1:◆PhE6LVcl/M 2017/04/26(水) 03:20:24.97 ID:Zm8otfVcO
総選挙応援しなきゃ…(使命感)

【艦これ】北方のとある鎮守府の話
の続きになるよ

短編→長編→短編→長編 ?
こんな感じの第二章になるよ
何回かに分けてまとめて投下するからGW辺りには終わると思うけど、原田美世専属Pとしての戦いは永遠に終わらない
?ダチャーンPもダチャーンSSももっと増えてー!
艦隊これくしょん -艦これ- おねがい!鎮守府目安箱 7 (電撃コミックスNEXT)
2: 2017/04/26(水) 03:21:48.13 ID:Zm8otfVcO
とりあえず、こんな感じ

【北方のとある鎮守府】

すっごく寒い所にあるらしい鎮守府。「海に面してるから色々危なくない?」とは提督談。結局その心配が見事的中し、先日敵の攻撃を受け、現在は執務室と一部の施設が機能停止している
工廠も酒保も資材も装備も無く、お風呂はドラム缶、寝室は一つと、そもそも鎮守府として機能しているのか怪しいレベル
近くに鳳翔さんのお店がある。直線距離で500mくらい?
最近の悩みは潮風で洗濯物の乾きが悪いこととお風呂関係全般

【主な登場人物】

・提督
女の人
黒髪ショートポニー、赤目と青目のオッドアイ、肌がやたら白い、アホ
「基本的に不真面目で子供っぽいが、決める時はそれなりにちゃんと決める人」とは大和談
知識の偏りが酷い
時々、人間を卒業したレベルの力を見せる
趣味は釣りと昼寝

・大和
運用コストの高さから、呉では腫れ物扱いされていた戦艦艦娘。提督に関しても最初はあまり信用していなかったが、なんやかんやあって現在は提督の良き保護者

・鳳翔
第一線を退いた空母。現在は鎮守府近くで居酒屋を営んでいる
提督と大和はよくこの居酒屋を訪れており、鳳翔も交えて歓談に花を咲かせている
お艦

3: 2017/04/26(水) 03:22:29.27 ID:Zm8otfVcO
最初に3つくらい短編
《東方のとある鎮守府の話》
《夢追人》
《ファイアーフォーメーション》
この辺りで

それはそうと、肇関ちゃん柚辺りは声つきそうですね…おめでとございます
個人的には柚とか大好きだし、結構嬉しかったり
あと、今井ちゃんとか茄子さんも良い線いってるから、その辺りも含めて全員声ついて欲しいなあ
でも、まだまだ終わってないから、とにかく最後までダチャーンの支援がんばるよ

4: 2017/04/26(水) 03:25:24.29 ID:Zm8otfVcO
スレタイ間違えてすいませんでした
【艦これ】って入れるの大事だしね…
というわけで、こちらの方のスレを使っていきますね

8: 2017/05/01(月) 02:34:05.07 ID:+H88ZG6CO


《東方のとある鎮守府の話》



9: 2017/05/01(月) 03:02:02.20 ID:+H88ZG6CO
四月某日・夜

【東方のとある鎮守府・工廠】

カーンカーンカーン・・・

バーン!

オワアッ!?

長門「・・・」

提督「チッ!また失敗かよ・・・」

長門「・・・」

提督「くそっ・・・どうすっかなあ・・・」

長門「・・・」ハァ

長門「まったく・・・」

提督「・・・!」チラ

提督「なんだ、長門かよ・・・」

長門「せっかくの装備をこんなにも・・・」

ボロッ

長門「・・・」

提督「俺は今までこんなこと、一度もやったことなかったからな。仕方ねえだろ」

長門「・・・ともかく。これはお前が準備を怠ったからだ。猛省しておくんだな」

提督「チッ・・・まあ・・・悪かった」

提督「いや、だが、まさかなあ・・・」

長門「・・・」フー

長門「・・・お前がやったんだ。後始末は自分でやるんだぞ。いいな?」

提督「わーったわーった・・・チッ・・・ったく、そもそも明石もいないってのに、なんだって俺はこんなことを・・・」ブツブツ

ガチャンガチャン

長門「・・・」フゥ

10: 2017/05/01(月) 03:04:10.77 ID:+H88ZG6CO
【東方のとある鎮守府・食堂】

ガチャ

長門「はぁ・・・まったく、いつになっても提督としての自覚が足りていないな・・・今度、改めてキツく言っておかなければ・・・」ブツブツ

??「あ・・・!」ピクッ

??「長門さん!グーテナハト!」

長門「ん・・・?」チラ

長門「ああ、ろーか」

呂500「はい!ろーちゃんですって!」

11: 2017/05/01(月) 03:05:28.37 ID:+H88ZG6CO
長門「帰っていたんだな・・・今、夕食か?」

呂500「はい!日本食、慣れたら美味しい、ですって、はい!」

呂500「特にこのカレーは、最高、なんですって!」

長門「そうか」フッ

長門「今日はカレー洋か?」

呂500「はい!イムヤとはっちゃんとろーちゃんで、行ってきましたって!」

呂500「鋼材、たっくさん、確保しましたって!」フンスー

長門「そうか・・・」

長門「・・・」

12: 2017/05/01(月) 03:06:48.21 ID:+H88ZG6CO
呂500「???」

呂500「長門さん?どうしたのって?」

長門「ん・・・ああ、いや、な」

長門「・・・お前は慣れない環境の中、本当に良くやってくれている」

長門「これからも、よろしく頼むぞ」クシャクシャ

呂500「・・・!」パアッ

呂500「ダンケ!です!長門さん!」

呂500「これからも、ろーちゃんがんばりますって!」ガルルー

長門「・・・ああ。無茶だけはするなよ」

13: 2017/05/01(月) 03:08:00.50 ID:+H88ZG6CO
長門「そういえば、お前一人か?他の者たちの姿が見えないが・・・」キョロキョロ

呂500「えっと・・・イムヤは疲れたから今日はもう寝るって。はっちゃんはさっきまで一緒にいたよ。でも、お風呂入るーって、言ってたって!」

長門「そうか・・・」

長門「・・・ん?では、朧はどこだ?」

呂500「朧?んー・・・」ポクポク

呂500「・・・そういえば、今日は見てないですって。どこにいるんだろ?」

長門「む。お前も見ていないのか・・・」

長門「あいつ・・・一体どこをほっつき歩いてるんだ・・・」ムムム

14: 2017/05/01(月) 03:09:38.96 ID:+H88ZG6CO
長門「ふぅ・・・食事の邪魔をして悪かったな。ろー」サッ

呂500「んー?長門さん、夕食、食べないですって?」

長門「元々はそのつもりだったんだがな・・・とりあえず、先に朧を見つけて来る」

長門「お前は気にしなくていいから、今日はもうゆっくり休むんだぞ」ガチャ

呂500「はい!了解、ですって!」

呂500「長門さん。お疲れ様でしたって!」

長門「ああ。ではな」

バタン

15: 2017/05/01(月) 03:11:48.50 ID:+H88ZG6CO

・・・・・

バタン

長門「部屋にもいない・・・か」

長門「・・・」チラ

長門(もう夜も遅い・・・)

長門(鎮守府の中にいないとなると・・・外か?こんな時間に用も無く外に出るとは思えんが・・・)

長門(・・・)

長門(・・・そう言えばここ数日、なんとなく元気が無いように見えたな)

長門(・・・)

長門「一応、後で憲兵にも確認しておくか・・・」チラリ

長門「・・・ん?」

長門(今・・・)ヒョコ

長門(・・・)ジー

長門(あれは・・・)

21: 2017/05/03(水) 23:39:19.40 ID:6PzCY4BCO
【海岸】

ザアァァァ・・・

蟹「」トコトコ

朧「・・・」ジー

蟹「」ジー

朧「・・・」ジー

蟹「」トコトコ

朧「・・・」

22: 2017/05/03(水) 23:40:21.79 ID:6PzCY4BCO
「なんだ、こんなところにいたのか」

朧「・・・?」クルッ

朧「あ、長門さん・・・」

長門「もう就寝時間だぞ・・・夜間の一人歩きは感心しないな」

朧「う・・・ごめんなさい・・・」

長門「・・・なにをしているんだ?」

朧「えっと、その、カニさんを見てたんです」

長門「・・・こんな時間にか?」

朧「あ、あはは・・・すいません・・・」ポリポリ

長門「あぁ、いや・・・」

長門「・・・」

23: 2017/05/03(水) 23:40:56.39 ID:6PzCY4BCO
朧「・・・?」

朧「長門さん?」

長門「・・・朧」

朧「は、はい?」

長門「お前・・・」

長門「ん・・・」

朧「・・・」ジッ

24: 2017/05/03(水) 23:41:30.05 ID:6PzCY4BCO
長門「・・・」

長門「いや・・・すまない。なんでもない」

朧「え・・・?」

長門「・・・そろそろ部屋に戻れ。また明日も早いぞ」クルッ

ザッザッザッ・・・

朧「あ、はい・・・」

25: 2017/05/03(水) 23:42:09.01 ID:6PzCY4BCO
朧「・・・」

朧「・・・」

朧「・・・っ!」パッ

朧「長門さん!」ザッ

長門「・・・」チラ

長門「・・・どうした?」

朧「・・・」ギュ

朧「長門さんは、その・・・」

朧「えっと・・・」

長門「・・・」

朧「・・・」フルフル

朧「・・・ご、ごめんなさい」フイッ

長門「・・・」

長門「・・・」フゥ

26: 2017/05/03(水) 23:43:14.81 ID:6PzCY4BCO
長門「朧」クルッ

朧「・・・」

長門「・・・お前も聞いているかもしれんが、来月には私も南方へ転属することが決まった」

朧「・・・はい」

長門「今、深海棲艦との戦いが最も激しいのは南西方面だからな・・・私も少しばかり心残りはあるが、仕方あるまい」フゥ

長門「もうしばらくもすれば、軍の方針でほぼ全ての艦娘は南西の戦場へと集められ、東には戦艦や航空母艦はほとんどいなくなるだろうが・・・とは言え、まだまだ東方面が連中の脅威に晒されているのも事実だ」

長門「朧。私がいなくなってからも、ここの守りは頼むぞ」

朧「・・・はい」

長門「・・・」

長門「・・・」フッ

ザッザッザッ・・・

ポンポン

朧「ぁ・・・」

長門「・・・ほら、そんな顔をするな」クシャクシャ

朧「わっ、わっ!?ちょっと、長門さん!」ワタワタ

長門「ははは」クシャクシャ

朧「も、もうっ・・・」

朧「・・・」

朧「・・・」シュン

27: 2017/05/03(水) 23:43:43.51 ID:6PzCY4BCO
長門「・・・?」

長門「朧?」

朧「・・・」

朧「私も・・・」

朧「・・・」

朧「・・・私も、一緒に行きたいな・・・」

長門「・・・」

28: 2017/05/03(水) 23:45:12.41 ID:6PzCY4BCO
朧「・・・前はこの鎮守府にもみんなが居たのに、気がついたら、どんどんいなくなっていって・・・」

朧「ついこの間も、秋雲が西方の鎮守府に異動になって・・・」

朧「・・・それで長門さんまでいなくなったら、潜水艦の子たち以外には、もう私しか残ってないよ・・・」

長門「朧・・・」

朧「私・・・」

朧「・・・」

朧「寂しいよ・・・」

朧「また、一人になっちゃう・・・」フルフル

長門「・・・」

長門(そうか・・・)

長門(これは、“朧”の記憶・・・)

長門(・・・)


29: 2017/05/03(水) 23:45:45.62 ID:6PzCY4BCO
サァァァ・・・

長門「・・・」

朧「・・・」

朧「スー・・・ハー・・・」

長門「・・・?」

朧「スゥー・・・」

パンッ!

朧「・・・」

朧「・・・よしっ!休憩終わりっ!」パッ

長門「・・・朧」

30: 2017/05/03(水) 23:46:46.53 ID:6PzCY4BCO
ザアァァァ・・・

朧「・・・」

朧「・・・ね、長門さん?」

朧「昔、マキン島っていう島で、そこにいたドイツ人たちにある歌を教えて貰った駆逐艦の話・・・知ってる?」

長門「・・・」

長門「・・・ああ」

朧「・・・」フッ

クルッ

朧「・・・私、昔はいつもあっちこっちに飛び回っていたんです。中国へ行ったり、グアムに行ったり・・・それから、あのキスカ島にも・・・」

朧「・・・結局、姉妹艦と一緒にいられたことなんて、ほとんどなかったし、その時は全然気にもとめてなかった。だって、私のやるべきことは他でもない、私の大切な人や故郷を守る為に必要なことだったから・・・」

長門「そうだな・・・」

朧「それで・・・また、こうして私は独りぼっちになって・・・つい少しだけ、昔を思い出しちゃって・・・」

朧「・・・」ギュ

31: 2017/05/03(水) 23:47:31.73 ID:6PzCY4BCO
朧「・・・でも、ね。その時も、同じだったの」

長門「・・・?」

朧「私の船員の人たち。皆んな、故郷に帰りたい、大好きな人たちに会いたい、って、いつも思ってた」

朧「あんまり口には出さなかったよ?『俺は泣く子も黙る日本男子だぞー!』なんて、いっつも強がっちゃって・・・」クスッ

32: 2017/05/03(水) 23:48:04.13 ID:6PzCY4BCO
朧「・・・でも、だからこそ・・・マキン島で教えて貰ったあの歌は・・・蛍の光は、私たちの希望だった」

朧「どんな時でも、いつだって、楽しい思い出を胸に抱いて、またそこに帰って、また一緒に笑い合うんだって」

朧「その気持ちが、私の、ううん・・・私たちを、前に進ませてくれたの」

33: 2017/05/03(水) 23:48:48.54 ID:6PzCY4BCO
長門「そうか・・・」

朧「うん・・・」

朧「・・・勿論、寂しい気持ちはいつもあるんです。綾波型の子や、それ以外の皆んなにも会いたいなって」

朧「でも、それだけじゃない・・・」

朧「だからこそ、また会う為に・・・今を力一杯戦い抜こうって、思うんです」

朧「それが、それでこそ、駆逐艦の朧なんだって。ここにはいないあの人たちに、大きな声で伝えてあげられるように・・・」

34: 2017/05/03(水) 23:49:33.48 ID:6PzCY4BCO
長門「・・・」

朧「あっ・・・」

朧「ご、ごめんなさいっ!」ペコッ

長門「ん?なぜ謝るんだ?」

朧「あ、えっと、その・・・夜間に無断外出していた上に、話まで聞いて貰って・・・」

長門「ああ・・・いや、気にするな」

長門「・・・むしろ、私の方こそすまなかったな」

朧「えっ?」

長門「これだけいつも近くにいるのに、お前がそこまで思い詰めていたことに気付いてやれなかった」

長門「秘書官など務めていながら・・・本当に情けないな」

朧「そ、そんな!長門さんが気に病む必要ないですっ!私が一人で勝手に落ち込んでただけなんですから!」ワタワタ

朧「そ、それに・・・長門さんに話を聞いてもらえて、少しすっきりした部分もあるから・・・本当に気にしないでください!」

35: 2017/05/03(水) 23:50:39.45 ID:6PzCY4BCO
長門「む・・・」

長門「・・・そうか。だが、何か悩み事があれば、誰にでもいいから遠慮なく相談するんだぞ?これからは、お前が一人で全て抱え込む必要はない」

長門「辛いことや悲しいことも、嬉しいことや楽しいことも、なにもかもを分け合うのが、仲間というものだ」

朧「・・・っ」

長門「いいな。朧?」

朧「ぅ・・・!」グスッ

ゴシゴシ

朧「・・・は、はい!」

朧「その・・・これからも、よろしくお願いしますっ!」ペコリ

長門「・・・!」

朧「・・・」ギュ

長門「・・・」フッ

長門(これからも、か・・・)

長門(・・・)

長門(ふっ・・・どうやら、私が心配するまでもなかったのかもしれんな・・・)

長門「・・・ああ。こちらこそ、な」ニコ

36: 2017/05/03(水) 23:51:31.89 ID:6PzCY4BCO
長門「・・・それで。お前はいつまでそこにコソコソと隠れているつもりだ?」チラ

朧「え・・・?」キョロキョロ

長門「・・・」ジー

朧「・・・」コソッ

・・・・・

??「はぁ・・・」

37: 2017/05/03(水) 23:52:31.31 ID:6PzCY4BCO
ガサガサ

??「・・・ったく。気付いてたんならさっさと言えよな・・・」

朧「え、ええっ!?提督!?」

提督「・・・おう、朧」

長門「鎮守府の提督ともあろう人間が、草むらに隠れて女子の話を盗み聞きとはな・・・」ジトー

長門「・・・この不埒者め」

提督「うるせえ。俺が何してようと、俺の勝手だ」

長門「はぁ・・・」

朧「え、えぇーっと・・・」ワタワタ

朧「そ、そのー・・・提督は、いつからその草陰に・・・?」

提督「ん?あー・・・いつからだったか・・・」ボリボリ

長門「・・・始めから、だろうが」

朧「え、えぇー!?」

提督「・・・おい、長門。お前は余計なこと言うんじゃねえよ」

長門「自業自得だ。馬鹿者」

提督「チッ・・・」

38: 2017/05/03(水) 23:53:49.89 ID:6PzCY4BCO
朧「あ、あのー・・・えっと・・・」

提督「あー・・・」ボリボリ

朧「・・・?」

提督「・・・おい、朧」

朧「は、はいっ!?」ピシッ

提督「そら」ポイッ

朧「えっ?・・・わっわっ、とっ!」パシッ

朧「て、提督?これは・・・?」ガチャ

提督「12.7cm連装砲の改良版だ」

提督「お前にやる。好きに使え」プイッ

朧「え、えー・・・っと・・・」チラ

提督「・・・」

朧「あ、ありがとう、ございます・・・?」

提督「・・・おう」

長門「・・・」チラ


39: 2017/05/03(水) 23:54:37.11 ID:6PzCY4BCO
提督「・・・そら。ガキはもう寝る時間だ。とっとと寝ろ」シッシッ

提督「明日からもこき使ってやるんだからな」

朧「あ、あぁっ!そうだった!もうこんな時間!」

朧「長門さん!今日はありがとうございました!」ペコリ

朧「提督も!これ、大切に使わせていただきますね!」ガチャ

提督「おー」ヒラヒラ

長門「ああ。おやすみ」

朧「おやすみなさい!」

タッタッタッ

40: 2017/05/03(水) 23:55:19.84 ID:6PzCY4BCO
サァァァ・・・

提督「・・・」

長門「・・・」

提督「・・・さーて、俺もとっとと寝るとするか・・・」クルッ

長門「待て」

ムンズ

提督「うぐぇ!」

提督「おい!いきなり襟引っ張んじゃねえよ!」ウガー!

長門「帰る前に一つ聞かせろ」

提督「てめえは俺の話を聞かねえクセにか」

長門「朧に渡した連装砲・・・あれは、さっき工廠でお前が弄っていたものなのか」

提督「・・・知らねえな」

長門「・・・」ジッ

提督「・・・」

長門「・・・」

提督「・・・んだよ」ジロリ

長門「・・・」

長門「・・・」フッ

41: 2017/05/03(水) 23:56:06.36 ID:6PzCY4BCO
長門「そうか」

提督「・・・おいコラ。何一人で納得してやがんだ」

長門「なんでもないさ」

提督「チッ・・・まあ、別にどうでもいいけどよ・・・」

42: 2017/05/03(水) 23:58:28.70 ID:6PzCY4BCO
提督「・・・ああ、それと、お前の分の装備は工廠に置いてあるからな」

長門「ん?私のもあるのか?」

提督「どうせ改造するなら、まとめたやった方が楽だろうからな」

長門「・・・そうか」フッ

提督「ああ・・・」

提督「あー・・・」

提督「・・・」ガシガシ

提督「まあ・・・大したもんじゃねえが、餞別みたいなもんだ」

提督「・・・しっかりやれよ」

長門「・・・ああ」


43: 2017/05/03(水) 23:59:05.08 ID:6PzCY4BCO
長門「・・・では、私からもお前にこれを渡しておこうか・・・ほら」スッ

提督「あぁ?今更俺がお前から貰うもんなんざ、なにも・・・」チラ

つ指輪

提督「」

44: 2017/05/03(水) 23:59:39.24 ID:6PzCY4BCO
長門「どうした。受け取ってくれ」

提督「・・・」

提督「お前、これ・・・」

長門「?」

長門「なんだ?」

提督「あ、いや・・・」

提督「・・・」ンググ

提督「・・・わ、分かった」ギュ

長門「ああ」

45: 2017/05/04(木) 00:00:15.74 ID:a0vcLsScO
提督「・・・」ズーン

長門「・・・」チラ

長門「・・・?」ムー

提督「はぁ・・・」

長門「・・・」ジー

長門「・・・む?」

長門「おい・・・まさかお前、なにか勘違いしているんじゃないだろうな」

提督「・・・」ピクッ

提督「・・・勘違い?」チラ

46: 2017/05/04(木) 00:01:29.33 ID:a0vcLsScO
長門「別にそれは・・・アレだ、その、お前との関係を無しにしたいとか、そういう話ではないぞ?」

提督「・・・なら、なんで返すんだよ」

長門「返したわけではない。預かっておいてもらうだけだ」ハァ

チラ

長門「・・・これから私が向かう場所は、生半可なところではないからな。正直、いつ誰が命を落としても不思議ではない。それほどまでに苛烈な戦いが日夜繰り広げられている」

長門「そんな砲声のやむことのない戦場へ向かうのに、大切なものを身につけたままでは、汚れてしまうだろう?最悪、戦闘中に失くしてしまうことも考えられる」

長門「だから、私がいない間、お前が持っていてくれ」


47: 2017/05/04(木) 00:02:08.22 ID:a0vcLsScO
提督「・・・」

提督「はぁー・・・」

提督「・・・バーカ。んなこと、気にしてんじゃねえよ」

長門「ん・・・?」

提督「お前は戦いにだけ集中すりゃいいんだ・・・他の厄介ごとは、全部俺がなんとかしておいてやる」

提督「それに・・・んなもん、最悪なくなったら、また別のをくれてやるよ」

長門「ふっ・・・そうやってさっきも、落ち込んでいた朧を元気づけてやるために、心得のない装備の改良なんかをコソコソとやっていたわけか」

提督「・・・んだよ。悪いか」

長門「いいや?」クスッ

48: 2017/05/04(木) 00:02:42.71 ID:a0vcLsScO
長門「そうだな・・・うん。お前のその気持ちは、とても嬉しい」

長門「だが、やはり、この指輪はお前に渡しておく」

提督「・・・さっきの話聞いてたか?」

長門「ああ」

提督「なら、なんで・・・」

長門「・・・皆まで言わせるな」

提督「・・・いや、マジで」

長門「・・・」ハァ

長門「・・・私にとってはな。お前が初めて私にくれたこの指輪が、特別だということだ」

長門「だから、それを預かっていて欲しい」

提督「・・・」ポカン

提督「お、おお・・・?」

49: 2017/05/04(木) 00:03:14.00 ID:a0vcLsScO
長門「それに・・・」

提督「な、なんだ・・・?」

長門「無事にここに戻ってきた時には、またお前が手ずから私に嵌めてくれるんだ」

長門「そのためなら、私はどんな戦いでも乗り越えてみせるぞ」ニヤリ

提督「」パクパク

長門「・・・」クックック

50: 2017/05/04(木) 00:04:12.43 ID:a0vcLsScO
長門「・・・そら。もう夜も遅い。ガキは寝る時間だぞ?」

提督「あ、あぁ・・・?誰がガキだ、誰が」

長門「無駄に歳だけは一丁前にとった、不器用極まりない誰かさんのことだ」

提督「お、お前・・・相変わらずいい度胸してやがんな・・・」

提督「へっ、いい機会だ・・・積年の恨みを晴らされる覚悟は出来てんだろうなあ・・・?」ピキピキ

長門(まだせいぜい二年程度の付き合いだと言うのに・・・)

長門(全く・・・)クスッ

提督「・・・何笑ってやがんだ」ジロリ

長門「いや・・・」

提督「・・・」ンー

長門「さて・・・私もそろそろ寝るとするか」クルッ

ザッザッザッ

51: 2017/05/04(木) 00:04:45.93 ID:a0vcLsScO
提督「」ポツン

提督「・・・あっ!?ちょっ、コラ!待ちやがれ!」タタッ

長門「ではな。おやすみ。また明日」

提督「帰る場所同じだろうが!」

長門「お前は外で寝るといい。どうやら、草むらがよほどお気に召したようだしな」クスクス

提督「てんめぇ・・・!」

ドタドタ!

52: 2017/05/04(木) 00:06:00.02 ID:a0vcLsScO
提督「もう許さねえ!今日こそ決着つけてやる!覚悟しやがれこのゴリラ女!」

長門「フッ・・・仕方のない奴め!いいだろう!連合艦隊旗艦も務めたこの戦艦長門の力、その身を以て知るがいい!」

53: 2017/05/04(木) 00:08:41.63 ID:a0vcLsScO
【東方のとある鎮守府・朧の部屋】

・・・・・

ドン!ドン!
ドカーン!!!
ギャアアア!!!シヌワアアア!!!
ハッハッハッ!ソロソロアキラメラドウダ!?
フザケンジャネエエエ!オレヲナメンジャネエエエ!
イイゾ!ソノイキダ!ソラ・・・ゼンシュホウ、セイシャ!!!
エッ、チョッ、ソレシャレニナラン・・・
ドッカーーーン!!!

朧「・・・」

朧「・・・」

朧「・・・」ムクッ

朧「相変わらず・・・うるさい・・・」ポワポワ

朧「・・・」コクリ、コクリ

ポフッ





54: 2017/05/04(木) 00:11:52.51 ID:a0vcLsScO
《東方のとある鎮守府の話》
おしまい
読んでくれた人いたら、ありがと
番外編的な感じでした
この世界では南西の戦いが特に激しいので、艦娘もそっちに集中してたり
ちなみに東は一番コメディ要素が少ない

56: 2017/05/04(木) 00:13:27.63 ID:a0vcLsScO


《夢追人》



57: 2017/05/04(木) 00:24:42.00 ID:a0vcLsScO
4月某日・夕方

【鎮守府・執務室】

提督「・・・」

大和「ん・・・」カリカリ

提督「・・・」

大和「これは・・・こうかしら・・・いや、でも・・・」

大和「うぅん・・・」ムムム

提督「・・・」

大和「んー・・・」カリカリ

提督「・・・大和」ガタッ

大和「あ、はい。どうしたんですか?」パッ

大和「一応、もうすぐ試算は終わりますけれど・・・」

提督「・・・」スッ

提督「・・・ついて来な」クイッ

コツコツコツ

ガチャ

バタン

大和「・・・」

大和「・・・えっ?」

大和(なに、今の・・・)

ガチャ

提督「・・・」ヒョコ

提督「・・・」ジー

大和「・・・」

提督「・・・いいからついて来て!」ヒョイヒョイ

大和「・・・あ、はい」ガタッ

大和(なにかしら・・・)スタスタ

58: 2017/05/04(木) 00:25:18.55 ID:a0vcLsScO
【居酒屋・鳳翔前】

大和「・・・なんだか最近、事あるごとに鳳翔さんのお店を訪ねてる気がします」

提督「それ多分気のせいじゃないけどね・・・」

大和「・・・それで、今日はどうしてまた?」

提督「実はね・・・」


59: 2017/05/04(木) 00:26:55.64 ID:a0vcLsScO

・・・・・

大和「えっ、一般人の方が?」

提督「そっ。ほら、私たちってここの鎮守府に来てから、何度も鳳翔のお店を訪ねてるけど、私たち以外の人がいたところを見たことがないじゃない?」

大和「確かに、言われてみれば・・・」

提督「でしょ?それに、私たちも辺りを結構練り歩いてきたけど、まだ誰にも会ったことないじゃない」

提督「ところが!こないだ鳳翔さんに話を聞いたところ・・・なんと、この時期になると、夕方から夜にかけて、いつも鳳翔のお店でお酒を飲んでいる人がいるんだってさ!」

提督「・・・どう?気になるでしょ?」

大和「・・・はい」コクリ

大和「というか、この辺りに私たち以外の方がいらっしゃることに驚きました・・・」

提督「それも含めて、真相の解明に来た訳だよ!」

ササッ

提督「・・・準備はいい?」

大和「あ、はい。私はいつでも・・・」

提督「・・・よし」コソコソ

大和(なんで入り口に張り付いてるんだろう・・・)

提督「・・・」

提督「!」

提督「今だっ!」ダッ

ガタッガタッガタッ

提督「・・・!?」ピタッ

提督「しまった、引き戸だった・・・!」ガラガラ

大和(・・・やっぱりこの人おかしい)

60: 2017/05/04(木) 00:27:40.48 ID:a0vcLsScO
【居酒屋・鳳翔】

提督「失礼するよ!」バアアアン

大和「こんばんは」

鳳翔「あら、お二人とも。いらっしゃいませ」ニコ

提督「あ、うん。どうも」ペコリ

提督「・・・じゃなくて!」

鳳翔「・・・?」キョトン

大和「何やってるんですか・・・もう・・・」チラ

大和「・・・」

大和「・・・えっ!?」

61: 2017/05/04(木) 00:28:13.98 ID:a0vcLsScO
大和「て、提督・・・」ツンツン

提督「んぅ・・・なに?」

大和「あ、あそこ・・・」ツッ

提督「んー・・・?」チラ

70: 2017/05/07(日) 05:26:21.64 ID:MhcrspwWO
??「・・・」ジー

??「ふ、ふふ・・・また今年も早速夜戦病院ね・・・」

??「ハタケヤマ・・・カワバタ・・・それに、新人のテラシマまで・・・」

??「あぁ、不幸だわ・・・まるで、この私のよう・・・」

??「うふふふ・・・」ドヨン

71: 2017/05/07(日) 05:27:52.88 ID:MhcrspwWO
提督「・・・」

大和「・・・」

提督「いたね、一般人・・・」

大和「は、はい・・・」

提督「でも、店内なのに半纏に帽子にサングラスって・・・」ジー

大和「あの人、一体何をしているんでしょうか・・・ぶつぶつと独り言を言いながら雑誌を眺めていますけれど・・・」

提督「さあ・・・」

提督「ていうか・・・」ジー

大和「・・・?」

提督「・・・あの人、なんか変じゃない?」

大和「変・・・ですか?」

提督「だって、なんて言うか、その・・・」

提督「・・・うーん・・・勿論見た目も怪しいんだけど・・・そうじゃなくて・・・」

提督「んー・・・???」ポワポワ

大和「・・・?」

72: 2017/05/07(日) 05:28:22.39 ID:MhcrspwWO
提督「うぅん・・・ま、気にしてもしょうがないかな」

提督「とりあえず、話してみよ?」タタッ

大和「・・・そうですね」

トテトテ

73: 2017/05/07(日) 05:29:16.29 ID:MhcrspwWO

・・・・・

??「ふふふ・・・」

提督「あのー。すいませーん」

??「・・・鳳翔さん?なんです・・・」チラ

??「・・・え?」

提督「こんばんは!」

??「・・・」ジッ

提督「・・・?」

??「・・・」ジー

提督「・・・えっ、と・・・」

??「・・・貴女、誰?」

74: 2017/05/07(日) 05:30:14.43 ID:MhcrspwWO
提督「あ、私?私はこの辺りの鎮守府の提督だよ」

??「・・・提督?」

提督「う、うん。一応・・・」

??「・・・」ム・・・

提督「・・・」ソワソワ

提督「あ、あのぅ・・・?」

??「・・・なんです?」チラ

提督「え、ええっと・・・貴方は一体、どちら様なんでしょうか・・・?」オズオズ

??「は・・・?」

提督「・・・?」

??「・・・」ジトー

提督「・・・な、なに?」

??「・・・」ジー

提督「・・・?」

??「・・・」

??「はぁー・・・」ガックリ

提督「???」

??「・・・別に、なんでもないです」

??「・・・私は・・・」チラ

??「・・・!?」ビクッ

75: 2017/05/07(日) 05:31:12.61 ID:MhcrspwWO
鳳翔「・・・」ニッコリ

??「ぁ・・・」ガクガク

76: 2017/05/07(日) 05:32:49.24 ID:MhcrspwWO
提督「・・・どうしたの?」

??「・・・あ、いえ、その、なんでも・・・」

提督「んー・・・?」

大和「・・・」チラ

鳳翔「・・・」ニコニコ

大和「・・・」

大和「・・・!」ハッ

大和「・・・はぁ」

77: 2017/05/07(日) 05:33:37.46 ID:MhcrspwWO
提督「で、貴方、名前は?どこから来たの?」

??「・・・な、名前?え、えっと・・・!」アワアワ

??「や・・・や・・・」

提督「ん・・・?」

??「・・・」ムムム

??「・・・!」ピコン

??「ヤ、ヤマギ!ヤマギですっ!私の名前!」

78: 2017/05/07(日) 05:34:19.67 ID:MhcrspwWO
提督「ヤ、ヤマギさん?そうなんだ・・・」

ヤマギ「え、ええ!そう、そうなんです!」

提督「へ、へぇ~・・・」

ヤマギ「な、なんですか・・・わ、悪いですか・・・!?」ジトッ

提督「いやいや・・・そうじゃなくて、なんとなく大和に名前が似てるなあって思ってね」

大和「・・・確かに似てますね」ジトー

ヤマギ「ぅ・・・」

提督「あ。それに、どっちもなんとなく男の子っぽい名前だよね」

ヤマギ「おっ、おとっ・・・!?」

ヤマギ「な、なに言って・・・!わ、私は、これでもれっきとした、か・・・!」

ヤマギ「ぁ・・・っ!?」ビクッ

鳳翔「・・・」ニッコリ

ヤマギ「」ガクガク

79: 2017/05/07(日) 05:35:19.72 ID:MhcrspwWO
大和「・・・そんなに男らしい名前でしょうか?」ボソッ

提督「かっこいいし、大和にもよく似合ってるよ?」

提督「私は好きだな。大和って名前」

大和「・・・ありがとうございます」ポワポワ

鳳翔「・・・」クスクス

提督「ん・・・?」チラ

ヤマギ「ぉ・・・おぉ・・・」パクパク

提督「え、えっと・・・?」

ヤマギ「・・・ぅ、うぅ・・・」

ヤマギ「わ、わたし・・・」

ヤマギ「わたしは、その・・・ぅ・・・た、ただの町娘です・・・」ボソボソ

提督「そ、そうなんだ・・・」

ヤマギ「く、うぅ・・・そ、そう・・・じゃ・・・な・・・」

キラリ

ヤマギ「・・・く・・・ない、です・・・」グスグス

提督「そっかぁ・・・なんとなく雰囲気とかから、てっきり艦娘の人なんじゃないかと思ってたよ・・・ごめんね」ペコリ

ヤマギ「!?」

ヤマギ「う、うぅ~・・・!」ブンブン

80: 2017/05/07(日) 05:36:13.28 ID:MhcrspwWO
ヤマギ「・・・」

ヤマギ「はぁ・・・」ガクッ

ヤマギ「いいです、もう・・・」

ヤマギ「・・・」イソイソ

提督「う、うん・・・?」

大和「・・・」チラ

鳳翔「?」ニコニコ

大和「・・・」ハァ

81: 2017/05/07(日) 05:37:27.47 ID:MhcrspwWO
ヤマギ「あぁ・・・私って、本当に、本当に・・・不幸だわ・・・」ズーン

ヤマギ「うぅ・・・姉さま・・・姉さま・・・」イジイジ

提督「・・・ね、ね。ところで、ヤマギさん?」ヒョコ

ヤマギ「・・・はぁ・・・はいはいなんですか・・・」ショボン

提督「貴方って、この辺りに住んでる一般人の方なんだよね?」

ヤマギ「・・・なにを以て一般人と言っているのか知りませんけど・・・」チラ

ヤマギ「・・・まあ、そうですね・・・貴女から見れば、一般人でいいんじゃないですか・・・」

提督「じゃあ、貴方以外にもこの近辺には人がいるの?」

ヤマギ「はあ・・・?何言ってるんですか、いるに決まってるじゃないですか・・・」

提督「ほんとに!?」バッ

ヤマギ「う、嘘ついても仕方ないでしょ・・・」

提督「どこどこ!?」キョロキョロ

ヤマギ「も、もっと内地の方ですよ・・・ここから車で三時間も走らせれば、小さな町が幾つかあります」

提督「えぇー・・・三時間もかぁ・・・遠いよぅ・・・」シュン

大和「海に近いところでは深海棲艦の攻撃を受ける可能性がありますから、仕方ないですね・・・」

ヤマギ「まあ、他にも理由があるらしいけれど・・・私はよく知らないわ・・・ふふふ、やっぱり不幸・・・」ドヨン

提督「そっかあ・・・残念・・・」シュン

82: 2017/05/07(日) 05:38:46.50 ID:MhcrspwWO
提督「・・・あれ?じゃあ、ヤマギさんはどうしてここにいるの?」

ヤマギ「・・・え」

提督「そんな事情があるのに、わざわざこんな危険な場所に来るなんて・・・」ジー

ヤマギ「え、えーと、それは・・・」ワタワタ

提督「・・・」ジー

ヤマギ「・・・えっと・・・」

提督「・・・」ポクポク

提督「・・・!」ハッ

提督「・・・そっか。そういうことだったんだね・・・」

大和「え?」

ヤマギ「あ・・・ぅ」

鳳翔「・・・」

提督「ヤマギさん・・・!」

83: 2017/05/07(日) 05:40:05.43 ID:MhcrspwWO
ガシッ!

提督「それだけの危険を冒してでも、鳳翔さんのごはんが食べたかったんだね・・・!」

ヤマギ「・・・」

ヤマギ「・・・」

ヤマギ「・・・え?」

92: 2017/05/18(木) 21:06:46.11 ID:rFHwUgzwO
提督「わかる、わかるよ、その気持ち!なんたって、鳳翔さんのつくる料理はなにを取っても一級品、いや、天下一品の数々!」

提督「豪華でありながらもなんとも家庭的!大胆さや豪快さに、繊細さや素朴さが見事に調和!」

提督「味が美味しいのは言うまでもなく、加えてこの綺麗で可愛い女将!温かな店の雰囲気!海を見渡せる絶好の景観!」

提督「例え深海棲艦の脅威が迫ろうとも、ここに来たくなる気持ち・・・わかるよ・・・!」ポンポン

ヤマギ「は、はあ・・・」

鳳翔「・・・な、なんだか、恥ずかしいですね・・・」ポワポワ

大和「まあ、否定はしませんけれど・・・」

鳳翔「も、もうっ・・・お二人とも、お上手なんですから・・・」ポワポワ

大和「・・・」ハァ

93: 2017/05/18(木) 21:07:22.36 ID:rFHwUgzwO
提督「そっかそっかあ・・・そういうことなら仕方ないよね!」

ヤマギ「え、えぇ・・・そう、そうなんです仕方ないんです・・・!」コクコク

大和「・・・でも、やっぱり危ないと思いますよ?万が一ということもありますから、これからはなるべく・・・」

スッ

大和「・・・提督?」チラ

提督「大和・・・」ポン

大和「は、はい?」

提督「・・・」ジッ

提督「食べることはね・・・生きることなの」キリッ

大和「・・・」

提督「・・・」ジ-

大和「・・・」

大和「・・・あ、はい」

提督「・・・」ウンウン

大和「・・・」

提督「・・・」フイッ

提督「そういうことよ・・・」フッ

大和(どういうことなの・・・)

ヤマギ(なんなのこの人・・・)

94: 2017/05/18(木) 21:08:50.83 ID:rFHwUgzwO
数分後

ガラガラ

提督「それじゃ、お邪魔しましたー!」

鳳翔「はい。またいらしてくださいね」ニコニコ

提督「はーい!」

大和「すみません、鳳翔さん。せっかくお邪魔したのに、何も注文せずに・・・」

鳳翔「構いませんよ。お気になさらないでください」ニコッ

大和「・・・ありがとうございます」ペコリ

提督「今度来た時には、お酒もごはんもたくさん頼みます!」パッ!

鳳翔「ふふふ。わかりました。では、腕によりをかけてお待ちしていますね」

提督「うん!」

95: 2017/05/18(木) 21:15:56.79 ID:rFHwUgzwO
提督「・・・あ。それと、ヤマギさん!今度からもし鳳翔さんのお店に来たいときには、鎮守府の方に一言お願いね!」ビシッ

大和「安全確保のためですから・・・どうかよろしくお願いします」ペコリ

ヤマギ「はぁ・・・あぁ、もう・・・はいはいわかりました・・・」

提督「おっけー!」グッ

96: 2017/05/18(木) 21:16:41.74 ID:rFHwUgzwO
提督「じゃ、またねー!」ブンブン

大和「鳳翔さん。やま・・・ヤマギさん。お休みなさい」

鳳翔「はい。お休みなさい」ニコニコ

ヤマギ「・・・お休みなさい」

ピシャン

ヤマギ「はあぁぁぁ・・・」ズルズル

ヤマギ「うぅー・・・なんだかどっと疲れたわ・・・」ガクッ

鳳翔「ふふっ」クスクス

ヤマギ「・・・笑い事じゃないですよ、鳳翔さん・・・」ハァ

ヤマギ「・・・というか、結局何しに来たんですか・・・あの二人・・・」

鳳翔「・・・さあ?でも、良いじゃないですか。沢山お客さんが来てくださって、私は嬉しいですよ」

鳳翔「~~~♪」トントントン

ヤマギ「・・・」ジト-

ヤマギ(なんだか少し、心配になってきたわ・・・)

ヤマギ(はあ・・・やっぱり私って、どこへ行っても不幸なのね・・・)フフフ

97: 2017/05/18(木) 21:17:55.29 ID:rFHwUgzwO
鳳翔「・・・あ。それはそうと、やまし・・・ではなくて、ヤマギさん?今度、新作メニューを作ってみたんですけれど・・・良ければ試食していただけませんか?」

ヤマギ「・・・それ、もういいんですけど・・・」ムスッ

鳳翔「ふふっ・・・何のことかしら?」クスクス

ヤマギ「・・・」ムゥ-

ヤマギ「・・・もういいです」プイッ

ヤマギ「・・・で、その新メニューってなんですか?」

鳳翔「はい。こちらになります」コト

ヤマギ「・・・」チラ

ヤマギ「・・・」

ヤマギ「えっ」

98: 2017/05/18(木) 21:19:34.74 ID:rFHwUgzwO
鳳翔「・・・」ニコニコ

ヤマギ「」パクパク

ヤマギ「・・・こ、これっ、て・・・?」

鳳翔「昔、間宮さんが作られていた甘味を参考に、ポーラさんやアイオワさんの意見を取り入れて作ったものなんです」

鳳翔「洋風の甘味を作るのは初めてでしたし、私自身も一度しか食べたことがありませんでしたけれど・・・頑張ってみました」グッ

ヤマギ「」

ヤマギ(え、え、なにこのカラフルとかいう次元を越えて、虹色の輝きに目がチカチカしてくる酒臭いパフェは・・・)

ヤマギ(見るからに危険そう・・・というか、まず間違いなく、甘味どころか人類の食べ物ではないわ・・・むしろ兵器よ・・・これは、ダメ・・・食べれば、生きていられる保証はない・・・)

ヤマギ(・・・そもそも、助言した連中は明らかに人選ミスでしょ・・・)

ヤマギ(いくら私が普通の人間よりも頑丈な艦娘といっても・・・これは、さすがに・・・)

99: 2017/05/18(木) 21:20:58.27 ID:rFHwUgzwO
ヤマギ「・・・」チラ

鳳翔「?」ニコッ

ヤマギ「う・・・」

鳳翔「さ。遠慮なさらず、どうぞ?」

鳳翔「見た目だけでなく、風味にも自信があるんですよ」フンスフンス

ヤマギ「っ・・・」

ヤマギ(ダメ・・・ダメよ、やま・・・ヤマギ・・・)

ヤマギ(こんなにイキイキとしている鳳翔さんを悲しませるわけには・・・)

ヤマギ(・・・)

ヤマギ(くうっ・・・い、いくしかない・・・のね・・・)

100: 2017/05/18(木) 21:21:41.99 ID:rFHwUgzwO
ヤマギ「で、では・・・い、いただきます・・・」スッ

鳳翔「はい。どうぞ、召し上がれ」

ヤマギ「・・・」ジッ

パフェ「おいしいよ!」

ヤマギ「・・・」ブルブル

ヤマギ(あぁ、姉様・・・最期に貴女の側にいられなかったことだけが、私の心残りになりそうです・・・)

ヤマギ(・・・申し訳ありません・・・私は、先に逝きます)ギュ

ヤマギ(さようなら・・・姉様・・・)スッ

パクッ!

101: 2017/05/18(木) 21:22:52.91 ID:rFHwUgzwO

・・・・・

ヤマギ(あぁ・・・私ってやっぱり、どこまでも・・・不幸、だわ・・・)

ヤマギ(でも、それも、もういい・・・)

ヤマギ(だって・・・鳳翔さんの、あんなに嬉しそうな顔が見れたんだから・・・)

ヤマギ(姉様・・・どうか、お元気で・・・)

ヤマギ(・・・)

ヤマギ(・・・あとついでに、西村艦隊の子たちと、その他諸々の子たちも・・・)

ヤマギ(私の分も、どうか・・・強く・・・生き、て・・・)

ヤマギ(さよ、う・・・な・・・ら・・・)


102: 2017/05/18(木) 21:24:31.65 ID:rFHwUgzwO

・・・・・

鳳翔「・・・それでですね、このパフェに入っている、ゴーヤちゃん直伝のとっておきなトッピングなんですけれど・・・」ウキウキ

バタッ!

鳳翔「あら・・・?」クルッ

鳳翔「ヤマギさん・・・?どうかなさいましたか?」

鳳翔「・・・」ジッ

鳳翔「ヤマギさん・・・?」

鳳翔「・・・」ヒョコ

鳳翔「眠っているのかしら・・・」

鳳翔「・・・」フッ

鳳翔「きっと、お疲れだったのね・・・最近はなにかと忙しかったから・・・」

鳳翔「せっかくゆっくりしていたのに・・・私の我儘に付き合わせてしまって、ごめんなさい・・・」ナデナデ

鳳翔「・・・今日はここに泊まってもらって構いませんから、しっかり体を休めてくださいね」スッ

ファサ・・・

鳳翔「お休みなさい・・・ヤマギさん・・・」

鳳翔「さ・・・私も後片付けや明日の仕込みをしておかないと・・・」スクッ

パタパタ・・・

ヤマギ「」チ-ン

103: 2017/05/18(木) 21:36:54.35 ID:rFHwUgzwO
《夢追人》
おしまい
読んでくれた人いたら、ありがと
読めば分かるけど、元々全然違う話や展開を考えてたから、微妙にタイトルが回収できてないです。おまけに時間もなくて後半部分はカットしまくってる…提督が悪いよー提督がー(責任転嫁)
ヤマギとかもっと後に出るはずだったのにね…まあ、しゃーない。切り替えていくよ

そんなことより、シンデレラガールズ総選挙お疲れ様でした
楓さんはようやっとやね…めでたい
柚や肇ちゃんにも声つくことになって一安心しました
今回ダチャーンは残念でしたが…来年こそは、雪辱してくれると信じています。頑張れー!これからもずっと応援するぞー!

105: 2017/05/18(木) 21:48:11.18 ID:tJY0ixwK0

・・・・・

シズム

シズム

シズンデユク

アマタノハカナクツヨイトモシビガ

タケキオモイノケッショウガ

ミナソコヘト

フカク

フカク

シズミユク

ワタシハカケラヲヒロウノミ

クダケタカラダハハモドラナイ

スイホウトカシタココロハカエラナイ

106: 2017/05/18(木) 21:48:41.22 ID:tJY0ixwK0
ソレデモユラガヌヒノモトノホコリヲイダキ

ソノナノトオリキセキヲオコスカゼトナルベク

ナスベキコトヲタダナスノミ

ハラカラタチノカタキヲウチ

ミライヲツカムベクキボウヲハコブ

ソウシテサイゴノトキヲムカエルノ

ソノハテニドンナオワリガマッテイルカモシラズニ

ワタシハミナトヲタツワ

ナンドデモ

ナンドデモ

ナンドデモ

107: 2017/05/18(木) 21:49:14.58 ID:tJY0ixwK0



ソウ

ナンドデモ




108: 2017/05/18(木) 21:50:14.99 ID:tJY0ixwK0

・・・・・

??「・・・」

??「・・・」パチ

??「・・・」

??「・・・夢」

??「・・・」

??「ううん・・・違う・・・」

??「今の・・・」

??「・・・」ギュウ

109: 2017/05/18(木) 21:51:35.18 ID:tJY0ixwK0
トン、トン、トン、トン、トン・・・

??「・・・」

??「・・・」

??「私・・・」

??「私は・・・」

??「・・・」グッ

カチリ


110: 2017/05/18(木) 21:52:03.07 ID:tJY0ixwK0


??「私は、何・・・?」



114: 2017/05/20(土) 15:17:05.01 ID:QFM3ghf+0
五月某日・昼

【鎮守府・玄関】

シトシト

大和「~~~♪」ザッザッザッ

大和「ふうっ・・・」ゴシゴシ

ザアァァァァァ

大和「・・・」チラ

大和(私がこの鎮守府に来てから、早二ヶ月が経とうとしています・・・)

大和(この北の地も、先日ようやく梅雨入りしました)

大和(その影響か、ここ数日はずっと雨続きで、洗濯物が乾く暇もありません・・・)フゥ

大和(私たちも最近では、昼間は基本的に外には出ず、書類仕事をこなすことがほとんど・・・)

大和(けれど、執務室は砲撃によって破壊されてしまっているので、現在私たちの仕事場は主に寝室となってしまっています)

大和(・・・)

大和(・・・と言っても、やることなんてほとんどないけれど・・・)ハァ

115: 2017/05/20(土) 15:18:33.06 ID:QFM3ghf+0
大和(近頃、提督は雨続きで外に出て走り回れないからか、よく部屋の中をぐるぐる歩きながら、なんだかよく分からない歌を大きな声で歌ったりしています)クスクス 

大和(彼女がどういった歌を歌っているのかは分かりませんが、それはそれは綺麗な歌声で・・・私も、ついつい聞き惚れてしまいます)フフッ

大和(・・・もう少し大人しく、それと声の音量を下げてもらえれば、もっと好きになるかもしれないですけれど・・・ね?)トントン

116: 2017/05/20(土) 15:19:06.18 ID:QFM3ghf+0

【鎮守府・厠】

ウ-ンウ-ン・・・

提督「・・・はっ!?」ピコン

提督(また脳内に直接っ・・・!)


117: 2017/05/20(土) 15:22:27.48 ID:QFM3ghf+0

【鎮守府・玄関】

大和(ふふっ・・・本当に、あの人は、なんというか・・・)

大和(・・・うん。とても可愛らしいわね)クスッ

大和(・・・)

大和(・・・でも、その寝室にも被害は及んで、壁には大きな割れ目がいくつもできてしまっていて・・・提督も私も、修理をしてくださる方々が来てくれる時を待ち遠しく思っています)

大和(おまけに先日の戦闘によってできた瓦礫の山は相変わらず撤去しきれず、雨水に流された土砂でまた汚れが広がってしまって・・・)

大和(近辺に住民の方々はほとんどおられませんし、内地の方まで被害が及ぶことはありませんでしたが・・・あくまで鎮守府にいるのは私と提督の二人だけなので、どうしても人手が足りていなくって・・・)

大和「はぁ・・・」シュン

118: 2017/05/20(土) 15:24:22.17 ID:QFM3ghf+0
大和(・・・)サッサッサッ

大和(・・・でも、悪いことばかりではありません)

大和(少し夏の暑さも感じ始めてきた今日この頃、雨の涼しさは心地良く、とても過ごしやすいです)

大和(それに、暖かくなってきたおかげか、辺りには草花がわずかばかりですが生い茂っていて・・・見ていると気持ちが穏やかになるんです・・・)フフッ

119: 2017/05/20(土) 15:24:59.50 ID:QFM3ghf+0
大和(深海棲艦による襲撃も、あれからは一度もなく、平和な日々が続いています)

大和(それに、よくお邪魔している鳳翔さんのお店は変わらず温かな雰囲気で、みんなで楽しくおしゃべりもできて・・・)

大和(本当に、平和すぎて・・・)

大和(・・・)サッサッサッ

大和(・・・)ピタ

大和(いっそ・・・)

大和「・・・いっそ、このまま・・・」ボソッ

120: 2017/05/20(土) 15:26:04.78 ID:QFM3ghf+0
大和「っ・・・!」ハッ

大和「ん・・・!」ブンブン

大和(もうっ、なに言ってるの、私ったら・・・!)ペシペシ

大和(私は艦娘・・・敵である深海棲艦からこの国を守り、私たちの海を取り返すのが、艦娘の使命・・・)

大和(例えこの辺りに敵がいなくても、私たちがのほほんとしている間にも、他の子たちはみんな、それぞれの戦場で命懸けで戦っているのよ・・・!)

大和(それなのに、私は・・・)グッ

大和(私は・・・)

大和(・・・)ギュ

大和「・・・今更、なにを馬鹿なことを言ってるのよ・・・」フルフル

大和(・・・)

大和(少し、気が緩みすぎていたみたいね・・・)フゥ


121: 2017/05/20(土) 15:27:08.63 ID:QFM3ghf+0
大和「・・・よしっ。これを機にもう一度気持ちを切り替えて、これからもしっかり頑張らないと・・・!」グッ

ドタドタドタ・・・!

大和「・・・ん?」チラ

バタ-ン!

提督「やっ、大和ぉ~~~!」ダキッ

大和「・・・」ハァ

大和(・・・)

大和(なんだかなあ・・・)クスッ


125: 2017/05/23(火) 15:27:21.67 ID:fqfq+jbO0
大和「もう・・・いきなりどうしたんですか?騒々しいですよ?」ポンポン

大和「仮にも提督だって女性なんですから、もう少し落ち着きや気品をもって行動してもらわないと・・・」

提督「それどころじゃないよっ!大変なんだよー!」ピョンピョン

大和「はいはい・・・わかりました。わかりましたから、まずは落ち着いて・・・」グイ-

提督「んぶぇ」ムギュ

大和「話なら後で寝室の方で聞きますから、とりあえず・・・はい、これ」スッ

提督「ん・・・って、これ・・・」

提督「・・・雑巾?」キョトン

126: 2017/05/23(火) 15:28:14.33 ID:fqfq+jbO0
大和「まだ玄関の掃除が終わっていないんです。提督もどうせお暇でしょうから、手伝ってください」

提督「えぇー・・・ちょっ、それよりも、まず私の話を・・・」

大和「ここ数日、雨漏りが酷いんですから、先にこちらをお願いします。話なら掃除が終わってからゆっくり聞きますから」

提督「いや、でもぅ・・・」

大和「はい、早く!」ズイッ

提督「うえぇぇ~・・・も、もー・・・わかったよぅ・・・」

提督「全く、強引なんだから・・・」ブツブツ

大和「あ。それと、床だけじゃなくて隙間や壁もちゃんと拭いてくださいね」

提督「はいはい、わかりましたよぅ・・・」

大和「『はい』は一回!」

提督「はぁ~い・・・」ゴシゴシ

127: 2017/05/23(火) 15:28:54.51 ID:fqfq+jbO0
大和「・・・」ジ-

大和「はぁ・・・」

大和「・・・さて。今のうちに私も板を打ち付けておかないと・・・」ガタガタ

ポタ・・・ポタ・・・

大和「何度応急修理をしてもすぐにダメになるんだから、もう・・・業者の方は一体いつ来てくださるのかしら・・・」ブツブツ

トントントン


128: 2017/05/23(火) 15:30:30.30 ID:fqfq+jbO0

・・・・・

三十分後

【鎮守府・寝室】

提督「や、やっと終わったぁ・・・疲れたぁ・・・」グデ-

大和「お疲れ様です。提督」

大和「はい。お水です」コト  

提督「ありがとー・・・」グビグビ

提督「ふぅー・・・それにしても、雑巾掛けも案外楽じゃないよねぇ・・・うぅ、腕とか背中が痛いぃ~・・・」ナデナデ

大和「掃除はあまりされないんですか?」

提督「うーん・・・あんまりしてなかった、かなあ・・・基本的に細かいことは気にしなかったから・・・」

提督「あ・・・でも、あんまり汚い時には、一人でしてたような、してなかったような・・・」ポワポワ

提督「うん・・・?あれ、どうだっけ・・・?」ウ-ン

大和「・・・なんにせよ、提督は普段からもう少し掃除をするよう、心がけた方が良いかもしれませんね」クスッ

提督「ん、それもそうだね・・・職場環境を清潔に保つことはモチベーションの向上に繋がるってよく言うし・・・」ムムム

提督「・・・って、その前にまず執務室を直してもらわないといけないんだけどね・・・」ハァ

大和「まあ、そうですね・・・」ハァ

129: 2017/05/23(火) 15:32:01.40 ID:fqfq+jbO0
提督「・・・それにしても、結構こまめに動いてるつもりなのに、少し動き続けるとすぐに身体のあっちこっちが痛くなっちゃうんだよね・・・体力ないのかな・・・?」グルグル

提督「はっ・・・それとも、まさか歳のせい・・・!?」ヒエ-

大和「・・・どうなんでしょうね」

大和(・・・)ジッ

130: 2017/05/23(火) 15:33:06.46 ID:fqfq+jbO0
大和「・・・それはそうと、提督?先ほどはどうされたんですか?なにか言おうとされてましたけど・・・」

提督「あ、あぁ!そうだった、忘れてた!」ポン

大和「もうっ、しっかりしてください」

提督「あはは・・・ごめんごめん・・・」

提督「・・・じゃなくて!」ズイッ

提督「一大事なんだよ、大和!さっき、食料庫の方を見に行ったら・・・」

大和「行ったら・・・?」

提督「・・・中身が全部なくなってたの!」

131: 2017/05/23(火) 15:34:20.93 ID:fqfq+jbO0
大和「え・・・」

提督「どうしよう~・・・!誰かに盗まれたのかなあ・・・それとも、こないだの砲撃でとんでいっちゃったとか・・・」オロオロ

大和「えっ・・・と・・・」

提督「うぅー・・・なんにせよ、このままじゃ私たち、飢え氏にしちゃうよ~!」アワアワ

大和「・・・あの、提督?」

提督「うぅぅぅ・・・なに・・・?」チラ

大和「その、提督のお気持ちは十分にわかりますけれど・・・えと、そもそもですね・・・」

提督「・・・?」

132: 2017/05/23(火) 15:35:02.06 ID:fqfq+jbO0
大和「・・・今日をもって、鎮守府の保存食は全て食べきってしまったんですよ」

提督「・・・」

大和「今朝食べた分の干物で最後でした」

提督「・・・」

大和「・・・」

提督「・・・マジで?」

大和「マジです」

提督「・・・」

大和「・・・」

提督「・・・んぇ?」

133: 2017/05/23(火) 15:36:55.60 ID:fqfq+jbO0
提督「え・・・じゃあ、私たち、食べるものは・・・?」フルフル

大和「ないです。なにも」キッパリ

提督「・・・ない?」

大和「はい」

提督「・・・」

大和「・・・」



提督「」



138: 2017/06/03(土) 14:42:10.68 ID:JeVThg480
同日・夜

【居酒屋・鳳翔】

グツグツグツ

鳳翔「・・・」トントントン

ジャアアアアア

鳳翔「・・・」サッサッサッ

カチャカチャ

鳳翔「ふぅ・・・」

鳳翔「・・・」

鳳翔「・・・」チラ


139: 2017/06/03(土) 14:42:38.92 ID:JeVThg480
提督「」チ-ン

鳳翔「・・・なんだか、大変なご様子ですね」

大和「・・・まあ、はい・・・」ハァ

大和「その・・・なんというか、いつもいつもすみません・・・」ペコリ

鳳翔「あ、いえいえ。そんな、お気になさらないでください」パタパタ

鳳翔「・・・ですが、いつも元気一杯な提督がここまで落ち込んでいらっしゃるのをお見かけするのは初めてですから・・・少し心配ですね・・・」チラ

提督「・・・ご・・・ご、は・・・」カクカク

大和「・・・お気遣い、ありがとうございます」


140: 2017/06/03(土) 14:43:29.75 ID:JeVThg480
鳳翔「それで・・・原因は鎮守府の食料が底をついたこと、でしょうか?」

大和「はい。今朝でとうとう・・・」

大和「・・・遅かれ早かれ、こうなることはわかってはいましたが・・・」

鳳翔「・・・ちなみに、以前から気になっていたんですけれど・・・お二人は普段の食事をどうされていたんですか?」

大和「あ、あー・・・それは、ええっと・・・」モジモジ

鳳翔「?」

大和「あ、あはは・・・ま、まあ、お恥ずかしい話なんですけれど・・・」

大和「そ、その~・・・」

鳳翔「・・・」

大和「その・・・」

大和「・・・」

大和「・・・わ、私たちが鎮守府に来た時に置いてあった保存食だけ・・・です・・・」スッ

鳳翔「・・・」

大和「・・・」

鳳翔「・・・え」ポカン


141: 2017/06/03(土) 14:44:14.54 ID:JeVThg480
鳳翔「・・・それだけですか?」

大和「・・・は、はい」

鳳翔「・・・大本営から物資の支援は届いていないんですか?」

大和「はい・・・全く」

大和「・・・提督も何度か直接要請しているようです。先ほども電話越しに激しく抗議されていました」

大和「けれど・・・いつも向こうは聞く耳持たないようで・・・」

鳳翔「・・・そう・・・ですか・・・」

鳳翔(・・・)

鳳翔「・・・なるほど。それは大変でしたね」


142: 2017/06/03(土) 14:44:56.25 ID:JeVThg480
大和「・・・まあ、とは言っても、提督も頻繁に釣りの餌として保存食を持ち出していましたし、こっそりとつまみ食いをしているところも何度か確認していますから・・・自業自得な部分もあるんですよ」ジト-

提督「・・・うぅ・・・ごめんなさいぃ・・・」グズグズ

大和「・・・」ハァ

鳳翔「あ、あはは・・・」


143: 2017/06/03(土) 14:45:42.34 ID:JeVThg480
鳳翔「・・・で、では、お二人はこれからどうされるんですか?」パッ

大和「そうですね・・・」チラ

提督「・・・とりあえず、食料を確保しないことにはなにも始まらないから・・・なんとかしようとはしてるんだけど・・・」

鳳翔「・・・そのことについて、大本営はなんと?」

提督「・・・いつもいつも同じことしか言わないよ。『我々にも余裕がない。資材や食料は現地でなんとかして調達したまえ』、って、そればっかり・・・」ハァ

提督「現地でなんでも事足りるなら、私たちもわざわざ支援要請なんかしないっていうのに・・・」ム-

提督「はぁー・・・」ガクッ

鳳翔「そうですか・・・」


144: 2017/06/03(土) 14:46:20.20 ID:JeVThg480
提督「・・・」ムムム

提督「・・・あ。でも・・・」ピコン

鳳翔「?」

大和「どうしたんですか?」

提督「いやね。さっき大本営に電話してた時に、なんだか気になることを言われたの」

大和「気になること・・・?」

提督「うん。なんだっけ・・・確か、『なんでもいいなら、近いうちに送ってやる』、とかなんとか・・・」ン-

鳳翔「・・・?」

大和「・・・支援物資を送ってもらえる、ということでしょうか?それにしては、なんだか噛み合っていないような・・・」

提督「うーん・・・私もよくわかんない。電話してたら、急にそんなこと言われてね」

大和「はあ・・・」

提督「とりあえず、なんでもいいから送ってくれー、って言ったら、そう言われたの。もしかして、こないだ深海棲艦を撃退したから、その報酬とかかなあ」ポワポワ

大和「んー・・・どうなんでしょう・・・」ムムム

鳳翔「それにしては、なんだか唐突な気がしますけれど・・・」

提督「だよねぇ・・・」

「「「うーん・・・」」」


145: 2017/06/03(土) 14:46:54.08 ID:JeVThg480
鳳翔「・・・はぁ・・・まあ、仕方ありませんね・・・」スッ

カランカラン

提督「・・・鳳翔さん?」

ゴソゴソ

鳳翔「・・・あまり余裕はありませんが・・・」ヨイショ

カランカラン

ドンッ


146: 2017/06/03(土) 14:47:24.24 ID:JeVThg480
提督「・・・なにこれ?」

鳳翔「堅パンです。以前、鎮守府を出る際に、当時お世話になった方々からもらったものなんです」

提督「かたぱん・・・?」ポワポワ

大和「より堅い乾パンのようなものです。素朴な味わいで、保存食として重宝されているんですよ」

大和「堅すぎてそのまま食べるのは厳しいので、コーヒーのような飲み物と一緒に食べるのが一般的ですね」

提督「ほえ~・・・」


147: 2017/06/03(土) 14:48:09.70 ID:JeVThg480
鳳翔「合わせて一人三日分・・・こんなものしかありませんが、よければ持って行ってください」ガサガサ

提督「えっ!?いいのっ!?」ガタッ

大和「ちょっと、提督・・・」ジロッ

鳳翔「はい。勿論です」ニコ

提督「わあい!ありがとー!鳳翔さん!」パッ

提督「これでしばらくは糊口をしのげるよー!」


148: 2017/06/03(土) 14:49:55.34 ID:JeVThg480
大和「鳳翔さん・・・ですが・・・」

鳳翔「いいんですよ、大和さん。お二人には普段から、すごくお世話になっているんですから」ニコッ

鳳翔「こういった時にくらい、恩返しをさせてください。ほら、困った時にはお互い様、ですよ?」ピッ

大和「で、でも、そんな・・・お世話になっているのは、むしろ私たちの方ばかりなのに・・・」

鳳翔「いいえ。そんなことはありません」ピシャリ

大和「・・・え?」


149: 2017/06/03(土) 14:50:28.62 ID:JeVThg480
鳳翔「・・・」ジッ

大和「鳳翔、さん・・・?」

鳳翔「・・・」

大和「・・・」

鳳翔「・・・」フッ

鳳翔「・・・お二人が気づかれていないだけで・・・私は貴女たちに、本当に感謝しているんです」スッ

鳳翔「ですから、どうか遠慮なんてなさらないでください」

大和「鳳翔さん・・・」

鳳翔「・・・」ニコ


150: 2017/06/03(土) 14:51:44.03 ID:JeVThg480
大和「でも・・・」

鳳翔「・・・」

鳳翔(・・・)ウ-ン

鳳翔「・・・あ。でも、そうね・・・」ポン

大和「・・・?」キョトン

鳳翔「・・・うん。そういうことでしたら・・・今度、ここにいらっしゃる時には是非、お店自慢のフルコースを注文してくださると嬉しいです」

大和「フ、フルコース・・・?」

鳳翔「はい。私の自信作の品々を、全てお出しさせていただきます」

大和「で、でも・・・そ、それって、結構なお値段に・・・」ガクガク

鳳翔「・・・先日の約束・・・私、まだ忘れていませんから」フフッ

大和「約束・・・?」

鳳翔「・・・」ニコニコ

大和「・・・?」ム-

大和「・・・」ン-

大和「・・・あ」

大和(・・・そういえばこの前、そんなことを提督が言っていたわね・・・)


151: 2017/06/03(土) 14:52:22.26 ID:JeVThg480
鳳翔「ですから、それで・・・ね?」

大和「うぅ・・・」

大和「・・・」

大和「・・・」ハァ

大和「・・・わかりました」

大和「では、こちらの食料は、ありがたくいただきます」ペコリ

鳳翔「はい。ありがたくいただいてください」ニコ

大和「・・・」

鳳翔「・・・」

大和「・・・ふふふっ」クスッ

鳳翔「うふふ・・・」クスッ

提督(うへへ・・・たべもの・・・たべものだあ・・・)タラ-


154: 2017/06/03(土) 16:16:45.11 ID:JeVThg480
翌日・昼

【鎮守府・寝室】

ガキンッ!

提督「」アガアガ

大和「・・・提督?どうされたんですか?」バリバリ

提督「う、うえぇ~ん・・・」サスサス

提督「う~・・・」チラ

提督「・・・」

提督「・・・えっ!?」

提督「・・・」ジ-

大和「・・・?」ボリボリ

提督「・・・」ジ-

大和「・・・」バキバキ

提督「・・・いやいやいや・・・」フルフル

大和「・・・」ゴクン

大和「・・・?」

提督「・・・」ハァ-

提督「・・・」

提督「・・・」キッ

提督「・・・こんなの、絶対食べられないからー!」カ-ン!


155: 2017/06/03(土) 16:17:32.68 ID:JeVThg480
提督「硬すぎー!」バシバシ

大和「昨日言ったじゃないですか・・・」

提督「こんなに硬いなんて思わなかったよ!もうこれ石だよ!歯が先に折れるよ!」

提督「ていうか、大和はなんで平気そうに食べてるのよ!?」ビシッ

大和「え・・・そう言われましても・・・」ウ-ン

提督「・・・艦娘だから噛む力も強い、とか・・・?」ジト-

大和「いや・・・どうなんでしょう・・・」ングング

提督「・・・そもそも、飲み物と一緒に食べればいいって言っても、ここには海水と雨水以外の飲み物なんてないんだよ!?」

大和「あ、はい。ですから、私はこうして貯めた雨水に堅パンを浸してですね・・・」チャポン

提督「・・・」

大和「食べると・・・」ハムッ

バリバリボリボリバキバキ

提督「」

大和「・・・ほら。ちゃんと食べられます」ゴクン

提督「うわ~ん!こんなのもうやだよ~!」ビエエエン


156: 2017/06/03(土) 16:19:35.05 ID:JeVThg480
提督「うえええん・・・ごはん~・・・」グギュルルル

大和「ほら、我儘ばっかり言ってたらダメですよ?」スッ

提督「で、でもぅ・・・」グイ-

大和「・・・もうっ・・・」ハァ

コンコンコン

提督「・・・ん?」グスグス

大和「・・・あっ。来客のようですよ、提督?」

提督「んー・・・鳳翔さんかなあ?」

大和「いいえ。鳳翔さんは今日、仕入れの関係で朝から内地の方へ向かわれています」

提督「むぅぅぅん・・・」ムガムガ

提督「・・・大和ぉ~・・・代わりに出てよぅ・・・」グデ-

大和「・・・えっ」

大和「・・・いや、別に構いませんけど・・・」チラ

提督「お腹減りすぎて、動く気にならないぃ~・・・」グギュルルル

大和「・・・」ムゥ

大和「・・・」


157: 2017/06/03(土) 16:20:19.14 ID:JeVThg480
スッ

大和「・・・もしかして、昨日話していた大本営からの贈り物かもしれませんよ?」コソッ

提督「えぇ~・・・さすがにそれは早すぎるんじゃないかなあ・・・」ム-

大和「・・・そうでしょうか?・・・ひょっとしたら、先日のご褒美として、おいしい食べ物がたくさん届いているかもしれませんよ・・・?」ヒソヒソ

提督「・・・!」ハッ

提督「おいしい・・・たべもの・・・?」

大和「・・・はい」

提督「・・・」

大和「・・・」

大和「・・・高級すき焼きセット、とか」ボソッ

提督「・・・!!!」


158: 2017/06/03(土) 16:21:22.09 ID:JeVThg480
コンコンコン

提督「はーい!今行きまーす!」ピョン!

ドタドタ


159: 2017/06/03(土) 16:22:31.35 ID:JeVThg480
ドタドタ

大和「・・・」

大和「・・・」ホゥ

大和「・・・これで、少しは元気になってくれるといいんだけどなあ・・・」

大和(あの人がしょんぼりしていると、なんだかこっちまで寂しくなってしまうものね・・・)クスッ

大和「・・・」

大和「・・・それにしても、一体誰が何の用なのかしら・・・?」ン-

160: 2017/06/03(土) 16:22:58.77 ID:JeVThg480
コンコンコン

提督「はいはーい!今行きますよ~っと!」タッタッタッ

提督「ごっはん~♪ごっはん~♪」ウキウキ

ガチャ

提督「はーい!お待たせー!」

提督「・・・ん?」チラ


161: 2017/06/03(土) 16:23:53.35 ID:JeVThg480
??「・・・」サッ

提督「・・・」

??「・・・」

提督「・・・子供?」

??「・・・っ」ムッ

??「・・・お初にお目にかかります。私は神風型駆逐艦のネームシップ、名を神風と申します」ペコリ

神風「本日付けをもちまして、こちらの鎮守府に所属することとなりました」

神風「司令官。これからどうぞ、よろしくお願いします」スッ


163: 2017/06/03(土) 16:28:04.60 ID:JeVThg480
おまけ
トイレで腹下してる時に書いたもの
本筋とは全く関係ないよ
キャラ崩壊注意
てかもうとばしてください

164: 2017/06/03(土) 16:28:54.87 ID:JeVThg480


《提督「あれ、股間にナニか・・・」》



165: 2017/06/03(土) 16:29:24.68 ID:JeVThg480
提督「なんだろ・・・」ゴソゴソ

リトル提督「やあ」

提督「」

166: 2017/06/03(土) 16:33:39.10 ID:JeVThg480
大和「~~~♪」サッサッサッ

ドタドタドタ!

大和「・・・ん?」

バタ-ン!

提督「や、大和ぉ~~~!」バッ

ダキッ!

大和「きゃっ!」

大和「て、提督!?いきなりどうしたんですか!?」

提督「うえええええん!」

大和「て、提督・・・?」

大和「ちょっと、いいから落ち着いて・・・」ワタワタ

ムギュ

大和「・・・?」

大和(あら、今、なにか・・・)チラ

リトル提督「おはよう」

大和「」


167: 2017/06/03(土) 16:34:14.49 ID:JeVThg480
バンッ!

神風「ちょっと!朝から一体なんなの!?」

大和「か、神風・・・」

提督「びえええええん!」ギュウ-

大和「ほ、ほら、提督・・・泣かないで・・・」ナデナデ

提督「うぐっ、ひっく・・・」

神風「え、えぇ・・・」

神風(朝早くから下半身丸出しの司令官が、大和さんに泣きついてる・・・)

神風(なにこの状況・・・)


168: 2017/06/03(土) 16:34:43.80 ID:JeVThg480
数十分後

提督「・・・というわけなの」

大和「・・・」

神風「・・・」

提督「・・・」クスン

大和「提督・・・」

神風「いやいやいや・・・」ハァ


169: 2017/06/03(土) 16:35:27.75 ID:JeVThg480
神風「なにかおかしくないかしら・・・」

提督「・・・ナニ、だけに?」

神風「司令官・・・?」ジト-

提督「・・・すみません」シュン

神風「はぁ・・・」

神風「・・・それで?」

提督「・・・?」

神風「・・・どうするの、それ」ツイッ

リトル提督「どうも」

神風「・・・」

神風(アレって、その、男の人の・・・だよ、ね・・・)

神風(・・・)チラ

神風(あ、あんなカタチなんだ・・・)ポワポワ


170: 2017/06/03(土) 16:36:35.33 ID:JeVThg480
提督「うぅ・・・ど、どうしよう・・・」

大和「・・・提督。落ち着いてください」

提督「や、大和ぉ・・・」ギュウ

大和「っ・・・」

大和「え、えっと・・・まずはその・・・こ、股間のソレを隠してもらえませんか・・・?」チラチラ

提督「あっ、ご、ごめん」サッ

提督「・・・」カアッ

大和(・・・)ジ-

大和(・・・どうしてかしら・・・なんだかいつもより、提督が可愛く見えて・・・)ポワポワ

神風(なにこの・・・なに?)

提督「と、とりあえず、なにか履いてくる・・・!」タタッ


171: 2017/06/03(土) 16:37:19.04 ID:JeVThg480
数分後

ガチャ

提督「お、おまたせ・・・」

大和「あ、いえ・・・」

神風「・・・」


172: 2017/06/03(土) 16:37:52.90 ID:JeVThg480
神風「それで・・・本当にどうするの、それ」ジト-

提督「う、うーん・・・どうしよう・・・」

大和「・・・」

提督「・・・」

神風「・・・」

神風「・・・抜く、とか」ボソッ

大和「!?!?!?」バッ

大和(抜く!?!?!?)

提督「えっと・・・抜けるの、これ?」チラ

神風「さ、さあ・・・」チラ

神風「・・・とりあえず、引っ張ってみたり・・・」

大和「ひ、ひっぱ・・・!?」

大和(提督の、アレを、ひっ、引っ張る・・・!?)

大和(・・・!)ポワポワ

提督「うぅん・・・そんな簡単に取れたらいいんだけど・・・」

神風「まあ、モノは試しよ。一度やってみましょう?」

提督「う、うん・・・」ゴソゴソ


173: 2017/06/03(土) 16:38:18.75 ID:JeVThg480
大和「ちょ、ちょっ、ちょっと待って!」バッ

提督「え?や、大和・・・?」

神風「どうしたの?大和さん?」

大和「え・・・」ハッ

大和「あっ、えっと、その・・・」

大和「・・・」

大和「・・・も、もう少し、様子を見てもいいんじゃないでしょうかっ!?」


174: 2017/06/03(土) 16:38:52.15 ID:JeVThg480
提督「え、えぇ~・・・なんでよぅ・・・」

提督「こんなのついたままだと、その・・・い、違和感が凄いんだけど・・・」モジモジ

大和「で、でもっ!もし迂闊に手を出して、その・・・よっ、良からぬことになっては、い、いけませんからっ!」

提督「は、はあ・・・?」

神風「や、大和さん・・・?」

神風(なにこの迫力・・・)

大和「だ、だから、しばらくは、よ、余計な刺激は避けた方が、い、いいんではないでしょうかっ!?」ズイッ

提督「そ、そうかなぁ・・・?」

大和「ええ!ええ!」ズイズイッ

提督「うぅ・・・わ、わかったよぅ・・・」

大和「はいっ!」ニッコリ

リトル提督「やったぜ」

提督「う~・・・」モゾモゾ

大和「・・・」ニコニコ

神風(えぇ・・・)


175: 2017/06/03(土) 16:39:31.00 ID:JeVThg480
こうして、リトル提督を股間に装備した提督は、しばらくモヤモヤとした日々を送るのだった…

176: 2017/06/03(土) 16:40:14.82 ID:JeVThg480
おわり
読んでくれた人いたら、ごめんなさい
続かないし続けない
単装砲だろうが連装砲だろうが生やしてはいけない(戒め)

こんなん書く暇あったら本編書け

182: 2017/07/23(日) 00:34:48.68 ID:8LmAS9u/0


数日前



183: 2017/07/23(日) 00:36:10.69 ID:8LmAS9u/0
五月某日・昼

【???】

カチャカチャ

??「・・・」ゴソゴソ

カチッカチッ

??「・・・」フゥ

??「・・・」ジッ

??「うん・・・こんなところかしら」

コンコン

??「・・・」チラ

??「はい。どうぞ」

ガチャ

「失礼します。神風お姉様」スッ

神風「あら、春風・・・?」

神風「どうしたの?今日は非番だから、睦月型の子たちと買い物に行くと聞いていたけど・・・」

春風「はい。その予定でしたが、先ほど司令官様から神風お姉様を執務室にお呼びするよう託けられましたので」

神風「司令官が?」

春風「はい。急ぎの用事、とのことでした」

神風「・・・」ムゥ


184: 2017/07/23(日) 00:37:06.15 ID:8LmAS9u/0
神風「・・・わかったわ。すぐに行く」

神風「春風。わざわざありがとう。後は大丈夫だから、貴女は気にせず買い物に行ってきなさい」スッ

春風「・・・あっ・・・」

神風「ん・・・?」

神風「どうかしたの?」チラ

春風「っ・・・」スッ

神風「・・・春風?」

春風「・・・」

春風「・・・い、いえ、なんでもございません」フイッ

神風「・・・」

神風「・・・そう?」

春風「・・・はい」

神風「・・・」ジッ


185: 2017/07/23(日) 00:38:09.35 ID:8LmAS9u/0
クルッ

神風「・・・それじゃ、行くわね」

春風「はい・・・行ってらっしゃいませ。お姉様」ニコ

神風「ええ・・・貴女も、ね」フッ

コッコッコッ

ガチャ

バタン

春風「・・・」


186: 2017/07/23(日) 00:38:53.93 ID:8LmAS9u/0
春風「・・・」ギュ

春風「・・・お姉様・・・」

春風「・・・っ」

春風「ぅ・・・」グイッ

春風「・・・」

カツンカツンカツン

春風「・・・」ジッ

ソッ

春風「・・・どうか、ご武運を・・・」


187: 2017/07/23(日) 00:39:39.99 ID:8LmAS9u/0


「・・・」

「・・・」

「・・・ありがとう」



188: 2017/07/23(日) 00:40:13.03 ID:8LmAS9u/0


コッコッコッ



189: 2017/07/23(日) 00:42:09.64 ID:8LmAS9u/0


・・・・・

【執務室】

??「・・・」ジッ

コンコンコン

??「・・・」クシャ

スッ

??「・・・入りなさい」

ガチャ

神風「失礼します」

神風「司令官。駆逐艦神風、参りました」サッ

提督「・・・ご苦労」

神風「・・・」

提督「さて・・・私がわざわざ君をここに呼んだ理由・・・君も、察しがついているのではないかな?」

神風「・・・」

提督「・・・」

神風「・・・解体するんですか。私を」

提督「・・・」

神風「・・・」


190: 2017/07/23(日) 00:42:51.36 ID:8LmAS9u/0
ギッ

提督「・・・解体。それも悪くはない」

神風「・・・」ギュ

提督「・・・」

提督「・・・」フゥ

提督「・・・だが幸い、この鎮守府は資材に多少なりとも余裕があってね。君ほどの功労者をそのような形で処分することは、私も本意ではない」

神風「・・・では、どのように」

提督「・・・ふむ」

提督「・・・」ジッ

神風「・・・」


191: 2017/07/23(日) 00:45:44.77 ID:8LmAS9u/0
提督「・・・ひとつ。面白い話がある」

神風「・・・」

提督「君も知っての通り、現在深海棲艦どもの多くは南西方面を激しく攻め立てている」

提督「しかし、戦況は芳しくない様子でね。連中は勢力圏を着々と拡大し続け、ここ最近に至っては、我々にとっても無関係を決め込むには些か難しい塩梅になってきた」

神風「・・・はい」

提督「・・・」

神風「・・・」

提督「・・・そこで、だ」スッ

ギイッ


192: 2017/07/23(日) 00:48:11.51 ID:8LmAS9u/0


提督「駆逐艦神風。君には、北方の鎮守府へと向かってもらう」



193: 2017/07/23(日) 00:51:58.87 ID:8LmAS9u/0
回想おしまい
読んでくれた人いたら、ありがとう
ほんとはこの回想の時にもう少し会話があったけど、その辺は後でまた出てくる予定

それにしても、やっぱ法子は可愛いなあ…
ダチャーン最高なのは揺るぎないけど、ゆかゆかのりこもなかなかどうして素晴らしい

196: 2017/08/12(土) 17:27:55.95 ID:oFktcQaO0

・・・・・

数分後

【鎮守府・寝室】

提督「じゃ、早速面接を始めよう」フンスフンス

提督「えーっと。まずは、貴女の名前から・・・」

神風「待って、待って。ちょっと待って」

提督「もうっ。貴女からの質問はこっちの質問の後だよ?」

神風「いやいやいや・・・ちょっと展開が急すぎて、少し・・・ううん、かなり混乱しているの・・・」フゥ

神風「・・・良ければ、まず今の状況を説明してもらえると助かるんだけど」

大和「・・・だそうですよ、提督?」

提督「・・・ふむ」

提督「・・・」

神風「・・・」

提督「・・・却下!」

神風「なんでよ!?」


197: 2017/08/12(土) 17:28:32.04 ID:oFktcQaO0
提督「理由は単純だよ」

神風「何」

提督「・・・私が、この鎮守府の、提督だからっ!」ドヤア

神風「・・・」ジトッ

提督「ふふん・・・」ニヤリ

大和(何してるんだか・・・)ハァ


198: 2017/08/12(土) 17:29:08.81 ID:oFktcQaO0
大和「・・・提督。権力の乱用は控えてください」

提督「ら、乱用じゃないもん。だって私、ほんとに提督なんだもん」

大和「そういうことではありません。その権限を盾にした、無意味で威圧的な言動は避けてください、と言っているんです」

提督「で、でも・・・」チラ

神風「・・・?」

神風(今・・・)


199: 2017/08/12(土) 17:29:42.09 ID:oFktcQaO0
大和「でも・・・何ですか?」

提督「ぇ・・・で、でもぅ・・・」

大和「・・・」ジ-

提督「ぅ・・・」

大和「・・・」ジ-

提督「・・・ご、ごめんなさぃ・・・少し、調子に乗ってましたぁ・・・」シュン

大和「・・・わかって頂けたならいいです。次からはこのようなことはしないでください」フゥ

提督「・・・はぃ」ショボン

神風(これが本当に司令官なの・・・?)


200: 2017/08/12(土) 17:30:17.84 ID:oFktcQaO0
提督「・・・神風ちゃんも、ごめんね?」

神風「あ、いえ・・・私はその、気にしていませんから・・・」

提督「・・・ん。ありがと」

神風(・・・)ジ-

提督「・・・よしっ。それじゃあ、気を取り直して・・・神風ちゃん!」

神風「は、はい?」ビクッ

バッ

提督「挨拶が遅れてごめんなさい。私はこの鎮守府の提督よ。そっちは戦艦の大和」

提督「ようこそ、駆逐艦神風。貴女を歓迎します・・・これから、よろしくね」ニコッ

大和「よろしくお願いします。神風さん」フッ

神風「あ・・・」

神風(これ・・・)

提督「・・・ん?」

神風「ぁ・・・は、はいっ!こちらこそ、よろしくお願いしますっ!」サッ


201: 2017/08/12(土) 17:31:32.54 ID:oFktcQaO0
提督「ん・・・それで、早速で悪いんだけど・・・」

神風「あ・・・も、もしかして、遠征ですか?それとも、哨戒任務でしょうか?」

神風「なんでも任せてください。この神風、旧型の駆逐艦ではありますが、今まで様々な戦場を渡り歩いてきました。どんな任務であっても、司令官にご満足頂ける成果を出してみせます!」

提督「おー、頼もしいねぇ。それじゃ、いきなりで申し訳ないけど・・・」

神風「はいっ!」

バッ


202: 2017/08/12(土) 17:34:22.30 ID:oFktcQaO0


提督「ごはんちょうだい!」

神風「はい!?」





203: 2017/08/12(土) 17:35:47.27 ID:oFktcQaO0
神風「・・・」

提督「・・・」

神風「・・・え?」

提督「・・・え?」

神風「・・・えっ?」

提督「・・・ん?あれ?」

神風「・・・えっと・・・それは、その、食事を用意しろ、ということでしょうか?」

提督「うん、そう!すき焼きとか、焼肉とか、ローストチキンとか!」

大和「見事にお肉ばっかりですね・・・」ハァ

神風「えと・・・まあ、材料さえあれば、私でも少しくらいは作れなくもないんですけど・・・」

提督「あれ?大本営から何か渡されてないの?」

神風「・・・何か?」キョトン

提督「うん。私たち宛てに、食糧とか、資材とか、勲章とか」

神風「・・・」ムム

神風「・・・いえ。特には、何も」

提督「」バタッ

204: 2017/08/12(土) 17:36:22.17 ID:oFktcQaO0
大和「・・・ところで神風さん。一つ聞かせてもらってもいいかしら?」

神風「あ、はい。構いませんよ」

大和「それじゃあ神風さん。貴女、誰の指示でここに来たの?」

提督「え?そりゃ、大本営でしょ?」ムクッ

大和「・・・提督は少し黙っててください」グイッ

提督「~~~~~!」ムガムガ

神風「・・・その、どこからの指示ということまでは、私には・・・」チラ

大和「通達したのは貴女のいた鎮守府の司令官?」

神風「はい。それは間違いありません」

大和「その方は貴女に何か言っていなかった?例えば、ここに来ることになった理由、とか」

神風「・・・いいえ。特には、何も」

大和「・・・そう」


205: 2017/08/12(土) 17:36:57.07 ID:oFktcQaO0
大和「話してくれてありがとう、神風さん」

神風「いえ。当然のことです」

神風「ですが、私の方からも一つお願いがあります」

大和「何かしら?」

神風「私はまだここに来たばかりで、この鎮守府のことについても知らないことばかりです」

神風「良ければ、どなたかに教えていただきたいんですけど・・・」キョロキョロ

大和「・・・どうかしたの?」

神風「あ、えっと・・・その、他の艦娘の方の姿が見えないな、と・・・」

大和「・・・あぁ・・・なるほど、そういうこと・・・」

神風「・・・?どうかしましたか?」

大和「・・・いいえ、なんでも」


206: 2017/08/12(土) 17:40:04.07 ID:oFktcQaO0
大和「・・・そうね。鎮守府のことについて詳しく知りたいなら、この提督から直々に説明を受けてもらうのがいいんじゃないかしら」パッ

提督「ぶはぁ!・・・はぁ、はぁ・・・」

提督「ちょっと大和!何するのさ!?」ウガ-

大和「提督がうるさいからです」

提督「もー・・・だからって艦娘の力で口を押さえられたらどうしようもないよ・・・」ジト-

大和「自業自得です」ツ-ン

提督「ぐぬぬぅ・・・」

神風「・・・あ、あの・・・」

提督「あ・・・ご、ごめんね、神風ちゃん!」

提督「でも、話は聞かせてもらったわ!鎮守府のことが知りたいなら、何を隠そうこの私にお任せだよ!」ボムッ

神風「は、はあ・・・それじゃあ、よろしくお願いします。司令官」ペコ

提督「うん、任された!」

大和「・・・提督。私は別件で少し席を外しますから、神風さんのこと、よろしくお願いします」

提督「おっけい!」バチン

大和「・・・私がいないからといって、サボっちゃ駄目ですからね?」ニッコリ

提督「・・・」

大和「・・・返事は?」ニコォ

提督「お、おっけい!」ガクガク

神風(本当に大丈夫なのかな・・・)


209: 2017/08/12(土) 21:08:16.50 ID:xNBz1dDeO

・・・・・

提督「よ~し。それじゃ鎮守府の案内、サクッといっちゃうね!」

神風「はい。よろしくお願いします」

210: 2017/08/12(土) 21:08:52.77 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府・執務室】

提督「まずは執務室!」

神風「部屋の半分が削れてなくなってますね」

提督「涼しげで自然を身近に感じられるよ」

神風「・・・普段はここでお仕事をされてるんですか?」

提督「ううん。寝室で」

神風(・・・執務室?)


211: 2017/08/12(土) 21:09:27.08 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府・玄関】

提督「玄関!」

神風「履物の数が少ないですね」

提督「配属されてる艦娘が少ないからねぇ」

神風「そう言えば、提督はどうして軍靴を履かれていないんですか?」

提督「だって、可愛くないもん」

神風(理由になって・・・る・・・?)


212: 2017/08/12(土) 21:10:11.96 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府・風呂場】

提督「お風呂!」

神風「湯船がありませんね」

提督「そこにあるよ?」

神風「・・・これ、ドラム缶ですよね?」

提督「予備があってよかったよ~」

神風(・・・焼け野原の中にドラム缶がポツンと立っているのは、なんともシュールな光景ね・・・)


213: 2017/08/12(土) 21:10:48.54 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府・厠】

提督「トイレ!」

神風「手動で水を流せるんですね」ガションガション

提督「衛生面はバッチリだよ」

神風「・・・ところで、流れたものはどこへ?」

提督「さあ・・・?」

神風(えぇ・・・)


214: 2017/08/12(土) 21:11:57.32 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府・寝室】

提督「寝室!」

神風「布団が二式・・・私がここで寝るなら、一つ足りませんね」

提督「あ、ほんとだ」

神風「予備の布団は・・・無いみたいです」ゴソゴソ

提督「ありゃりゃ。どうしよっか・・・」

神風「・・・仕方ありません。万が一に備えて寝袋を持参して来ましたから、私はそれを使います」

提督「一緒に寝ない?」ワクワク

神風「寝ません」


215: 2017/08/12(土) 21:12:37.51 ID:xNBz1dDeO

【鎮守府前】

提督「これで大体回ったかなあ」

神風「司令官。お忙しい中、ありがとうございました」ペコリ

提督「あはは、いいよ。気にしないで」パタパタ

提督「で、どうだったかな?この鎮守府の感想は?」

神風「そうですね・・・」フム


216: 2017/08/12(土) 21:13:07.77 ID:xNBz1dDeO

神風「最悪です」

提督「・・・ですよねー」


222: 2017/08/16(水) 10:17:46.20 ID:CMU318IJO
神風「いやもう本当に・・・突っ込みどころばかりで、どこから聞いたらいいのか・・・」ハァ-

提督「いやあ・・・」テヘヘ

神風「褒めてないです・・・」ゲンナリ

提督「あはは・・・で、でもしょうがないんだよ。私たちにも色々と事情があってね」

神風「事情・・・ですか・・・」

提督「そうそう」

神風「はぁ・・・」

提督「・・・」ニコッ

神風「・・・」ジイッ

神風「・・・わかりました。その辺りのことは、また別の機会にお話してもらいます」ハァ

提督「そうしてくれると助かるよ~」

神風「・・・」ムゥ

提督(・・・)


223: 2017/08/16(水) 10:18:15.18 ID:CMU318IJO
神風「ですが、それにしても鎮守府や辺りの惨状は一体どういうことなんですか?」キョロキョロ

神風「これではまるで、つい最近この辺りで戦闘が行われたように見えますけど・・・」

提督「あー、うん。えっと、それはね・・・」


224: 2017/08/16(水) 10:19:05.43 ID:CMU318IJO

数分後

神風「・・・なるほど。概ね理解できました」

神風「鎮守府周りの荒れ方は尋常じゃないとは思っていましたが・・・やはり深海棲艦による被害だったんですね」

提督「まったく、迷惑な話だよねぇ」

神風「・・・ですが、戦いとはそういうものです。敵は私たちが準備を済ませるのを待ってはくれません。むしろ、私たちの隙を狙ってくるものです」

神風「今回、この鎮守府が強襲されたのは、恐らく敵が鎮守府に十分な戦力が整っていないことを感知したためでしょう」

提督「うーん・・・でも、そんなのってわかるものなの?」

神風「え・・・?」

提督「ん?」

神風「あ、いえ、その・・・」チラ

神風「・・・」

神風(この人・・・)


225: 2017/08/16(水) 10:19:43.78 ID:CMU318IJO
神風「・・・敵が戦闘を行えるかどうかを判断することは容易です。例えば、遠方から偵察機を飛ばして様子を窺ったり、偵察や哨戒をどの程度の頻度で行なっているか、などを確認することで、敵の内情を大まかに把握することはできます」

提督「ほえ~・・・なるほど・・・」ポワポワ

神風「・・・敵方のそういった動きは確認できませんでしたか?」

提督「うーん・・・どうだろ・・・」ムムム

神風「・・・まさか、警戒していなかったんですか?」ジト-

提督「いやぁ・・・そういうわけじゃないんだけど・・・」ポリポリ

提督「・・・だって敵の動向を確認しようにも、ウチには偵察機なんて無いし・・・そもそも偵察やら哨戒なんてやったことないからなぁ・・・」

神風「・・・」ポカン

神風「・・・」

神風「・・・は?」


226: 2017/08/16(水) 10:20:41.96 ID:CMU318IJO
神風「え・・・あ、あの・・・い、今、なんて・・・?」プルプル

提督「ん・・・?えっと、だからね。この鎮守府には偵察機なんて一機も無いし、そもそも飛ばせる人もいないし・・・あとあと、神風ちゃんが来てくれるまでは艦娘は大和一人だったんだけど、艤装も資材も素寒貧だったから、出撃することもできなかったんだよねぇ」

神風「え」

提督「うぅ~ん・・・一応目視で巡回はしてるんだけど・・・でも、やっぱりそうだよね・・・むぅ、困ったなぁ・・・」ブツブツ

神風「」

提督「んぅ・・・ん?神風ちゃん?どしたの?」

神風「」

提督「おーい。神風ちゃーん?おーい!」ヒラヒラ

神風「」チ-ン


227: 2017/08/16(水) 10:21:12.75 ID:CMU318IJO

・・・・・

【鎮守府・寝室】

神風「・・・」

神風「・・・」

神風「・・・はっ!?」パッ


228: 2017/08/16(水) 10:23:18.86 ID:CMU318IJO
神風「・・・こ、ここは・・・」キョロキョロ

提督「・・・あ。やっと戻ってきたね」

神風「ぁ・・・し、司令官・・・?」

提督「神風ちゃんったら、急に動かなくなっちゃうんだから、私もビックリしたよ~」

提督「どう?身体は大丈夫?どこかおかしい所とかない?」

神風「あ・・・はい・・・それは、問題ない・・・」スッ

神風「・・・?」

神風(あれ・・・なんだろ・・・少し、違和感が・・・)モジッ


229: 2017/08/16(水) 10:24:07.32 ID:CMU318IJO
提督「ん・・・?どうかしたの?」キョトン

神風「あっ・・・えっと、その・・・」ワタワタ

神風「・・・し、司令官が、私をここへ・・・?」チラ

提督「うん。だって神風ちゃん、何しても反応なくって、とりあえず外に放置するのもなんだったから」

神風「そ、そう・・・ですか・・・」

スッ

神風「・・・その、ご迷惑をおかけして、ごめんなさい」ペコリ

提督「いーよいーよ。気にしないで。私もよく立ったまま居眠りしちゃうもん」アハハ

神風「あ、あはは・・・」

神風「・・・」

神風「はぁ・・・」


230: 2017/08/16(水) 10:24:34.62 ID:CMU318IJO


・・・・・



231: 2017/08/16(水) 10:25:52.42 ID:CMU318IJO
神風(・・・聞いた話によれば、この鎮守府にはありとあらゆるモノが不足しているらしい)

神風(艦娘、艤装、資材、食料、その他諸々の設備・・・挙げ始めればキリがないわね。良くこの状態で鎮守府を維持できていたものだわ)

神風(・・・)

神風(でも・・・この鎮守府の一番の問題は、間違いなくあの司令官)

232: 2017/08/16(水) 10:26:49.79 ID:CMU318IJO
神風(私は今までに多くの提督を見てきたけれど、ここまで酷いのを見たのは初めてね。彼女は私の中での過去最低を鮮やかに更新してくれたわ)

神風(戦場を正確に俯瞰し、そこからありとあらゆる可能性を読み取る洞察力。豊富な知識と経験に裏打ちされた、適切な判断力。そして、部下を力強く牽引し、勝利を導くカリスマ性)

神風(そういった要素全てを兼ね備えてこそ、司令官たる立場に相応しい人間と言える。なのにあの人は、それらの要素の何一つとして基準を満たしているように見えなかった)

神風(ずさんな調査、行き当たりばったりの行動、浮わついた態度・・・どれをとっても司令官にあるまじきものだわ・・・おまけに凄く不健康そうだし・・・)

神風(どうして彼女が提督になれたのか、どうして鎮守府がこんな有様のままなのか・・・疑問は尽きないわね。大本営は一体何を考えているのかしら・・・)

神風(・・・)

神風(・・・まあ、だからと言って、私が何か口を出すことはないだろうけど)


233: 2017/08/16(水) 10:27:20.30 ID:CMU318IJO


・・・・・



234: 2017/08/16(水) 10:29:11.66 ID:CMU318IJO

私は彼女に対して、一切意見をぶつけることもないし、こちらから何かを進言することもない。

ただ、彼女から命じられたことを、粛々とこなすだけ。

ただ、彼女の心に従うだけ。

この環境は私にとってあまりにも厳しいけれど・・・関係ない。そんなことは。


235: 2017/08/16(水) 10:29:45.78 ID:CMU318IJO


だって・・・そうじゃないと、また捨てられちゃうもの、ね



238: 2017/08/16(水) 20:54:26.98 ID:btgUAqK10
同日・夜

【海岸】

提督「・・・」ジ-

提督「・・・」

提督「・・・」

ピクッ

提督「!」

提督「ここだぁ!」バッ

ザバァッ!

提督「よーし手応えあり!今度こそ、大物が・・・」パシッ

提督「・・・ん?」

古びた靴「Good evening.」

提督「・・・」

古びた靴「・・・」

提督「ぬあああああ!」ポ-イ

古びた靴「Good‐by.」

ジャボン!

239: 2017/08/16(水) 20:55:36.30 ID:btgUAqK10

提督「うぬぬぅ・・・なんで釣れないの・・・これだけやってれば、一匹くらいはいけると思ったのにぃ・・・くそぅ・・・」ギリギリ

提督「・・・いや!諦めるもんか!今度こそ、もう一度・・・よ~し、いっく・・・!」ヒュンヒュン

「・・・こんな時間に何やってるんですか」

提督「ぞおぉぉぉう!?」ズルッ

ドテッ!

ポチャン!

提督「いったたたぁ・・・またお尻ぃ・・・」

コッコッコッ

「熊野さんみたいな声を出して・・・大丈夫ですか?提督?」

提督「あ、うん。大丈夫・・・」チラ

提督「・・・って、大和!?」ビシッ

大和「・・・?はい、そうですけど・・・」

提督「もぉ~!こんな時間までどこ行ってたの!?夜は真っ暗だし、一人で出歩くのは危ないんだよ!」プンスカ

大和「私は艦娘ですから、何かあっても十分対処できますよ」

提督「そーゆー問題じゃないでしょー!女の子の夜の一人歩きなんて、提督は許しませんー!」

大和「・・・」ム

大和「・・・そう言う提督も一人歩きしてますけど?」フイッ

提督「私はいいの!だって、提督だもん!」ドヤア

大和「それ、理由になってませんから・・・」ハァ

240: 2017/08/16(水) 20:56:47.95 ID:btgUAqK10
大和「・・・ところで、神風さんは?」ストッ

提督「もう寝ちゃったみたい。移動とかで疲れてたみたいだしね。仕方ないよ」

大和「そうですか」

提督「うん」

大和「・・・」

提督「・・・」

241: 2017/08/16(水) 20:57:17.61 ID:btgUAqK10
ザアァァァ

提督「・・・」

提督「・・・あ。そういえば」

大和「はい」

提督「さっき。どこ行ってたの?」

大和「・・・鳳翔さんのところですよ。色々と聞いておきたいこともありましたから」

提督「ふぅん・・・そっか」

大和「はい」

提督「・・・」

大和「・・・」

242: 2017/08/16(水) 20:58:12.47 ID:btgUAqK10
ザアァァァ

提督「・・・あーあ。釣れないなぁ・・・」ポイッ

大和「この辺りは魚が少ないのかもしれないですね」

提督「それにしても、これだけ続けて一匹も釣れないなんて・・・はぁ・・・私って釣りの才能無いのかなぁ・・・」グニャリ

大和「・・・」ジッ

大和「ふふっ・・・」

提督「・・・なによ」ム-

大和「いえ、その・・・」クスクス

大和「・・・」チラ

大和「・・・可愛いな、と思っただけです」

提督「・・・」ムスッ

提督「・・・ふーんだ。褒めても何も出ませんよーだ」プイッ

大和「もう、拗ねないでください」クスクス

提督「拗ねてないもん」ツ-ン

大和「ふふふ・・・」クスクス

243: 2017/08/16(水) 20:59:09.90 ID:btgUAqK10
提督「はぁ・・・でも、このままじゃまずいよねぇ・・・」

提督「神風ちゃんが来てくれたのは嬉しいけど、食糧は底をついてるし、相変わらず艤装や資材のアテも無いし・・・」

大和「・・・そうですね」スッ

提督「う~ん・・・どうしたものか・・・」ムムム

大和「・・・」ジイッ

244: 2017/08/16(水) 20:59:53.51 ID:btgUAqK10
提督「むむむ・・・」

大和「・・・」ハァ

大和「・・・そういえば、さっき・・・鳳翔さんと少しお話をしていた時に、気になる噂を耳にしました」

提督「む・・・気になる噂・・・?」チラ

大和「はい。なんでも近々、北方方面にも補給艦を派遣する計画があるそうです。まだ具体的な部分まではわからないそうですが・・・」

提督「補給艦・・・」

245: 2017/08/16(水) 21:02:45.22 ID:btgUAqK10
提督「う~ん・・・もしそれがほんとなら、私たちにとっては願ってもないことだけど・・・」ムムム

大和「そうですね・・・」チラ

大和「・・・」

大和「・・・まあ、とは言ってもこの鎮守府に派遣される可能性は、残念ながら低いと思います」

大和「場所や規模を鑑みる限り、優先度では他の鎮守府や基地には劣るでしょうから・・・」

提督「そっかぁ・・・うぅむ・・・」

大和「・・・」チラ

大和「・・・ごめんなさい。変に期待させてしまって・・・」ペコリ

提督「・・・ううん、大和は悪くないよ。むしろ・・・ありがと」ニコッ

大和「え・・・?」

246: 2017/08/16(水) 21:03:35.17 ID:btgUAqK10
スクッ

提督「なにも可能性が無いわけじゃないんだもん。もしかしたら、その補給艦がこの鎮守府に来てくれることだってあるかもしれないじゃない。それに、大本営からの贈り物だって届いてないし・・・これから何が起こるかなんてわからないものだよ。悪い方に転ぶかもしれないけど、良い方に転ぶことだってあるよ、きっと」

提督「大和が教えてくれたから、こうやって色々と考えられるわけだもん。それって、すっごく無駄な希望的観測かもしれないけど・・・それって今の私たちにとっては必要なことだよ。きっと」

大和「必要なこと・・・」

提督「うん。だってほら、希望的観測や憶測は良くないっていう人が昔いたみたいだけどさ、私はそれが生きる活力になるのなら、別に構わないと思うから。だって、妄想するのはタダだしね」クスッ

提督「常にリスクを考えて行動するのは大切だけど・・・悪い結果ばっかり考えてたら、結局現実もそっちに寄って行っちゃうよ」

提督「こんな状況だもん。少しでも前向きにいかないと!」グッ

大和「提督・・・」

247: 2017/08/16(水) 21:04:38.38 ID:btgUAqK10
提督「ね?だから・・・あーだこーだ言いながら、せいぜい期待しないで待ってよ?」パチッ

大和「・・・」

大和「・・・」フッ

大和「・・・そうですね。そうしましょう」

提督「うんうん。良きに計らえ」ドヤア

大和「ふふっ」クスクス

大和「・・・」チラ

大和「・・・ありがとうございます。提督」ボソッ

248: 2017/08/16(水) 21:05:57.91 ID:btgUAqK10

・・・・・

(大和の手前、ああは言ったけど・・・ほんとどうしたらいいんだろ・・・)

(結局何も解決しないまま、時間ばっかりが過ぎていってる)

(このままじゃ・・・)

(・・・)

(早く・・・早くなんとかしないと・・・)

(こんな時だからこそ、提督の私がなんとかしないと・・・)

(なんとか・・・)

(・・・)

・・・・・


252: 2017/08/17(木) 09:02:19.28 ID:WrVuxSjmO

気がついたら、暗闇にいた

深海よりも暗い世界に放り込まれて、自分の姿すら視認できない

音も、匂いも、気配も、なーんにも感じない

そこまで意識して、ようやくこれが夢なんだなって思い出す

そうして、私は私なんだと思い知る


253: 2017/08/17(木) 09:02:56.40 ID:WrVuxSjmO

ーーーで、何を悩んでいるのーーー

不意に、頭に声が響く

いや、正確には頭がどこにあるのか、そもそも頭ってなんなのか、よくわからないんだけど

とにかく、私に向けられた言葉には違いない

相手の姿は見えない

その声は鈴を転がすようでありながら、厳しさと優しさを多分に含んだ声だった

多分、聞いたことのない声

じゃあ、私が知らない人なんだろうね、きっと


254: 2017/08/17(木) 09:05:52.20 ID:WrVuxSjmO

う~ん・・・でも、初対面の人にいきなり人生相談っていうのもなあ・・・

あ。もしかして、貴方って占い師か何か?

夢の中でまで占いなんて、仕事熱心なんだねぇ

ーーーー・・・早くしないと、帰るわよ?ーーー

あー!ちょっと待って!すいません!また調子に乗ってました!ごめんなさい!

そう急がないで!慌てないで!一人にしないで!私、暗いの怖いの!

わかった、今!とりあえず、今言うから!

相談でしょ!悩みでしょ!?えっと・・・

・・・

えと、えと、そのー・・・

えーっとぉ・・・

・・・


255: 2017/08/17(木) 09:06:33.84 ID:WrVuxSjmO

ーーー?ーーー

・・・

あ、あはは・・・

悩みが多すぎて、どれを言えばいいのやら・・・

ーーー・・・ーーー

ーーーはぁ~・・・ーーー

あ、なんかすっごい呆れられてる

それはなんとなくわかった


256: 2017/08/17(木) 09:07:28.98 ID:WrVuxSjmO

ーーー・・・ーーー

うっ・・・な、なんか、すみません・・・

ーーー・・・いいわ。なら、せっかくこうして会えたことだし、貴女に一つだけ良いことを教えておいてあげるーーー

え、いいの?

ーーーいいの。わかったら、黙って聞いておきなさいーーー

・・・(コクコク)

ーーー・・・いい? には、気をつけなさいーーー

・・・ ?

ーーー・・・ のことよ。貴女はまだ、知らないでしょうけどーーー

???

なんでまた、 ・・・だっけ?それに気をつけないといけないの?

ーーーいいから。いつか私が言ったことの意味がわかるはずよーーー

ーーーだから、今はせいぜい頭の片隅にでも留めておきなさいーーー

う~む・・・


257: 2017/08/17(木) 09:09:05.14 ID:WrVuxSjmO

・・・

・・・よくわからないけど・・・とりあえず、わかったよ。占い師さんの言うことだし、一応覚えとくね

ーーー・・・そうーーー

ーーーじゃあ、もういいわね・・・ーーー




258: 2017/08/17(木) 09:09:59.03 ID:WrVuxSjmO

そう満足げに言ったきり、声は聞こえなくなった

同時に私の意識も急速に薄れてゆく

最後にせめて声の主の姿形だけでも視界に捉えようと、よくよく辺りに目を凝らしてみると、真っ黒な視界の向こうに、なんだかユラユラ揺れているものが見えた気がした

それだけだった


263: 2017/08/18(金) 15:05:33.51 ID:O0lu4QgL0


《レポート1》



264: 2017/08/18(金) 15:06:30.11 ID:O0lu4QgL0

ー1月8日ー

久し振りに昔の知り合いを尋ねてその施設に来てみれば、なにやら面白いことをやっているとのことだった。

私がここにいたのは、もう三年近くも前のことになるが、外観も辺りの風景も変わっていないので、特に代わり映えしないものだと思ったのだが、どうもそうでもないらしい。

到着して早々、旧友に案内されたのはいかにもといった風情の部屋であった。見覚えのないその部屋を牢獄と形容するのか、それとも天国と呼称するのかまでは、私の知るところではない。ともかく、非常に気色の悪い場所であることだけは確かである。空気がよどんでいる、というよりは、存在そのものが不快感を煽っているようにさえ感じられる。なんにせよ、長居はしたくないところだった。


265: 2017/08/18(金) 15:07:23.12 ID:O0lu4QgL0


そこに、なにかがいた。



266: 2017/08/18(金) 15:09:11.45 ID:O0lu4QgL0

部屋の中心部にいるそれを見て、私は言葉を失ってしまった。

話によれば、それは彼らの実験の賜物であるらしいが、私にはとてもそうは見えない。

そもそも、それは生物と呼ぶべきか、あるいは単なる物体と呼ぶべきか。酷く全体が砕けちったゼリーのようであり、それでいて時折思い出したかのようにピクリピクリとその口角を上げるのだから、気味が悪いといったらありゃしない。

なんだこれは、と尋ねる私を、旧友しげしげと、それこそ不思議な未知の物質を見るかのように眺めていた。そして、こともなげにこう言った。


267: 2017/08/18(金) 15:09:39.66 ID:O0lu4QgL0


『これが我々の新たなる兵器さ』



268: 2017/08/18(金) 15:16:09.36 ID:O0lu4QgL0
《レポート1》
おしまい
読んでくれた人いたら、ありがと

ラスダン終わったら続き投下するよ

273: 2017/08/18(金) 20:06:23.15 ID:O0lu4QgL0
翌日・昼

【鎮守府・寝室】

大和「・・・」カリカリ

提督「・・・」カリカリ

大和「・・・」チラッ

提督「・・・」カリカリ

提督「・・・」ムムム-ン

大和「・・・」ジ-

大和(んん・・・?)

274: 2017/08/18(金) 20:07:16.28 ID:O0lu4QgL0
提督「・・・」カリカリ

大和「・・・あの~、提督・・・?」オズオズ

提督「んー?」チラ

大和「ええっと、その・・・なんと言うか・・・」

提督「?」

大和「・・・」ム-

大和「・・・何かありましたか?」

提督「・・・」ポカン

提督「・・・何かって?」

大和「それはわからないですけど・・・」

大和「なんとなく、いつもと雰囲気が違う気がしたので・・・」ジ-

提督「・・・」フム

大和「・・・」

275: 2017/08/18(金) 20:11:14.55 ID:O0lu4QgL0
提督「・・・気のせいじゃないかな。だって、特に何もないし。私だっていつも通りだよ?」

大和「でも・・・」

提督「・・・」ム-

提督「・・・それにほら!私の目を見て?」グイッ

大和「えっ・・・て、提督・・・?」

ジ-

大和「・・・」

提督「・・・ね?これが嘘をついてる人間の目に見える?」ズイズイ

大和「えっ・・・と・・・」

提督「・・・」ジ-

大和「・・・」

大和「・・・そう、ですね。そうかもしれません」ハァ

スッ

大和「ごめんなさい、変なこと言って・・・」

提督「いいのいいの・・・さ、早く残りの書類だけかたしちゃお?」ニコッ

大和「はい」

276: 2017/08/18(金) 20:11:59.51 ID:O0lu4QgL0
コンコンコン

大和「あら・・・珍しいですね。また来客でしょうか」

提督「鳳翔さんかな?私が出るよ」パッ

大和「あ、はい。それじゃあ、お願いします」

提督「おっけ~」パチッ

トットットッ

277: 2017/08/18(金) 20:13:13.69 ID:O0lu4QgL0
【鎮守府・玄関】

コンコンコン

提督「どうしたんだろ・・・は~い!今行きますよ~」トテトテトテ

ガチャ

提督「お待たせしました~!今日はどういった用け・・・」

??「こんにちは!ですって!」ペコリ

提督「・・・」

??「・・・」ニコニコ

提督「・・・」

提督「・・・あ、はい。こんにちは」ペコリ

278: 2017/08/18(金) 20:14:50.32 ID:O0lu4QgL0
提督「あの、どちら様でしょうか?」

??「はいっ。私、呉鎮守府の呂号第500潜水艦です。ろーちゃんって気軽に呼んでくださいって、はい!」

提督「えぇ~っと・・・」

提督(鎮守府・・・潜水艦・・・)

提督(あっ・・・もしかして、この子も・・・)

呂500「?」キョトン

提督「あ、ごめんごめん」ヒラヒラ

提督「私はこの鎮守府の提督だよ。よろしくね、ろーちゃん」

呂500「はいっ!こちらこそですって!」

提督「それで、ろーちゃんは艦娘・・・で、いいのかな?」

呂500「はいっ!そうですって!」ピョン

279: 2017/08/18(金) 20:16:26.93 ID:O0lu4QgL0
提督「なるほど・・・うん、よしわかった。じゃあ、ろーちゃん?今日はどういったご用事かな?」ヨイショ

呂500「はいっ!今日は提督に、お手紙を持って来たんですって!」ゴソゴソ

提督「・・・手紙?私に?」キョトン

呂500「手紙に、提督さんへ、って書いてありますって!」

提督「へぇ、それをろーちゃんが持って来てくれたんだ。ごめんね、わざわざこんなところまで・・・」

呂500「んーん!全然平気ですって!」

呂500「遠征で近くを通った帰りですって、はい!」

提督「そっかそっかぁ」ポワポワ

提督(可愛い・・・)

280: 2017/08/18(金) 20:18:15.70 ID:O0lu4QgL0
呂500「え~と・・・ん~と・・・あっ!あった!」ゴソゴソ

呂500「はいっ!提督、どうぞですって!」サッ

提督「はい。どうもありがと~」ナデナデ

呂500「へへへ・・・Danke!」

提督「・・・そうだ。もし良かったら、少し休んでいく?あまり満足なおもてなしは出せないけど・・・」ポン

呂500「あ・・・んーん!平気ですって!」

呂500「はっちゃん達が向こうで待ってるから、すぐに帰りますって!」

提督(はっちゃん・・・その子も艦娘なのかな?)

281: 2017/08/18(金) 20:18:50.28 ID:O0lu4QgL0
提督「そっか・・・ん。わかった。引き止めちゃって、ごめんね」

呂500「んーん!でも、気持ちは嬉しいですって。Danke!ですって!」ニコニコ

提督(可愛い・・・可愛すぎる・・・)ハァハァ

282: 2017/08/18(金) 20:20:10.91 ID:O0lu4QgL0

・・・・・

提督「お手紙届けてくれてありがとね、ろーちゃん。気をつけて帰るのよ?」

呂500「はいっ!それじゃあ、Auf Wiedersehen!」ピョン

提督「ばいば~い」ヒラヒラ

ザブン!

283: 2017/08/18(金) 20:21:53.37 ID:O0lu4QgL0
提督「はぁ~・・・ろーちゃん可愛かったなあ・・・もっとお話ししたかったなあ・・・」ウヘヘ

カサカサッ

提督「・・・む」チラ

提督「・・・」ジ-

提督「・・・それにしても、私宛てに手紙なんて・・・一体誰からだろ」

提督「・・・」ム-ン

提督「えっと・・・」クルッ

提督(差出人は・・・横須賀鎮守府?)

提督「・・・?」

提督(横須賀・・・鎮守府・・・)

提督「・・・」

提督「・・・まあ、中を見ればわかるか・・・」ビリビリ

ガサッ

提督「えーっと、なになに・・・」

提督「・・・」フムフム

284: 2017/08/18(金) 20:22:22.15 ID:O0lu4QgL0


提督「合同演習のお誘い・・・?」



285: 2017/08/18(金) 20:30:18.31 ID:O0lu4QgL0
というわけで、二章完結です。
ここまで読んでくれた人いたら、ありがとうございました。

とりあえず明日の朝に依頼出してきます。
ほんとは短編とか書き溜めてるのあるけど…まあいいや。

色々とカットしたり話の流れ変えたりしてるけど、基本結論ありきで書いてるので、大まかな流れは変わってないはず。
とりあえず言えるのは、黒幕やら元凶?はまだ一回も出てきてないのと、元凶?の関係者の一人は既に登場してる、ってことくらいですかね。後は読んでくださった方々の想像におまかせします。

そんじゃ、あでぃおすぐらっしゃー。

287: 2017/08/18(金) 21:01:33.20 ID:QjFDbS2gO
補足

・短編の《レポート》は同年の話

・提督の様子が変だと思った大和が提督の言葉に納得したのは、別にファンタジーな魔法とか暗示とかによるものではなく、ただの照れ隠し

・ろーちゃんが横鎮からの手紙を提督に持ってきたのは、道中で別の人物からたまたま預かったから

288: 2017/08/19(土) 15:34:39.42 ID:z4gnaLRNo
乙だちゃーん

引用元: 【艦これ】北方のとある鎮守府の話・改