」

澪「待ってるからな唯」

律「追ってこいよ」

澪「・・・」

ﾊﾞｼｯ

律「あいたっ」

唯「・・・くすっ」

紬「唯ちゃんが笑ったわ！」

律「よかった～」

ピピピッピピピッピピピッ

バンッ！

憂「お姉ちゃん！朝だよ起きて！」

唯「ん～もう少しぃ～」

憂「ダメだよ！ほら起きてぇっ！」ﾍﾞﾘｯ

唯「あぁ～ん・・・布団とらないでぇ～」

憂「規則正しい生活しないとダメ！朝ごはん早く食べて勉強するっ！」

唯「はい・・・」ﾎﾞﾘﾎﾞﾘ

唯「ぱくぱくもぐもぐ・・・」

憂「じゃあ私、学校行くから。食べ終わったら食器は洗い桶に入れておいてね」

唯「はぁ～い。もぐもぐ」

憂「なるべく早く帰ってくるから」

唯「うん」

憂「じゃあ、いってきまーす」

バタン

唯「もぐもぐ・・・」

・・・・・・

澪「なぁ、みんなちょっと言いかな」

律「なんだ？」

澪「放課後ティータイムのことについてだよ」

律「おう」

澪「今年は唯と梓が一緒じゃないわけだろ？」

紬「そうね」

唯「・・・」

澪「で、どうするんだ？」

律「まったく考えてなかったな」

紬「ギターが２人ともいなくなるのよね」

梓「そうなりますね」

澪「ベース、キーボード、ドラムで行くか？」

律「閉まらねぇな。やっぱりギターはないとな」

唯「毎日は無理だけどたまになら・・・」

梓「わ、私も！」

澪「うーん・・・」

律「代わりのメンバー・・・」

澪「・・・」ｷﾞﾛﾘ

律「ってわけにも行かないよな、はは」

澪「梓だって学校の軽音部があるだろ？受験生だしかけもちはなぁ」

梓「大丈夫です！」

律「面倒くせっ！思いきって一年活動休止！決定！」

澪「はぁ！？何を言い出すんだよ」

律「ほら、将来メジャーになった時にさ、バンドの経歴のところに『一年間の活動休止を経て再結成』ってあったらカッコイイじゃん？」

澪「なんだそれ・・・」

律「『いえ、ちょっと音楽の方向性の違いから・・・』なんてなー、あー言ってみてー」

紬「ふふっ」

律「この一年はバイトして新しいドラム買いたいな」

澪「まぁ・・・活動休止とまではいかないまでもほんとにたまーにくらいなら」

紬「じゃあ私は留学しちゃおうかしら～」ﾆｺﾆｺ

梓「あはは・・・」

澪「でもそうするなら各自でしっかり練習し続けないとな。特に律と唯」

律「大丈夫だって！」

唯「私も！毎日練習するよ！」

澪「いや、お前は勉強第一にすべきだろ。来年落ちたらどうするんだよ」

唯「あ、はい」

律「じゃ、この一年はバンドとしての活動はほぼ休みってことでいいな」

澪「あぁ」

紬「わかったわ」

唯「みんなごめんね、私のせいで」

梓「私もです」

律「いいって、いいって。じゃかいさーん！」

・・・・・・

唯「もぐもぐ、ごくん。ごちそうさまでした」ｶﾁｬｶﾁｬ

数ヵ月後
梓「憂ー、模試の結果どうだったー？」

憂「よかったよ。はい」ﾋﾟﾗ

梓「余裕だねー。第二志望が国立なんだ」

憂「うん。あくまで第一志望はお姉ちゃんと同じとこなんだ。梓ちゃんはどうだったの？」

梓「最近勉強サボってたから・・・悪かったよ」ｶﾞｯｸﾘ

憂「どんまい」

憂「模試の順位表見てみようよ」

梓「うん」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

梓「！！！これは！！！」

１・・・・・・・・・・
２・・・・・・・・・・
３｜平沢 唯｜桜ヶ丘｜
４・・・・・・・・・・

梓「全国３位！？」

憂「お姉ちゃん凄いでしょ！！」

梓「信じられない・・・」

憂「ねー！！」

憂「さすがお姉ちゃんだよ」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

ピピピッピピピッピピ

カチ

唯「よし！」

憂「あ、お姉ちゃんおはよう！」

唯「おはよう憂、ついにこの日がやって来たね」

憂「うん」

唯「私の時間は一年前のこの日から止まっていた・・・でもそれも今日でおしまい。さぁもう一度動かすよ！」

憂「決まったねお姉ちゃん！カッコイイ！」

唯「じゃあご飯食べよう」

憂「うん！」

既卒でも出身校名は出ると勘違いしてましたスマソ

・・・コーンカーン

試験監督「鉛筆を置いてくださいｳﾝﾇﾝ」

唯「ふぅ・・・」

憂「お姉ちゃんどうだった？」

唯「見直し３回済ませたよ」

憂「大丈夫そうだね！」

唯「うん」

唯「あずにゃんは？」

梓「まぁできたと思います」

憂「これでみんなで大学に行けそうだね！」

憂「梓ちゃんは他にも受けるんだよね？」

梓「うん」

憂「私とお姉ちゃんは和ちゃんのとこも受けるって話したよね」

梓「うん、頑張ってね」

唯「ここだけ受かればいいんだけどね～」

梓「あはは、全国３位なのに勿体無い気もしますけど・・・」

―合格発表当日―
憂「あ、もう貼り出されてるよ！」

唯「急がなくてもいいよ。憂も私も名前あるって～」

憂「そうだろうけど」

唯「ていうかわざわざ来なくてもネットでよかったのに」

「お、唯ー！」

唯「あ、律ちゃーん！澪ちゃん！むぎちゃん！」ﾀﾀｯ、ﾀﾞｷｯ

律「久しぶりだなー」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

唯「うん！」

澪「はは、私達も見に来ちゃったよ」

紬「どうだったの？」

唯「結果を見た方が早いでしょう」ﾌﾝｽ!

唯「私の番号は520番だから。みんな見てみ」

律「520ね、520・・・520・・・」

澪「あった！あったぞ唯！」

紬「やったわね唯ちゃん！」

唯「ありがとー」

律「もっと喜べって！」

唯「うん」

憂「私もあったよお姉ちゃん！」

唯「やったね憂！バンザーイ！バンザーイ！」

澪「自分より憂ちゃんの合格を喜ぶとは」

律「自分は受かって当たり前だったってか～ははっ」

澪「あとは梓だな。姿が見えないけど」

憂「あ、梓ちゃんの番号もありましたよ」

律「ホントか！いやーよかったよかった」

澪「これで放課後ティータイム復活だな！」

紬「私、再結成ってしてみたかったのー」

唯「憂～大学合格したから新しいギター買って～」

憂「しょうがないなぁ」

唯「やったー！ギー太Ⅱクルー！」

「あおげば尊し～」

・・・・・・

憂「梓ちゃーん！」

梓「憂ー！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

純「私も私もー！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

憂「お姉ちゃん早く早く！」

唯「待ってよー」

唯「あ、和ちゃん！」

和「おはよう唯、憂」

憂「おはよう和ちゃん」

和「２人ともうちの大学は受かっても来ないのよね・・・はぁ」

唯「和ちゃん寂しいの？」

和「そ、そんなことないってば！」

憂「ふふっ、和ちゃん」

唯「とりあえず番号見ようよ」

憂「うん」

唯「あったー」

憂「私もあったよ！」

和「２人ともおめでとう。でも医学部辞退とはまったく贅沢ね・・・」

唯「そうかな～」

唯「ま、いいや。憂帰ろ～」

憂「うん！和ちゃんもウチに来てよ」

和「はい」

唯「あははーボリボリ」

憂「お姉ちゃん、合格したからってだらけすぎだよ～。はい、お茶」

唯「いいのいいの！」ｽﾞｽﾞｯ

唯「アチチ」

唯「そうだ憂、入学手続きしてくれたー？」ﾎﾞﾘﾎﾞﾘ

憂「えっ」

憂「なんで私に言うの？」

唯「・・・」

唯「・・・ボリ」

憂「お姉ちゃんまさか・・・」

唯「・・・冗談だよね憂」

憂「・・・知らないよ私」

唯「頼むねって」

憂「聞いてないよ」

唯「憂はどうしたの？」

憂「私はもう済ませたよ」

唯「・・・まだ間に合う？」

憂「たしか昨日までだったような」

唯「・・・終わった」

唯「どどどうしよう！」

憂「諦めるしか・・・」

唯「そんな！」

憂「国立の方は発表も遅かったしまだ大丈夫だよ！」

唯「そっちは別にいいんだよ！」

憂「・・・」

唯「・・・うっ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

憂「ねぇ、お姉ちゃん聞いて」

唯「うっ、うぅっ・・・」

憂「来年入ったらお姉ちゃんは1年生、梓ちゃんが2年生、澪さん達は3年生だよね」

唯「うん・・・ひっく」

憂「みんなと１年は遊べるかもしれないけど、その次、澪さん達が４年生になったら就活とかもあって忙しいと思うんだ」

唯「・・・」

憂「ねぇ、私と国立に行かない？和ちゃんもいるよ？」

唯「・・・」

その後、粘り強い説得によりお姉ちゃんは私と一緒に国立大学に行くことになりました

え、講義終わってからバンド？
無理無理！講義は結構遅くまであるし！

これでお姉ちゃんを一応、放課後ティータイム(笑)から引き離すことに成功しました！
あはっ！

また、前みたいに和ちゃんとお姉ちゃんと私の３人一緒です！

ちなみに去年、寝坊したというのは嘘です！
お姉ちゃんの携帯もコンセントからはずしておきました！あははっ！

入学手続きを忘れたのもわざとです！書類はシュレッダーにかけておきました！

お姉ちゃん！これからは同じ学年だしいつも一緒だよ！

憂ちゃんワロタ

そういうことかぁぁぁあああああぁ

なるほど憂ちゃんが唯といたかったのならしかたがないな

な、なんだってー！？

乙！