1: 2023/02/15(水) 23:19:01.78 ID:AE5FptLn
 ブオオオオオオ・・・

 キイッ

 バタンッ


きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ


 ガラガラッ・・・


きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!!発注頂いた分配達に来たっす」


 ドサッ・・・


千砂都「・・・・・・あ!きな子ちゃん!!お疲れ~」クルッ

きな子「千砂都先輩、いつもありがとうございますっす」

千砂都「伝票にサインいるでしょ?ちょっと待ってね、手洗うから」ドタバタ

きな子「すんませんっす!まだトラックから下ろす品あるんでちょっと待って下さいっす」

千砂都「あ、うん!」

2: 2023/02/15(水) 23:24:00.86 ID:AE5FptLn
かすみ「ちぃ子~、豚の仕込みしてるならそのままやってていいよ~」

千砂都「あ、店主すみません!!」

きな子「あっ!店主!いつもありがとうございますっす」

かすみ「きな子~、伝票どこ?」キョロキョロ

きな子「あ、そこの台の上に置いといたっす」

かすみ「あったあった、ハンコ押しとくね」トンッ

きな子「ありがとうございますっす」


きな子「・・・・・・よっこいしょ!」ドスンッ

きな子「ふうっ、もやし200kgとニンニクと豚バラ・・・・・・納品数間違いないっすよね?」

かすみ「ふひひ・・・間違ってたらお金払いませんよぉ?」グフフ

きな子「ううっ・・・そ、それは勘弁っす・・・・・・」

かすみ「うそですよ~ん!」ニタァ

きな子「店主~、冗談キツいっす~」ハハハ

4: 2023/02/15(水) 23:29:27.00 ID:AE5FptLn
千砂都「ねぇ、きな子ちゃん。たまにはウチでお昼食べて行きなよ」

きな子「お言葉はありがたいっすが、きな子は次の納品先に行かないといけないっす」

千砂都「そっか~、それは残念だなぁ」

きな子「それに先輩のお店、いつも行列できてるじゃないっすか」

千砂都「うん、まぁね」

きな子「食事の所要時間くらいなら確保できるっすけど、さすがに並んで食べてでは時間の余裕ないっす」

かすみ「いつも頑張って配送してくれるきな子の為なら営業時間外に食べさせてあげてもいいんだけどね」

きな子「お言葉だけありがたく頂戴しておくっす」アハハ

かすみ「なぬっ!?かすみんの好意を踏みにじる気ぃ~!?」グヌヌ

きな子「いえいえ!!そういうわけじゃないっす!!かすみさんのとこのラーメンを営業時間外に食べたら、お腹いっぱいになって生活のリズムおかしくなっちゃうっす」

千砂都「まぁね、ウチは量が多いから」アハハ

かすみ「なんかウチの店さ~、勘違いされること多いけど量なら言ってたら少なくしても別にいいんだけどねぇ」

千砂都「しょうがないですよ、そういうイメージがついてしまってますからね」アハハ

5: 2023/02/15(水) 23:33:42.34 ID:AE5FptLn
きな子「・・・・・・あ、開店時間前なのにもう並んでる人いるっすよ?」

千砂都「ホントだ!仕込み急がなきゃ!!」ドタバタ


きな子「じゃ、きな子は失礼するっす」

かすみ「きな子~、また明日もよろしくね~・・・・・・って!ちぃ子!!豚の仕込み目処ついたらニンニクも刻んでおいて!!」

千砂都「あっ!はい!!」

きな子「じゃ、どうもっす」


 バタンッ


きな子(ふうっ、商売繁盛で羨ましいっす・・・・・・)


 キョカカッ

 ブルブルブルブル・・・


きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)


 ガコッ

 ブオオオオオオ・・・・・・

 

6: 2023/02/15(水) 23:38:06.04 ID:AE5FptLn
────
──


 ブオオオオオオ・・・

 キイッ

 バタンッ


きな子(よし、到着っす・・・・・・)


 ガチャッ・・・バタンッ


きな子「どうも~!鬼塚商店っす」


 ──グツグツグツグツ


かのん「・・・・・・あ、きな子ちゃん!!」

きな子「かのん先輩、いつもありがとうございますっす」

かのん「きな子ちゃんごめん!いま仕込みで手が離せないからそこにあるシャチハタ、伝票に押していいから!!」

きな子「はい、わかったっす」

きな子「・・・・・・あ、これっすね。お借りするっす」トンッ


きな子「かのん先輩、今日の納品分はいつものところに置いておいたっす」

かのん「あ、うん!ありがとね」

きな子「どうっすか?かのん先輩のお店、儲かってるっすか?」

かのん「あはは・・・・・・うちはまぁボチボチかなぁ」

きな子「先に千砂都先輩が働いているラーメン店に卸してきたっすけど、相変わらず大繁盛してるみたいっすね」

かのん「そうなんだ・・・・・・まぁウチは喫茶店から鞍替えしたばかりの新参だし、有名な看板掲げてるわけでもないからね」アハハ

きな子「きな子としてはかのん先輩にも頑張ってもらいたいっす」

かのん「うん、ありがとう」

7: 2023/02/15(水) 23:42:05.68 ID:AE5FptLn
かのん「そういえば夏美ちゃんは元気??」

きな子「あ~、CEOなら新しい配信ビジネス始めるって言ってどこか行ったまま帰ってこないっす」ハァッ

かのん「そうなの!?」

きな子「そうっす・・・鬼塚商店の本業は実質きな子1人で回してるようなもんっす」ヤレヤレ

かのん「あはは・・・・・・それは大変だ・・・・・・」

きな子「所詮きな子は雇われの身なんで文句言えないっす」

かのん「切実だねぇ・・・・・・」アハハ


きな子「・・・・・・さて、きな子は次の納品先に行くっす」

かのん「あ、うん!運転気をつけてね!たまには私の店にもラーメン食べに来てよ」

きな子「もし時間の余裕が出来たら食べに来るっす」

かのん「うん!その時はサービスするから!」

きな子「ありがとうございますっす、では!」ペコッ

9: 2023/02/15(水) 23:51:09.83 ID:AE5FptLn
かのん「・・・・・・あ!きな子ちゃんちょっと待って!!」


きな子「えっ?」

かのん「そこの冷蔵庫開けると缶コーヒー入ってるから1本持って行きなよ」

きな子「いいんすか?」

かのん「いいからいいから!」ニコッ

きな子「じゃあお言葉に甘えて頂くっす」ガバッ


きな子「かのん先輩ごちそうさまっす!では!」

かのん「はーい!」


 ガチャッ

 バタンッ


きな子(かのん先輩も大変っすね・・・・・・きな子もがんばろう・・・・・・)

きな子「・・・・・・」カシュッ

きな子「んぐっんぐっ・・・・・・」グビグビ

きな子「ぷはぁっ!」


きな子(さて、次行くっす・・・・・・)


 キョカカッ

 ブルブルブルブル・・・


きな子(・・・・・・ん?LINE来てたの気付かなかったっす)

きな子(・・・・・・えっ!?追加注文!?・・・・・・一度会社戻って追加分積んでから行った方良いっすね)


 ガコッ

 ブオオオオオオ・・・

 

10: 2023/02/15(水) 23:57:34.27 ID:AE5FptLn
────
──


 ブオオオオオオ・・・・・・キイッ

 ブルブルブルブル・・・プスンッ


きな子(ふうっ、到着っす・・・・・・)


 バタンッ


きな子(よっこいしょっ!)ズシッ


きな子「どうも~!鬼塚商店っす!」

ランジュ「あら、早かったわね」

きな子「急いで会社戻って追加分の鶏卵10箱も一緒に持って来たっす・・・・・・ここに置きますね」ドスンッ

ランジュ「さすがきな子だわ。ありがとう」

きな子「LINEで追加注文頂いてたの気付いた時は焦りましたっす」アハハ

ランジュ「ごめんなさいね、急遽とびっきりの限定メニュー思いついちゃったから、居ても立っても居られなくなったの」

きな子「さすがっす」アハハ

11: 2023/02/16(木) 00:06:59.07 ID:7qUKkVne
きな子「一応LINEで貰った追加分の注文書、ウチの事務所にFAXしておいて貰っていいっすか」

ランジュ「わかったわ。・・・ていうか、きな子の会社もいい加減デジタルツール導入しなさいよ」

きな子「あはは・・・きな子は雇われの身なんでそんな決定権無いっす・・・・・・」

ランジュ「まぁ、FAXも古き良きで便利ではあるわね」ハアッ

きな子「すんませんっす・・・・・・」シュン


ランジュ「さて、ランジュは今日も美味しい拉麺をたくさん作るわ。せっかくだからきな子もランジュの拉麺食べて行きなさい?」

きな子「お言葉はありがたいっすが、会社戻って仕入れの発注しないといけないっす」

ランジュ「あらそう、それは残念ね。また今度ゆっくり来なさい?奢るわ」ニコッ

きな子「ありがとうございますっす。その節はお世話になるっす」

きな子「では、失礼するっす」ペコッ

 

13: 2023/02/16(木) 00:23:17.92 ID:7qUKkVne
ランジュ「・・・・・・あっ!きな子!」

きな子「ん?どうかしたっすか??」

ランジュ「かすみの店は相変わらず繁盛しているのかしら」

きな子「ですね、今日も開店前から行列出来てましたよ」

ランジュ「さすがかすみね・・・・・・ランジュも負けてられないわ」

きな子「頑張ってくださいっす。それでは」

ランジュ「気をつけてね~」


 バタンッ


きな子(さて、まずは会社に帰るっす)


 キョカカッ

 ブルブルブルブル・・・

 ガコッ・・・ブオオオオオオ・・・・・・

 

15: 2023/02/16(木) 00:29:58.97 ID:7qUKkVne
────
──


~鬼塚商店~


 ブオオオオオオ・・・キイッ

 バタンッ


きな子(ふうっ、急いで倉庫の在庫確認して発注しないと・・・・・・)


 ガラガラガラッ・・・

 ピシャンッ


きな子(えーっと、在庫管理表は・・・・・・)ピラッ

きな子(・・・・・・まずいっすね、かすみさんのお店から来るもやしやニンニクの注文数が多いから足りなくなりそうっす・・・・・・)

きな子(仕入れ、今までの1.5倍は増やさないとまずいかもっす・・・・・・)ウーン


きな子(それと、仕入れの取引先増やさないとお客さんに安定して納品する在庫が確保できなくなるっすね・・・・・・)


きな子(とりあえず、今必要な分だけ発注しとくっす・・・・・・)カキカキ

きな子(よしっ・・・)


 ポチッ・・・ブインッ

 ザーーーーー ピポパポペポ・・・


きな子(いまだにFAXで注文してるのウチだけなんすかね・・・・・・こんな古いパソコンじゃなくて、最新のツールがあれば管理も発注ももう少し楽になるんすけど・・・・・・)ハァッ


きな子(ぼやいてもしょうがないっす、伝票整理してから倉庫の掃除っす・・・・・・)

 

16: 2023/02/16(木) 00:39:04.10 ID:7qUKkVne
────
──


 ゴシゴシ・・・

 ザッ ザッ・・・


きな子(ふうっ・・・今日の掃除終わりっす・・・・・・)

きな子(ん?定時過ぎてるっすね、鍵かけて退勤するっす・・・・・・)


 ガラガラガラッ・・・ピシャンッ

 カチャッ


きな子「お疲れ様でしたっす・・・・・・」

きな子(・・・・・・って、きな子1人しかいないんすけどね)アハハ


きな子(今日の夜ごはんは何がいいっすかね~・・・・・・)

 

17: 2023/02/16(木) 00:44:19.28 ID:7qUKkVne
────
──


~帰宅途中~


 テク テク テク・・・


きな子「・・・・・・・・・・・・」


きな子(今日も弁当屋で弁当買って行くっす・・・帰ってからご飯作るの面倒っす・・・・・・)

きな子(この行きつけの弁当屋にも常々お世話になってるっす・・・・・・)


 ガラガラッ


侑「いらっしゃいませー」ニコニコ

きな子「こんばんわっす」

侑「あっ!きな子ちゃんいらっしゃい!!仕事帰りかな?」

きな子「はいっす。帰宅途中っす」

侑「お疲れさま!今日は何にする??」ニコッ

きな子「えーっと・・・・・・い、いつものでいいっすかね・・・・・・」

侑「日替わり弁当だね」ニコッ

きな子「はいっす」

 

18: 2023/02/16(木) 00:52:04.19 ID:7qUKkVne
侑「彼方さーん!日替わり弁当1丁!!」

彼方「────はーい、少々おまち~」


侑「きな子ちゃん、今度でいいからこの限定メニューも食べてみてよ」ピラッ

きな子「ん??限定メニュー増えたんすか?」

侑「うん!近江弁当店・店主、彼方さんの自信作だよ~」ニコニコ

きな子「そうなんすか!へぇ~、手ごねハンバーグ弁当っすか。うまそうっす!」

侑「日替わり弁当に比べるとちょっと高い金額設定なんだけどね」アハハ

きな子「でも、手の込んだ料理なら仕方ないっすよ」

侑「挽肉はレギュラーメニューのハンバーグと違うものを取り寄せて使ってるんだよね。北海道直送で質はいいんだけど少し値段が高くてさ」

きな子「・・・・・・そうなんすか、ウチの会社でも同じような挽肉扱ってるっすけど・・・」

19: 2023/02/16(木) 01:00:39.12 ID:7qUKkVne
侑「そういえばきな子ちゃん、卸売の会社で働いてるんだっけ?」

きな子「はい、そうっす!近江弁当店さんからも発注貰えたら最高っす!」ニコッ

侑「私としてもいつも買いに来てくれるきな子ちゃんの会社から仕入れられるといいんだけどね~・・・・・・」

彼方「へいお待ち~!日替わり弁当一丁ぉ!」ドサッ

侑「あ、出来たみたいだね!お会計、380円です!」

きな子「ちょうどあるっす」ジャラッ

侑「まいどあり~!」ニコッ


きな子「では、また来るっす」

彼方「いつもどうもねぇ~」


 バタンッ


侑「彼方さん、きな子ちゃんが勤めてる会社で彼方さんの限定ハンバーグと同じような挽肉扱ってるって言ってましたよ」

彼方「そおなの~??あれは遥ちゃんが勤めてる会社から仕入れてるんだけど、北海道直送の良い肉使った挽肉なんだよねぇ」

侑「ですね、こないだ遥ちゃんに聞きましたから」

彼方「まぁ、きな子ちゃんはウチの常連さんだし、なにかお仕事の取引が出来るといいよねぇ」

侑「でも、勝手に取引先増やしたら遥ちゃんに怒られません??」

彼方「うーん、それもそうだねぇ・・・・・・」ハハハ

 

20: 2023/02/16(木) 01:06:23.18 ID:7qUKkVne
────
──


~きな子の部屋~


 ガチャッ・・・

 バタンッ


きな子(ふう~、ただいまっす・・・・・・)

きな子(まずは弁当冷めないうちに食べた方いいっすね・・・・・・)


 キュッ

 コポコポコポコポ・・・


きな子(まずはやかんでお湯わ沸かして、インスタントみそ汁の用意するっす・・・・・・)


 カタンッ

 カチッ・・・ シュボッ・・・


きな子(ふうっ・・・・・・)


 ガサガサッ・・・


きな子(今日の日替わり弁当のおかずは何っすかね~♪)


 ガサッ


きな子(・・・・・・お、豚の生姜焼きっすか。うまそうっす)

きな子「いただきますっす」パキッ


きな子「はむっ・・・・・・むぐむぐ・・・・・・」モグモグ

きな子(うんっ!近江弁当店はやっぱうまいっすね~)モグモグ

 

22: 2023/02/16(木) 01:14:03.84 ID:7qUKkVne
 

 ──ピィィィィィィィ


きな子(おっ!お湯沸いたっすね・・・・・・)


 ガタッ・・・

 コポポポ・・・


きな子(汁椀に入れたインスタント味噌汁をお湯で溶かしてっと・・・・・・)

きな子(これにあおさをひとつまみ入れると味気ないインスタントの風味が少しは良くなるんすよね・・・・・・)ガサッ


きな子(どれどれ・・・・・・)ズズッ

きな子「あつっ・・・」ビクッ

きな子(沸騰直後だから熱くて当然っすね・・・・・・)


きな子(どれ、テレビでも見ながら食べるっす・・・・・・)ポチッ

 

24: 2023/02/16(木) 01:26:59.40 ID:7qUKkVne
きな子「・・・・・・・・・はむっ・・・」モグモグ

きな子「・・・・・・」ジーッ


きな子(この女優さん、最近よくテレビで見かけるっすね・・・・・・)

きな子「・・・あむっ・・・んむっ・・・・・・」モグモグ


きな子(確か、きな子と同じで高校時代にスクールアイドルしてたとか・・・・・・)

きな子(きな子もLiellaのみんなといい成績残しましたけど、あくまでもグループとしての評価であって、きな子個人ではただのメンバーでしかないっすし・・・・・・)

きな子(この女優さんは、才能あったからこうして登り詰められたんすかね~・・・・・・)モグモグ


きな子「・・・・・・・・・・・・」


きな子(今更こんなこと思っても何も変わらないっす・・・・・・)

きな子(きな子は今の仕事をがんばろう・・・・・・)


 ガタッ


きな子(あ、そういえば冷蔵庫に・・・・・・)ガバッ

きな子(・・・・・・あったあった)


 カシュッ


きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・んぐっ・・・・・・」グビグビ

きな子「ぷはぁっ!!」


きな子(やっぱ、仕事のあとの麦とホップは格別っす・・・・・・)ゲフゥッ

 

25: 2023/02/16(木) 01:32:22.17 ID:7qUKkVne
────
──


~翌日~


 ブオオオオオオ・・・

 キイッ・・・ バタンッ


きな子「どうもっす!鬼塚商店っす」


かのん「────あっ!きな子ちゃんお疲れ様~」

きな子「今から品物運び入れるっす」

かのん「────うん、よろしくね」


きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ


 ドサッ


きな子「ふうっ・・・」


きな子「かのん先輩、鶏ガラと豚骨いつもの場所に積んで置いたっす」

かのん「あ、うん!ありがとね」

きな子「かのん先輩、ウチだと下処理済みの鶏ガラや豚骨も卸せるっすけど、いつものでいいんすか?」

かのん「うん。それはこだわってやってることだからいいんだ」

きな子「そうなんすね。いつも1人で仕込みに時間掛けてるみたいで大変そうっす」

かのん「あはは、ありがとう」ニコッ

かのん「でも、それも楽しんでやってるから大丈夫!」

きな子「それならいいっすが・・・・・・」

38: 2023/02/16(木) 08:26:47.03 ID:7qUKkVne
きな子「・・・・・・それ、何作ってるんすか?」

かのん「あーこれ?メニューとして出すわけじゃないけど、ちょっとした試作をしようと思ってるんだ」

きな子「へぇ~、凄いっす」

かのん「上手くいけば限定メニューで出してみて、お客さんの反応良いようならいずれはレギュラー化するのもアリかもね」

きな子「かのん先輩ならきっと上手く行くっす!」

かのん「ありがとう、きな子ちゃん」ニコッ


きな子「では、きな子は次の取引先に行くっす」

かのん「うん、気をつけてね。ちぃちゃんのところかな??」

きな子「いえ、千砂都先輩のところにはいつもかのん先輩のお店の前に回って来るんで」

かのん「あー、そういえばそうだったね」

きな子「では、ありがとうございましたっす」ペコッ


かのん「・・・・・・あっ!度々引き止めてごめん!!」

きな子「ん?何すか??」

40: 2023/02/16(木) 08:33:04.29 ID:7qUKkVne
かのん「きな子ちゃん、今日の夜は暇??」

きな子「まぁ、仕事上がったら家で大人しくしてるっす」

かのん「私のお店の閉店後に来てくれない??試作ラーメン食べて貰いたいんだ」

きな子「いいんすか??」

かのん「もちろんっ!!是非感想聞かせて欲しくて」

きな子「ありがとうございますっす!喜んで頂きに来るっす!」

かのん「美味しいかどうかはまだわからないけどね」アハハ

きな子「きっと美味しいっす!!」


きな子「では、また夜に来ますっす!!」

かのん「うん!またね~!!」


 バタンッ


きな子(かのん先輩のラーメンの試作品の試食させて貰えるなんて光栄っす!!)

きな子(夜が楽しみっすね~・・・・・・)


 バタンッ

 キョカカッ・・・ ブルブルブルブル

 ガコッ


きな子(さて、出発っす・・・・・・)


 ブオオオオオオ・・・・・・

 

42: 2023/02/16(木) 09:17:03.92 ID:7qUKkVne
────
──


~かすみの店・営業中~


千砂都「はい、小の方~・・・・・・どうぞ~」ドンッ

千砂都「隣の方~・・・ アブラカラメね・・・・・・どうぞ」ドンッ


かすみ「ちぃ子、次の麺茹でるよ」

千砂都「あ、はい!」


千砂都「後ろでお待ちのお客さ~ん!食券見せて~??」


千砂都「・・・・・・・・・・・・えーっと、はいありがとうございま~す」


千砂都「・・・・・・!?」ビクッ

千砂都(あれっ!?あの人・・・・・・)チラッ


千砂都「(て、店主・・・・・・席待ちのお客さんの中にいるあの人・・・・・・)」ヒソヒソ

かすみ「・・・・・・んん~?」チラッ


かすみ「うげっっ!?」ビクッ

かすみ「(ま、またランジュせんぱい来てるよっ!!)」ヒソヒソ

千砂都「(ど、どうします??)」ヒソヒソ

かすみ「(う・・・うまいことあしらっておいてよ、ちぃ子・・・・・・)」ヒソヒソ

千砂都「(りょ、了解っす・・・・・・)」ヒソヒソ


ランジュ「・・・・・・」ニヤッ

 

45: 2023/02/16(木) 09:56:22.80 ID:7qUKkVne
────
──


千砂都「先頭から3名さんまで順番に奥から詰めて座ってくださいね~」


 ゾロゾロ・・・

 ガタッ・・・


かすみ「・・・・・・・・・・・・」

千砂都「・・・・・・」

千砂都(あっ・・・・・・)


ランジュ「今日はかすみが調理してる目の前の席に座れたわ」ニヤッ

かすみ「ラ、ランジュせんぱい・・・・・・ら、らっしゃーせー・・・・・・」ソワソワ

千砂都「お、お客さん・・・私語は勘弁してください・・・・・・他のお客さんに迷惑なんで」

ランジュ「千砂都、悪かったわね。ちょっとうれしかったからはしゃいじゃったのよ」ニコッ


かすみ「ちぃ子、麺上げるよ」

千砂都「あ、はい」

かすみ「・・・・・・・・・・・・」ザッ・・・ザッ・・・

ランジュ「・・・・・・」ジーッ

 

46: 2023/02/16(木) 10:02:33.54 ID:7qUKkVne
千砂都「端のお客さんニンニクは??」

客「ニンニクで」

千砂都「はーい」ザッ・・・ モサッ

千砂都「どうぞ~」ドンッ


千砂都「と、隣の方~・・・・・・」

ランジュ「そうね、今日はニンニクアブラで頼むわ」

千砂都「ニンニクアブラ~・・・・・・」ザッ・・・ドロッ

千砂都「はい、おまち」ドンッ

ランジュ「ありがとう」ニコッ


千砂都「隣の方~・・・・・・」

客「ヤサイマシニンニク・・・・・・」

 

47: 2023/02/16(木) 10:07:14.37 ID:7qUKkVne
ランジュ「かすみ?今日も見事な麺上げだったわ」

かすみ「!?」ビクッ

かすみ「そ、それは・・・ありがとうございますです・・・・・・」ビクビク


ランジュ「はむっ・・・・・・」モグモグ

ランジュ「うんっ!野菜はクタクタに煮た方が美味しいわね。さすがかすみだわ」

かすみ「・・・・・・いえいえ」

ランジュ「このバラ豚のロール・・・・・・相変わらず完璧な丸型ね」

かすみ「ぶ、豚はちぃ子にやらせてるんで・・・・・・」

ランジュ「知ってるわ。さすが千砂都ね」モグモグ


ランジュ「はむっ・・・・・・ズゾゾゾゾッ」ズルズル

ランジュ「んむんむ・・・・・・」モグモグ


ランジュ「この極太麺の茹で加減も固すぎず柔すぎず完璧よ」

かすみ「あ、ありがとうございます・・・・・・」

ランジュ「やっぱりかすみのラーメンは美味しいわ」ニコッ

ランジュ「なんでこんなに美味しいのか秘密を知りたいのよ、ランジュは」

かすみ「秘密も何も・・・・・・総帥の元で修行して暖簾分けの許可貰ったから開業しただけですし・・・・・・」

ランジュ「謙虚ね」ニコッ

かすみ「ま、まぁ!かすみんの場合はセンスがいいってのもありますけどぉ・・・・・・」ハハハ

49: 2023/02/16(木) 10:11:16.09 ID:7qUKkVne
ランジュ「ランジュも扱う拉麺のジャンルが違うとはいえ同業だからライバルとして認めているのよ、かすみ」

かすみ「そ、それはどうもです・・・・・・」

ランジュ「また今度、閉店後に私の店に来なさい?拉麺勝負するわよ!?」キリッ

かすみ「ひいっ!?」ビクッ

ランジュ「あら?嬉しいのかしら?」ニコッ

かすみ「い、いえ・・・・・・翌日の仕込みもあるんで遠慮しときます・・・・・・」

ランジュ「あら、残念ね」


ランジュ「ごちそうさま」ドンッ

ランジュ「・・・・・・」フキフキ


ランジュ「また来るわね」ガタッ


千砂都「あ、ありがとうございまーす・・・・・・」


かすみ「・・・・・・・・・はあっ」ヤレヤレ

千砂都「店主、そのラーメン勝負とやら受けてあげたらいいんじゃないですか?」

かすみ「ううっ・・・・・・ぜ、絶対にイヤです・・・・・・」ゲッソリ

千砂都「一度負かしてやれば付き纏われることもなくりそうな気もしますけどね」

かすみ「前にランジュせんぱいに言われて一度だけ勝負してるんだよ、ちぃ子・・・・・・」

千砂都「そうなんですか」


かすみ「・・・・・・次のロット行くよ」

千砂都「は、はい!」

 

55: 2023/02/16(木) 19:02:42.72 ID:7qUKkVne
────
──


~近江弁当店・午後~


侑「ふうっ、ごちそうさまでした!!」

彼方「お粗末さまでしたぁ」ニコッ

侑「今日も美味しかったですっ!・・・・・・って、毎日のように言ってますけどね」アハハ

彼方「それでも~、そう言って貰えると嬉しいもんなんだよぉ~」ニコニコ


侑「それにしても、今日の午前から昼にかけては戦争のように忙しかったね~」ハハハ

彼方「だねぇ、何だか会社関係のまとまった大口注文がたくさんあったね」

侑「固定客になってくれたら儲けも増えるし良いばっかりなんだけど・・・・・・」

彼方「でも、今のままだと人手が足りないねぇ・・・・・・」

56: 2023/02/16(木) 19:12:10.15 ID:7qUKkVne
彼方「ウチもそろそろ、パートさんを増員しないとダメかもねぇ」

侑「求人の貼り紙でも入り口にしときます??」

彼方「そうだねぇ」


侑「・・・・・・さて、そろそろ夕方に向けての準備しておかないとね」ガタッ

彼方「よし・・・彼方ちゃんも唐揚げの仕込みしておくか~・・・今日の夜の部はどれくらい売れるかなぁ・・・・・・」


侑「あっ!しまった!!」

彼方「ん~?侑ちゃんどうかしたぁ??」

侑「漬け物の在庫が切れそうなの昨日の時点で気付いていたんだけど、忙しさにかまけて注文するの忘れちゃったよ」シュン

彼方「もう丸っきり残ってないの?」

侑「う~ん・・・今日の夜の部の分くらいは持つかなぁ・・・・・・」

彼方「どうしよう・・・・・・遥ちゃんのところでこれから配達してくれないかなぁ」ウーン

57: 2023/02/16(木) 19:24:52.12 ID:7qUKkVne
侑「ちょっと電話してみますね・・・・・・」カタッ


侑「・・・・・・・・・・・・」Prrrr

侑「・・・・・・あっ、いつもお世話になってます!近江弁当店です~!!」

侑「ちょっと急なんですが、業務用の漬け物のいつものやつ、2箱配達お願いできませんかね・・・・・・」

侑「あ、はいっ!恐れ入ります・・・・・・」


侑「・・・・・・・・・・・・」

彼方「どう?配達してもらえそうかな??」

侑「事務の方が今確認してくれてるみたいです・・・・・・」


侑「あ、はい!いえいえ!・・・・・・・・・そ、そうですよね」

侑「あー、そうですか・・・・・・明日だと大丈夫なんですね」

彼方「侑ちゃん、明日でもいいから頼んじゃって~」

侑「はいっ!はい!・・・・・・明日で結構です。宜しくお願いします」

侑「すみませ~ん!はーい、ありがとうございまーす」ガチャッ

58: 2023/02/16(木) 19:37:07.97 ID:7qUKkVne
侑「やっぱり配送車が全部出払ってるみたいで今日中は厳しいみたい」

彼方「そっかぁ、遥ちゃんにも無理させられないしなぁ」

彼方「やっぱ、仕入れの取引先増やそうかなぁ」ウーン

侑「それが現実的に良いかもしれませんね~。今度常連のきな子ちゃんがお弁当買いに来てくれたら聞いてみますよ」

彼方「うん、侑ちゃんお願いね~」


侑「漬け物の残りが心もとないからスーパーからしのげる程度の漬け物買って来た方いいですかね?」

彼方「うん、侑ちゃんに任せる」

侑「じゃあ、急いでスーパー行って来ますね」

彼方「行ってらっしゃーい」

 

59: 2023/02/16(木) 21:41:19.64 ID:7qUKkVne
────
──


~かのんの店・閉店後~


かのん(ふうっ、フロアの掃除も終わった・・・・・・)ガタッ


かのん(そうだ、きな子ちゃんが来るから準備しておかないと・・・・・・)


 ガチャッ


かのん「ん?」クルッ

かのん「いらっしゃ~い!きな・・・・・・

千砂都「かのんちゃん久しぶり!」ニコッ

かのん「あ、ああ!ち、ちぃちゃんか~!!ひ、久しぶりだねぇ~」アハハ

千砂都「丁度仕事終わったところなんじゃないかなって思ってね。たまにかのんちゃんの様子見てみようかな~って」

かのん「そ、そうなんだ。ちぃちゃんも仕事帰り?」

千砂都「うん、そうだよ」

かのん「ちぃちゃんが働いてるお店、かなり繁盛してるみたいだね」

千砂都「うん、まぁね。忙しさにはもう慣れたけどね」アハハ

かのん「私の店もそこまで混雑するお店とまでは行かなくても、そこそこ繁盛する店になれたらいいな」

千砂都「大丈夫だよ!かのんちゃんのお店なんだから!!」ニコッ

かのん「うん、ありがとね。ちぃちゃん」
 

60: 2023/02/16(木) 21:55:32.83 ID:7qUKkVne
千砂都「ところで・・・・・・あれは明日の仕込み??」

かのん「あ、これはね、新メニュー・・・・・・


 ガチャッ


きな子「こんばんわっす!!かのん先輩、きな子来ましたっす!!」ニコッ

かのん「あ、きな子ちゃんいらっしゃい!!」ニコッ

きな子「あれ?千砂都先輩も来てたんすね」

千砂都「・・・・・・あ、うん」


きな子「午前に配達で千砂都先輩のお店でお会いしたばかりなのに、今度はかのん先輩のお店でもお会いするなんて奇遇っす!」

千砂都「あはは・・・そ、そうだね」


きな子「千砂都先輩もかのん先輩の試作ラーメンの試食っすか?」

千砂都「えっ!?・・・・・・い、いや・・・私は仕事帰りにたまたま寄ってみただけなんだ」アハハ

きな子「そうなんすか~」
 

61: 2023/02/16(木) 22:07:05.98 ID:7qUKkVne
かのん「もし良かったら、ちぃちゃんも食べみてくれないかな?」

千砂都「・・・・・・あ・・・わ、私は・・・・・・店でまかない食べて来たからいいよ」

かのん「そっかぁ、感想聞きたかったんだけどそれなら仕方ないね」

きな子「スープの味見くらいならできるんじゃないっすか?」

かのん「それだ!!スープの味見なら出来るよ!!」


千砂都「・・・・・・・・・・・・」

千砂都「ご、ごめん・・・・・・また今度食べさせてよ・・・・・・」

かのん「えっ?」

千砂都「あ~・・・今日も仕事で疲れたから早く寝ないと!!」

千砂都「じゃ、またね!!」


 バタンッ

 

63: 2023/02/16(木) 22:33:45.85 ID:7qUKkVne
かのん「ちぃちゃん帰っちゃった・・・・・・」

きな子「千砂都先輩、かすみさんのお店の助手でかなり働いてるっすから、かなりお疲れなんすね」

かのん「ちぃちゃんもちゃんと誘っておけばよかったかな・・・・・・」

きな子「ん?」


かのん「・・・・・・それより、お腹空いたでしょ??」

きな子「はいっす!!かのん先輩の試作ラーメンを味わう為にバッチリ腹空かせて来たっす!!」

かのん「あはは!期待され過ぎるとつらいかも・・・・・・」


かのん「まぁ、麺茹でればすぐ出来上がるから座って待っててよ」ニコッ

きな子「きな子も何か手伝うっすか?」

かのん「大丈夫大丈夫!すぐ出来るから」
 

64: 2023/02/16(木) 22:47:35.29 ID:7qUKkVne
────
──


 ──グツグツグツグツ


かのん「・・・・・・・・・・・・」

かのん「よし、麺上げそろそろかな・・・・・・」


 バシャッ

 ザッ・・・ ザッ・・・


かのん「よっ・・・・・・」バッ


かのん「はい、おまちどおさま!!試作の塩ラーメン!!」ドンッ

きな子「うわぁ!!ありがとうございますっす!!」

かのん「純粋にスープの味の感想が貰いたいからトッピングは無しなんだ。ごめんね」

きな子「いえいえ!かのん先輩に協力出来るなんて光栄っす!!」


きな子「では、いただくっす!!」パキッ

かのん「率直な感想お願いします!!」
 

65: 2023/02/16(木) 22:55:29.84 ID:7qUKkVne
きな子「ではまずスープから・・・・・・ずずっ」

きな子「・・・・・・うん」

かのん「ど、どうかなぁ・・・・・・」ドキドキ

きな子「少し薄味に仕上げてあるんすね・・・・・・ずずっ」

かのん「うん。ウチ、今のところ醤油味のみでやってるでしょ?だからそれと差別化できないかと思ってね」

きな子「これはもう好みの問題かもしれないっすが、少し物足りない気もするっす・・・・・・」

かのん「なるほど、やはりそう来たか~」フムフム


きな子「では、麺の方は・・・・・・」

きな子「はむっ・・・・・・ズルッ・・・ズゾゾゾゾ・・・」


きな子「んむんむ・・・・・・」モグモグ


きな子「麺は醤油ラーメンと同じものっすね」

かのん「これはこだわってる麺で勝負したかったからね」

きな子「これは塩ラーメンとも相性良いと思うっす」

かのん「そっか、それなら良かった!」
 

66: 2023/02/16(木) 23:15:29.24 ID:7qUKkVne
かのん「やっぱりもう少しコクがあった方が良いかな?」

きな子「そうっすね。その方がきな子としては良いような気がするっす」

かのん「う~ん・・・・・・かえしの作り方、一から見直すか・・・・・・」

きな子「ウチで扱ってるモノで塩スープに使えそうなもの、今度ご紹介するっす」

かのん「うんっ!そうして貰えるとありがたいよ」

きな子「塩ラーメンのコクを出すのに白醤油なんかを使うのも良いって他に取引があるお店で聞いたことあるっす」

かのん「みたいだね」

きな子「明日、食材の配達の時に何種類か持って来てみるっす」

かのん「ありがとう!よろしくお願いするよ」ニコッ

きな子「はいっす!」ニコッ

 

67: 2023/02/16(木) 23:25:45.56 ID:7qUKkVne
────
──


きな子「ふぅ~、ごちそうさまでしたっす!」

かのん「お粗末さまでした!」


きな子「・・・・・・さて、きな子も明日早いんで帰って休むっす」

かのん「きな子ちゃん、今日はありがとね」

きな子「いえいえ!きな子で良ければかのん先輩への協力は惜しまないっす!!」

かのん「また良い試作出来たら招待してもいい?」

きな子「もちろんっす!!」

かのん「じゃあお願いね」

きな子「はいっす!!」


きな子「では、ラーメンありがとうございましたっす」ペコッ

かのん「またね~」ニコッ


 バタンッ


きな子(今日はかのん先輩のお手伝いが出来てよかったっす・・・・・・)

きな子(さて、帰ってお風呂入ったら眠るっす・・・・・・)


 テク テク テク・・・

 

69: 2023/02/16(木) 23:41:43.87 ID:7qUKkVne
────
──


~ランジュの店・開店前~


 ガラガラッ


きな子「おはようございますっす!!鬼塚商店っす!!」


ランジュ「────へぇ~、面白いわね。これはランジュの拉麺にも使えるかもしれないわ」


きな子「??」


 「そう言って貰えると嬉しいです!!今のところ、ウチの東雲物産でしか取り扱いしてない商品でして・・・・・・」

ランジュ「もしコレを使うとなると、鬼塚商店から仕入れているのいくつかが必要なくなるかもしれないわ」ウーン


きな子「どうかしたっすか?」

ランジュ「ああ、きな子。来てたのね」

 

70: 2023/02/16(木) 23:50:46.37 ID:7qUKkVne
きな子「・・・・・・それは何っすか??」チラッ

 「ウチが専売契約して仕入れている調味料ですよ」

きな子「へぇ~、凄いっす」

ランジュ「きな子、この子はきな子の会社とは別にランジュが取引のある東雲物産の遥よ」

きな子「し、東雲物産!?鬼塚商店とは比べものにならない大手の会社っす!!」

遥「東雲物産の近江遥です」ニコッ

きな子「ご挨拶痛み入るっす、鬼塚商店の桜小路きな子っす」ペコッ


遥「では、コチラの件は是非ご検討ください!!」

ランジュ「そうね、考えてみるわ」

遥「では、失礼します」ペコッ

ランジュ「そうそう、遥。お姉さんは元気??」

遥「・・・・・・あ、はい!」

ランジュ「そのうち、お弁当買いに行くからって伝えておいてくれる?」

遥「分かりました!ありがとうございます!!」


 バタンッ

 

71: 2023/02/16(木) 23:56:47.50 ID:7qUKkVne
きな子「今日の納品分はいつものところに積んでおきましたっす」

ランジュ「ありがとう。きな子」ニコッ


きな子「東雲物産さんの商品、仕入れるんすか?」

ランジュ「うーん、まだ決めたわけじゃないけれど、アレを使うと色々と便利かもしれないわね」

きな子「ウチの商品も何とか使い続けて欲しいっす。きな子が厳選して仕入れてる物ばかりなんっす」

ランジュ「それはもちろん分かってるわ。でも、フロアスタッフは雇っていても、厨房はランジュ1人で回しているから手間が省けて色々なメニューに応用が効く調味料は魅力的ではあるのよ」ウーン

きな子「一品一品のラーメンにこだわっているのがランジュさんのラーメンだと思うっす」

ランジュ「そうね、ランジュは自分の味に妥協したくないわ」

きな子「生意気言ってすんませんっす」ペコッ

ランジュ「いいのよ、ちょっと見失うところだったわ」

ランジュ「最近忙しくて、疲れが溜まっているのかもしれないわね」

きな子「無理はしないでくださいっす」

ランジュ「気遣いありがとう」ニコッ


きな子「では、失礼するっす」ペコッ

 

73: 2023/02/17(金) 00:06:44.54 ID:+XCLm/Fv
ランジュ「・・・・・・あっ!きな子ちょっと待ちなさい??」

きな子「へ??」クルッ

ランジュ「これ、持っていきなさい?」スッ

きな子「えっ?コレ何っすか?」

ランジュ「ほら、先日限定メニュー思い付いて卵を追加で注文したでしょ?」

きな子「は、はいっす」

ランジュ「読み違えて余らせちゃったのよ、だから空き時間にマーラーカオ作ってみたの」

きな子「へぇ~!美味しそうっす!!しかもこんなにたくさん!!」

ランジュ「配達の休憩時間にでも食べるといいわ」

きな子「ありがとうございますっす!!」ペコッ

ランジュ「じゃ、気をつけて運転しなさいね」

きな子「はいっす!!」


 バタンッ


きな子(うわぁ~!マーラーカオって中華蒸しパンっすよね。後で美味しくいただくっす!!)


 バタンッ

 キョカカッ

 ブルブルブルブルブル・・・


きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)


 ガゴッ

 ブオオオオオオオ・・・・・・

 

84: 2023/02/17(金) 21:23:37.54 ID:+XCLm/Fv
────
──


~かすみの店・開店前~


 ガラガラッ


きな子「おはようございますっす!鬼塚商店っす!!」

かすみ「あ、きな子おはよう~」

きな子「今から品物運ぶっす」

かすみ「よろしく頼みますよぅ~」ニコニコ


きな子「・・・・・・よっこいしょ」ズシッ

きな子(かすみさんのお店は毎日納品数が多いから大変っす・・・・・・)


 ドサッ


きな子「ふうっ・・・」

 

85: 2023/02/17(金) 21:27:45.33 ID:+XCLm/Fv
きな子「・・・・・・あっ!千砂都先輩おはようございますっす!」ニコッ

きな子「昨日の夜にかのん先輩のお店でお会いして以来っすね!」ニコニコ

千砂都「・・・・・・・・・あ、うん。おはよう」ヨロッ


きな子「??」


きな子「千砂都先輩??どうかしたっすか??随分と顔が赤いみたいっす」

千砂都「な、何でもないから・・・・・・」フラッ

きな子「大丈夫っすか・・・・・・?」


きな子「あ、そういえば!かのん先輩の試作ラーメン、なかなかの出来だったっす!」

きな子「もう一息で商品化できるレベルに行きそうな感じだったっす!!」

千砂都「ふーん・・・・・・」

きな子「きな子も塩ラーメンに合う材料をおすすめして、新メニュー開発に協力しようと思ってるっす!!」ニコッ


千砂都「・・・・・・・・・・・・」イラッ

 

86: 2023/02/17(金) 21:35:47.74 ID:+XCLm/Fv
きな子「千砂都先輩??やっぱり体調悪いっすか?」

千砂都「きな子ちゃん、ウチは毎朝の仕込み量が多くて大変なの!かのんちゃんの店の話なんかどうでもいいから!」

きな子「ひいっ!ごめんなさいっす!!」ビクッ


千砂都「うっ・・・」ズキッ


きな子「どうしたっすか?頭痛いんすか??」

千砂都「こ、こんなのすぐ治るから・・・・・・」フラッ


きな子「・・・・・・」スンスンッ

きな子(千砂都先輩・・・酒臭いっす・・・・・・二日酔いなんじゃ・・・・・・)


かすみ「────ちぃ子~!豚の仕込みある程度終わったら麺箱を厨房に運んでおいて~!」

千砂都「は、はい!!」
 

87: 2023/02/17(金) 21:40:18.28 ID:+XCLm/Fv
きな子「かのん先輩、千砂都先輩からも味の感想聞きたいみたいだったっす。今度味見してあげて欲しいっす」

千砂都「・・・・・・」イラッ

千砂都「きな子ちゃんはかのんちゃんの何なわけ??」ギロッ

きな子「ひいっ!た、ただの後輩っす!!」ビクッ

千砂都「後輩・・・・・・ね」


きな子(千砂都先輩、二日酔いだからなのか分からないっすが、めちゃくちゃ機嫌悪いっす・・・・・・きな子、何か失礼なことでも言っちゃったかなぁ・・・・・・)


きな子「と、とりあえず急いで残り品物トラックから下ろすっす!」

千砂都「・・・・・・・・・・・・」チッ


きな子(ふええええっ・・・怖いっす~!!)

 

89: 2023/02/17(金) 21:47:50.55 ID:+XCLm/Fv
────
──


きな子「では、今日の分も全部納品完了っす。ありがとうございましたっす」

かすみ「毎日ありがとね~」

きな子「では、失礼しますっす」ペコッ


 バタンッ


かすみ「・・・・・・あれ?ちぃ子、豚の仕込みまだ終わってないの??いつもより随分と遅いんじゃない?」

千砂都「す、すみません」


かすみ「うーん・・・・・・豚のロールがいつものように完璧な丸になってないな~・・・・・・」

千砂都「えっ!?あ・・・・・・ホントだ!!」アタフタ

千砂都「もう一度巻き直しますっ!」

かすみ「今日はもうこのままで煮込むから他の仕込み始めてよ」ハァッ

千砂都「す、すみません・・・・・・」シュン

 

91: 2023/02/17(金) 21:54:28.44 ID:+XCLm/Fv
 

 Prrrrr・・・(着信音)


かすみ「電話だ、こんな時間に何だろ・・・・・・」


 ガチャッ


かすみ「はぁ~い☆りんちゃんラーメンお台場店、店主の中須かすみでございますよぉ~♪」


かすみ「・・・・・・え??はいっ??バイト希望??」

かすみ「ウチは今募集してないけどぉ・・・まぁ、人手足りないといえば足りないんだよねぇ」ウーン


かすみ「・・・・・・そういうことなら~、とりあえず履歴書書いて面接に来てみてくださ~いっ!」


 ガチャッ


かすみ「ちぃ子~、アルバイトしたいって子から電話来たよ」

千砂都「そうなんすか??」

かすみ「最近、2人だけだと限界感じることもあるし~、1人雇っちゃおっか~??」

千砂都「ですね、たまにキツイ時もありますしね」ハハハ

かすみ「バイト希望か~、どんな子かなぁ??」

 

94: 2023/02/17(金) 22:02:50.04 ID:+XCLm/Fv
────
──


~近江弁当店~


 Prrrrr・・・(着信音)


侑「うわっ!また注文の電話だ~!!」


侑「はい!近江弁当店です!!」

侑「・・・・・・え~・・・はい。唐揚げ弁当2つとヒレカツ弁当が3つですね」カキカキ

侑「すみません、今日は予約注文が多いもので12:30までには何とか・・・・・・はい。よろしくお願い致します」


 ガチャッ


侑「彼方さーん!また予約入ったけど大丈夫??」

彼方「うーん・・・別にこなせる仕事量だけど、材料がねぇ・・・・・・」


 ガラガラッ・・・


遥「お姉ちゃんおはよう!」

彼方「あ、遥ちゃ~ん」ニコッ

遥「昨日追加注文貰った業務用漬物も一緒に持って来たよ!」

彼方「ありがと~!助かるよぉ~」

95: 2023/02/17(金) 22:09:22.43 ID:+XCLm/Fv
 ────Prrrr・・・


侑「────はいっ!近江弁当店ですっ・・・・・・」


遥「お姉ちゃん、最近は随分と繁盛しているみたいだね」

遥「お姉ちゃんから貰う食材の注文数が以前よりかなり多くなってるし」

彼方「おかげさまでね~。でも、侑ちゃんと2人きりだから回すのが大変になって来たかもねぇ」


侑「彼方さ~ん!また会社関係の大口注文来ちゃったけど大丈夫??断った方いいかな??」

彼方「う~ん・・・揚げ物系なら受けてもいいよぉ~」

侑「りょうか~い!」

 

96: 2023/02/17(金) 22:16:11.97 ID:+XCLm/Fv
 
侑「────お待たせしました!ご注文お尋ねしますね・・・・・・」


彼方「最近は近所の会社関係からまとまったお弁当の注文も入るようになったんだぁ」

遥「凄いね!お姉ちゃんのお弁当美味しいから認められたということだよ!」

彼方「この調子だと、遥ちゃんの会社からたくさん仕入れないとやっていけなくなるね」

遥「バンバン注文入れてね!私が配達しに来るから!!」ニコッ
 

98: 2023/02/17(金) 22:20:35.53 ID:+XCLm/Fv
 
侑「彼方さん!はい、伝票!!」ピラッ

彼方「お!侑ちゃん、あいよ~!」

侑「最初は色々な種類の弁当頼まれたんだけど、事情説明して唐揚げ弁当10個に統一して貰ったよ」

彼方「おお~!さすが侑ちゃ~ん!!」

侑「唐揚げ弁当の美味しさ語ったら電話口の人が理解してくれたみたいでさぁ~」

彼方「やるねぇ~侑ちゃん!さすが彼方ちゃんの相棒だよぉ~」ニコニコ


遥「・・・・・・・・・・・・」


彼方「これは鶏肉の仕入れ増やさないとダメかもね~」

彼方「ね?遥ちゃん??」

遥「ん??ああ、そうだね!!・・・・・・バンバン注文してね!私が配達するから」ハハハ

99: 2023/02/17(金) 22:27:27.99 ID:+XCLm/Fv
遥「じゃ、私行くから伝票にサインお願い」ピラッ

彼方「はいよ!」カキカキ


遥「では、ありがとうございました!!」ペコッ


 バタンッ


侑「あれ?遥ちゃん帰っちゃいました??」

彼方「うん。帰ったよぉ」

侑「小袋醤油の追加もお願いしようかと思ったんだけど・・・・・・あとでFAX注文すればいいか!」

彼方「そうだねぇ」


彼方「よぉし!12時までに注文分作り終えるぞぉ~!!」

侑「頑張りましょう!彼方さん!!」

 

106: 2023/02/18(土) 21:52:24.31 ID:ml8bxUYQ
────
──


~夕方・鬼塚商店~


 ザッ ザッ・・・


きな子「ふうっ・・・」

きな子(1人で倉庫の掃除は大変っす・・・・・・)


きな子(・・・・・・さて、伝票の整理は終わってるっすし、今日はもう上がるっす)


きな子「う~んっ・・・・・・」

きな子(明日は休みっす・・・・・・今週もきな子は頑張ったっす・・・・・・)


きな子(さて、戸締りはオッケーっすね・・・・・・)

きな子「お疲れ様でしたっす!!」


きな子「・・・・・・あっ!」

きな子(あぶないっす!会社の電話を留守電に切り替えるの忘れるところだったっす・・・・・・)


 ピッ


きな子「これでバッチリっす」

きな子(今度こそ帰るっす・・・・・・)


 ガラガラッ・・・バタンッ

 カチッ


きな子(裏口の施錠もオッケーっす・・・・・・)

きな子(明日の休みは何するっすかね~・・・・・・)

107: 2023/02/18(土) 21:59:55.18 ID:ml8bxUYQ
────
──


 テク テク テク・・・


きな子「・・・・・・・・・・・・」

きな子(今日の夜ご飯も近江弁当店さんで買って行くっすかね・・・・・・)


 テク テク テク・・・


きな子「あっ!」


きな子(そうっす!先月見つけた安くて美味い焼き鳥屋に行ってみるっす!!)

きな子(たまに休みの前の晩くらい、外で一杯やってもバチはあたらないっす・・・・・・)

きな子(マスターもいい人だったっすし・・・・・・)


きな子(・・・・・・確か、こっちの裏通りにあったはずっす)


 テク テク テク・・・

 

108: 2023/02/18(土) 22:07:48.78 ID:ml8bxUYQ
────
──


 テク テク テク・・・


きな子(え~っと・・・・・・)キョロキョロ


きな子「!!」

きな子(あったっす!!ここの焼き鳥屋っす!!)


 ガラッ・・・

 カランカラン・・・


きな子「こんばんわっす~・・・・・・」

マスター「いらっしゃ~い」ニコッ


 ガヤガヤ・・・・・・


きな子「1人っすけど、いいっすか??」

マスター「いいわよ?カウンターの空いてる席にかけてくれる?」

きな子「あ、はいっす!ありがとうございますっす」ガタッ


マスター「あら?もしかして、先月来てくれた子よね??」

きな子「あ、はいっす!覚えていて貰えて光栄っす」ニコッ

マスター「うふふっ!一度来てくれたお客さんはちゃんと覚えているものよ」ニコッ

きな子「恐縮っす」アハハ
 

109: 2023/02/18(土) 22:15:38.09 ID:ml8bxUYQ
 
マスター「とりあえず、何飲む??」

きな子「じゃあ、生でお願いするっす」

マスター「うふっ!ありがとね」ニコッ


きな子「・・・・・・」キョロキョロ


きな子(やはり、小さな焼き鳥屋だから、常連さんが客層のメインといった感じっすね・・・・・・)


マスター「はいっ!お待たせ!」ドンッ

きな子「あ、どうもっす」


きな子「じゃあ、いただくっす・・・・・・」

マスター「・・・・・・あ、待って!仕事帰りで明日休みなんでしょ??」ニコッ

きな子「え??まぁ、そうっすけど」

マスター「今日は土曜日だもんね!乾杯しましょっ!私はお水だけど」ニコッ

きな子「え??あ、はいっす」スッ

マスター「乾杯~!」スッ


 カキンッ


マスター「1週間お疲れ様」ニコッ

きな子「きょ、恐縮っす・・・・・・」テレッ
 

110: 2023/02/18(土) 22:22:35.17 ID:ml8bxUYQ
 
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」グビグビ・・・

きな子(なんというか、温かみがあるマスターっすね・・・・・・)グビグビ・・・


きな子「ぷはあっ!」ドンッ


マスター「随分と一気に飲んだわね!」ウフフ

マスター「そのジョッキ、空けちゃって??もう一杯入れるから」ニコッ

きな子「・・・あ、はいっす!!」


きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」グビッ

きな子(・・・・・・いやぁ、凄い気配りっす・・・・・・商売上手っす)グビグビッ


きな子「ふうっ・・・」ドンッ


マスター「はい、生ね」スッ

きな子「あ、ありがとうございますっす!」


マスター「空いたジョッキくれる??」

きな子「あ、はいっす・・・・・・」スッ

マスター「ありがとね!」ウフッ
 

111: 2023/02/18(土) 22:52:03.10 ID:ml8bxUYQ
 「────ま、マスタぁぁぁ~!!・・・び、ビールぅ・・・・・・」

マスター「は~い!・・・・・・って、まだ飲むの??そんなに酔っ払っちゃって大丈夫??」

 「────かああ゛あ゛っ!!・・・・・・た、頼んだもんも出てこねーのか!この店はっ!!」

マスター「はいはい、ちょっと待っててね」ヤレヤレ


きな子「・・・・・・・・・・・・」ジーッ

きな子(あはは・・・・・・常連さんなんすかね・・・・・・)


マスター「ごめんなさいね、あの子ウチの常連さんなんだけど、いつもはあんなになるまで飲まないんだけどなぁ」ハァッ

きな子「気にしないんで大丈夫っす」アハハ


マスター「そういえば、あなたお名前なんだったかしら??」

きな子「あ、桜小路きな子っす!!」

マスター「きな子ちゃんね、可愛い名前だわ」ニコッ

きな子「い、いえ!そんなことないっす・・・・・・」

マスター「それに桜・・・・・・奇遇だわ」ニッコリ

きな子「??」


マスター「うふふっ!・・・きな子ちゃん、焼き鳥の注文どうする?」ニコッ

きな子「えっ??あ・・・・・・じゃあ、とりあえず・・・・・・ももとねぎ間と・・・・・・皮もお願いするっす」

マスター「はーい、これから焼くから待っててね」ニコッ

きな子「はいっす!」

113: 2023/02/18(土) 23:01:59.34 ID:ml8bxUYQ
 
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴクッ ゴクッ

きな子「ふうっ・・・」


 ────ガヤガヤ・・・


きな子「・・・・・・」キョロキョロ

きな子(結構良い雰囲気のお店っすね・・・・・・)


 「────ま、ますたぁ・・・・・・も、もう一杯ぃ・・・・・・」


マスター「・・・・・・ええ!?もうそろそろやめておいた方いいんじゃないの??」

 「────けっっ!さ、酒も出てこねーのか!この焼き鳥屋はっ!!」バンッ

マスター「はいはい、酔いすぎ酔いすぎ!そんなんで帰れるの?泊まってく??」

 「────お、お゛お゛お、追い出すってか!!と、とんでもねー店だなぁおいいっ・・・・・・けっっ!!」

マスター「そんなベロベロに酔ってるのにもう一杯飲んだら確実に潰れるわよ?」ハアッ

 「────へっ!酒も出ねー店なんかこっちから出願い下げだっ!!」フラッ


 ガタッ


マスター「あ、危ない!そんなにフラフラで大丈夫??」

 「────けっ!どいつもこいつも!!・・・・・・マスターまでも私の敵かよぉっ!!レOみてーなツラしやがって・・・」ヘロヘロ・・・

マスター「はいはい、レOでいいからまた今度ね」ニッコリ

 「────に、ににに・・・二度と来るかよ!あばよっ!」ヨロッ

マスター「あ、危ないっ!」


 ドンガラガッシャーン


 「いてて・・・・・・」

 

114: 2023/02/18(土) 23:07:04.11 ID:ml8bxUYQ
 
きな子「だ、大丈夫っすか??立てるっすか??」ダッ

 「ら、らいじょうらよ・・・・・・」ベロンベロン・・・


きな子「・・・・・・ん??あれ?・・・・・・もしかして、ランジュさんのお店でお会いした同業の??」


マスター「遥ちゃーん!今日の分はツケね~!!」

遥「・・・・・・あ、あばよっ!」


 ガラッ・・・バタンッ


きな子「・・・・・・・・・・・・」キョトン


マスター「おまたせ、注文の焼き鳥ね」スッ

きな子「・・・・・・あ、ありがとうっす」


マスター「あの子、いつもは可愛くていい子なんだけどなぁ・・・、なんだか最近は嫌な事が多いみたいで・・・・・・」

きな子「みんな何かしら悩みはあるっす」

マスター「そうよねぇ」


きな子「はむっ・・・もぐもぐ・・・・・・」

きな子「うんっ、美味しいっす!」ニコッ

マスター「ありがと!」ニコッ

マスター「テイクアウトもやってるから、持ち帰りたい時はいつでも言ってね」ニコッ

 

115: 2023/02/18(土) 23:14:32.42 ID:ml8bxUYQ
────
──


きな子「ふうっ・・・・・・お腹いっぱいっす・・・・・・」ゲフッ

マスター「あら?もう帰るのかしら??」

きな子「はいっす、おあいそお願いするっす」


マスター「はい、伝票ね」ピラッ

きな子「・・・・・・あれ?随分と安くないっすか??」

マスター「いいのいいの!今日はサービスするからまた来てね」ニコッ

きな子「あ、ありがとうございますっす!!」


きな子「じゃあ、コレで」スッ

マスター「お釣りちょっと待ってね・・・・・・」ガサッ


マスター「はい、お釣り!」ギュッ

きな子「お、おおっ・・・べ、別に手を握らなくてもお金落とさないっすよ・・・・・・」

マスター「うふふっ」ニコッ


きな子「では、ごちそうさまでしたっす」ペコッ

マスター「また来てね」

 

116: 2023/02/18(土) 23:18:56.62 ID:ml8bxUYQ
────
──


 テク テク テク・・・


きな子(ふぅ~・・・、ちょっと飲み過ぎたっすかね・・・・・・)

きな子(コンビニでお水でも買って飲んだ方良いかもしれないっす・・・・・・)フラッ


 「────ぐがーーーぐがーーーー」Zzz


きな子「!?」ビクッ

きな子「ええっ!?さっきの人っす!!」


きな子「な、なんでこんなところで寝ているっすか??大丈夫っすか??」


遥「ぐがーーーーぐがーーーー」Zzz


きな子(酔い潰れたせいっすね・・・・・・)

きな子(け、警察呼ぶっすか??・・・・・・いや、起こして水でも飲ませた方が・・・・・・)キョロキョロ


きな子(・・・・・・いや、きな子のアパートの近くっす・・・仮にも面識のある人を放っておけないっす・・・・・・)


きな子「大丈夫っすか??おんぶするっすよ??」グイッ

遥「ううっ・・・・・・」

きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ググッ


きな子(さて、アパートまでこの人をおんぶしていくっす・・・・・・)ズシッ


きな子「もう少しの辛抱っすからね~・・・・・・」ヨロッ

遥「ぐがーーー」Zzz


きな子「ううっ・・・・・・」フラッ

 

122: 2023/02/20(月) 00:26:47.14 ID:ojkR1poe
────
──


~翌朝・きな子の部屋~


きな子「んんっ・・・・・・」パチッ

きな子(朝っすか・・・・・・)ムクッ


遥「申し訳ありませんでしたっ!!!」m(_ _)m


きな子「ひえっ!?」ビクッ

きな子「そ、そういえば・・・・・・酔い潰れていた遥さんを背負って連れ帰って来たんだったっす」

遥「ど、どうして私はここにいるのでしょうか・・・・・・」オロオロ

きな子「焼き鳥屋で足もとがフラフラになるくらい飲んだからだと思うっすが、路上に倒れて泥酔していたところをきな子が保護させてもらったんすよ」

遥「えええっ・・・・・・そ、そうだったんですか・・・・・・」シュン

遥「実は昨夜・・・・・・焼き鳥屋さんでヤケ酒していて、途中から記憶がないんです・・・・・・」

きな子「あの様子ならそうなってもおかしくないっすね・・・・・・」アハハ

 

123: 2023/02/20(月) 00:35:00.95 ID:ojkR1poe
 
遥「そうだ!!焼き鳥屋さんの支払いどうなったんだろう??・・・・・・ま、まさか・・・立て替えて下さったんですか??」

きな子「いや、マスターがツケって言ってたっす」

遥「そ、そうでしたか・・・・・・早いうちに払いにいかないと・・・・・・」


遥「と、ところで・・・・・・ランジュさんのお店でお会いした同業の方ですよね??鬼塚商店さんの・・・・・・」

きな子「桜小路きな子っす。・・・・・・東雲物産の近江遥さんっすよね?」

遥「はい・・・・・・」


きな子「この界隈では最大手食品卸である東雲物産さんの社員さんがヤケ酒するなんて、やはり大きい会社は人間関係が大変なんっすかね??」

遥「いえ・・・・・・そうではないんです・・・・・・」

きな子「きな子で良ければ聞くっすよ?」


遥「あ・・・・・・えーと・・・・・・その~・・・・・・」

きな子「言いたくない時は無理に言わなくてもいいっす」
 

124: 2023/02/20(月) 00:46:03.76 ID:ojkR1poe
 
遥「・・・・・・・・・・・・」

遥「実は、私のお姉ちゃんが自営で弁当屋をやっていまして・・・・・・その・・・あの・・・・・・」ウジウジ

きな子「弁当屋さんっすか~ 凄いっす!」


遥「その、私のお姉ちゃんを・・・・・・お姉ちゃんの仕事を外から支えたあげられるようになりたいから今の会社で働いているんですが・・・・・・」

遥「私・・・・・・昔からお姉ちゃんのことが大好きで・・・・・・お姉ちゃんの弁当屋へのサポートも私が1番でありたいと思っていて・・・・・・だけど・・・・・・」

遥「お姉ちゃんの仕事を手伝ってくれている、お姉ちゃんの後輩さんが・・・・・・何ていうか・・・・・・その・・・・・・」モジモジ

きな子「その弁当屋さんって、近江弁当店さんっすよね?きな子もよく買いに行くっす」

遥「あ・・・お姉ちゃんのお店、ご存知でしたか・・・・・・」

きな子「店主の彼方さんのお弁当はホント美味いっすし、店頭で接客してる侑さんも凄く良い人で素敵な弁当店だと思うっす」

遥「は、はい・・・・・・そうですよね・・・・・・私も凄いと思ってます・・・・・・」


遥「でも・・・・・・侑さんのお姉ちゃんへのフォローが素晴らしくて・・・・・・お姉ちゃんも侑さんを頼りにしていて・・・・・・私なんか・・・・・・」

遥「何の役にも立ててないなと思えてきて・・・・・・」ウルッ


きな子「そうだったっすか・・・・・・」

遥「ううっ・・・・・・ぐずっ・・・」シクシク

きな子「あああっ!な、泣かないでくださいっす!!」

遥「う゛うううっ・・・・・・」シクシク

きな子「はい、ティッシュっす。泣き止んでくださいっす」スッ

遥「ず、ずびばぜん・・・・・・」グズッ
 

125: 2023/02/20(月) 01:00:19.66 ID:ojkR1poe
きな子「きな子がこんなこと言うの変かもしれないっすが、遥さんは彼方さんのお役にちゃんと立ててると思うっす」

遥「そ、そうでしょうか・・・・・・」

きな子「はい、大丈夫っす!!」ニコッ


遥「・・・・・・・・・・・・」

きな子「まずは、焼き鳥屋さんにツケを払うっす」

遥「そ、そうですよね・・・・・・」


遥「一度しか面識がないのに助けて頂いてありがとうございました。その上、愚痴まで聞いてもらってしまって・・・・・・」ペコッ

きな子「いえいえ、当然のことをしたまでっす」


きな子「そうだ、シャワー使うっすか?さっぱりするっすよ?」

遥「えっ??・・・・・・いえ、このまま失礼して家に帰りますんで」

きな子「そうっすか、では気をつけてお帰りくださいっす」

遥「このお礼はまた今度何かしらの形でさせてください」

きな子「そんなのいらないっすよ」ハハハ


遥「では、ありがとうございました」ペコッ

きな子「いえいえっす」


 バタンッ


きな子(遥さん、ランジュさんのお店でお会いした時は、東雲物産の優秀な社員さんって感じで頼もしい人なのかと感じたっすが、やはり人には色々な悩みがあるもんっすね・・・・・・)

 

133: 2023/02/21(火) 20:29:40.08 ID:yoZvuyTl
────
──


~かすみの店・営業中~


千砂都「次の方ニンニクいれますか~?」

客「ヤサイ少なめアブラカラメで」

千砂都「はーい・・・・・・」モサッ・・・ドロッ・・・

千砂都「はい、お待ち~」ドンッ

千砂都「隣の方は~??」

客「全マシでお願いします」

千砂都「はい、全マシね・・・・・・」モサッ モサッ・・・

千砂都「はい、どうぞ~」ドンッ


千砂都「後ろの方、食券見せてくださーい!!」フリフリ

千砂都「え~と・・・・・・小、小・・・小、大・・・小・・・」

千砂都「はーい、ありがとうございま~す」

 

134: 2023/02/21(火) 20:34:11.08 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「(ふうっ・・・・・・店主、休日とはいえいつもよりお客多いですね)」ヒソヒソ

かすみ「(うん、今日の分の仕込み、足りないかもしれないよ?ちぃ子)」ヒソヒソ

千砂都「(ですよね・・・・・・ちょっと、外待ちの人数見て来ますね)」ヒソヒソ

かすみ「うん、よろしく」


 バタンッ


かすみ(えーっと・・・次のロットわ~・・・・・・1800g・・・・・・)ガサッ

かすみ(・・・・・・あれれ??麺、これしか打ってなかったっけ??)


 バタンッ


千砂都「(店主、外に並んでるお客さん30人くらいです)」ヒソヒソ

かすみ「(そっか・・・・・・ちぃ子、行列最後の人に宣告頼んで来て・・・・・・今日はそれでお店閉めるから)」ヒソヒソ

千砂都「(分かりました・・・)」ヒソヒソ


 バタンッ


客「ごちそうさまでした」ドンッ

かすみ「あ、ありがとうございましたぁ~」

 

135: 2023/02/21(火) 20:38:45.01 ID:yoZvuyTl
────
──


~かすみの店・閉店後~


 ガラガラッ・・・ピシャンッ


千砂都「店主、入り口閉めました」

かすみ「ちぃ子お疲れ~」

千砂都「今日は閉店がかなり早まってしまいましたね」

かすみ「今日は仕込みの当てが外れちゃったねぇ」トホホ

千砂都「まぁでもいいですよ、ただでさえ週末は行列が長くなって近隣にも迷惑かけてしまいますし」


かすみ「ちぃ子~、今日は夜の部もこのまま休みにしようか?」

千砂都「え?店主がいいなら私は全然構いませんけど」

かすみ「じゃあ決まり~!!」ニコッ

千砂都「店主、何か予定でもあるんですか??」

かすみ「べ、別に何もないですよぉ~?もともと夜も営業するつもりだったしね」

千砂都「私はどうしようかなぁ・・・・・・」ウーン

かすみ「また昨日みたいに二日酔いで仕事に支障が出るようなことはダメですよぉ??」ニヤリ

千砂都「あはは・・・昨日はホントすみませんでした」

 

136: 2023/02/21(火) 21:03:18.19 ID:yoZvuyTl
────
──


~かのんの店・夕方~


かのん「よし、夜営業の準備はオッケー」

かのん「今日はたくさんお客さんが入りますように!」パンパンッ

かのん「・・・・・・・・・・・・」


かのん「よし、神棚拝んだし頑張るぞ~!」


 ガラガラッ


かのん「ん?誰か来た??」クルッ

千砂都「かのんちゃん?夜営業開店前の忙しい時にごめんね」

かのん「ちぃちゃん!ちょうど今準備終えたところだし大丈夫だよ」ニコッ

千砂都「そっか、それならよかった」ハハハ

かのん「どうしたの?今日はちぃちゃんのお店営業日だよね?」

千砂都「昼の部の来客がかなり多くて仕込み切らしちゃってさ、店主の判断で早仕舞いして夜の部も休みになったんだ」

かのん「そうなんだ!私の店では考えられないような出来事だから羨ましいよ」

千砂都「だから今日はかのんちゃんのお店の夜の部の1番客になりたくて来てみたんだよね」

かのん「そうなんだ!ありがとね、ちぃちゃん」ニコッ
 

137: 2023/02/21(火) 21:08:56.46 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「開店何時からだっけ??」

かのん「あと15分後だよ」

千砂都「よし!じゃあ私、外で開店待ちしてる!」

かのん「ええっ!?いいよいいよ~!」アタフタ

かのん「私の店は行列なんか出来たこともないし、夜の部は開けてもすぐお客さん来たりしないし、ちぃちゃんはここで待っててもいいよ?」

千砂都「いや、逆に私が外待ちすることで歩行者に待ちが出来るようなお店なのかと思って貰えるかもしれないでしょ?」

かのん「う~ん・・・それはそうだけど~・・・・・・」

千砂都「いいからいいから!私、かのんちゃんの役に立ちたいし!!」ニコッ

かのん「じゃあ、ちぃちゃんのお言葉に甘えよっかなぁ」

千砂都「うんうん!それでいいよ!かのんちゃんが暖簾出したら1番乗りで入店するね」ニコッ

かのん「ごめんね、ちぃちゃん。今日のラーメンは奢るから」

千砂都「だめだめ!!」ムッ

千砂都「ラーメン代もちゃんと私が払う!!」

かのん「ははは・・・・・・ちぃちゃん、何から何まで悪いね」

千砂都「いいって、いいって!・・・・・・じゃ、外で待ってるから」

かのん「はーい」


 バタンッ

 

138: 2023/02/21(火) 21:14:15.23 ID:yoZvuyTl
────
──


 ガラガラッ


かのん「ちぃちゃんお待たせ~、開店時間だよ」

千砂都「あ、かのんちゃん待ってたよ」ニコッ

かのん「さ、入って入って!」

千砂都「お邪魔しま~す」


 バタンッ


千砂都「カウンター座っていい?」

かのん「あ、うん!お好きな席にどうぞ~」


 ガタッ


かのん「ご注文は??」

千砂都「え~っと・・・・・・って、まだ醤油ラーメンしかないんだったよね」

かのん「うん、ごめんね。麺の盛りと追加トッピングがあれば選んでね」

千砂都「じゃあ、普通盛でお願い!」

かのん「あいよ~!ご注文ありがとうございます!!」
 

139: 2023/02/21(火) 21:18:22.72 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「そういえば、新メニューはまだ出来ないの?」

かのん「・・・・・・あ、うん。もう少し手を加えて納得できる味になったら出すつもり」

千砂都「そうなんだ」

かのん「きな子ちゃんがいい材料すすめてくれるみたいだからそれを待ってるんだ」

千砂都「ふーん」


かのん「・・・・・・よし、麺茹でるよ~」バシャッ

かのん「ふふふ~ん・・・・・・」


千砂都「・・・・・・・・・・・・」


かのん「・・・・・・うち細麺だから茹で時間短くてすぐ出来るからもう少し待っててね」

千砂都「・・・・・・あ、うん」

 

140: 2023/02/21(火) 21:22:44.63 ID:yoZvuyTl
 

 ────グツグツグツグツ・・・


かのん「よしっ・・・・・・」ザッ ザッ・・・

かのん「・・・・・・・・・・・・はいっ!おまち~!!」ドンッ

千砂都「ありがとう、かのんちゃん」


千砂都「いただきまーす」パキッ


千砂都「どれどれ、スープから・・・・・・ズズッ・・・」

千砂都「・・・・・・うんっ!鶏ガラと魚介かな?さっぱりとしていておいしいね!」

かのん「ありがと!」


千砂都「はむっ・・・・・・ズゾゾゾゾッ」ズルズル

千砂都「んむんむ・・・・・・」モグモグ


千砂都「うんっ!たまに細麺食べると新鮮だなぁ~」

かのん「ちぃちゃんのお店のラーメンは極太麺だもんね」ハハハ


 ガラガラッ


かのん「あ、いらっしゃいませ~!!」

千砂都「・・・・・・あ、お客さん入って来たね」

 

141: 2023/02/21(火) 21:27:12.54 ID:yoZvuyTl
 
かのん「────ご注文は~?」

客「────大盛り、チャーシュー増しで」

かのん「────ありがとうございます!」


かのん「ちぃちゃん、ゆっくり食べててね」

千砂都「あ、うん」

かのん「・・・・・・大盛り、大盛りっと」ガサゴソ

かのん「よっ!」ドボンッ


 ────グツグツグツグツ


千砂都「・・・・・・・・・・・・」


 ガラガラッ・・・


かのん「あ、いらっしゃいませ~!!」

千砂都「んん?結構お客さん入って来たんじゃない??」

かのん「みたいだね、いつもの夜営業はほとんどお客さん入らないんだけどね」アハハ


 ガラガラッ・・・


客「こんばんは~、6人ですけど入れますか??」

かのん「あ、はい!!テーブル席使ってください!!」アタフタ

千砂都「かのんちゃん大丈夫??1人で回せる??」

かのん「・・・・・・あ、うん!前もこういうことあったから何とかなるよ」アタフタ

客「────注文お願いしまーす!!」

かのん「あ、はーい!!お待ちくださーい!!」

千砂都「・・・・・・・・・・・・」

 

142: 2023/02/21(火) 21:34:10.97 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「かのんちゃん、ごちそうさま」ドンッ

かのん「あ、ちぃちゃんありがとね。丼置いてていいよ、私片付けるから」

千砂都「お金も置いとく・・・・・・」ジャラッ

かのん「うん!ありがとう」

千砂都「じゃ、また」


 バタンッ


客「────おーい!注文早く聞いてくれない??」

かのん「はっ!?すみません!!ただいま~!!」アタフタ


 ──ガラガラッ


かのん(んんっ??裏口??誰だろ??)


千砂都「────かのんちゃん、ここにかけてあるエプロン借りるよ」ガサッ

かのん「ち、ちぃちゃん??」


千砂都「よしっ」キュッ

かのん「ちぃちゃん!?、帰ったんじゃないの!?」

千砂都「フロアは私がやるから、かのんちゃんは厨房に専念していいよ」

かのん「ええ~!?」


千砂都「お客さんお待たせしました~!ご注文お尋ねしまーす」

千砂都「・・・・・・・・・・・・はい、普通盛ですね・・・トッピングは?・・・はい!お待ち下さい!」

かのん「ちぃちゃん・・・・・・」

 

143: 2023/02/21(火) 21:38:24.83 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「かのんちゃん、オーダー!!伝票、ここに貼っておくといい??」

かのん「あ、うん!ありがとう!」

千砂都「さっきの団体さんの注文も取ってくるね」

かのん「ごめんね・・・・・・助けて貰っちゃって」

千砂都「いいっていいって!」ニコッ


 ──ガラガラッ


千砂都「あ、いらっしゃいませ~!!」

かのん「やばっ!お客さんがかなり増えてきた~!!」

 

145: 2023/02/21(火) 21:41:57.85 ID:yoZvuyTl
────
──


 テク テク テク・・・


きな子(今日の夜ご飯は何がいいか悩むっす・・・・・・でも、家帰って自炊するのも何だか億劫っす・・・・・・)


 テク テク テク・・・


きな子(・・・・・・あ、そうっす!ちょうどこの辺りにはかのん先輩の店があるっす!)

きな子(かのん先輩のお店で頂いて行くっす!!)


 テク テク テク・・・


きな子(・・・・・・んん?かのん先輩のお店の前に何人かいるようっすね)

きな子(・・・・・・うわっ!外待ちが出来てるっす!!)

きな子(かのん先輩のお店はまだ新しいお店っすが、味は確かなので口コミで広まればお客さんが増えるのも納得っす・・・・・・)


きな子(さて、きな子も並ぶっす・・・・・・)

きな子「ふうっ・・・・・・」


きな子「・・・・・・」チラッ

きな子(おおっ・・・・・・店内は満席っすね・・・・・・かのん先輩、ワンオペで大変なんじゃないっすかね・・・・・・)

 

146: 2023/02/21(火) 21:46:23.34 ID:yoZvuyTl
 
 「すみません、このラーメン屋さんに並んでるのですか?」

きな子「!!」ビクッ

きな子「あ、はい!そうっす」

 「じゃあ私も並びますね」

きな子「どうぞっす・・・・・・って、あれれ??」

 「・・・・・・ん?・・・あっ!!き、きな子さん!?」

きな子「は、遥さんじゃないっすか!!」

遥「あはは・・・これは奇遇ですね。昨夜は大変お世話になりました」

きな子「どうしてこのお店へ来たんすか??」

遥「さっき、営業開始する前に焼き鳥リリィさんにツケを払いに行って来たんですけど、その時にマスターからラーメンが美味しいお店ということで教えて貰ったんです」

きな子「焼き鳥リリィ??・・・・ああ、そういえばそういう店名だったっすね。あの焼き鳥屋さん」

遥「そうです。そしてマスターが新しいお店だけど味も良いし店主も魅力的だと言ってました」

きな子「このラーメン屋さん、きな子の先輩のお店なんすが、味も店主の人柄も間違いないっす!!」フンスッ

遥「きな子さんもそう言うならば来て良かったです」ニコッ

 

147: 2023/02/21(火) 21:53:32.45 ID:yoZvuyTl
────
──


かのん「────よっっ!!」ドンッ

かのん「はいっ!ちぃちゃん!カウンター2番さんと3番さんのラーメン出来たよ!!」

千砂都「了解!!すぐ運ぶね!!」


客「ごちそうさま」

千砂都「・・・・・・あ、ありがとうございます!!お会計ですね」

千砂都「先にラーメン運ばせて貰いますので少々お待ち下さい」


かのん「ちぃちゃん、それなら会計は私するよ」ガタッ

千砂都「うん、お願い!」


かのん「お待たせしました!・・・・・・えーと、850円になりまーす」ピッピッ

かのん「はい!千円お預かりで150円のお返しで~す」スッ


かのん「ありがとうございました~」ニコニコ


千砂都「かのんちゃん、2、3番の片付けオッケーだよ。外のお客さん入れるね」

かのん「うん、お願い」
 

148: 2023/02/21(火) 21:57:38.18 ID:yoZvuyTl
 

 ガチャッ


千砂都「次の方、何名様ですか~??」

きな子「あ、2人っす」

千砂都「じゃあどうぞ~」

きな子「ありがとうございますっす・・・・・・って、千砂都先輩じゃないっすか!?」

千砂都「あれ??きな子ちゃん??」

きな子「ど、どうしたんすか??」

千砂都「今日は早仕舞いしたからかのんちゃんのお店手伝ってるんだよね」

きな子「そうだったんすか~!それならこの混雑でもお店回せるっすね!」

千砂都「まぁ、とりあえず入ってよ」

きな子「はいっす」

遥「失礼します」


 バタンッ


千砂都「カウンターの空いているところに座ってね」

きな子「はいっす」


 ガタッ


遥「今の人が店主さんですか??」

きな子「いえ、今の人もきな子の先輩なんすが、普段は別のラーメン屋で働いてる人っす」

遥「そうなんですね」

きな子「店主は厨房にいる人っすよ」

遥「ああ、あの人が店主さんてしたか」
 

149: 2023/02/21(火) 22:05:49.66 ID:yoZvuyTl
 
千砂都「はい、お冷ね」トンッ

千砂都「注文どうする??」

遥「何がおすすめですか??」

きな子「このお店は今のところ醤油味しかないっす」

千砂都「なので麺量と追加トッピングの有無だけ決めて貰えばオッケーです!」

遥「じゃあ、・・・・・・普通盛に煮卵トッピングで」

きな子「きな子も同じでお願いしますっす」

千砂都「え~っ・・・・・・」カキカキ

千砂都「普通盛・・・・・・2つ・・・と、煮卵も2つ・・・・・・」カキカキ

千砂都「はい、お待ちくださーい!」


千砂都「かのんちゃん、オーダー!!」ピラッ

かのん「────はーい!!」


遥「まだ新しいお店とはいえ、一つのメニューに絞って出している辺りに店主のこだわりを感じますね」

きな子「っすね、かのん先輩らしいと言えばらしいっす」

 

150: 2023/02/21(火) 22:09:29.42 ID:yoZvuyTl
 
きな子「このお店はウチが主に食材卸してるんすよ」

遥「そうなんですか、鬼塚商店さんのお客さんなんですね」

きな子「実は新メニューの為の材料の提案も近日中にするんすよ。きな子がかのん先輩の為に厳選するっす」ニコニコ

遥「へぇ~、きな子さんも頑張っているんですね」

きな子「遥さんが勤める東雲物産さんみたいな大きな卸売会社じゃないっすが、まぁ何とかやって行けてるっす」

遥「はぁ、私も頑張らないとなぁ・・・・・・」

きな子「遥さんなら大丈夫っすよ」ニコッ


千砂都「はい、普通盛り2丁お待ち~!」ドンッ

きな子「ありがとうございますっす!」

遥「うわぁ~、美味しそうですね~」


きな子「遥さん、箸っす」スッ

遥「あ、すみません」

きな子「では、味わっていただくっす」

遥「いただきます!!」

 

151: 2023/02/21(火) 22:17:18.04 ID:yoZvuyTl
────
──


遥「ぷふぅ・・・ごちそうさまでした~!」

きな子「かのん先輩のラーメンはいかがだったっすか?」ニコッ

遥「気が利いたことは言えないけど、美味しいですね」

きな子「それなら良かったっす」


遥「店主さんの腕の良さももちろんだと思いますが、こんな質の良いチャーシュー使ってこの金額で出すなんて利益出るんですかね?」

遥「それに、かえしの醤油もこのような味に仕立てるのにどうやっているのやら・・・・・・私の会社で扱っている醤油だとこんな良い味になる商品あったかな・・・・・・」

きな子「まぁ、高級な品物はあまり扱ってないっすが、安くて質が良いものを厳選して卸しているっす」

遥「そうなんですか・・・・・・」

きな子「まぁ、それをここまで美味しいもの仕上げるかのん先輩が1番凄いんすけどね」


遥「・・・・・・今日、このお店に来れて良かったです。勉強になりました」

きな子「遥さんは真面目っすね~」アハハ


遥「それより、食べ終えたので待っているお客さんの迷惑にならないうちに出ましょうか」

きな子「そうっすね」ガタッ


きな子「かのん先輩、千砂都先輩、きな子帰りますっす」

千砂都「あ、ありがとね~!」

遥「きな子さん、ここは私が払います」

きな子「いや、いいっすよ!ラーメンくらい自分で払うっす」

遥「いいからいいから!・・・・・・おいくらですか??」

千砂都「はい、1900円です!」

遥「2000円からお願いします」ピラッ

千砂都「はい、お釣りね」スッ


きな子「なんだか悪いっすね~」

遥「いえいえ、まだまだ借りを返さないといけないですから。こんなのお返しのまだ一部です」


かのん「────きな子ちゃん、ありがとね!!」

きな子「あっ!かのん先輩ごちそうさまでしたっす!」

かのん「────また来てね~!」

きな子「はいっす!」


遥「じゃあ出ましょうか」

きな子「そうっすね」


 バタンッ

 

167: 2023/02/23(木) 22:11:39.32 ID:JyOTIWM8
────
──


~週明けの朝・ランジュの店~


きな子「おはようございますっす~!鬼塚商店っす!!」

ランジュ「あら、きな子。早上好(ザオシャンハオ)」ニコッ

きな子「土日は材料切れとか無かったっすか?」

ランジュ「ええ、大丈夫よ。その辺りは計算して発注しているもの」

きな子「それなら良かったっす」

きな子「あと、今日の納品分はいつものところにまとめて置いておいたっす」

ランジュ「ありがとう、きな子。助かるわ」


きな子「・・・・・・それにしても、今朝も仕込みで大忙しっすね~!厨房スタッフの皆さん、フル稼働じゃないっすか」

ランジュ「ランジュは一つ一つのメニューにこだわっているから妥協はしたくないのよ」

きな子「さすがっすね~。ランジュさんの欲しい材料があればいつでもお問い合わせくださいっす」

ランジュ「そうね、頼りにしてるわ」ニコッ


きな子「では、失礼するっす」ペコッ

ランジュ「気をつけてね」

きな子「はいっす!」
 

168: 2023/02/23(木) 22:19:28.26 ID:JyOTIWM8
 

 ──ガラガラッ


きな子「ん?」

遥「おはようございます!東雲物産です」

きな子「あ、遥さんおはようっす!」

遥「・・・・・・えっ??き、きな子さん!?先週はお世話になりました」ペコッ

ランジュ「あら?きな子と遥はお友達なの??」

きな子「あはは・・・・・・先週色々ありましてっす」

遥「私がきな子さんに色々と助けて頂いたんですよ」ハハハ

ランジュ「そうなのね。同業同士で仲が良いのは良い事だわ」ニコッ


きな子「では、きな子は行くっすね」

遥「あ、はい!お気をつけて!!」


 バンッ


遥「納品分は倉庫に搬入しておきましたので」

ランジュ「ありがとう」

遥「伝票にサインかご捺印お願いします」スッ

ランジュ「わかったわ」カキカキ

遥「ありがとうございます」ニコッ
 

170: 2023/02/23(木) 22:23:58.68 ID:JyOTIWM8
 
遥「ところで、先週提案させて頂いた万能調味料の方はご検討頂けましたでしょうか?」

ランジュ「ああ、あれは確かに素晴らしい商品だと思うわ」

遥「お褒め頂きありがとうございます」

ランジュ「アレをランジュの店で導入すれば、ウチの仕込みから調理まで、かなりのコストを削減出来ると思う」

遥「そうなんです。そういうメリットも大きいと思います」


ランジュ「・・・・・・でもね、遥」

遥「はい」

ランジュ「それを使って楽して拉麺を作れば手間も省けるし、お客さんへ提供する価格も抑えられるし、良い事ずくめのように感じるけれど、それではランジュの拉麺ではないのよ」


遥「・・・・・・は、はい」


ランジュ「ランジュの味は一つ一つのメニューの細部まで徹底してこだわった一杯だから、万能調味料では代わりにならないわ」

遥「そ、そうですか・・・・・・」

ランジュ「だから悪いけど、アレはランジュの店では必要無いわね」

遥「・・・・・・承知しました」シュン


ランジュ「・・・・・・まぁでも、遥の会社との取引をやめるわけじゃないし、これからも宜しく頼むわ」ニコッ

遥「はい、引き続き宜しくお願い致します」


遥「では、失礼致します」ペコッ

ランジュ「気をつけてね~」


 バタンッ

 

171: 2023/02/23(木) 22:31:17.05 ID:JyOTIWM8
────
──


~開店前・かすみの店~


 ガラッ


かすみ「ちぃ子ごめ~ん!遅くなっちゃったね」

千砂都「・・・・・・あっ!店主お疲れ様です!!」


かすみ「仕込みは目処ついたぁ??」

千砂都「はいっ!バッチリですよ」ニコッ

かすみ「それなら良かった。バイトの面接が思ったより時間掛かっちゃったからねぇ」アハハ

千砂都「バイト希望の人、どうだったっすか??」

かすみ「実はバイト募集始めたあの後、もう1人から応募があって今日は2人同時に面接したんだよ~」

千砂都「そうだったんですか!」

かすみ「2人共、ちぃ子が応募して来た時のようなギラギラ感はないけれどねぇ~」ニヤッ

千砂都「あはは・・・・・・」アセアセ


かすみ「でもぉ、このまま人手不足もつらいから思い切って2人とも採用しちゃいまーすっ!!」

千砂都「ええっ!?ホントですか??」

かすみ「ちぃ子も後輩の教育よろしくお願いね~」ニコニコ

千砂都「店主~、まさかバイトの指導を私に放り投げる気じゃないですよね~??」

かすみ「まさかぁ??かすみんも総帥ほどじゃないけれど厳しくビシバシ行きますからね~!」キリッ

千砂都「私の時はビシバシではなかったと思いますけど・・・・・・」アハハ


かすみ「さぁて、仕込み終わってるならお客さんももう15人くらい並んでるみたいですし、開店しちゃいますよぉ~♪」

千砂都「了解です!では入り口開けますね」

かすみ「よろしく~」
 

172: 2023/02/23(木) 22:37:51.85 ID:JyOTIWM8
────
──


 ブオオオオオ・・・


きな子「・・・・・・」チラッ

きな子(おや?気付いたらもう昼ご飯の時間っす・・・・・・)

きな子(今日の昼飯はコンビニでいいっすかね・・・・・・)


 ブオオオオオ・・・・・・


きな子(え~と、この辺りだとあそこのコンビニが停められるはずっす・・・・・・空いていればっすが・・・・・・)


きな子(・・・・・・おっ!!一台分空いてるっす!!ラッキーっすね!!)

きな子(・・・・・・ウインカーつけて曲がるっす~!!)


 チャッカ チャッカ・・・


きな子(よし、歩行者いないっす~!!)


 ブオオオッ・・・


きな子(よし!駐車場所確保っす~!!)


 ガコッ

 ピー ピー ピー・・・

 ギッ ・・・プスンッ


きな子(ふうっ・・・お弁当、まだ売ってるっすかね・・・・・・)
 

173: 2023/02/23(木) 22:42:02.66 ID:JyOTIWM8
 

 ガチャッ・・・ バタンッ

 カチッ


きな子(はぁっ、いまだにこんな古いトラック使ってるの鬼塚商店くらいっす・・・・・・せめて集中ドアロックくらい欲しいっす・・・・・・)

きな子(もうCEOに無断で新しいトラックの契約しちゃってもいいっすかね・・・・・・)

きな子(多分、きな子が上げている利益から払えるはずっす・・・・・・)ハアッ


遥「────あれ??きな子さん??」


きな子「!?」

きな子「おや??遥さんじゃないっすか」

遥「さっきランジュさんお店でお会いして以来ですね」

きな子「そうっすね~」アハハ


遥「きな子さんもこのコンビニ、よく利用するんですか?」

きな子「たまにっす。今日は丁度駐車場が空いてたから入ったっす」

遥「私も同じような感じですね」ハハハ
 

174: 2023/02/23(木) 22:46:16.04 ID:JyOTIWM8
 
きな子「遥さん、これからお昼ご飯っすか?」

遥「そうですよ。きな子さんも?」

きな子「そうっす」

遥「あっ!それならお昼は私が奢ります!!」ニコッ

きな子「えっ!?こないだかのん先輩のお店でラーメンご馳走になったからいいっすよ~」

遥「ダメダメ!泥酔してたところを救って貰って1泊させて貰ってますから、まだまだお礼し足りないです」

きな子「きな子はもう十分っすよ~、お礼されたくて助けたわけじゃないっす」

遥「いいからいいから!店内に入って好きなの選んでください」ニコッ

きな子「じゃ、じゃあ・・・お言葉に甘えるっす」


 ウィーン(自動ドア)


店員「いらっしゃーせーー」


遥「遠慮しないでくださいね」ニコッ

きな子「は、はいっす・・・・・・」
 

175: 2023/02/23(木) 23:07:16.08 ID:JyOTIWM8
 

 スタ スタ スタ・・・


遥「あっ・・・・・・」チラッ

きな子「・・・・・・ん?雑誌っすか??」

遥「この雑誌の表紙の女優さん・・・・・・私と同い年なんですよ」

きな子「そうなんすか」

遥「私のお姉ちゃんの後輩でもあって、面識も少しあるんです」

きな子「そうなんすか~!芸能人と知り合いなんて凄いっす」


遥「それより、飲み物何にします??」ガバッ

きな子「じゃ、じゃあ・・・・・・お茶でお願いするっす・・・・・・」

遥「じゃあ、私もお茶にしようかな・・・・・・」パシッ

きな子「遥さん、そのお茶よりもコンビニのPB商品だと100円で買えるっすよ」

遥「きな子さんにご馳走するのに安いお茶買うわけにいかないですよ~」

きな子「ええ~・・・、きな子は安いのでも良いっす・・・・・・」ハハハ

遥「いいからいいから!」バタンッ
 

176: 2023/02/23(木) 23:15:19.27 ID:JyOTIWM8
 
遥「ご飯はお弁当でいいですか?」

きな子「はいっす。きな子はおにぎりでもいいっすけど」

遥「どれにします??」

きな子「う~ん・・・・・・遥さんと同じのでいいっす・・・・・・」


遥「・・・・・・あ、この三色そぼろチキン弁当美味しそうですね」

きな子「そうっすね。新商品みたいっす」

遥「じゃあこれを2つ買いましょう」ガサッ


遥「食後のデザート要ります??」

きな子「さ、さすがにそれは大丈夫っす」ハハハ

遥「食べ過ぎると太りますもんね」クスッ


遥「じゃあレジで会計済ませて私のトラックで一緒に食べませんか?」

きな子「はいっす。よろこんで」

 

177: 2023/02/23(木) 23:22:57.01 ID:JyOTIWM8
────
──


遥「今カギ開けますね」


 ガチャッ


遥「開きましたよ、助手席どうぞ~」

きな子「お邪魔するっす」


 ガチャッ・・・ バタンッ


きな子「なんか悪いっすね~」

遥「今、お弁当お渡ししますんで・・・・・・」ガサゴソ

遥「はい、どうぞ」スッ

きな子「ありがとうございますっす」ガサッ


遥「あと、お茶です」スッ

きな子「あ、すんませんっす」パシッ


遥「じゃ、食べましょうか」ニコッ

きな子「ありがたくいただくっす」


遥「・・・・・・あ、窓開けられるようにエンジンかけましょう」カチッ


 キョカカッ

 ブルブルブルブル・・・・・・


きな子「おお・・・・・・さすが大きな会社は新しいトラック使ってるんすね。エンジンのかかり方が勢い良いっす」

遥「リースで5年置きに新しくしてるみたいですね」

きな子「そうなんすか。ウチのトラックなんて10年以上使ってるんじゃないっすかね」
 

178: 2023/02/23(木) 23:28:53.86 ID:JyOTIWM8
 
遥「買って貰ったらいいんじゃないですか??」

きな子「どうっすかね~・・・・・・決定権ある人が行方不明なもんで・・・・・・」

遥「ええっ!?そ、そうなんですか??」

きな子「そうなんす・・・・・・困ったもんっす・・・・・・」ヤレヤレ

遥「もしトラックが故障して動かなくなったらヤバくないですか?」

きな子「一応トラックがもう一台あるから何とかなるといえば何とかなるっす」

遥「ははは・・・・・・」アセアセ


きな子「はむっ・・・・・・」モグモグ

遥「どうです?このお弁当」

きな子「うん・・・なかなか美味いっすね」


遥「あむっ・・・んっ・・・」モグモグ

遥「・・・・・・・・・・・・うん、コンビニにしては悪くないですね」


きな子「遥さんは近江弁当店さんのお姉さんがいるっすよね?だったらお姉さんにお弁当作って貰ったらいいんじゃないっすか?」

遥「うん、お姉ちゃんはお弁当作ってくれるって言うんですけど、社会人にもなって姉にたかるのも少し恥ずかしい気がして・・・・・・」

きな子「まぁ、それはあるっすよね」

遥「それに、お姉ちゃんのお店にはお姉ちゃん以外にも侑さんという店員さんもいますし」

遥「・・・・・・毎日食材の納品に行ってますけど、その都度お姉ちゃんの弁当貰ってたら私達姉妹が侑さんに良く思われないんじゃないかと思いますしね」

きな子「なるほどっす。確かにそういう気は遣うっすよね~」
 

179: 2023/02/23(木) 23:39:27.70 ID:JyOTIWM8
 
遥「・・・・・・そういえば、きな子さんに聞いてみたかったんですが」

きな子「・・・・・・ん?なんすか??」モグモグ


遥「実は、ランジュさんのお店におすすめしてた万能調味料、断られたんです」

きな子「あ~、ランジュさんは一品一品へのこだわりがかなり強い店主さんっすもんね」

遥「ランジュさんのお店にはきな子さんも納品しているじゃないですか?」

きな子「はいっす」

遥「多分、ランジュさんの細かい要望に合わせて色々な食材を納品しているんだと思いますが、やはり鬼塚商店さんみたいに小さい会社だとそういうフットワークが良いんでしょうかね?」

きな子「う~ん、まぁ実質きな子1人でやってるんで、仕入れる食材はきな子次第なんすが、最初は調達するにも苦労ばかりでしたっす」

遥「そうなんですね。ウチのような大手だと会社が扱う品物をただお客さんの注文通りに納めるだけなんで、そういうの羨ましいです」

きな子「まぁ、新しい仕入れ先が増えるにつれて、そのツテで色々な業者さんや生産者さんと更に知り合えて上手く回るようになったんす」

遥「そっか~、そりゃあウチの商品じゃ敵わないですよね」

きな子「そんなことないっす。あの万能調味料は確実に便利だと思うんで、あれが色々な飲食店さんに広がったら鬼塚商店のような零細企業は潰れるっす」

遥「そんなことないですよ。実際、ランジュさんには断られましたし」

きな子「まぁ、確かに本格的なお店にはアレは売れないような気はするっすね」

遥「ですよね~。なんだか今回の調味料はウチの営業部長の肝入りの商品なんでノルマがかなりキツいんですよ」ハアッ

きな子「ええ~っ!それは大変っす」アハハ


遥「まぁでも、きな子さんと一緒にお食事してお話し出来たので少しやる気が出ました!」

きな子「それなら良かったっす」ニコッ


遥「午後からも頑張りましょうね!」

きな子「忙しくても安全運転第一っす」

遥「あはは!警察に捕まったら洒落にならないですからね」
 

180: 2023/02/23(木) 23:44:52.02 ID:JyOTIWM8
────
──


きな子「では、遥さんごちそうさまでしたっす!」

遥「いえいえ、こちらこそありがとうございました」


きな子「お弁当のゴミは私がゴミ箱に捨てるっす」ガサッ

遥「あ、すみません」


きな子「じゃあ、きな子はゴミ捨てたら午後の仕事始めるっす」

きな子「はい、私も出掛けますね」


 ガチャッ


きな子「よっこいしょっ・・・」スタッ


きな子「ありがとうございましたっす」ペコッ

遥「いえいえ!」


 バタンッ


きな子(ゴミ捨てるついでにトイレ借りてから行くっすかね・・・・・・)


 ブオオオオオオ・・・


遥「────きな子さんそれじゃあまた~!!」

きな子「!?」

きな子「お気をつけてっす~!」

 

185: 2023/02/24(金) 21:26:01.48 ID:+uDaNyC2
────
──


~午後・近江弁当店~


侑「ありがとうございました~!またお越しくださいませ!」ニコッ


侑「ふうっ、とりあえず今帰ったお客さんで昼の最繁時はひと段落のようですね~」

彼方「そうだねぇ、侑ちゃんお疲れさま~」ニコッ

侑「彼方さんこそお疲れ様です!」ニコッ


彼方「さて、賄い用意してお昼ご飯にしようか~」

侑「ありがとうございます!彼方さん」


彼方「今日は何にしようかなぁ~・・・・・・」キョロキョロ

侑「彼方さんが大変なんで簡単なもので良いですよ?」


彼方「う~ん・・・・・・」

彼方「あ、そういえばカレーが思ってたよりも余っちゃったんだよねぇ。侑ちゃん、カレーでもいい??」

侑「はい!大丈夫です!!カレーなら簡単ですし」
 

186: 2023/02/24(金) 21:33:19.92 ID:+uDaNyC2
 
彼方「ご飯はどれくらい余ってるかなぁ・・・・・・」カパッ

彼方「・・・・・・うん、これくらいあれば2人分は余裕だねぇ」

侑「夕方の分のお米、後で炊く準備しますね」

彼方「うん。食べてからお願いするよ~」


彼方「・・・・・・う~ん」

侑「ん?彼方さんどうかしました??」

彼方「ただのカレーじゃ何か物足りないなぁ・・・・・・」ウーン

侑「えっ?私はカレーでいいですよ?美味しいですし」

彼方「あ、そうだ!チーズ乗せてオーブンで火を通してチーズカレーにしちゃおう~!」

侑「うわぁ~!美味しそう!!」
 

188: 2023/02/24(金) 21:41:57.87 ID:+uDaNyC2
 
彼方「えーっと、チーズは・・・・・・」ガバッ


彼方「う~ん・・・・・・」

侑「んん?冷蔵庫の中身とにらめっこしてどうしたんですか??チーズならピザ用のやつ使えばいいんじゃ・・・・・・」


彼方「・・・・・・あ、あったあった!」ガサゴソ

侑「ん?」

彼方「前に遥ちゃんが試供品で持って来たチーズ。これを使ってみよう~」ガサッ

侑「あ~、そういえばそんなのありましたね」


彼方「チーズもかけて・・・・・・、唐揚げの余り物も刻んでトッピングしちゃおっかなぁ~♪」

侑「結局、それなりに手間がかかってしまいましたね」アハハ

彼方「どうせなら~、より美味しい方がいいしねぇ~」

侑「あ、オーブンに入れるの手伝いますよ?」

彼方「じゃあお願い」

侑「は~い」ガタッ

 

189: 2023/02/24(金) 21:47:38.41 ID:+uDaNyC2
 
侑「・・・・・・はい、準備オッケーです!!」バタンッ

彼方「いい感じにチーズが焼けるまでもうしばらく待ってね~」

侑「はいっ!美味しそうですね!」ニコッ


 ──ガラガラッ


遥「お姉ちゃん、侑さんお疲れ様~!」

彼方「あ、遥ちゃ~ん!」ニコッ

侑「遥ちゃんお疲れ様!」ニコッ

遥「今日の注文分の納品に来たよ」

彼方「ありがとね~」


遥「・・・・・・あ、もしかしてこれからお昼休憩かな??」

彼方「うん、今日はチーズカレーだよぉ」

遥「うわぁ!美味しそうだね~!!」

彼方「遥ちゃんも食べる~??」

遥「私はもうコンビニでお弁当食べたから大丈夫」

彼方「なんだぁ~、コンビニ弁当なんか食べるなら彼方ちゃんが遥ちゃんのお昼ご飯作るって言ってるのにぃ」

遥「大丈夫大丈夫!気にしなくて平気だから!!」ニコッ


遥「とりあえず、注文分の品物運ぶから2人はゆっくり休憩しててね」

侑「遥ちゃん、ありがとね」

遥「はーい!」

 

191: 2023/02/24(金) 21:55:05.09 ID:+uDaNyC2
────
──


 ガラガラッ


遥「今日の分の搬入は終わったよ、お姉ちゃん」

彼方「あっ、ん・・・・・・はむっ・・・はむっ・・・」モグモグ

彼方「んんっ・・・」ゴクンッ

遥「・・・・・・あっ!お食事中だったね。ゴメン!」

彼方「・・・・・・いやいやごめんごめん、ありがとね遥ちゃん」


遥「じゃあ私、次の配送あるから行くね」

彼方「うん、気をつけてね~」ニコッ


遥「・・・・・・・・・・・・」


彼方「遥ちゃん??どうかしたの?」

遥「お姉ちゃん・・・・・・」

彼方「・・・・・・ん~??」


遥「私、今の会社辞めようかな・・・・・・」ボソッ

彼方「えっ!?」

遥「んーん!何でもない!!ちょっと迷ってるだけ!!」

遥「じゃ、ありがとうございました~!!」ニコッ


 バタンッ
 

彼方「遥ちゃん・・・・・・」

侑「遥ちゃん、悩みあるのかなぁ・・・・・・」

彼方「悩みあるならお姉ちゃんに相談してくれたらいいのに」

侑「なんか、会社辞めるみたいな事言ってましたね」

彼方「う~ん・・・・・・」

 

194: 2023/02/25(土) 21:05:21.72 ID:x2lOJPee
────
──


~かのんの店・夕方~


 ガラガラッ


きな子「どうもっす!鬼塚商店っす~!」

きな子「・・・・・・って、かのん先輩居ない??」キョロキョロ


きな子(あれ~??お店がお休みということはないと思うっすが・・・・・・)


かのん「────きな子ちゃん!ごめ~ん!!」

きな子「!?」

きな子「あ、かのん先輩!客席フロアの方にいたんすね」

かのん「うん、夜営業の前に少し掃除しておこうと思ってね」

きな子「そうだったっすか」

かのん「ごめんね、急に追加注文お願いしちゃって」

きな子「いえいえ、ありがたいばかりっす」

かのん「何だか急にお客さんが入るようになったから、今までと同じ仕込み量だと間に合わなくてさ」

きな子「そういえば、こないだラーメンを頂きに来た時も満席だったすね」

かのん「うん、あれから昼も夜もそんな感じなんだ」

きな子「ようやくかのん先輩のラーメンの魅力が一般の方々にも伝わってきた証拠っす!」

かのん「私、費にお金掛ける余裕ないから集客する手段無いんだけどなぁ」ハハハ

きな子「今までかのん先輩のラーメンを食べたことがあるお客さんの口コミっすよ」

かのん「それなら嬉しいけれど」アハハ

 

195: 2023/02/25(土) 21:12:47.03 ID:x2lOJPee
 
きな子「追加ご注文分はもう運び込んでおいたっす」

かのん「ありがとう!・・・・・・さて、残りの準備に取り掛からないと!!」

きな子「かんばってくださいっす」


かのん「ふうっ、どれどれ~??」ガサゴソ

きな子「かのん先輩、そろそろワンオペもキツいんじゃないっすか??」

かのん「確かにね~。こないだ、ちぃちゃんが手伝ってくれた時はホント楽だったよ」

きな子「千砂都先輩は毎日行列のりんちゃんラーメンで、混雑した店内を回すの慣れてるっすからね」

かのん「ホントだよね。私の店なのにちぃちゃんの方が店内の全てを把握しているかのようだったもん」ハハハ

きな子「かのん先輩のお店も毎日混雑するようになって来たっすし、すぐに慣れるっす!」

かのん「そうなれるよう頑張らないとね」ニコッ

 

196: 2023/02/25(土) 21:17:37.54 ID:x2lOJPee
 
かのん「でも、やっぱりそろそろアルバイトでも募集しようかなぁ・・・・・・」

きな子「そうっすね。お店が回らなくなってからでは遅いっす」

かのん「とりあえずお店の入口にアルバイト募集の貼り紙でもしておこうか・・・・・・」ウーン

きな子「早く良い店員さん見つかるといいっすね」

かのん「きな子ちゃんは??ウチで仕事してみない??」

きな子「へっ!?」ビクッ

きな子「きな子は今の仕事辞めるわけいかないっす」

かのん「あはは!冗談冗談!!・・・・・・でもきな子ちゃんみたいな子がいてくれたらいいなぁ~って思うよね」

きな子「きな子は配送は出来てもお店の仕事は多分出来ないっす」アセアセ

かのん「あはは!もし、誰か良い子いたら紹介してね」

きな子「わかりましたっす!」

 

197: 2023/02/25(土) 21:22:05.59 ID:x2lOJPee
 
きな子「では、きな子は会社に帰るっす」ペコッ

かのん「ありがとね!お疲れさま~!!」ニコッ


 バタンッ


きな子(きな子も鬼塚商店の社員がせめてもう1人いてくれたらかなり助かるんすけどね・・・・・・CEO、早く帰って来ないっすかね~・・・・・・)ハアッ


 ガチャッ・・・バタンッ


きな子(さて、帰ったら伝票整理と倉庫整理っす・・・・・・)


 キョカッ・・・グ・・・グッ・・・・・・カチカチッ


きな子(あれ??エンジン掛からないっす・・・・・・)アタフタ

きな子(まさかバッテリーっすか??最近弱いなとは思っていたっすが・・・・・・)


 キュルッ・・・グッ・・・

 ブルンッ・・・


きな子「!?」


 ブルブルブルブル・・・・・・


きな子(良かった~!!とりあえず掛かったっす!!取引先の整備工場まだ開いてるっすよね・・・・・・会社帰る前にお願いしてみるっす・・・・・・)

きな子(えーっと、整備工場の電話番号はスマホに登録してあるはずっす・・・・・・)スッ・・・スッ・・・

きな子(・・・・・・あった!!)


きな子「・・・・・・」Prrrr・・・


きな子「・・・・・・あっ!鬼塚商店の桜小路っす~!!いつもお世話になってますっす!!」

きな子「何時まで営業してるっすか??・・・・・・ああ、それなら良かったっす」

きな子「実はバッテリーがヤバそうなんす・・・・・・セルの回りがかなり遅くて・・・今、出先なんすがエンジンかけることができなくなるところでヤバかったんす」


きな子「・・・・・・・・・・・・はいっす、はいっす・・・え?バッテリーの在庫あるっすか??それならすぐ向かうっす!!」

きな子「よろしくお願いしますっす!!」プツッ


きな子(よかったっす~!!整備工場さんには感謝っす~)ホッ

きな子(さて、急ぐっす!!)


 ガコッ

 ブオオオオオ・・・・・・

 

199: 2023/02/26(日) 00:07:27.89 ID:Usg82W1E
────
──


~月末の休日・鬼塚商店~


きな子「あああっ・・・しんどいっす~!!」ゲッソリ

きな子(月末は事務仕事もたくさんあって大変っす・・・・・・)

きな子(休みの日も休んでられないっす・・・・・・むしろ、休みの日の方が邪魔が入らなくて事務仕事がはかどるっす・・・・・・)


きな子「はあっ・・・・・・」

きな子(とりあえず、一度休憩するっす・・・・・・)ガタッ


きな子(鬼塚商店は土日休ませて貰ってるっすが、休み減らさないと仕事回らないっす・・・・・・)

きな子(やっぱり、人手が欲しいっす・・・・・・)

 

201: 2023/02/26(日) 00:24:09.03 ID:Usg82W1E
────
──


~かのんの店・開店前~


かのん(うわぁぁ!!よかった~!忙しい週末に間に合って!!)

かのん(前から導入しようか悩んでた食券機!!これがあればかなり手間が省けるよ~!!)

かのん(今日の営業から活躍してもらわないとね!!頼むよ!券売機ちゃん!!)ニコニコ


かのん(これであとアルバイトがせめて1人でいいから入ってくれたら良いんだけどなぁ~・・・・・・)ウーン

かのん(いたるところに貼り紙で募集はしてるけど、さっぱり電話が来ないんだよね~)ハアッ


かのん(その他に一応みんなにバイトしたい子いたら紹介してってお願いしてるけど・・・・・・それじゃ限度あるよねぇ~)

かのん(やっぱりお金かけて募集しないとだめか・・・・・・)


かのん(とりあえず、開店の準備しようっと・・・・・・)

 

202: 2023/02/26(日) 00:27:44.18 ID:Usg82W1E
────
──


~ランジュの店~


ランジュ「遥、お疲れ様」

遥「来週からは別の担当者がランジュさんのお店に配送に伺います。今後とも宜しくお願い致します」ペコッ

ランジュ「せっかく頑張ってくれていたのに残念だわ」

遥「すみません。急ではありましたが、こういう決断に至りましたので」

ランジュ「まさか、ランジュがいつぞやの万能調味料を仕入れる契約しなかったからじゃないでしょうね??」

遥「いえ、それは関係ないです・・・・・・」

ランジュ「そう、それならいいけど」


ランジュ「遥は来週からの勤め先決まってるのかしら?」

遥「いえ、とりあえず数日はゆっくり休んで、それから仕事探ししたいと思ってます」

ランジュ「それも悪くないわね。今まで忙しかったでしょうから、ゆっくり休みなさい?」ニコッ

遥「はい、ありがとうございます」ニコッ


遥「それでは、本当にありがとうございました」ペコッ

ランジュ「いつでもランジュの店に食べに来なさいよ?サービスするから」

遥「その時はお言葉に甘えさせて頂きます」ニコッ

遥「では」


 バタンッ

 

210: 2023/02/27(月) 20:49:12.94 ID:WB+7Y/KX
────
──


~かすみの店~


千砂都「よーし!とりあえず昼のお客さんはひと通り捌けましたね」フゥッ

かすみ「お疲れさま~」

千砂都「どうですか?バイト初日だからまだ分からないことばかりだと思いますけど」

 「ぴぎゃっ!は、はいっ!!」

かすみ「仕事はちぃ子から色々教わってくださいねぇ」

 「ぴぎっ!わ、わかりましたぁ!」

千砂都「どうですか?今朝教えた食洗機の使い方は覚えました??」

 「た、多分・・・大丈夫だと思います・・・・・・」

千砂都「どれどれ?」ガバッ

千砂都「・・・・・・あ、うん。大丈夫ですね。ちゃんと洗えてるみたいです」

 「よ、よかったぁ・・・・・・」ホッ

 

212: 2023/02/27(月) 20:56:55.18 ID:WB+7Y/KX
 
千砂都「えーっと、お名前・・・何でしたっけ・・・・・・ど忘れしちゃった・・・」

かすみ「新人バイトさんとはいえ、私達より歳上なんだから失礼だよ?ちぃ子~」

 「ル、ルビィですっ!!黒澤ルビィ!」

千砂都「そうでした!黒澤さんでしたね。すみません」ハハハ

ルビィ「い、色々とご迷惑お掛けするかもしれないけど・・・よ、よろしくお願いしますっ!」ペコッ

千砂都「黒澤さんっ!あ、頭上げてください!そんなに堅苦しくなく行きましょう」

かすみ「まぁまぁ、とりあえずお昼ごはんにしようか~」

千砂都「あ、はい」

ルビィ「わあ~、ルビィお腹空いたぁ」ニコニコ
 

214: 2023/02/27(月) 21:01:09.80 ID:WB+7Y/KX
 
かすみ「今日の賄いはちぃ子が麺茹でてみなよ」

千砂都「え?いいんですか??」

かすみ「こないだ教えた通りにできるでしょ?」

千砂都「あ、はい!やってみます!!」

ルビィ「ル、ルビィも何かお手伝いします!!」

かすみ「黒澤さんはちぃ子が賄い作ってる間にかすみんが色々とお店の事とか教えてあげますね~」

ルビィ「は、はい!よろしくお願いしますっ!」

 

215: 2023/02/27(月) 21:08:01.32 ID:WB+7Y/KX
────
──


 ────グツグツグツグツ


千砂都「よっ!」ザッ・・・ザッ・・・


千砂都「これでよし・・・・・・」

千砂都「やっぱりまだ店主のように手際良く掬えないなぁ」アハハ


かすみ「あ、ちぃ子できた??麺上げはたくさん練習して体で覚えないとね~」

千砂都「がんばります」

 

216: 2023/02/27(月) 21:16:23.29 ID:WB+7Y/KX
 
かすみ「賄いで食べる野菜は自分で好きな量だけ入れてくださいねぇ~」ドンッ

ルビィ「は、はいっ!!・・・・・・で、でも・・・ルビィそんなにたくさん食べられないかも」オロオロ

千砂都「あはは、大丈夫ですよ。麺はお客さんに出してる小ラーメンの半分くらいしか入れてませんから」

かすみ「あんなにたくさん食べたらぁ~、こんなに可愛いかすみんがおでぶになっちゃいますかね~」テヘッ

千砂都「あははは・・・・・・」アセアセ


かすみ「ニンニクとかも好きなだけ使っていいですよぉ~。かすみんは臭くなるの嫌なんで使わないですけど~」

千砂都「私は少し入れようかな・・・・・・」ドバッ

千砂都「やっぱ、りんちゃんラーメンはニンニク入れてこそ味が引き立つんですよね・・・・・・あ、黒澤さんもニンニク入れます?」

ルビィ「ぴぎゃっ!・・・じゃ、じゃあ・・・・・・少しだけ」

千砂都「じゃあ、少し入れますね」パッ

ルビィ「あ、ありがとうございます・・・」

 

217: 2023/02/27(月) 21:24:01.99 ID:WB+7Y/KX
 
かすみ「じゃ、いただきまぁす!」

千砂都「いただきまーす!」

ルビィ「い、いただきますっ」


千砂都「はむっ!・・・・・・ズゾゾゾゾッ」

千砂都「んむっ、んむっ・・・・・・」モグモグ

千砂都「んんっ・・・」ゴクンッ

千砂都「・・・・・・うんっ!やっぱ店主のスープは美味しいですね!!今日は微乳化気味でこれまた美味い!」

かすみ「あたり前ですよぉ~、かすみんのスープはりんちゃん全店の中でも飛び抜けて美味しいですからねぇ」ドヤァ


ルビィ「はむっ・・・はむっ・・・」ムグムグ

ルビィ「んっ・・・・・・」ゴクンッ

ルビィ「・・・・・・うわぁ、美味しいなぁ」ニッコリ

ルビィ「ルビィもいつかはこういうラーメン作れるようになれるといいなぁ」
 

219: 2023/02/27(月) 21:29:14.28 ID:WB+7Y/KX
 
千砂都「黒澤さん、修行して独立するのが目的なんですか?」

かすみ「そうですよぉ~、かすみんはその熱意を買って採用したんですっ!」フンスッ

千砂都「へぇ~!凄いなぁ」

かすみ「まずはウチでしっかり修行して、しっかり仕事覚えたら総帥の元で修行させて貰えるよう推薦しますからねぇ」

ルビィ「・・・・・・よ、よろしくお願いしますっ!」


千砂都「そういえば、バイト2人採ったんじゃなかったんでしたっけ??」

かすみ「もう1人は今働いてるところを円満退職してから来て貰うことにしたんだよ」

千砂都「そうなんですか~。てことは、その人も修行目的なんですかね」

かすみ「そうみたいだね」

かすみ「ちぃ子も、もしその気があれば総帥に推薦するよ?」

千砂都「わ、私はさすがにりんちゃんラーメンの看板を背負えるほどの度量ないですから」アハハ

かすみ「そうかなぁ、ちぃ子はかなり素質あると思うけどねぇ」

千砂都「お言葉だけ頂戴します」ハハハ

 

223: 2023/02/28(火) 21:38:30.82 ID:vcVfmoWr
────
──


 ガラガラッ


遥「こんばんは~」


 ────ガヤガヤ・・・


マスター「あら、いらっしゃい!遥ちゃん」ニコッ

遥「大丈夫ですか?座れます??」

マスター「さっき帰ったお客さんが座ってた席、今から片付けるから待っててくれる?」

遥「あ、はい!すみません」


マスター「今日は珍しく私服なのね。仕事帰りじゃないの??」

遥「一度帰って着替えてから来たんですよ」

マスター「あら、そうなの・・・・・・あとカウンター拭くと大丈夫だからもうちょっと待ってね」フキフキ

遥「お忙しいのにすみません」


マスター「・・・・・・・・・・・・今、片付けたカウンター席に座ってくれる??」

遥「はい!ありがとうございます」


 ガタッ

 

225: 2023/02/28(火) 21:43:31.50 ID:vcVfmoWr
 
マスター「いつも通りでいい??」ニコッ

遥「はい、お願いします」

マスター「今入れるわね」カタッ


 シュワッ・・・コポコポコポ・・・


マスター「・・・・・・はい、中ジョッキお待たせ」ドンッ

遥「ありがとうございます」


遥「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴキュッ ゴキュッ・・・

遥「ぷはあっ!」ドンッ

マスター「うふふっ!いつにも増していい飲みっぷりなんじゃない??」

遥「ええ、まぁ」

マスター「何かいい事でもあった??」

遥「う~ん、いい事なのかどうかは分かりませんが、今日で今まで勤めていた会社を辞めたんです」

マスター「えっ!?そうなの??」

遥「はい、結構急な決断になってしまったんですけどね」

マスター「じゃあ明日は休みだしゆっくり呑めるわね。こないだみたいに泥酔しちゃうのは良くないけど」ニコッ

遥「はっ!?そ、その節は本当にすみませんでしたっ!!」バッ

マスター「いいからいいから、頭下げなくでいいわよ」ウフフ
 

226: 2023/02/28(火) 21:48:03.12 ID:vcVfmoWr
 
遥「す、すみません・・・・・・それで次の仕事はまだ決めてないんです。なので少しの間は無職ですね」ハハハ

マスター「それも悪くないと思うわよ?焦らずゆっくり考えた方がいいわ」

遥「そうですね。・・・・・・まぁ、一応働いてみたいなと思うところはあるんですけどね」

遥「んぐっ・・・ごくっ・・・」グビッ グビッ・・・

遥「ぷはぁ~っ!」

マスター「おかわり要る??」

遥「あ、はい。お願いします」


マスター「その働いてみたいところにはもう声掛けてるの?」コポコポコポ・・・

遥「いえ、それはこれからなんです」

マスター「雇ってもらえるといいわね」ニコッ

マスター「・・・・・・はい、お待たせ」ドンッ

遥「ありがとうございます」

 

227: 2023/02/28(火) 21:54:38.12 ID:vcVfmoWr
 
遥「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴクゴク

遥「はあっ・・・」ゲフッ


マスター「もしそこで雇ってくれないようだったらウチで働く??」

遥「えっ!?この焼き鳥店でですか??」

マスター「そうよ」ニコッ

マスター「お店の2階が私の自宅になってるから、私と一緒に住み込みでいいわよ?遥ちゃん可愛いし」ニッコリ

遥「ええ~っ!?」

マスター「家賃も要らないし、だからといって給料を安くするつもりもないから良い条件だと思うけど」

遥「まぁ、それは確かに経済的ですね」

マスター「そのかわり・・・・・・

客「────マスター!!焼き鳥盛り合わせくださ~い」

マスター「あ、は~い!!・・・・・・遥ちゃんごめんね、ちょっと1人で飲んでてくれる??」

遥「いえいえ、お構いなく」


遥「んぐっ・・・・・・」グビッ・・・

遥「ふぅ・・・」コトッ

遥(・・・・・・今日は酔いが回るの早いかも)ボーッ

 

229: 2023/02/28(火) 22:19:06.31 ID:vcVfmoWr
────
──


~かのんの店・閉店後~


 カコッ・・・ガタッ


かのん(ふうっ・・・暖簾を片付けてっと・・・・・・)


 バタンッ・・・

 カチャッ


かのん「はあああっ・・・ 今日もしんどかったぁ・・・・・・」ガクッ


かのん(結構待ち時間出来ちゃってお客さん怒らせちゃったなぁ・・・・・・)ハアッ

かのん(お客さん増えて来たのは本当にありがたいことだけど、やっぱり1人じゃ限界だ・・・・・・)

かのん(こんなんじゃ、またお客さんがいなくなって閑古鳥が鳴いちゃうよ・・・・・・)


かのん(バイト募集していても、まったく応募の電話すら鳴らないしなぁ・・・・・・)

かのん(できれば、即戦力になる人が欲しいなぁ・・・・・・)

 

230: 2023/02/28(火) 22:34:01.18 ID:vcVfmoWr
 
かのん(そして結局、朝から何も食べてないや・・・・・・)

かのん(・・・・・・でも、何か作って食べようにも、一度集中力が切れちゃったから厨房に立つ気力もないんだよね・・・・・・)ハハハ

かのん(あとでコンビニからパンでも買って来ようかなぁ・・・・・・)


 コンコンッ


かのん「!?」ビクッ

かのん(裏口??誰だろ・・・・・・こんな時間に・・・・・・)


 ガラガラッ


千砂都「かのんちゃんいる??」

かのん「ち、ちぃちゃん!?」

千砂都「あ、やっぱり居たね。まだ電気点いてたから寄ってみたよ」ニコッ

千砂都「・・・・・・もしかして閉店して店の片付けしてたところかな??」キョロキョロ

かのん「あ、うん。もうすぐ終わるけどね」

千砂都「ごめんね、邪魔して」

かのん「んーん、そんなことないよ」
 

232: 2023/02/28(火) 22:50:44.72 ID:vcVfmoWr
 
千砂都「かのんちゃん、夜ご飯まだでしょ??」

かのん「ん??・・・・・・まぁ、そうだけど」

千砂都「前から少しずつ教わってはいたんだけど、今日は店主に製麺と麺茹でを少しやらせて貰ったんだ」

かのん「そうなんだ!!ちぃちゃんのお店って厳しそうだから、麺を任されるなんて凄いことなんじゃない??」

千砂都「いやいや!そうでもないよ!!」アハハ

千砂都「あとこれね、私が試しに茹でてみた麺が余ったから油そばにしてみたんだよね。良かったら食べてみてくれない?」スッ

かのん「えっ?いいの??」

千砂都「まぁ、かのんちゃんのラーメンに比べたら美味しくないかもしれないけどね」ハハハ

かのん「そんなことないよ!!ご馳走になるね!!」ニコッ

千砂都「うんっ!」
 

234: 2023/02/28(火) 22:56:45.43 ID:vcVfmoWr
 
かのん「じゃあお言葉に甘えて、パックを開けよっかな・・・・・・」ガサゴソ

かのん「よいしょっ・・・・・・」パカッ

かのん「うわぁ~!おいしそう~!!」

千砂都「かのんちゃん、それはちょっと大袈裟だよ~」アセアセ


かのん「実は、朝からずっと何も食べてなかったんだよね!いただきま~す!!」

千砂都「ええっ!?朝から!??」ビクッ


かのん「はむっ!んむっ!!」

かのん「んむむむっ!!ズゾゾゾゾッ・・・・・・」モグモグ

千砂都「す、凄い勢いで食べるねぇ・・・・・・」


かのん「んむんむ・・・・・・」モグモグ

かのん「んっ・・・」ゴクンッ


かのん「美味しい!!」

千砂都「そ、それなら良かったかなぁ」アハハ

かのん「あ~・・・・・・生き返るぅ~・・・・・・」ウルウル

 

235: 2023/02/28(火) 23:04:50.64 ID:vcVfmoWr
 
千砂都「そういえば、今日からウチに新しいバイトの人が入ったんだよ」

かのん「はむっ・・・はむっ・・・・・・」モグモグ

かのん「んんっ・・・・・・そ、そうなんだ・・・」

千砂都「その他にもう1人入るのが決まっていて、ウチの店も少しは楽になるといいな」

かのん「・・・・・・羨ましいなぁ。あれ以来、バイトの募集かけてるんだけど何の音沙汰もないよ」ハアッ

千砂都「そうなんだ・・・・・・」

かのん「ちぃちゃんが手伝ってくれた時は最高だったなぁ・・・・・・凄く効率良く店が回ってたもん」

千砂都「かのんちゃんもきっと良いバイト見つかるよ」

かのん「ううっ・・・・・・今すぐにでも欲しい!!猫の手も借りたい!!」

千砂都「あはは・・・ワンオペでは限界あるもんね・・・・・・」

かのん「うん・・・・・・そうなんだよね」

 

236: 2023/02/28(火) 23:09:10.25 ID:vcVfmoWr
 
千砂都「バイト見つかって、ある程度軌道に乗るまでは数量限定営業にしたらいいんじゃない?」

かのん「それも考えたんだけど、私みたいな新米ラーメン店がそんなことしたらお客さん来なくなっちゃいそうで・・・・・・」シュン

千砂都「無理して回すよりも良いと思うけとね」

かのん「そうかなぁ・・・・・・」

千砂都「数量限定営業の新鋭ラーメン店!!・・・・・・なんて話題性もあるんじゃない??かのんちゃんの場合は味も伴っているし問題ないと思うけど」

かのん「う~ん・・・・・・それも視野に入れてみるかぁ。私が倒れて営業出来なくなっては意味ないし」

千砂都「うん、そうだよ!かのんちゃんが倒れたら絶対にダメだから!!」

かのん「だよねぇ」ハハハ


千砂都「バイトは私も誰か良い人いたら紹介するようにするから」

かのん「うん、ありがとね」

 

237: 2023/02/28(火) 23:15:46.64 ID:vcVfmoWr
 

 ガタッ


かのん「ちぃちゃん??」

千砂都「かのんちゃんはそれ食べてて?片付けは私がやっておくから」

かのん「いや、いいよ!!ここは私の店だし!!」

千砂都「水臭いなぁ~、これくらい手伝わせてよ」

かのん「ダメダメ!!ちぃちゃんだって自分のお店を片付けて帰宅する途中なわけでしょ??」

千砂都「私がやりたくてやるんだから気にしないで」ニコッ

かのん「もう~、参っちゃうなぁ・・・・・・」ハアッ

千砂都「こないだ手伝った時と同じようにすればいいんだよね??」

かのん「う、うん・・・・・・」

千砂都「じゃあ、パーっと片付けちゃいますね~」

かのん「この借りは何かで返すね」

千砂都「何も貸してないよ~」


かのん「ちぃちゃん、ありがとう」

 

243: 2023/03/02(木) 20:04:16.73 ID:x0PtzK6M
────
──


~数日後の午後・近江弁当店~


 ガラガラッ


侑「あっ、いらっしゃいませ~!」ニコッ

遥「・・・・・・こ、こんにちは~」

侑「あっ!!遥ちゃん!!」

遥「あ・・・あの、侑さん・・・半端な時間帯ですけど、お弁当お願いできます??」

侑「あ、うん!それはもちろん大丈夫だけど・・・・・・ちょっと待ってね、遥ちゃん!」ドタバタ

遥「あ、はい」


侑「お~い!彼方さーん!!」

彼方「────はぁ~い」

侑「遥ちゃんが来ましたよ~!!」

彼方「────ええっ!?すぐ行くからちょっと待っててねぇ!!」

 

244: 2023/03/02(木) 20:11:31.33 ID:x0PtzK6M
 
侑「遥ちゃん、厨房に入りなよ。フロントだとゆっくりお話も出来ないし」

遥「あ、はい。じゃあお邪魔します」

侑「ここから入って??」ギイッ

遥「何気に表からお姉ちゃんのお店に入るの初めてですね」ハハハ

侑「そうだね」


彼方「遥ちゃ~ん!!いきなりだったからびっくりしたんだよぉ!!」

遥「あはは・・・ごめんなさい」

侑「今月入った途端に東雲物産の違う人が配達に来たからさ、てっきり急な人事異動でもあったのかなぁって彼方さんと話してたんだよね」

彼方「そして、新しい担当さんに聞いてみたら、遥ちゃんが先月末で退職したって聞いたからびっくりしたよぉ~!」

遥「お姉ちゃんに相談しようと思ったんだけどさ、毎日忙しそうだし悪いかなって・・・・・・」

彼方「そんなの関係ないよ~!心配したんだからね??電話しても出ないしさぁ!!」プンプン

遥「ほ、本当にごめんなさい・・・・・・」

 

245: 2023/03/02(木) 20:19:04.25 ID:x0PtzK6M
 
侑「まぁでも、こうして顔出しに来てくれたし、無事が確認出来ただけでもいいんじゃないかな」ニコッ

彼方「うん、まぁそうだけどね」


彼方「遥ちゃん、仕事辞めてどうしてるの?違う会社に転職したとか??」

遥「んーん、今のところはまだ無職だよ」

彼方「そうなんだ・・・・・・、何かつらいことでもあったの??」

遥「そういうことは一切ないんだけどね。このままで良いのかなって思うことがあって・・・・・・」

彼方「・・・・・・う~ん、まぁ遥ちゃんも大人だし、自分で決断したことならお姉ちゃんは咎めたりしないけど・・・・・・」

彼方「でも・・・・・・お仕事の取引もあったわけだし、お姉ちゃんに一言でいいから教えて欲しかったな」

遥「・・・・・・・・・・・・」

遥「だよね・・・・・・それは反省してる・・・・・・」

 

246: 2023/03/02(木) 20:29:26.07 ID:x0PtzK6M
 
侑「親しい間柄だからこそ逆に言いづらいこともあるからね。私は遥ちゃんの気持ちもなんとなくだけど分かるよ」ニコッ

遥「侑さん・・・・・・ありがとうございます」


彼方「遥ちゃん、新しい仕事探しはしてるの??」

遥「それもまだなんだ。一応候補はあるんだけど・・・・・・」

侑「まぁ焦らなくても良いと思うけどね」


彼方「遥ちゃんが良ければだけど、ウチで一緒に仕事する??」

侑「ウチ、人手不足だから遥ちゃん来てくれたら助かるなぁ~」

遥「あはは・・・・・・飲食店勤務は私には多分無理かなぁ・・・・・・」アセアセ

彼方「まぁ、どうしても仕事見つからない時はお姉ちゃんが面倒見るから言ってね?」

遥「うん、ありがとう。お姉ちゃん」

 

247: 2023/03/02(木) 20:36:52.67 ID:x0PtzK6M
 
侑「それより、遥ちゃんお弁当買いに来たんだよね??」

遥「あ、はい。たまにはこういう形で恩返ししようかと思って・・・・・・」

遥「それに、東雲物産辞めたこと黙ってたの怒られるだろうなと思ってたし・・・・・・」

侑「私と彼方さん、ちょうどこれから賄い食べるところだったんだよ」

彼方「遥ちゃんの分も作るから、食べて行きな?」

遥「うん。ありがとね、お姉ちゃん」

侑「頼れる先があるんだから頼らないとね!」ニコッ

遥「侑さんもすみません」ペコッ

 

248: 2023/03/02(木) 21:23:03.39 ID:x0PtzK6M
────
──


遥「あむっ・・・・・・」モグモグ

遥「んんっ!?」

遥「・・・・・・お姉ちゃん!これ美味しい!!お弁当の新メニュー??」

彼方「いやいや、生姜焼き用の豚肉が半端に余ったから竜田揚げにしてみたんだぁ」

侑「んむっ・・・はむっ・・・」モグモグ

侑「んんっ・・・こ、コレ・・・新メニューでいけますよ」

遥「侑さん、ですよね!?」

彼方「適当に勘で作ってみたんだけどぉ、そこまでほめられると逆に困るなぁ」ハハハ

 

249: 2023/03/02(木) 21:29:02.76 ID:x0PtzK6M
 

 ──ガラガラッ


侑「・・・・・・ん?裏口??誰か来た??」


きな子「どうもっす!鬼塚商店っす~!!」

遥「!?」

彼方「おお~!きな子ちゃ~ん!!お疲れさま~」

きな子「どこにお運びするといいっすかね??」キョロキョロ

侑「きな子ちゃん、こっちこっち」ガタッ

きな子「あ、ありがとうございますっす」

侑「頼んだ食材はこの辺りに置いてくれて大丈夫だから」

きな子「承知したっす」

 

250: 2023/03/02(木) 21:36:37.17 ID:x0PtzK6M
 
遥「お姉ちゃん、鬼塚商店さんとも取引あったの??」

彼方「今月入ってからね」

彼方「彼方ちゃんが東雲物産辞めたって聞いたから、前からウチのお客さんでもあるきな子ちゃんからも仕入れてみようかと思ってね」

遥「そうだったんだ」


きな子「よっこいしょ・・・・・・」ドンッ

きな子「ふうっ、これでおしまいっす」


遥「お、お米??」

彼方「うん、きな子ちゃんが東雲物産と同じ価格でおすすめのお米卸してくれるっていうから、お試しできな子ちゃんに貰ったお米を試しに炊いてみたら美味しくてねぇ」

遥「そうなんだ」

侑「いま食べてるご飯もそのお米だよ」

遥「えっ??言われてみると、確かに美味しいお米かも・・・・・・お姉ちゃんの炊き方が上手いんだと思ったけど・・・・・・」

彼方「たしかに~、彼方ちゃんはお米の洗い方から炊き方までこだわってるから美味しいというのもあるけどねぇ~」エッヘン

 

251: 2023/03/02(木) 21:40:40.12 ID:x0PtzK6M
 
きな子「伝票にサインお願いするっす」スッ

侑「はーい」カキカキ

きな子「ありがとうございましたっす!!」ペコッ


きな子「では、また・・・・・・って、遥さん!?」クルッ

遥「あはは、こんにちは・・・・・・」

きな子「東雲物産辞めたって聞いたっすよ!!」

遥「うん、そうなんです」

きな子「びっくりしたっす!!まさか大手の東雲物産を辞めるなんて・・・・・・」

遥「うん、まぁ色々とね・・・・・・」

きな子「新しい勤め先はどこっすか??」

遥「それもまだこれからなんですよ」アハハ

きな子「そうっすか~・・・・・・あっ!だから焼き鳥リリィのマスターが遥さんのことを住み込みで働かせたいとかどうとか言ってたんすね~」

遥「焼き鳥リリィのマスターからのお誘いは丁重にお断りしたんですけどね」アハハ

きな子「なんかベッドに敷く新しい布団も買ったとかどうとか言ってたっす」

遥「それはマスターがご自分で使う為なんでしょうね・・・・・・」アセアセ


きな子「さて・・・・・・あっ!もうこんな時間っす!!早く会社に戻らないとヤバいっす~!!」アタフタ

きな子「ではまた宜しくお願いしますっす」ペコッ

彼方「きな子ちゃん、ありがとね~」

侑「お疲れさま~!お弁当も買いに来てね!安くするから!」ニコッ

きな子「ありがとうございますっす!」


 バタンッ


彼方「慌ただしいねぇ~、きな子ちゃん」

侑「商売繁盛で何よりだよ」

 

252: 2023/03/03(金) 00:22:33.50 ID:hiFkZvJq
地味にアピールされるマスター内さんのヤバさ

254: 2023/03/04(土) 03:56:46.50 ID:9OLoc+ED
下心しか無さそう

255: 2023/03/04(土) 08:00:10.02 ID:7RCaHngG
焼き鳥の店にリリィってつけるセンスすごいな
食べに行きたいわ

256: 2023/03/05(日) 00:17:05.32 ID:4UY4P/XX
ラ板のSSばかり読んでるせいかたまにアニメほんへ見ると桜内が普通すぎて違和感がある

257: 2023/03/05(日) 00:26:32.08 ID:20N2a468
でも焼鳥屋リリィには昔ながらの中華料理屋にありがちな店主セレクトの漫画が置いてあるんッス

258: 2023/03/05(日) 05:21:13.82 ID:kVXZ4xZR
漫画(意味深)

267: 2023/03/08(水) 21:20:40.57 ID:n1jtd8OU
遅筆なのに数日サボってすみません
保守ありがとうございます


【ラブライブ】きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!いつもありがとうっす!」【後編】