1: 2017/04/25(火) 21:01:49.515 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
-舞天市 上空-


タプリス(はぁ、先日の天真先輩のお誕生日、本当に楽しかったです)

タプリス(誕生日前日に二人きりで、一泊二日の温泉旅行)


タプリス(白羽先輩からお借りした不思議な石、その名も天使石)

タプリス(性格が模範的な天使のようになってしまう、その石のおかげで)

タプリス(天使学校時代の天真先輩と、かけがいのない思い出を作ることができました)


タプリス(誕生日に何をあげたらよいか、迷いに迷ってしまいましたが……)

タプリス(旅館の屋上から見える、素敵な星空を先輩にプレゼントすることができて)

タプリス(本当に喜んでいただけたみたいで、よかったです)


タプリス(星空を見た後は……)

タプリス(仲居さんの手違いで、布団一組、枕二つで先輩と眠ることになってしまって)

タプリス(とてもドキドキしましたけど……)

タプリス(いっぱいいっぱいお話……いえ、ぴろーとーく、ですね)

タプリス(……ぴろーとーくができて、とても幸せな時間を過ごすことができました)


タプリス(あの時……二人でどんなお話をしましたっけ)

タプリス(ああ、そうです、あれは……)
ガヴリールドロップアウト(13) (電撃コミックスNEXT)

15: 2017/04/25(火) 21:05:35.100 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
-ガヴリールの誕生日深夜 旅館 客室-


ガヴリール「ほら、タプリス。そんなところに枕を抱えて立っていないで」

ガヴリール「お布団に入りましょう?」

タプリス「は、はい。そ、それでは、お邪魔します……」

ガヴリール「ふふっ、いらっしゃい、タプリス」


ガヴリール「あ、そうだ、タプリス。枕を貸してもらっていい?」

タプリス「えっ? あ、はい、どうぞ」

ガヴリール「ありがとうね」

 ぎゅっ

タプリス「先輩? わたしの枕を抱えたりして、どうしたんです?」

ガヴリール「……これでタプリスの枕は、私の腕の中にあるので」

ガヴリール「タプリスは私を、枕にするしかありませんね」

タプリス「え、えぇっ!? そ、それって、その……」カァァ

ガヴリール「実は屋上で少し、体が冷えてしまったので」

ガヴリール「タプリスにあたためてもらえたら、嬉しいなぁと思いまして」

タプリス「えと……えっと、その……それは……」

ガヴリール「ダメでしょうか?」

タプリス「わ、わたしが、屋上にお誘いして、そうなってしまったのであれば」

タプリス「わたしのせいなので……その……」

16: 2017/04/25(火) 21:08:58.686 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
 ぎゅぅ

タプリス「ど、どうですか? 苦しくないでしょうか?」

ガヴリール「平気ですよ。もう少し強めでも大丈夫です」

タプリス「は、はい、わかりました」

 ぎゅぅぅ

ガヴリール「はぁ……タプリス、あたたかい」

ガヴリール「あたたかくて、心地よいです……」

タプリス「よかったです、先輩」

タプリス(先輩の体……浴衣の布地越しでも、すごく柔らかい)

タプリス(あの憧れの先輩と、こんなにくっついて眠ることができるなんて……)

タプリス(これは夢でしょうか、幻なんでしょうか)

ガヴリール「……」


タプリス(で、でも。せっかくなんですから、何かお話をしないと)

タプリス(……そうだ、白羽先輩に教えてもらったあれを)


タプリス「先輩。よかったら、わたしとぴろーとーくしませんか?」

ガヴリール「えっ……タプリス?」

17: 2017/04/25(火) 21:11:49.042 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「えっと……その……」カァァ

タプリス「せ、先輩? どうしたんですか?」

ガヴリール「タプリスはその……私とピロートークがしたいんですか?」

タプリス「は、はい、そうですけど……」

タプリス(あれ、先輩、あまりお話とか好きじゃないのかな)

ガヴリール「……」

タプリス「ごめんなさい。先輩が、嫌でしたら無理には……」

ガヴリール「い、いえ! 嫌、では決してなくてですね、その……」

ガヴリール「あまりに急だったので驚いてしまったといいますか……」

ガヴリール「そういうのは、えっと……やはり順序があるかなと思いまして」

タプリス「順序、ですか?」

ガヴリール「……タプリス、ピロートークとは何をするのか知っていますか?」

タプリス「は、はい。白羽先輩から聞きました」

ガヴリール「そ、そうなんですね」

18: 2017/04/25(火) 21:15:13.933 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「仲の良い二人が、枕元で語り合うんですよね?」

ガヴリール「……えっ?」

タプリス「……?」

ガヴリール「えっと……それだけ?」

タプリス「は、はい、そうですけど……何か違っていました?」

ガヴリール「間違ってはいないけど……」

タプリス「先輩?」

ガヴリール「ふふっ、もうタプリスったら……びっくりしちゃいました」

タプリス「えっ、えっ?」

ガヴリール「しましょうか、ぴろーとーく」

タプリス「本当ですか?」

ガヴリール「ええ、私の勘違いだったようです」

タプリス「えへへ、やったぁ。先輩とぴろーとーく、嬉しいです」

ガヴリール「あ、ですが一つだけ。ぴろーとーくって言葉、他の人の前では言っては駄目ですよ」

タプリス「えっ、どうしてですか?」

ガヴリール「それは、その……どうしても、です」

タプリス「わ、わかりました……先輩とわたしだけの秘密ですね」

ガヴリール「ええ、私とタプリスだけの約束です」

20: 2017/04/25(火) 21:18:09.120 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「そ、それでは、ぴろーとーくを始めましょうか」

ガヴリール「はい、何からお話します?」

タプリス「えっと、では……もしもトークなんてどうでしょう」

ガヴリール「もしもトーク?」

タプリス「はい、もしも何々だったらどうするか? というお題を」

タプリス「交互に出していきまして、それをお互いが答えていくんです」

ガヴリール「なるほど、それは面白そうですね」

タプリス「よかったぁ。では試しに、わたしからお題を出しますね」

ガヴリール「はい、お願いします」


タプリス「ではですね……えーっと」

タプリス「もし好きな動物になれるとしたら、何になりますか?」

ガヴリール「動物……ですか」

タプリス「はい、何でもよいですよ」

21: 2017/04/25(火) 21:22:24.984 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「私は、ネコですかね」

タプリス「猫ですか。先輩が猫……かわいいだろうなぁ」

ガヴリール「ふふっ、そんなことないですよ」

タプリス「もし甘えてくれたりなんかしたら、その相手をするだけで一日が終わりそうです」

ガヴリール「そうですね、好きなご主人様に甘えられるネコさんは」

ガヴリール「幸せですよね」

タプリス「はい、わたしもそう思います」

ガヴリール「ふふっ、ご主人様……」スリスリ

タプリス「もう、先輩……くすぐったいです」


ガヴリール「……タプリスは?」

タプリス「わたしは、そうですね……犬でしょうか」

ガヴリール「あ、わかる気がします」

タプリス「うっ……やっぱり、ですか。わたし、犬っぽいですかね」

ガヴリール「従順で、忠実で、愛くるしい……いいところだらけです」

タプリス「そ、そんなことないです」

ガヴリール「タプリスのようなワンちゃんと、もし出会えたら」

ガヴリール「たぶん一生、離さないでしょうね」ナデナデ

タプリス「えへへ……こうやって、先輩に頭を撫でてもらえるの」

タプリス「すごく嬉しいです」

22: 2017/04/25(火) 21:26:20.571 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「では、次のお題を先輩、お願いします」

ガヴリール「そうですね、では……もし兄妹ができるとしたら誰がほしいですか?」

タプリス「兄妹ですか……うーん、わたしは妹ですかね、歳の近い」

ガヴリール「どうしてです?」

タプリス「やっぱり一緒に遊べたり、いろいろ相談相手にもなりそうだから、でしょうか」

ガヴリール「なるほどなるほど」

タプリス「先輩はどうです?」

ガヴリール「私は……やはり姉でしょうか」

ガヴリール「ゼルエル姉さんは素晴らしい方ですし、尊敬はしているのですが」

ガヴリール「もう少し、甘えられるお姉さんも欲しかったです」

タプリス「なるほど……お昼の時も言っていましたね」

ガヴリール「ということは、タプリスは妹がほしくて、私は姉がほしい、となりますね」

タプリス「えっ、あ、はい」

ガヴリール「ではやはり、タプリスが私の姉になってくれれば全て解決ですね」

タプリス「え、えっと……」

23: 2017/04/25(火) 21:30:57.014 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
 ぎゅぅ

ガヴリール「タプリスお姉ちゃん……」

タプリス「せ、先輩……」

ガヴリール「ほら、私のことは呼び捨てにして、頭を撫でてくれないと駄目ですよ」

タプリス「うぅ……ガ……ガヴ……」

ガヴリール「聞こえませーん」

タプリス「ガ、ガヴリール……」ナデナデ

ガヴリール「はい、お姉ちゃん」


ガヴリール「……頭を撫でられるのって、本当に心が安らぎますよね」

ガヴリール「先程のタプリスの気持ちがわかった気がします」

タプリス「わたしは恥ずかしくて、それどころじゃなかったです……」

ガヴリール「ふふっ、これからも時々、お願いしますね」

タプリス「うぅ……」カァァ


ガヴリール「いけないいけない。そろそろ、次のお題ですかね」

ガヴリール「タプリス、どうぞ」

タプリス「わ、わかりました、それではですね……」


タプリス「えっと……も、もし付き合うとしたらどんな人が良いですか」

24: 2017/04/25(火) 21:34:44.832 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「付き合う……ですか。これがいわゆる、恋バナというものでしょうか」

タプリス「あはは、そうかも、です」

ガヴリール「女子トークとしては、外せないですね」

タプリス「は、はい。先輩ってどんな人が理想なのかなーって」

タプリス「気になってしまって」

ガヴリール「理想……ですか。そうですね……」

ガヴリール「いつも一緒にいてくれて、私のことを理解してくれる人、ですかね」

タプリス「そ、それだけですか?」

ガヴリール「はい。タプリスは知っていると思いますけど」

ガヴリール「私はこういう性格ですから」

ガヴリール「自分の抱いている信念をわかってくれる人が、そばにいてくれたら」

ガヴリール「これ以上、心強いことはありません」


タプリス「そう、なんですね……」

ガヴリール「タプリス? どうしました?」

タプリス「えっ、いえっ、なんでもありませんっ」

タプリス「確かにその通りだなぁって思いまして」

25: 2017/04/25(火) 21:38:33.401 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「タプリスはどんな人が良いのですか?」

タプリス「わ、わたしですか? えっと……その……」

タプリス「わたしは、こんなドジでいつも失敗ばかりですから」

タプリス「しっかりしていて真面目で、芯が通っていて」

タプリス「でも優しくて……わたしのことを気にかけてくれる人、ですかね」

ガヴリール「なるほど」

タプリス「べ、別にその人に、任せっきりにするとか、後ろをついていくだけではなくて」

タプリス「その人を間近で見ながら勉強して、参考にしていって」

タプリス「いつかは……その人の隣を歩くことができたらって思うんです」

ガヴリール「タプリス……」


タプリス「わたしも、その人のことを助けて、お互いが助け合っていって」

タプリス「そうやって一緒に大人になって、お婆ちゃんになっていけたらなって」

タプリス「わたし、思うんです」

ガヴリール「……なんだか急に、タプリスが大人びて見えてきました」

タプリス「そ、そうでしょうか。ごめんなさい、生意気言ってしまって」

ガヴリール「そんなことありません。タプリスならきっとなれます。私が保証します」

タプリス「えへへ、ありがとうございます、先輩」

26: 2017/04/25(火) 21:42:38.079 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「大人になっても、お婆ちゃんになっても、ですか……」

タプリス「先輩?」

ガヴリール「いえ……それはとても、幸せな日々だろうなと思って」

タプリス「はい、わたしも、そう思います」


タプリス「では先輩、次のお題をお願いします」

ガヴリール「えっと、では……もし自分に子供ができたら、どう育てたいですか?」

タプリス「こ、子供ですか。全く想像がつきませんが……」

タプリス「元気に明るく育ってくれれば、わたしはそれで良いかもしれません」

ガヴリール「他には何も望まない?」

タプリス「そうですねぇ……そこからは子供に任せるといいますか」

タプリス「好きなように生きていってほしいと思います」

ガヴリール「うーん」

タプリス「ど、どうしました? わたしのおでこなんて触って」

ガヴリール「さっきから、タプリスの回答が大人すぎだと思いまして」

タプリス「うぅ、ひどいですっ、わたしだって真剣に考えてるんですからっ」

ガヴリール「ふふっ、ごめんなさいね。そんなタプリスもかわいいですよ」

タプリス「も、もう知りませんっ」

ガヴリール「ほら、頭撫でてあげますから」ナデナデ

タプリス「そ、そんなにされてしまったら……許してしまいます」

ガヴリール「いい子いい子」

28: 2017/04/25(火) 21:46:38.594 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「先輩は何か教育方針があるんですか?」

ガヴリール「そうですね……世に出ても困らないくらいに」

ガヴリール「時には厳しく、育てようとは思いますけど」

タプリス「さ、さすが先輩です……やはりお子さんにも首席を狙わせるんですか?」

ガヴリール「さすがにそれは、本人のやる気に任せますよ」

ガヴリール「それに首席だって、そんなに良いことばかりでもありませんし」

タプリス「そうなんですか……」

ガヴリール「でもそれが、タプリスと出会うきっかけになってくれたのだったら」

ガヴリール「私は首席を目指して、本当に良かったと思います」

タプリス「先輩……」


ガヴリール「ふふっ」

タプリス「どうしました?」

ガヴリール「いえ、お互いの子供たちが、仲良く外で遊んでいて」

ガヴリール「それを私たちが、少し遠くから眺めている」

ガヴリール「そんな光景がふと、思い浮かんだものですから」

タプリス「そうですか……それは、その……」

ガヴリール「タプリス?」

タプリス「な、なんでもないです。えへへ、微笑ましいですね」

31: 2017/04/25(火) 21:50:10.479 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
 ぎゅぅ

タプリス「あっ……」

ガヴリール「そんな縁はきっと……巡り合わせ次第ですから」

ガヴリール「まだまだ先か、もしかしたら、訪れることのないお話かもしれません」

タプリス「そう、ですよね」

ガヴリール「だから今は、もう少し……このままで」

タプリス「はい……、先輩」


ガヴリール「次は、タプリスですよ」

タプリス「では少し趣向を変えまして……」

タプリス「もしも誰かと体が入れ替わることができるとしたら」

タプリス「誰と入れ替わりたいですか」

ガヴリール「誰かの体で、自分が動くことができるということ?」

タプリス「はい、そうです」

ガヴリール「わかりました、これはもう簡単ですね」

タプリス「あ、では、二人で同時に答えてみましょうか」

ガヴリール「はい、いいですよ」

タプリス「では、せーのっ」


ガヴリール「タプリス」

タプリス「天真先輩」


ガヴリール「ふふっ、やっぱり」

タプリス「えへへ」

32: 2017/04/25(火) 21:54:20.312 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「タプリスは、どうして私に?」

タプリス「それは……その……」

タプリス「先輩のような綺麗で可愛くて可憐で清楚な方に、一度なってみて」

タプリス「いろいろな服を着てみて、写真を撮りたいですっ」

ガヴリール「私なんてそんな大層な容姿ではありませんが」

ガヴリール「そのくらいなら……私でよければ手伝いますよ」

タプリス「ほ、本当ですか?」

ガヴリール「ええ、もちろんです」


タプリス「あ、あとはですね。そのさらさらの髪を体験してみたいです」

ガヴリール「それだって、タプリスなら好きなだけ触ってくれて良いですから」

タプリス「で、でも……」

ガヴリール「ほらこうやって、タプリスの小指に」

タプリス「あっ……」

ガヴリール「緩く結んで……、はい、できました」

タプリス「せ、先輩……これって」

ガヴリール「タプリスが遠くへ行ってしまわない、おまじない」

タプリス「わ、わたしはどこにも行きませんよ……それは絶対です」

ガヴリール「ふふっ、ありがとうね」

34: 2017/04/25(火) 21:58:32.966 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「それにしても、わたしも髪を伸ばしてみたくなりました」

ガヴリール「そうしたら今度は、私の指にも結ってくださいね」

タプリス「……はい、もちろんです」


タプリス「ところで、先輩はなぜわたしと入れ替わりたいのですか?」

ガヴリール「それはその……、私にはないものをもっているといいますか」

ガヴリール「どんな感じなのかと思いまして……」

タプリス「えっと……それでしたら白羽先輩の方がよいのでは」

ガヴリール「ラ、ラフィは駄目です。圧倒的すぎて私には扱いきれないといいますか」

タプリス「あはは、わかる気がします」

ガヴリール「それと、タプリスの体を体験することでですね」

ガヴリール「より深く、タプリスのことを知ることができる気がするんです」

タプリス「先輩……そこまでわたしのこと……」

ガヴリール「どうしても私だって……気になってしまいますから」


タプリス「で、でしたら……その……、少しだけ触ってみますか?」

ガヴリール「えっ」

36: 2017/04/25(火) 22:02:58.738 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「先輩には髪を触らせてもらいましたし……」

ガヴリール「べ、別に無理をしなくても良いんですよ」

タプリス「む、無理なんかじゃありません。先輩にならわたしは……」カァァ

ガヴリール「で、では……少しだけ」

タプリス「は、はい。どうぞ」

ガヴリール「……」プニプニ

タプリス「……ッ」

ガヴリール「……」プニプニ

タプリス「ど、どうですか?」

ガヴリール「この感触、好きかもしれません……」

タプリス「そ、そうですか」

ガヴリール「でも、タプリスだけでは不公平ですね」

タプリス「えっ?」

ガヴリール「私にもしてください、タプリス」

タプリス「で、ですが……」

ガヴリール「お互いを知ることは良いことだと、私は思うんです」

タプリス「そ、そうですね。でしたら、お言葉に甘えまして……」


タプリス「……」プニプニ

ガヴリール「……」プニプニ


ガヴリール「なんだかこれは……」

タプリス「恥ずかしいですね……」

38: 2017/04/25(火) 22:06:20.361 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
 ぎゅぅ

タプリス「せ、先輩?」

ガヴリール「恥ずかしいのを誤魔化そうと思いまして」

ガヴリール「それにこうしても、タプリスの柔らかさを感じることができますから」

タプリス「ですけど、これはわたしが……は、恥ずかしいです」

ガヴリール「ええ。とくんとくんと、タプリスの鼓動が聞こえます」

タプリス「うぅ……」カァァ

ガヴリール「ごめんなさい、タプリス。でも……」

ガヴリール「私でこうなってくれているなら、素直に嬉しいです」

タプリス「せ、先輩に喜んでもらえるなら……が、がんばります」

ガヴリール「ふふっ、ありがとうね」


ガヴリール「では……次で、最後のお題としてもいいですか?」

タプリス「はい、わかりました」

ガヴリール「前に本で読んだ内容なのですが、あまり深く考えないでくださいね」

タプリス「は、はい」


ガヴリール「もし、自分のことを生かすために」

ガヴリール「誰かが犠牲にならなければいけないとしたら、どうしますか?」

40: 2017/04/25(火) 22:10:17.210 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
タプリス「それは……その……、犠牲を出さない方法はないんですよね」

ガヴリール「ええ」

タプリス「……わたしは、誰かを犠牲にしてまで生きたくはありませんけど」

タプリス「もし、そうなってしまったなら」

タプリス「きっと耐えられないと思います」

ガヴリール「その人が、タプリスに生きていてほしいと願って」

ガヴリール「散っていったとしても?」

タプリス「……わたしに生きていてほしいって人、だとしたら」

タプリス「わたしにとっても恐らく、生きていてほしい人だと思うんです」

タプリス「そんな人がもし……わたしのために、いなくなってしまったら」

タプリス「やっぱりわたしには、耐えられません」

ガヴリール「そうですか。そう……ですよね」

タプリス「……先輩は」

ガヴリール「えっ」

タプリス「先輩は、どう思いますか?」

41: 2017/04/25(火) 22:14:31.254 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「私も……タプリスと同じでしょうか」

ガヴリール「ですがその時点で、犠牲になった人の命を背負うことになりますから」

ガヴリール「最後の最後まで……強く生きていかないといけないと思います」

タプリス「そう、ですよね」

タプリス「やっぱり先輩は……すごいです」

ガヴリール「そんなことありません。口ではなんとでも言えますから」

ガヴリール「私だって、いざそうなったら……どうなるか」

ガヴリール「素直に自分を認めて、耐えられないと言ったタプリスの方が」

ガヴリール「私には余程、正直で大人に思えます」

タプリス「そ、そんなことないです……でも、もし、もしもですよ?」

ガヴリール「ええ」

タプリス「自分が犠牲になる側だとしたら、大事な人のために命を投げ出しますか?」

ガヴリール「それは……」


タプリス「……わたしは、できます」

ガヴリール「……ッ」

タプリス「それだけは、胸を張って言えます」

ガヴリール「タプリス……」

42: 2017/04/25(火) 22:18:41.551 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「ごめんなさい、タプリス。嫌な思いをさせてしまいましたね」

タプリス「い、いえ、気にしないでください」

ガヴリール「世の中には、ありとあらゆる可能性がありますから」

タプリス「そう、ですよね」

ガヴリール「ですが……」

 ぎゅぅ

ガヴリール「……当たり前じゃないですか」

タプリス「えっ」

ガヴリール「大事な人を守るためなら、私だって……何でもします」

タプリス「先輩……」

ガヴリール「でも、お互いがお互いを大切に想っていたら」

ガヴリール「どうすれば、良いんでしょうね」

タプリス「……きっと」

ガヴリール「……」

タプリス「何も起きません……大丈夫です。根拠はありませんけど」

タプリス「きっと大丈夫ですから」

 ぎゅぅぅ

ガヴリール「タプリス?」

タプリス「……ごめんなさい、先輩」

タプリス「少しだけ……このままでも、いいですか?」

ガヴリール「ええ、いつまででも」

43: 2017/04/25(火) 22:22:00.975 ID:mv+ZnsuZ0.net
 
ガヴリール「タプリス? 寝てしまいましたか」

タプリス「すぅ……すぅ……」

ガヴリール「ふふっ、かわいい寝顔」

タプリス「せんぱぁい……」

ガヴリール「あら、起きて――」

タプリス「ん……すぅ……」

ガヴリール「私のこと、夢に見てくれてるんでしょうか」

ガヴリール「だとしたら、嬉しいですね」


ガヴリール「今日は私のために、本当にありがとう」

ガヴリール「あなたの気持ち、十分に伝わってきました」

ガヴリール「今まで生きてきた中で、一番の誕生日になりましたよ」


ガヴリール「こうやって、次のあなたの誕生日も、一年後の私の誕生日も」

ガヴリール「祝って、祝われて。ずっとずっとあなたと一緒にいることができたら」

ガヴリール「こうやって、あなたを眺めながら眠りについて」

ガヴリール「あなたに向けて、一番におはようと言うことができたら」

ガヴリール「これ以上の幸せは、ありません」


ガヴリール「それでは……おやすみなさい、タプリス」

ガヴリール「また、ぴろーとーくしましょうね」



おしまい

44: 2017/04/25(火) 22:27:05.419 ID:pmmfOSKg0.net
乙乙

引用元: ガヴリール「千咲ちゃん、真面目な天真先輩とぴろーとーくする」