1:◆mYvSV9JQsw 2015/02/09(月)17:30:24 ID:LjY
ーーー二日前

母「…男、ご飯よ」コンコン

室内男「…」

母「お母さんねえ、今日は張り切って唐揚げいっぱい作ったの」

男「…」

母「なんでだかわかる?……今日は男の誕生日だから、お祝いしようと思って」

男「…るせぇ」

母「え?なあに?」

男「うるせえ!!いいから黙ってそこ置いとけババア!!」ドンドン!

母「きゃっ、…ご、ごめんね」スタスタ…

男「…ちっ、氏ねよ」ぶつぶつ



7: 2015/02/09(月)17:33:05 ID:LjY


ーーー

母「…はあ」スタスタ

父「…どうだった」

母「全然だめ。もう、私どうしたらいいかわからない…うう」

父「……なあ」

母「なあに?」ぐすっ

父「ちょっと、これを見てほしいんだが」グイッ


母「………なあに、これ…」

11: 2015/02/09(月)17:37:27 ID:LjY


ーーー今日

コンコン

母「ねえ、男。今日はお母さんとお父さん、出かけてくるからお留守番よろしくね」

シーン

母「…」

父「おい、行くぞ」

母「………男、頼むわよ…」ぐすっ

スタスタ、バタン

男「………」

男「…っはぁーーー。うっぜえ」バタ

男「そのまま帰ってくんな!のたれ氏ね!!バーカ!」ドンドン

男「あ、そういえば」

14: 2015/02/09(月)17:40:23 ID:LjY
男「へへ、今日はアマゾンからフィギアが届く日だったな。あのババア、ちゃんと金払ったのか?」

男「まあいいや。もし払ってなかったらあとで財布から盗もう」ゴロン

男「あーー、楽しみだなあ」

男「さて、録画しといたDVDでも見るか」

ピンポーン

男「…お!きたか!?」ガタッ

16: 2015/02/09(月)17:43:28 ID:LjY

ピンポーン、ピンポーン

男「っせえな、今行くわクソが」スタスタ

男「はーい、どちら様ですー?」

?「こんにちは!わたくしセンターから参ったものですけど!」

男「…ん?センター?」

男「クソババアの関係か?……あ、すんませーん今親が」

?「男さんですよね?」

男「え?」

17: 2015/02/09(月)17:46:11 ID:LjY
?「男さんですか?」

男「えっなに怖……ええ、まあそうですが」

?「ありがとうございます!では開けてください!」

男「いやいやいや、開けませんよ…誰です?あんた。通報しますよ」

?「そうですか!では無理やりこじ開けさせていただきますね!」

ガチャガチャガチャガチャ

男「ひいっ!?」

ガチャン!

20: 2015/02/09(月)17:51:11 ID:LjY
男「………?」

幼女「こんにちは!はじめまして。わたくし引きこもり対策センターの幼女と申します!」

男「………はあ?」

幼女「男さんですね、はい顔の確認も取れま」

男「…ビビらせんなガキ!ここはいたずらしていい場所じゃねえよ!帰れまじ通報すんぞ!」ダンっ

幼女「ありゃ、怒ってます?ごめんなさいね驚かせて」あはは

男「はあ!?てめえの悪ふざけに付き合ってる暇なんてねえんだよクソガキが。おい!親連れてこい!」

幼女「まあまあ落ち着いて」

21: 2015/02/09(月)17:59:49 ID:LjY
男「おいお前、マジで親連れてこいふざけんなよ」ブルブル

幼女「……なるほど…」

幼女「ふええ、ごめんなさい…ちょっといたずらしてみたかっただけだったのぉ…」

男「今さら言い訳すんなよクソガキ。いいか?俺はお前みたいなガキが大嫌いなんだ!」ダンっ

幼女「ふええ…ごめんなさい…でもね、幼女の言い訳ちょっと聞いて欲しいのぉ」

男「ああ?じゃあ十秒以内に言えゴミ。まあどうせ聞か」

幼女「一昨日センター管理室に貴方のご両親からお電話をいただきまして貴方を更生してほしいという相談を持ち掛けられました私どもはHTSという国際団体でして主にあな」

男「……」

幼女「……もう十秒いいですか?」

22: 2015/02/09(月)18:06:44 ID:LjY
男「……おう」

幼女「たのような一年間のうち14日以上学校や社会団体に登録されているにもかかわらず出勤または登校または登庁されていない日本国籍を持った人いわゆる政府が定めた「引きこもり」に値す」

男「……」

幼女「……」

男「……ど、どうぞ」

幼女「る人をサポート及び生活矯正をさせていただく団体だと思っていただければと思います」

男「……」

幼女「ここまでいいですか?」

男「……おう」

24: 2015/02/09(月)18:13:29 ID:LjY
幼女「えっと、でさっき申し上げましたが一昨日あなたのご両親からお電話をいただきました。「男さんを更生させてほしい」と」

男「チッあのクソババア……あのー、悪いけど帰ってもらえます?俺は全然そういうのは必要ないんで」

幼女「無理です」

男「は?」

幼女「そうですね、例えば医療団体の中で一つの規約にあたる「医療保護入院」というのはご存知ですか?」

男「…知らねえよ」

幼女「医療保護入院というのは、入院をする対象者の意向は別に、その血縁者と病院関係者の方で対象者を入院させるというものなんですけど」

男「何言ってるかわから」

幼女「それと一緒です」

男「…はあ?」

25: 2015/02/09(月)18:17:40 ID:LjY
幼女「要するに、対象者の意向は聞けないんです。他者から見た判断で「この人は入院が必要だ」と多くの意見が合致したらその人は強制的に入院します」

男「それとなにが一緒なんだよ」

幼女「あなたは社会復帰をするべきと判断されたのです。更生が必要だ」

男「………」

幼女「政府関係者、私どもHTSのスタッフ、そしてご両親」

男「………」

幼女「全ての意見が合致したんです」

26: 2015/02/09(月)18:23:58 ID:LjY
幼女「厳しいことを言わせていただきますが、あなたはこの世界に生まれた時から社会の秩序を守らねばならないのです」

男「はあ!?ゴミ両親が勝手に生んだんだからそんなの知らねえよ。てめえらが俺の世話すんのはあたりめえだろ!?」

幼女「なら勝手に生きてください。この世界の秩序が守れないのならそれでいいです。ですが、そのかわりこの世界から出て行ってください」

男「意味わかんねえ。勝手に産んどいて…」

30: 2015/02/09(月)18:28:45 ID:LjY
幼女「……コホン。とにかく、あなたは更生が必要だと判断されました。」

幼女「この世界で生きたいなら、これから更生プロジェクトを始めます。この世界を捨てるなら、」

幼女「率直にいえばのたれ氏ぬなら」

男「………」

幼女「あなたの勝手にしてください」

幼女「どうしますか?」

男「………くそっ…」

32: 2015/02/09(月)18:32:22 ID:LjY
幼女「…アリマス二期見るまで、氏ねませんよね?」

男「あとでぶっ頃してやる、ババア…」

幼女「では、よろしいですか?」

男「………さっさと上がれ、寒い」

幼女「それでは、プロジェクトを開始します」



ーーー

36: 2015/02/09(月)18:41:51 ID:LjY


ーーー男、部屋

男「それで?そのプロジェクトの内容っつーのはなんなんだよ?」スッ

幼女「えーとりあえず、期間は一ヶ月半を予定しています。あ、座布団借りますね」ガタン

男(ガタン?)

幼女「最初の2週間は、「普通の生活」をしてもらいます。まあ要するに一般人の生活そのものをしてください」

幼女「朝7時起床、ご飯は三食決まった時間、夜10時就寝」

男「おい、夜10時って俺の起きる時間なんだが」

幼女「だめです矯正で強制ですんで。ちなみに眠りに集中してほしいんで、ケータイやパソコン、漫画などの物は全て取り上げさせていただきます」

39: 2015/02/09(月)18:46:39 ID:LjY
男「おいおいふざけんなよ。だいたい23時からあやなんのスマ生がな…」

幼女「だめです」

男「おい!」ガタッ

幼女「たった一回あやなんのスマ生を取ってのたれ氏にますか?それとも一ヶ月半待って、それからあやなんとたくさん時間を共有しますか?」

男「………」

幼女「これだけは言わせてください。あなたは変わります。」

幼女「必ず。あやなん以上に大切な物が、これからどんどん手に入ります」

40: 2015/02/09(月)18:52:08 ID:LjY
男「………マジで恨む」チッ

幼女「それから、これは今、決めていただきたいんですけど」

幼女「一ヶ月半後の男さんに、一言どうぞ!」スッ

男「…お疲れ!さっさと元の極楽生活に戻ろうぜ!」

41: 2015/02/09(月)18:56:34 ID:LjY


幼女「わかりました、ありがとうございます」メモメモ

男「はー、なんか腹減ったな……ラーメンでも食うか」

幼女「だめですよ?」

男「は?なんでだよ」

幼女「もうプロジェクトは開始しています。えっと、今が午後1時なんで夕飯まであと6時間ですね」

男「……おい、それまで何も食うなってか?」

幼女「もちろん!おやつの導入は私どもが決めさせてもらいますので」

42: 2015/02/09(月)18:59:11 ID:LjY
男「ふざっけんなよ、腹減ってんだよこっちは。氏んだらどうすんだ?あ?」

幼女「んーまあ、その時はその時ですねえ」

男「ふざけんな!取ってこよ」

スタッ、ダダダダッ、バタン!

幼女「あっ………仕方ないなあ」

43: 2015/02/09(月)19:04:27 ID:LjY


ーーリビング

男「えーなんかねえかなあ」ガサゴソ

男「おっ、ナッポロ一番があるじゃねえか」ガササッ

男「よし、食うか!卵もつけよっかなあ」ビリビリ

幼女「男さん、悪いことは言いませんのでそれを元に戻してください」スタスタ

男「はっ?やだね。食事の自由くらいあってもいいだろ」

幼女「もう一度言います、それを元に戻して、部屋に戻りましょう」

男「しつけえんだよ!てめえになにが出来んだ?なんもできねえガキだろーが」バリバリ

幼女「よし、じゃあせいぜい火傷しないように気をつけてくださいね!」スッ

腕ガシッ

男「お、おいなんだよ」

44: 2015/02/09(月)19:08:17 ID:LjY
男(地味に力つええな…)ギリギリ

幼女「えっとたしかこのポケットに……あ、あった」ヌルル

男「…なんだそのスライム」

幼女「えい!」

ヒュッ、バチン!
袋パーッン!

男「どぅあっち!?!?」

46: 2015/02/09(月)19:13:50 ID:LjY
シュルルル…
サーッ

男「ナ…ナッポロが……ナッポロが砂状に…」ガタガタ

幼女「これ、便利でしょう?アメリカの理工学の大学が発明した、勢いよく投げつけるとスライムが化学反応を起こして当たったものごと砂状にする特殊道具なんです」ニコ

男「しんじらんねえ…」

幼女「どうしても手に負えなくなったら、止むを得ずですがこれを使わせていただきます」

幼女「パソコンも、ケータイもさらさらにできます」

男「……」ガタガタ

49: 2015/02/09(月)19:19:20 ID:LjY


ーーー5時間後

男「……」

幼女「んで、それから次の日は…」

男「………腹減った…」

幼女「聞いてます?」

男「それどころじゃねえよ…マジでこれしぬ…」

幼女「…」

ガチャ、ガチャ
バタン!

母「ただいまー」

男「!、あのクソババア!!」ガタン、ダッ

幼女「あ、男さん待って」グイッ

男「ぬぉ!?」バタン!

男「っつててて……あにすんだよ!!!」

幼女「だめです」

男「なにがだ!!!」

50: 2015/02/09(月)19:24:19 ID:LjY
幼女「ご両親との接触です」

男「なんっっっでだよ!!!」グワッ

幼女「何がとは詳しく言えないですけどだめです。この一週間、あなたの生活行動と鉢合わせないように、ご両親には行動をしてもらいます」

男「だーかーらー!なんでだっつってんの!?」

幼女「規約に反するので言えません!!」ギッ

男「ひ!」ズサッ

幼女「……とにかくだめです。この部屋にいてください」

51: 2015/02/09(月)19:31:50 ID:LjY

ーーー2時間後、
夜7時


男「あーーー……」イライラ

幼女「…男さん、ここにいてくださいね」スッ

男「………は?どこ行くんだよ」イライラ

幼女「あなたの夕食を取ってきます」

男「………お!?そんな時間か!」ガタッ

男「早くしろ!氏ぬ寸前だ!」バタバタ

幼女「……ええ、待っててください」


ーーー

ガチャ

幼女「今日はビーフシチューと、卵焼きだそうです。どうぞ」コトッ

男「いっ、いただきます!」バッ

52: 2015/02/09(月)19:35:02 ID:LjY
男「………」バクバク

幼女「…」

男「………」むしゃむしゃ、モグモグ

幼女「…のどに、」

男「ん!?!、んぐぐ!?」ゲホッ

幼女「あー遅かったかー」

幼女「大丈夫ですか?お水持ってきます?」

男「ゲホッゲホッ!ウグッ………ごくん」

幼女「男さん?」

男「…ふぅー。あぶね」

54: 2015/02/09(月)19:38:03 ID:LjY
男「なんだこの飯、くっそ美味いな!お前が作ったのか?」チラッ

幼女「……そんなに美味しいですか?」

男「おう、たぶん最近食った飯で一番うめえわ」バクバク

男「作ってるやつに三ツ星あげたいくらいだよ」バクバク

幼女「………お伝えしますよ、彼女に」ボソ

男「あ?なんか言ったか?」

幼女「いえ、なんでも」ニコニコ

59: 2015/02/09(月)19:43:49 ID:LjY

ーーー

カラン!
男「ふーっ、食った食った!」

幼女「満腹になってよかったですね」

男「もとはてめえらのせいだけどなっ」ギッ

幼女「ふふ…男さん、8時になったらお風呂です。九時半までにベッドに入って、10時に寝ますよ」

男「おいマジでそれ守んの?」

幼女「もちろん。あなたが、これからも生きたいならば」ジッ

男「……大げさだねぇ」

61: 2015/02/09(月)19:47:31 ID:LjY
男「まあ、一ヶ月半経ったら元に戻れんだろ?」

幼女「……まあそういう手もありますね」

男「そしたらお前なんか追い出して、とりあえずババアをボコボコにして、優雅に暮らすことにするわ」バタッ

男「俺はこれからもあやなんとアニマスのために生きたいしな」

幼女「お好きにどうぞ。さ、お風呂の準してください!」

63: 2015/02/09(月)19:48:28 ID:LjY
誤字
準→準備

支援ありがとうー

65: 2015/02/09(月)19:54:37 ID:LjY

ーーー21時半

男「うはっ……やっべえなこれ…マジアウトじゃんw…」パソコンカチャカチャ

幼女「男さーん」

男「あ?ちょっと待ってろ……ふは、ワロタw…」カチャカチャ

幼女「……スライム」

男「あと十秒でシャットダウンする!!!」ガタガタン!

幼女「はー。明日からインターネットも規制しますよ」

男「なに?おい、そんなことよりお前はどこに寝るんだよ」パタン

幼女「あなたの横です」しれっ

男「……いやいやいや、お前それは」

67: 2015/02/09(月)19:59:16 ID:LjY
男「だめだろ」

幼女「何がダメかは具体的にはわかりかねますが、一応規約ですので」

男「おいおい自分がなに言ってるかわかってんの?」ジロッ

幼女「男さん、自分が絶対にパソコンやケータイを触らないと誓えますか?」スッ

男「いや誓えねえし、誓わねえよ。お前がいないなら絶対触るわ」

幼女「どうです?私があなたの横で寝るのにそれ以上の理由がありますか?」ジー

男「お前バカじゃねえの?」

68: 2015/02/09(月)20:02:43 ID:LjY
男「俺おとこ、お前おんな。俺が明日の朝ビップに「ついに幼女抱いたったwww」ってスレ立てすることになるけど」

幼女「無問題です」

男「……」

幼女「あなたは私を抱くことはできません、絶対に」ジッ

男「……」

幼女「……」

男「……今夜、知らねえぞ」

69: 2015/02/09(月)20:04:08 ID:LjY
いいとこですがすんません、飯食ってきます。

あとで勝手に上げるんでアゲはしてくれてもなくても大丈夫っす。

73: 2015/02/09(月)20:51:01 ID:LjY


ーーー22時

幼女「布団入ってください。電気消しますよ」

男「……なあ、マジでお前ここで寝んのかよ」チラ

幼女「ええ。私が今夜、身の危険を感じて起きることはないので」カチカチ

真っ暗

男「……お前、俺がどんな人間か知らねえだろ」ガサ

幼女「どんな人間なんです?」

75: 2015/02/09(月)20:57:51 ID:LjY
男「俺は口リコンじゃねえけど、女は好きだ。それがどんな年齢であってもやりてえって思うし、無理やりにでも犯したいっておもうぞ」

幼女「はあ」

男「工口漫画みてえな展開だって大好きだし、いつか実践したいって思ってるし」バサッ、ガサゴソ

幼女「……ふふふ」

男「は?何笑ってんの?調子乗ってるとマジで犯すぞ」イラッ

幼女「あはは……いえ、私の目が間違っていたなあって思って」ガサ

男「そうだよ、だから怖いならさっさと…」

幼女「いえ、違います」

男「あ?」

幼女「あなたのこと、他人から聞いただけの情報を知っていたんでちょっと勘違いしていたんです……すいませんね」

男「何言ってんだ?」

77: 2015/02/09(月)21:04:48 ID:LjY
幼女「男さん」ガサ、ゴロ

ギュ

男「っつ!?おい!!調子乗ってんじゃねえぞ!」ガバッ

幼女「やだなあ、ちょっと肩が触れたぐらいでなんです」パッ

幼女「男さん、あのね、そうやって自分の悪いところを話せるってことは、あなたの本能が「この悪いところをどうにかしてほしい」ってSOSを出してるんですよ」

男「わけわかんねえよ」

幼女「でしょうね、あはは!」

男「おいお前今バカにした?頃すよ?」

幼女「……まあ、大丈夫です。あなたは私を抱けません」

男「なんの根拠がっ」

幼女「さ!寝ましょう!これ以上無駄口叩かないでくださいねースライムお見舞いしますよー」

男「おい」

幼女「さん!にぃ!いち!」

男「っ」




ーーー

78: 2015/02/09(月)21:09:08 ID:LjY


プロジェクト開始二日目


ーーー朝7時

バァァアァン!!!!

男「ふごごぅ!??」ガバァッ

幼女「おはよーございまーす!7時ですよ!」

ッグァバァァアァアンッッッ!!

男「っーーーー!!?!?」

男「おい!!なんだそれ!!」

幼女「何って、シンバルですけど」キョトン

男「いやそういう問題じゃねえ!なんで家ん中でシンバル叩いてんだっつってんの!!」

79: 2015/02/09(月)21:13:59 ID:LjY
幼女「男さんを起こすためです。昨日はよく眠れました?」

ッヅブァァアァアァァァアン!!!

男「やめろ!!!!」ガタッ

男「なんにもすることなくて眠る以外に時間つぶしがなかったんだよ。眠りに良くも悪くもねえわ!!」

幼女「そうですか、なら良かった」ニコ

幼女「七時半にご飯です。それまでに着替えてくださいね」

80: 2015/02/09(月)21:19:04 ID:LjY


ーーー

幼女「男さんー、ご飯ですよ」

幼女「朝ご飯は、スクランブルエッグとソーセージです。オレンジジュースもついてます」コト

男「……あー悪いけど、飯いらねえわ。そんな腹減ってないし…」

幼女「なるほど。では返してきますので5時間空腹にうなされてください」ニコ

男「……おい、食うよ」グイッ

幼女「じゃ、どうぞ」

82: 2015/02/09(月)21:23:41 ID:LjY


ーーー8時

男(さーてまとめでもチェックするか)ガタッ

幼女「さーて男さん、まず歯磨きと洗顔、それから髭剃りしましょうか」

男「あー?んなもんあとででいいだろ」パソコンオープン

幼女「……これは止むを得ませんか?」スッ

男「(脅迫乙……)やるよ、今やる」

86: 2015/02/09(月)21:28:04 ID:LjY
洗面所

男「おい」

幼女「なんでしょう?」

男「洗顔って、どうすりゃいいんだよ?水で洗えばいいのか?」ジー

幼女「洗顔料を買っておきました。まず水で顔を濡らして、適量を手のひらで泡立てて洗ってください」ヒョイ

男「準備いいね」バシャバシャ

ぐにゅー

幼女「髭剃りもしてくださいね。これ借りましたので」スッ

男「わーってるよ、姑かお前は」

幼女「え?」

男「……そういう比喩だよ」

88: 2015/02/09(月)21:33:49 ID:LjY


ーーー

男「あーさっぱり」ふきふき

幼女「男さん、見違えますよ。すっきりしましたね」ジィッ

男「え、マジで?…どう?」

幼女「どうもなにも、素敵なお顔ですよ」しらっ

男「……そ、そうか?」チラ

幼女「では、外に出てみましょうか」

男「……いや…いやいやいや!」

89: 2015/02/09(月)21:38:34 ID:LjY
男「いきなり外は無理だって!」グッ

幼女「そうですか?なんでそう思うんですか?」ジッ

男「いや……だって、俺…親と宅配の人としか長年しゃべってねえし……外の人とか、キラキラした人とか見るの…こええし…」ぶつぶつ

幼女「なるほど」

幼女「……ではまだ、外はやめときましょうか」スス

幼女「じゃ、部屋に戻りましょう」

男「……」

90: 2015/02/09(月)21:44:30 ID:LjY


男「…なあ、ネットやっていい?」ガタン

幼女「えーと今が9時過ぎか…はい、いいですよ。ちょっと私、出ますので部屋にいてください」ガチャ

男「は?どこ行くの?」

幼女「いろいろと必要なものを取ってきます。すぐに戻りますが、もしなにか不便があったらちょっと待っててください」

幼女「あ、あと」

男「おう?」

幼女「私との生活が始まったことは、インターネット上には漏らさないでもらえるとありがたいです」

男「……おう」

幼女「では。」

バタン

男「……」

男(…さて、あいつについて調べてみよう)

92: 2015/02/09(月)21:53:23 ID:LjY
男「えーなんだっけ?HLS?HTS?」カチャカチャ

ターンっ
もしかして→引きこもり対策センター、HTSC

男「あ、これだ」カチャカチャ

男「なになに?……『引きこもり対策センター、現代社会の闇に光の手を伸ばします』……うさんくせえ」

男「へー、マジで国際団体なのか……ん?」

男「『血縁者の皆様へ』…?」

カチャカチャ

男「……」カチャカチャ

男「……これって」

バターン!!

男「!??!」ビクゥッ

幼女「戻りましたー」

93: 2015/02/09(月)21:56:32 ID:LjY
男「お前はいちいち心臓に悪いんだよ!!」ガタッ!

幼女「えぇ?なにがです?」ガサゴソ

幼女「さ、あと30分でネット終わらせてください。やることやりますよ」

男「な、なにをすんだよ」ドキドキ

幼女「……これからのこと、考えましょう」

95: 2015/02/09(月)22:04:27 ID:LjY

ーーー

幼女「さて、まずはこれをどうぞ」どさっ

埃モワァ

男「…ゲホッ…これ、どう見ても」

幼女「どう見ても本ですね」

男「……本がなんだよ?」

幼女「これから、インターネットをするにも漫画を読むにも、まずこれらの中から出す課題をクリアしてもらいます」

幼女「課題が終わるまで、漫画やゲーム、インターネットはできません」

男「……そうくるか…」

98: 2015/02/09(月)22:13:31 ID:LjY
幼女「えーでは、さっそくやりましょう!」

男「おいおいおい、ちょっと待て!これ何冊あるんだよ!?」

バササー

幼女「……大好きな物から一秒でも離れたくなければ、こんなの容易いですよね?」チラ

男「(うーんこの畜生)……で?どうすりゃいいんだ?」

幼女「じゃ、いきますよー!では手始めに!」

テテン!

男「!?」ビクゥッ

幼女「芥川龍之介の『羅生門』から出題です。主人公の下人が羅生門の楼の上で見つけたものはなんでしょう!」

(※よかったら読者さんも考えてみてね)

男「らしっ…?えっと、資料どこだっ…!」

99: 2015/02/09(月)22:20:04 ID:LjY



ーーー

男(見つけた!)

男「ろ、老婆か!?」

幼女「せいかーい!まあ詳しく言うと髪を抜く老婆ですけど」

幼女「では次!」テテン!

幼女「鎌倉時代末期に作られた『徒然草』の作者の名前は!」

ーーー

男「兼好!」

幼女「正解!では次!」

幼女「美術の基本、「色の三属性」とは何と何となに!」

ーーー

101: 2015/02/09(月)22:25:59 ID:LjY


ーーー1時間後

男「ゼェー、ゼェー……あ、アドレナリン…!」

幼女「大正解ですー!」

幼女「では次は」バラバラ

男「ちょっと待て!!!」ガシッ

幼女「はい?」

男「なんだよこれ!意味あるのこんな行為?」ゼェー、ゼェー

幼女「ええ。十分意味がありますよ。脳の活性化、自分で一から調べて答えを出す達成感、右脳の働きをよくしますし、それから」

男「……」

幼女「……」じいい

男「なんだよ!」

幼女「今すごく、さっき以上にすっきりした顔をしてますので」

102: 2015/02/09(月)22:29:46 ID:LjY
男「……」

幼女「嬉しいし、楽しいでしょう?インターネットは簡単に答えが出てきて、それはそれで楽かもしれません」

幼女「ですが、こうして一から自分で調べて、自分の力で答えを見つける。それって、とてもいいことじゃありませんか?」ニコ

男「……おまえが」

幼女「はい?」

男「……いや、なんでも」

103: 2015/02/09(月)22:35:16 ID:LjY
幼女「男さん」ポンポン

男「なんだよ」

幼女「パソコンの中は、もう世界がほとんど出来上がっています。…この本のように。あなたは、その出来上がった世界をこの数年間歩いてきました」

幼女「ですが、現実(こちら)はそんな出来上がった世界なんてありません。あなたの世界は、人生は、今やった行為みたいに地道に、」

幼女「でも確実に」

男「…」

幼女「あなただけの世界が築けるんです」

男「……まあ正直」

幼女「?」

男「ちょっとだけ、楽しかったよ」

105: 2015/02/09(月)22:42:15 ID:LjY
幼女「…現実は」

幼女「インターネットやゲームのようにリセットはできません。なのでその分、失敗はできないしリスクも伴っています」

幼女「正直言って、だいぶ無理ゲーに近いです。RPGの魔法使いは最後まで勇者と共に戦い抜きますが、でも、現実は違う」

幼女「安易に裏切られる」

男「……」

幼女「それでも、」
ピルルル、ピルルル!

幼女「っあ、電話…」ピ

幼女「すいません、ちょっと失礼します」ガチャ

男「………はあ」

106: 2015/02/09(月)22:47:07 ID:LjY
男「…俺に」

男(俺になにを期待してるんだよ)ハァー…

男(今更変われって…言われたって。たぶん無理だ、このクズみたいな思考はぜってえ変わんねえもん。二十歳過ぎにもなって……)

男(夢持てっていう方が……)

男「……っ」



ーーー

109: 2015/02/09(月)22:56:13 ID:LjY

ーーー昼過ぎ

カチャン

幼女「…ごはん、ほとんど食べてないじゃないですか」

男「……別にいいだろ」フイッ

男「さっきのアレでちょっと疲れたんだよ。このまま寝るわもう」ゴロゴロ

幼女「食後に寝ると太りますよ」

男「へっ、迷信だよそんなの。まあ諸説あるようだけど」

幼女「…午後もプログラムがあります。それまではまあ、ご自由にどうぞ」

バタン

男「…」

男(……俺の……いや)

男(そんなことより。さっき見たサイトは本当にあいつが所属する団体だったのか…?)

111: 2015/02/09(月)23:03:14 ID:LjY
男(だとしたら、あいつ……いや、俺には関係ない)

男(そうだ、俺には関係ない。さっさと一ヶ月半こなして、んで追い出せばただの他人だ。俺の生活も元に戻る)ゴロゴロ

男「……俺はどうしたって変われねえよ」ボソ


ーーー

18時

幼女「男さーん」トントン

男「zzz…ゴゴガッ……ん?」よだれベトォ

幼女「男さん、ちょっと見てほしいものがあるんですけど」

男「ンガッ……なんだ、よ」ジュルリ

幼女「これです」

バサッ

男「……雑誌?」

112: 2015/02/09(月)23:07:12 ID:LjY
幼女「はい。通販雑誌です。洋服を買いましょう」

男「……アマゾン開くか?」

幼女「いいえ、雑誌で。二人で見ながら決めましょう」パラパラ

男「……これ大人用雑誌じゃん」

幼女「?、ええそうですが」

男「お前、大人用着るのか?」

幼女「はい?」

男「えっ?」

113: 2015/02/09(月)23:10:11 ID:LjY
幼女「決めるのはあなたの服ですよ!」

男「…なんでだよ、俺服なんて要らねえもん。金もねえし」

幼女「いえ、こちらの経費で買うものですので。ご心配なく」パラパラ

男「そもそも、服なんて要らねえんだけど」

幼女「これもプログラムのうちですので。さ、こっちに来てください!一緒に決めますよ!」バシバシ

男「なんなんだよもう…」

115: 2015/02/09(月)23:16:07 ID:LjY


ーーー

幼女「じゃ、これでいいですね?」

男「おう」

幼女「…ねずみ色のダッフルって…」

男「うっせえなあ!服なんて選んだことないんだから仕方ねぇだろ!」カアア

幼女「あはは、いや私はなにも言ってませんよ?ふふ……いいセンスですねぇ」

男「ぜってえバカにしてんだろ!」

グギュルルル…

男「……あ」

幼女「では!男さんのお腹も空いてきたのでね、ず、み、色のダッフルで決まりですね!」ニッコリ

男「るっせえ!さっさと飯にしろ!」バシッ

幼女「はーい。今いきますよう」バタバタ

119: 2015/02/09(月)23:53:24 ID:LjY

プロジェクト開始3日目

ーーー昼過ぎ

男「……」

幼女「……」

男「……おい」

幼女「はい?」

ヴィィィィイイン
ガタン!
男「はい?じゃねえよ!一体これどういうことだ!」

幼女「どうって……模様替えですよ。スペース作りたいので、このままじゃ場所がないし」ヴィィィィイイン

男「あ!?掃除機の音でなんも聞こえねえわ!!つーかなんでうんこしてる間の五分ちょいでこんな物が移動してんだよ!!お前は超能力者か!?」

幼女「はい?すいません聞こえないのでこの掃除が終わったら聞きますから」

男「今聞けえええ!!!」ガシャーン!

120: 2015/02/10(火)00:03:07 ID:GQJ

ーーー

幼女「で、なんでしょう?」
カラカラカラ

男「いやいやいや、君ね?まずなんで本人の許可なく……」

幼女「ああ、それはすいません。でも一応聞いたじゃないですか」

男「いつだよ?」

幼女「ほら、さっき……」


~~~~30分前

幼女「……てなわけで、近代文学は進歩していったんですよ!」

男「(全然わかんねえ)ああ、なるほど。なんとなくわかったような」

幼女「じゃあ、今日の課題はこれで終わりです。また夕方におさらいしますがその前に」

男「あーごめん、悪いけどうんこしてくる」スタ

幼女「……じゃあはじめてていいですか?」

男「(おさらいの準備か)ああ、いいよ」


~~~~~

幼女「……って」

男「わ、か、る、わ、け、ねぇだろ!!!!」

121: 2015/02/10(火)00:08:31 ID:GQJ
幼女「まあ説明不足でごめんなさい。」

男「いや不足とかじゃねえから。完璧説明してねえから」

幼女「でも、ほら」グイグイ

男「あ?」

幼女「これを置きたかったんです」

パカ

男「……なにこれ、箱?」

幼女「はい、箱です。宝箱です」

122: 2015/02/10(火)00:15:55 ID:GQJ
男「……ははーん。やっぱお前、ガキなんだな」ニヤニヤ

幼女「はい?」

男「宝箱なんて、普通の大人は部屋に置きませんよ?宝物なんてキラキラしたもんねえし、それに、」

幼女「男さん」

男「あ?」

幼女「これは、あなたのための宝箱です。私の大切なものを入れるのではなく、あなたの大事なものを入れる物です」

男「お前俺の話聞いてた?宝物なんて大人にゃ」

幼女「見つけてください」

男「あ?」

幼女「宝物を、見つけてください」

124: 2015/02/10(火)00:24:53 ID:GQJ
男「おいおい、見つけるなんてどうすんだよ?あ?どーしたらお宝なんて見つかるんだ」

幼女「……コホン。ちなみに」

幼女「あなたが宝物を見つけるまで、このプロジェクトは終わりませんから」ニヤ

男「はあ?おい、話と違うじゃねえか!」グイッ

幼女「言いましたよね?「プロジェクトの期間は一ヶ月半」です。もちろんこれもプログラムに入ってます」

幼女「プログラムを途中で終わらせることは規約違反になります。ねえ、男さん、」

男「はあ?!」

幼女「一ヶ月半の間に、『見つけられれば』いいんですよ」

男「……は?」

幼女「ね?」

125: 2015/02/10(火)00:28:41 ID:GQJ
男(炭鉱でも発掘しろってか!?)イラ

幼女「さあ、頑張ってください」ニコ

男「ふざけんなよっ。元はといえばお前らが勝手に……」

男(……ほら、みろ。ちっとも変わらねえ)

幼女「男さん?」

126: 2015/02/10(火)00:49:48 ID:GQJ
男「……ほら、わかるだろ?」

幼女「え?」

男「俺、また人のせいにして……変わっちゃいねえんだよ。変われねえんだよ」グッ

幼女「なに言ってるんです?3日で人間が変われるわけないじゃないですか」

男「……」

幼女「それに私、男さんに変わって欲しいとは思ってません。」

男「は?」

幼女「男さんに「変わりたい」って思ってもらえるように、今ここに居るんです」

128: 2015/02/10(火)00:57:01 ID:GQJ
男「……それって」

幼女「とーにかく!ひとつ宝物を見つけて、この箱に入れてくださいね」ガタン

男「俺にはぜってえ無、」

幼女「男さん!」グイッ

男「うぉ!?」ビクッ

幼女「これはっ………」

男「……?」

幼女「……いえ、なんでも。さあ!うだうだ言ってないで次のことやりますよー!!」パタパタ

男「な、んだよ……」



ーーー

129: 2015/02/10(火)01:04:19 ID:GQJ


ーーー別日
某室内


「…ーーーさん」

幼女「…さん、初めまして」

……ーーー

幼女「いえいえ、こちらこそ。…さん、これからよろしくお願いします」ペコ

……ーーー

幼女「はい、今の所、問題なく順調に進んでいます。…さんのお料理も、美味しいとたべていますよ」

……ーーー

幼女「いえ!そんな。私はただ…さんに少しでも力になれればと。ほとんど私だけでは無力ですから」

幼女「あとは…彼次第です」

……ーーー



ーーー

131: 2015/02/10(火)01:16:31 ID:GQJ

ーーー21時

幼女「あれ、そういえばまだお風呂入ってなかったんですか?」ガチャ

男「あーまあ…今日はもういいかなって。汗かいてねえし」

幼女「だめですよ、ちゃんと毎日お風呂に入ることで一般の人は清潔を保っています。同じことしてください!ホラ!」ぐいぐい

男「っせえ!わかったよひっぱんじゃねえ!」しずしず



シャアアアアアアァ…

男「…くぁあ、ねむ…」ワシャワシャ

男(規則正しい生活ってのはすぐに身につくんだなあ)

男(……つーか、俺)

シャアアアアアアァ…

男「……未だにマジであいつに手を出せてないって、どうなんだろう」ギュイ

男(あいつがあんなに自信満々に言うから流れで手ェ出してねえけど、もし一線越えたらどーなんだろ)ワシャワシャ

男(つーかなんであんな自信ありげだったんだ?男を全く理解してないのか?)ワシャワシャ

134: 2015/02/10(火)01:23:03 ID:GQJ
男(つーかあいつ、なんでもかんでも自信ありげだよなよく考えりゃ。自分を偉いとでも思ってん………いやいやいや)

男(こういうこと考えてるからいつまでもクズなんだよ……たっく)

男(……『いつまでも』?)

ダンダンダン!!

男「シャケ!??」ビクッ

幼女「おーとーこーさん!いつまで入ってんですか就寝時間ちかいですよ!!」

男「ビビらせんなっつってんだろ!!今上がるわボケ!!」カタン

男「あーーもーー…」




ーーーー

137: 2015/02/10(火)01:33:31 ID:GQJ


プロジェクト6日目

ーーー10時半

カチャカチャ、カチャ……
男「……おい、マジかよ…」

幼女「パソコン見て、どうかしました?」シャコシャコ

男「いやこれ見……なんで歯ぁ磨いてんだよ」

幼女「いや磨きますよ、一応人間ですし」シャコシャコ

男「そういやお前、どこで飯食ったりしてんの?ふらっといなくなるけどすぐ帰ってくるよな?」

幼女「え、普通に……あなたに何かあったときにすぐ駆けつけられる距離にはいますよ」シャコシャコ

男「ふーん…あ、いやそんなことより!これだよ!」ガタ

幼女「ん?……アリマス二期決定イベント?」

男「そう!幕張で!」

幼女「……これのどこが変なんです?」

140: 2015/02/10(火)01:43:32 ID:GQJ
男「変じゃなくて、イベント!」

幼女「…私の理解力がお乏しいのでしょうか?」

男「……いや、イベント行きたいけど、行けないなって…いう……」

幼女「……なぜ?」

男「だってこれ、幕張ってかなり遠いだろ。…ただでさえ外に出られねえのに。行きたいけど、無理だから」

男「だから、マジかよって思って、、、」ググッ

幼女「え?行きましょうよ」

男「無理だ」フイッ

幼女「あなたがロミオだったとして、ジュリエットが憎むべき敵でもなくて二階の自室ではなく目の前にいたら手を伸ばしませんか?」

男「………なんの話だよ」

幼女「あなたはアリマスを愛しています。アリマスはいつまでもファンを待ってます。隔てられた壁はあなたの自己的なものしかない」

男「は…?」

幼女「行きましょう。アリマスへの愛が、あなたの心の壁より大きいのなら壊せます!」

141: 2015/02/10(火)01:54:52 ID:GQJ


ーーーお昼

男(……そうは言ってもなあ)

男(いきなり外に出るなんて無理だよ。こちとら何年出てないと思ってんだ…)

ガチャ

幼女「男さん、お昼ごはんです」

男「おー、腹減ったわ。今日は何?」

幼女「お昼なのに豪華ですよ、唐揚げと、ほうれん草のソテーと…」コト

男「ふーん。いただきまーす」カチャ

男「…」ぱく

男(………あれ?これ…)もぐ、もぐ

幼女「それじゃあ私もちょっと食べてきますので、何かあったら叫んでくださいね」ガチャ

幼女「………男さん?」

男「…あ、おお、いってら」

153: 2015/02/10(火)15:07:04 ID:xeJ
おいおい一夜明けて読み返したら>>149の言う通りマジでくそつまんないなこれ……

でもここまできたんですんません。今日もゆっくり続けます。
よろしく

155: 2015/02/10(火)15:14:19 ID:xeJ
チュンチュン、
ピーロロロロロ…

男(…あ、鳥)モグモグ

男(なんつー鳥だっけ。ガキの頃よく追っかけてたような…)モグモグ

ごくん。

男「…ふー。ごちそうさま」カラン

男(……)

男「外かあ」ハァー




ーーー

156: 2015/02/10(火)15:21:16 ID:xeJ

ーーー23時

シーン

男「……」モゾ

幼女「すー、すー」

男(…結局きょうは、外に出ることばっか考えてたな)モゾモゾ

男(こいつの言ってたことも……自分なりに考えたけどよくわかんねえし)

男(ロミオが…なんだっけ?シェイクスピア劇なんて知らねーよ。もっとわかりやすい例え出せ)ムッ

男(そういや、こいつ……)モゾモゾ

チラ、

幼女「すー、すー」

男「……おい」

157: 2015/02/10(火)15:26:55 ID:xeJ
幼女「……すー」ゴソ

男「……おーい」

男「おい、お前…」スッ

ツン、ツン、
……コン

男「…………『こん』?」

サス
コン、コン

男(おい、なにここ…二の腕だけ、明らかに)サワッ

コン、コツ

男「……え?」

幼女「なんですか?」ガサ

男「うひゃあ!!」ドキィ

158: 2015/02/10(火)15:32:27 ID:xeJ
男「お、おふぅ」バクバクバク

幼女「自分で呼んでおいてそんなに驚くことないでしょう……どうしましたか?」バサッ

男「あ、えっと………あれなんだっけ?なんでお前を呼んだんだ??」ドキドキドキ

男「お前がビビらせるから忘れたわ!!」バシィッ

幼女「呼ばれた気がしたから起きて反応しただけですよ!!びびらせてなんかいません!!」グワッ

男「うるせえ絶対ビビらせただろ!!だいたいお前の腕そっ…!」

幼女「……」

男「……れ…」ガサ、
サーッ…

159: 2015/02/10(火)15:37:57 ID:xeJ
幼女「…腕?」サス

男(やばい…)ごくん

男(腕触ったのばれた…?てか、もし触れちゃいけなかったら…)

ドクン、ドクン

幼女「……」

幼女「ああ、これですか」さわさわ

幼女「見えてました?『機械』?」

男「……お、う…?」ドキドキ

160: 2015/02/10(火)15:42:49 ID:xeJ
幼女「……うーん、」ガサガサ

幼女「まあ、今日は夜も遅いので、寝ましょう。眠れなかったら安眠剤を出しますけど」

男「え…あ、ああ」

男「お、おう。そうだな。寝ようか、いや自分で眠れるから大丈夫」バサッモゾモゾ

幼女「そうですか、では、」

幼女「『またなにかありましたら』、呼んでくださいね」ニコ

男「おー、お、おやすみ…」モゾ

男(………)



男(……機会ってなんだよ…)



ーーー

161: 2015/02/10(火)15:46:18 ID:xeJ
誤字。
機会→機械。

163: 2015/02/10(火)15:51:36 ID:xeJ

プロジェクト開始8日目

ーーー夕方

男「………結局」ググ

男(あれがなんなのか聞けず2日経ってる)

幼女「男さん?」ズイッ

男「……あ、なに?聞いてなかった」ドキ

幼女「えっと、ですから。あれから一週間経ったので現状整理をしましょうと」コホン

男「お、おう。そうか」シャキッ

幼女「……さて、まずですが」

164: 2015/02/10(火)15:55:29 ID:xeJ
幼女「今どんなことが気になるか、どういう気持ちか。パッと思いつくことでいいので教えていただけませんか?」メモッ

男(”気になる"……!!)ググ

男(君のことがいろいろと気になってるんですがねえ)

幼女「思いつくもの全て言ってくださいね」

男「(じゃあお前の)……うーん、特にねえな」ボリボリ

男「ていうか、具体的なこと言ってくれねえとわかんねえや」

165: 2015/02/10(火)15:59:17 ID:xeJ
幼女「と、言いますと?」

男「例えば、「りんご」についてどう思いますか?みたいな」

幼女「なるほど。では、「ご両親」についてはどう思いますか?」

男「………まあ、別に」

男「最初は頃してえとか思ってたけど、今は……なんつっていいかわかんねえけど、気にしてない?みたいな」

幼女「ふむふむ」メモメモ

幼女「……では、「このプロジェクト」に関しては、どうです?」

166: 2015/02/10(火)16:04:10 ID:xeJ
男「……」

男(ここで、自分なりに調べたことについて言ったら、どんな反応すんだろ)チラ

幼女「?」じいい

男「……まあ、別に。特に文句はねえわ」ジリ

男「お前に文句はあるけどな!!」ビシィ

幼女「ええ?なんです?精進しますのでどうぞおっしゃってください」きょとん

男「いいやありすぎて1日じゃ話せねえわ。そんだけあるんだよ!!」

幼女「……」ムッ

167: 2015/02/10(火)16:10:02 ID:xeJ
幼女「わ、私だって男さんに文句はいっぱいありますよ!!」ガバァッ

男「おーなんだよ言ってみろよ」

幼女「まず、高校卒業はしたのにぜんっぜん知能指数が低い!!」ビシィ

幼女「まあだ私の方が頭いいですねっ。それと毎日私があれだけ言ってるのに、歯磨き忘れる!!あんたは赤ちゃんですかあ?」ジロ

男「…!う、うるせえ!そういうお前だって着替えは人間の基本なのに毎日同じ服しか着てねえじゃねえか!!くせえぞブス!!」グワワッ

幼女「はあー?違いますウ。全部三着ずつ持ってて毎日洗ってますウ。臭いのは自分なんじゃ?」

男「てんめえ…!」ガシィ

幼女「きゃーこわーい!暴力はんたあーい!」ガガッ

168: 2015/02/10(火)16:17:43 ID:xeJ
バタバタ

男「だいたいお前のその八重歯目に焼き付いて仕方ねえんだよ!削れ!」バタンガタン

幼女「男さんこそ肩幅すこし削ったほうがいいのでは?どうやら調べたところアリマスの片瀬はるのちゃんはすらっとしたイケメンが好みらしいですよ?」バシッバシッ

男「うるせえ余計なお世話だ!それとお前のその貧Oもなんとかしたらどうだあ?性格の貧しさが乳にも出てんぞバーーカ」ドシッドスッ

幼女「立派なセクハラですね訴えますよ?そういう男さんだって」バシィッ

ガタッ

男「うおっ!?」

幼女「わあっ」

バターーン

170: 2015/02/10(火)16:26:24 ID:xeJ
ズウウウゥゥ……

男「っ…いってえ」ガクッ

幼女「あたたた……」

「………」

男「おい!」
幼女「もう!」

男、幼女「……」

男「ふっ……はははっ」バタ

幼女「くぷっ…ふふふ」パタ

男「くっだらねえなあ、お前」

チラ、

幼女「あなたこと。いたいけな女の子と張り合うなんて」ジィ

男「おめーのどこがいたいけなんだよ……はー」ゴロゴロ

男(お互い……気い使ってた気がする)ゴロン

チラリ、
幼女「あははは…バカみたい」ニッコリ

男「………」

男「ほんっとだなあ」




ーーー

172: 2015/02/10(火)16:35:20 ID:xeJ

ーーー19時過ぎ

幼女「小松菜の胡麻和え、ポークピカタ、親子丼です」コト

男「おー美味そう!いただきます」カチャリ

幼女「どうぞ、召し上がれ」ニコニコ

男「………」

ヒョイ、

男「ほい」グイッ

幼女「ん?なんです?」

男「ちょっと食ってみろよ。この飯、凄いうまいから」グイグイ

幼女「……いいえ、それはできません」スス

173: 2015/02/10(火)16:40:13 ID:xeJ
男「なんでだよ」

幼女「規約違反になるからです。それに、私は固形状の食べ物は食べられませんので」

男「おう、そうか……ん?」

男「今なんて…」カチャン

幼女「さあ冷めないうちに食べましょう!冷ますのは作ってくれた人にも農家の人にも失礼ですよ!!」グイグイ

男「わ…わかったよ、わかったから」

幼女「では私はちょっと出ますので、食べていてください」ガチャ

男「え、おい…」

バタン

男「っ、もう」

男(日々謎が増えるな…)キリキリ



ーーー

幼女「……いただきます」

ドロォ


ーーー

175: 2015/02/10(火)16:52:44 ID:xeJ

プロジェクト開始10日目

ーーー早朝

……が……で、の…

男「……ん?」モゾ

…すので………だ、…と

男(……リビングから?)モゾモゾ

ガバ、スタタ…
ガチャ、キィ

幼女「……なので、そこまでのご心配はないかと思います」

男(あいつの声…)パタ

男(誰かと喋ってる…?)

ーー「そうですか、毎日ありがとうございます」

幼女「いえ、このまま順調に進めば、予定の早期繰り上げが可能かと」

ーー?「ありがとうございます、幼女さん。私たちの……」

男(………あれは、)スタ、

パタパタ、パタ
バタン、



ーーー

177: 2015/02/10(火)16:59:58 ID:xeJ

ーーー昼前

男「…はぁー」

男(思っていたより、事は簡単に進んでいるのか?考えすぎてたのは俺だったのか?)ぐーるぐる

幼女「男さぁん!」バンッ

男「!、うお、なに」

幼女「この家から約200メートル離れたところに、自販機が新しく出来たんですけど」

男「へー、そうなんだ」窓チラッ

幼女「まずは、そこまで行ってみませんか?」ニコニコ

男「………自販機まで?」

幼女「はい!」

178: 2015/02/10(火)17:11:09 ID:xeJ
男「………む、」

幼女「『むり』、でしょうか?」

男「、、、」

幼女「…この10日間、私はずっとあなたを見てきました」

幼女「数え切れないほど、変わったところがあります。例えば、初日。言葉の始まりは必ず文句だったのに、今は私の話を聞いてからその考えを話せていたり」

幼女「口数も笑顔も増えましたね。私が部屋を開けてる時でも、あなたはうつつを抜かしてゲームに触る事は決してない」

幼女「歯磨きも頻繁に忘れるけど、でも必ず毎日するし、ヒゲも剃る。洗顔もかかさない」

男「っ」

幼女「あなたはもう、立派に一般の人と変わりません」

幼女「なのに、怖がる事がありますか?」

180: 2015/02/10(火)17:17:32 ID:xeJ
男「それはおまっ……君が!いたから」ガタッ

幼女「はたして、私だけ成果でしょうか?思い返してみてください」

幼女「私は言葉こそ操ってあなたを脅すこともしばしばありましたが、でも」

幼女「それを行動に移せたのは、全てあなた一人の力です」

男「っ………」

幼女「常に覚えていてください。どんな現状でも、あなたの道を進んでいるのは他人ではありません。あなたの、あなたの足なんです」ジィ

男「……いみわかんねって」クスッ

幼女「さあ、自販機まで、一緒に行きましょう!」

幼女「きっと大丈夫です」

181: 2015/02/10(火)17:21:58 ID:xeJ
幼女「機械は冷たいです。でも、現実(こっち)は……」スッ

ギュー

男「・・・」

幼女「温もりが、手を差し伸ばせば必ずありますから」ニコ

男「……なんか、言いくるめられてる気がするんだが?」ニィ

幼女「そうでしょうか?私にはわかりかねますが」

ギィ、ガチャ
バタン


ーーー

187: 2015/02/10(火)18:08:04 ID:xeJ


ーーー20時

カチャ、キィ

男「……風呂上がったぞ」パタン

幼女「お!!きましたね!さあさあどうぞどうぞ!」バシバシ

男「おい!そんな急かすなって…大したことじゃねえんだから」しずしず

幼女「いえ、あなたは大きな成果を成し遂げました!!カラピスはもう用意してありますよ、ほらほら」グイグイ~

カラピス「ちょこん」

幼女「自分の手で買った、カラピスですよ!さあさあ最高のお風呂上がりです!!」

男「だから押すなって!!自分でできるよ!」カアァッ

幼女「ささ、どうぞ」ニコニコ

男「……大げさだっつうの」

カシュ、
トクトクトクトク…

男「……」グイッ

幼女「あーーー!!!」

男「ぎゃあ!!」グラァッ

189: 2015/02/10(火)18:12:12 ID:xeJ
男「なんっっなんだよ!!」グワッ

幼女「なんで当たり前のように飲むんですか信じらんない!!」バシバシ

男「じゃーどう飲めっつうんだよ!!逆立ちで鼻から入れろってか!?ああ?」

幼女「乾杯しましょう!」

男「はあ?」

幼女「今日の多大なる成果に、乾杯しましょう!」

男「………」

幼女「ほら、」こぶしグイッ

男「…か、かんぱい」

コツン

190: 2015/02/10(火)18:21:08 ID:xeJ



ーーー22時

幼女「電気消しますよー」

カチカチ、
パッ

男「………なあ」モゾ

幼女「なんです?」

男「今日は、ありがとう」

幼女「いいえ、私はなにもしていないですから」ガサ、

男「………」

男「…昼にさ」

幼女「はい」

男「俺の道歩いてんのは俺だって、お前言ってたけど。でも俺は、やっぱ違うと思んだよね」

男「たしかに俺の道は俺にしか歩けない。でも、」

幼女「はい」

男「なんつーかな、こう言ったらクサいんだけどさ……俺は、お前と一緒に、一つの道を歩いてるっていうか…」

幼女「…」

191: 2015/02/10(火)18:26:15 ID:xeJ
幼女「…そういう見方も、ありますね」

男「…おう」モゾゾ

幼女「では、私とあなたが一つの道を歩くなら、ゴールも一緒でなければなりません」

男「…ん、」

幼女「10日前、あなたは元の生活に戻したいとおっしゃっていましたが…私は、そこがゴールではないと思います」

男「……うん」

幼女「あなたが本当望む未来を、HTSCも政府も、世間体も無視して、」

幼女「男さん”と”私の意志で、ゆっくり決めましょう」ガサガサ

ズズズ

男「…おやすみ」

幼女「おやすみなさい」




195: 2015/02/10(火)18:36:19 ID:xeJ

ーーー

プロジェクト開始13日目。
(アリマス二期イベントまであと12日)


男「……よ、幼女」ガサガサ

幼女「はい?………あ!」パッ

幼女「どうしたんです?外行きの格好じゃないですか!」

男「そ、その……なっ……」ガシガシ

196: 2015/02/10(火)18:41:17 ID:xeJ
男「な……お、俺さ!」ガッ

幼女「はい」

男「や、やっぱ行きてえんだ。アリマスイベント。だか、ら……その……」頭わしゃわしゃ

幼女「……」

幼女「……ふふふ」ニヤニヤ

幼女「この地域のお散歩プランならお任せください!ランニングに適したロードから焼き鳥屋が三件も続く裏道まで、すべて網羅してますので!」バッ

幼女「では行きましょう!徐々に慣れさせるコース.お任せあれです!」ニコニコ

男「お、う!き、期待してるぞ!」ニィ

199: 2015/02/10(火)18:54:00 ID:xeJ


ーーー

幼女「んー、あったかいですねぇ」のびのび

男「そ、そうだな」ドキドキ

幼女「…いつまで緊張してるんですか!あと、そんなに腕掴まれると痛いです」ジィ

男「いや、だってやっぱ怖えもん!…ってかお前痛覚あるんだ」ドキドキ

幼女「私のことロボットかなにかと勘違いしてません?ちゃんと人間ですから!」ジロ

男「いやロボットとは思ってねえけど、びっくり人間とかそういう類かとな、ははは」ドキドキ

幼女「…」

男(………え?)

幼女「あ、高校生カップルが野外なのに当たり障りのないことをしてる!」

男「ぎゃああああああ」ガクガク

幼女「……冗談です」

男「おまっ……!」グワッ

男(…また、はぐらかされたな)

スタスタ



200: 2015/02/10(火)19:06:16 ID:xeJ


ーーー夜

男「ふー…腹いっぱい」ゲフ

幼女「男さん、今大丈夫ですか?」

幼女「ちょっと調べて欲しいものがあるんですが」チラ

男「ん?なんだよ」ジィ

幼女「『前納』って、英訳するとなんていうんでしたっけと思いまして」

男「おー、待ってろ」ガサガサ

男「たしかここにお前が持ってきた和英辞典が……」ガサガサ

幼女「……!」

幼女「あ、いいです。」スス

男「あ?なにが?」

幼女「prepay。あ、えっと、今思い出したんでいいです」

男「……?そうか。」

幼女「ふふふ、ふふ…」ニヤニヤ

男「な、なんだよいきなりニヤついて…気持ち悪ぃ」ササッ

幼女「いいえ、やっぱり…」

男「あ?」

幼女「男さん、成長してます」バシバシ

男「あ、いて、なんだよいきなり!」




ーーー

201: 2015/02/10(火)19:21:57 ID:xeJ

プロジェクト開始15日目
(アリマスイベントまであと10日)

ーーー14時、河原前

幼女「そういえば、男さん」チラ

男「ん?」

幼女「今日からおやつの導入を始めます。なにか食べたいものはありますか?」

男「お、おお!マジか!」ウキウキ

男「そうだなあ、やっぱり甘いものかな。ケーキか、ドーナツか、プリンか……」ニヤニヤ

幼女「では、ここから300メートル離れたところにお菓子屋さんがありますので行ってみましょう」ニコ

男「よっしゃ!迷うなあ、なに食おうかなあ」ワクワク

203: 2015/02/10(火)19:32:33 ID:xeJ


ーーー「洋菓子ささら」

カランカラン

「いらっしゃいませー」

男「…っ、……!」バクバクバク

幼女「いたいいたい…ちょっと、掴むなら服にしてください」ギュウウ

男「よ、洋菓子屋と、か……初めて入るんだよっ…」バクバクバク

幼女「慣れてくださいよ…あ、ほらプリンありますよ」

男「っ…っ、そ、それどころじゃ、」

「わーかわいいー!!」

男「……ん、?」チラ

幼女「ん?」

205: 2015/02/10(火)19:40:13 ID:xeJ
女子高生「これ?マキが言ってた新作のショート!」

女子高生2「そーそー。マジかわいっしょ?これねーデザインしたの2組のウサミらしいよ」

女子高生「は!?マジで!ええ、ちょ2組のウサミってこことなんか……」

ギャハハハ

男「………っ」

ぎゅううう

幼女「…お、男さん?」

206: 2015/02/10(火)19:40:52 ID:xeJ
遅くてごめん。
下のチビが起きだしちゃったからなかなか書き込めぬ。。。

207: 2015/02/10(火)19:47:30 ID:xeJ
男「………」バクバクバク

幼女「……よし」

幼女「男さん?歩けますか?」

男「っ、」ジロ

幼女「歩けますか?歩けるならこの店から出ましょう。顔が青いです」

幼女「手を貸してください」

ギュウウウウゥ

男「……お、おお、おれ….」

幼女「さ、一旦出ましょう」

カランカラン


ーーー

210: 2015/02/10(火)19:52:18 ID:xeJ


ーーー

幼女「これお水です」

男「……っ」ごく、ごく

幼女「……」

男「……ご、ごめ…」

幼女「大丈夫ですよ、一時的なパニック障害です。ちょっと手を貸してください」

スッ
トク、トク、トク、トク

幼女「……脈90回、体温異常なし…」ボソ

幼女「落ち着くまでここにいましょうね」ニコ

男「……ご、めん…」ビクビク

幼女「私は大丈夫です」

211: 2015/02/10(火)19:57:18 ID:xeJ
幼女「ただ、手を握っていましょう。人の温もりは、心に安心感を与えますから」ギュウ

男「……っ…」

男「…おれさ」ジィ

幼女「はい?」

男「最初に言った気がすんだけど、怖いんだ。キラキラしてる人とか、現代を生き抜いてる人とか見ると……」

男「ああ、俺とは違う世界に生きてんだなっていつもおもう」

幼女「……」

213: 2015/02/10(火)20:02:17 ID:xeJ
男「だめなんだよ。なにが楽しいかとか、一般人の人の思考とか、全く理解できないんだ」

男「…だからたぶん、俺が楽しいって思うことは一般人には理解できないだろうし」

幼女「…」

男「俺が好きなものも、好きなことも、なんか全部フツーじゃないんだなって」

幼女「…ふふ。男さん、バカですねえ」ニッコリ

男「は…?」

幼女「普通じゃないなら一般的に生きられないなんてそんなのおかしいです」

幼女「『個性』なんですよ、そういうのは」

214: 2015/02/10(火)20:07:12 ID:xeJ
幼女「どんな人にだって個性はあります。人と意見がぶつかって、時には言い争いになって、」

幼女「でも、みんなそんな多くの『個性』がふわふわ浮いてる中で、必氏に自分を持って生きているんです」

幼女「……人には、相手を理解することができます。自分の個性を軸にして、それから人の思いを聞き、それを自分に受け入れ、さらにオンリーワンの「個性」を引き出すのです」

幼女「男さんは、ちっともおかしくなんかありませんよ」

男「……っ」

幼女「だってこんなに、社会と向き合えるようになっているんですもん」

215: 2015/02/10(火)20:12:46 ID:xeJ
幼女「人は、言わなきゃわかりません。意思疎通なんてできないし」

幼女「なので、これからどんどん、もっとお話しましょう!」

幼女「私だけではもったいない。ご両親とだって、もっとお話すればさらにあなたの個性が出てくるかもしれないし、相手のことも、本当のことを理解できる」

幼女「現実(リアル)の回路は無限大です!!」バッ

幼女「あとはあなたの心の壁が、砕かれるのを待つだけです」ニィ

男「……おかしいなあ、今日はなんとなくお前の言ってることがわかる気がする」ふふっ

男(でも、知ってるよ)

男(君と話すことができる時間が、限られてること)




ーーー

217: 2015/02/10(火)20:21:17 ID:xeJ


プロジェクト開始17日目
(アリマスイベントまであと8日)


ーーー昼過ぎ


幼女「さて男さん、今日の午後プログラムですが」

男「げ、げふん!ん”ん!」

幼女「…?」

男「あー、あー、えっと!」

幼女「なんですか?」

男「幼女さん、大事なお話があるんですけど、ん”ん!」

幼女「…はあ、なんでしょう」

男「えっと、その、ですね……」


男「抜いていい?」

幼女「………それは、」

幼女「つまりオ
男「わあーーーー!!!」

218: 2015/02/10(火)20:25:28 ID:xeJ
男「言うな!!!」バシバシ

幼女「ちょ、いたっ、なんですか!急に恥じらわないでくださいよキミ悪い!」ぎゃー

男「うるっせえ!!これだけは男の嗜みなんだから女に言われるとなんかムズムズすんだよ!!」バシバシ

幼女「股間が?」しらっ

男「でてけーー!!!」

ギイ

幼女「ちょ」

どすっ

幼女「っと」

……パタン。

220: 2015/02/10(火)20:31:55 ID:xeJ
コンコンコン!

幼女「おとこさーん?別にするのはいいですけど私はどうすればいいんですかー?」

男「あーそうだな……トイレにでも入っててくれ。15分くらいで終わるから」

幼女「はあ。ではなにかあったら叫んでくださいね。ティッシュがないとか」

男「あんでお前は下ネタにそんなに寛容なんだ?さっさと行けよ!」バンッ

幼女「はーい」

スタスタスタ……

男「…行ったか」

男「さて。まあ、オナ……自慰なんてしないけどな」

ガラガラ!

ピシャリ。



ーーー

222: 2015/02/10(火)20:43:57 ID:xeJ



ーーー15分後、トイレ

コンコンコン

幼女「あ、男さん?」

男「ぜえー、ぜぇー……出てきていいぞ…はぁー」

ガチャ

幼女「どうしたんです?そんな息切れして。そんなに過酷なプレ
男「だからそういうこと言うな!」ゼエゼエ

男「ちょっと、リビング来いよ…はあ…見せたいものがある」

幼女「……別にティッシュは」

男「だーかーら!やめろって!」バシィッ

男「いいからついてこい!」スタスタ

幼女「…?」




男「じ、じゃーん!」バッ

幼女「……?ケーキ?」

男「おう!えっと…洋菓子しららの」

幼女「さららです。…いや、そんなことよりこれ、どうしたんですか?」チラッ

男「買ってきたの!今!」ドン

幼女「……??」

225: 2015/02/10(火)20:50:13 ID:xeJ
幼女「今は紳士の嗜みをしていたのでは?」

男「それはお前を遠ざけるための口実!これを買いに行ってたんだよ」ニヤニヤ

幼女「……でも、どうして?」ジィ

男「え、そ、それは……ただ…」

チラリ
幼女「それは?」

男「お前を、その、……驚かせたかったから」うじうじ

幼女「……~~~っ!!」

ガバァッ

男「おわぁ!?」グラッ

幼女「んーもう!!!さすがです!!すっごいですよ!!!」わしゃわしゃわしゃ

男「ちょ、やめろ!くすぐったっ……はははっ!」

227: 2015/02/10(火)20:55:29 ID:xeJ
幼女「私いま今世紀最大レベルで嬉しいです!!ひゃー!ブラボー!!」わしゃわしゃわしゃ

男「ははっ!わ、わかった!わかったから降りろよくすぐってえだろ!!」

幼女「さっそく食べましょう!乾杯しなくちゃ!」ジタジタ

男「お前はいちいち大袈裟なんだよバカ!」バシバシ

幼女「自分が大袈裟だと世界も大袈裟に面白くなるもんですよ!!さあ、食べましょう食べましょう!」

男「っ…おう!」



ーーー

230: 2015/02/10(火)21:01:56 ID:xeJ


ーーー深夜

男「…」もぞ

幼女「すー、すー」

男(……今日は、楽しかったなあ)モゾモゾ

男(洋菓子屋の店員さん、俺が噛みまくってたのに優しく対応してくれたし……)

男(外も…捨てたもんじゃないな)モゾモゾ

ちら、

幼女「すー…すー…」

男「…幼女、ありがとう」ボソ

ーーー君のおかげで、この世界がこんなに楽しい



ーーー

231: 2015/02/10(火)21:10:10 ID:xeJ

プロジェクト開始21日目。
(アリマスイベントまであと4日)

ーーーー早朝

幼女「…さん、それで本日のことなんですが……」


幼女「ええ、経過から見ても、男さんは順調です。…さんの支えもあります」


幼女「今後のスケジュールでいくと、4日後に彼の大きな躍進、その二日後に、そうですね。………でもしましょう」

幼女「そして、何事もなければ」

幼女「その三日後………プロジェクトは終了します」


幼女「…はい、では………よろしくお願いします」



ーーー

233: 2015/02/10(火)21:17:17 ID:xeJ

ーーー昼

男「……っああぁ、課題おわーり!!」バッ

幼女「お疲れ様です。もうすぐお昼になりますので、準備しておいてくださいね」

男「おう」ガタガタ

男「……なあ、」

幼女「はい?」クルッ

男「しつこいようだけど、なんで一緒に飯食ってくれねえの?」

幼女「しつこいようですが、規約ですので」

男「(規約、ねえ……)ふーん」

幼女「さ、取ってくるので待っててくださいね」ガチャ

バタン

男「………規約ね」

235: 2015/02/10(火)21:24:02 ID:xeJ



幼女「…今日は豆のスープと、しそご飯、それからアジの開きです」コトン

男「なあ、これさあ」

幼女「はい」

男「いったい誰が作ってんの?毎日めちゃくちゃうまいんだけど」カチャカチャ

幼女「……ではそのうち、お会いしてみます?その方に」ニコ

幼女「どんな方か知りたいでしょう?」

男「……いいね」もぐもぐもぐ

幼女「じゃあ、今度その人の手料理で晩餐会をしましょう」

男「おう、うまくしゃべれるかわかんねえけど」もぐもぐ

幼女「それだけは心配いりませんよ」

男「……なんで?」ごくん。

幼女「さあ?おいおいわかります」ニコニコ

男「……おかしなやつ」もぐもぐ




ーーー

237: 2015/02/10(火)21:32:06 ID:xeJ

プロジェクト開始24日目
(アリマスイベントまであと1日)

男「……っ」ぐるぐるぐる

男「…、……!…っ、」ぐるぐる

幼女「……おーい、おとこさーん!」バシィッ

男「あだっ!?」ビクッ

幼女「なあにうろうろしてるんですか!!イベントまであと1日です、計画を練りましょうと何回言わせるんですか!!」グワッ

男「だ、だってよ……緊張しすぎて…落ち着かねえんだよ…!」オロオロ

幼女「もうっ」

ムギュー

男「あだっ、力強い!」

幼女「手を握ってれば落ち着きますので。そんなことより、ほら、シャキッとしてください!」

240: 2015/02/10(火)21:38:40 ID:xeJ
幼女「いいですか?まず、これは個人的に調べたことなんですが」

幼女「今回のイベントは幕張の某ドームを全てではなく、一部だけを貸しきってイベントを行うようです」

幼女「観客収容人数はおおよそ三千人」

男「さっさ……さ、三千人!?」オロオロ

幼女「ええ、そしてツブッターでも独自に調査したところ、当日行く予定の人はそれを二倍上回る6700人程度。さらにチェイスブックではその上の……」

男「うっ…気持ち悪い…」オゲゲ

242: 2015/02/10(火)21:44:51 ID:xeJ
幼女「まあ、なので、要するに早朝から並ばないともしかしたら入れないかもしれません」

幼女「この近くの最寄駅から幕張までは約1時間半。イベント受付開始が朝の9時なので、うーん……5時に出れば間に合うかと」

男「おいおい……アクティブオタクはそんなに苦労してたのか…知らなかった」オロオロ

幼女「それから、服装も大事ですね。大衆の中で動くことになりますので、軽い服装で行かないと」

男「…………あ、あーーー!!!!」

幼女「うおっ」ビク

243: 2015/02/10(火)21:49:29 ID:xeJ
男「お、俺……やばいことに気づいた…」

幼女「な、なんです?」

男「服がない!!ジーパンと汚ねえニットしかない……」オロオロ

幼女「…あー……やっぱり、」

男「ど、どうしよ、服屋行かないと」

幼女「男さん、お忘れんですね?」じぃ

男「え?な、なにが?」

幼女「『ねずみ色』のダッフル!」

男「……」

ガク

男「はぁー…それがあったか…」

244: 2015/02/10(火)21:57:55 ID:xeJ


ーーー

幼女「……では、いいですか?話をまとめます」

男「ごくり。……おう」

幼女「明日はプログラム全てを繰り上げて、朝の四時に起きます。ここから最寄駅まで歩いて10分、50分で支度して、5時には駅に着きます」

幼女「3分後の始発に乗って、約40分で東京駅。そこから乗り換えて幕張までです」

幼女「六時半までにはドームに着く予定でいます。東京駅でトイレ休憩と食料確保に10分時間を費やしましょう」

男「……おう!」こくこく

幼女「では、いいですね。異論は?」

男「ありません!」キリ

幼女「それでは明日、最高の1日にしましょう!」バァッ




ーーー

247: 2015/02/10(火)22:09:52 ID:xeJ
ーーー

ザザァ…ザザァ…

男(……?)

ザザァ…ザザァ…

男(ここは……海か?)

スタ、スタ、スタ

男(……どこまでも海がつづいてる)

スタ、スタ、スタ

男「……ん?」
男「あれは…」ジィイ

幼女「……」ザザーン、ザァーン

男「幼女?」

幼女「……」ザァーン、ザァーン
スタスタ、スタスタ

男(……おい、そっちは海)

幼女「……」スタ、スタ、スタ

男「幼女!」

幼女「……」

男「幼女!そっちは危ないぞ!」ダッ

ダッダッダッ

男「幼女!」

ダッダッダッ
ザァーン

男「幼女ぉ!」

ーーーージリリリリリリ!!

男「うわあ!!?」ガバァッ

幼女「お、おはようございます」

250: 2015/02/10(火)22:16:13 ID:xeJ
男「っはぁー…」バクバクバク

男(……夢?)キョロキョロ

幼女「男さん?どうしましたか?」ジィイ

男「(ゆ、夢か)……いや、なんでもない」ドキドキ

幼女「?…そうですか。では早めの支度をオススメします。実はあなた、目覚まし時計が最初に鳴ってから15分寝続けているのでそう時間がないですよ」

男「・・・」チラ

04時20分

男「……なあるほど」

男「そういうことは早く言ええええええ!!!」ドンガラガッシャーン

251: 2015/02/10(火)22:24:48 ID:xeJ


ーーー5時10分前

スタスタスタ

幼女「いいですか?『急がず、焦らず、落ち着いて』。はい」

男「い、急がず焦らず落ち着いて…」

幼女「そうです。始発はともあれ、朝の電車はただでさえ混み合います。もしパニックになりそうだったらなんらかの合図を出してください。薬は常備していますので」

スタスタスタスタ

男「……あのさあ」

幼女「はい?」

男「君、固形状のものは食べないんでしょ?東京駅で朝ごはん買うけど、君は何を食べるの?」

幼女「大丈夫です。あなたが寝ている間にタンクは満タンにしておきましたので」

スタスタスタスタ

男「……は?」




254: 2015/02/10(火)22:29:43 ID:xeJ
男「た、タンクって…?」

幼女「……言い忘れていましたが、男さん以前、私のことびっくり人間じゃ?って言ってましたよね」

男「あ、ああ…」

スタスタスタスタスタ


幼女「まあ、男さんの疑惑は一部正しいです。私は、栄養を口からではなく胃から取っています」

男「……ごめん全然意味わかんないんだけど」

幼女「胃瘻(いろう)って、ご存知ですか?」

スタスタスタスタスタ

男「……知らない」

幼女「胃瘻というのは、口から栄養源を取れない人間が管を胃にさして直接栄養を流し込むというものです」

257: 2015/02/10(火)22:34:28 ID:xeJ
幼女「私の胃には、管がささっています。胃瘻で栄養を流し込むため」


スタスタスタスタ

男「……」

幼女「別に、私はこれといって命に限りがあるわけでもないし、口も喉もありますので食べるという行為はできます」

幼女「ですが、私には性器と肛門がありません。」


スタスタスタスタ

男「……」

264: 2015/02/10(火)22:40:20 ID:xeJ
ファーンホーン…
ーーー『ただいま、電車のメンテナンスにより始発に1分の遅れが出ています。ご乗車のお客様にはーーー』

ピ、

幼女「……詳しい理由は言えないのですが、とにかく、私は排泄することができないのです」

幼女「なので、栄養源は無駄にすることができない。無駄な栄養を流し込んだら排泄物が体内に溜まり、やがて腐敗します」

男「……おう」

幼女「なので、必要最低限の栄養を、二の腕の簡易タンクから流し込んでいるのです」


ーーー間も無く、3番ホームに……

男「……そうか」

266: 2015/02/10(火)22:48:26 ID:xeJ


ーーーー

タタン、タタン……

男「……」

幼女「……」

男「……なあ」

幼女「はい」

男「なんで、あんなこと言ってくれたんだ?」

幼女「……男さん、気にしてたでしょう?」チラ

男「え?」

幼女「私のこと。なんで抱けないと断言していたんだろう、なんで食べ物を食べないんだろうって」

タタンタタン、タタン…

男「……まあ」

幼女「私のことで、ぐるぐる悩んで欲しくなかったので」ニコ

幼女「だから、言ってしまいました」

273: 2015/02/10(火)22:52:15 ID:xeJ
幼女「もし、この告白で余計な心配をおかけしたならすいません」

男「……いや、俺は大丈夫だけどさ」

幼女「そうですか」

男「……」

幼女「……」

タタン、タタン

幼女「……ほんとはね」

275: 2015/02/10(火)22:57:10 ID:xeJ
幼女「言っちゃいけないことなんです。このこと、外部には」

幼女「国際団体にいられなくなるのはもちろん、まず社会から追放されます。そして、私は職をなくすと自分で栄養源を取れないので、そのまま氏ぬことになる、というコースが待っていますので」ニコ

幼女「でも……」チラリ

ジイィ

男「な、なに?」アセ

幼女「…男さんがあの日、私を驚かせてくれたとき」

幼女「ああこの人なら、信用できるって思ったんです」

た、タタン…

……つぎはー、…町、…町

278: 2015/02/10(火)22:59:41 ID:xeJ
>>274
ご指摘ありがとうございます。

>>227で幼女が「食べましょう」と言っていますが、結局幼女は食べていません。
男はケーキを2つ買ってきましたが、規約に違反するのであとでいただきますと言って、こっそりしまった裏エピがあります。

281: 2015/02/10(火)23:06:55 ID:xeJ
男「…言わないし、」

幼女「え?」

男「言わないし、君を追放させたりなんかしない。絶対に」

ギュウウ…

幼女「……ふふふ」

幼女「ありがとうございます!」ニコッ

幼女「さあ、暗い話をしてすいませんでした!今日は存分に楽しみましょうね!」ブイッ

男「おう、そうだよ!野々瀬ゆんちゃん見に行くんだから、しんみりなんてしてられっか!」

幼女「おや、私が聞いた情報によるとあなたは片瀬はるのちゃんが好きだと伺ったのですが、鞍替えですか?」じと

男「いや、どっちも好きなんだよどっちも……」

あはははは…


男(…ほんとは、アリマスのイベントなんてどうでもいい)

男(君と一緒に居られる時間が、とてつもなく大切だ)


ーーーつぎはー、東京、東京。
終点ですーーー



283: 2015/02/10(火)23:14:42 ID:xeJ



ーーー6時40分

ドーーン!
ザワザワ、ザワザワ

幼女「ついに来ましたね!幕張某ドーム!」

男「すっげえ混んでんのな、まだ六時半過ぎなのに…」

幼女「合言葉は?」

男「急がず焦らず落ち着いて!」バン

幼女「オッケー。では並びましょう!」

ずらずら、ずらずら


幼女「ひーふー…せん…じゅう…」ひょいひょい

男「なに数えてんだ?」

幼女「……ろく……男さん、」

男「はい」しゃき

幼女「先頭から2436人目です。良かったですね!」ニッコリ

男「……やっぱお前、ちょっとびっくり人間だわ…」ヒキッ

286: 2015/02/10(火)23:20:15 ID:xeJ


ーーー8時10分


男「……うー」ブルルッ

男「さすがに……」

幼女「どうしました?」

男「と、トイレ行きたくてさ…でももうすぐ受付開始だし」ブルルッ

幼女「……斜め向こうの階段、見えます?」じぃ

男「あ?…おう、あれか」

幼女「あそこ降りるとすぐ男性トイレがありますので、行ってきてどうぞ?」

男「お、じゃちょっと待ってて!すぐ戻るから!」

ダッダッダッ

幼女「はーい」

288: 2015/02/10(火)23:26:53 ID:xeJ


ーーー男子トイレ

男「……ふー」ブルブル

男「さすがに何時間も立ちっぱなしだと疲れるな…」

ジャーッ

男「ふう、スッキリした」

男(……あんな話聞いても、ぜんぜんビビらなかったな。あいつだからかもしれない)
スタスタスタスタ

男(むしろ、言ってくれてよかったって思う。そしたら…お互い、気を張らずに済むし)

スタスタスタ

男「………ん?」


幼女「あの、私はだいじょうぶです。お父さんがおトイレに行ってるのをまってるだけですから」

おっさん「いや、危ないよこんなところで一人じゃ。さ、おじさんが交番まで連れて行ってあげるから……」

男「っ!…幼女!」ダッ

290: 2015/02/10(火)23:31:53 ID:xeJ
幼女「いえ、ほんとうに大丈夫です。もうすぐ帰ってくると思いますので」

おっさん「君、えらくしっかりしてるねえ何歳?いいから、こっちに来なさい。寒いし、危ないよ?」ギュ、

グイッ

幼女「っ、きゃっ…」

周り「ザワザワ」しらーん…


男「っ、幼女!あ、あのお!」

おっさん「……ん?」ジ口リ

男「あ、あ、あの…そ、その子…」もごもご

おっさん「……なんだい?君」イラッ

幼女「あ、男さっ…」

291: 2015/02/10(火)23:38:57 ID:xeJ
ざわざわ、ざわざわ…


男「そ、そそ、その子……」もごもご

おっさん「なんだい?君。不審者か?」

幼女「男さ……じゃない、おとうっ、きゃあ!」グイーッ

ギュウ

おっさん「さあお嬢ちゃん、こっちへ来るんだ。お巡りさんのところに行こう」

幼女「っ、!」

おっさん「今時は危ない人が多いからね」

グイッ

幼女(やば、コンタクトずれっ…)ぶわっ

ポロ、ポロ、
ピチャ

男「……!」プッチーン

幼女「……ちっ(こうなったら)」


ドゴォッッツ!!

おっさん「グヘァッ!?」

幼女「……え?」

293: 2015/02/10(火)23:46:05 ID:xeJ
シュウゥゥウ

おっさん「グフッ…!?」

男「……クソ野郎、泣かせてんじゃねえよ」イッラァ

幼女「おとこっ…お父さん!」タタッ

男「おいおっさん!いたいけな女の子泣かせて、嘘ついてたのしいか!?」グワァッ

周り「…?」ドヨヨッ

男「この子に近づくな!きしょいんだよ!不審者、ガチで警察呼ぶぞゴラァっ!!」グワッ

幼女「お、男さん落ち着いて…」

ーーーえ、なになに?

ーーーなんの騒ぎ?

ーーーなんか不審者がいたらしいよ

ざわざわ、ざわざわ

297: 2015/02/10(火)23:51:50 ID:xeJ
男「だいたい人のこと不審者呼ばわりしてんじゃねえよドクソが!!てめえの罪をこっちになすりつけんな!!」

男「ていうかこういうイベントにお前みたいなゴミがいるとなあ!アニメの価値が下がるんだよゴミ!!うちの幼女のことまで泣かせて!!」ぎゃんぎゃん

幼女「男さん、大丈夫です。コンタクトがずれただけです」サスサス

男「でてけ!二度とアリマス関係とうちの幼女に近づくな!それから」

幼女「おーとーこーさーん」

男「あんっだよ!!」グリンっ

幼女「もう大丈夫ですよ、ほら」


お巡りさん「………ちょっと話を聞こうか?」ズオオオ

男「………は、はい」

303: 2015/02/11(水)00:00:38 ID:CKo


ーーー2時間後

お巡りさん「では、二人とも今後は気をつけるように」ゴホン!

男「は、はい…お世話になりました」

幼女「ご迷惑おかけしましたわ失礼します」


スタスタ、スタスタ


幼女「………結局、アリマスイベント行けませんでしたね」

男「も、もう散々だ…あのおっさんは警察が来た途端逃げたから行方わかんねえし…」グスグス

幼女「せっかく早起きまでしたんですけどねえ……でも」

チラ

幼女「ありがとうございました」

男「は?」

幼女「正直、あのくらいの男なら私ひとりでもなんとかできました。というか、一人でなんとかするつもりでした」

幼女「…あなたが、勇気を出して挑んでくれたのは想像していませんでしたから」ニコ

306: 2015/02/11(水)00:02:09 ID:CKo
幼女「ご迷惑おかけしましたわ失礼します」→幼女「ご迷惑おかけしました。失礼します」

誤字です

309: 2015/02/11(水)00:06:52 ID:CKo
幼女「ですから、私はもうじゅうぶんです」クルッ

幼女「楽しみにしていたアリマスは見れなかったけど、でも、あなたとまた一歩進むことができた」

幼女「だから今日は、とても楽しかったです」ニコッ

男「…!お、俺も。」

男「俺も…お前とたくさん話せてよかった」ニヘッ

幼女「…ふふふ、同じですね!」

幼女「さあ!残念ですが、帰って昼寝でもしましょうか!」スタタ

男「え?今日の予定は…」

310: 2015/02/11(水)00:09:10 ID:CKo
幼女「なあに言ってるんです?予定繰り上げしたじゃないですか!」

幼女「なので、今日は一日中自由です」

幼女「HTSCという規約にも、社会のルールにも縛られず、2人だけで1日を満喫しましょう!」バッ

男「…さんせーだ!!」



ーーー

311: 2015/02/11(水)00:16:30 ID:CKo



ーーーー深夜

男「グガァ…ンゴゴ…」スヤスヤ

幼女「………」

バサッ



幼女「すいません、夜分遅くにお電話して」

幼女「はい、見事な躍進を遂げました。彼はもう、私の手なんか借りなくても大丈夫でしょう」

幼女「…そうですね、ではそれで決定で」


幼女「五日後のプログラム終了とともに、彼の私への記憶を消します」



ーーー

335: 2015/02/11(水)12:37:18 ID:T6n

プロジェクト開始29日目

ーーー明け方


チュンチュン、チチチ…

男「……」

男(……しょんべん)ムクリ

ガサガサ

男「…」チラ

幼女「すー、すー」

男「…くあぁあ」


パタパタ、ガチャ

………ジャー

男「……あ、あれ?」

男「リビングの電気つけっぱだ。幼女か?」パタパタ

カサッ、

男「うおっと、」

男「…なんだこの紙?」

338: 2015/02/11(水)12:39:33 ID:T6n


カササッ

男「け、つけん、者様、各位…」

男「この度、経過じゅん、ちょうの……」

男「………」

男「……」

男「………なん、これ」

グシャアッ




ーーー

340: 2015/02/11(水)12:42:31 ID:T6n

ーーー8時


男「え?晩餐会?」チラ

幼女「はい。以前言ったでしょう?ご飯作ってくれてる人と、晩餐会するって」シャコシャコ

男「あーそういやそうだったな。いやほんと、飯うまいよ」シャコシャコ

幼女「ええ。それで私、あなたが初めてご飯を褒めた時から、頻繁にその人に男さん褒めてることを伝えているんですよ」シャコシャコ…

ペッ
ブクブク、ブクブク

男「…なんかそれ、照れるな」シャコシャコ

ぺっ
幼女「そうです?…でね、その人、そのことを伝えるたびにとても喜んでいるんです」ふきふき

幼女「味を褒められたことよりも、あなたが美味しくご飯を食べていることの方がうれしいらしくて」

男「…ふーん。変な人だな」

ぶくぶくぶく…



ーーー

342: 2015/02/11(水)12:48:05 ID:T6n

ーーー13時

男「よし、散歩行こうぜー」ガタッ

幼女「あ、だめです」ぎゅい

男「は?なんで?」

幼女「午前の課題が終わってないじゃないですか。あなたが『午後一で終わらせるからー』っていってたから、午後にまわしたんですよ?」

男「……そういやそうだな」

男「よし、じゃあやるか!」ストン

幼女「……」

チラ

幼女「……でも、まあ」

男「なに?」

幼女「別に、いいかもしれませんね。課題やらなくても」

345: 2015/02/11(水)12:51:57 ID:T6n
男「お、おいどうした。気味悪いぞお前がサボりを催促するなんて…」
ジィ

幼女「別に催促はしてませんよ?ただね」

幼女「ほら、見てくださいよ。パソコンと漫画」スス

チラリ

男「ん…?あれがどうしたんだよ」

幼女「埃かぶってるでしょ?」

幼女「……もとはこの課題、あなたがネット依存ぎみだったから設けたものだったんです。少しでもはなれさせるように」

幼女「でも、必要なくなったみたいなので」ニィ

348: 2015/02/11(水)12:58:46 ID:T6n
幼女「毎日三食、食事をして。自分のことをやって、外出をする。勉強もして、しっかり寝る」

幼女「1日は24時間しかないですが、どうです?充実していますか?」

男(……充実していますか)

男「……どうかなあ。お前やかましいし、充実はしてねえかもな」ハハッ

幼女「またそういうこと言う!!あなたがこの世界に満足するまで私は帰れないんですよ?」プンスコ

男「あーじゃあ満足してますぅー。すごい充実してますぅー。」ケラケラ

男(………帰るって、なんだよ)

男(俺の知らないところに帰るなよ……)

ギゥウ



ーーー

350: 2015/02/11(水)13:08:44 ID:T6n


ーーー18時


ギュウウウウゥ

男「痛い痛い痛い!!もうちょっと優しくしろよバカ!」ガガッ

幼女「え、そうですか?それはすいません。では少し緩めます」

ギギュゥウウウウ

男「いてえって言ってんだろ!!お前絶対遊んでんだろ!!」

幼女「目隠しなんて生まれて初めて人にするのでわかんないんですよう」ケラケラ

男「こんのっ………」

351: 2015/02/11(水)13:13:48 ID:T6n



男「ていうか、なんで目隠しすんだよ。そんなにすごい人が来るのか?」

幼女「ええ。偉大なる人です。なので、驚きをアップさせようと思いまして」ニコ

男「誰なんだよ……俺料理まったくしないから、シェフなんて一人も知らねえぞ」

幼女「それは素晴らしいシェフです。さあ、行きましょう!シェフはもうリビングにいますので」

男「いつの間に家に…」

グイグイ

男「わかったから押すなよっ。ゆっくり歩け」

幼女「はーい。しっかりつかまっててくださいね」

352: 2015/02/11(水)13:18:31 ID:T6n


スタ、

スタ、

スタ………


男「あっぐぅ」ドシンッ

男「急に止まんな!」

幼女「ああすいません。さあ、つきましたよ」

ギィ、
ガチャン

幼女「ささ、目隠し外しますよー!」

男「お、おいゆっくりやれ…」


シュルシュル、
パサッ

男「うおっまぶしっ……」

男「………!」

353: 2015/02/11(水)13:22:25 ID:T6n
男「……親父、」

男「お袋…?」

ガタン

母「……男、久しぶり」ニコ

父「…」

父「少し、逞しくなったな」ジィ

男「っ、」バッ

幼女「……ふふふ」

幼女「こちらが偉大なるシェフ、そしてシェフを支えている素晴らしい旦那さん!!」バッ

幼女「……あなたの、お父さんとお母さんです」

男「……!」

ウルッ
ブァアッ

男「……っ、ぐぅ…!」グスッ

355: 2015/02/11(水)13:26:43 ID:T6n
男「ぅう、ぐぅ……っ…!」

ボタ、ボタ

母「……おとこ」

ギュウ、、、

母「ほんとうに、逞しくなったねえ」ポンポン

男「っ、……ぅ……!」ギュ、

母「……うふふ」


母「お母さんね、あなたをこの世界に産んで、ほんとうに良かったわ」

男「っ、うわぁぁああっ……!」ボロボロ

父「……」

幼女「…ふふ、」ニッコリ



ーーー

357: 2015/02/11(水)13:35:13 ID:T6n



ーーー

幼女「さあさあ!あなたの席はここですよ!ほらほら」グイグイ

男「おいっだから押すなって!」カァア

男「……ってなんで俺だけ、テーブルの中央なんだよ」

幼女「誕生日席ですね」

母「男、まだお誕生日お祝いしてなかったじゃない?だからそれも兼ねてね」ニコニコ

父「…早く座れ。料理が冷めるぞ」

男「ケーキ、ローストビーフ、サラダに肉じゃが、刺身……から揚げ」

ズラァァア

男「これ全部、お袋が作ったのか?」

母「そうよー!腕によりをかけたわ!」グッ

358: 2015/02/11(水)13:43:11 ID:T6n
幼女「ささっ、始めましょう始めましょう!!」


パンッ
パパンッ

幼女、母「男(さん)!ハッピーバースデー!!」カチャン

男「あ、ありがとう…」

男「……」チラ

父「……お酌ぐらいするぞ」ニィ

男「っ、ありがとう!」

カチャン
ワイワイ、ワイワイ

幼女「もうお母さん、聞いてくださいよ!男さんこの間、私の体をジローッて見てなんて言ったと思います」

母「さあねえ、想像つかないわ。なんて言ったの?」ジロ

男「おっおいその話は…」

幼女「『成長期が人より遅いのか?』って!!酷くないですかあ!?」グワッ

父「……けしからんな」

母「まあ酷い。こんな子に育てた覚えはないんだけどねえ」ハァーッ

男「ち、違うって…ただちょっとからかってやろうかと!!」

アハハハハハ……




ーーー

359: 2015/02/11(水)13:51:18 ID:T6n


ーーー

夜。部屋。


男「……けっきょくお袋たち、どっか行くのな」ゲフ

キィー

幼女「ええ。相談を重ねた結果、プロジェクト終了までは私と男さんだけで生活することになりまして」

男「……楽しかった」

幼女「はい?」

男「今日、すごく楽しかった。お袋の飯もめちゃくちゃうまかったし、親父も……楽しそうで。よかった」

幼女「…なぜ、あの日急にお母さんのご飯が美味しくなったかわかります?」

パタン

360: 2015/02/11(水)13:55:21 ID:T6n
男「……いや、わかんねえな」

幼女「簡単に言ってしまえば、あなたが空腹で、かつ食事に集中していたからです」

幼女「空腹は最大の調味料とは、よく言うでしょう?あなたはあの日まで、さんざんお菓子を食べながらパソコンに夢中になってご飯を食べていたので、言わば食事のありがたみを知らなかったのです」

幼女「おいしくて栄養のあるご飯があるって、素晴らしいですよね」ニコッ

幼女「食材と、それから毎日あなたのために作ってくれているお母さんの存在は、限りなく大切なものだと思います」

男「……俺も、そう思うよ」ニィ

362: 2015/02/11(水)14:03:20 ID:T6n
男「あれだけ、ぞんざいに親に接したことを、今日すげえ悔やんだ」

男「親がどれだけ支えになっているのか、俺ぜんぜん理解してなかったよ。ほんとに、かけがえのない、存在だ」

男「一生土下座しても、足りねえよ」ギュウウ

幼女「……男さん」

幼女「過去を悔やんでも元には戻りません。大切なのは、気づいてからどうするかです」

幼女「あなたは、これからどうなりたいですか?」


ーーーカチッ

男「そうだな……」

男「まずは人に慣れることから始めて、社会で役立てる存在になりたいかな」

男「あの日、おっさんに怒鳴ったとき思ったんだけど…俺、ああいう人を更生させる仕事とかしてみたいかも」

幼女「…いいですね」

男「おう、だからさ」

367: 2015/02/11(水)14:12:22 ID:T6n
男「まず一年間社会に慣れて、それからなんか資格取って、就活でもするよ」ニコッ

男「んで、いつか親に恩返ししたいな。へへっ」

幼女「素晴らしいですね」

幼女「陰ながらずっと、応援しています。いいですか?なにか困ったら人に頼ってくださいね」

幼女「あなたが手を差し伸ばせば、必ず取ってくれる人がいますから」ビッ

男「おう!ありがとうな!」ニカッ


ーーーザァアッ、
ピピ、

………対象者の更生を感知しました。

これにてプロジェクト終了の準備を開始します。

………プロジェクト終了まで、あと72時間………



幼女「……」



ーーー

369: 2015/02/11(水)14:25:05 ID:T6n

プロジェクト開始31日目

ーーー朝

男「……くぁあ」ガバァ

ちら

幼女「……」シャコシャコ

男「おー、おはよ幼女」

幼女「……」ボー
シャコシャコ

男「…?おーい、ようじょー」

幼女「っ、!あ、」ハッ

幼女「あ、あら、男さん起きました?おはようございます!」ニカッ

男「おう、おはよ…?」

幼女「待っててくださいね、今朝ごはん持ってきますので」ガタガタ

シャコシャコシャコシャコ…


男「…」

370: 2015/02/11(水)14:30:37 ID:T6n

ーーー9時

幼女「はい、ではこれ今日の課題です」

ドッスン!

男「…またずいぶんと多く持ってきたな」

幼女「今日の問題はこの紙に書いてありますので、さ、どうぞ」せかせか

ペラリ、

男「…これ」

幼女「は、はい?」

男「電気代の請求書の、この本…知育絵本…」チラ

幼女「あっあれ?」ガタタッ

幼女「あっやだ間違えちゃいました!すいません、今持ってきますので待っててください!」ガタガタ

男「…」

372: 2015/02/11(水)14:37:20 ID:T6n

ーーー12時半

幼女「お昼、すごく美味しそうですよ!レモネードと、サンドウィッチ、それからソーセージソテーです」カチャ

男「幼女さん、お言葉ですが」スッ

幼女「はい、なんです?」

男「…サンドウィッチに箸は不要です」スス

幼女「あ、ごめんなさい!うっかり…」ヘラ


ーーー16時

幼女「あ、男さん!あの蝶々なんて言う名前でしょうね?」ジィ

男「あれどう見てもとんぼだけど…」

幼女「あれっ?」



ーーーー

374: 2015/02/11(水)14:42:12 ID:T6n


ーーー夜

男「お、ま、え、さあ!!!」バンッ

幼女「……なんです?そんな怒り心頭で…」アセ

男「なんです?じゃねえよ。なんか変だぞ?どうしたんだよ?」

幼女「え?そ、そうですか?わかんないなあなんでしょう…」

ガッ

男「しらばっくれんなよ…。明らかに今日、おかしいぞ。なんかあるんだろ?」

幼女「…そんな」

男「言ってくれよ。信頼できるって、電車の中で言ってくれたじゃねえか…」

ガクン

幼女「…」

375: 2015/02/11(水)14:46:31 ID:T6n
男「明らかに今日のお前、普通じゃない」

男「……どうしたんだよ?風邪でもひいたのか?疲れてんだったらベッドで休んでもいいんだぞ?」ジイィ

幼女「…」

男「……俺は、」

男「俺は、お前に頼ってばっかで情けねえかもしれない。でも、お前がもし、なにか困ってんなら」

男「そんときは俺が、力になりたい」ギュウ

男「今日のお前は、普通じゃないよ。どうしたんだ?」

ジィイ

幼女「……」ギュ

幼女「…時間が、ありません」ボソ

376: 2015/02/11(水)14:50:46 ID:T6n
男「…」

幼女「実は、」キッ

幼女「男さんの算段外の更生の速さにより、プロジェクトの予定が繰り上げられて、予定より早期に終了することになりました」ググッ

幼女「なので、時間がないのです。残された時間は……」チラ、

チッ、チッ、チッ、

幼女「………あと22時間」

男「……っ」

377: 2015/02/11(水)14:55:48 ID:T6n
幼女「……今まで、言わなくてごめんなさい」グッ

幼女「本当は、もっとやるべきことがたくさんあります。これからのことを詳しく考えなくちゃいけないし、あなたとご両親のサポートも必要だとおもうし。……それに、」

チラ、

幼女「………まだ、宝箱はからのままです」

男「………」

男「…知ってたよ」

幼女「え、?」

男「知ってたよ、詳しい時間まではわからなかったけど、でも、君といれる日がもう限られてることは、知ってた」

男(全てを、話そう)

378: 2015/02/11(水)15:08:55 ID:T6n
男「幼女が来てからすぐに、俺はHTSCについて調べたんだ。なんかうさんくせえって思ってたから」

男「政府が運営する、国際団体。目的は、国が定めた「引きこもり」に値する人の社会的復帰と、更生だよね」

男「被験者の重度により、期間もプランもさまざま。まず二週間は、通常の生活の取り戻し、それから躍進を経て、被験者の更生が確認されたらプロジェクトは終了する」

幼女「……ええ、その通りです」

男「……で、最後」

ドクン

男「俺が読んだ文章は、確かこうだった」

『最終目標は、対象者様の完全なる社会復帰になります。そのため、サポート職員のこれまでの手助けやサポートを思い出すことにより引っかかり、今後の支障になる場合がございますのでーーー』


男「……多くの体験や力になった記憶"だけ"は、そのまま継続として残ります」

幼女「……」

379: 2015/02/11(水)15:13:25 ID:T6n
男「……だけは、って」

男「最初はまあ、特に気にしなかったんだ。ちょっと引っかかりはしたけど、別に俺には関係ねえしって思ってた」

男「……でも、今は違う」

ドクン、ドクン

男「その意味が、俺にはなんとなくわかる。でも、なんとなくでしかわからない」

男「君の口から、真実が聞きたい。俺が、この先どうなるのか。そして、」

ギュ

男「幼女が、この先どうなるのか」

380: 2015/02/11(水)15:20:05 ID:T6n
幼女「……」

幼女「……HTSCは、何度も言うように国際団体です。ほぼ非営利で国のために動き、国民をサポートしてより良い国づくりをめざします」

幼女「なので、これから未来に向けて歩み出す男さんたちに、私どもがなんらかの形でつまづかせてはならないのです」

ギュウゥ

幼女「人間は、どんな理由で転ぶかわかりません。実際に、過去には何度も私どもが原因でつまずき、せっかく更生したのに挫折してしまった人もいます」

幼女「……国のために、いる人間は、爪痕を残してはならないのです」

男「……」

幼女「……22時間後、私はあなたの記憶を一部抹消します」

381: 2015/02/11(水)15:26:25 ID:T6n
幼女「この一ヶ月間であなたが楽しいと感じたことや、ためになったと思うことは全て記憶にのこります」

幼女「ただ」

幼女「ただ、そこに私がいないだけで」

ググッ…
ブルルッ

幼女「……っ」ぶわわっ

ポタポタ、ポタ

幼女「男さあん!!!」ガバッ

男「っ、」

幼女「この一ヶ月、あなたは本当に素晴らしい躍進を遂げました!他人に同じことをしろと言っても絶対にできない、見事な成長を見せてくれました!!!」グスッ

幼女「あなたは希望があります!!未来があります!!そしてそれはとても輝いていて、誰かのために、いいえ!あなたと繋がるこれからの人全てのひとのためになるでしょう!!!」

382: 2015/02/11(水)15:31:25 ID:T6n
幼女「絶対に成長できないなんてことは絶対にない!!あなたはその事実を身を以て実現してくれました!!!人間は常に成長しているということを!!あなたは私に教えてくれました!!」グスッ

幼女「この経験と希望は、明日の足跡となり、時に人にささえられながら、あなたは自分の道を歩きます!!どこまでも!!」

幼女「支えてくれる人と!!歩くのです!!!」ガッ

男「っ…」

幼女「うっ……ふぅ…」ずず

ふるふる、

幼女「………」

男「…」

幼女「…なので、」にこ

383: 2015/02/11(水)15:35:54 ID:T6n
幼女「私との記憶はなくなります。ですが、"私と経験したこと"は、これからもずっと、あなたの中で生き続けます」

幼女「忘れないでください、」

男「…」ボタ、ボタ

幼女「その勇気を、優しさを。これだけ忘れなければ、あなたはきっと、きっと」

幼女「厳しい世の中を耐え抜き、笑って生きることができます」ニコ

ボロボロ、
ぴちゃ

男「…ぐすっ………ああ、」

男「ありがとう、幼女」ズズッ




ーー!

385: 2015/02/11(水)15:41:28 ID:T6n


ーーー22時


モゾ、モゾ

男「……なあ?」

幼女「はい?」

男「あのさ……うで、」

幼女「うで?」ガササ

男「腕のタンク…見せてくれねえか?」モゾ

幼女「…」




男「へー、チタン?でできてんのこれ」

ボオン…

幼女「はい。ここから貯蓄して、それでこう突き抜けて、この管に通ります」なでなで

男「すっげえな。この透明のが栄養?」

幼女「そうです。750ミリリットル入ります」

386: 2015/02/11(水)15:46:01 ID:T6n
男「………なあ」

幼女「なんでしょう?」

男「この栄養って、どこで売ってるんだ?」

幼女「政府から直接もらってるんです」さわっ

男「政府から?」

幼女「はい。かなり特殊なものですので、2リットルでウン千万の高値になります」

幼女「なので私は、お金を払えないので代わりに国のために働いているのです」ジィ

男「そうか……どうしても、」

387: 2015/02/11(水)15:50:01 ID:T6n
男「どうしても、国に逆らうことはできないんだな」モゾ、

幼女「…?、どういうことですか?」

男「いや、こういう仕事してるじゃん?お前。たとえ辛くなったり感情的になったりしても、お前は国に逆らうことができないんだなって…」

幼女「…ぷっ、ふふふ」

男「な、なんだよ」

幼女「違いますよ、男さん」

幼女「私は、私の限られた要領の中でどれだけ自分の力を発揮できるか挑戦しているんです」

幼女「なので、苦しくても辛くても、次どうすればいいかってことを常に思ってます」

388: 2015/02/11(水)15:53:43 ID:T6n
幼女「何事も挑戦です。人生、どの人間にも限られた枠がありますから、その中で最大限に自分を発揮できればいいと思いませんか?」

幼女「私はぜんぜん、辛くなんかありませんよ」ニコッ

男「……おー、そうか」

男「やっぱお前、すごいよ。見た目幼いくせに!」ニカッ

幼女「あなたは一言余計なんです!さあ、寝ますよ」がさっ

男「おー。」


カチャカチャ、
カチン



ーーー

390: 2015/02/11(水)15:59:28 ID:T6n

プロジェクト最終日

ーーーー


幼女「ケータイ」

男「持った」

幼女「お財布は?あ、あと予備の靴下も」

男「予備の靴下ってなんだよ。なんで必要なんだよ」ジリッ

幼女「この間ふざけて川に落ちたじゃないですか」

男「あ、あれはあの…あれだよ…」


カチャン、

幼女「さ、行きましょう。今日は河原すいてますかね?」

男「さあなー。祝日だからガキいっぱいいるかもな」

幼女「水遊び、気持ち良さそうですよねえ」

男「お前ガキに交じっても違和感ないから行ってくれば?」ニヤニヤ

幼女「さいてーですっ!」



ーーー

392: 2015/02/11(水)16:05:40 ID:T6n
スタスタ、スタスタ


チュンチュン、
ピーチチチチチ…


男「…あ」

幼女「はい?」

男「なあ、あの鳥なんていうんだっけ?」ビ

幼女「……ヒヨドリですね」

ピピ、チチチ…

男「ふーん」

幼女「どうしてですか?」

男「いや、ガキの頃よく追いかけててさ、なつかしいなってこないだ思って」

幼女「そうでしたか」

スタスタ…

男「…俺さ」

393: 2015/02/11(水)16:09:10 ID:T6n
男「あの宝箱、これからゆっくり敷き詰めていくよ」

幼女「…そうですねえ。これからいろんな経験を重ねるにつれ、大切なものも増えていくでしょうからね」

男「ああ。ゆっくり、それこそ人生を通して大事なもん見つけていく」

スタスタ、スタスタ

……ガサ、


幼女「さて、ここでいいですかね」

男「ああ。人気もないしな」

幼女「…」

男「…」

395: 2015/02/11(水)16:13:59 ID:T6n
幼女「……男さん」

男「はい」

幼女「今まで、ありがとうございました。私も、多くの経験と大切な気持ちをいただきました」

幼女「私も、このことは一生忘れないでしょう。あなたのご健勝を、心から祈っています」

男「おう」

男「じゃあ、俺からも一言」

幼女「はい」

男「……君のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではない、本当に。君との記憶はなくなるけど、でも君と歩いた足跡はいつまでも俺の中に残る」

男「ありがとう。君が好きだ、これからも」

幼女「……はい、わたしもです」

397: 2015/02/11(水)16:20:12 ID:T6n
チッチッチッ…

幼女「……」

男「……」

幼女「……では、そろそろ時間です」

男「ああ」

幼女「目を閉じてください。時間が来たら、あなたはもう、立派な普通の人です」

男「……手の震えがとまんねえや」ガタガタ

幼女「かっこ悪いですねえ」

男「…なあ、幼女」

男「あの日、うちに来てくれてありがとう。ともに歩いてくれてありがとう。君の全てに、」

男、幼女「ありがとう」


チッチッチッ…


男「……さよなら」

幼女「ええ。さよなら」



スッ


……………

男「……」

399: 2015/02/11(水)16:21:58 ID:T6n

男「……?」

ピー、チュンチュン、
ヒロロロロ…

男「っ…頭いてえ……」グワン

男「あれ、俺なんで…ここ公園…?」


ガサ、

男「……ん?」

男「ポケットになんか入ってる」ガサゴソ

404: 2015/02/11(水)16:25:02 ID:T6n

男「紙と……ネジ?」

ガササッ
『お疲れ!さっさと元の極楽生活に戻ろうぜ!』


男「……あんだこれ?俺が書いて入れたのか?」

ぐしゃぐしゃ

男「……ふぁあ、」

男「……さて、帰って資格の勉強しなきゃ」


スタスタスタ…

ダッ



おわり。

405: 2015/02/11(水)16:25:26 ID:T6n
ご閲覧ありがとうございました。
ここまで伸ばせるとは思っていなかったので、ひとえに見てくださった方のおかげだと思ってます。

>>149が言ってましたが、このお話、マジで思いつきの行き当たりばったりで始めたので終了できたのがほんとに自分でもびっくりしてます。

穴だらけ矛盾だらけの作品でしたが、少しでもあなたの糧になってればそれは嬉しいです。
無事読了、ありがとうございました。


作者。

406: 2015/02/11(水)16:25:31 ID:rI7
わろた

408: 2015/02/11(水)16:26:27 ID:Nzn

413: 2015/02/11(水)16:27:43 ID:T6n
>>394

一応感情的になった時が「お前」、冷静にものを見てる時が「君」っていうふうに分けてたw

よくわかんなかったらごめんよ。

416: 2015/02/11(水)16:28:31 ID:T6n
>>411それはみなさんの想像にお任せってことで

引用元: 幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」