1: 2014/04/11(金) 03:41:02.90 ID:XG7RKoJto
ある日の清澄高校麻雀部。
面子が足りていないため、卓が立っていないそんな部室。
咲「京ちゃん、そういえば、クラスで友達と話してたんだけどね――」
ベッドに腰掛けて雑誌を捲っていた宮永咲が、ふと思い出したように話題を振ってきた。
2: 2014/04/11(金) 03:42:07.35 ID:XG7RKoJto
咲「――なんだか変な噂が流れてたよ」
京太郎「んー……噂って、何のだ?」
ベッドに寝そべり、麻雀漫画に目を通しながらの気のない返事。
咲「えっとね」
京太郎「おう」
咲「なんでも、女子部員が男子部員を奴隷扱いしてる――そんな部活動があるらしいんだ」
京太郎「まじか、そんな酷い部活があるもんなのか」
咲「本当だとしたら酷いよねー」
京太郎「まぁ、所詮噂だろうけどな……ちなみに、何部だ?」
咲「噂ではね……なんと――麻雀部なんだって。びっくり」
3: 2014/04/11(金) 03:43:03.51 ID:XG7RKoJto
京太郎「あー、麻雀部か、そっかそっかー」
咲「そう、麻雀部なの」
京太郎「……」
咲「……」
京太郎「失望しました。清澄の麻雀部やめます」
咲「えぇー、じゃあ、私もやめるー」
京太郎「……」
咲「……」
京太郎「なーんちゃって」
咲「ジョークジョーク」
京太郎・咲「HAHAHAHAHAHA――」
4: 2014/04/11(金) 03:43:35.37 ID:XG7RKoJto
咲「あ、ちゃんと噂は否定しておいたからね」
京太郎「当然だな――ま、奴隷っていうのは、ある意味で間違いじゃないか」
咲「えー……私達は京ちゃんを奴隷扱いなんかしてないよ?」
京太郎「いや、だってな――よっ、と」
答えつつ身を起こし、宮永咲の隣へ座る。
丁度、本からおもてを上げた彼女と視線がぶつかった。
京太郎「咲――俺はお前の愛の奴隷、だろ?」
きりっ。
咲「きょ、京ちゃん――」
ぽっ。
京太郎「……」
咲「……」
京太郎・咲「HAHAHAHAHAHA――」
6: 2014/04/11(金) 03:44:10.50 ID:XG7RKoJto
京太郎「あ、クラスで思い出したけどな」
咲「ん、何?」
京太郎「いや全く関係ないんだけど、今日友達と話してる時に、こんどーさんの話題が出たんだよ」
咲「……こんどーさん?」
京太郎「おう、こんどーさん。国士無双がブンブン出るんや、じゃなくてゴムのことな――あ、ちなみに男友達と、だぞ」
咲「微妙に古いよ京ちゃん……というか、いきなり女の子にそういう下ネタ振る?」
京太郎「微妙に引くなよ。お前だからいいだろ」
咲「……それはどういう意味?」
京太郎「……で、そいつが昔、両親のタンスからこんどーさんを発見した時の話なんだけどな」
咲「スルーしたし……まあ、両親のタンスからっていうのが、微妙に生々しいね」
京太郎「あー……確かに生々しいな、例えば俺が今、同じ状況で見つけたら見なかったことにするな……」
咲「だよねぇ……」
7: 2014/04/11(金) 03:45:11.65 ID:XG7RKoJto
京太郎「……ま、話を戻すけど、その時のそいつは無知で、それが何か分からなかったらしいんだよ」
咲「そうなんだ」
京太郎「小学生の時だったらしいからな――そいつは何をしたと思う?」
咲「……ゴムで?」
京太郎「そう、ゴムで」
咲「えー、問題形式なの――んー……風船みたいに膨らませてみたり、とか?」
京太郎「ありそうだけどハズレだ。それだとベタ過ぎて面白くないだろ?」
咲「面白いかどうかが大事なんだ……」
京太郎「そいつはな――履いたんだ」
8: 2014/04/11(金) 03:45:55.55 ID:XG7RKoJto
咲「えっ?」
京太郎「えっ?」
咲「……ちょっと、京ちゃん、私のマネしないでよ」
京太郎「いや、このパターンは何となくしないといけないかな、と」
咲「って――はく? どういう意味?」
京太郎「なんと……靴下みたいに履いたらしい、そいつ、こんどーさんを」
咲「えぇー……」
京太郎「で、履いたはいいけど、暫くして耐えられるわけもなく裂けたらしい。ぱーん、と」
咲「それはそうだよ……むしろどうして履こうと思ったの……訳がわからないよ」
9: 2014/04/11(金) 03:46:51.11 ID:XG7RKoJto
京太郎「ばっか、お前、その訳のわからなさが面白いんだって」
咲「っていうか、履けるほど拡がるものなの……?」
京太郎「んー、どうなんだろうなー」
京太郎「……」
咲「……」
咲「……京ちゃん」
京太郎「……何だ?」
咲「……今日は、ある?」
10: 2014/04/11(金) 03:47:36.48 ID:XG7RKoJto
京太郎「……あー、まあ、持ってる、な」
咲「ちょっと開けて試してみようよ」
京太郎「たまにアグレッシブだよな、お前――そういうとこも好きだけど」
咲「もう京ちゃんったら――」
京太郎「ほら0.02mmの極薄サイズ」
咲「――って、私が履くの!?」
京太郎「俺だと流石にこんどーさんがまず耐えれないだろ」
咲「もぅ、仕方がないなぁ……」
11: 2014/04/11(金) 03:48:49.52 ID:XG7RKoJto
京太郎「……」
咲「……」
12: 2014/04/11(金) 03:49:31.69 ID:XG7RKoJto
京太郎「……お」
咲「おおぅ……履ける……」
京太郎「マジかよ……」
咲「全然余裕だよ! 凄いよ!」
京太郎「マジ履けてるじゃん……感動した」
咲「うわー、こんなに拡がるんだ」
京太郎「すげーな。日本のゴムメーカーってすげー」
咲「きっと技術力の勝利だよ、京ちゃん!」
京太郎「破けたりして、不安に駆られる人をなくすため日夜進歩してるんだなっ!」
咲「だよねっ! きっとどんなに激しくしても大丈夫な感じでっ!」
京太郎「だな! アクロバティックでアレな感じでも大丈夫、みたいな!」
13: 2014/04/11(金) 03:51:25.32 ID:XG7RKoJto
咲「京ちゃん、例えばなんだけどさ……」
京太郎「……何だ?」
咲「もっと別な方法で、日本のゴムメーカーの技術力の進歩を確かめるべきなんじゃないかな? パルスのファルシのルシがパージでコクーンな感じで」
京太郎「咲……奇遇だな。俺もそう思ってたところなんだ」
咲「うわーぐうぜんってすごいねこれはたしかめないといけないね」
京太郎「……」
咲「……」
京太郎「咲……」
咲「京ちゃん……」
京太郎「咲――!」
咲「京ちゃん――!」
14: 2014/04/11(金) 03:52:23.60 ID:XG7RKoJto
ドア「ちょっと待った」
京太郎・咲「「あっ」」
和「……」
京太郎「……」
咲「……」
和「……二人は一体何をしているんですか?」
咲「やっほー、和ちゃん」
京太郎「よう、和」
和「露骨に誤魔化そうとしてますよね? 部室でいかがわしい事をしないで下さいよ?」
咲「えー、そんなことしてないよ――ね、京ちゃん」
京太郎「なー。咲の言う通りしてないって」
15: 2014/04/11(金) 03:53:01.52 ID:XG7RKoJto
和「いえ、ベッドの上で二人が明らかに近かったのですけど――って、なんで二人して荷物をまとめだしてるんですか?」
京太郎「なんでって――帰り支度? 急な用事ができたんだ」
――そう、用事だ。嘘ではない。
爆ぜろリアル、弾けろシナプス、バニッシュメント・ディス・ワールド(意味深)なのだ。二人で。
咲「うん、そうそう用事ができちゃったの……」
部室だとこれ以上は恥ずかしいし――とぼそりと付け加えている。
京太郎「だよな」
咲「だよねー」
和「……そうですか、お疲れ様です」
京太郎「じゃ、またな和」
咲「和ちゃん、また明日ー」
和「何か腑に落ちませんけど――咲さん須賀くん、また明日です」
16: 2014/04/11(金) 03:53:40.58 ID:XG7RKoJto
+++
和「全くあの二人は打たずに帰るなんて……」
二人を見送り、そう愚痴をこぼし鞄を棚へ置いた。
自分一人か――と思い、部室を見やると、部屋の隅にある異質な物体。
具体的には陰気なオーラを発する白い何かがあった。
和「――って、ゆーきじゃないですか! いたんですかっ!?」
優希「へへっ、のどちゃん……私、燃え尽きちゃったじぇ……真っ白にな……」
絞り出したような震えた声で答えつつ、時折ビクンビクンと痙攣している。その動きはちょっと気持ち悪い。
和「って、ちょっ、ゆーき、しっかりして下さい! 一体何が!?」
優希「は、はんにんは――」
――がくり。
和「ゆーきー!?」
17: 2014/04/11(金) 03:54:29.51 ID:XG7RKoJto
と、まあ、そんなことがあったとか――ちなみに後日。
部室で、染谷まこと原村和に説教される須賀京太郎と宮永咲がいた。
どうでもいいが、それによって部内いちゃつき禁止宣言が発表されたとか云々。
片岡優希はその宣言内容により、須賀京太郎・宮永咲両名から、タコス一週間分、つまり三人前×七日分をゲットしたそうな。
――カン!
19: 2014/04/11(金) 07:56:16.58 ID:PTwNvw8bo
乙ー
20: 2014/04/11(金) 09:55:43.40 ID:icKz9yOf0
おつ
このノリでまた書いてほしい
このノリでまた書いてほしい
引用元: 京太郎「明るい」咲「家族計画」
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