4: 2011/01/26(水) 02:41:59.14 ID:7BZPp4YS0
~ぶしつ!~

澪「えっ?」

唯「だから、おっOいが大きい澪ちゃんは、いつもどんな気分なのかな~って」

 一瞬、唯が何を言っているのかわからなかった。
 胸が?
 そりゃ……こんな風に考えるのは変だけど、私の胸は同年代の子に比べたら、そこそこ大きい。
 でも、どんな気分って言われても……大きさを比べて悦に浸ったりするか、ってこと?

澪「別に。大きくたって得することなんかないよ」

 よし、無難に答えられた……と思う。
 そうだよ、律とかに時々からかい半分で揉まれるくらいで、お得なことなんか全然ないんだから。

唯「ほんとに?」

澪「ほんと。はい、この話は終わり!」

唯「あれれ。強引に終わらせようとするの、ちょっと怪しいなぁ~」

澪「何が怪しいんだよ。大体、いくら女の子同士っていっても、その……胸の話するの、恥ずかしいじゃないか……」
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5: 2011/01/26(水) 02:45:14.71 ID:7BZPp4YS0
唯「恥ずかしいからするんだよ、タブーは蜜の味なんだよ。いいじゃん、他に誰もいないんだし~」

 ん……まあ、唯が相手ならいいか。

澪「他のみんなには内緒だぞ?」

唯「うんっ」

 こう釘を刺しておけば、唯ならちゃんと約束を守ってくれるハズだ。
 ついナチュラルに漏れることはたまにあるけど、みんなが来てからの会話の流れには、私が気を付けていればいいし。

澪「え、ええと……本当に、得なことはないんだよ。男の人にいやらしい目で見られるばっかりでさ」

唯「んじゃさ……女の子から、そういう目で見られたことはある?」

澪「え?」

唯「澪ちゃんくらい魅力的なら、女の子が妙な気分になっちゃってもおかしくないと思うんだけどなあ」

8: 2011/01/26(水) 02:48:26.58 ID:7BZPp4YS0
澪「なっ、何だよ唯。そんなに持ち上げたって何も出ないぞ? どうせならムギの方をだな」

唯「ううん、澪ちゃんが本当に魅力的だから。ファンクラブの人達の気持ち、今はちょっとわかるよ」

 その灰色な歴史には触れないで欲しいなあ……って、唯が? 私を魅力的だと感じてる?
 本気で? 冗談でなく? 律なんかにそそのかされて、からかってるわけじゃなくて?

澪「あ、あのさ、唯……私は冗談と怖いのが特に苦手なんだよ。だから、女の子同士で好きとか、冗談で言ってるなら止めてくれないかな」

唯「怖いの苦手なのは知ってる……冗談もね。でも、女の子同士で……っていうのも、苦手? それとも嫌い?」

 や、う、あ……何だよ唯、そんな胸の前で手を組んでお願いポーズなんかしちゃって。
 その、ええっと、唯……切なそうな目で見上げられたら、可愛いって思っちゃうじゃないか。

澪「て、程度による……かな」

唯「んー……このくらいは、大丈夫?」

澪「んひゃあ!?」

9: 2011/01/26(水) 02:53:13.74 ID:7BZPp4YS0
 唯はいきなり私の首に腕を回して、ぎゅっと抱き着いてきた。
 ほわっといい香りがして、唯の身体が柔らかくて、ついつい言葉を失ってしまう。

唯「んう~ぅ♪ みーおちゃーんっ!」

 すりすりと滑らかな頬をこすり合わせられるのが、気持ちいい。
 制服越しでも、密着したお互いの体温を感じられるのが、すごく気持ちいい。

澪「んっ……はぅ、ああ……唯、あったかい……」

唯「澪ちゃんもあったかいよ。特に……この辺がとってもやあらかいしっ」

 また、いきなりだ。
 ちょっと顔を離したかと思えば、私の胸に思いきり埋めてきて。

唯「んむう……ふう、ぷは。このボリュームには敵わないよねぇ~♪」

澪「なっ、ななな何してるんだよっ!? も、もお、離れ……ろ……んっ」

唯「むにゅー♪ 澪ちゃんのおっOい、ふにふにのむにゅむにゅ~♪」

10: 2011/01/26(水) 02:56:50.26 ID:7BZPp4YS0
 制服越しだけど、埋めた顔を変に動かすもんだから、あ、う……ちょっと、感じちゃう、かも。
 でも、普段の唯から考えると少し遠慮がち……かな?

澪「んぅ、ふ……そっ、そろそろ離れろよ、唯……みんな来ちゃうじゃないか」

唯「やだ。澪ちゃんのおっOい、おっきくて気持ちいいんだもん」

澪「お、大きい胸がいいなら、ムギに頼めばどうだ? いくらでも甘えさせてくれそうな気がするけど」

唯「……澪ちゃん? 私は、澪ちゃんのおっぱ……じゃなくって、澪ちゃんが好きなの。だから、ムギちゃんのおっOいじゃ駄目なんだよ?」

 あれ……えっ?
 今の、何だか微妙な言い方だったけど……私の胸が好き? そして、私が好き?
 いや、どっちが優先なんだろう? ムギより私を選んでくれた時点で、結構嬉しいんだけれども。

澪「な、なあ唯? 好きって言ってくれるのは素直に嬉しいよ。けど、それは私自身に対してか? それとも、私の胸に対してか?」

唯「……澪ちゃん自身、だよ。別におっOいに惹かれたわけじゃにから、そこんとこは勘違いしないでね!」

 うん、その、何だかな、
 私の胸の谷間に遠慮なく顔を挟んでむにむにしてるんじゃ、説得力が全くないけどな。

13: 2011/01/26(水) 02:59:11.00 ID:7BZPp4YS0
澪「勘違いって、つまり、どういう風に理解すればいいんだ?」

唯「んむ、はう……ぷはあ。あ、あのね、私、本当は澪ちゃんのおっOいをたんのーしたかったわけじゃなくってね?」

澪「そ、その割には、存分に揉み倒してるじゃないかぁ……」

唯「これは違うんだよ、えっとね、澪ちゃん……」

澪「もう、そろそろ離れてくれないか? いくら唯が相手でも、恥ずかしすぎるよぉ」

唯「んじゃ一旦離れる、けど……さっきからゆってる通り、私、澪ちゃんが好きだから……部員やお友達の垣根を越えて、一対一の女の子として! 本気だよ!」

 名残惜しそうに私から離れた唯は、不意に真面目な顔付きになって、とんでもないことを口にした。
 その、ふたりっきりだから暇潰しにじゃれ合いたがってるだけと思ってたのに……真剣に告白されるなんて。

澪「え……あ、うん……ありがとう……」

 んと、私が受け入れたら、晴れて唯と恋人同士ってことに?
 うわわ、どうしよう。そう思った途端、顔が自然とにやけてきちゃう。
 律やムギが来たら、一体何があったのか追求されて、酷く困ったことになりそう。
 ……いやいや、恋人以前に私達は女の子だぞ? それなのに、恋人って。

15: 2011/01/26(水) 03:00:55.58 ID:7BZPp4YS0
唯「部活に集中出来ないかもしんないけど……澪ちゃん、ひと晩考えてみて! 女の子同士だけど、私と本気でお付き合いするってゆーこと!」

澪「あ、ああ……返事は明日、放課後までに……で、いいんだな?」

 出来るだけ平然を装いながら、そう答える。
 声が上ずってるのとか、顔が引きつってるのとか、我ながら演技が下手だと思うよ。

唯「うんっ」

 それでも唯は笑ったりしないで、こくんと頷いてくれた。
 唯の表情から察するに、冗談や軽い気持ちで告白したわけではないと思う。
 なら、私も無神経な返事をするわけにはいかない。
 どっちを選ぶにしろ、よーく考えて、言葉を選ばなきゃ……な。

19: 2011/01/26(水) 03:04:02.97 ID:7BZPp4YS0
~みおのへや!~

澪「はあ」

 今日の部活は上の空だったし、帰ってからだって、勉強も作詞も手に付かない。
 目を閉じれば、色んな表情の唯が脳裏をぐるぐる回る。
 笑ってたり、すねてたり、一所懸命だったり……どれも、羨ましいくらいに可愛らしい。
 そういえば私って、唯のこと今まで結構見てたんだなぁ。

澪「入部したての頃から、ぽやぽやしてて可愛かったなぁ……ふふふっ」

 人懐っこいっていうか、無防備でいるところへ無意識に抱き着いてきたりするんだよな、唯は。
 そのくせ、私が恥ずかしすぎて本気で嫌がる寸前に、まるで心を読んでるみたいに離れたりして。

澪「唯と、女の子同士で……こ、ここここっ……恋人、かぁ」

 手を繋いで歩いたりしちゃうんだろうな。
 唯のことだから、今日みたいに抱き着いてきたりもするんだろうな。
 あ、でも、人前でいちゃいちゃするのは恥ずかしくって、私が耐えられないかも。
 ……って。

28: 2011/01/26(水) 03:08:15.92 ID:7BZPp4YS0
澪「うわあああああああああん!?」

 頭を抱えてベッドの上を転げ回る。
 もう唯にOKの返事をすること前提に、どんなお付き合いをするか考えてるなんて、私ってば妄想甚だしいったら。

澪「……うううっ」

 ということは。
 私はむしろ、唯とのお付き合いを望んでいるってわけだ。
 ずっと唯のことを考えてたのに、お断りの返事を告げるっていう選択肢は一度も浮かばなかったんだから。

澪「う……んぅ……よ、よーしっ! 決めたっ!」

 私、唯と付き合う!
 そうと決まれば素敵な告白の返事を考えなきゃ!
 放課後、唯とふたりきりになった時……場所はやっぱり部室かな?
 間が悪いと、部活が終わるまで誰かと一緒かもしれないから、そのパターンも考えておこう!
 うん……いい返事の文句が書けそうだ!

35: 2011/01/26(水) 03:13:47.07 ID:7BZPp4YS0
~よくじつ・ぶしつ!~

澪「あれ、唯ひとりか」

 部室に入ると、唯が机に突っ伏していた。
 私が声をかけると、何とか、といった感じで顔を上げる。

唯「うんー。小腹が空いちゃって力が出ないんだよ~」

澪「ムギは日直で律は掃除当番らしいぞ」

唯「そっかあ。じゃ、もうしばらくこうしてるね」

 唯はそう言って、またぐたっと机にうつ伏せになった。
 あれれ?
 私、昨夜は遅くまで頑張って返事を考えて、授業中にも何度も推敲したのに……もしかして唯、忘れたりしないよな?

41: 2011/01/26(水) 03:18:03.27 ID:7BZPp4YS0
澪「あ、あのさ、唯?」

唯「んぅ……なぁに、澪ちゃん?」

澪「そっ、その、昨日のこと……なんだけどさ」

唯「おおっ!? お返事だね!?」

 ああ、そんないきなり勢いよく立ち上がったら……。

唯「ほわぁ……ちょ、ちょーっと、いや、かなり立ちくらんだかな!」

 やっぱり。

澪「別に座ったままでもいいって。何ていうか、ちゃんと聞いてくれさえすればいいんだから」

唯「平気、すぐに治るし! それに澪ちゃんの目の下のクマ見たら、よくても駄目でも座って聞くなんて失礼だよっ!」

澪「え……私、クマ出来るくらい夜更かしした覚えは……」

43: 2011/01/26(水) 03:22:57.70 ID:7BZPp4YS0
 ……ある、かも。
 返事なんだからイエスかノーだけでいいのに、私ってば調子に乗っちゃって、美辞麗句で飾っちゃって。

唯「ほんとに真剣に私とのことを考えてくれたんだね、澪ちゃん。その気持ちだけで嬉しいよ」

澪「ん……」

 つぅっ、と人差し指で私の目元を唯がなぞる。
 くすぐったかったけど、気遣ってくれてる感じが、とっても嬉しい。
 ……唯の言う『嬉しい』も、こんな気分なんだろうか。

澪「えっと、その、唯への返事……詩にしてみたんだけど、聞いてくれるかな」

唯「はいっ!」

 ……いや、別にかしこまらなくってもいいのに。
 期待を込めた眼差しで見つめられると、かえって緊張しちゃうだろ?

澪「……こほん」

 伝えよう。
 私も唯が好きだって。
 だから、私と付き合ってください、って。

46: 2011/01/26(水) 03:26:22.73 ID:7BZPp4YS0
~そのご!~

澪「……と、これで終わりなんだけど……」

唯「ふあぁ……澪ちゃぁん……♪」

 あれ。
 何か唯の身体が左右にぐらぐら揺れてるような……っていうか、最後まで茶々を入れずに、きちんと聞いてくれたのが少し意外だったかもしれない。

唯「とぉーっても甘ったるくって、しやわせなお返事、ありがとー♪」

澪「そっ、そんなに甘ったるかったかな……自分の気持ちを素直に書いたつもりなんだけど」

唯「だったら、尚更嬉しいよっ! 澪ちゃんが私の為に詩を作ってくれて、それが、それが……!」

 あ、くるなこれ。
 何となくだけど、わかる気がする。

澪「あ、あのな、唯? ちょっとだけだぞ? 私達、まだ正式に付き合うことになって三分も経ってないんだからな?」

51: 2011/01/26(水) 03:31:32.43 ID:7BZPp4YS0
唯「んんっ……みーおちゃーんっ!」

 んぎゅううっ。

澪「んひぃっ!?」

唯「あ……嫌だった?」

澪「だ、大丈夫っ……うん、緊張してたせいで、びっくりしたけど」

 くるってわかってたのに、いざ改めて抱き着かれると、やっぱりどきどきする。
 だって、昨日告白されて、今OKの返事をしたばっかりなのに……こんなにすぐに恋人同士の抱擁なんて、早すぎるんじゃないか?

唯「んむにゅ~……澪ちゃーんっ♪」

澪「ゆ、唯ぃ……ちょっ、あ、あの、恥ずかしいよぉ……駄目だってば、みんなが来たらどうするんだよ……」

唯「……んむんうっ、ふぷ……澪ちゃんは、私と付き合うこと、みんなに知られたくないの?」

澪「知られたくないっていうか、女の子同士の恋愛なんて……みんな、受け入れてくれるかわかんないし……」

55: 2011/01/26(水) 03:34:59.47 ID:7BZPp4YS0
 すんなり受け入れてくれるかもしれない。
 けど、受け入れてもらえなかったら? もし、『キモチワルイ』なんて言われたら?

唯「澪ちゃん。だいじょーぶだよ」

澪「ふぇ?」

唯「私達、今までずっと、放課後はこの部室で一緒に過ごしてたんだもん。授業中と違って、色んなお話したりして……ねっ?」

澪「あ、ああ……」

 ……そうだよな。
 この部室で過ごした時間の密度は圧縮されていたかのように、とっても濃かった。
 私が唯に目を奪われていたことも、律やムギは気付いていただろう。

唯「だよね~? んふ、むにゅにゅっ」

澪「ふゃん!? あ、やん、唯ぃ!? それはまた別! ああっ、そんな、駄目だってばぁっ」

唯「みんなが来るまで、澪ちゃんのおっOいむにむにさせてよ~」

 全力で甘えてこられて嬉しい、けど、同じくらいに恥ずかしいよ。
 それに、もうすぐ律やムギが部室に来る頃だし……。

64: 2011/01/26(水) 03:39:39.26 ID:7BZPp4YS0
澪「もっ、もう止め! 付き合うとは言ったけど、ところ構わずいちゃいちゃするのは私には無理だから!」

唯「んぅ……」

 私よりも小さな肩を抱いて、ぎゅっと腕に力を込めたい衝動に駆られたけど。
 恥ずかしさが前にきて出来なかったし、それをするようになったら、きっと歯止めがかからなくなる。

澪「い、いっ、いいか、唯? 私は恥ずかしがり屋なんだから、こおゆうのは、せめてふたりっきりの時にだなっ」

唯「……うん」

 頷いたくせに、唯は腕の力を弱めてくれない。
 私の胸の谷間に深く顔を埋めて、深呼吸したり、ふるふると左右に首を振ったり、昨日と違って全く離れてくれる気配がなかった。

唯「うんっ……んふ、ふぷぅ……んんっ、澪ちゃぁん……♪」

澪「唯っ、あ、だ、駄目だってば……離れて……誰か来たら、あぅ、あぅぅ……ゆぃぃ……!」

75: 2011/01/26(水) 03:57:08.28 ID:7BZPp4YS0
澪「……唯っ」

 きゅ。
 唯が一方的に私に抱き着いてるんじゃ不公平だから、私も軽く唯を抱き締める。
 ……唯は私を『やーらかい』って言ったけど、唯も充分以上にやぁらかいじゃないか。

唯「ふみゅ……んにゅにゅう♪」

澪「唯も……柔らかくって、あったかい。私は……まだまだえOちなこと、出来そうにないけど」

唯「うん……待ってるね。一杯、いーっぱい抱き着いて、すぐにその気にさせちゃうんだから」

澪「ははは、私の奥手とヘタレは筋金入りだぞ? 自覚してるくらいなんだから、ちょっとやそっとじゃ無理だろうな」

唯「そおかもしんない。けど、必ず、いつか、澪ちゃんをえOちな気分にさせてみせるからね、私」

 ぎゅう。

澪「んっ……」

唯「澪ちゃん、だーい好きぃ♪」

澪「……ああ。私も好き……いや、大好きだよ、唯」

唯「うんっ♪」

 ほんの少し力を強めただけなのに、唯は。
 ものすごく嬉しそうに微笑みながら、頷いてくれた。

~おしまい!~

79: 2011/01/26(水) 04:00:47.51 ID:7BZPp4YS0
今回は以上です。皆さん支援ありまとうございました。
いつもの書き溜め投下と違って、ちょこちょこ書き足し修正入れながらやってたんで、時間空いてすみません。
やっぱり澪はムズい……。

引用元: 唯「澪ちゃん、おっぱいが大きい気分はどう?」